JPH0617908B2 - カルシウム分析用一体型多層分析要素 - Google Patents

カルシウム分析用一体型多層分析要素

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JPH0617908B2
JPH0617908B2 JP61194938A JP19493886A JPH0617908B2 JP H0617908 B2 JPH0617908 B2 JP H0617908B2 JP 61194938 A JP61194938 A JP 61194938A JP 19493886 A JP19493886 A JP 19493886A JP H0617908 B2 JPH0617908 B2 JP H0617908B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は水性液体試料中のカルシウム分析用一体型多層
分析要素に関し、さらに詳しくは生物体液、例えば血液
(全血、血漿、血清)、髄液、リンパ液、唾液、尿等の
水性液体試料中の全カルシウム定量分析用の乾式操作可
能で臨床診断に特に有用な一体型多層分析要素に関する
ものである。
〔従来の技術〕
カルシウムの分析法のひとつに指示薬を用いた比色定量
法があり、臨床分析などで広く利用されている。指示薬
には一般にpH10以上に呈色最適pHを有する。o−クレ
ゾールフタレインコンプレクソン(o−CPC)などが
使用されている。
ところが、カルシウムは水溶液中でアルブミン等の蛋白
質に結合する性質を有している。この性質はpHに依存
し、pH7以下例えばpH4〜5では弱く逆にpH8以上例え
ばpH10〜11では強い。用手法(溶液法)においては
試料が高倍率に希釈されていることからカルシウムのア
ルブミン等の蛋白への結合はさほど問題にはならない。
一方、試料の無希釈を原則とする乾式分析においてはア
ルブミンへの結合に基づく誤差が大きな問題となる。
この誤差を防止する手段として、特開昭54-29700号公報
にはクロロホスホナゾIII、アルセナゾIII等の指示薬を
用いてpH5〜6で呈色反応させる方法が開示されてい
る。また、特開昭61-35346号公報にはカルシウム電極を
用いてpH4〜5.5で全カルシウムを測定することにより
アルブミン等に結合したカルシウムによる誤差を排除す
るカルシウム定量方法が開示されている。
o−CPCを用いたカルシウム定量方法においてポリビ
ニルピロリドン(PVP)あるいはポリエチレングリコ
ール(PEG)を用いることについてもいくつか報告が
ある。例えば特開昭55-426号公報にはo−CPCにアミ
ノポリカルボン酸を加えてpH8〜13で血中カルシウム
を定量する方法が開示され、そのほかPVP(K30又
はK90)を用いることについても言及されている。呈
色反応は溶液法ま紙に試薬をしみ込ませた試験片を利
用して行なっている。また、Am.J.Clin.Path.,45,2
90(1966)にはo−PCPに8−ヒドロキシキノ
リンとジエタノールアミンを用いて溶液法で血中カルシ
ウム濃度を定量する方法においてPVPを加えることに
よってアルブミンの影響を抑制できることが記載されて
いる。さらに、Clinical Chemistry,26,1562−
1565(1980)には、o−CPCを用いて血中カ
ルシウム濃度を連続フロー分析する際にカルシウムの水
性標準液にPVP又はPEGを加えることが記載されてい
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
クロロホスホナゾIII等を用いた一体型多層分析要素は
吸光度のブランク値が高く、測定精度に問題があった。
電極法は電極を用いることによる種種の問題があり、簡
便さを大きな利点とする一体型多層分析要素としては好
ましいものではなかった。特開昭55-426号公報記載の方
法においてはPVPの効果について何ら触れられていな
いが、この方法では少なくとも溶血によるヘモグロビン
及びビリルビンの影響を排除できない。また、連続フロ
ー分析法においては、カルシウムの水性標準液と血清と
で透析のされ方が違うため、標準液にPVP又はPEG
