JPH06199682A - 虚血性傷害および再潅流性傷害を最小限に留め、また抑制するための方法 - Google Patents

虚血性傷害および再潅流性傷害を最小限に留め、また抑制するための方法

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JPH06199682A
JPH06199682A JP5328537A JP32853793A JPH06199682A JP H06199682 A JPH06199682 A JP H06199682A JP 5328537 A JP5328537 A JP 5328537A JP 32853793 A JP32853793 A JP 32853793A JP H06199682 A JPH06199682 A JP H06199682A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 組織が虚血および再潅流を受けた場合に起こ
す傷害を最小限に留め、また抑制する方法を提供する。 【構成】 その方法は、虚血性組織へ血流が回復すると
同時に、または回復した直後に、あるトリペプチドアル
ギナール誘導化合物を投与することであり、その方法
は、発展性心筋梗塞に於ける心臓に対する傷害を最小限
に留め、また抑制するのに特に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、既知のトリペプチドア
ルギナール誘導体群が、組織が虚血および再潅流を受け
た場合に起こす傷害を最小限に留め、また抑制するのに
有用であるという発見に関する。その方法は、心筋梗塞
および再潅流が進行していく間に起こる虚血性傷害を抑
制するための心臓保護剤として特に有用である。
【0002】虚血は、細胞領域への血流量が、標準代謝
活性を維持するのに不十分である場合に起こる。その状
態が長期にわたって続けば、虚血性領域内の細胞は壊死
してしまう。再潅流とは、虚血性組織への血流が回復す
るという挙動を示すのに用いられる専門用語である。従
って、虚血性領域内の細胞をこの先、生存させていく上
で、再潅流は必要不可欠である。しかし、再潅流そのも
のが、虚血したにもかかわらず生き残った多くの細胞に
対し、回復する見込のない傷害を引き起こすことは広く
知られている。それゆえ、虚血性傷害または再潅流性傷
害を最小限に留め、また抑制することができる化合物が
有効な治療薬であると考えられる。こういった作用薬
が、苦しんでいる患者を治療するための薬物および製剤
を調製するのに特に有用である。
【0003】再潅流性傷害は、主に炎症が進行した結
果、起こるものである。虚血性組織が再潅流すると、タ
ンパク分解酵素および酸化剤を遊離する白血球が誘引さ
れ、これらの物質がさらなる炎症を助長した後、最終的
には治癒して瘢痕となる。白血球由来のタンパク分解酵
素および酸化剤は非選択的であるため、正常な組織およ
び可逆的な傷害を起こした組織を破壊する。従って、炎
症反応を抑えること、あるいは炎症が進行していく際に
最も有害な物質を抑制することが、再潅流性傷害を最小
限に留め、また抑制するための理にかなった方法であ
る。
【0004】発展性心筋梗塞は心筋に標準代謝活性を維
持するための十分な血液供給がなされないという進行性
の過程あり、概して、冠状動脈閉鎖によって引き起こさ
れる。絶えることのない比較的高い心臓の代謝活動、並
びに冠状動脈閉鎖を軽減するための多くの治療法によ
り、発展性心筋梗塞が、恐らく最も普通の、かつ深刻な
再潅流性傷害の背景となる。
【0005】血管形成術、バイパス手術法、血栓融解法
といったような多くの治療法を導入すると、閉鎖されて
いた冠状動脈が再疎通して、心筋の再潅流性傷害を引き
起こす。[ルチェシー(Lucchesi)らの“白血球と虚血
が引き起こす心筋傷害(Leukocytes and Ischemia-ind
uced Myocardial Injury)”、アン・レブ・ファーマ
コル・トキシコル(Ann.Rev.Pharmacol.Toxico
l.) 36、159〜163頁 (1985年)およびイ
ングラー(Engler),R.L.の“心筋虚血および再潅流
が起こっている間に遊離基と顆粒球で治療される傷害
(Free Radical andGranulocyte-Mediated Injury
during Myocardial Ischemia and Reperfusion)”、
アメリカン・ジャーナル・オブ・カーディオロジー(Am
erican Journal of Cardiology) 63、19E〜23
E (1989年)を参照。]
【0006】新生白血球は、冠状動脈閉鎖および再潅流
により起こる心筋梗塞が進行する際に関係しているの
で、好中球の関与は、発展性心筋梗塞を最小限に留め、
また抑制するための理にかなった方法である。そのよう
な好中球の関与は、好中球減少症の誘発、抗癒着性分子
の単一クローン系抗体、並びにオキシダントスカベンジ
ャーを包含する。[ロムソン(Romson)らの“好中球枯
渇による犬の虚血性心筋傷害範囲の縮小(Reduction of
the Extent of Ischemic Myocardial Injury by
Neutrophil Depletion in the Dog)”、サーキュレ
ーション(Circulation) 67、1016〜1023頁
(1983年)、ミューラン(Mullane)らの“麻酔した
犬の急性心筋梗塞における白血球の役割:抗炎症薬によ
る心筋治療との関係(Role of Leukocytes in Acute
Myocardial Infarction in Anesthetized Dogs:R
elationship to Myocardial Salvage by Antiinflam
matoryDrug)”、ジャーナル・オブ・ファーマコロジー
・アンド・イクスペリメンタル・セラピューティクス
(Journal of Pharmacology and Experimental Ther
apeutics) 228、510〜522頁 (1984
年)、ミットソス(Mitsos)らの“犬における好中球枯
渇後の心筋の再潅流性傷害に対するN−2−メルカプト
プロピオニルグリシンの保護効果:細胞内で誘導された
遊離基の役割に関する証拠(Protective Effects of
N−2−Mercaptopropionyl Glycine againstMyocar
dial Reperfusion Injury after Neutrophil Deple
tion in the Dog:Evidence for the Role of Intr
acellular-derived Free Radicals)”、サーキュレー
ション (Circulation)73、1077〜1086頁
(1986年)、ミットソスらの“犬の心筋の再潅流性
傷害:遊離基スカベンジャーであるN−2−メルカプト
プロピオニルグリシンによる保護(Canine Myocardial
Reperfusion Injury:Protection by a Free Rad
ical Scavenger,N−2−Mercaptopropionyl Glyci
ne)”、ジャーナル・オブ・カーディオバスキュラー・
ファーマコロジー(Journal of Cardiovascular Phar
macology) 8、978〜988頁 (1986年)、ジ
ョリー(Jolly)らの“犬の心筋の再潅流性傷害:スーパ
ーオキシドジスムターゼとカタラーゼの組み合わせ投与
によるその減少(Canine Myocardial Reperfusion I
njury:Its Reduction by the Combined Administr
ation of Superoxide Dismutase and Catalase)”、
サーキュレーション・リサーチ (Circuration Resear
ch) 54、277〜285頁 (1984年)、シンプ
ソン(Simpson)らの“白血球の癒着を抑制する単一クロ
ーン系抗体(抗Mol)による、実験用の犬の心筋虚血と
再潅流性傷害の減少(Reduction of Experimental Ca
nine Myocardial Ischemia and Reperfusion Injur
y by a Monoclonal Antibody (Anti-Mol) that In
