JP4745975B2 - 多層分析要素 - Google Patents
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Description
好ましくは、非繊維性多孔膜の膜厚は80〜300μmである。
好ましくは、非繊維性多孔膜の平均孔径は0.3〜10μmである。
好ましくは、接着層を構成するバインダーは水溶性ポリマーまたは有機溶剤性ポリマーである。
本発明の液体試料分析用乾式多層分析要素は、水不透過性平面支持体の片面上に、少なくとも1つの接着層と、折り曲げ破壊強度が20g重以上であり、かつ50g重で引っ張った時の伸張率が2%以下である非繊維性多孔膜からなる多孔性液体試料展開層がこの順に積層一体化されたものであり、接着層バインダーが非繊維多孔膜に2〜50μm沁みあがっていることを特徴とする。本発明の液体試料分析用乾式多層分析要素は、非繊維性多孔質膜を支持体にラミネートした分析要素において、液体検体を点着した後、非繊維性多孔質膜の中心部にできる濃度の薄い部分(白抜けと称する欠陥)を改良したものである。上記した構成の本発明の多層分析要素を用いることで、血液等分析溶液が分析素子中で発色する際、発色ムラが軽減し、高精度の測定が可能となる。
また、非繊維性多孔膜の平均孔径は、好ましくは0.3〜10μmであり、さらに好ましくは0.45〜5μmである。
(試薬層)
試薬層は水性液体中の被検成分と反応して光学的に検出可能な変化を生じる試薬組成物の少なくとも一部が親水性ポリマーバインダー中に実質的に一様に分散されている吸水性で水浸透性の層である。この試薬層には指示薬層、発色層なども含まれる。
例えば、アンモニア(被験物質がアンモニア又はアンモニア生成物質である場合)を分析する場合には、呈色性アンモニア指示薬として、ロイコシアニン染料、ニトロ置換ロイコ染料およびロイコフタレイン染料のようなロイコ染料(米国再発行特許第30267号明細書または特公昭58−19062号公報記載):ブロムフェノールブルー、ブロムクレゾールグリーン、ブロムチモールブルー、キノリンブルーおよびロゾール酸のようなpH指示薬(共立出版(株)、化学大辞典、第10巻63〜65頁参照):トリアリールメタン系染料前駆体: ロイコベンジリデン色素(特開昭55−379号および特開昭56−145273号各公報に記載):ジアゾニウム塩とアゾ染料カプラー:塩基漂白可能染料等を用いることができる。バインダーの重量に対する呈色性アンモニア指示薬の配合量は約1〜20重量%の範囲内であることが好ましい。
前記試薬層の上に必要に応じて光遮蔽層を設けることができる。光遮蔽層は、光吸収性または光反射性(これらを合わせて光遮蔽性という。)を有する微粒子が少量の被膜形成能を有する親水性ポリマーバインダーに分散保持されている水透過性または水浸透性の層である。光遮蔽層は試薬層にて発生した検出可能な変化(色変化、発色等)を光透過性を有する支持体側から反射測光する際に、後述する展開層に点着供給された水性液体の色、特に試料が全血である場合のヘモグロビンの赤色等、を遮蔽するとともに光反射層または背景層としても機能する。
試薬層の上に、場合によっては光遮蔽層等の層を介して、展開層を接着し積層するために接着層を設けてもよい。
本発明の乾式多層分析要素には、支持体と試薬層の間に吸水層を設けることができる。吸水層は水を吸収して膨潤する親水性ポリマーを主成分とする層で、吸水層の界面に到達または浸透した水性液体試料の水を吸収できる層であり、全血試料を用いる場合には水性液体成分である血漿の試薬層への浸透を促進する作用を有する。吸水層に用いられる親水性ポリマーは前述の試薬層に使用されるもののなかから選択することができる。吸水層には一般的にはゼラチンまたはゼラチン誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、特に前述のゼラチン又は脱イオンゼラチンが好ましく、試薬層と同じ前述のゼラチンが最も好ましい。吸水層の乾燥時の厚さは約3μmから約100μm、好ましくは約5μmから約30μmの範囲、被覆量では約3g/m2から約100g/m2、好ましくは約5g/m2から約30g/m2の範囲である。吸水層には後述するpH緩衝剤、公知の塩基性ポリマー等を含有させて使用時(分析操作実施時)のpHを調節することができる。さらに吸水層には公知の媒染剤、ポリマー媒染剤等を含有させることができる。
検出層は、一般に、被検成分の存在下で生成した色素等が拡散し、光透過性支持体を通して光学的に検出され得る層で、親水性ポリマーにより構成することができる。媒染剤、例えばアニオン性色素に対してカチオン性ポリマーを、含んでもよい。吸水層は、一般に、被検成分の存在下で生成する色素が実質的に拡散しないような層を言い、この点で検出層とは区別される。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
ポリスルホン膜(SE−200:富士写真フイルム社製、以下PS膜とする)を2cm×5cmの短冊状に切り取り、本短冊の両端を重ね合わせ、中心に形成されるループ部分に50、20、10gの分銅を静かに置き、2〜3秒間静置する。続いて本短冊を反対方向に折り曲げ、先ほど折った部分に再び上記分銅をのせ、2〜3秒間静置する。本操作を行なった後に短冊が切れる頻度を確認した。表1に本試験を実施した時に切断した短冊数の結果を示す。表1の結果からPS膜は製造時の取扱いにおける安定性が非常に高いことがわかる。
188μm厚のPET(ポリエチレンテレフタレート)支持体上に、接着層としてゼラチンを17g/m2になるように塗布した。次に、支持体上に塗布されたゼラチン膜上に、硬膜剤を含む湿し水を塗布量29g/m2になるように塗布した。湿し水が塗布された直後、(1)50℃、(2)45℃、(3)40℃、(4)25℃の表面温度のヒーターで加温し、ゼラチンを膨潤させることで粘着性を上げ、ポリスルホン多孔質膜[FujiFilm社製 SE200]をラミネートした。送風乾燥後、恒温槽で放置してゼラチンを硬膜させた。ゼラチンの硬膜によってゼラチン層とポリスルホン多孔質膜との接着がより均一に強固となった。これらの操作により、支持体、接着層、および、非繊維性多孔質膜からなる分析要素が作製された。
