JPH0743359A - アンモニア又はアンモニア生成基質分析用一体型多層分析素子 - Google Patents

アンモニア又はアンモニア生成基質分析用一体型多層分析素子

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JPH0743359A
JPH0743359A JP18359493A JP18359493A JPH0743359A JP H0743359 A JPH0743359 A JP H0743359A JP 18359493 A JP18359493 A JP 18359493A JP 18359493 A JP18359493 A JP 18359493A JP H0743359 A JPH0743359 A JP H0743359A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】液体遮断層の接着が良好であり、被検液のpH
の影響を排除して検体の広い濃度範囲において高感度か
つ高精度で分析しうるアンモニア又はアンモニア生成基
質分析用一体型多層分析要素を提供する。 【構成】透明支持体の上に、ガス状アンモニアを検出す
る指示薬層、使用条件下に液体試料を実質的に遮断しか
つガス状アンモニアを透過させる液体遮断層、アルカリ
性緩衝剤を含有し必要により基質と反応してアンモニア
を生成することのできる試薬を有する試薬層、及び展開
層がこの順に一体に接着積層された、液体試料中のアン
モニア又はアンモニア生成基質分析用一体型多層分析素
子において、液体遮断層が微多孔性層でありかつ指示薬
層のバインダーがゼラチンであることを特徴とする液体
試料中のアンモニア又はアンモニア生成基質分析用一体
型多層分析素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体試料中のアンモニ
ア又はアンモニア生成基質を分析するための一体型多層
分析素子に関するものである。更に詳細には、本発明は
血液、尿等の体液中の尿素窒素の分析に有用な分析素子
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、体液中の尿素窒素の測定法とし
て、測定の簡易化、迅速化をはかり測定者の個人差をな
くすために乾式法(ドライケミストリ)と呼ばれる方法
が種々提案されている。その典型的なものは、ウレアー
ゼとアルカリ性緩衝剤を含有する試薬層と、ガス状アン
モニアを検出する指示薬層とを備え、両者の間にガス状
アンモニアのみを選択的に透過させるような選択透過層
をはさんで一体化した一体型多層分析素子(一体型多層
分析要素、一体型多層分析材料、一体型多層分析フィル
ムとも称される)を使用するものである。たとえば特開
昭52−3488号には、基本的に上記多層構造を有する一体
型分析素子が開示されている。この分析素子ではアンモ
ニアガスの選択透過層として疎水性ポリマー薄層が使用
されているが、指示薬層として親水性バインダーを用い
た場合、指示薬層と疎水性ポリマー選択透過層との接着
が難しく、一体型多層分析素子として製造する際の問題
点となる。
【0003】一方、特開昭58−77661号には、透明支持
体上に、ガス状アンモニア用の指示薬層、液体遮断層、
アルカリ性緩衝剤を含有し必要により基質と反応してア
ンモニアを生成することの出来る試薬を有する試薬層、
および展開層がこの順に一体に接着積層された、液体試
料中のアンモニア又はアンモニア生成基質分析用一体型
多層分析材料において、液体遮断層が、多孔性物質より
成り、使用条件下に液体試料を実質的に遮断しかつガス
状アンモニアを透過させる空気孔を構成する事を特徴と
する液体試料中のアンモニア又はアンモニア生成基質分
析用一体型多層分析材料が開示されている。指示薬層は
セルロースエステル類、アルキルセルロース類、ポリア
クリレート等をバインダーに用いて形成されている。こ
の多層分析材料においては、選択透過層としてメンブラ
ンフィルターを使用して、指示薬層との接着性を改善
し、かつ高感度化をはかった一体型多層分析素子が開示
されている。しかし、これらの乾式法一体型分析素子を
用いて体液中のアンモニア又はアンモニア生成基質を測
定する場合、試料の希釈を行わないため溶液法に比べて
被検液のpHの影響を受けやすいという欠点がある。特
に尿素窒素を測定する場合は、ウレアーゼによって生成
するアンモニア量が多いため、低濃度から高濃度にわた
