JPH06179618A - キトサン硬カプセルおよびその製造法 - Google Patents

キトサン硬カプセルおよびその製造法

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JPH06179618A
JPH06179618A JP35349792A JP35349792A JPH06179618A JP H06179618 A JPH06179618 A JP H06179618A JP 35349792 A JP35349792 A JP 35349792A JP 35349792 A JP35349792 A JP 35349792A JP H06179618 A JPH06179618 A JP H06179618A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 脱アセチル化度が60〜98モル%のキトサンを
皮膜形成成分とし、全重量分あたり5〜50重量%のシリ
カ微粒子を含有させてなるキトサン硬カプセル及びその
製造法。 【効果】 原料のキトサン溶液の粘度を適当に高め、カ
プセル乾燥時の液だれを防止し、カプセルの膜厚を一定
にすることができる。その結果、カプセル中の薬剤を均
一に大腸で放出することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はキトサン硬カプセル、さ
らに詳しくはキトサンを皮膜形成成分とし、均一な膜厚
を有し薬剤を大腸まで搬送するのに有効なキトサン硬カ
プセルおよびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より不快な臭味や刺激性を有する薬
剤の経口投与のために、ゼラチンからなる硬カプセルが
広く使用されている。硬カプセルはまた、錠剤で見られ
る崩壊性の難点やそれにともなう吸収性の悪化、さら
に、打錠時の圧力等による薬剤の変質を回避するために
も有効な手段である。一方、近年になり、種々の目的の
ために大腸への薬物等の搬送の必要性、有効性が議論さ
れるようになった。その対象のひとつはポリペプチド系
製剤である。化学的に不安定なポリペプチドを大腸へ直
接的に搬送することにより、胃酸や小腸内のプロテアー
ゼ等による分解が防止でき、これまで注射によってのみ
可能であったポリペプチドの経口投与が可能となると期
待される。また、潰瘍性大腸炎やクローン病のような大
腸疾患の治療薬は直接大腸患部に作用させる必要がある
が、そのバイオアベイラビリティーを高め、極力少量の
投与で薬効を発現させ、かつ副作用を最小限に抑制する
には、やはり薬剤の大腸へ直接的な搬送が有効である。
さらに、ビフィズス菌等の整腸剤においても、胃や小腸
の化学的に厳しく、また、好気的環境から嫌気性である
ビフィズス菌を保護し、本来の定着場所である大腸まで
生菌のまま搬送することが望まれる。これらの目的のた
めに、上記のゼラチン硬カプセルを使用した場合には、
カプセルは通常は胃内で溶解し、また、たとえゼラチン
硬カプセル表面を腸溶性基剤で被覆したいわゆる腸溶性
カプセルを用いても、それは十二指腸あるいは小腸で溶
解するため目的は達成できない。
【0003】本発明者らは、以前よりこれらの目的のた
めに使用できるカプセルを検討し、すでにキトサンを主
剤とするカプセル表面にpHが5以上で可溶な重合体の被
覆をした大腸崩壊性硬カプセルを開発した(特開平4-4
1422号公報参照)。このカプセルは、キトサンの化学的
特性と極めて多くの微生物が存在するという大腸内の特
異な環境条件を巧みに利用したものであり、消化管内の
滞留時間に依存せず、確実に大腸のみにおいて崩壊する
という点で非常にすぐれた特性を有している。硬カプセ
ルの成形は、一般的にカプセル成形用原液に先端が半円
上の型を浸漬し、次いでゆっくりと引き上げることによ
り、型表面に原液の均一な厚みの膜を形成し、その後乾
燥、固化することにより実施される。ゼラチンカプセル
の場合は、原液の温度をゼラチン溶液のゲル化温度以上
に保つことにより、型の浸漬、引き上げ時の流動性を確
保し、型を引き上げた後は冷却して液膜をゲル化させ、
ゲル化温度以下で乾燥することにより均一な膜厚のカプ
セルが得られる。しかしながら、キトサン硬カプセルの
