JPH06183375A

JPH06183375A - クローラ式作業機の履帯

Info

Publication number: JPH06183375A
Application number: JP35481492A
Authority: JP
Inventors: Masaru Ito; 勝伊藤; Takashi Yagyu; 隆柳生
Original assignee: Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Current assignee: Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority date: 1992-12-18
Filing date: 1992-12-18
Publication date: 1994-07-05

Abstract

(57)【要約】（修正有）【目的】トラックリンクにおける連結ピンの抜け止め
機能を極めて長期間にわたって、安定した状態で発揮で
きるようにする。【構成】相隣接するトラックリンク２０，２０は連結
ピン２３で連結され、この連結ピン２３を中心として自
在に枢動でき、連結ピン２３の端面に臨む位置に穿設し
た貫通孔２４にボルト３０を装着して連結ピン２３の抜
け出しを防止する。円筒状に形成したスぺーサ部材３２
を貫通孔２４に挿通させ、スぺーサ部材３２にボルト３
０のねじ杆３０ｂを挿通させ、先端部にナット３１を螺
合させて、締め付け固定する。スぺーサ部材３２は、貫
通孔２４の長さより僅かに長い寸法を有し、両端面部は
極めて高い平坦度を持たせて、ボルト３０のボルト頭３
０ａ及びナット３１は確実にスぺーサ部材３２の両端面
に密着させるようになし、ボルト頭３０ａ及びナット３
１の外径寸法は、貫通孔２４の孔径寸法より大きくなっ
ており、ボルト３０が貫通孔２４から脱落しないように
保持される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、油圧ショベル等、クロ
ーラ式作業機の下部走行体を構成する履帯に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】油圧ショベル等のクローラ式作業機は、
その下部走行体として履帯を有し、この履帯はスプロケ
ットまたはドライブタンブラからなる駆動輪と、アイド
ラからなる従動輪との間に巻回して設けられ、駆動輪を
油圧モータで回転駆動することにより車両の走行を行う
ように構成している。ここで、履帯は多数のトラックリ
ンクを連結ピンを用いて順次枢動自在に連結して、ルー
プ状の無限軌条を形成してなるものである。

【０００３】トラックリンクは金属板体からなる本体部
の左右両側部に連結部を複数箇所延在させてなるものか
ら構成される。そして、軽量化を図る等のために、本体
部は中空部材で形成されている。このトラックリンクに
おける複数の連結部の間に、それと連結される相手方の
トラックリンクの連結部を配置して、走行方向と直交す
る方向に連結ピンを挿通することによって、相隣接する
トラックリンクが枢動自在に連結される。そして、この
連結ピンが抜け出さないように保持するために、トラッ
クリンクの連結ピンが臨む位置に貫通孔を穿設して、こ
の貫通孔に中空部内からボルトを突出させてナットを螺
合させ、このナットを連結ピンの両端面に対面させるこ
とによって、連結ピンがその軸線方向に所定量以上動く
のを規制し、もってこの連結ピンの抜け止めを図るよう
にしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、トラックリ
ンクは、通常、鋳造により形成されるものであり、その
外表面及び内面の状態は必ずしも平坦とはなっておら
ず、多少の凹凸等が生じている。そして、このトラック
リンクにおける連結ピンのストッパとして機能するボル
トを締着した時において、トラックリンクの貫通孔が形
成されている部位の表面または内面に凹凸があると、ボ
ルトにおけるねじ杆の軸線が曲がって、ボルト頭及びナ
ットがトラックリンクの表面に片当りした状態に組み付
けられることになる。ボルトがこのような状態で取り付
けられていると、車両の走行時に生じる振動や、連結ピ
ンの端面のナットへの衝突等によって、螺合部分が緩ん
でしまい、やがてはボルトが脱落し、連結ピンの抜け止
め機能を発揮できなくなってしまう。トラックリンクに
おけるボルトの装着部の外側及び内側の表面を平坦にな
るように加工することも不可能ではないが、製造コスト
及び加工コストの点から必ずしも得策ではない。また、
ナット及びボルト頭の部位にワッシャを介在させると、
ボルトのねじ杆の軸線の曲がりはある程度抑制される
が、トラックリンクの表面の凹凸による影響を完全には
除去できない等の問題点もある。