る広い定量域を確保するために試薬層のpHをアンモニ
ウムイオンのpKaより低いところに設定する必要があ
り、被検液のpHの影響をより受けやすいのみならず、
試薬層のpHのわずかな違いで感度が変化するため、製
造する際の問題点ともなっていた。
【0004】そのほか、特開平4−157363号公報には、
支持体の下塗層にアンモニア及びアンモニウムイオンを
実質的に含まないポリビニルアルキルエーテル等を用
い、あるいは指示薬層のバインダーにポリビニルアルキ
ルエーテルを用いて、発色光学濃度がより高く、バック
グラウンドの発色光学濃度が低く、測定精度のより高い
アンモニアまたはアンモニア生成物質分析用一体型多層
分析要素を得ている。また、特開平4−157364号公報に
は、多孔性展開層にポリ(N−ビニルピロリドン)を含
有させ、アンモニア生成反応試薬層にアンモニアを実質
的に含まずかつpH約9.0以上でアンモニアを発生せず
バインダー性能も変化しないバインダーを用いて、発色
光学濃度がより高く、バックグラウンドの発色光学濃度
が低く、測定精度のより高いアンモニアまたはアンモニ
ア生成物質分析用一体型多層分析要素を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
課題を解決して、液体遮断層の接着が良好であり、被検
液のpHの影響を排除して検体の広い濃度範囲において
高感度かつ高精度で分析しうるアンモニア又はアンモニ
ア生成基質分析用一体型多層分析要素を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
したアンモニア又はアンモニア生成基質分析用一体型多
層分析素子を提供するものであり、透明支持体の上に、
ガス状アンモニアを検出する指示薬層、使用条件下に液
体試料を実質的に遮断しかつガス状アンモニアを透過さ
せる液体遮断層、アルカリ性緩衝剤を含有し必要により
基質と反応してアンモニアを生成することのできる試薬
を有する試薬層、及び展開層がこの順に一体に接着積層
された、液体試料中のアンモニア又はアンモニア生成基
質分析用一体型多層分析素子において、液体遮断層が微
多孔性層でありかつ指示薬層のバインダーがゼラチンで
あることを特徴としている。この分析素子の特徴は、従
来の指示薬層のバインダーである疎水性ポリマーに代え
て、ゼラチンを指示薬層バインダーとして用いたことで
ある。
【0007】本発明の多層分析素子は、アンモニア自体
あるいはアンモニア生成基質と試薬との反応により生成
するアンモニアを測定することにより該アンモニア生成
基質を間接的に測定するのに有利に使用される。本明細
書において「アンモニア生成基質」とは、特定の試薬と
反応してそれ自体からアンモニアを生成するか、あるい
は複数個の反応系を経由してアンモニアを生成するよう
な化合物又は化合物群を意味する。
【0008】本発明分析素子の支持体としては、このよ
うな分析素子において一般的に用いられているような疎
水性の透明支持体、たとえばポリエチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネート、ポリビニル化合物のようなポリ
マーから成る透明支持体が使用される。
【0009】支持体上に指示薬層が設けられる。指示薬
層には、ガス状アンモニアと反応して吸収波長に変化を
生じるような化合物(以下、発色前駆体という)が含ま
れている。本発明分析素子に使用可能な発色前駆体とし
ては、たとえば、ロイコシアニン染料、ニトロ置換ロイ
コ染料及びロイコフタレイン染料のようなロイコ染料
(特開昭52−3488号、米国特許 RE 30 267号に記
載);ブロムフェノールブルー、ブロムクレゾールグリ
ーン、ブロムチモールブルー、キノリンブルー及びロゾ
ール酸のようなpH指示薬(共立出版、化学大辞典、10
巻63〜65頁に記載);トリアリールメタン系染料前駆
体;ロイコベンジリデン色素(特開昭56−145273号に記
載);ジアゾニウム塩とアゾ染料カプラー;塩基漂白可
能染料等が挙げられる。
【0010】これらの発色前駆体の少なくとも1種を、
ゼラチンと混合し、透明支持体上に塗布して指示薬層を
形成する。ゼラチンは一般的に、その原料の違いで骨ゼ
ラチンと皮ゼラチンの2種がある。また、それぞれにつ
いて製造過程の処理法の違いで、アルカリ処理ゼラチン
と酸処理ゼラチンに大別できる。これらゼラチンはその
まま、又は脱イオン処理、又はpH調製等のさまざまな
処理の後に用いられる。前記のゼラチンはいずれをも用