hibits LeukocyteAdhesion)”、サーキュレーション
(Circuration)76、A0799 (1987年)、お
よびジョリーらの“好中球枯渇による心筋梗塞範囲の縮
小:閉塞時間の効果(Reduction of Myocardial Infa
rct Size by Neutrophil Depletion:Effect of D
uration of Occlusion)”、アメリカン・ハート・ジャ
ーナル(American Heart Journal) 112、682〜
690頁 (1986年)を参照。]
【0007】意外にも、数種のプロテアーゼの作用を抑
制することで知られている化合物群が、虚血および再潅
流により起こる組織傷害を抑制し、また最小限に留める
ことができるということが見い出された。その化合物
は、心筋梗塞および再潅流が起こっている間に生じる、
心臓に対しての有害な影響を最小限に留めるための新規
方法において、とりわけ有用である。
【0008】本発明は、そのような治療を必要とする
際、哺乳動物に対して、一般式 A−Pro−Arg−H (式 1) [式中、Aは
【化2】 であって、Aのキラル中心はDL、好ましくはDであ
り、Proのキラル中心はL、Argのキラル中心はLであ
り、ZはC1〜C4のアルキル、またはH、XはNH2
NHZ、t−ブチルオキシカルボニル−NH、アセチル
−NH、またはトリフルオロアセチル−NH、RはH、
OH、ハロゲン、C1〜C4のアルコキシ、CF3、C1
4のアルキル、NO2、またはNH2、およびqはC
2、またはCOである]で示される、毒性を発揮しな
い有効量の化合物を投与することによる、再潅流性傷害
を最小限に留め、また抑制する方法である。
【0009】本発明の方法において有用な化合物は、当
技術分野において知られている[米国特許第4,703,
036号(この引例の内容は本明細書の一部をなす)お
よび欧州特許出願公告第479489号、並びにバジュ
ースツ(Bajusz)らの“高活性および選択性抗凝固薬:
自然不活性化に対する遊離トリペプチドアルデヒドプロ
ンであるD−Phe−Pro−Arg−H、およびその安定な
N−メチル誘導体であるD−MePhe−Pro−Arg−H
(Highly Active and Selective Anticoagulants:
D−Phe−Pro−Arg−H、a Free Tripeptide Ald
ehyde Prone toSpontaneous Inactivation,and It
s Stable N−Methyl Derivative,D−MePhe−P
ro−Arg−H)”、ジャーナル・オブ・メディシナル・
ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry) 3
3、1729〜1735頁 (1990年)を参照。]
【0010】プロリンおよびアルギニン残基のα一炭素
はLの立体配置であり、置換基Aのα一炭素はDL、好
ましくはDである。
【0011】薬学的に許容し得る式1の化合物の塩はま
た、本発明方法で使用する製剤および薬物を製造するの
に有用であって、無機酸とカルボン酸で形成された酸付
加塩を含む。塩を形成する無機酸の例としては、ハロゲ
ン化水素酸(特に塩酸および臭酸)、リン酸並びに硫酸
が挙げられる。カルボン酸塩は、酢酸、プロピオン酸、
マロン酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ
酸、安息香酸、フマル酸、およびこれに準ずるカルボン
酸といったような酸で構成される。酸付加塩は、従来の
方法で、例えば、遊離塩基型の化合物1を酸で中和する
ことにより製造する。好ましい酸付加塩は、硫酸塩およ
び塩酸塩である。
【0012】本発明はまた、上記治療法において使用す
るための製剤および薬物をも提供する。本発明の製剤
は、再潅流性傷害を最小限に留める有効量の、式1で示
される化合物と薬学的に許容し得る担体から成る。経口
投与するためには、式1の化合物をゼラチンカプセル中
に充填するか、または結合剤、滑剤、崩壊剤およびこれ
に準ずるものといったような薬学的に許容し得る賦形剤
を含有する錠剤に圧縮成形する。またその化合物を、持
効性製剤として調製することもできる。例えば、各々に
異なる時間をかけて化合物を放出するよう、種々のヒド
ロゲルマトリックスのうちのいずれか一つの中に入れ
て、その化合物を調製することができる。非経口投与す
るためには、その化合物を薬学的に許容し得る希釈薬
(例えば、生理食塩水(0.9%)、5%デキストロー
ス、リンゲル液およびこれに準ずるもの)中に配合する
ことができる。
【0013】式1で示される化合物は、ペプチドカップ
リングとして広く知られている方法で製造することがで
きる[一般的には、ドゥガス(Dugas)とペニー(Penne
y)のバイオオルガニック・ケミストリー(Bioorganic
Chemistry) 13〜82頁 (1981年)を参照]。
そのような一方法によれば、酸 ACOOH[式中、A
は式1の定義と同義である]をカルボキシが保護された
プロリンとカップリングさせてジペプチド(Aがアミノ
酸である場合)、あるいはN−アシルプロリンエステル
(Aがアミノ酸以外のものである場合)を形成する。生成
物のプロリン部分のカルボキシを保護しているエステル
基を脱離し、遊離酸の形のジペプチドをラクタムの形の
アルギニンと結合させる。上記の一連の反応を、以下の
式で説明する。
【0014】
【化3】 [式中、Pはアミノの保護基を示す]
【0015】ラクタム環を開裂して、式 A(C=O)−Pro−Arg(P)−H [式中、Arg(P)−Hは、アミノが保護されたアルギニ
ンアルデヒドを示す]で示されるアルギニンアルデヒド
の形のトリペプチドが得られるよう、カップリングした
アルギニン(Arg)(P)ラクタム生成物(c)を、不活
性溶媒中、水素化リチウムアルミニウムで還元する。
【0016】ラクタムの形のアルギニンは、アミノが保
護されたアルギニン[Arg−OH]を分子内カップリン
グすることにより得られる。例えば、まず最初、式
【化4】 [式中、Bocはt−ブチルオキシカルボニル、およびCb
zはベンジルオキシカルボニル]で示されるBoc−Arg
(Cbz)OHを、クロロホルメートエステル(例えばエチ
ルクロロホルメート〜イソブチルクロロホルメート)で
活性混合酸無水物といったような活性エステルの形に変
える。エステルの形成は、N−メチルモルホリンといっ
たような第三アミンの存在下に行う。トリエチルアミン
といったような、より強力な第三アミン塩基を添加する
と、内部でアシル化が起こり、以下に示すような、ラク
タムの形の、2つのアミノが保護されたアルギニンが得
られる。
【0017】
【化5】 上記の反応式で示したA(C=O)−Pro−OHとのカッ
プリングに使用する前に、必要とする遊離アミノ基が得
られるよう、Boc保護基をトリフルオロ酢酸で選択的に
除去する。
【0018】Aがアミノ酸残基である場合、ACOOH
化合物とプロリンエステルとのカップリングは、まず最
初に、アミノ酸のアミノ基を保護することから行う。ア
ミノ基の一時的な保護または封鎖に通例使用される、従
来のアミノ保護基を使用する。そのような保護基の例に
は、エトキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニ
ル、シクロヘキシルオキシカルボニル、アダマンチルオ
キシカルボニル、トリクロロエトキシカルボニル、ベン
ジルオキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニ
ル、およびこれに準ずる基といったようなアルコキシ
基、アルケニルオキシ基、シクロアルコキシ基およびア
リールオキシカルボニル基が含まれる。
【0019】カップリング反応中、プロリンのカルボキ
シル基を保護するために使用するエステル基はt−ブチ
ルエステル、ベンジルエステル、p−ニトロベンジルエ
ステル、p−メトキシベンジルエステル、ジフェニル−
メチルエステル、トリクロロエチルエステル、フェナシ
ルエステル、またはトリアルキルシリルエステルといっ
たような、通例使用され、容易に除去できる、いずれの
エステル基であってもよい。カップリング反応を行う
際、プロリンには、アミノ保護基がそのまま残留すると
いう条件下において除去できるエステル基を使用する。