場合は、キトサン溶液を冷却により容易にゲル化するこ
とはできないため、乾燥工程においてキトサン溶液の液
だれが生じ、均一な膜厚のカプセルを得ることは非常に
困難である。本発明者らは、引き上げ速度の制御等によ
り、あらかじめ液だれを見越した溶液厚みを形成させた
り、あるいは引き上げ後ただちにアルカリ溶液等に浸漬
して液膜を凝固させ、その後乾燥する等の方法によりあ
る程度の改良を達成したが、いずれの方法もその確実
性、あるいは生産性の点で満足できるものではなかっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のこの
ようなキトサン硬カプセルの欠点を除去することを目的
としてなされたものである。すなわち、本発明は、均一
な膜厚の成形が容易であるキトサン硬カプセルおよびそ
の製造法を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らはキトサン溶液の液だれを防止し得る増
粘方法を種々検討した結果、キトサン溶液にシリカ微粒
子を添加することにより、硬カプセルの成形に最適な粘
性を有する増粘が可能となり、その結果均一な膜厚のキ
トサン系硬カプセルが容易に成形できることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。キトサン溶液にシリカ
微粒子を添加した場合の増粘は、単にキトサン濃度を高
くする等の方法による増粘とは大きく異なり、静置状態
では粘度は高いがせん断応力により粘度が低下するとい
う、いわゆるチキソトロビー性を有する。これはシリカ
表面のシラノール基が静置状態では互いに水素結合によ
る三次元的な網目構造を形成するが、応力下ではこの構
造が分解することによるものである。この特性により、
硬カプセル成形において型の浸漬、引き上げ時には適当
な流動性を有し、乾燥時には増粘して液だれが防止され
るという好ましい結果が得られる。
【0006】本発明で使用するシリカ微粒子には特に限
定はないが、増粘効果が高いという点で、四塩化ケイ素
を酸水素塩中で高温加水分解することによって得られ
る、いわゆる気相法または乾式法シリカと呼ばれるもの
が好ましく、また、その一次粒子径は15nm以下のものが
良い。このシリカ微粒子は、日本薬局方に軽質無水ケイ
酸として収載されているものであり、生体に対する安全
性もよい。本発明におけるシリカ微粒子の添加量は、カ
プセル重量当り5〜50重量%、更に好適には10〜30重量
%である。この範囲より少ない場合は十分な増粘効果が
得られないため液だれが生じ、また、高い場合は原液の
チキソトロピー性が高くなり過ぎ、乾燥工程において溶
媒の揮発に伴う塗膜の体積減少が円滑に進行しないため
にクラックを生じ、連続皮膜が形成できなくなる。
【0007】硬カプセルの皮膜形成成分として使用する
キトサンは、かに、えび等の甲殻類の外殻に存在するキ
チンを、通常濃アルカリで脱アセチル化して得られる多
糖類であるが、本発明では脱アセチル化度が60〜98モル
%のキトサンが使用される。キトサンの脱アセチル化度
が60モル%に満たない場合は、その溶解性が劣るためカ
プセル成形用の原液の調製が困難となり、また、98モル
%より高い場合には、キトサン膜の結晶性が高くなり、
大腸での崩壊性が著しく低下するため好ましくない。キ
トサン硬カプセルが、大腸において選択的に良好に分解
する機構は完全に明らかではないが、キトサンが各種の
酸に易溶であり、また、良好な生分解性を有するという
良く知られた特性から考え、大腸に数多く存在する嫌気
性微生物が産生する酢酸、乳酸、ギ酸等の有機酸によ
り、また、リゾチーム等の酵素によりキトサンが溶解、
または、分解することによるものと思われる。
【0008】本発明におけるキトサン硬カプセルを製造
するには、カプセル重量当り5〜50重量%のシリカ微粒
子を分散させた酸水溶液に、脱アセチル化度が60〜98モ
ル%のキトサンを溶解した原液を乾燥、固化して成形
後、アルカリ処理により酸を除去することにより実施さ
れる。成形原液に上記したようなチキソトロピー性を付
与するには、シリカ微粒子を十分に分散させることが肝
要であるが、そのためにはキトサンを溶解する溶媒中
に、あらかじめシリカ微粒子を高速ホモジナイザー等に
