JPH06190280A - 窒素酸化物除去材及び窒素酸化物除去方法 - Google Patents

窒素酸化物除去材及び窒素酸化物除去方法

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JPH06190280A
JPH06190280A JP5253742A JP25374293A JPH06190280A JP H06190280 A JPH06190280 A JP H06190280A JP 5253742 A JP5253742 A JP 5253742A JP 25374293 A JP25374293 A JP 25374293A JP H06190280 A JPH06190280 A JP H06190280A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 窒素酸化物や、一酸化炭素、水素、炭化水素
等の未燃焼分に対する理論反応量以上の酸素を含有する
燃焼排ガスから、効率良く窒素酸化物を除去することが
できる窒素酸化物除去材及び窒素酸化物除去方法を提供
する。 【構成】 セラッミクス製又は金属製の除去材基体の排
ガス流入側に第一の触媒層が形成され、前記基体の排ガ
ス流出側に第二の触媒層が形成されており、前記第一の
触媒層が多孔質の無機酸化物に活性種である銀又は銀酸
化物0.2〜15重量%(元素換算値)を担持してな
り、前記第二の触媒層が多孔質の無機酸化物に活性種で
あるCu0.1〜15重量%(元素換算値)、又は(a) Cu
0.1〜15重量%(元素換算値)と、(b) アルカリ金
属元素と希土類元素からなる群より選ばれた少なくとも
1種の元素4重量%以下とを担持してなる窒素酸化物除
去材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒素酸化物と過剰の酸素
を含む燃焼排ガスから、窒素酸化物を効果的に除去する
ことのできる窒素酸化物除去材及びそれを用いた除去方
法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】自動車
用エンジン等の内燃機関や、工場等に設置された燃焼機
器、家庭用ファンヒーターなどから排出される各種の燃
焼排ガス中には、過剰の酸素とともに一酸化窒素、二酸
化窒素等の窒素酸化物が含まれている。ここで、「過剰
の酸素を含む」とは、その排ガス中に含まれる一酸化炭
素、水素、炭化水素等の未燃焼成分を燃焼するのに必要
な理論酸素量より多い酸素を含むことを意味する。ま
た、以下における窒素酸化物とは一酸化窒素及び/又は
二酸化窒素を指す。
【0003】この窒素酸化物は酸性雨の原因の一つとさ
れ、環境上の大きな問題となっている。そのため、各種
燃焼機器が排出する排ガス中の窒素酸化物を除去するさ
まざまな方法が検討されている。
【0004】過剰の酸素を含む燃焼排ガスから窒素酸化
物を除去する方法として、特に大規模な固定燃焼装置
(工場等の大型燃焼機等)に対しては、アンモニアを用
いる選択的接触還元法が実用化されている。
【0005】しかしながら、この方法においては、窒素
酸化物の還元剤として用いるアンモニアが高価であるこ
と、またアンモニアは毒性を有すること、そのために未
反応のアンモニアが排出しないように排ガス中の窒素酸
化物濃度を計測しながらアンモニア注入量を制御しなけ
ればならないこと、一般に装置が大型となること等の問
題点がある。
【0006】また、別な方法として、水素、一酸化炭
素、炭化水素等のガスを還元剤として用い、窒素酸化物
を還元する非選択的接触還元法があるが、この方法で
は、効果的な窒素酸化物の低減除去を実行するためには
排ガス中の酸素との理論反応量以上の還元剤を添加しな
ければならず、還元剤を多量に消費する欠点がある。こ
のため非選択的接触還元法は、実際上は、理論空燃比付
近で燃焼した残存酸素濃度の低い排ガスに対してのみ有
効となり、汎用性に乏しく実際的でない。
【0007】そこで、ゼオライト又はそれに遷移金属を
担持した触媒を用いて、排ガス中の酸素との理論反応量
以下の還元剤を添加して窒素酸化物を除去する方法が提
