JPH06186Y2 - 鍛造用プレス機械の単独駆動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、鍛造用プレス機械の単独駆動装置に関する。

少なくともクランプ・アンクランプ用カムおよびアドバ
ンス・リターン用駆動部材を有するトランスファ装置
と、ノックアウトピンを昇降動させるノックアウト用カ
ムとを備えた鍛造用プレス機械において、トランスファ
装置およびノックアウトピンの単独駆動並びにこれら動
作のタイミング調整に利用できる。

［従来の技術］ トランスファ装置およびノックアウトピンを備えるプレ
ス機械にあっては、トランスファ動作のタイミングを決
めるカム類、例えばクランプ・アンクランプ用カム、リ
フト・ダウン用カムおよびアドバンス・リターン用ギヤ
やノックアウト動作のタイミングを決めるノックアウト
用カムをそれぞれ直接クランク軸支に装備させてある。

そのため、従来では、金型のセッティングやフィンガー
のセッティングを行う場合、実際にクランク軸を回転さ
せながらトランスファ装置およびノックアウトピンを動
作させ、これらトランスファ動作およびノックアウトピ
ンのノックアウト動作のタイミングを調整するようにし
ていた。

［考案が解決しようとする課題］ 従来のように、クランク軸を回転させながら、トランス
ファ動作のタイミングやノックアウト動作のタイミング
を調整するのでは、スライドが昇降動するので危険を伴
うばかりでなく、スライドの昇降動によってこれらの動
作が見ずらいことから能率的ではなかった。

一方、金型の交換などによってノックアウト動作のタイ
ミングを変更しなければならない場合、ノックアウト用
カムとクランク軸との位相をずらす必要がある。しか
し、ノックアウト用カムとクランク軸とは通常キーなど
により一体的に連結されているため、両者の位相を回転
方向へずらしてタイミングを変更することは至難であ
る。

そこで、複数のカムを用意して、これらをその都度交換
し見掛上のタイミング変更を行うことが考えられる。し
かし、これにしても、交換に労力と時間を費やし能率が
悪い。また、経済的にも不利であり、抜本的対策とはな
らない。

その上、ノックアウト動作のタイミングを変更したとし
ても、そのノックアウト動作のタイミングに同調するよ
うにトランスファ動作のタイミングを変更しなければな
らない。通常、プレス機械におけるトランスファ装置の
搬送上のタイミングは、ベッド側のノックアウトモーシ
ョンにより決定される。つまり、製品のクランプ位置
は、ノックアウトの上限であることが重要である。従っ
て、ノックアウト動作のタイミングを変更した場合、そ
のタイミングに同調するようにトランスファ動作のタイ
ミングも変更しなければならない。

これには、ノックアウト用カムと同様に、クランプ・ア
ンクランプ用カム、リフト・ダウン用カムおよびアドバ
ンス・リターン用ギヤとクランク軸との位相を個々に調
整しなければならないので、より面倒である。

ここに、本考案の目的は、このような従来の問題を解消
し、クランク軸を回転させることなく、トランスファ装
置およびノックアウトを単独駆動させることができると
ともに、これらトランスファ動作のタイミングとノック
アウト動作のタイミングとを能率的にかつ簡易に調整す
ることができる鍛造用プレス機械の単独駆動装置を提供
することにある。

［課題を解決するための手段］ そのため、本考案では、少なくともクランプ・アンクラ
ンプ用カムによってクランプ・アンクランプ動作を行う
とともに、アドバレス・リターン用駆動部材によってア
ドバンス・リターン動作を行うトランスファ装置と、ノ
ックアウトピンを昇降動させるノックアウト用カムとを
備えた鍛造用プレス機械において、クランク軸と同軸上
にかつ機体に回転可能および軸方向へ移動可能に設けら
れ前記クランプ・アンクランプ用カム、アドバンス・リ
ターン用駆動部材およびノックアウト用カムを所定の位
置関係をもって取付けた回動体と、この回動体をその軸
方向へ移動させる移動手段と、この移動手段によって前
記回動体がクランク軸側へ移動された際クランク軸と回
動体とを同期回転可能に連結するとともに、回動体がク
ランク軸とは反対側へ移動された際クランク軸と回動体
とを相対回転可能に分離する連結手段と、前記移動手段
によって前記回動体がクランク軸とは反対側へ移動され
た状態において、前記回動体を回転させる回転駆動手段
と、を具備したことを特徴とする。

