JP3516471B2 - 排ガス浄化材及び排ガス浄化方法 - Google Patents

排ガス浄化材及び排ガス浄化方法

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JP3516471B2
JP3516471B2 JP32325693A JP32325693A JP3516471B2 JP 3516471 B2 JP3516471 B2 JP 3516471B2 JP 32325693 A JP32325693 A JP 32325693A JP 32325693 A JP32325693 A JP 32325693A JP 3516471 B2 JP3516471 B2 JP 3516471B2
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株式会社コキャット
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒素酸化物と過剰の酸素
を含む燃焼排ガスから、窒素酸化物を効果的に除去する
ことのできる排ガス浄化材及びそれを用いた浄化方法に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】自動車
用エンジン等の内燃機関や、工場等に設置された燃焼機
器、家庭用ファンヒーターなどから排出される各種の燃
焼排ガス中には、過剰の酸素とともに一酸化窒素、二酸
化窒素等の窒素酸化物が含まれている。ここで、「過剰
の酸素を含む」とは、その排ガス中に含まれる一酸化炭
素、水素、炭化水素等の未燃焼成分を燃焼するのに必要
な理論酸素量より多い酸素を含むことを意味する。ま
た、以下における窒素酸化物とは一酸化窒素及び/又は
二酸化窒素を指す。
【0003】この窒素酸化物は酸性雨の原因の一つとさ
れ、環境上の大きな問題となっている。そのため、各種
燃焼機器が排出する排ガス中の窒素酸化物を除去するさ
まざまな方法が検討されている。
【0004】過剰の酸素を含む燃焼排ガスから窒素酸化
物を除去する方法として、特に大規模な固定燃焼装置
(工場等の大型燃焼機等)に対しては、アンモニアを用
いる選択的接触還元法が実用化されている。
【0005】しかしながら、この方法においては、窒素
酸化物の還元剤として用いるアンモニアが高価であるこ
と、またアンモニアは毒性を有すること、そのために未
反応のアンモニアが排出しないように排ガス中の窒素酸
化物濃度を計測しながらアンモニア注入量を制御しなけ
ればならないこと、一般に装置が大型となること等の問
題点がある。
【0006】また、別な方法として、水素、一酸化炭
素、炭化水素等のガスを還元剤として用い、窒素酸化物
を還元する非選択的接触還元法があるが、この方法で
は、効果的な窒素酸化物の低減除去を実行するためには
排ガス中の酸素との理論反応量以上の還元剤を添加しな
ければならず、還元剤を多量に消費する欠点がある。こ
のため非選択的接触還元法は、実際上は、理論空燃比付
近で燃焼した残存酸素濃度の低い排ガスに対してのみ有
効となり、汎用性に乏しく実際的でない。
【0007】そこで、ゼオライト又はそれに遷移金属を
担持した触媒を用いて、排ガス中の酸素との理論反応量
以下の還元剤を添加して窒素酸化物を除去する方法が提
案された(たとえば、特開昭63-100919 号、同63-28372
7 号、特開平1-130735号及び日本化学会第59春季年会
(1990年)2A526、同第60秋季年会 (1990年)3L420、3L422