いることができる。特に好ましいゼラチンはアルカリ処
理ゼラチン、アルカリ処理の後に脱イオン処理したゼラ
チンである。
【0011】ゼラチンは水又は水−水溶性有機溶剤に一
様に溶解した溶液の形態で塗布される。
【0012】ゼラチンの重量に対して、発色前駆体の使
用量は0.1〜50重量%程度、好ましくは0.5重量%〜20重
量%程度が適当である。また、感度を調製する目的で各
種緩衝剤、有機酸、無機酸等を加えてpHを調製するこ
とができる。緩衝剤は後述するもののなかから選択する
ことができ、有機酸、無機酸としては、エタンスルホン
酸、アスパラギン酸、アゼライン酸、グルタル酸、コハ
ク酸、グルタコン酸、酒石酸、ピメリン酸、マロン酸、
リンゴ酸、3,3−ジメチルグルタル酸、クエン酸、P
−トルエンスルホン酸、過塩素酸、塩酸等を使用でき
る。さらに、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ等を指
示薬層中に加えることもできる。塗布液を形成するのに
用いる溶媒は、水あるいは水とアセトン、2−メトキシ
エタノール、メチルエチルケトン、メタノール、エタノ
ール等の水溶性有機溶剤の混合溶媒が適当であり、これ
らの溶剤に発色前駆体、ゼラチン等を固形分濃度が1〜
30重量%程度、好ましくは3〜20重量%程度となるよう
に加えて塗布液とする。これを乾燥膜厚1〜30μm程
度、好ましくは3〜20μmとなるように透明支持体上に
塗布、乾燥して指示薬層を形成する。
【0013】指示薬層の上に液体遮断層を設ける。本発
明の多層分析素子の液体遮断層は、多層分析素子の製造
時及び/又は分析操作時において、塗布液、試料液等の
液体及びこれらの液体に溶解含有されている妨害成分
(例えば、アルカリ性成分等)が実質的に透過せずかつ
ガス状アンモニアが透過できるような貫通空気孔を有す
る微多孔性物質で構成されている。この微多孔性物質
は、液体、特に水による毛細管現象が実質的に生じない
ような疎水性材料あるいは、毛細管現象が実質的に生じ
ない程度に疎水化処理(撥水性処理)された材料で作ら
れているのが好ましい。
【0014】微多孔性材料の撥水化処理は、シリコーン
樹脂、シリコーンオイル、弗素樹脂、弗素オイルに代表
される、一般に疎水化処理剤又は撥水化処理剤として公
知の材料をそのまま、あるいは必要により溶剤(例え
ば、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等)で固
形分含有量が約0.1〜約5重量%の範囲内になるように
希釈し、これを含浸、塗布又はスプレー等の方法によ
り、連続した空隙を有する微多孔性材料の少なくとも一
表面及びその近傍に適用することにより実施することが
できる。
【0015】微多孔性物質の例としては、メンブランフ
ィルター;繊維状材料が相互にからみあわされてなる
か、あるいは接着又は結合されてなる微多孔性材料(例
えば、紙、濾紙、フェルト、不織布等);及び織物生
地、編物生地又は細網状物からなる微多孔性材料を挙げ
ることができる。
【0016】例えばセルロースアセテート、セルロース
ニトレート、再生セルロース、ポリアミド、ビスフェノ
ールAのポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素含有ポリ
マー等を用いて作られているメンブランフィルターある
いはこれらの材料を必要により撥水性処理したものが挙
げられる。本発明の一体型多層要素に用いる場合、上記
メンブランフィルターの厚さは、約30μm〜約300μm
の範囲内、好ましくは約70μm〜約200μmの範囲内で
ある。メンブランフィルターの気孔率(空隙率)は、約
25%〜約90%、好ましくは約60〜約90%である。また、
メンブランフィルターの平均孔径は約0.01〜約20μm、
好ましくは約0.1〜約10μmの範囲内である。これらメ
ンブランフィルターは、既に多くのメーカーから様々な
種類のものが市販されており、これらの市販品の中から
必要に応じて選択して用いることができる。
【0017】これら微多孔性材料は前述した指示薬層に
実用的な強度をもって接着する。接着は、指示薬層表面
をウェット状態にして貼り付け乾燥すればよい。ここに
ウェット状態とは、バインダーを溶解している溶媒が残
っているか、あるいは乾燥した膜が可溶性溶媒で濡らさ
れてバインダーが膨潤状態、分散状態又は溶液状態にあ
ることを意味する。
【0018】液体遮断層の上に、試薬層を設ける。試薬