案された(たとえば、特開昭63-100919 号、同63-28372
7 号、特開平1-130735号、及び日本化学会第59春季年会
(1990年)2A526、同第60秋季年会 (1990年)3L420、3L42
2 、3L423 、「触媒」vol.33 No.2 、59ページ、1991年
等) 。
【0008】しかしながら、これらの方法では、窒素酸
化物の除去温度領域が狭く、また、水分を含むような排
ガスでは、窒素酸化物の除去率が著しく低下することが
わかった。
【0009】したがって、本発明の目的は、固定燃焼装
置および酸素過剰条件で燃焼するガソリンエンジン、デ
ィーゼルエンジン等からの燃焼排ガスのように、窒素酸
化物や、一酸化炭素、水素、炭化水素等の未燃焼分に対
する理論反応量以上の酸素を含有する燃焼排ガスから、
効率良く窒素酸化物を除去することができる窒素酸化物
除去材及び窒素酸化物除去方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、多孔質の無機酸化物に特定量の銀
成分を担持してなる第一の触媒層と、Cu等の成分を担持
してなる第二の触媒層とを分離して形成される窒素酸化
物除去材を用い、排ガス中に炭化水素又は含酸素有機化
合物を添加して特定の温度で上記の触媒に排ガスを接触
させれば、10%の水分を含む排ガスでも、広い温度領
域で窒素酸化物を効果的に除去することができることを
発見し、本発明を完成した。
【0011】すなわち、窒素酸化物と、共存する未燃焼
成分に対する理論反応量より多い酸素とを含む燃焼排ガ
スから窒素酸化物を除去する窒素酸化物除去材は、セラ
ミックス製又は金属製の除去材基体の排ガス流入側に第
一の触媒層が形成され、前記基体の排ガス流出側に第二
の触媒層が形成されており、前記第一の触媒層が多孔質
の無機酸化物に活性種である銀又は銀酸化物0.2〜1
5重量%(元素換算値)を担持してなり、前記第二の触
媒層が多孔質の無機酸化物に活性種であるCu0.1〜1
5重量%(元素換算値)、又は(a) Cu0.1〜15重量
%(元素換算値)と、(b) アルカリ金属元素と希土類元
素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素4重量
%以下とを担持してなることを特徴とする。
【0012】また、窒素酸化物と、共存する未燃焼成分
に対する理論反応量より多い酸素とを含む燃焼排ガスか
ら窒素酸化物を除去する窒素酸化物除去方法は、前記窒
素酸化物除去材を排ガス導管の途中に設置し、前記除去
材の上流側で炭化水素又は含酸素有機化合物を添加した
排ガスを、200〜600℃において前記除去材に接触
させ、もって前記排ガス中の炭化水素又は含酸素有機化
合物との反応により前記窒素酸化物を除去することを特
徴とする。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
は、以下に示す二つの触媒層を窒素酸化物除去材基体の
排ガス流入側、流出側にそれぞれ形成してなる窒素酸化
物除去材を排ガス導管中に設置し、除去材の設置位置よ
り上流側で排ガス中に炭化水素又は含酸素有機化合物を
添加して排ガスをこの除去材に接触させ、炭化水素、含
酸素有機化合物を還元剤として排ガス中の窒素酸化物を
還元除去する。
【0014】まず、本発明の窒素酸化物除去材の基体に
ついて説明する。本発明の窒素酸化物除去材の基体を形
成するセラミックス材料としては、γ−アルミナ及びそ
の酸化物(γ−アルミナ−チタニア、γ−アルミナ−シ
リカ、γ−アルミナ−ジルコニア等)、ジルコニア、チ
タニア−ジルコニアなどの多孔質で表面積の大きい耐熱
性のものが挙げられる。高耐熱性が要求される場合、コ
ージェライト、ムライト、アルミナ及びその複合物等を
用いるのが好ましい。また、窒素酸化物除去材の基体に
公知の金属材料を用いることもできる。
【0015】窒素酸化物除去材基体の形状及び大きさ
は、目的に応じて種々変更できる。実用的には、入口部
分と出口部分とからなる二つ又は二つ以上の部分からな
ることが好ましい。またその内部構造としては、ハニカ
ム構造型、フォーム型、繊維状耐火物からなる三次元網