、3L423 、「触媒」vol.33 No.2 、59ページ、1991年
等) 。
【0008】しかしながら、これらの方法では、窒素酸
化物の除去温度領域が狭く、特に低温領域における窒素
酸化物の除去が少ない。また、水分を含むような排ガス
では、窒素酸化物の除去率が著しく低下することがわか
った。従って、10%程度の水分を含み、運転条件によ
って排ガス温度が大きく変化する車等からの排ガスに対
して、効果的にかつ安定的に窒素酸化物を除去すること
は困難である。そこで、本発明者らは、排ガス流入側に
銀系触媒、流出側に銅系触媒を有し、10%の水分を含
む排ガスでも、効果的に窒素酸化物を除去できる浄化材
を先に提案している(特願平5−253742号)。し
かし、低温領域、特に400℃以下の排ガス温度におけ
る窒素酸化物の除去率はまだ十分ではない。
【0009】したがって、本発明の目的は、固定燃焼装
置および酸素過剰条件で燃焼するガソリンエンジン、デ
ィーゼルエンジン等からの燃焼排ガスのように、窒素酸
化物や、一酸化炭素、水素、炭化水素等の未燃焼分に対
する理論反応量以上の酸素を含有する燃焼排ガスから、
効率良く窒素酸化物を除去することができる排ガス浄化
材及び排ガス浄化方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、多孔質の無機酸化物に特定量の
(a)銀成分と(b)白金系又は金成分とを担持してな
る第一の触媒と、Cu等の成分を担持してなる第二の触媒
とを分離して設けてなる排ガス浄化材を用い、排ガス中
に炭化水素を添加して特定の温度で上記の触媒に排ガス
を接触させれば、10%の水分を含む排ガスでも、広い
温度領域で窒素酸化物を効果的に除去することができる
ことを発見し、本発明を完成した。
【0011】すなわち、窒素酸化物と、共存する未燃焼
成分に対する理論反応量より多い酸素とを含む燃焼排ガ
スから窒素酸化物を除去する本発明の排ガス浄化材は、
(1)多孔質の無機酸化物に(a)前記無機酸化物の
0.2〜15重量%(元素換算値)の銀又は銀酸化物
と、(b)前記無機酸化物の0.1重量%以下(元素換
算値)のPt、Pd、Ru、Rh、Ir及びAuからなる群より選ば
れた少なくとも1種の元素とを担持してなる第一の触媒
と、(2)多孔質の無機酸化物に(c)銅又は銅酸化物
0.5〜20重量%(元素換算値、無機酸化物基準)、
又は前記(c)と、(d)アルカリ金属元素と希土類元
素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素10重
量%以下(元素換算値、無機酸化物基準)とを担持して
なる第二の触媒とからなることを特徴とする。
【0012】また、窒素酸化物と、共存する未燃焼成分
に対する理論反応量より多い酸素とを含む燃焼排ガスか
ら窒素酸化物を除去する本発明の排ガス浄化方法は、上
記の排ガス浄化材を用い、前記排ガス浄化材を排ガス導
管の途中に設置し、前記浄化材の上流側で炭化水素を添
加した排ガスを200〜600℃において前記浄化材に
接触させ、もって前記排ガス中の炭化水素との反応によ
り前記窒素酸化物を除去することを特徴とする。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
は、排ガス流入側に、多孔質の無機酸化物に(a)前記
無機酸化物の0.2〜15重量%(元素換算値)の銀又
は銀酸化物と、(b)前記無機酸化物の0.1重量%以
下(元素換算値)のPt、Pd、Ru、Rh、Ir及びAuからなる
群より選ばれた少なくとも1種の元素とを担持してなる