を加えてカルシウムに対するアフィニティーを調節して
おり、アルブミン等の蛋白の影響の軽減については触れ
られていない。
本発明は、カルシウム分析用一体型多層分析要素におい
てこれらの問題点を解決して簡単な手段でアルブミン等
の蛋白の影響を軽減することを目的としている。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明はこのような目的を達成するべくなされたもので
あり、光透過性水不透過性支持体の上に、カルシウムイ
オンと結合して光学的に検出可能な変化をしうる指示薬
を少なくとも1種含有する試薬層および多孔性展開層を
この順に有するカルシウム分析用一体型多層分析要素に
おいて、前記展開層に平均分子量が1万〜100万のポリ
ビニルピロリドン又は平均分子量が200〜5万のポリエ
チレングリコールを0.2〜10g/m2の被覆量でを含有せ
しめたことによってこの目的を達成したものである。
本発明の多層分析要素の光透過性水不透過性支持体とし
ては従来公知の多層分析要素に用いられている光透過性
(透明な)水不透過性支持体を用いることができる。そ
の具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ビスフ
ェノールAのポリカーボネート、ポリスチレン、セルロ
ースエステル(例、セルロースジアセテート、セルロー
ストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネー
ト等)等のポリマーからなる厚さ約50μmから約1m
m、好ましくは約80μmから約300μmの範囲の透
明な、すなわち波長約200nmから約900nmの範囲内
の少なくとも一部の波長範囲の電磁輻射線を透過させる
平滑な表面を有するフィルム状(シート状)または平板
状の支持体を用いることができる。支持体中には必要に
応じて二酸化チタン微粒子、硫酸バリウム微粒子、カー
ボンブラック等を分散含有させて光学的性能を調節する
ことができる。支持体の表面には必要に応じて公知の下
塗層または接着層を設けて支持体の上に設けられる吸水
層または試薬層等と支持体との接着を強固にすることが
できる。
試薬層はカルシウムイオンと反応して検出可能な色(好
ましくは可視光領域の色)変化を生じさせる少なくとも
1種の指示薬を含む試薬組成物がポリマーバインダーと
しての親水性ポリマー中に実質的に一様に分散されてい
る吸水性で水浸透性の層である。
試薬層に用いられる親水性ポリマーは水吸収時の膨潤率
が30℃で約150%から約2000%、好ましくは約
250%から約1500%の範囲のものである。親水性
ポリマーの具体例として特開昭59-171864、特開昭60-11
5859等に記載の酸処理ゼラチン、脱イオンゼラチン等の
ゼラチン、フタン化ゼラチン、ヒドロキシアクリレート
グラフトゼラチン等のゼラチン誘導体、特開昭59-17186
4、特開昭60-115859等に記載のアガロース、ブルラン、
ブルラン誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアル
コール、ポリビニルピロリドン、特願昭60-171134に記
載のメタクリルアルコール二元又は三元コポリマー等が
ある。これらの親水性ポリマーは単独で、あるいは2種
以上を組合せて用いることができる。試薬層には一般的
にはゼラチンまたはゼラチン誘導体、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルアルコール等を用いるのが好ましく、こ
れらのうちではゼラチン(脱イオンゼラチン)が最も好
ましい。試薬層の乾燥時の厚さは約5μmから約50μ
m、好ましくは約7μmから約30μmの範囲、被覆量
では約5g/m2から約5g/m2、好ましくは約7g/m2
から約30g/m2の範囲である。
試薬層に含有される試薬組成物中の指示薬の具体例とし
て、o−クレゾールフタレインコンプレクソン(3,3′−
ビス〔〔ジ(カルボキシメチル)アミノ〕メチル〕−o
−クレゾールフタレイン〔2411-89-4〕、〔〕内の数字
はChemicai Abstoracts Registyr Numberを表す)、エ
