JPH061816A - イミド基含有ブロック共重合体及びその製造方法 - Google Patents

イミド基含有ブロック共重合体及びその製造方法

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JPH061816A
JPH061816A JP18469092A JP18469092A JPH061816A JP H061816 A JPH061816 A JP H061816A JP 18469092 A JP18469092 A JP 18469092A JP 18469092 A JP18469092 A JP 18469092A JP H061816 A JPH061816 A JP H061816A
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group
acid
polymer
conjugated diene
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Yoshiharu Fujita
義治 藤田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体
とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化
合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共
重合体またはその水素添加物を幹ポリマーとするグラフ
トした酸無水物基もしくはジカルボン酸基またはそれら
両者の基を有する酸変性ブロック共重合体と、アミノ基
を含有するアルコール類とを反応させて得られるイミド
基含有ブロック共重合体およびその製造方法。 【効果】 イソシアネート化合物との反応性に富み、接
着剤や粘着剤の架橋による高性能化やポリマー多成分系
の耐衝撃改良剤などとしての性能を維持しつつ接着性や
塗装性のいっそうの改善に役立つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の技術分野】本発明は、改良された反応性を有
するビニル芳香族系ブロック共重合体及びその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビニル芳香族系ブロック共重合体、なか
でもビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとを同一
分子鎖中に有するブロック共重合体やその水素添加物
は、粘着剤や接着剤、アスファルト改質剤、多成分ポリ
マーブレンド系の相容化剤や耐衝撃改良剤、熱可塑性エ
ラストマー成形材料などに利用されている。しかし、こ
れらブロック共重合体やその水素添加物は、本質的に無
極性材料であるところから、接着剤や印刷インキ、塗
料、極性材料などとの親和性が十分でなく、用途が限定
されたものになっていた。
【0003】そこで、種々の極性基をこれらブロック共
重合体やその水素添加物に与える工夫が提案され、なか
でも不飽和カルボン酸誘導体をグラフトさせる方法は、
有効な方法として広く利用されている。グラフトさせる
不飽和カルボン酸誘導体は、取扱いや反応の制御などの
容易さから無水マレイン酸のごとき不飽和二塩基酸の無
水物が好まれている。
【0004】例えば、無水マレイン酸のような不飽和二
塩基酸の無水物がグラフトした該ブロック共重合体やそ
の水素添加物は、金属やポリアミド樹脂などに対して、
原料ポリマーより改善された接着性を発現する。また、
ポリオレフィン樹脂など非極性のポリマー材料とポリア
ミド樹脂などの極性エンジニアリング樹脂とのブレンド
における相容化剤や耐衝撃改良剤としても原料ポリマー
より良好な結果を与える。さらに、ポリオレフィン樹脂
など非極性のポリマー材料の接着性や印刷性、塗装性な
どを改良する改質剤としても使用されている。
【0005】しかしながら、酸無水物基は活性水素を有
しないところから架橋剤として汎用性の高い多価イソシ
アネート化合物によって架橋することができず、耐熱接
着性や長期的に安定した粘・接着力を要求する粘着剤や
シーラントなどに利用するのは難しかった。又、非極性
のポリマー材料を主成分とするポリマーブレンド系成形
材料の相容性や耐衝撃性の改良と同時に塗装や接着など
の二次加工性の改良が要求される場合においても、イソ
シアネート化合物との反応性を要求される場合があり、
従来の酸無水物基がグラフトしたブロック共重合体やそ
れらの水素添加物では不十分であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸無水物基
などがグラフトしたビニル芳香族系ブロック共重合体に
特定の官能基を有する化合物を反応させ、その性質を改
善した変性ブロック共重合体の提供を目的とするもので
ある。さらに詳しくは、酸無水物基がグラフトしたビニ
ル芳香族系ブロック共重合体に不足する性質、すなわち
架橋や塗装、接着などに要求されるイソシアネート化合