第一の触媒を設け、流出側に多孔質の無機酸化物に
(c)銅又は銅酸化物0.5〜20重量%(元素換算
値、無機酸化物基準)、又は前記(c)と、(d)アル
カリ金属元素と希土類元素からなる群より選ばれた少な
くとも1種の元素10重量%以下(元素換算値、無機酸
化物基準)とを担持してなる第二の触媒を設けてなる排
ガス浄化材を排ガス導管中に設置し、浄化材の設置位置
より上流側で排ガス中に炭化水素を添加して排ガスをこ
の浄化材に接触させ、炭化水素を還元剤として排ガス中
の窒素酸化物を還元除去する。本発明では、第一の触媒
と第二の触媒を組み合わせて用いるが、排ガス流入側に
第一の触媒を、流出側に第二の触媒を配置するのが好ま
しい。このように配置することによって、広い排ガス温
度領域で窒素酸化物を効果的に還元除去することができ
る。
【0014】本発明の排ガス浄化材の第一の好ましい形
態は、粉末状の多孔質無機酸化物に触媒活性種を担持し
てなる第一及び第二の触媒をそれぞれ浄化材基体にコー
トしてなる浄化材、又は第一及び第二の触媒の粉末状の
多孔質無機酸化物をそれぞれ浄化材基体にコートした
後、第一及び第二の触媒の触媒活性種をそれぞれ担持し
てなる浄化材である。浄化材の基体を形成するセラミッ
クス材料としては、γ−アルミナ及びその酸化物(γ−
アルミナ−チタニア、γ−アルミナ−シリカ、γ−アル
ミナ−ジルコニア等)、ジルコニア、チタニア−ジルコ
ニアなどの多孔質で表面積の大きい耐熱性のものが挙げ
られる。高耐熱性が要求される場合、コージェライト、
ムライト、アルミナ及びその複合物等を用いるのが好ま
しい。また、排ガス浄化材の基体に公知の金属材料を用
いることもできる。
【0015】排ガス浄化材の基体の形状及び大きさは、
目的に応じて種々変更できる。また、基体は入口部分と
出口部分など二つ又は二つ以上の部分を組み合わせて用
いることもできる。基体の構造としては、ハニカム構造
型、フォーム型、繊維状耐火物からなる三次元網目構造
型、あるいは顆粒状、ペレット状等が挙げられる。上記
第一の触媒及び第二の触媒は同じ基体の異なる位置にコ
ートしてもよいし、異なる基体にコートしてから組み合
わせて用いてもよい。
【0016】本発明の排ガス浄化材の第二の好ましい形
態は、ペレット状又は顆粒状粉末状の多孔質無機酸化物
に触媒活性種を担持してなる触媒を所望形状のケーシン
グに充填してなる浄化材である。
【0017】本発明の浄化材には以下の二つの触媒が形
成されている。 (1)第一の触媒 第一の触媒は、多孔質無機酸化物に(a) 銀又は銀酸化物
と、(b) Pt、Pd、Ru、Rh、Ir及びAuとからなる群より選
ばれた少なくとも一種の金属元素とを担持してなる。多
孔質の無機酸化物としては、多孔質のアルミナ、シリ
カ、チタニア、ジルコニア及びそれらの複合酸化物等を
使用することができるが、好ましくはγ−アルミナ又は
アルミナ系複合酸化物を用いる。γ−アルミナ又はアル
ミナ系複合酸化物を用いることにより、添加した炭化水
素及び/又は排ガス中の残留炭化水素と排ガス中の窒素
酸化物との反応が効率良く起こる。
【0018】多孔質の無機酸化物の比表面積は10m2
/g以上であるのが好ましい。比表面積が10m2 /g
未満であると、排ガスと無機酸化物及びこれに担持した
銀成分との接触面積が小さくなり、良好な窒素酸化物の
除去が行えない。
【0019】上記したγ−アルミナ等の無機酸化物に活
性種として担持する銀成分の担持量は、排ガス中に添加
する炭化水素の種類、排ガスとの接触時間などによって
多少変化するが、無機酸化物100重量%に対して0.