硬膜剤を含む湿し水を塗布量15g/m2、表面温度25℃のヒーターで加温しラミネートした以外は、実施例1と同じ方法で分析要素を作製した。
硬膜剤を含み、水:エタノール=1:2の混合溶液である湿し水を塗布量15g/m2、室温のままラミネートした以外は、実施例1と同じ方法で分析要素を作製した。
実施例1および比較例1及び2で作製した上記分析要素を縦方向に切断したのち白金蒸着した試料を光学顕微鏡またはSEMで断面写真を撮影し、ゼラチンの膜への沁みだしを測定した。結果を表3に示す。比較例2の分析要素はゼラチンの沁みだし高さは1μm以下で、加工時、膜はがれのため実用に適さなかった。実施例1(温度は50、45、40、25℃)、比較例1及び比較例2の分析要素のそれぞれのゼラチン沁みだし高さを表3に示す。
実施例1および比較例で作製した上記分析要素に色素水溶液を6μl点着し、点着面および裏面における白抜けのレベルを目視判定した。結果を表3に示す。
実施例1の(2)および比較例1で作製した上記分析要素を6μlの色素入り水溶液を点着し、分析素子をマウントに入れず、そのままクロマトスキャナー(デンシトメーターCS−9300PC、島津製作所)で発色の濃度ムラを測定した。また、プラスチックマウントに入れ加工し、FujiFilm社製医用検体検査機DRI-CHEM5000で測定した。点着液は模擬液として1%ポリビニールピロリドン水溶液に赤い色素[0.8mg/ml]を溶解させたものを使用した。なお、比較例2で作製した分析要素は、一体型分析要素を形成することができず、色素入り水溶液を点着での評価はできなかった。実施例1および比較例1の分析素子に色素点着後、水平方向に色素濃度の分布を島津社製のデンシトメーターCS−9300PCでスキャニングしてゼラチン層の色素の染色状態を観察した(図1及び2)。
実施例1の作製条件のなかで、添加水溶液量29g/m2、ヒーター温度45℃を用い、表4の非繊維性多孔質膜を用いて、多層分析要素を作製した。実施例1で記述した色素液点着による発色ムラの目視結果を同じ表に記載した。その結果、この製造方法を用い、接着層を大きく沁みあがらせた分析要素ではいずれも白抜けが発生しなかった。
Claims (13)
- 水不透過性平面支持体の片面上に、少なくとも1つの接着層と、折り曲げ破壊強度が20g重以上であり、かつ50g重で引っ張った時の伸張率が2%以下である非繊維性多孔膜からなる多孔性液体試料展開層をこの順に積層一体化することによって得られる液体試料分析用乾式多層分析要素において、接着層バインダーが非繊維多孔膜に2〜50μm沁みあがっている、多層分析要素。
- 接着層バインダーが非繊維多孔膜に2〜40μm沁みあがっている、請求項1に記載の多層分析要素。
- 接着層バインダーが非繊維多孔膜に7〜30μm沁みあがっている、請求項1又は2に記載の多層分析要素。
- 非繊維性多孔膜が、6,6−ナイロン、6−ナイロン、アクリレート共重合体、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル共重合体、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンとポリスルホンの混合物、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリエチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンジフルオライド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリフルオロカーボネート、ポリプロピレン、ポリベンズイミダゾール、ポリメタクリル酸メチル、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物、ポリビニルアルコール、またはこれらの混合物である、請求項1から3の何れかに記載の多層分析要素。
- 非繊維性多孔膜がポリスルホン、ポリエーテルスルホン、6,6−ナイロン、又は6−ナイロンである、請求項1から4の何れかに記載の多層分析要素。
- 非繊維性多孔膜が非対称性膜である、請求項1から5の何れかに記載の多層分析要素。
- 非繊維性多孔膜の膜厚が80〜300μmである、請求項1から6の何れかに記載の多層分析要素。
- 非繊維性多孔膜の平均孔径が0.3〜10μmである、請求項1から7の何れかに記載の多層分析要素。
- 接着層を構成するバインダーが水溶性ポリマーまたは有機溶剤性ポリマーである、請求項1から8の何れかに記載の多層分析要素。
- 水不透過性平面支持体の片面上に、少なくとも1つの接着層を塗布し、次いで、折り曲げ破壊強度が20g重以上であり、かつ50g重で引っ張った時の伸張率が2%以下である非繊維性多孔膜をラミネートすることを含む、請求項1から9の何れかに記載の多層分析要素の製造方法。
- 接着層に構成バインダーを溶解させる水溶液、有機溶媒、又はこれらを含有する水溶液で部分的に溶解させ、その後、該非繊維多孔膜をラミネートする、請求項10に記載の製造方法。
- 接着層バインダーの重量より多い水溶液、有機溶媒、又はこれらを含有する水溶液を加えることにより接着層を膨潤する、請求項10又は11に記載の製造方法。
- 非繊維性多孔膜のラミネート時またはその直前に、接着層を構成するバインダーの溶解温度以上に加温する、請求項10から12の何れかに記載の製造方法。
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