物との反応性を改善した新規な変性ブロック共重合体の
提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、少
なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体
ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体と
する重合体ブロックとからなるブロック共重合体または
その水素添加物を幹ポリマーとするグラフトした酸無水
物基もしくはジカルボン酸基またはそれら両者の基を有
する酸変性ブロック共重合体と、アミノ基を含有するア
ルコール類とを反応させて得られるイミド基含有ブロッ
ク共重合体およびその製造方法を提供するものである。
【0008】本発明のイミド基含有ブロック共重合体
は、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする
重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化合物を
主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体
またはその水素添加物を原料として、グラフトした酸無
水物基もしくはジカルボン酸基またはそれら両者の基を
有するブロック共重合体(以下酸変性ブロック共重合体
と略記する)を経て誘導されたものであり、かかる原料
となるブロック共重合体またはそれらの水素添加物(以
下未変性ブロック共重合体と略記する)は、公知の方法
で製造されたものを使用することができる。
【0009】未変性ブロック共重合体の構造としては、
ビニル芳香族化合物を50重量%以上含有する重合体ブ
ロックをA、共役ジエン化合物またはその水素添加物を
50重量%以上含有する重合体ブロックをBとして、一
般式、A(B−A)n、B(A−B)n、(A−B)
n、(A−B)mX[ただし、式中のnは1〜10の整
数、mは3〜8の整数、Xはm個の結合手を持つ多官能
残基をしめす]であらわされるものが適し、単一の構造
を有するものや構造の異なるもの、水素添加率の異なる
ものの混合物であってもよい。耐熱老化性や耐候性など
物理的・化学的経時安定性を要求される用途にあって
は、共役ジエン化合物に基づく脂肪族二重結合の80%
以上が水素添加されていることが好ましい。未変性ブロ
ック共重合体を構成するビニル芳香族化合物の割合とし
ては、5〜95重量%、好ましくは10〜80重量%、
さらに好ましくは10〜60重量%である。
【0010】A、B各重合体ブロックの構造としては、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAが、
ビニル芳香族化合物のホモ重合体ブロック、またはビニ
ル芳香族化合物を50重量%以上、好ましくは70重量
%以上含有するビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物
またはその水素添加物とからなり、共役ジエン化合物ま
たはその水素添加物を主体とする重合体ブロックBが、
共役ジエン化合物またはその水素添加物のホモ重合体ブ
ロック、または共役ジエン化合物またはその水素添加物
を50重量%以上、好ましくは70重量%以上含有する
共役ジエン化合物またはその水素添加物とビニル芳香族
化合物とからなるものである。
【0011】また、これらのビニル芳香族化合物を主体
とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物またはその
水素添加物を主体とする重合体ブロックBは、それぞれ
の重合体ブロック中における分子鎖中の共役ジエン化合
物またはその水素添加物とビニル芳香族化合物の分布が
ランダム、テーパード(分子鎖中に沿ってモノマー成分
が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこ
れらの任意の組合せでなっていても良く、該ビニル芳香
族化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合
物またはその水素添加物を主体とする重合体ブロックと
がそれぞれ2個以上ある場合には、各重合体ブロックは
それぞれが同一構造であっても、また異なる構造であっ
ても良い。
【0012】本発明のイミド基含有ブロック共重合体の
そもそもの出発ポリマーである未変性ブロック共重合体
を構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第三
ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上が選
択でき、中でもスチレンが好ましい。共役ジエン化合物
またはその水素添加物を構成する化合物としては、水素
添加前の共役ジエン化合物として例示すると、ブタジエ
ン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメ
チル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2
種以上が選択でき、中でもブタジエン、イソプレンおよ
びこれらの組合わせが好ましい。
【0013】そして、共役ジエン化合物またはその水素
添加物を主体とする重合体ブロックBは、そのブロック
におけるミクロ構造を任意に選ぶことができ、例えば、
水素添加前のポリブタジエンブロックの場合において、
1,2−ビニル結合構造が25〜65%、好ましくは3
5〜40%である。上記した構造を有するブロック共重
合体の数平均分子量は、5,000〜500,000好
ましくは10,000〜300,000の範囲であり、
分子量分布[重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)との比(Mw/Mn)]は10以下が好まし
い。
【0014】これらのブロック共重合体は、上記した構
造を有するものであれば、その製造方法を制限するもの
ではなく、例えば、特公昭40−23798号公報に記
載された方法により、リチウム触媒を用いて不活性溶媒
中でビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共
重合体を合成することができる。
【0015】また、より好ましい性能を発揮するビニル
芳香族化合物−水素添加された共役ジエン化合物ブロッ
ク共重合体の製造方法としては、例えば、特公昭42−
8704号公報、特公昭43−6636号公報に記載さ
れた方法があるが、特に高度の耐侯性や耐熱老化性を求
められる用途にあっては、チタン系水添触媒の使用が推
奨され、例えば、特開昭59−133203号公報、特
開昭60−79005号公報の方法が上げられる。その
際の共役ジエン化合物に由来する脂肪族二重結合は、少
なくとも80%が水素添加されていることが好ましく、
共役ジエン化合物の多くは形態的にオレフィン性化合物
に変換されたことになる。例えば、ブタジエン重合体ブ
ロックは、エチレン−ブチレンを主体とする重合体ブロ
ックへと変換する。
【0016】また、ビニル芳香族化合物を主体とする重
合体ブロックA、および必要に応じて共役ジエン化合物
またはその水素添加物を主体と重合体ブロックBに共重
合されているビニル芳香族化合物に由来する芳香族二重
結合の水素添加率についての制限は特にないが、20%
以下が好ましい。上記水素添加ブロック共重合体の水素
添加率については、赤外線分光分析や核磁気共鳴分析に
より容易に知ることができる。
【0017】つぎに本発明に使用する酸変性ブロック共
重合体についてのべる。酸変性ブロック共重合体とは、
上記未変性ブロック共重合体と不飽和カルボン酸無水物
または不飽和ジカルボン酸の1種または2種以上とを加
熱下に反応させて得られるグラフトした酸無水物基もし
くはジカルボン酸基またはそれら両者の基を有するブロ
ック共重合体であり、原料ブロック共重合体と不飽和カ
ルボン酸無水物もしくは不飽和ジカルボン酸またはそれ
らの混合物(以下不飽和カルボン酸類と略記する)と
を、不活性の溶媒の存在もしくは不存在下に、所望によ
りラジカル発生剤を加えて、加熱下に混合することによ
りグラフト化したものである。
【0018】好適な酸変性ブロック共重合体の製造方法
としては、原料となる未変性ブロック共重合体と不飽和
カルボン酸類とをあらかじめタンブラーなどでブレンド
後、押出機に供給して、150〜270℃ぐらいの樹脂
温度と、平均滞留時間として20〜300秒ぐらいにな
るような条件で混練したり、トルエンなどの不活性溶媒
に原料未変性ブロック共重合体を溶解または分散させ、
不飽和カルボン酸類を加えて加熱下に保持して反応させ
るなどの方法があげられる。
【0019】一般に、原料未変性ブロック共重合体を構
成する共役ジエン化合物の飽和化度が小さい場合には、
共役ジエン化合物由来の脂肪族二重結合のため架橋ゲル
化しやすく、スミライザーGM(商品名:住友化学製)
のごときゲル化防止用安定剤を共存させるのが良い。他
方、共役ジエン化合物由来の脂肪族二重結合がほとんど
水素添加により飽和化されている未変性ブロック共重合
体を使用するときには、有機過酸化物のごときラジカル
発生剤を共存させるのが良い。最終的な用途が、長期の
耐熱老化性や耐候性を要求される工業部材のような物品
にかかわるような場合には、共役ジエン化合物由来の脂
肪族二重結合がほとんど飽和化された未変性ブロック共
重合体の使用が好ましい。
【0020】変性に使用する不飽和カルボン酸類として
は、例えば、マレイン酸、シトラコン酸、2−メチルマ
レイン酸、2−クロロマレイン酸、2−カルボキシメチ
ルマレイン酸、2,3−ジメチルマレイン酸、2,3−
ジクロロマレイン酸、2,3−ジカルボキシメチルマレ
イン酸、ビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−
2,3−ジカルボン酸および4−メチル−4−シクロヘ
キセ酸などのモノビニル不飽和カルボン酸またはそれら
を脱水して得られる酸無水物誘導体の1種または2種以