2〜15重量%(元素換算値)とする。0.2重量%未
満では窒素酸化物の除去率が低下する。また、15重量
%を超す量の銀を担持すると炭化水素自身の燃焼が起き
やすく、窒素酸化物の除去率はかえって低下する。好ま
しい銀成分の担持量は0.5〜12重量%である。な
お、銀成分は、排ガスの温度領域では金属又は酸化物の
状態にあり、相互に容易に変換し得る。
【0020】Pt、Pd、Ru、Rh、Ir及びAuのうち、Pt、P
d、Ru、Rh及びAuを用いるのが好ましく、特にPt、Pdが
好ましい。Pt、Pd、Ru、Rh、Ir及びAuの合計担持量は無
機酸化物を100重量%として、0.1重量%以下(元
素換算値)とする。担持量が無機酸化物の0.1重量%
を超えると銀成分による除去効果が大きく低下する。な
お、担持量の下限値を0.001 重量%とするのが好まし
い。より好ましい担持量は0.001 〜0.05重量%である。
【0021】γ−アルミナ等の無機酸化物に銀とPt、P
d、Ru、Rh、Ir及びAuの一種以上を担持する方法として
は、公知の含浸法、沈澱法等を用いることができる。そ
の際、各元素の硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩又は塩酸塩等の
混合水溶液に多孔質の無機酸化物を浸漬するか、それぞ
れの元素化合物の水溶液に順番に多孔質の無機酸化物を
浸漬し、70℃程度で乾燥後、100〜600℃で段階
的に昇温して焼成するのが好ましい。焼成は、酸素雰囲
気、窒素雰囲気下や水素ガス流下で行うのが好ましい。
窒素雰囲気下や水素ガス流下で行う場合には、最後に3
00〜650℃で酸化処理するのが好ましい。
【0022】なお、上記浄化材の第一の好ましい形態で
は、浄化材基体上に設ける第一の触媒の厚さは、一般
に、基体材と、この触媒との熱膨張特性の違いから制限
される場合が多い。浄化材基体上に設ける触媒の厚さを
300μm以下とするのがよい。このような厚さとすれ
ば、使用中に熱衝撃等で浄化材が破損することを防ぐこ
とができる。浄化材基体の表面に触媒を形成する方法は
公知のウォシュコート法、粉末法等によって行われる。
【0023】また、浄化材基体の表面上に設ける第一触
媒の量は、浄化材基体の20〜300g/リットルとす
るのが好ましい。触媒の量が20g/リットル未満では
良好なNOx の除去が行えない。一方、触媒の量が300
g/リットルを超えると除去特性はそれほど上がらず、
圧力損失が大きくなる。より好ましくは、浄化材基体の
表面上に設ける第一の触媒を浄化材基体の50〜250
g/リットルとする。
【0024】(2)第二の触媒 第二の触媒は、多孔質無機酸化物に触媒活性種を担持し
てなる。多孔質無機酸化物としては、γ−アルミナ及び
その酸化物(γ−アルミナ−チタニア、γ−アルミナ−
シリカ、γ−アルミナ−ジルコニア等)、ジルコニア、
チタニア−ジルコニア、シリカなどの多孔質で表面積の
大きい耐熱性のセラミックスが挙げられる。好ましくは
γ−アルミナ、チタニア、ジルコニア及びそれらを含む
複合酸化物を用いる。第一の触媒と同様に、多孔質の無
機酸化物の比表面積は10m2 /g以上であることが好
ましい。
【0025】上記の第二の触媒の活性種としては、
(c)銅又は銅酸化物を用いるか、又は(c)と、
(d)アルカリ金属元素と希土類元素とからなる群より
選ばれた少なくとも1種の元素とを混合して用いる。ア
ルカリ金属元素としては、特にセシウム、ナトリウム及
びカリウムを用いるのが好ましい。また、希土類元素と
しては、ランタン、セリウム、ネオジウムを用いるのが
好ましいが、希土類の混合物であるミッシュメタルを用
いることもできる。
【0026】多孔質無機酸化物を100重量%として、
銅又は銅酸化物(c)の担持量は0.5〜20重量%
(金属元素換算値)である。担持量が0.5重量%未満
又は20重量%を越えると、窒素酸化物の除去率が低下
する。銅又は銅酸化物の好ましい担持量は0.8〜15
重量%とする。
【0027】アルカリ金属元素と希土類元素からなる群
から選ばれた少なくとも一種の元素(d)については、