目構造型等とすることができる。基体の外形を板状、粉
末状、ペレット状とすることができる。
【0016】本発明の除去材には以下の二つの触媒層が
形成されている。 (1)第一の触媒層 第一の触媒層は、多孔質無機酸化物に銀成分を担持して
なり、排ガスの流入側に面する基体に形成される。多孔
質の無機酸化物としては、多孔質のアルミナ、チタニ
ア、ジルコニア、及びそれらの複合酸化物等を使用する
ことができるが、好ましくはγ−アルミナ又はアルミナ
系複合酸化物を用いる。γ−アルミナ又はアルミナ系複
合酸化物を用いることにより、添加した炭化水素、含酸
素有機化合物及び/又は排ガス中の残留炭化水素と排ガ
ス中の窒素酸化物との反応が効率良く起こる。
【0017】多孔質の無機酸化物の比表面積は30m2
/g以上であるのが好ましい。比表面積が30m2 /g
未満であると、排ガスと無機酸化物(及びこれに担持し
た銀成分)との接触面積が小さくなり、良好な窒素酸化
物の除去が行えない。
【0018】なお、除去材基体の表面に触媒層を形成す
る方法は公知のウォシュコート法、ゾルーゲル法等によ
って行われる。
【0019】除去材基体の表面上に設ける第一触媒層の
量は、除去材基体の10〜70重量%とするのが好まし
い。触媒層の量が10重量%未満では良好なNOx の浄化
が行えない。一方、触媒層の量が70重量%を超えると
除去特性はそれほど上がらず、圧力損失が大きくなる。
より好ましくは、除去材基体の表面上に設ける第一の触
媒層を除去材基体の20〜70重量%とする。
【0020】上記したγ−アルミナ等の無機酸化物に活
性種として担持する銀成分の担持量は、無機酸化物10
0重量%に対して0.2〜15重量%(元素換算値)と
する。0.2重量%未満では窒素酸化物の除去率が低下
する。また、15重量%を超す量の銀を担持すると炭化
水素自身の燃焼が起きやすく、窒素酸化物の除去率はか
えって低下する。好ましい銀成分の担持量は0.5〜1
0重量%である。なお、銀成分は、排ガスの温度領域で
は金属又は酸化物の状態にあり、相互に容易に変換し得
る。
【0021】γ−アルミナ等の無機酸化物に銀成分を担
持する方法としては、公知の含浸法、沈殿法、ゾルーゲ
ル法等を用いることができる。含浸法を用いる際、硝酸
銀水溶液等の銀成分を有する溶液に多孔質無機酸化物を
浸漬し、70℃程度で乾燥後、100〜600℃で段階
的に昇温して焼成するのが好ましい。また、最後に50
0℃で酸化処理するのが好ましい。
【0022】なお、この第一の触媒層は、使用前にSO2
処理を施しておくのが好ましい。具体的には、第一の触
媒層1g当たり、0.02〜1mmolのSO2 を接触させる
のが好ましい。このようなSO2 処理を行うと、特に低温
側(250〜400℃程度)での窒素酸化物の浄化特性
がさらに向上する。
【0023】(2)第二の触媒層 第二の触媒層は、多孔質無機酸化物に触媒活性種を担持
してなり、排ガスの流出側に面する除去材基体に形成さ
れる。多孔質無機酸化物としては、γ−アルミナ及びそ
の酸化物(γ−アルミナ−チタニア、γ−アルミナ−シ
リカ、γ−アルミナ−ジルコニア等)、ジルコニア、チ
タニア−ジルコニアなどの多孔質で表面積の大きい耐熱
性のセラミックスが挙げられる。好ましくはγ−アルミ
ナ、チタニア、ジルコニア及びそれらを含む複合酸化物
を用いる。
【0024】第一の触媒層と同様に、多孔質の無機酸化
物の比表面積は30m2 /g以上であることが好まし
い。除去材基体に第二の触媒層を第一の触媒層と同様な
方法で形成する。
【0025】上記の第二触媒層の活性種としては、Cu単
独、あるいは(a)Cuと、(b)アルカリ金属元素と希
土類元素とからなる群より選ばれた少なくとも1種の元
素とを混合して用いる。アルカリ金属元素としては、特
にセシウム、ナトリウム及びカリウムを用いるのが好ま
しい。また、希土類元素としては、ランタン、セリウ
ム、ネオジウムを用いるのが好ましいが、希土類の混合
物であるミッシュメタルを用いることもできる。
【0026】多孔質無機酸化物を100重量%として、
Cuの担持量は0.1〜15重量%(金属元素換算値)で
ある。担持量が0.1重量%未満又は15重量%を越え