すなわち、A−(C=O)−Pro−Arg(P)ラクタムを形
成するための、次のアルギニンラクタム化合物とのカッ
プリングの間、アシル化酸 A−COOH のアミノ保護
基は、アミノ基を保護する位置にそのまま残留する。
【0020】上記カップリング反応は、低温で、好まし
くは、約−20℃から約15℃までの間の温度で行う。
カップリング反応は、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ク
ロロホルム、およびこれに準ずる一般的な溶媒といった
ような不活性有機溶媒中で行う。カップリング反応にお
いて活性アシル化酸エステルを使用する場合には、通
例、無水条件を適用する。
【0021】本発明の化合物は、酸付加塩の形で単離す
るのが好ましい。先に列挙したような、酸とで形成した
式1の化合物の塩は、再潅流性傷害を最小限に留める作
用薬を投与するための、またこれらの作用薬の製剤を調
製するための、薬学的に許容し得る塩として有用であ
る。他の酸付加塩を調製して、ペプチドの単離および精
製に使用してもよい。例えば、メタンスルホン酸、n−
ブタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸およびナフ
タレンスルホン酸といったようなスルホン酸とで形成し
た塩はその様な目的に使用し得る。
【0022】式1で示される化合物を単離して精製する
方法及び所望の安定な塩の調製方法は、当技術分野にお
いて知られている。そのような一方法によれば、硫酸塩
および塩酸塩を含む無機酸の安定な塩は、C18のプレパ
ラティブ逆相クロマトグラフィーで分取精製することに
より得られる。その水性相は、約0.01%から約0.0
5%の間の濃度の硫酸または塩酸と、アセトニトリル、
THF(テトラヒドロフラン)、メタノールまたは有機成
分としての他の適当な溶媒からなる。酸性溶離剤のpH
をpH約4からpH約6の間に調節する。正確なpH
は、水酸基の形で塩基性樹脂(例えば、バイオ−ラッド
(Bio-Rad) AG−1X8)を有する特定のペプチドに
よる。pHを調節した後、精製した塩が乾燥粉末状で得
られるよう、トリペプチドの塩(例えば、硫酸塩または
塩酸塩)の溶液を凍結乾燥する。
【0023】本発明において特に有用である、式1の最
も好ましい化合物は、 化合物1 : D−3−Piq−L−プロリル−L−アルギ
ナール(硫酸塩)
【化6】 化合物2 : D−7−ヒドロキシ−1,2,3,4−Tiq
−3−カルボニルオキシ−L−プロリル−L−アルギナ
ール(二塩酸塩)
【化7】 化合物3 : D−3−Tiq−L−プロリル−L−アルギ
ナール(硫酸塩)
【化8】 化合物4 : D−1,2,3,4−Tiq−1−カルボニル
−L−プロリル−L−アルギナール(塩)
【化9】 化合物5 : N−メチル−D−フェニルアラニル−L−
プロリル−L−アルギナール(塩)
【化10】 化合物6 : Na−t−ブチルオキシカルボニル−D−フ
ェニルアラニル−L−プロリル−L−アルギナール
(塩)
【化11】
【0024】本発明を実施する際、虚血性領域の細胞へ
の十分な血流が回復した頃の血流中に有効濃度の化合物
が存在する様に、哺乳動物に式1の化合物を投与する。
化合物の有効量は、虚血性領域へ十分な血流が回復した
時の血流中におけるものであるのが好ましい。しかし、
虚血性領域が再潅流した直後に、化合物が有効血中レベ
ルに達するということもまた、本発明方法の一部であ
る。
【0025】本発明に係る化合物は、経口投与、非経口
投与(例えば、静脈内点滴、または注射、あるいは注射
と点滴との組み合わせ(iv)、筋肉注射(im)、または皮下
注射(sc))することができる。静脈内点滴により投薬を
行うのが好ましい。再潅流後、少なくとも1時間、ま
た、化合物の相対的効力および虚血性領域の範囲によっ
ては数日まで、化合物の有効血中濃度レベルを維持すべ
きである。
【0026】有効量は、約5mgから約1000mgにまで
及び、またその用量は、投薬経路により種々変わる。経
口、筋肉注射(im)、および皮下注射(sc)といった経路で
は、その化合物が血流中に流入するよう、虚血性組織へ
の血流が回復するより十分前に、その化合物を投与する
ことが必要となろう。
【0027】好ましい態様においては、注入速度は、1
〜10時間の間では約0.2〜5.0mg/kg/hrの範囲内
である。1〜10時間の間で約0.5〜2.0mg/kg/hr
の注入速度であることがさらに好ましい。閉鎖性血栓に
より起こる心筋梗塞の場合には、血栓崩壊治療と並行し
て、または血栓崩壊治療の直後に本発明の化合物を投与
するのがよい。
【0028】本発明の別の態様においては、オキシダン
トスカベンジャーと併用して、式1の化合物を投与する
のがよい。オキシダントスカベンジャーの例には、本発
明の見地から、これに何等制限されるというものではな
いが、スーパーオキシドジスムターゼおよびN−メルカ
プト−プロピオニルグリシンが含まれる。本明細書に於
いて併用して投薬するということは、式1の化合物を投
薬する前または投薬した後の短時間に投与するというこ
とを包含するものとする。併用して投薬するということ
はまた、併用して投薬する化合物の有効量が、式1の化
合物の有効量と共に血中に存在するということを意味す
る。
【0029】さらに本発明の別の態様においては、式1
の化合物をβ−ブロッカーと併用して投与する。β−ブ
ロッカーの例には、プロプラノロール、メトプロロー
ル、およびアテノロールが含まれるが、本発明はこれら
のものとの併用に限定される訳ではない。また本発明の
別の態様は、式1の化合物をアスピリンと併用して投与
することを包含する。本発明はさらに、式1の化合物
を、オキシダントスカベンジャー、β−ブロッカー、ま
たはアスピリンの幾つかの組み合わせと併用して投与す
ることを包含する。
【0030】本発明をどの様に実施するかを説明し、ま
た本発明の効果を示すために、以下の実施例を示す。実
施例は、本発明の範囲を何等制限するものではない。
【0031】実施例において使用した略語は、以下の意
味を有する。 アミノ酸: Arg = アルギニン、Pro = プロリン Boc = t−ブチルオキシカルボニル Bzl = ベンジル Cbz = ベンジルオキシカルボニル DCC = ジシクロヘキシルカルボジイミド DMF = ジメチルホルムアミド DMSO = ジメチルスルホキシド FAB−MS = 高速原子衝撃質量スペクトル FD−MS = 電場脱離質量スペクトル THF = テトラヒドロフラン TLC = 薄層クロマトグラフィー Tiq = テトラヒドロイソキノリン D−1−Tiq = D−1,2,3,4−テトラヒドロイソ
キノリン−1−カルボン酸 D−3−Tiq = D−1,2,3,4−テトラヒドロイソ
キノリン−3−カルボン酸 D−3−Piq = D−1,2,3,4,5,6,7,8−パー
ヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 Arg−H = アルギナール=
【化12】
【0032】以下の実施例におけるRf値は、以下の組
成: (A) クロロホルム−メタノール−酢酸 135:
15:1 (B) 酢酸エチル−酢酸−無水アルコール 90:
10:10 (C) クロロホルム−メタノール−酢酸 90:3
0:5 中、シリカゲル薄層クロマトグラフィー[キーゼルゲー
ル(Kieselgel) 60 F−254]で測定した。
【0033】
【実施例】実施例1 D−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−カ
ルボニル−L−プロリル−L−アルギナールの合成 DL−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−イソキノリン
カルボン酸 (1) 1−イソキノリンカルボン酸(12.5g、0.072mo
l)の氷酢酸(185ml)溶液を、24時間室温で、パ
ー(Parr)の振とう機中、60気圧(psi)で、酸化白金
(2g)を触媒として水素と反応させた。その反応混合
物をセライト(Celite)パッドを通してろ過して、その
ろ液を減圧下で濃縮した。固体を水を加えて粉砕し、ろ
過して、乾燥し、標記の純化合物(8g、63%)を得
た[FD−MS 178(MH+)、1HNMR(DMS
O) d 2.80−3.00(m,3H)、3.10−3.