より良く分散させた後、キトサンを溶解する必要があ
る。キトサンの溶媒としては各種の酸が使用し得るが、
比較的高濃度の溶液の調製が容易であるという点で、酢
酸、乳酸、ギ酸等が好ましい。原液よりカプセルを成形
するには、例えば、ステンレススチールや表面をクロム
メッキした金属製の型、あるいは高密度ポリエチレンや
四フッ化エチレン等のプラスチックの型を原液に浸漬
し、その後引き上げ乾燥すればよい。本発明では、上記
のシリカ微粒子の液だれ防止効果により、比較的高温で
の乾燥が実施でき高い生産性が達成できる。成形したカ
プセルは、その後アルカリ溶液に浸漬してカプセル中に
残存した酸を中和し、さらに良く洗浄して生成した塩お
よび余剰のアルカリを除去する。
【0009】本発明のカプセルには、上記のキトサン、
シリカ微粒子以外に、大腸での崩壊速度を高めたり、剛
性や寸法安定性等を改良するために、各種の有機、無機
フィラーを添加することが有効である。このためのフィ
ラーとしては、コメデンプン、バレイショデンプン、ト
ウモロコシデンプン等の澱粉粒子、粉末状あるいは微細
化したセルロース、タルク、カオリン等を例示できる。
さらに、カプセルには必要により着色剤、遮光剤等を適
宜添加することができる。
【0010】このようにして製造されたキトサン硬カプ
セルは、中に薬剤を充填後、表面に耐胃液性を付与する
ための被覆を施すことにより、大腸崩壊性カプセル製剤
とすることができる。耐胃液性を付与するための材料
は、従来より広く使用されている各種の腸溶性基剤が使
用でき、たとえば、メタアクリル酸メタアクリル酸メチ
ル共重合体、メタアクリル酸アクリル酸エチル共重合
体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサ
クシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタ
レート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテー
トサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、
セルロースアセテートフタレート、セラック等を例示で
きる。本発明でこのようにして得られたキトサン硬カプ
セルは、インシュリン、バソプレシン、カルシトニン等
のポリペプチド、サラゾスルファピリジン、プレドニゾ
ロン、デキサメタゾン等の潰瘍性大腸炎薬、ビフィズス
菌等の乳酸菌整腸剤等の薬剤の硬カプセルとして有用で
ある。
【0011】以下に実施例を示し、本発明およびその効
果を具体的に説明する。
【実施例1】3.6重量%の酢酸水溶液440gに一次粒子径
が7nmの気相法シリカ微粒子〔日本アエロジル(株)
製、アエロジル 380〕17gおよびコメデンプン粒20gを
高速ホモジナイザーを用いて良く分散させた。次に、そ
こに脱アセチル化度が81モル%のキトサン〔(株)共和
テクノス製、フローナックC〕40gを投入し撹拌してキ
トサンを溶解し、その後減圧下で5時間静置して混入し
た気泡を除去して、カプセル成形用原液を調製した。B
型回転粘度形(SB4号スピンドル、6rpm)で測定した原液
の粘度は、20℃において88000cpsであった。この原液
に、表面をクロムメッキしたカプセル金型を浸漬し、次
いで80mm/minの速度で型を引き上げ、先端を上にして70
℃で熱風乾燥してカプセルを成形した。成形したカプセ
ルは、長さを整えた後、濃度が 0.5重量%の水酸化ナト
リウムの10重量%含水エタノール溶液に浸漬して酢酸を
中和し、その後10重量%の含水エタノールで十分に洗浄
して3号サイズのキトサン硬カプセルを得た。このカプ
セルを縦方向に切断して膜厚を測定したところ、85〜97
μm のほぼ均一な膜厚であった。また、このカプセルの
23℃、50%RHにおける圧縮強度は、3.1kg あり、市販ゼ
ラチン硬カプセルの 3.3kgと比較しても、実用上十分な
強度を有していた。
【0012】
【実施例2】4.6重量%の酢酸水溶液610gに一次粒子径
が12nmの気相法シリカ微粒子〔日本アエロジル(株)
製、アエロジル 200〕29gおよび平均粒子長が18μm の
粉末状セルロース〔J.Rettenmaier & Sohne GmbH+Co.