［作用］ 移動手段によって回動体をクランク軸とは反対側へ移動
させると、連結手段によってクランク軸と回動体とは相
対回転可能な状態に分離される。この状態において、回
転駆動手段によって回動体を回動させると、その回動体
に取付けられたクランプ・アンクランプ用カムおよびア
ドバンス・リターン用駆動部材によってトランスファ装
置が駆動されるとともに、ノックアウト用カムによって
ノックアウトピンが昇降動される。従って、クランク軸
を回転させることなく、トランスファ装置とノックアウ
トピンとを単独駆動させることができる。しかも、クラ
ンク軸と回動体との位相を変えるだけでノックアウト動
作とトランスファ動作とのタイミングを同時に調整でき
るので、そのタイミング調整を能率的にかつ簡易に行う
ことができる。

このようにして、クランク軸を回転させることなく、ト
ランスファ動作とノックアウト動作とのタイミング調整
を行った後、移動手段によって回動体をクランク軸側へ
移動させると、連結手段によってクランク軸と回動体と
が同期回転可能な状態に連結される。従って、以後、こ
の状態でプレス機械の運転を行うことができる。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。な
お、本実施例におけるトランスファ装置およびノックア
ウト装置の動力伝達系や作動機構に関しては、周知のも
のを利用できることから、ここでは、その駆動関係のみ
について説明する。

第１図に本実施例の単独駆動装置を示す。同単独駆動装
置は、大きく分けて、クランク軸１２と同軸上に配置さ
れた回動体２１と、この回動体２１を軸方向へ移動させ
る移動手段３１と、前記クランク軸１２と回動体２１と
を連結分離可能に接続する連結手段４１と、回動体２１
を回転させる回転駆動手段５１とから構成されている。

クランク軸１２は、機体を形成するフレーム１１にブッ
シユ１３を介して回転自在に支持されている。フレーム
１１には、前記クランク軸１２の一端側にかつクランク
軸１２と同軸上に前記回動体２１が回転可能および軸方
向へ移動可能に設けられている。

回動体２１には、その中心軸方向に径大部を有する貫通
孔２０が形成されている。また、外周面には、図示しな
いノックアウトピンを作動させるノックアウト用カム２
２と、トランスファ装置の動作タイミングを決定するカ
ム類、ここではクランプ・アンクランプ用カム２３、リ
フト・ダウン用カム２４およびアドバンス・リターン用
駆動部材としてのアドバンス・リターン用ギヤ２５とが
所定の位置関係をもって取付けられている。

第２図に示す如く、ノックアウト用カム２２に対応し
て、そのカム２２のカム形状に追従するカムフォロワー
２２Ａを有するレバー２２Ｂが揺動自在に設けられてい
る。レバー２２Ｂから先の機構については図示していな
いが、レバー２２Ｂの揺動に関連してノックアウトピン
が昇降動作するようになっている。

また、クランプ・アンクランプ用カム２３およびリフト
・ダンウ用カム２４にそれぞれ対応して、そのカム２
３，２４のカム形状に追従するカムフォロワー２３Ａ，
２４Ａを有するレバー２３Ｂ，２４Ｂが揺動自在に設け
られている。同様に、レバー２３Ｂ，２４Ｂの先の機構
については図示していないが、レバー２３Ｂの揺動に関
連してフィードバーがクランプ・アンクランプ動作、レ
バー２４Ｂの揺動に関連してフィードバーがリフト・ダ
ウン動作するようになっている。

さらに、アドバンス・リターン用ギヤ２５には、ギヤ２
５Ａが噛合されている。このギヤ２５Ａの回転は、ギヤ
ボックス２５Ｂを介してギヤ２５Ａの軸とは直交する出
力軸２５Ｃへ伝達されている。出力軸２５Ｃの回転に関
連してフィードバーがアドバンス・リターン動作するよ
うになっている。