20(m,1H)、3.30−3.40(m,2H)、
7.05−7.25(m,4H)、7.65−7.75
(m,1H)]。
【0034】t−ブチルオキシカルボニル−DL−1,
2,3,4−テトラヒドロ−1−イソキノリンカルボン酸
DCHA (2) 1,2,3,4−テトラヒドロ−1−イソキノリンカルボ
ン酸(1)(7.08g、0.040mol)溶液を、2
水酸化ナトリウム(40ml、0.080mol)およびt−
ブチルアルコール(40ml)中に溶解した。次に、ジ−
tert−ブチルジカルボネート(10.5g、0.048mo
l)を、その反応混合物に添加した。室温で24時間放
置した後、多量のt−ブチルアルコールを蒸発させ、そ
の結果得られた水溶液をジエチルエーテルで一回抽出し
た。水性相を分離して、2 塩酸でpH2.0まで酸性
として、酢酸エチルで抽出した。その有機溶液を硫酸マ
グネシウムで脱水し、減圧下、濃縮乾固した。その結果
得られた油状物質をジエチルエーテル中に溶解し、その
溶液にジシクロヘキシルアミン(7.9ml、0.040mo
l)を添加した。4℃(4時間)で放置した後、沈殿を
ろ過し、ジエチルエーテルで洗浄して、減圧下で乾燥
し、純生成物(15.7g、86%)を得た[FD−M
S 459(MH+)、C274224として、分析計算
値:C 70.71,H 9.23,N 6.11、実験値:
C 71.07,H 9.37,N 5.87]。
【0035】Boc−D−1−Tiq−Pro−OH (3) Boc−DL−1−Tiq−ODCHA(2)(73.4
g、160mmol)を酢酸エチル(200ml)中に懸濁さ
せ、1.5 クエン酸で洗浄した後、水で洗浄して、硫
酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧下、乾燥
状態となるまで濃縮した。油状物質を酢酸エチルに溶解
し、0℃まで冷却して、2,4,5−トリクロロフェノー
ル(31.6g、160mmol)を添加し、続けて、DC
C(33g、160mmol)を添加した。その反応混合物
を0℃で1時間撹拌した後、室温まで温めて1.5時間
撹拌した。その反応混合物を0℃まで冷却して、沈殿を
ろ過した。その母液を減圧下、乾燥状態となるまで濃縮
した。その結果得られた油状物質をピリジン(100m
l)に溶解した。次に、プロリン(18.42g、160
mmol)およびトリエチルアミン(22.3ml、160mmo
l)を、その反応混合物に添加した。室温で24時間放
置した後、その溶媒を減圧下、乾燥状態となるまで濃縮
した。その結果得られた残渣を酢酸エチル/水中に溶解
して、そのpHを2 水酸化ナトリウムで9.5に調節
した。水性相を分離して、2 塩酸でpH2.0まで酸
性とした。次に、その酸性とした水性相を酢酸エチルで
抽出した。その有機溶液を硫酸マグネシウムで脱水し
て、減圧下、乾燥状態となるまで濃縮した。その結果得
られた油状物質を、塩化メチレンおよび酢酸エチル中に
溶解した。その溶液を4℃で4時間放置して、沈殿をろ
過し、酢酸エチルで洗浄し、塩化メチレン/酢酸エチル
から一回再結晶した。その固体を減圧下で乾燥し、純生
成物(19.6g、33%)を得た[TLC Rf値
(A) 0.44、FAB−MS 375(MH+)、C20
2625として、分析計算値:C 64.15,H 7.
00,N 7.48、実験値:C 63.26,H 6.9
8,N 7.52、[a]D=+43.14°、C=0.5 メ
タノール]。
【0036】Boc−Arg(CBZ)−OH (4) R.B.の三つ口フラスコ中、Boc−Arg(HCL)−O
H(82.1g、250mmol)を5N 水酸化ナトリウム
(240ml)中に溶解した。その反応混合物を−5℃ま
で冷却して、55分間かけてベンジルクロロホルメート
(143ml、1.0mol、4当量)を滴下する間、5N
水酸化ナトリウム(250ml)を用いて、そのpHを1
3.2から13.5の間に保持した。その反応混合物を−
5℃でさらに1時間撹拌した。次に、これを、水100
mlおよびジエチルエーテル500mlで稀釈した。水性相
を分離して、ジエチルエーテルで二回抽出した。水性相
を3 硫酸(560ml)でpH3.0まで酸性として、
酢酸エチル(550ml)で抽出した。水性相を分離し
て、酢酸エチルで一回抽出した。有機相を合わせて水で
洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。その有機相
を減圧下、乾燥状態となるまで濃縮し、標記化合物(理
論上では65%)66.1gを得た[TLCRf値
(C) 0.43、FD−MS 408(M+)、1HNM
R(CDCl3) d1.42(s,9H)、1.61−1.