リオクロームブラックT(1−(1−ヒドロキシ−2−
ナフチルアゾ)−6−ニトロ−2−ヒドロキシナフタレ
ン−4−スルホン酸モノナトリウム塩〔1787-61-7〕、
メチルチモールブルーコンプレクソン(3,3′−ビス
〔〔ジ(カルボキシメチル)アミノ〕メチル〕チモール
スルホンフタレインテトラチトリウム塩〔1945-77-
3〕、チモールフタレインコンプレクソン(3,3′−ビス
〔〔ジ(カルボキシメチル)アミノ〕メチル〕チモール
フタレイン〔1913-93-5〕、アルセナゾIII(2,7−ビス
〔(2−アルソノフェニル)アゾ〕−1,8−ジヒドロキ
シナフタレン−3,6−ジスルホン酸〔1668-00-4〕)、ク
ロロホスホナゾIII(2,7−ビス〔(4−クロロ−2−ホ
スホノフェニル)アゾ〕−1,8−ジヒドロキシナフタレ
ン−3,6−ジスルホン酸〔1914-99-4〕)等「ドータイト
試薬総合カタログ第12版」(熊本市(株)同仁化学研
究所、1980年発行)等に記載の指示薬がある。これ
らの指示薬のうちではo−クレゾールフタレインが最も
正確な全カルシウムの定量分析が可能な点で好ましい。
また、必要に応じて試薬組成物を2層以上の別個の層に
分けて(例えば試薬層と吸水層)含有させることもでき
る。
本発明の多層分析要素にはカルシウムイオンと指示薬が
結合して光学的に検出可能な変化をする環境pH値(以下
単に環境pH値ということがある。)を約8.0から約12.
0、好ましくは約9.0から約11.5の範囲の所望の値に緩衝
できる公知の緩衝剤から適宜選択して含有させる。
用いうる緩衝剤としては、日本化学会編「化学便覧、基
礎編」(東京、丸善(株)、1966年発行)1312-132
0頁、R.M.C.Dawson et al編「Data for Biochemical Res
earch」第2版(Oxford at the Clarendon Press,1969
年発行)476−508頁、「Biochemistry」,46
7頁以降(1966)年、「Analytical Biochemistry」
04,300−310頁(1980年)等に記載のpH緩
衝剤系がある。
pH8.0から12.0の範囲のpH緩衝剤の具体例としてトリス
(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)を含む緩衝
剤;燐酸塩を含む緩衝剤;硼酸塩を含む緩衝剤;炭酸塩
を含む緩衝剤;グリシンを含む緩衝剤;N,N−ビス(2
−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine);3−(シクロ
ヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)Na塩
またはK塩;N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−
N′−2−ヒドロキシプロパン−3−スルホン酸(HPPS)
Na塩またはK塩等;N−2−ヒドロキシエチルピペラジ
ン−N′−3−スルホン酸(EPPS)Na塩またはK塩等;N
−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕−3−アミノ
プロパンスルホン酸(TAPS)Na塩またはK塩等;N−2−
ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスルホ
ン酸(HPPS)Na塩またはK塩等;およびこれらのいずれか
と必要により組合せられる酸、アルカリまたは塩があ
る。好ましい緩衝剤の具体例として、Tris−硼酸ナトリ
ウム;Bicine;HEPPS;HEPPS;ナトリウム塩;EPPS;EPPS
ナトリウム塩;CAPS,CAPSナトリウム塩;TAPS;TAPSナト
リウム塩等がある。試薬層又は後述する吸水層、中間層
の親水性バインダーポリマーとしてゼラチン又はゼラチ
ン誘導体を用いる場合には、ビニルスルホン構造含有架
橋剤でこれらの層の適当な架橋硬化が、でき塗布により
これらの層が安定に設けられ、高精度の定量分析が実施
可能という観点から硼酸又は硼酸ナトリウム含有pH緩衝
剤又はCAPS、CAPSナトリウムが好ましい。pH緩衝剤は支