製、ARBOCEL BE600-10〕17gを良く分散させ、さらに脱
アセチル化度が84モル%のキトサン〔焼津水産化学工業
(株)製、キトサンEL〕70gを溶解し、減圧脱泡して、
カプセル成形用原液を調製した。B型回転粘度形(SB4号
スピンドル、6rpm)で測定した原液の粘度は、20℃にお
いて76000cpsであった。この原液より、型の引き上げ速
度が60mm/minであるほかは、実施例1と同様の方法にて
カプセルを成形し、その後アルカリ処理、洗浄して3号
サイズのキトサン硬カプセルを得た。このカプセルの膜
厚は、79〜92μm とほぼ均一であった。また、このカプ
セルの23℃、50%RHにおける圧縮強度は 3.2kgあり、実
用上十分な強度を有していた。
【0013】
【実施例3】実施例1と同様の方法にて、キトサン41
g、シリカ微粒子9g、バレイショデンプン18gより、
3号サイズの硬カプセルを作成した。原液の固形分濃度
は15.6%、20℃における粘度は67000cpsであった。この
カプセルは、膜厚が72〜81μm 、圧縮強度は 2.8kgであ
り、均一な膜厚と十分な圧縮強度を有していた。
【0014】
【比較例1】5.1重量%の酢酸水溶液390gにコメデンプ
ン粒55g良く分散させた後、脱アセチル化度が81モル%
のキトサン〔(株)共和テクノス製、フローナックC〕
55gを溶解し、減圧脱泡してカプセル成形用原液を調製
した。B型回転粘度形(SB4号スピンドル、6rpm)で測定
したこの原液の粘度は、20℃において98000cpsであっ
た。この原液より、型の引き上げ速度50mm/minで、実施
例1と同様の方法にてカプセルを成形し、その後アルカ
リ処理、洗浄して3号サイズのキトサン硬カプセルを得
た。こうして得られたカプセルの膜厚を測定したとこ
ろ、乾燥時における液だれにより、カプセル先端部は40
μm と薄く、逆に下方部のもっとも厚い部分は 180μm
となっており、極めて膜厚が不均一なカプセルであっ
た。また、このカプセルの23℃、50%RHにおける圧縮強
度は 1.2kgと弱いためにつぶれ易いものであった。
【0015】
【比較例2及び3】シリカ微粒子およびフィラーの含量
を変えて実施例1と同様にしてキトサン硬カプセルを製
造した。このカプセル原液の粘度、カプセルの膜厚圧縮
強度を測定したところ次のようになり、シリカ微粒子の
含量10〜30重量%の硬カプセルが最適であることが判明
した。
【0016】
【表1】
【0017】
【発明の効果】本発明では脱アセチル化度が60〜98モル
%のキトサンに、全固形分当り5〜50重量%のシリカ微
粉末を含有させてキトサン硬カプセルを製造したので、
硬カプセル製造のさいの乾燥工程においてキトサン溶液
の粘度がチキソトロピー的に高まり、液だれが生じるこ
とがない。その結果、均一な膜厚のカプセルを得ること
ができ、カプセル中に収納した薬剤を確実に大腸まで搬
送することができる。また、カプセルの圧縮強度が高く
なりカプセルがつぶれにくく実用上価値の高いものとな
った。
【手続補正書】
【提出日】平成5年1月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】従来より不快な臭味や刺激性を有する薬
剤の経口投与のために、ゼラチンからなる硬カプセルが
広く使用されている。硬カプセルはまた、錠剤で見られ
る崩壊性の難点やそれにともなう吸収性の悪化、さら
に、打錠時の圧力等による薬剤の変質を回避するために
も有効な手段である。方、近年になり、種々の目的の
ために大腸への薬物等の搬送の必要性、有効性が議論さ
れるようになった。その対象のひとつはポリペプチド系
製剤である。化学的に不安定なポリペプチドを大腸へ直
接的に搬送することにより、胃酸や小腸内のプロテアー
ゼ等による分解が防止でき、これまで注射によってのみ
可能であったポリペプチドの経口投与が可能となると期
待される。また、潰瘍性大腸炎やクローン病のような大
腸疾患の治療薬は直接大腸患部に作用させる必要がある
が、そのバイオアベイラビリティーを高め、極力少量の
投与で薬効を発現させ、かつ副作用を最小限に抑制する
には、やはり薬剤の大腸へ直接的な搬送が有効である。
さらに、ビフィズス菌等の整腸剤においても、胃や小腸