91(m,4H)、3.23−3.41(m,2H)、
4.17(d,1H)、5.21(s,2H)、5.62
(d,1H)、7.30−7.42(m,6H)、8.3
7(m,1H)]。
【0037】Boc−Arg(Z)−ラクタム (5) Boc−Arg(Z)−OH(4)(66.0g、0.162mo
l)を乾燥テトラヒドロフラン(230ml)中に溶解し
て、アセトン氷浴中で、−10℃まで冷却した。次に、
トリエチルアミン(23.5ml、1.05当量)、続け
て、イソブチルクロロホルメート(22.5ml、1.05
当量)を、その溶液に添加した。その反応混合物を−1
0℃で5分間撹拌し、続けて、N−メチル−モルホリン
(18.7ml、1.05当量)を添加した。その反応混合
物を−10℃で1時間撹拌した後、室温で1時間撹拌し
た。その反応混合物を氷水(1L)の中へ注ぎ入れて、
その結果得られた沈殿をろ過し、冷水で洗浄した後、減
圧下で乾燥した。その生成物を酢酸エチルで結晶化し
て、標記化合物38.05g(理論上では60%)を得
た[TLC Rf値 (A) 0.77、FD−MS 391
(MH+)、1HNMR(CDCl3) d 1.48(s,
9H)、1.78−1.98(m,2H)、2.50
(m,1H)、3.41(m,1H)、4.43(m,1
H)、4.90(m,1H)、5.16(s,2H)、
5.27(m,1H)、7.28−7.45(m,6
H)、9.41(m,1H)、9.68(m,1H)]。
【0038】TFA・Arg(Z)−ラクタム (6) Boc−Arg(Z)−ラクタム(5)(38.0g、0.09
7mol)を、トリフルオロ酢酸(200ml)およびアニ
ソール(20ml)の混合物を含有するR.B.のフラス
コに添加した。その反応混合物を0℃で1時間撹拌し
た。次に、その反応混合物を加熱することなく、減圧下
で濃縮した。ジエチルエーテル(400ml)を添加し
て、その結果得られた固体をろ過し、ジエチルエーテル
で洗浄した後、減圧下で乾燥し、標記化合物40.5g
(理論上では103%)を得た[TLC Rf値 (C)
0.29、FD−MS 291(MH+)]。
【0039】Boc−D−1−Tiq−Pro−Arg(Z)−ラ
クタム (7) フラスコ1においては、Boc−D−1−Tiq−Pro
(3)(17.8g、47.5mmol)をジメチルホルムア
ミド(100ml)に溶解して、−15℃まで冷却した。
次に、N−メチルモルホリン(5.3ml、52.3mmol)
を添加し、続けて、イソブチルクロロホルメート(6.
2ml、47.5mmol)を添加した。その反応混合物を−
15℃で2分間撹拌した。フラスコ2においては、TF
A・Arg(Z)−ラクタム(6)(19.2g、47.5mm
ol)をジメチルホルムアミド(40ml)に溶解して、0
℃まで冷却した。次に、N−メチルモルホリン(5.3m
l、52.3mmol)を、その溶液に添加した。その反応混
合物を0℃で2分間撹拌した。フラスコ2の内容物をフ
ラスコ1に添加して、その反応混合物を−15℃で4時
間撹拌した。その反応混合物を、一晩かけて徐々に室温
まで温め、続けて、5%炭酸水素ナトリウム(5ml)を
添加した。反応溶媒を減圧下で除去して、酢酸エチル
(175ml)の水(150ml)溶液を、油状物質に添加
した。次に、有機相を分離した後、引き続き、5%炭酸
水素ナトリウム、水、0.1 塩酸、そして再び水の順
で洗浄した。その有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し
て、減圧下、乾燥状態となるまで濃縮し、標記化合物の
非晶質固体(24.3g)(理論上では79%)を得た
[TLC Rf値 (A) 0.71、FAB−MS 647
(MH+)、[α]D=−32.8°、C=0.5 クロロホ
ルム]。
【0040】Boc−D−1−Tiq−Pro−Arg(Z)−H
(8) Boc−D−1−Tiq−Pro−Arg(Z)−ラクタム(7)
(23.4g、36.2mmol)を、窒素ガス雰囲気下、乾
燥テトラヒドロフラン(300ml)中に溶解して、R.
B.のフラスコに入れた。次に、その反応混合物を−7
0℃まで冷却した。1M 水素化リチウムアルミニウム
のテトラヒドロフラン(37ml、37mmol)溶液を、3
0分間かけて反応混合物中に滴下した。次に、その反応
混合物を−70℃で30分間撹拌した。テトラヒドロフ
ラン溶液(20ml)および0.5 硫酸(20ml)を、
10分間かけて反応混合物中に滴下した。次に、その反
応混合物を酢酸エチル(400ml)の水(400ml)溶
液で稀釈した。酢酸エチル相を分離した後、水(150
ml)で二回洗浄した。その有機溶液を硫酸マグネシウム
で脱水し、減圧下、乾燥状態となるまで濃縮し、その結
果、標記化合物の非晶質固体21g(理論上では89
%)を得た[TLC Rf値 (A) 0.28]。
【0041】D−1−Tiq−Pro−Arg−H スルフェ
ート (9) Boc−D−1−Tiq−Pro−Arg(Z)−H (8)(1
8.1g、27.9mmol)を、テトラヒドロフラン溶液
(200ml)および水(80ml)中に溶解した。次に、
硫酸(28ml)および5%パラジウム−炭素(Pd
/C)(3.0g)を、その反応混合物に添加した。その
反応混合物を、周囲温度および加圧下で5時間、水素化
した。その反応混合物に窒素を吹き込んだ後、触媒をハ
イフロ(hyflo)パッドを通してろ過除去した。そのろ液
を、減圧下、100mlまで濃縮し、続けて、n−ブタノ
ール(200ml)を、その濃縮物に添加した。有機相を
分離して、水性相をn−ブタノール(100ml)で3回
抽出した。次に、抽出した有機相を合わせて、減圧下で
濃縮した。残渣を、ジエチルエーテル/ジイソプロピル
エーテル(1:1)を加えて粉砕し、固体をろ過して、
減圧下で乾燥し、粗生成物11.08gを得た。その固
形物(10.8g、19.2mmol)を、水溶液(20ml)
および10硫酸(20ml)中に溶解した。その反応混
合物を50℃まで加熱して、25分間保持した。その反
応混合物を室温まで冷却して、その溶液のpHをバイオ
−ラッド AG1−X8樹脂(水酸化物の形)で4.0に
調節した。次に、その樹脂をろ過して、溶液を凍結乾燥
し、標記化合物の粗生成物8.44gを得た。次に、標
記化合物の粗生成物試料(4,2g)を0.01%硫酸中
に溶解して、バイダック(Vydac)の二連C18樹脂カラム
(5×25cm)に入れた。カラムからペプチドを溶離す
るために、CH3CNの線形傾斜(2〜10%)溶離法
を使用した。分析用RP−高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)プロファイルに基づいてカラム画分を集め
た。合わせた画分を、AG1−X8(バイオ−ラッド分
析用陰イオン交換樹脂 50−100メッシュ)を水酸
化物の形で用いて、pH4.0に調節した。その結果得
られた溶液をろ過して、そのろ液を乾燥状態となるまで
凍結乾燥し、精製ペプチド2.4g(理論上では57
%)を得た[FAB−MS 415(MH+)、アミノ酸
分析:Pro 0.92,Tiq 1.00、[a]D=−76.1
2°,C=0.5/0.01 硫酸、EA:(計算値)
213267Sとして、C 49.21,H 6.29,
N 16.29,S 6.26、(実験値)C51.20,
H 6.17,N 16.88,S 5.37]。
【0042】実施例2 D−3−Piq−L−Pro−L−Arg−Hの合成 D−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカ
ルボン酸 (1) D−フェニルアラニン(50g、302mmol)を、還流
温度で、37%ホルムアルデヒド溶液(120ml)およ
び濃塩酸(380ml)と反応させた。30分間還流した
後、さらにホルムアルデヒド50mlを添加して、その反