アルカリ金属元素と希土類元素との合計担持量は多孔質
無機酸化物の10重量%以下とし、好ましくは0.5〜
8重量%とする。ただし、アルカリ金属元素の合計担持
量を5重量%以下とし、希土類元素の合計担持量を5重
量%以下とするのが好ましい。アルカリ金属元素又は希
土類元素の担持量が5重量%を越えると、窒素酸化物の
除去率が低下する。好ましいアルカリ金属の合計担持量
は0.1〜4重量%である。また好ましい希土類元素の
合計担持量は0.1〜4重量%である。なお、元素
(d)は通常酸化物の状態で存在するので、その担持量
は元素換算値で表す。
【0028】第二の触媒における活性種の担持は、公知
の含浸法、沈澱法、ゾル−ゲル法等を用いることができ
る。含浸法を用いる際、触媒活性種元素の炭酸塩、塩酸
塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物等の水溶液又はアルコー
ル溶液に多孔質無機酸化物を浸漬し、70℃で乾燥後、
100〜600℃で段階的に昇温して焼成することによ
って行われる。なお、担持成分は金属元素として表示し
ているが、通常の浄化材の使用温度条件では担持成分は
酸化物の状態で存在する。
【0029】なお、上記浄化材の第一の好ましい形態で
は、浄化材基体上に設ける第二の触媒の厚さを300μ
m以下とするのがよい。また、浄化材基体の表面上に設
ける第二の触媒の量は、浄化材基体の20〜300g/
リットルとするのが好ましい。
【0030】本発明においては、第一の触媒と、第二の
触媒との重量比(多孔質無機酸化物と触媒活性種との合
計重量の比)は、5:1〜1:5とするのが好ましい。
比率が1:5未満である(第一の触媒が少ない)と、2
00〜600℃の広い温度範囲で全体的に窒素酸化物の
浄化率が低下する。一方、比率が5:1を超える(第一
の触媒が多い)と、400℃以下における窒素酸化物の
浄化能が大きくならない。すなわち、比較的低温での還
元剤と窒素酸化物との反応が十分に進行しない。より好
ましい第一触媒と第二触媒の重量比は4:1〜1:4で
ある。
【0031】上述した構成の浄化材を用いれば、200
〜600℃の広い温度領域において、水分を10%程度
を含む排ガスでも、良好な窒素酸化物の除去を行うこと
ができる。
【0032】次に、本発明の方法について説明する。ま
ず、第一の触媒と第二の触媒を有する排ガス浄化材を排
ガス導管の途中に設置する。好ましくは、第一の触媒が
排ガスの入口に面し、第二の触媒が排ガスの出口に面す
るように配置する。
【0033】排ガス中には、エチレン、プロピレン等残
留炭化水素がある程度は含まれるが、一般に排ガス中の
NOx を還元するのに十分な量ではないので、外部から炭
化水素からなる還元剤を排ガス中に導入する。還元剤の
導入位置は、浄化材を設置した位置より上流側である。
【0034】外部から導入する炭化水素としては、標準
状態でガス状又は液体状のアルカン、アルケン及び/又
はアルキンを用いることができる。標準状態でガス状の
炭化水素としては、炭素数3以上のアルカン又はアルケ
ンが好ましい。標準状態で液体状の炭化水素としては、
具体的に、ヘプタン、セタン、灯油、軽油、ガソリン及
び重油等の炭化水素が挙げられる。その中でも、沸点5
0〜350℃の炭化水素が特に好ましい。
【0035】外部から導入する炭化水素の量は、重量比
(添加する還元剤の重量/排ガス中の窒素酸化物の重
量)が0.1〜5となるようにするのが好ましい。この
重量比が0.1未満であると、窒素酸化物の除去率が大
きくならない。一方、5を超えると、燃費悪化につなが
る。
【0036】本発明では、炭化水素類等による窒素酸化
物の還元除去を効率的に進行させるために、浄化材の全
体見かけ空間速度は 500,000h-1以下とする。空間速度
が 500,000h-1を越えると、窒素酸化物の還元反応が十
分に起こらず、窒素酸化物の除去率が低下する。好まし
い空間速度は 300,000h-1以下とする。
【0037】また、本発明では、炭化水素と窒素酸化物
とが反応する部位である浄化材設置部位における排ガス