上の混合物が上げられ、所望により、スチレン、α−メ
チルスチレン、酢酸ビニル、メチルメタアクリレート、
グリシジルメタアクリレート、フェニルマレイミドなど
のモノビニル性不飽和化合物を併用することもできる。
【0021】グラフトした酸無水物基もしくはジカルボ
ン酸基またはそれら両者の基を有する酸変性ブロック共
重合体中における官能基(以下酸無水物基等と略記す
る)の濃度としては、平均値として計算される該酸変性
ブロック共重合体1分子当たり0.5〜100個、好ま
しくは1〜80個、さらに好ましくは2〜60個であ
る。0.5個未満では、イミド基含有共重合体に変換し
た場合に本発明の目的を達成するのに不十分であり、1
00個を越えるような高濃度となると後述するイミド化
反応時にゲル化したりして好ましくない。
【0022】酸変性ブロック共重合体中における官能基
の形態としては、酸無水物基が最も好ましいが、不飽和
カルボン酸無水物を使用して実質的に酸無水物基のみが
グラフトしたブロック共重合体を得た後、酸無水物基の
一部が開環した形態の物であっても良い。酸無水物基等
がグラフトしているかそうでないかは、アセトンなどの
ポリマーを完全に溶解しない溶媒を用いて未反応の不飽
和カルボン酸類を抽出した後、赤外線分光分析や核磁気
共鳴分析、化学的滴定法などの手法を用いて確認するこ
とができる。
【0023】本発明のイミド基含有ブロック共重合体
は、上記した酸変性ブロック共重合体とアミノ基を含有
するアルコール類の反応により製造する。両者の反応
は、酸無水物基等とアミノ基との反応が優先的に起き、
アミド酸構造を経て、イミド構造へと変換しているもの
と推定される。アミド酸構造からイミド構造への変換
は、加熱が有効な手段となる。変性の条件としては、出
発ポリマーとなる酸変性ブロック共重合体中の酸無水物
基等1モルに対し、0.1〜5倍モルのアミノ基を含有
するアルコール類を用いることができ、反応による粘度
の上昇やゲル化などの好ましくない副反応を伴う場合に
は、0.25〜2倍モルの範囲が推奨され、一般には、
150℃以上の温度で混合するのが効率的である。
【0024】混合の方法としては、トルエンなどの反応
に関与しない溶媒中で反応させても良いし、押出機やニ
ーダー、ミキサーなどを使用してバルクの状態で混合、
反応させても良い。酸変性ブロック共重合体中の酸無水
物基等とアミノ基を含有するアルコール類との反応によ
って得られる側鎖の数は、平均値として計算される該イ
ミド基含有ブロック共重合体1分子当り0.5個以上、
好ましくは1個以上、さらに好ましくは2個以上であ
る。0.5個未満では改質の効果が期待できない。
【0025】アミノ基を含有するアルコール類として
は、1級のアミノ基を1個と1個以上のヒドロキシル基
を有するモノアルコールまたは多価アルコールであり、
その例としては、2−アミノエタノール(モノエタノー
ルアミン)、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミ
ノエチル−1−エタノール、2−アミノプロピル−1−
エタノール、2−アミノエチル−1−メチル−1−エタ
ノ−ル、2−アミノヘキシル−1−エタノール、エチレ
ンジアミンとモノクロルヒドリンまたは2,3−エポキ
シプロパノールとの反応物などをあげることができる。
【0026】上記反応は、赤外線分光分析や核磁気共鳴
分析、化学的滴定法などの手法を用いて容易に確認する
ことができる。なお、酸無水物基等とアミノ基の反応を
阻害しない範囲で、酸化防止剤や光安定剤、紫外線吸収
剤、着色剤、有機・無機の充填材、粘着性付与剤、パラ
フィンオイルなどの軟化剤、可塑剤、低分子量ポリオレ
フィン樹脂、ワックス類、アスファルト、ポリエチレン
やポリスチレンなどの熱可塑性樹脂、未変性ブロック共
重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、スチ
レン−ブタジエン共重合体ゴムやその水素添加物などを
併用することができる。
【0027】
【発明の効果】本発明のイミド基含有ブロック共重合体
は、グラフトした酸無水物基を有する芳香族ビニル化合
物と共役ジエン化合物またはそれらの水素添加物とから
なるブロック共重合体では不足していたイソシアネート
化合物との反応性に富み、変性ブロック共重合体の単独
系はもとより、種々配合して使用される粘着剤や接着
剤、エラストマー組成物などの架橋による高性能化に役
立つ。また、ポリオレフィン樹脂などのポリマー多成分
系の相容化剤や耐衝撃改良剤などとしての効果を維持し
つつ、グラフトした酸無水物基を有するブロック共重合
体では不十分だった接着性や塗装性のいっそうの改善に
役立つ。
【0028】
【実施例】次に本発明について実施例により具体的に説
明する。これらは本発明の実施態様を例示するものでは
あるが、本発明をなんら限定するものではない。
【0029】
【実施例1】スチレン含量:30重量%、ポリスチレン
換算数平均分子量:48,000、共役ジエン化合物の96%
が水添されたA−B−A−B型ブロック共重合体と無水