一方、移動手段３１は、前記回動体２１を前記クランク
軸１２側へ付勢する付勢装置３２と、この付勢装置３２
の付勢力に抗して前記回動体２１をクランク軸１２とは
反対側へ移動させるシリンダ装置３３とから構成されて
いる。付勢装置３２は、回動体２１の貫通孔２０に貫通
されかつ一端が前記クランク軸１２の端面側に係止され
たロッド３４と、このロッド３４の一端に係止されたス
ラストベアリング３５と、このスラストベアリング３５
と貫通孔２０の径大部内底面との間に介装されたスプリ
ング３６とから構成されている。シリンダ装置３３は、
シリンダ３７とピントン３８とから構成され、ピストン
３８の先端が前記ノックアウト用カム２２の側面に対向
する位置にシリンダ３７がフレーム１１に固定されてい
る。

連結手段４１は、前記クランク軸１２の端面に固定され
かつ外周面に外歯４２を有する外歯部材４３と、前記回
動体２１の端面に固定されかつ内周面に前記外歯４２と
噛合離脱可能な内歯４４を有する内歯部材４５とから構
成れている。移動手段３１によって回動体２１がクラン
ク軸１２側へ移動されると、外歯４２に対して内歯４４
が噛合される。この状態では、クランク軸１２と回動体
２１とは同期回転可能に連結、つまり、クランク軸１２
の回転が回動体２１へ伝達される。一方、回動体２１が
クランク軸１２とは反対側へ移動されると、外歯４２か
ら内歯４４が外れる。この状態では、クランク軸１２と
回動体２１とは相対回転可能に分離、つまり、クランク
軸１２に対して回動体２１が独自に回転できる。

回転駆動手段５１は、前記移動手段３１によって回動体
２１がクランク軸１２とは反対側へ移動された状態にお
いて前記アドバンス・リターン用カム２５と噛合するギ
ヤ５２と、このギヤ５２を回転させる油圧モータ５３と
から構成されている。油圧モータ５３は前記フレーム１
１に固定されている。

次に、本実施例の作用を説明する。

シリンダ装置３３の駆動により回動体２１を付勢装置３
２に抗して第１図中右方向へ移動させると、内歯４４が
外歯４２から外れるとともに、アドバンス・リターン用
ギヤ２５が回転駆動手段５１のギヤ５２に噛合される。

この状態において、回転駆動手段５１の油圧モータ５３
を駆動させると、ギヤ５２およびアドバンス・リターン
用ギヤ２５を介して回動体２１が回転される。

回動体２１が回転すると、ノックアウト用カム２２およ
びレバー２２Ｂを介してノックアウトピンが動作され
る。同時に、クランプ・アンクランプ用カム２３、リフ
ト・ダウン用２４およびアドバンス・リターン用ギヤ２
５を介してフィードバーがアドバンス・リターン動作、
リフト・ダウン動作およびアドバンス・リターン動作を
行う。

従って、クランク軸１２を回転させることなく、トラン
スファ装置およびノックアウトピンを単独駆動させるこ
とができる。しかも、油圧モータ５３によってクランク
軸１２と回転体２１との相対位置を変えることができる
ので、これらトランスファ装置の動作タイミングとノッ
クアウトピンの動作タイミングとを能率的かつ簡易に調
整することができる。

このようにして、動作タイミングを調整した後、シリン
ダ装置３３を復帰させると、付勢装置３２によって回動
体２１が第１図中左方向へ移動される。すると、アドバ
ンス・リターン用ギヤ２５が回転駆動手段５１のギヤ５
３から外れるとともに、内歯４４が外歯４２に噛合され
る。

この状態において、プレス機械を運転すると、クランク
軸１２の回転が回動体２１に伝達される。従って、スラ
イドの昇降動に関連して、ノックアウトピンが動作され
るとともに、フィードバーがアドバンス・リターン動
作、リフト・ダウン動作およびアドバンス・リターン動
作を行う。