ると、窒素酸化物の除去率が低下する。Cuの好ましい担
持量は0.5〜12重量%とする。
【0027】アルカリ金属元素と希土類元素からなる群
から選ばれた少なくとも一種の元素(b)については、
合計担持量は4重量%以下とし、好ましくは0.5〜3
重量%とする。また、アルカリ金属元素と希土類元素と
を併用する場合、アルカリ金属元素の担持量を2重量%
以下とし、希土類元素の担持量を2重量%以下とするの
が好まし。いずれの元素も2重量%を越えると、窒素酸
化物の除去率が低下する。好ましいアルカリ金属の担持
量は0.1〜1.5重量%である。また好ましい希土類
元素の担持量は0.1〜1.5重量%である。なお、元
素(b)は通常酸化物の状態で存在するので、その担持
量は元素換算値で表す。
【0028】第二の触媒層で無機酸化物に担持する活性
種の合計((a)+(b))は、上述の多孔質の無機酸
化物を基準(100重量%) として0.1〜19重量%と
し、好ましくは0.5〜15重量%とする。触媒活性種
の量が前記基体に対して0.1重量%未満では触媒を担
持した効果が顕著ではなく、NOx 低減特性は低下する。
一方、19重量%を超す触媒担持量とすると炭化水素の
酸化燃焼のみ進み、窒素酸化物の低減特性は低下するこ
とになる。
【0029】第二の触媒層における活性種の担持は、公
知の含浸法、沈殿法、ゾルーゲル法等を用いることがで
きる。含浸法を用いる際、触媒活性種元素の炭酸塩、硝
酸塩、酢酸塩、水酸化物等の水溶液に多孔質無機酸化物
を浸漬し、乾燥後、700℃で焼成することによって行
われる。なお、担持成分は金属元素として表示している
が、通常の除去材の使用温度条件では担持成分は酸化物
の状態で存在する。
【0030】本発明においては、第一の触媒層と、第二
の触媒層との重量比は、5:1〜1:5とするのが好ま
しい。比率が1:5未満である(第一の触媒が少ない)
と、250〜600℃の広い温度範囲で全体的に窒素酸
化物の浄化率が低下する。一方、比率が5:1を超える
(第一の触媒が多い)と、400℃以下における窒素酸
化物の浄化能が大きくならない。すなわち、比較的低温
での還元剤と窒素酸化物との反応が十分に進行しない。
より好ましい第一触媒層と第二触媒層の重量比は4:1
〜1:4である。
【0031】上述した構成の除去材を用いれば、200
〜600℃の広い温度領域において、水分を10%程度
含む排ガスでも、良好な窒素酸化物の除去を行うことが
できる。
【0032】次に、本発明の方法について説明する。ま
ず、窒素酸化物除去材を、第一の触媒層が排ガスの入口
に面するように、排ガス導管の途中に設置する。
【0033】排ガス中には、残留炭化水素としてエチレ
ン、プロピレン等がある程度は含まれるが、一般に排ガ
ス中のNOx を還元するのに十分な量ではないので、外部
から炭化水素又は含酸素有機化合物からなる還元剤を排
ガス中に導入する。還元剤の導入位置は、除去材を設置
した位置より上流側である。
【0034】外部から導入する炭化水素としては、標準
状態でガス状又は液体状のアルカン、アルケン及び/又
はアルキンを用いることができる。特に炭素数3以上の
アルカン又はアルケンが好ましい。標準状態で液体状の
炭化水素としては、具体的に、軽油、セタン、ヘプタ
ン、灯油等が挙げられる。含酸素有機化合物として、エ
タノール等のアルコール類を用いることができる。
【0035】外部から導入する炭化水素又は含酸素有機
化合物の量は、重量比(添加する還元剤の重量/排ガス
中の窒素酸化物の重量)が0.2〜5となるようにする
のが好ましい。この重量比が0.2未満であると、窒素
酸化物の除去率が大きくならない。一方、5を超える
と、燃費悪化につながる。
【0036】また、本発明では、炭化水素又は含酸素有
機化合物と窒素酸化物とが反応する部位である除去材設
置部位における排ガスの温度を200〜600℃に保
つ。排ガスの温度が200℃未満であると還元剤と窒素
酸化物との反応が進行せず、良好な窒素酸化物の除去を
行うことができない。一方、600℃を超す温度とする
と炭化水素又は含酸素有機化合物自身の燃焼が始まり、
窒素酸化物の還元除去が行えない。好ましい排ガス温度
は、300〜600℃である。
【0037】