【０００５】さらに、軸部と頭部とを備えた抜け止め部
材をトラックリンクの貫通孔に挿通させて、この抜け止
め部材を、その軸部に割りピンを取り付けることによっ
て、脱落防止機能を持たせるようにしたものも知られて
いるが、この抜け止め部材の取り付け作業は、まず軸部
を貫通孔に挿通して、その軸部に設けたピン挿入孔に割
りピンを挿入して、この割りピンを折り曲げるようにし
なければならず、この作業が面倒である。特に、大型の
作業機の場合には、連結ピンの外径寸法も大きくなり、
またその抜け止め部材も大型のものとなって、脱落防止
部材としての割りピンも太径化することから、この割り
ピンの折り曲げが極めて困難となるという問題点もあ
る。

【０００６】本発明は以上の点に鑑みてなされたもので
あって、その目的とするところは、トラックリンクにお
ける連結ピンの抜け止め機能を極めて長期間にわたっ
て、安定した状態で発揮できるようにすることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明は、多数のトラックリンクを連結ピンで
順次枢動自在に連結することにより無限軌条となし、ク
ローラ式作業機の走行体を構成する履帯であって、この
トラックリンクには連結ピンの端面が臨む位置に貫通孔
を穿設し、この貫通孔には、両端面が平坦となり、貫通
孔の長さより長尺の筒状に形成したスぺーサ部材を挿通
させて設け、このスぺーサ部材にボルトを挿通させて、
このボルトのねじ杆にナットを締着することによりスぺ
ーサ部材を挾持させた状態に組み付けるようになし、ボ
ルト頭及びナットの外径を前記貫通孔の孔径よりも大き
く形成して、これらボルト頭またはナットのいずれか一
方を連結ピンに対面させることによって、連結ピンの抜
け止めを行う構成としたことをその特徴とするものであ
る。

【０００８】

【作用】連結ピンの抜け止め防止機構として備えていな
ければならない条件としては、連結ピンと対面する位置
に常時ストッパとして機能する部材が臨んでおれば良
く、このストッパが多少ずれたり動いたりしても格別問
題となることはない。そこで、抜け止め部材としてボル
トを用いるが、このボルトのボルト頭及びナットはトラ
ックリンクの外側及び内側の表面に圧接させるようにし
て締着するのではなく、筒状のスぺーサ部材をトラック
リンクの貫通孔に挿通させて、さらにこのスぺーサ部材
にボルトを挿入し、このボルトのねじ杆の先端にナット
を螺合して締め付け、ボルト頭及びナットをスぺーサ部
材の端面に密着させるように組み付ける。従って、この
スぺーサ部材の両端面を平坦化することによって、ボル
トは真直ぐな状態で締着され、ナットが緩むおそれはな
くなる。

【０００９】ボルト頭またはナットを連結ピンが抜け出
さないように規制するストッパとして機能させるが、ナ
ットはリング状の部材であり摩耗代が少ないので、ボル
ト頭を規制部とする方が好ましい。このボルト頭及びナ
ットの外径寸法は貫通孔の孔径より大きくなっているか
ら、この貫通孔から脱落することはなく、しかもナット
はスペーサ部材の端面に密着しているので、ナットの螺
合部分が緩むことがなく、長期間にわたって、安定した
状態で発揮させることができるようになる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。まず、図１にクローラ式作業機の一例とし
て、油圧ショベルを示す。ただし、この図においては、
フロント作業機構は省略して示す。

【００１１】図中において、１は走行体、２は旋回体を
それぞれ示し、旋回体２は走行体１上に旋回可能に設置
されており、この旋回体２には、オペレータが操作を行
う運転室３が前方位置に設けられ、また後方位置にはエ
ンジンや油圧ポンプ等の駆動機構、その他の機器が設置
されている。一方、走行体１は前後に配置した駆動輪と
してのドライブタンブラ１０及び従動輪としてのアイド
ラ１１と、このドライブタンブラ１０，アイドラ１１間
に巻回して設けた履帯１２とを有し、ドライブタンブラ
１０を回転駆動することによって、履帯１２による車両
の走行を行わせる構成となっている。