マレインおよびパーヘキサ25B(ラジカル発生剤)と
を押出機に供給し、1分子当たり平均して2個のグラフ
トした酸無水物基を有する酸変性ブロック共重合体を得
た。ついで該酸変性ブロック共重合体中の酸無水物基1
モルに対し、1モルの割合の2−アミノエタノールを配
合し、押出機を用いて樹脂温度220℃で混合した。
【0030】上記の最終生成物のトルエン溶液をシリコ
ーン剥離紙上に流延し、60℃で1時間乾燥して約30
μmのフィルムにした。このフィルムの赤外線吸収スペ
クトルを調べたところ、出発ポリマーの酸無水物基に基
づく吸収ピーク(1980cm-1付近)が小さくなって、出発
ポリマーには存在しなかったイミド基の吸収に基づくピ
ーク(1700cm-1付近)が認められた。
【0031】
【実施例2】実施例1と同様の構造を有するブロック共
重合体であって、1分子当たり平均して10個のグラフ
トした酸無水物基を有する酸変性ブロック共重合体中の
酸無水物基1モルに対し、0.5モルの割合の2−アミ
ノエタノールを配合し、押出機を用いて樹脂温度270
℃で混合した。得られた最終生成物をトルエンに溶解
し、実施例1と同様の方法で赤外線吸収スペクトルの変
化を調べたところ、出発ポリマーの酸無水物基に基づく
吸収ピークが小さくなると同時に、イミド基に基づく吸
収ピークがあらわれ、その濃度は実施例1より多かっ
た。
【0032】
【実施例3】スチレン含量:30重量%、ポリスチレン
換算数平均分子量:35,000、共役ジエン化合物の97%
が水添されたA−B−A−B型ブロック共重合体と無水
マレイン酸およびパーヘキサ25B(ラジカル発生剤)
とを押出機に供給してえられた1分子当たり平均して7
個のグラフトした酸無水物基を有する酸変性ブロック共
重合体中の酸無水物基1モルに対し、1モルの割合の2
−アミノエタノールを配合し、押出機を用いて樹脂温度
200℃で混合した。
【0033】得られた最終生成物のメルトフローレート
をASTM D1238に規定する190℃、2.16
kgの条件で測定したところ、5g/10分(出発ポリ
マーのメルトフローレート:10g/10分)であっ
た。また、トルエンに溶解したところ、良好な溶解性を
示し、ゲル化など好ましくない副反応は生じていなかっ
た。
【0034】
【実施例4】スチレン含量:40重量%ーポリスチレン
換算数平均分子量:100,000 のA−B−A型構造のブロ
ック共重合体と無水マレイン酸およびスミライザーGM
(ゲル化防止用安定剤)とを押出機に供給してえられた
1分子当たり平均して3個のグラフトした酸無水物基を
有する酸変性ブロック共重合体中の酸無水物基1モルに
対し、1モルの割合の2−アミノプロピル−1−エタノ
ールを配合し、押出機を用いて樹脂温度220℃で混合
した。得られた最終生成物をトルエンに溶解し、実施例
1と同様の方法で赤外線吸収スペクトルの変化を調べた
ところ、出発ポリマーの酸無水物基はイミド基に変換し
ていた。
【0035】
【実施例5】実施例1のイミド基含有ブロック共重合体
の20重量%のトルエン溶液を作成し、ヘキサメチレン
ジイソシアネート(試薬)を、該ブロック共重合体10
0重量部に対し1重量部加え、室温にて1時間攪拌後、
シリコーン剥離紙上に流延して風乾し、厚さ約25μm
のフィルムを得た。その後室温にて4日保持したこのフ
ィルムの0.2gを100メッシュのステンレス金網に
包んで容器にいれ、30mlのトルエンを加えて室温に
て16時間静置後、3時間振とうした。その後容器から
取り出し、80℃で1時間乾燥した。金網に残ったトル
エン不溶分は35重量%であり、ヘキサメチレンジイソ
シアネートにより架橋できた。
【0036】
【比較例1】実施例1の出発ポリマーであるグラフトし
た酸無水物基を有するブロック共重合体とジイソシアネ
ート化合物との反応性を、実施例5と同様の方法で調べ
たところ、トルエン不溶分は0.5重量%であり、ほと
んど架橋していなかった。
【0037】
【実施例6】実施例3で得られた本発明のイミド基含有
ブロック共重合体の30重量部と、JIS K6760
に規定する方法で測定した密度が0.920g/c
3 、メルトフローレートが2.0g/10分の直鎖低
密度ポリエチレン(LLDPE)の70重量部とからな
るポリエチレン樹脂組成物を押出機を用いて造粒し、次
いで射出成形法にて厚さ3mmの試験片を作成した。
【0038】この試験片の表面をエチルアルコールにて
洗浄・乾燥後、イソシアネート基を有するウレタン系塗
料(長島特殊塗料(株)製サンコートグレーズV−商品
名)を吹付け、乾燥・硬化(60℃/60分)させて、
塗膜厚さ0.025mmを有する塗装試験片を得た。上
記試験片について、JIS K5400に規定する碁盤
目(1mm間隔)テープ法による塗膜の付着性を調べ
た。結果を表1に示す。
【0039】
【比較例2】実施例3の本発明のイミド基含有ブロック
共重合体の出発ポリマーである酸変性ブロック共重合体
を使用して、実施例6と同様にしてLLDPE/酸変性
ブロック共重合体=70重量部/30重量部のポリエチ