従って、本実施例によれば、クランク軸１２と同軸上に
カム２２，２３，２４およびギヤ２５を有する回動体２
１を回転可能および軸方向へ移動可能に設け、移動手段
３１によって回動体２１をクランク軸１２側へ移動させ
たとき連結手段４１を介してクランク軸１２と回動体２
１とを同期回転可能に、回動体２１をクランク軸１２と
は反対側へ移動させたときクランク軸１２と回動体２１
とを相対回転可能に構成し、この相対回転可能な状態に
おいて回動体２１を回転させる回転駆動手段５１を設け
たので、移動手段３１によって回動体２１をクランク軸
１２とは反対側へ移動させれば、クランク軸１２を停止
させたままで回転駆動手段５１によってトランスファ装
置およびノックアウトピンを動作させることができる。

そのため、スライドを停止させたまま、トランスファ装
置およびノックアウトピンを正規作業と同一条件で動作
させるどとができるから、作業を安全に行うことができ
る。しかも、クランク軸１２と回動体２１との位相を変
えるだけで、ノックアウト動作とトランスファ動作との
タイミングを同時に調整できるので、そのタイミング調
整を能率的にかつ簡易に行うことができる。

また、全てのカム２２，２３，２４を回動体２１に集中
して設けてあるので、コンパクトなレイアウトが可能で
ある。

なお、上記実施例では、３次元のトランスファ装置につ
いて説明したが、２次元のトランスファ装置を備える鍛
造用プレス機械でもよい。つまりクランプ・アンクラン
プ用カムによってクランプ・アンクランプ動作を行うと
ともに、アドバンス・リターン用駆動部材としてのアド
バンス・リターン用ギヤによってアドバンス・リターン
動作を行うトランスファ装置を備える鍛造用プレス機械
でもよい。

また、移動手段３１を付勢装置３２とシリンダ装置３３
とによって構成したが、共にシリンダ装置によって構成
するようにしてもよい。

また、連結手段４１については、上記実施例で述べた内
歯４２と外歯４４との構成に限らず、セレーションとこ
れに噛合する穴でもよい。

また、回転駆動手段５１については、上記実施例のよう
に、アドバンス・リターン用ギヤ２５を利用するものに
限らず、別にギヤを設け、これにギヤ５２を噛合させる
ようにしてもよい。

［考案の効果］ 以上の通り、本考案によれば、クランク軸を停止させた
ままで、つまり、スライドを停止させたままでトランス
ファ装置およびノックアウトピンを動作させることがで
き、しかも、トランスファ動作のタイミングとノックア
ウト動作のタイミングとを同時に調整することができ
る。従って、作業を安全に、しかも、能率的かつ簡易に
行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す横断面図、第２図は第
１図中II−II方向から見た概略図である。 １１…フレーム（機体）、 １２…クランク軸、 ２１…回動体、 ２２…ノックアウト用カム、 ２３…クランプ・アンクランプ用カム、 ２４…リフト・ダウン用カム、 ２５…アドバンス・リターン用ギヤ（アドバンス・リタ
ーン用駆動部材）、 ３１…移動手段、 ４１…連結手段、 ５１…回転駆動手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】少なくともクランプ・アンクランプ用カム
   によってクランプ・アンクランプ動作を行うとともに、
   アドバンス・リターン用駆動部材によってアドバンス・
   リターン動作を行うトランスファ装置と、ノックアウト
   ピンを昇降動させるノックアウト用カムとを備えた鍛造
   用プレス機械において、 クランク軸と同軸上にかつ機体に回転可能および軸方向
   へ移動可能に設けられた前記クランプ・アンクランプ用
   カム、アドバンス・リターン用駆動部材およびノックア
   ウト用カムを所定の位置関係をもって取付けた回動体
   と、 この回動体をその軸方向へ移動させる移動手段と、 この移動手段によって前記回動体がクランク軸側へ移動
   された際クランク軸と回動体とを同期回転可能に連結す
   るとともに、回動体がクランク軸とは反対側へ移動され
   た際クランク軸と回動体とを相対回転可能に分離する連
   結手段と、 前記移動手段によって前記回動体がクランク軸とは反対
   側へ移動された状態において、前記回動体を回転させる
   回転駆動手段と、 を具備したことを特徴とする鍛造用プレス機械の単独駆
   動装置。