持体と後述する多孔性展開層の間の少なくとも一層に含
有させればよく、試薬層、吸水層等に含有させることも
できる。但し、試薬層以外の層に展開させる場合には試
薬層よりも多孔性展開層側の層に含有させることが望ま
しい。
試薬層には公知の媒染剤、ポリマー媒染剤等を含有させ
ることができる。試薬層および/または吸水層は実質的
に透明であることが好ましいが、必要に応じて層中に二
酸化チタン微粒子、硫酸バリウム微粒子、カーボンブラ
ック等を少量分散含有させて光学的性能を調節すること
ができる。
多孔性展開層としては特開昭55−164356、特開昭57−66
359等に記載の織物展開層(例、ブロード、ポプリン等
の平織等)、特開昭60−222769等に記載の編物展開層
(例、トリコット編、ダブルトリコット編、ミラニーズ
編等)、特開昭57−148250に記載の有機ポリマー繊維パ
ルプ含有抄造紙からなる展開層、特公昭53−21677、米
国特許第3992158等に記載のメンブランフィルタ(ブラ
ッシュポリマー層)、ポリマーミクロビーズ、ガラスミ
クロビーズ、珪藻土が親水性ポリマーバインダーに保持
されてなる連続微空隙含有多孔性層等の非繊維等方的多
孔性展開層、特開昭55−90859に記載のポリマーミクロ
ビーズが水で膨潤しないポリマー接着剤で点接触状に接
着されてなる連続微空隙含有多孔性層(三次元格子状粒
状構造物層)からなる非繊維等方的多孔性展開層等を用
いることができる。
多孔性展開層に用いられる織物生地、織物生地又は抄造
紙は特開昭57−66359に記載のグロー放電処理またはコ
ロナ放電処理に代表される物理的活性化処理を布生地の
少なくとも片面に施すか、または特開昭55−164356、特
開昭57−66359等に記載の水洗脱脂処理、親水性ポリマ
ー含浸等親水化処理、またはこれらの処理工程を適宜に
組み合せて逐次実施することにより布生地を親水化し、
下側(支持体に近い側)の層との接着力を増大させるこ
とができる。
本発明はこのような一体型多層分析要素において前記試
薬層より上の少なくとも一層にポリビニルピロリドン
(PVP)又はポリエチレングリコール(PEG)を含
有せしめるところに特徴がある。PVPは平均分子量約
1万〜約100万、好ましくは約2万〜約80万のもの
がよく、PEGは平均分子量約200〜約5万、好まし
くは約2000〜約2万のものが適当である。PVPあ
るいはPEGを含有せしめる層はなるべく上の層が好ま
しく多孔性展開層が最適である。展開層に隣接する層、
例えば接着層がその次に好ましい。一方、PVP,PE
Gは一層に限らず複数の層に含有せしめることもでき
る。含有させる方法は、PVP,PEGを水あるいはエ
タノール、メタノール、塩化メチレン、クロロホルム、
酢酸等の有機溶媒に溶解して当該層へ塗布あるいは噴霧
すればよい。PVPあるいはPEGの被覆量はいずれも
約0.2g/m2〜約10g/m2であり、約0.5g/m2〜約5
g/m2が好ましい。PVPとPEGは併用することがで
き、その場合前記被覆量は両者の和になる。
本発明の多層分析要素にはこれら以外にも層を設けるこ
とができる。支持体と試薬層の間には吸水層を設けるこ
とができる。吸水層は水を吸収して膨潤する親水性ポリ
マーを主成分とする層であって、吸水層の界面に到達ま
たは浸透した水性液体試料の水を吸収できる層であり、
全血試料を用いる場合には水性液体成分である血漿の試
薬層への浸透を促進する作用を有する。吸水層に用いら
れる親水性ポリマーは前述の試薬層に用いるもののなか
から選択すればよい。一般的にはゼラチンまたはゼラチ
ン誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール
を用いるのが好ましく、これらのうちではゼラチン(脱
イオンゼラチン)が最も好ましい。
吸水層の乾燥時の厚さは約3μmから約100μm、好
ましくは約5μmから約30μmの範囲、被覆量では約
3g/m2から約100g/m2、好ましくは約5g/m2
ら約30g/m2の範囲である。吸水層には後述するpH緩
衝剤、公知の塩基性ポリマー等を含有させて使用する時
(分析操作実施時)のpHを調節することができる。さら