層は、アンモニア生成基質と反応してアンモニアを生成
させる試薬(一般には酵素又は酵素を含有する試薬)、
反応により生成したアンモニアをガス状アンモニアとし
て効率よく遊離させるためのアルカリ性緩衝剤及びフィ
ルム形成能を有する親水性ポリマーバインダーを通常含
有する層である。このアンモニア生成基質と試薬との組
合わせとしては、たとえば、尿素/ウレアーゼ、クレア
チニン/クレアチニンデイミナーゼ、アミノ酸/アミノ
酸−デヒドロゲナーゼ、アミノ酸/アミノ酸−オキシダ
ーゼ、アミノ酸/アミノ酸−デヒドラターゼ、アミノ酸
/アンモニア−リアーゼ、アミン/アミン−オキシダー
ゼ、ジアミン/アミン−オキシダーゼ、グルコース及び
燐アミダート/燐アミダートヘキソース燐トランスフェ
ラーゼ、ADP/カルバミン酸塩キナーゼ及び燐酸カル
バモル、酸アミド/アミドヒドロラーゼ、ヌクレオ塩基
/デアミナーゼ、ヌクレオシド/デアミナーゼ、ヌクレ
オチド/デアミナーゼ、グアニン/グアナーゼ等が挙げ
られる。
【0019】試薬層に用いることができるアルカリ性緩
衝剤としては、pH7.0から10.5、好ましくは7.5から1
0.0の範囲の緩衝剤を用いることができる。緩衝剤の具
体例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)、
燐酸塩緩衝剤、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)
グリシン(Bicine)、N−2−ヒドロキシエチルピペ
ラジン−N'−2−ヒドロキシプロパン−3−スルホン
酸(HEPPSO)、N−ヒドロキシエチルピペラジン
−N’−エタンスルホン酸(HEPES)等のGood
の緩衝剤、硼酸塩緩衝剤等を挙げることができる。
【0020】試薬層に用いることができるフィルム形成
能を有する親水性ポリマーバインダーとしては、ゼラチ
ン、アガロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル
アミド、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース等を挙げることができる。
【0021】試薬層には、アンモニア生成物質と反応し
てアンモニアを生成させる試薬、反応により生成したア
ンモニアをガス状アンモニアとして効率よく遊離させる
ためのアルカリ性緩衝剤及びフィルム形成能を有する親
水性ポリマーバインダー以外にも必要に応じて、湿潤
剤、バインダー架橋剤(硬化剤)、安定剤、重金属イオ
ントラップ剤(錯化剤)等を含有させることができる。
【0022】試薬層は、アンモニア生成基質と反応して
アンモニアを生成させる試薬、アルカリ性緩衝剤及び必
要に応じて加えられる上記試薬類を、フィルム形成能を
有するゼラチン等の親水性ポリマーバインダーと混合し
て塗布液とし、液体遮断層の上に塗布、乾燥することに
より形成することができる。
【0023】試薬層に含まれるアンモニア生成基質と反
応してアンモニアを生成させる試薬の量は、バインダー
の重量に対して通常約0.1〜約50重量%、好ましくは約
2〜約20%の範囲内である。アルカリ性緩衝剤の量はバ
インダーの重量に対して約0.1〜約60重量%の範囲内で
あるのが適当である。この試薬層の乾燥膜厚は通常約1
〜約40μm、好ましくは約3〜約20μmの範囲内であ
る。
【0024】試薬層の上に展開層が設けられる。展開層
としては、特開昭55−164356(対応米国特許 4 292 27
2)、特開昭57−66359(対応米国特許 4 783 315)等に
記載の織物布地展開層(例、ブロード、ポプリン等の平
編物布地)、特開昭60−222769(対応EP特許 0 162 302
A)等に記載の編物布地展開層(例、トリコット編物布
地、ダブルトリコット編物布地、ミラニーズ編物布
地)、特開昭57−148250に記載の有機ポリマー繊維パル
プ含有抄造紙展開層、特開昭57−125847等に記載の繊維
と親水性ポリマーの分散液を塗布して形成した展開層等
の繊維質微多孔性展開層;特公昭53−21677(対応米国特
許 3 992 158)等に記載のメンブランフィルター層(ブ
ラッシュポリマー層)、ポリマーミクロビーズ等の微粒
子が親水性ポリマーバインダーで点接触状に接着されて
なる連続微空隙含有等方的微多孔性展開層、特開昭55−
90859(対応米国特許 4 258 001)等に記載のポリマーミ
クロビーズが水で膨潤しないポリマー接着剤で点接触状