レン樹脂組成物からなる試験片を作成し、実施例6と同
様にして塗装試験片を得た。上記試験片について、JI
S K5400に規定する碁盤目(1mm間隔)テープ
法による塗膜の付着性を調べた。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】無水マレイン酸がグラフトしたブロック共重合
体(出発ポリマー)の赤外線吸収スペクトル(a)と、
無水マレイン酸がグラフトしたブロック共重合体と2−
アミノエタノールとを押出機を用いて220℃で加熱混
練してえられたポリマー(本発明のイミド基含有ブロッ
ク共重合体)の赤外線吸収スペクトル(b)。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年7月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】そして、共役ジエン化合物またはその水素
添加物を主体とする重合体ブロックBは、そのブロック
におけるミクロ構造を任意に選ぶことができ、例えば、
水素添加前のポリブタジエンブロックの場合において、
1,2−ビニル結合構造が25〜65%、好ましくは3
5〜50%である。上記した構造を有するブロック共重
合体の数平均分子量は、5,000〜500,000好
ましくは10,000〜300,000の範囲であり、
分子量分布[重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)との比(Mw/Mn)]は10以下が好まし
い。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】上記の最終生成物のトルエン溶液をシリコ
ーン剥離紙上に流延し、60℃で1時間乾燥して約30
μmのフィルムにした。このフィルムの赤外線吸収スペ
クトルを調べたところ、出発ポリマーの酸無水物基に基
づく吸収ピーク(1780cm-1付近)が小さくなって、出発
ポリマーには存在しなかったイミド基の吸収に基づくピ
ーク(1700cm-1付近)が認められた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1個のビニル芳香族化合物を
    主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエ
    ン化合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロッ
    ク共重合体またはその水素添加物を幹ポリマーとするグ
    ラフトした酸無水物基もしくはジカルボン酸基またはそ
    れら両者の基を有する酸変性ブロック共重合体と、アミ
    ノ基を含有するアルコール類とを反応させて得られるイ
    ミド基含有ブロック共重合体。
  2. 【請求項2】 少なくとも1個のビニル芳香族化合物を
    主体とする重合体ブロックがビニル芳香族化合物を50
    重量%以上含有する重合体ブロックからなり、少なくと
    も1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック
    が共役ジエン化合物を50重量%以上含有する重合体ブ
    ロックからなるブロック共重合体またはその水素添加物
    である請求項1記載のイミド基含有ブロック共重合体。
  3. 【請求項3】 ビニル芳香族化合物がスチレンであり、
    共役ジエン化合物がブタジエンもしくはイソプレンまた
    はそれらの組み合わせである請求項1記載のイミド基含
    有ブロック共重合体。
  4. 【請求項4】 アミノ基を含有するアルコール類が、1
    個のアミノ基と1個以上のヒドロキシル基を有するモノ
    アルコールもしくは多価アルコールの1種または2種以
    上の混合物である請求項1記載のイミド基含有ブロック
    共重合体。
  5. 【請求項5】 少なくとも1個のビニル芳香族化合物を
    主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエ
    ン化合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロッ
    ク共重合体またはその水素添加物を幹ポリマーとするグ
    ラフトした酸無水物基もしくはジカルボン酸基またはそ
    れら両者の基を有する酸変性ブロック共重合体と、アミ
    ノ基を含有するアルコール類とを反応させて得られるイ
    ミド基含有ブロック共重合体の製造に際し、酸変性ブロ
    ック共重合体に含まれるグラフトした酸無水物基もしく
    はジカルボン酸基またはそれらの両者の基の合計モル数
    に対し、0.1〜5倍モルのアミノ基を含有するアルコ
    ール類を加熱下に反応させることを特徴とするイミド基
    含有ブロック共重合体の製造方法。
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