に吸水層には公知の媒染剤、ポリマー媒染剤等を含有さ
せることができる。
本発明の多層分析要素には、また展開層と試薬層の間に
少なくとも蛋白質を透過させない親水性非孔質中間層が
設けることができる。親水性非孔質中間層は吸水層に用
いられるのと同様な親水性ポリマーバインダー又は架橋
された親水性ポリマーバインダーからなり、高分子量の
蛋白質、殊にアルブミンやグロブミンを通過させない厚
さを有する層である。親水性非孔質中間層(以下、中間
層ということがある)には一般的にはゼラチンまたはゼ
ラチン誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコ
ール等を用いるのが好ましく、これらのうちではゼラチ
ン(脱イオンゼラチン)が最も好ましい。中間層の乾燥
時の厚さは約3μmから約20μm、好ましくは約5μ
mから約15μmの範囲である。中間層には前述のpH緩
衝剤、公知の塩基性ポリマー等を含有させて分析乾燥時
のpHを調節することができる。中間層中には二酸化チタ
ン微粒子、硫酸バリウム微粒子等を非孔質を損なわない
範囲で分散含有させて光遮蔽層の機能もあわせ持たせる
ことができる。
試薬層は又は中間層の上には展開層を強固に接着一体化
する目的でゼラチンに代表される吸水層に用いられるの
と同様な親水性ポリマーからなる公知の接着層を設ける
ことができる。接着層の乾燥時の厚さは約0.5μmから
約5μmの範囲である。
試薬層、吸水層、中間層、接着層、展開層等には界面活
性剤を含有させることができる。その例としてノニオン
性界面活性剤がある。ノニオン性界面活性剤の具体例と
して、p−オクチルフェノキシポリエトキシエタノー
ル、p−ノニルフェノポリエトキシエタノール、ポリオ
キシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノラウレート、p−ノニルフェノキシポリグ
リシドール、オクチルグルコシド等がある。ノニオン性
界面活性剤を展開層に含有させることにより水性液体試
料の展開作用(メータリング作用)がより良好になる。
ノニオン性界面活性剤を試薬層または吸水層に含有させ
ることにより分析操作時に水性液体試材中の水が試薬層
または吸水層に実質的に一様に吸収がされやすくなり、
また展開層との液体接触が迅速にかつ実質的に一様にな
る。
本発明の多層分析要素は、まず前述の諸特許明細書に記
載の公知のいずれかの方法により調製し、その後展開層
の上からPVPおよび/又はPEGを含有する溶液を均
一に塗布あるいは噴霧すればよい。
本発明の多層分析要素は一辺約15mmから約30mmの正方
形またはほぼ同サイズの円形等の小片に裁断し、特公昭
57−28331、実開昭56−142454号、特開昭57−63452、実
開昭58−32350号、特表昭58−501144等に記載のスライ
ド枠に収めて化学分析スライドとして用いることが、製
造、包装、輸送、保存、測定操作等諸種の観点で好まし
い。使用目的によっては、長いテープ状でカセットまた
はマガジンに収めて用いること、または小片を開口のあ
るカードに貼付または収めて用いることなどもできる。
本発明の多層分析要素を用いた液体試料中の被検成分の
分析は前述の諸特許明細書等に記載の操作により実施で
きる。すなわち約5μから約30μ、好ましくは8μ
から15μの範囲の全血、血漿、血清等の水性液体
試料滴を前処理することなく展開層に点着し、1分から
10分の範囲で、約20℃から約40℃の範囲の実質的
に一定の温度で、好ましくは37℃近傍の実質的に一定
の温度でインクベーションし、光透過性支持体側から可
視光(または近紫外線)を用いて試薬層又は吸水層の化
学濃度を反射測定し、予め作成した検量線を用いて比色
測定法の原理により液体試料中の被検成分(全カルシウ
ム)含有量を求めることができる。点着する水性液体試
料の量、インクベーション時間と温度は一定にすること
により被検成分の定量分析を高精度で実施できる。この
測定操作は特開昭56−77746、特開昭58−21566、特開昭
58−161867等に記載の化学分析装置により極めて容易な
操作で高精度の測定をすることができる。
〔作用〕
従来の一体型多層分析要素においてはアルブミンと結合