の温度を200〜600℃に保つ。排ガスの温度が20
0℃未満であると還元剤と窒素酸化物との反応が進行せ
ず、良好な窒素酸化物の除去を行うことができない。一
方、600℃を超す温度とすると炭化水素自身の燃焼が
始まり、窒素酸化物の還元除去が行えない。好ましい排
ガス温度は、250〜600℃である。
【0038】
【実施例】本発明を以下の具体的実施例によりさらに詳
細に説明する。実施例1 市販のコージェライト製ハニカム状成形体(400セル
/インチ2 、直径30mm、長さ約6.3mm)に、硝
酸銀水溶液及び塩化パラジウム水溶液を用いて粉末状γ
−アルミナ(比表面積200m2 /g)に銀をγ−アル
ミナの5重量%、パラジウムをγ−アルミナの0.01
重量%担持した触媒1gをコートし、乾燥後、600℃
まで段階的に焼成し、浄化材1(第一の触媒をコートし
た浄化材)を調製した。
【0039】また、浄化材1と同様のハニカム状成形体
(直径30mm、長さ約6.3mm)に、硝酸銅、硝酸
ランタン及び硝酸セシウム水溶液を用いて粉末状γ−ア
ルミナに銅を10重量%、ランタンを0.4重量%、セ
シウムを0.4重量%(それぞれアルミナ基準)担持し
た触媒1gをコートし、乾燥後、700℃まで段階的に
焼成し、浄化材2(第二の触媒をコートした浄化材)を
調製した。
【0040】排ガスの流入側に銀系の浄化材1、流出側
に銅系の浄化材2が位置するように反応管内にセットし
た。次に、表1に示す排ガス相当組成にプロピレンを加
えた模擬ガス(一酸化窒素、酸素、プロピレン、窒素及
び水分)を毎分4.4リットル(標準状態)の流量で流
して(全体の見かけ空間速度約30,000h-1、浄化
材1及び浄化材2の空間速度はそれぞれ60,000h
-1である。)、反応管内の排ガス温度を300〜600
℃の範囲に保ち、プロピレンと窒素酸化物とを反応させ
た。
【0041】反応管通過後のガスの窒素酸化物の濃度を
化学発光式窒素酸化物分析計により測定し、窒素酸化物
の除去率を求めた。結果を図1に示す。
【0042】 表1 成分 濃度 一酸化窒素 800 ppm 酸素 10 容量% プロピレン 1714 ppm (一酸化窒素の質量の3倍) 窒素 残部 水分 10 容量%(上記成分の総体積に対して)
【0043】実施例2 実施例1で作製した浄化材1及び浄化材2を用い、同じ
配置で反応管内にセットし、表2に示す排ガス相当組成
に軽油を加えた模擬ガス(一酸化窒素、酸素、軽油、窒
素及び水分)を毎分4.4リットル(標準状態)の流量
で流して(全体の見かけ空間速度約30,000h-1
浄化材1及び浄化材2の空間速度はそれぞれ60,00
0h-1である。)、反応管内の排ガス温度を300〜6
00℃の範囲に保ち、軽油と窒素酸化物とを反応させ
た。
【0044】反応管通過後のガスの窒素酸化物の濃度を
実施例1と同様の方法により測定し、窒素酸化物の除去
率を求めた。結果を図2に示す。
【0045】 表2 成分 濃度 一酸化窒素 800 ppm 酸素 10 容量% 軽油 一酸化窒素の質量の3倍 窒素 残部 水分 10 容量%(上記成分の総体積に対して)
【0046】比較例1 実施例1と同じハニカム状成形体に、同様な方法でγ−
アルミナに銀をアルミナの5重量%担持した触媒1gを
コートして、銀系浄化材を調製した。反応管にこの銀系
浄化材だけをセットし、表1に示す組成の模擬ガスを用
い、実施例1と同様の条件(見かけ空間速度約30,0
00h-1である。)で評価し、窒素酸化物の除去率を求
めた。実験結果を図1に合わせて示す。
【0047】比較例2 比較例1で作製した銀系浄化材を反応管にセットし、表
2に示す組成の模擬ガスを用い、実施例2と同様の条件
(見かけ空間速度約30,000h-1である。)で評価
し、窒素酸化物の除去率を求めた。実験結果を図2に合
わせて示す。
【0048】図1及び図2からわかるように、実施例1
及び2においては、300〜600℃の広い排ガス温度
範囲で窒素酸化物の良好な除去がみられた。一方、銀触
媒のみを用いた比較例1及び2においては、400℃以
下の排ガス温度では窒素酸化物の除去率が著しく低下し
た。