に接着されてなる連続微空隙含有等方的微多孔性層(三
次元格子状粒状構造物層)展開層等の非繊維等方的微多
孔性展開層;特開昭61−4959(対応米国特許 5 019 34
7)、特開昭62−138756、特開昭62−138757、特開昭62
−138758(対応EP特許 0 226 465A)等に記載の複数の
微多孔性層(例、織物布地又は編物布地とメンブランフ
ィルターの2層、織物布地又は編物布地とメンブランフ
ィルターと織物布地又は編物布地の3層)をそれらの表
面で微細な不連続点状又は島状(印刷分野における網点
状)の接着剤で積層接着した血球分離能力の優れた展開
層がある。
【0025】展開層に用いられる織物生地又は編物生地
は特開昭57−66359に記載のグロー放電処理又はコロナ
放電処理に代表される物理的活性化処理を布生地の少な
くとも片面に施すか、又は特開昭55−164356、特開昭57
−66359等に記載の水洗脱脂処理、親水性ポリマー含浸
等親水化処理、又はこれらの処理工程を適宜に組み合せ
て逐次実施することにより布生地を親水化し、下側(支
持体に近い側)の層との接着力を増大させることができ
る。また、特開昭59−171864、特開昭60−222769、特開
昭60−222770等に記載のように、展開層の上からポリマ
ー含有水溶液又はポリマー含有水−有機溶媒混合溶液を
塗布して液体試料の展開面積又は広がりを制御すること
ができる。
【0026】試薬層と展開層との間に色遮蔽層又は光反
射層を設けることができる。色遮蔽層又は光反射層は光
遮蔽性又は光遮蔽性と光反射性を兼ね備えた二酸化チタ
ン微粒子、硫酸バリウム微粒子等の白色微粒子がゼラチ
ン等の親水性ポリマーバインダー中にほぼ一様に分散さ
れている乾燥時の厚さ約2μmから約20μmの範囲の層
である。
【0027】さらに試薬層、色遮蔽層又は光反射層の上
には展開層を強固に接着一体化する目的で親水性ポリマ
ーからなる公知の接着層を設けることができる。接着層
の乾燥時の厚さは約0.5μmから約5μmの範囲であ
る。
【0028】試薬層、色遮蔽層又は光反射層、接着層、
展開層等には界面活性剤を含有させることができる。そ
の例としてノニオン性界面活性剤がある。ノニオン性界
面活性剤の具体例として、p−オクチルフエノキシポリ
エトキシエタノール、p−ノニルフエノキシポリエトキ
シエタノール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、p−ノ
ニルフエノキシポリグリシドール、オクチルグルコシド
等がある。ノニオン性界面活性剤を展開層に含有させる
ことにより水性液体試料の展開作用(メータリング作
用)がより良好になる。ノニオン性界面活性剤を試薬
層、色遮蔽層又は光反射層、接着層などに含有させるこ
とにより分析操作時に水性液体試料中の水が試薬層に実
質的に一様に吸収されやすくなり、また展開層との液体
接触が迅速にかつ実質的に一様になる。
【0029】本発明の一体型多層分析素子を用いて液体
試料中のアンモニア又はアンモニア生成基質を測定する
には、展開層の上に3〜30μL、好ましくは6〜15μL
の範囲の全血、血漿、血清、尿等の水性液体試料滴を点
着し、1〜10分の範囲で、約20〜40℃の範囲の実質的に
一定の温度でインクベーションを行った後、透明支持体
側から指示薬層の色変化(発色又は退色)の程度を反射測
光するか、標準色と視覚的に比較すればよい。
【0030】
【実施例】
実施例1 透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム
(厚さ180μm)の上に下記の被覆量となるように指示薬
層を塗布、乾燥後、指示薬層表面を30g/m2のp−ノ
ニルフェノキシポリグリシドール(グリシドールサーフ
ァクタント10G)水溶液で膨潤させた後、ポリエチレン
製メンブランフィルター(平均孔径0.15μm、空隙率70
%、厚さ100μm)を一様に圧着して液体遮断層を設け
た。 指示薬層の被覆量(1m2当たり) ブロモクレゾールグリーン 158mg アルカリ処理ゼラチン 15.8g p−ノニルフェノキシポリグリシドール 130mg (塗布液のpH3)
【0031】次いで液体遮断層の上に、試薬層を下記の
被覆量となるように塗布、乾燥後、試薬層表面を30g/
2のp−ノニルフェノキシポリグリシドール水溶液で