【実施例】本発明を以下の具体的実施例によりさらに詳
細に説明する。実施例1 市販のコージェライト製ハニカム状成形体(直径20mm、
長さ約8.4 mm)に、硝酸銀水溶液を用いて粉末状γ−ア
ルミナ(比表面積200m2 /g)に銀が5重量%担持
されている触媒を約0.5gコートし、乾燥後、600
℃まで焼成し、除去材を調製した。また、同様のハムニ
カ状成形体に硝酸銅、硝酸ランタン、硝酸セシウム水溶
液を用いて、粉末状γ−アルミナに銅が10重量%、ラ
ンタン0.4重量%、セシウム0.4重量%担持されて
いる触媒を0.5gをコートし、乾燥後、600℃まで
焼成し、除去材を調製した。
【0038】除去材を、排ガスの流入側に銀系触媒層、
流出側に銅系触媒層になるようにハムニカ状成形体を組
み合わせて、反応管内にセットした。次に、表1に示す
組成のガス(一酸化窒素、酸素、プロピレン、及び窒
素)を毎分2.4リットル(標準状態)の流量で流して
(見かけ空間速度28,000h-1、接触時間0.02
5秒・g/ml)、反応管内の排ガス温度を200〜60
0℃の範囲に保ち、プロピレンと窒素酸化物とを反応さ
せた。
【0039】反応管通過後のガスの窒素酸化物の濃度を
化学発光式窒素酸化物分析計により測定し、窒素酸化物
の除去率を求めた。結果を図1に示す。
【0040】 表1 成分 濃度 一酸化窒素 800 ppm 酸素 10 容量% プロピレン 1714 ppm 窒素 残部 水分 上記成分からなるガス量に対して10容量%
【0041】比較例1 市販のコージェライト製ハニカム状成形体(直径20mm、
長さ約16.8mm)に、実施例1で用いた第一の触媒層(多
孔質のγ−アルミナ( 比表面積200m2 /g)に銀
成分を担持したもの)1gを成形体にコートし、これを
実施例1と同様にして反応管に入れ、実施例1と同様に
して窒素酸化物の除去率を求めた。試験結果を図1に示
す。
【0042】比較例2 市販のコージェライト製ハニカム状成形体(直径20mm、
長さ約16.8mm)に、実施例1で用いた第二の触媒層(多
孔質のγ−アルミナ(比表面積200m2 /g)にCu、
La、Csを担持したもの)1gを成形体にコートし、これ
を実施例1と同様にして反応管に入れ、実施例1と同様
にして窒素酸化物の除去率を求めた。試験結果を図1に
示す。
【0043】以上からわかるように、実施例1において
は、広い排ガス温度で窒素酸化物の良好な除去がみられ
た。一方、比較例1においては、400℃以下の排ガス
温度で窒素酸化物の除去率が著しく低下し、比較例2に
おける窒素酸化物の除去率が全温度領域にわたって著し
く低下した。
【0044】実施例2 市販のコージェライト製ハニカム状成形体(直径20mm、
長さ約5.67mm)に実施例1と同様の銀系触媒を調整して
約0.2gコートし、また実施例1と同様に乾燥、焼成
を行い、除去材を調製した。また、同様のハムニカ状成
形体(直径20mm、長さ約11.2mm)に実施例1の銅系触媒
を0.35gをコートし、同様の乾燥、焼成を行い、除
去材を調製した。
【0045】除去材を実施例1と同じように、排ガスの
流入側に銀系触媒層、流出側に銅系触媒層になるように
ハムニカ状成形体を組み合わせて、反応管内にセットし
た。次に、表2に示す組成のガス(一酸化窒素、酸素、
軽油、及び窒素)を毎分2.6リットル(標準状態)の
流量で流して(見かけ空間速度30,000h-1)、反
応管内の排ガス温度を200〜600℃の範囲に保ち、
軽油と窒素酸化物とを反応させた。
【0046】反応管通過後のガスの窒素酸化物の濃度を
化学発光式窒素酸化物分析計により測定し、窒素酸化物
の除去率を求めた。結果を図2に示す。
【0047】 表2 成分 濃度 一酸化窒素 800 ppm 酸素 10 容量% 軽油 一酸化窒素の3倍の質量 窒素 残部 水分 上記成分からなるガス量に対して10容量%
【0048】比較例3 市販のコージェライト製ハニカム状成形体(直径20mm、
長さ約5.67mm)に、実施例2で用いた第一の触媒層(多
孔質のγ−アルミナ(比表面積200m2 /g)に銀成
分を担持したもの)を成形体にコートし、これを反応管
に入れ、実施例2と同様な排ガス条件のもので窒素酸化