【0049】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の排ガス浄
化材を用いれば、広い温度領域において過剰の酸素を含
む排ガス中の窒素酸化物を効率良く除去することができ
る。本発明の排ガス浄化材及び浄化方法は、各種燃焼
機、自動車等の排ガス浄化に広く利用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1における排ガス温度と排
ガス中の窒素酸化物の除去率の関係を示すグラフであ
る。
【図2】実施例2及び比較例2における排ガス温度と排
ガス中の窒素酸化物の除去率の関係を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−27429(JP,A) 特開 昭64−30641(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 21/00 - 38/74 B01D 53/94

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素酸化物と、共存する未燃焼成分に対
    する理論反応量より多い酸素とを含む燃焼排ガスから窒
    素酸化物を除去する排ガス浄化材において、(1)多孔
    質の無機酸化物に(a)前記無機酸化物の0.2〜15
    重量%(元素換算値)の銀又は銀酸化物と、(b)前記
    無機酸化物の0.1重量%以下(元素換算値)のPt、P
    d、Ru、Rh、Ir及びAuからなる群より選ばれた少なくと
    も1種の元素とを担持してなる第一の触媒と、(2)多
    孔質の無機酸化物に(c)銅又は銅酸化物0.5〜20
    重量%(元素換算値、無機酸化物基準)、又は前記
    (c)と、(d)アルカリ金属元素と希土類元素からな
    る群より選ばれた少なくとも1種の元素10重量%以下
    (元素換算値、無機酸化物基準)とを担持してなる第二
    の触媒とからなることを特徴とする排ガス浄化材。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の排ガス浄化材におい
    て、前記浄化材の排ガス流入側に前記第一の触媒を有
    し、排ガス流出側に前記第二の触媒を有することを特徴
    とする排ガス浄化材。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の排ガス浄化材に
    おいて、前記第一及び第二の触媒の多孔質無機酸化物
    が、アルミナ、チタニア、ジルコニアのいずれか又はそ
    の内の二つ以上からなる複合酸化物であることを特徴と
    する排ガス浄化材。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の排ガス
    浄化材において、前記浄化材は前記第一及び第二の触媒
    をセラッミクス製又は金属製の基体の表面にコートして
    なることを特徴とする排ガス浄化材。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の排ガス
    浄化材において、前記第一及び第二の触媒の多孔質無機
    酸化物はそれぞれペレット状又は顆粒状であることを特
    徴とする排ガス浄化材。
  6. 【請求項6】 窒素酸化物と、共存する未燃焼成分に対
    する理論反応量より多い酸素とを含む燃焼排ガスから窒
    素酸化物を除去する排ガス浄化方法において、請求項1
    〜5のいずれかに記載の排ガス浄化材を用い、前記排ガ
    ス浄化材を排ガス導管の途中に設置し、前記浄化材の上
    流側で炭化水素を添加した排ガスを200〜600℃に
    おいて前記浄化材に接触させ、もって前記排ガス中の炭
    化水素との反応により前記窒素酸化物を除去することを
    特徴とする排ガス浄化方法。
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