膨潤させた後、編布(ゲージ数40)を一様に圧着した。 試薬層の被覆量(1m2当たり) アルカリ処理ゼラチン 22.7g p−ノニルフェノキシポリグリシドール 420mg ウレアーゼ 35.9KU エチレンジアミン四酢酸・四ナトリウム塩 245mg N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N'−2− ヒドロキシプロパン−3−スルホン酸(HEPPSO) 7.0g (塗布液のpH8)
【0032】さらにこの積層物に、展開性を改良する目
的で下記の被覆量となるよう、含浸塗布、乾燥して尿素
窒素定量分析用一体型多層分析素子を調製した。 ポリビニルピロリドン 6.3g p−ノニルフェノキシポリグリシドール 80mg
【0033】比較例1 指示薬層を下記のように変更した以外は実施例1と同様
にして、尿素窒素定量分析用一体型多層分析素子を調製
した。 指示薬層の被覆量(1m2当たり) ブロモクレゾールグリーン 360mg ポリ酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体ラテックス 14.6g N−ポリオキシエチレン−N−オクタスルホンアミド 100mg (塗布液のpH3)
【0034】試料pHの尿素窒素定量への影響評価 前記2種の尿素窒素定量分析用一体型多層分析素子を下
記の方法で性能を評価した。
【0035】7%人血清アルブミン水溶液に、尿素を窒
素量で10、50mg/dLとなるように溶解した。次いで、各
分析素子の展開層にこの液を10μLずつ点着し、6分後
の発色光学濃度を中心波長625nmの可視光を用いて反射
測光し、検量線を作成した(表1)。
【0036】次に、7%人血清アルブミン水溶液に尿素
を窒素量で12mg/dLとなるように溶解した後、pHが6.
0、6.6、7.2、7.8、8.4、9.0になるように調整して、評
価試験液を調製した。次いで検量線作成時と同じ方法で
点着後、反射測光して、各々の検量線を用いて、尿素窒
素量を算出した(表2)。
【0037】指示薬層にゼラチンを用いない比較例1に
対して、ゼラチンを用いた実施例2の方が、試料のpH
による尿素窒素量のバラツキが小さいことが、表2より
明らかである。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】試料中のEDTAの尿素窒素定量への影響
評価 7%人血清アルブミン水溶液に尿素を窒素量で12mg/dL
となるように溶解した後、EDTA−2Naを1.5、5.
0、10.0mg/mLとなるように添加して、評価試験液を調
製した。次いで検量線作成時と同じ方法で点着後、反射
測光して、各々の検量線を用いて、尿素窒素量を算出し
た(表3)。
【0041】指示薬層にゼラチンを用いない比較例1に
対して、ゼラチンを用いた実施例2の方が、試料中のE
DTA−2Na量による尿素窒素量のバラツキが小さい
ことが、表3より明らかである。
【0042】
【表3】
【0043】
【発明の効果】本発明の一体型多層分析素子は、指示薬
層のバインダーにゼラチンを用いることで、被検液のp
Hの影響をうけずに正確に試料中の基質を測定すること
が可能になった。また、試薬層の微妙なpH変動に対し
ても感度が安定し、製造安定性が増大した。一方、液体
遮断層に微多孔性物質を用いることで、液体遮断層と指
示薬層及び試薬層との接着強度が増し、物理的強度に優
れた一体型多層分析素子を作製することが可能になっ
た。さらに、指示薬層のバインダーにゼラチンを用いる
ことで、被検液が血液である場合に抗凝固剤としてふく
まれるEDTA−2Na又はEDTA−2Kによる血中
尿素窒素測定への影響を軽減することができた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明支持体の上に、ガス状アンモニアを
    検出する指示薬層、使用条件下に液体試料を実質的に遮
    断しかつガス状アンモニアを透過させる液体遮断層、ア
    ルカリ性緩衝剤を含有し必要により基質と反応してアン
    モニアを生成することのできる試薬を有する試薬層、及
    び展開層がこの順に一体に接着積層された、液体試料中
    のアンモニア又はアンモニア生成基質分析用一体型多層
    分析素子において、液体遮断層が微多孔性層でありかつ
    指示薬層のバインダーがゼラチンであることを特徴とす
    る液体試料中のアンモニア又はアンモニア生成基質分析
    用一体型多層分析素子
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