している結合型カルシウムを定量するために呈色反応を
酸性で行なわせていた。本発明の一体型多層分析要素に
おいては、点着された試料を呈色反応させる前にPVP
又はPEGと接触させることにより、呈色反応を酸性で
行なわせなくともイオン型カルシウムに加えて蛋白結合
型カルシウムも定量できる。
〔実施例〕
実施例1 厚さ180μmの無色透明ポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルム(支持体)の上に下記の組成塗布層
を、乾燥して設けた。
試薬層 脱イオンゼラチン 23.9g/m2 ノニルフェノキシポリエトキシエタノール (平均10オキシエチレン単位含有) 0.41g/m2 硼酸 1.11g/m2 o−クレゾールフタレイン コンプレクソン 0.46g/m2 8−ヒドロキシキノリン− 5−スルホン酸 1.63g/m2 水溶液をNaOHでpH10.0に調整した。
接着層 脱イオンゼラチン 1.46g/m2 ノニルフェノキシポリエトキシエタノール (平均10オキシエチレン単位含有) 0.10g/m2 二酸化チタン微粒子 0.85g/m2 ついで接着層の表面に水をほぼ一様に供給して湿潤さ
せ、その上に100S相当のPET紡績糸からなる厚さ
約250μmのトリコット編物生地をほぼ一様に軽く圧
力をかけてラミネートして展開層を設けた。ついで展開
層の上から下記の被覆量になるようにポリマー水溶液を
塗布し乾燥させてカルシウム定量用一体型多層分析要素
を調製した。
ポリマー水溶液被覆組成 ポリビニルピロリドン (平均分子量36万) 2.0g/m2 ノニルフェノキシポリエトキシエタノール (オキシエチレン単位平均10含有) 6.2g/m2 水溶液をNaOHでpH10.0に調整した。
実施例2 実施例1においてポリマー水溶液の代わりに下記の水溶
液を用いてカルシウム定量用一体型多層分析要素を調製
した。
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 5.8g/m2 ポリエチレングリコール (平均分子量300) 4.0g/m2 ノニルフェノキシポリエトキシ エタノール 6.2g/m2 比較例1 実施例1においてポリマー水溶液の代わりに下記の水溶
液を用いてカルシウム定量用一体型多層分析要素を調製
した。
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 5.75g/m2 ノニルフェノキシポリエトキシ エタノール 6.2 g/m2 水溶液をNaOHでpH10.0に調整した。
次に、塩化カルシウム、ヒト血清アルブミン及びグロブ
リンを生理食塩水で溶解してカルシウム10mg/dで
下表記載の蛋白濃度を有するカルシウム溶液を調製し
た。この溶液のカルシウム濃度を上記の一体型多層分析
要素を用いて定量したところ下表に示す結果が得られ
た。
〔発明の効果〕 本発明の一体型多層分析要素により、アルブミン等の蛋
白の影響を排除してカルシウムを高精度で定量できる。
本発明のこの分析要素は従来の分析要素にポリビニルピ
ロリドンまたはポリエチレングリコールを含有せしめる
だけであるから製造が容易で安価であるという利点も有
する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光透過性水不透過性支持体の上に、カルシ
    ウムイオンと結合して光学的に検出可能な変化をしうる
    指示薬を少なくとも1種含有する試薬層および多孔性展
    開層をこの順に有するカルシウム分析用一体型多層分析
    要素において、前記展開層に平均分子量が1万〜100万
    のポリビニルピロリドン又は平均分子量が200〜5万の
    ポリエチレングリコールを0.2〜10g/m2の被覆量で含
    有せしめたことを特徴とするカルシウム分析用一体型多
    層分析要素
JP61194938A 1986-08-20 1986-08-20 カルシウム分析用一体型多層分析要素 Expired - Fee Related JPH0617908B2 (ja)

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