【００１２】そこで、図２に履帯１２の一部の構成を示
す。履帯１２は、トラックリンク２０を順次枢動自在に
連結することによって、無限走行軌条を構成している。
トラックリンク２０は、本体部２１の両側に連結部２２
を複数個所延在させてなるものであって、この連結部２
２を相手方の連結部２２の間に嵌め込んで、それに穿設
したピン挿入孔２２ａに連結ピン２３を挿入することに
より順次連結される。また、トラックリンク２０の本体
部２１における中央の部位には、ドライブタンブラ１０
の歯部に係合する駆動爪（図示せず）が突設されてい
る。

【００１３】連結ピン２３により連結されたトラックリ
ンク２０，２０は、この連結ピン２３を中心として自在
に枢動できるようになっている。而して、連結ピン２３
とピン挿入孔２２ａとの間は円滑に摺動できるようにな
されており、従って連結ピン２３は軸線方向にも動くこ
とができる状態となっている。このために、図３に示し
たように、連結ピン２３が抜け出すのを防止する機構が
設けられている。この連結ピン２３の抜け止め機構とし
てボルト３０が用いられ、このボルト３０はトラックリ
ンク２０の中空状に形成した本体部２１における連結ピ
ン２３の端面に臨む位置に穿設した貫通孔２４に装着さ
れるようになっている。そして、ボルト３０は、そのボ
ルト頭３０ａが連結ピン２３の端面に対面するように配
置されて、ねじ杆３０ｂの先端部にはナット３１が螺合
されるようになっている。

【００１４】ボルト３０は直接貫通孔２４に挿通される
のではなく、所定の厚みを持った金属パイプ等のように
円筒状に形成したスぺーサ部材３２を貫通孔２４に挿通
させ、このスぺーサ部材３２にボルト３０のねじ杆３０
ｂを挿通させ、その先端部にナット３１を螺合させて、
締め付けることにより固定するようになっている。ここ
で、スぺーサ部材３２は、貫通孔２４の長さより僅かに
長い寸法を有し、その両端面部は極めて高い平坦度を持
たせている。これによって、ボルト３０のボルト頭３０
ａ及びナット３１は確実にスぺーサ部材３２の両端面に
密着した状態となる。そして、ボルト頭３０ａ及びナッ
ト３１の外径寸法は、貫通孔２４の孔径寸法より大きく
なっており、これによってボルト３０が貫通孔２４から
脱落しないように保持される構成となっている。

【００１５】履帯１２は以上のように構成されるが、こ
の履帯１２は、走行体１におけるドライブタンブラ１０
とアイドラ１１との間に巻回されて、ドライブタンブラ
１０を回転駆動することによって、履帯１２の送りが行
われて、走行体１による車両の走行が行われる。ここ
で、相隣接するトラックリンク２０，２０間は連結ピン
２３により枢動自在に連結されているから、ドライブタ
ンブラ１０やアイドラ１１の回りを円滑に回ることがで
きる。このように、トラックリンク２０，２０間を円滑
に枢動させるために、連結ピン２３はトラックリンク２
０におけるピン挿入孔２２ａに対して円滑な摺動が可能
となっており、従って連結ピン２３はその軸線方向にも
ある程度の動きが許容される。ただし、連結ピン２３の
両端面にはボルト３０のボルト頭３０ａが対面している
ことから、連結ピン２３はある程度以上動くと、このボ
ルト頭３０ａに当接して、それ以上の動きが規制され
て、その抜け出しが防止される。