応混合物をさらに3時間還流した。その反応混合物を−
10℃まで冷却して、沈殿をろ過除去した。固体を減圧
下で乾燥し、標記の純化合物(24.2g、45%)を
得た[FD−MS 178(MH+)]。
【0043】D−1,2,3,4,6,7,8−パーヒドロ−
3−イソキノリンカルボン酸 (2) D−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカ
ルボン酸(1)(17g、96mmol)の水(200ml)
溶液および5 塩酸20mlを、16時間120℃で、
高圧装置中、2000気圧(psi)で、5%ロジウム(Rh)
/酸化アルミニウム(8.5g)を触媒として反応させ
た。その反応混合物をセライトパッドを通してろ過し、
そのろ液を凍結乾燥し、標記の純化合物(21g、10
0%)を得た[FD−MS 184(MH+)]。 Cbz−D−1,2,3,4,6,7,8−パーヒドロ−3−
【0044】イソキノリンカルボン酸 (3) D−3−Piq−OH(2)(21.0g、95.8mmol)
を、テトラヒドロフラン(75ml)および水(50ml)
中に溶解した。その溶液のpHを5N 水酸化ナトリウ
ムで10.0に調節した。ベンジルクロロホルメート
(16.4ml、115mmol)を滴下して、2N 水酸化ナ
トリウムを用いて、そのpHを9.5に保持した。その
反応混合物を室温でさらに1時間撹拌した。有機溶媒を
減圧下で蒸発させ、その結果得られた残渣を、ジエチル
エーテル(100ml)および水(50ml)中に溶解し
た。水性相を抽出して、3N 塩酸でpH3.0に調節し
た。次に、酢酸エチル(250ml)を、その水溶液に添
加して、有機相を分離し、硫酸マグネシウムで脱水し
た。ろ液を減圧下で濃縮し、標記化合物の透明な油状物
質(25.8g、85%)を得た[FD−MS 318
(MH+)、[α]D=−5.1°、C=0.5 メタノー
ル]。
【0045】Cbz−D−1,2,3,4,6,7,8−パーヒ
ドロ−3−イソキノリンカルボキシル−L−プロリル−
t−ブチルエステル (4) Cbz−D−3−Piq(3)(17.2g、54mmol)を
ジメチルホルムアミド(50ml)中に溶解して、0℃ま
で冷却した。次に、プロリン−t−ブチルエステル
(9.2g、54mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリア
ゾール(7.3g、54mmol)およびジシクロヘキシル
カルボジイミド(11.1g、54mmol)を、その溶液
に添加した。その反応混合物を0℃で3時間撹拌し、続
けて、室温で24時間撹拌した。その反応沈殿をろ過し
て、そのろ液を、減圧下、油状物質が得られるまで濃縮
した。次に、その油状物質を、酢酸エチル(200ml)
および水(100ml)中に溶解した。有機相を分離した
後、引き続き、1N 炭酸水素ナトリウム、水、1.5N
クエン酸、そして再び水の順で洗浄した。その有機相
を硫酸マグネシウムで脱水して、油状物質となるまで蒸
発させた後、これを乾燥して、標記化合物(23.8
g、94%)を得た[FAB−MS 471(MH+)、
TLC Rf値 (A) 0.73、[α]D=−40.0°、
C=0.5 メタール]。
【0046】Cbz−D−1,2,3,4,6,7,8−パーヒ
ドロ−3−イソキノリンカルボキシル−L−プロリン
(5) Cbz−D−3−Piq−Pro−O−t−Bu(4)(31.
2g、66.3mmol)を、トリフルオロ酢酸(100m
l)、アニソール(5ml)を含有するR.B.のフラス
コに入れ、室温で1時間撹拌した。その反応混合物を加
熱することなく、減圧下で濃縮し、続けて、ジエチルエ
ーテル(150ml)および水(100ml)を添加した。
その溶液のpHを5N 水酸化ナトリウムで9.8に調節
した。水性相を分離して、3N 塩酸を用いて、pH2.
8に調節した。次に、酢酸エチル(200ml)を、その
水溶液に添加して、有機相を分離し、硫酸マグネシウム
で乾燥して、ろ液を、減圧下、透明な油状物質が得られ
るまで濃縮した。その油状物質をジエチルエーテル(3
00ml)中に溶解して、その溶液を室温で24時間放置
しておいた。その結果得られた固体をろ過し、ジエチル
エーテルで洗浄して、乾燥し、標記化合物(13.5
g、49%)を得た[FAB−MS 415(MH+)、
[α]D=−57°、C=0.5 メタール、元素分析:
(計算値)C233025として、C 66.65,H
7.29,N 6.76、(実験値)C 66.90,H
7.33,N 6.81]。
【0047】実施例3 D−3−Tiq−L−Pro−L−Arg−アルデヒドの合成 D−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカ
ルボン酸 (1) D−フェニルアラニン(50g、302mmol)を、還流
温度で、37%ホルムアルデヒド溶液(120ml)およ
び濃塩酸(380ml)と反応させた。30分間還流した
後、さらにホルムアルデヒド50mlを添加して、その反
応混合物を3時間還流した。その反応混合物を−10℃
まで冷却して、沈殿をろ過した。固体を減圧下で乾燥
し、標記の純化合物(24.2g、45%)を得た[F
D−MS 178(MH+)、元素分析:(計算値)C10
11NO2として、C 67.78,H6.26,N 7.9
0、(実験値)C 68.05,H 6.42,N 7.8
8]。
【0048】Cbz−D−1,2,3,4−テトラヒドロ−
3−イソキノリンカルボン酸 (2) D−3−Tiq−OH(1)(40.0g、225mmol)
を、テトラヒドロフラン(200ml)および水(200
ml)中に溶解した。その溶液のpHを5N 水酸化ナト
リウムで9.5に調節した。2 水酸化ナトリウムを用
いて、そのpHを9.5に保持している間に、ベンジル
クロロホルメート(35.4ml、248mmol)を滴下し
た。その反応混合物を室温でさらに1時間撹拌した。有
機溶媒を減圧下で蒸発させ、続けて、ジエチルエーテル
(200ml)および水(50ml)を添加した。水性相を
分離して、その溶液のpHを5 塩酸で2.8に調節し
た。酢酸エチル(250ml)を、その水溶液に添加し
て、有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ
液を減圧下で濃縮し、標記化合物の透明な油状物質(7
0.0g、100%)を得た[FD−MS 312(MH
+)]。
【0049】Cbz−D−1,2,3,4−テトラヒドロ−
3−イソキノリンカルボキシル−L−プロリル−t−ブ
チルエステル (3) Cbz−D−3−Tiq−OH(3)(70.0g、225m
mol)をジメチルホルムアミド(150ml)中に溶解し
て、0℃まで冷却した。プロリン−t−ブチルエステル
(38.5g、225mmol)、1−ヒドロキシベンゾト
リアゾール(30.4g、225mmol)、およびジシク
ロヘキシルカルボジイミド(46.4g、225mmol)
を、その反応混合物に添加した。その反応混合物を0℃
で3時間撹拌した後、室温でさらに24時間撹拌した。
その反応沈殿をろ過して、そのろ液を、減圧下、油状物
質が得られるまで濃縮した。その油状物質を、酢酸エチ
ル(250ml)、水(125ml)中に溶解して、有機相
を分離し、1 炭酸水素ナトリウム、水、1.5
エン酸、そして再び水で洗浄した。その有機相を硫酸マ
グネシウムで脱水して、そのろ液を油状物質が得られる
まで蒸発させ、これを乾燥して、標記化合物(93.8
g、89%)を得た[FAB−MS 464(M+)、T
LC Rf値 (A) 0.76、[α]D=−30.4°、C
=0.5 メタール]。
【0050】Cbz−D−1,2,3,4−テトラヒドロ−
3−イソキノリンカルボキシル−L−プロリン (4) Cbz−D−3−Tiq−Pro−O−t−Bu(3)(93.