の化学的に厳しく、また、好気的環境から嫌気性である
ビフィズス菌を保護し、本来の定着場所である大腸まで
生菌のまま搬送することが望まれる。これらの目的のた
めに、上記のゼラチン硬カプセルを使用した場合には、
カプセルは通常は胃内で溶解し、また、たとえゼラチン
硬カプセル表面を腸溶性基剤で被覆したいわゆる腸溶性
カプセルを用いても、それは十二指腸あるいは小腸で溶
解するため目的は達成できない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らはキトサン溶液の液だれを防止し得る増
粘方法を種々検討した結果、キトサン溶液にシリカ微粒
子を添加することにより、硬カプセルの成形に最適な粘
性を有する増粘が可能となり、その結果均一な膜厚のキ
トサン系硬カプセルが容易に成形できることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。キトサン溶液にシリカ
微粒子を添加した場合の増粘は、単にキトサン濃度を高
くする等の方法による増粘とは大きく異なり、静置状態
では粘度は高いがせん断応力により粘度が低下するとい
う、いわゆるチキソトロー性を有する。これはシリカ
表面のシラノール基が静置状態では互いに水素結合によ
る三次元的な網目構造を形成するが、応力下ではこの構
造が分解することによるものである。この特性により、
硬カプセル成形において型の浸漬、引き上げ時には適当
な流動性を有し、乾燥時には増粘して液だれが防止され
るという好ましい結果が得られる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】本発明で使用するシリカ微粒子には特に限
定はないが、増粘効果が高いという点で、四塩化ケイ素
を酸水素中で高温加水分解することによって得られ
る、いわゆる気相法または乾式法シリカと呼ばれるもの
が好ましく、また、その一次粒子径は15nm以下のも
のが良い。このシリカ微粒子は、日本薬局方に軽質無水
ケイ酸として収載されているものであり、生体に対する
安全性もよい。本発明におけるシリカ微粒子の添加量
は、カプセル重量当り5〜50重量%、更に好適には1
0〜30重量%である。この範囲より少ない場合は十分
な増粘効果が得られないため液だれが生じ、また、高い
場合は原液のチキソトロピー性が高くなり過ぎ、乾燥工
程において溶媒の揮発に伴う塗膜の体積減少が円滑に進
行しないためにクラックを生じ、連続皮膜が形成できな
くなる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】このようにして製造されたキトサン硬カプ
セルは、中に薬剤を充填後、表面に耐胃液性を付与する
ための被覆を施すことにより、大腸崩壊性カプセル製剤
とすることができる。耐胃液性を付与するための材料
は、従来より広く使用されている各種の腸溶性基剤が使
用でき、たとえば、メタアクリル酸メタアクリル酸メチ
ル共重合体、メタアクリル酸アクリル酸エチル共重合
体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサ
クシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタ
レート、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロー
スアセテートフタレート、セラック等を例示できる。本
発明でこのようにして得られたキトサン硬カプセルは、
インシュリン、バソプレシン、カルシトニン等のポリペ
プチド、サラゾスルファピリジン、プレドニゾロン、デ
キサメタゾン等の潰瘍性大腸炎薬、ビフィズス菌等の乳
酸菌整腸剤等の薬剤の硬カプセルとして有用である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】
【発明の効果】本発明では脱アセチル化度が60〜98
モル%のキトサンに、全固形分当り5〜50重量%のシ
リカ微粉末を含有させてキトサン硬カプセルを製造した
ので、硬カプセル製造のの乾燥工程においてキトサン
溶液の粘度がチキソトロピー的に高まり、液だれが生じ