物の除去率を求めた(見かけ空間速度90,000
-1)。試験結果を図2に示す。
【0049】比較例4 市販のコージェライト製ハニカム状成形体(直径20mm、
長さ約11.2mm)に、実施例2で用いた第二の触媒層(多
孔質のγ−アルミナ(比表面積200m2 /g)にCu、
La、Csを担持したもの)を成形体にコートし、これを反
応管に入れ、実施例2と同様な排ガス条件のもので窒素
酸化物の除去率を求めた(見かけ空間速度45,000
-1)。試験結果を図2に示す。
【0050】以上からわかるように、比較例3の銀系触
媒単独においては、排ガス温度550℃近傍で最高約1
0%の窒素酸化物除去率しかなく、また比較例2の銅系
触媒単独においては、排ガス温度400℃近傍で最高約
10%の窒素酸化物除去率しか得られない。一般に、銅
系触媒だけでは、高温側での窒素酸化物低減特性は低い
が、本発明の実施例2のように、銅系触媒の前に銀系触
媒が存在すると、軽油など炭素数の大きい炭化水素が銀
系触媒で改質され、銅系触媒上で選択的に窒素酸化物と
反応し、高温側でも高い窒素酸化物除去率をもたらす。
図2からわかるように実施例2の除去材では広い排ガス
温度領域で窒素酸化物の良好な除去がみられた。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の窒素酸化
物除去材を用いれば、広い温度領域において過剰の酸素
を含む排ガス中の窒素酸化物を効率良く除去することが
できる。本発明の窒素酸化物除去材及び除去方法は、各
種燃焼機、自動車等の排ガスに含まれる窒素酸化物の除
去に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、及び比較例1、2における排ガス温
度と窒素酸化物の除去率との関係を示すグラフである。
【図2】実施例2、及び比較例3、4における排ガス温
度と窒素酸化物の除去率との関係を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素酸化物と、共存する未燃焼成分に対
    する理論反応量より多い酸素とを含む燃焼排ガスから窒
    素酸化物を除去する窒素酸化物除去材であって、セラミ
    ックス製又は金属製の除去材基体の排ガス流入側に第一
    の触媒層が形成され、前記基体の排ガス流出側に第二の
    触媒層が形成されており、前記第一の触媒層が多孔質の
    無機酸化物に活性種である銀又は銀酸化物0.2〜15
    重量%(元素換算値)を担持してなり、前記第二の触媒
    層が多孔質の無機酸化物に活性種であるCu0.1〜15
    重量%(元素換算値)、又は(a) Cu0.1〜15重量%
    (元素換算値)と、(b) アルカリ金属元素と希土類元素
    からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素4重量%
    以下とを担持してなることを特徴とする窒素酸化物除去
    材。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の窒素酸化物除去材にお
    いて、前記多孔質無機酸化物が、アルミナ又はアルミナ
    系複合酸化物であることを特徴とする窒素酸化物除去
    材。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の窒素酸化物除去
    材を用い、窒素酸化物と、共存する未燃焼成分に対する
    理論反応量より多い酸素とを含む燃焼排ガスから窒素酸
    化物を除去する窒素酸化物除去方法において、前記窒素
    酸化物除去材を排ガス導管の途中に設置し、前記除去材
    の上流側で炭化水素又は含酸素有機化合物を添加した排
    ガスを、200〜600℃において前記除去材に接触さ
    せ、もって前記排ガス中の炭化水素又は含酸素有機化合
    物との反応により前記窒素酸化物を除去することを特徴
    とする窒素酸化物除去方法。
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