6g、200mmol)を、トリフルオロ酢酸(150ml)
およびアニソール(7.5ml)を含有するR.B.のフ
ラスコに入れて、室温で1時間撹拌した。その反応混合
物を加熱することなく、減圧下で濃縮した。ジエチルエ
ーテル(150ml)および水(200ml)を添加して、
その溶液のpHを5 水酸化ナトリウムで9.8に調節
した。水性相を分離し、5 塩酸を用いて、pH2.5
に調節し、続けて、酢酸エチル(250ml)を添加し
た。有機相を分離し、硫酸マグネシウムで脱水して、ろ
液を、減圧下、透明な油状物質が得られるまで濃縮し
た。その油状物質をジエチルエーテル(300ml)中に
溶解した後、ジシクロヘキシルアミン(40ml、200
mmol)を、その溶液に添加した。その結果得られた溶液
を室温で24時間放置しておいた。固体をジエチルエー
テルで洗浄ろ過して、乾燥し、標記化合物のDCHA塩
(103.7g、88%)を得た[FAB−MS 409
(MH+)、[α]D=−24.5°、C=0.5 メター
ル]。本質的には、実施例1に記載したカップリング反
応により、最終合成を終え、D−1−Tiq−L−Pro−
L−Arg−アルデヒドを得た[FAB−MS 415
(MH+)、[α]a D=−13°、元素分析:(計算値)
213063・H2SO4・2H2Oとして、C 46.
03,H 6.62,N 15.33、(実験値)C46.
33,H 6.04,N 15.04]。
【0051】実施例4 D−3−Tiq(7−OH)Pro−Arg−H・2HClの
合成 H−D−3−Tiq(7−OH)−OHをペプタイド・イ
ンターナショナル(Peptides International)[カタロ
グ # ADX−5026−PI、ロイウスヴィラ(Loiu
sville)、KY]から入手して、これを出発物質として
用い、本質的には、実施例3の方法により標記化合物を
調製した[FAB−MS 431(MH+)、[α]a D=−
1.2°、元素分析:(計算値)C213064・2H
Cl・H2Oとして、C 48.37,H 6.52,N 1
6.12、(実験値)C 48.28,H 6.14,N 1
5.53]。
【0052】実施例5 生体内試験 ビーグル犬(成犬、雌、体重約9〜14kg)をペントバ
ルビタールナトリウム(30mg/kg、i.v.)で麻酔し
た。気管に押管して、その犬に、ハーバード(Harvard)
の人口呼吸器(通気割合 16サイクル/分、一回呼吸
量 25ml/kg)から送り出される室内の空気を通気し
た。加熱パッドで、体温を37〜38℃に維持した。各
局面の動脈血圧を測定する[スタットハム(Statham)ト
ランスデューサ、P23ID]ために、また薬物溶液の
i.v.点滴のために、カテーテルをそれぞれ左大腿動脈と
左大腿静脈に挿入した。平均動脈血圧は、拡張期の血圧
に1/3の脈圧を加えたものとして計算した。収縮期の
脈圧により誘起されるカルジオタコメーターにより、心
拍数を監視する一方で、心筋の酸素要求の指数として、
圧力比結果(積)を監視した。[ゴーベル(Gobel)らの
“運動中の狭心症患者における、心筋の酸素消費量指数
としての圧力結果(積)比(The rate pressure product
as an index of myocardial oxygen consumption durin
g exercise in patients with angina pectoris)”、サ
ーキュレーション(Circulation) 57、549〜55
6頁 (1978年)を参照]。ST部分の変化を読み
とって、不整脈の発生率や持続時間を評価するリード
(Lead) II 心電図を記録するために、皮下電極を使用
した。測定されたパラメーターはすぐに、多記録帯オシ
ログラフ[ベックマン・インストルメンツ(Beckman I
nstruments)株式会社、フルエルトン(Fullerton) C
A、R611型]上へ連続的に記録した。左開胸術を第
五助手間隙で行い、心臓を心膜離被架に懸垂して、心房
の分枝部から遠い位置に、また幾つかの主要な心室の分
枝部から近い位置に、左回旋冠状動脈(LCX)を隔離し
た。キャロリーナ(Carolina)流量計[FM501型]
と接続した、目盛付き流量測定器[キャロリーナ・メデ
ィカル・エレクトロニクス(Carolina Medical Elect
ronics)、6mm I.C.]を用いて、回旋冠状動脈血流の
基線(ベースライン)量を測定した。まず最初に、左回
旋冠状動脈と挿入した18−19ゲージ針の周りを結紮
糸で縛ることにより、各々の犬に危険な冠状動脈狭窄症
を起こさせ、その針の太さの穴を通して血液が流れるよ
うに、針を取り除いた。血流の基線量を変えることな
く、10秒間の左回旋冠状動脈の完全閉塞による70%
の血流量の増加ピークによって、危険な狭窄症が減退す
るよう調節した。こういった方法で、危険な狭窄症を利
用した場合、再潅流性充血、またこれによって起こる不
整脈及び心室細動の可能性を抑制することが報告されて
いる[シーハン(Sheehan),F.とエプスタイン(Epste
in),S.の“冠状動脈痙攣による不整脈死の傾向:再
潅流性不整脈の発生率に対する先天性冠状動脈狭窄症の
効果(Determinants of arrhythmic death due to coro
nary artery spasm:Effect of preexisting coronary
artery stenosis on the incidence of reperfusion a
rrhythmia)”、サーキュレーション・リサーチ(Circ.