【００１６】ところで、トラックリンク２０は鋳造によ
り形成されるものであって、その表面は必ずしも平滑な
状態ではなく、多少の凹凸等がある。このために、ボル
ト頭３０ａ及びナット３１をこのトラックリンク２０の
表面に当接するようにして組み付けると、表面の凹凸に
よってねじ杆３０ｂの軸線が傾いて、ボルト頭３０ａ及
びナット３１が片当り状態に組み付けられることにな
る。一般に、作業機においては、走行体１は平坦な地面
を走行して作業を行うのではなく、むしろ傾斜地や凹凸
のある地面上を走行するのを常とすることから、振動が
激しく、また履帯１２は車両の走行方向以外の方向に力
が加わり、履帯１２には左右及び上下方向にずれたり、
曲げられたりする力が作用することから、トラックリン
ク２０を連結する連結ピン２３がボルト頭３０ａに繰り
返し衝当する。この結果、ナット３１が容易に緩んでし
まうことになり、やがてはボルト３０が脱落して連結ピ
ン２３の抜け止め機能が失われてしまうおそれがある。
しかしながら、ボルト頭３０ａ及びナット３１はスぺー
サ部材３２の端面と完全に密着した状態に組み付けられ
ているから、ナット３１の緩みが確実に防止され、ボル
ト３０が脱落するおそれはない。ここで、スぺーサ部材
３２の端面は極めて平坦な面に形成されているが、例え
ば切削，研磨等の簡単な加工により、極めて容易に平坦
化処理を施すことができ、トラックリンク２０の表面に
加工を施すのと比較すると、その加工は極めて容易であ
る。

【００１７】ここで、連結ピン２３の抜け止め防止機構
としての機能から、この連結ピン２３の端面に常時ボル
ト頭３０ａが対面するようになっておれば良く、このボ
ルト頭３０ａが多少ずれたり動いたりしても格別問題と
なることはない。従って、スぺーサ部材３２は、貫通孔
２４に遊嵌状態に挿通するようにしている。これによっ
て、貫通孔２４の孔径寸法にばらつきがあったとして
も、円滑にスぺーサ部材３２を挿通させることができ、
またこのスぺーサ部材３２の挿通時に、それが変形し
て、ボルト３０のねじ杆３０ｂを挿通させることができ
なくなる等といった不都合を生じることはない。

【００１８】なお、前述の実施例においては、ボルト頭
３０ａを連結ピン２３の端面に対面させるようにしてい
るが、このようにボルト頭３０ａを規制部材として用い
るようにすると、摩耗代を大きく取れるので好ましい。
しかしながら、ナット３１側を連結ピン２３の端面に対
面させるように組み付けても良い。また、ナット３１と
スぺーサ部材３２との間にワッシャを介在させるように
しても良い。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、履帯を
構成するトラックリンクに穿設した貫通孔にスぺーサ部
材を挿通させて設け、このスぺーサ部材にボルトを挿通
させて、このボルトにナットを締着することによりスぺ
ーサ部材を挾持させ、ボルト頭及びナットをの外径を前
記貫通孔の孔径よりも大きく形成し、これらボルト頭ま
たはナットのいずれか一方を連結ピンと対面させること
によって、連結ピンの抜け止めを行う構成としたので、
走行中にナットが緩むのを防止できるようになり、極め
て長い期間にわたって安定した連結ピン抜け止め機能を
発揮させることができ、その長寿命化が図られる等の効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】クローラ式作業機の一例としての油圧ショベル
の外観図である。

【図２】履帯の平面図である。

【図３】連結ピンの抜け止め機構の構成を示す断面図で
ある。

【符号の説明】

１走行体１０ドライブタンブラ１１アイドラ１２履帯２０トラックリンク２３連結ピン２４貫通孔３０ボルト３０ａボルト頭３０ｂねじ杆３１ナット３２スぺーサ部材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】多数のトラックリンクを連結ピンで順次
枢動自在に連結することにより無限軌条となし、クロー
ラ式作業機の走行体を構成する履帯において、前記トラ
ックリンクには前記連結ピンの端面が臨む位置に貫通孔
を穿設し、この貫通孔には、両端面が平坦となり、貫通
孔の長さより長尺の筒状に形成したスぺーサ部材を挿通
させて設け、このスぺーサ部材にボルトを挿通させて、
このボルトのねじ杆にナットを締着することによりスぺ
ーサ部材を挾持させた状態に組み付けるようになし、ボ
ルト頭及びナットの外径を前記貫通孔の孔径よりも大き
く形成して、これらボルト頭またはナットのいずれか一
方を連結ピンに対面させることによって、連結ピンの抜
け止めを行う構成としたことを特徴とするクローラ式作
業機の履帯。
【請求項２】前記ボルト頭を連結ピンに対面させる構
成としたことを特徴とする請求項１記載のクローラ式作
業機の履帯。