ることがない。その結果、均一な膜厚のカプセルを得る
ことができ、カプセル中に収納した薬剤を確実に大腸ま
で搬送することができる。また、カプセルの圧縮強度が
高くなりカプセルがつぶれにくく実用上価値の高いもの
となった。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】本発明者らは、以前よりこれらの目的のた
めに使用できるカプセルを検討し、すでにキトサンを主
剤とするカプセル表面にpHが5以上で可溶な重合体の
被覆をした大腸崩壊性硬カプセルを開発した(特開平4
−41422号公報参照)。このカプセルは、キトサン
の化学的特性と極めて多くの微生物が存在するという大
腸内の特異な環境条件を巧みに利用したものであり、消
化管内の滞留時間に依存せず、確実に大腸のみにおいて
崩壊するという点で非常にすぐれた特性を有している。
硬カプセルの成形は、一般的にカプセル成形用原液に先
端が半球状の型を浸漬し、次いでゆっくりと引き上げる
ことにより、型表面に原液の均一な厚みの膜を形成し、
その後乾燥、固化することにより実施される。ゼラチン
カプセルの場合は、原液の温度をゼラチン溶液のゲル化
温度以上に保つことにより、型の浸漬、引き上げ時の流
動性を確保し、型を引き上げた後は冷却して液膜をゲル
化させ、ゲル化温度以下で乾燥することにより均一な膜
厚のカプセルが得られる。しかしながら、キトサン硬カ
プセルの場合は、キトサン溶液を冷却により容易にゲル
化することはできないため、乾燥工程においてキトサン
溶液の液だれが生じ、均一な膜厚のカプセルを得ること
は非常に困難である。本発明者らは、引き上げ速度の制
御等により、あらかじめ液だれを見越した溶液厚みを形
成させたり、あるいは引き上げ後ただちにアルカリ溶液
等に浸漬して液膜を凝固させ、その後乾燥する等の方法
によりある程度の改良を達成したが、いずれの方法もそ
の確実性、あるいは生産性の点で満足できるものではな
かった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】
【比較例1】5.1重量%の酢酸水溶液390gにコメ
デンプン粒55g良く分散させた後、脱アセチル化度
が81モル%のキトサン〔(株)共和テクノス製、フロ
ーナックC〕55gを溶解し、減圧脱泡してカプセル成
形用原液を調製した。B型回転粘度形(SB4号スピン
ドル、6rpm)で測定したこの原液の粘度は、20℃
において98000cpsであった。この原液より、型
の引き上げ速度50mm/minで、実施例1と同様の
方法にてカプセルを成形し、その後アルカリ処理、洗浄
して3号サイズのキトサン硬カプセルを得た。こうして
得られたカプセルの膜厚を測定したところ、乾燥時にお
ける液だれにより、カプセル先端部は40μmと薄く、
逆に下方部のもっとも厚い部分は180μmとなってお
り、極めて膜厚が不均一なカプセルであった。また、こ
のカプセルの23℃、50%RHにおける圧縮強度は
1.2kgと弱いためにつぶれ易いものであった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】
【比較例2及び3】シリカ微粒子およびフィラーの含量
を変えて実施例1と同様にしてキトサン硬カプセルを製
造した。このカプセル原液の粘度、カプセルの膜厚およ
圧縮強度を測定したところ次のようになり、シリカ微
粒子の含量10〜30重量%の硬カプセルが最適である
ことが判明した。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱アセチル化度が60〜98モル%のキトサ
    ンを皮膜形成成分とし、カプセル重量当り5〜50重量%
    のシリカ微粒子を含有させてなることを特徴とするキト
    サン硬カプセル。
  2. 【請求項2】 カプセル重量当り5〜50重量%のシリカ
    微粒子を分散させた酸水溶液に、脱アセチル化度が60〜
    98モル%のキトサンを溶解した原液を乾燥、固化して成
    形後、アルカリ処理により酸を除去することを特徴とす
    るキトサン硬カプセルの製造法。
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