Res.),65、259〜264頁、1982年]。危険
な狭窄症が起きた時点で、冠状動脈流量測定器を取り外
した。
【0053】危険な狭窄症が起って平衡期が過ぎた後
に、基線量のパラメータを記録し、スネアを用いて、左
回旋冠状動脈を完全に閉塞する。左回旋冠状動脈を閉鎖
した状態を合計1時間維持し、スネアを取り除いた後、
続けて、再潅流を5時間行った。再潅流の最初の30分
間はずっと、危険な狭窄症の状態にあった。左回旋冠状
動脈を閉鎖している間はずっと、定期的にST部分の偏
差を測定し、その一方で、1=小、2=中、3=大とい
うようにして準定量的等級段階を用いて、不整脈の強度
および持続時間を1時間ごとに読み取った。前処置また
は再潅流の薬物治療プロトコルを利用して、実験を行っ
た。前処置プロトコルにおいては、食塩溶液または薬物
溶液のi.v.点滴を左回旋冠状動脈を閉鎖する15分前に
開始して、再潅流時間(5時間)が終わるまで続けた。
再潅流プロトコルにおいては、左回旋冠状動脈の1時間
閉鎖後、連続5時間にわたる食塩溶液または薬物溶液の
i.v.点滴を再潅流時から開始した。
【0054】再潅流した後、シー(Shea)のトリフェニ
ルテトラゾリウム/エバンスブルーの二成分系染料着色
法を利用して梗塞の程度を測定するために、直ちに心臓
を切除した[シーらの“実験的冠状動脈血栓症に対する
ナファザトロム(ベイ g 6575)の有益な効果(The
beneficial effects of nafazatrom(Bay g 657
5)on experimental coronary thrombosis)”、アメリ
カン・ハート・ジャーナル (Am. Heart J.)107、
629〜637頁、およびシーらの“虚血性再潅流を受
けた心筋層に対するナファザトロムの有益な効果(Bene
ficial effectsof nafazatrom on ischemic reperfused
myocardium)”、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・フ
ァーマコロジー(European Journal of Pharmacolog
y) 102、63〜70頁、1984年、ハーン(Hahn)
により修正されたものとしては、ハーンらの“ロイコト
リエンB4受容体の拮抗作用は、犬の心筋梗塞のサイズ
を抑制しない(Antagonism of leukotriene B4 recept
ors does not limit canine myocardial infarct siz
e)”、ジャーナル・オブ・ファーマコロジー・アンド・
イクスペリメンタル・セラピューティクス (J. Pharm
acol. Exp. Ther.)253、58〜66頁、1990
年]。カニューレを、冠状動脈口上の大動脈の中へ、ま
た閉塞前の左回旋冠状動脈の中へ挿入した。左回旋冠状
動脈床を、トリフェニルテトラゾリウムの1.5%リン
酸カリウム緩衝溶液(20ml)(pH7.4、38℃)
で潅流し、その一方で同時に、心臓の残部を、大動脈を
通して、0.1%エバンスブルー食塩水で潅流した。潅
流圧を100mm Hgで一定に保持して、心筋の潅流時間
を約5分とした。次に、尖を基準とする軸に対して垂直
に、心臓を6片(厚さ 約1cm)に切断した。回旋冠状
動脈以外の冠状動脈によって潅流を受けた心筋層は青色
に着色し、回旋動脈が分布している範囲内で生存してい
る左心室(危険な状態にある瘤)はレンガ色の赤に着色
したが、危険な状態にある瘤内でも、梗塞を起こしてい
る左心室は着色しなかった。各々の横の切断部は、右心
室筋および弁、並びに脂肪組織を取り除き、乾燥させた
後、各々の領域の範囲の表面積を測定するために、透明
なプラスチック製のオーバーレイ紙上に透写した。また
重量を測定するために、各々の心筋領域を切り裂いて、
重さを測った。画分の梗塞の範囲、また累積した梗塞の
範囲を、危険な状態にさらされている左心室瘤のパーセ
ンテージで示した。
【0055】
【表1】
【0056】表1のデーターは、臨床的に適切なプロト
コルに基づいて投与した場合、試験した実験用化合物は
それぞれ、冠状動脈閉塞および再潅流の結果として起こ
る心筋梗塞の範囲を抑制し得ることを示した。冠状動脈
閉塞および再潅流は、機械的な手法により起こしたの
で、梗塞を抑制する効果は、梗塞に関係する動脈内の大
きな閉塞性血栓を防止することによるものではなかっ
た。これら各々の化合物による心室組織の治療では、心
臓血管の、心電図上の、および出血的不利益は、ほとん
ど、あるいは全く起こらなかった。
【0057】式1の化合物が虚血性傷害を限局化した正
確な機構はわからない。この生物学的活性は、化合物が
プロテアーゼを阻害するという特性と関連があると考え
られる。少なくともプラスミン、トリプシン、およびカ
リクレインに拮抗することが知られているセリンプロテ
アーゼ阻害剤のアプロチニンは、冠状動脈閉塞により起
こると考えられる心筋の虚血性傷害を抑制することがわ
かっている[ディアズ(Diaz)らの“犬において、冠状
動脈閉塞後に起こる、犬の心筋虚血性傷害に対するカリ
クレイン阻害剤アプロチニンの効果(Effect of Kalli
krein Inhibitor Aprotinin on Myocardial Ischem
ic Injury Following Coronary Artery Occlusion
in the Dog)”、アメリカン・ジャーナル・オブ・カ
ーディオロジー (Am. J. Cardiol.)40、541〜
549頁、1977年]。我々はまた、アプロチニン
が、冠状動脈閉塞および再潅流を受けて起こす心筋梗塞
の範囲を縮小するのに有意であることを実証した。すな
わち、壊死する危険のある状態での左心室瘤の梗塞の範
囲は、対照実験の犬においては37.9 ± 5.4%であ
り、またアプロチニンを点滴した犬においては24.8
± 2.4%(P<0.05)であった。アプロチニンに
よる機構と式1の化合物による機構が、類似しているの
か、あるいは同じなのかは、判明していない。
【0058】上記研究はまた、発展性心筋梗塞の背景に
おいての白血球(好中球)の性質の評価をも包含してい
た。試験した式1の化合物は、虚血性傷害に対応した前
身の白血球の増加、または虚血性の心筋および梗塞を起
こしている心筋内での白血球の蓄積を有意に変化させな
かった。
【発明の効果】
【0059】まとめると、式1の化合物の代表的試料は
すべて、虚血および再潅流によってもたらされる組織傷
害を最小限に留め、また抑制することができるというこ
とが実証された。こういった治療上重要な特性は、すべ
ての試験化合物が、冠状動脈閉塞および再潅流の結果と
して起こる心筋梗塞を抑制することを示すことにより立
証された。そういうところから、式1の化合物は、組織
に対する傷害を最小限に留め、また抑制するための新規
方法において有用である。最も重要なことは、式1の化
合物は人間の心筋梗塞の治療において特に有用であると
いうことである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ブライアン・ロバート・マクドナルド アメリカ合衆国46126インディアナ州フェ アランド、ノース700ウエスト7801番 (72)発明者 ロバート・セオドア・シュマン アメリカ合衆国46143インディアナ州グリ ーンウッド、ウィロー・ストリート2596番 (72)発明者 ジェラルド・フロイド・スミス アメリカ合衆国46217インディアナ州イン ディアナポリス、クイーンズウッド・コー ト825番

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 再潅流性傷害、とりわけ心筋梗塞を治療
    するための製剤であって、活性成分として、一般式 A−Pro−Arg−H [式中、Aは 【化1】 であって、Aのキラル中心はDL、好ましくはDであ
    り、Proのキラル中心はL、Argのキラル中心はLであ
    り、 ZはC1〜C4のアルキル、またはH、 XはNH2、NHZ、t−ブチルオキシカルボニル−N
    H、アセチル−NH、 またはトリフルオロアセチル−NH、 RはH、OH、ハロゲン、C1〜C4のアルコキシ、CF
    3、 C1〜C4のアルキル、NO2、またはNH2、およびqは
    CH2、またはCOである]の化合物を含有する製剤。
  2. 【請求項2】 化合物を、D−3−Piq−L−プロリル
    −L−アルギナール、D−7−ヒドロキシ−1,2,3,
    4−Tiq−3−カルボニルオキシ−L−プロリル−L−
    アルギナール、D−3−Tiq−L−プロリル−L−アル
    ギナール、D−1,2,3,4−Tiq−1−カルボニル−
    L−プロリル−L−アルギナール、N−メチル−D−フ
    ェニルアラニル−L−プロリル−L−アルギナールおよ
    びNa−t−ブチルオキシカルボニル−D−フェニルアラ
    ニル−L−プロリル−L−アルギナールより成る群から
    選択する請求項1に記載の製剤。
  3. 【請求項3】 化合物が、オキシダントスカベンジャ
    ー、β−ブロッカーより成る群から選択する添加剤との
    組み合わせで構成される請求項1または2に記載の製
    剤。
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