JPH061783Y2 - 発泡成形型 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、発泡成形型に関するものである。

（従来の技術） 例えば、自動車等の車両の座席は表皮一体発泡成形と呼
ばれる方法によって仕上げられたものが多い。この成形
方法は発泡成形型に表皮シートを仕掛け、この上にメイ
ンパッドウレタンフォーム用原料を注ぎ、型閉じして発
泡硬化させる。こうして、型開きを行って表皮シートが
一体化された表皮一体発泡成形シートを得る、という方
法である。

（考案が解決しようとする課題） 表皮シートを成形型に仕掛ける場合には、成形面に密着
させておく必要がある。第３図に示すように、表皮シー
ト１の浮き上がり（Ａ部）によって密着性が不十分とな
っている場合には製品に皺を発生させる原因となり、外
観不良を招く。これを防ぐために、成形型２に仕掛けた
際に、作業者の手によって表皮シートを成形面３に馴染
ませることが行われてきた。

しかし、こうした作業を経ても表皮シート１が成形面３
に完全に密着したか否かを確認することは容易ではな
い。したがって、皺の発生を防ぐのは困難であり、製品
の外観品質が損なわれることが多かった。

そこで、本考案は表皮材の皺の発生を未然に防止しうる
成形型を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本考案は表皮シートを一
方の成形型の成形面に仕掛けた状態で発泡を行い、表皮
シート裏面に発泡層が積層された所定の成形品を得る発
泡成形型において、前記表皮シートが仕掛けられる側の
成形型の成形面と前記表皮シートとの密着状況を当該成
形型の外部から透視可能に形成することとしたのであ
る。

（作用） したがって、上記の構成によれば、表皮シートを成形型
に仕掛けた状態で、成形面との密着状況が成形型の外部
からほぼ全範囲に亘って透視することできるため、発泡
工程前に密着性が確保され、これによって皺の発生が未
然に防止される。

（実施例） 以下、本考案を具体化した実施例を図面にしたがって詳
細に説明する。

図面において、１は車両用の座席に使用される表皮シー
トであり、表皮（ファブリック）にウレタンスラブフォ
ームをマット状に積層したものである。この場合の積層
手段は接着あるいは熱融着によっている。また、表皮シ
ート１は適宜に裁断された複数のピースを縫い合わせて
座席の表面形状に適合するように縫製されている。そし
て、既述したように、この表皮シート１は発泡成形工程
において、以下の発泡成形型に仕掛けられる。

第２図は発泡成形型のうち、下型５側を示すものであ
る。この下型５は上下に開口６する枠状に形成されてお
り、その上面は表皮シート１の端末部分に対する図示し
ない固定手段（例えば針等のように、突き刺しによって
固定する手段）が取付けられている。

また、下型５の内部には所定の成形面８に形成された金
網７が張架されており、金網７の周縁を下型５の側壁５
ａに鋳込んで取り付けられている。この金網７の成形面
８は成形すべき座席の表面形状に適合するようにして凹
凸状に折り曲げ形成したものであり、本例では、成形面
８の中央部には表皮シート１に所定の溝形状を付与する
ための突縁９が略方形状に突出形成されている。また、
成形面８として使用された金網７のメッシュは、表皮シ
ート１が仕掛けられたときに、下型５の開口６の下方か
ら金網７の成形面８と表皮シート１との密着状況が充分
に視認しうる程度のものが使用されている。

なお、成形用下型５を据え付ける場合には、適当な架台
の上に設置する等して、成形面８上の表皮シート１を下
側から覗き見ることができるようにしておくとよい。ま
た、成形用上型については、公知に係るものであり、図
示および説明は省略する。

本例下型５は上記のように形成されたものである。した
がって、発泡成形工程にあたり、下型５に表皮シート１
を仕掛ける場合、表皮シート１における溝部成形予定箇
所（表皮シート１の縫い合わせ部分）を対応する突縁９
と適合させた状態で、成形面８に被せられる。そして、
表皮シート１を成形面８に馴染ませ、両間の密着を図
る。次いで、発泡樹脂液の注入が行われるのであるが、
その前に表皮シート１と成形面８との密着状況のチエッ
クがなされる。この場合、作業者は下型５の開口６下方
から成形面８、すなわち金網７のメッシュを通して表皮
シート１の密着状況を透視することができるため、密着
不良箇所を発見した場合には、直ちにその改善を図るこ
とができる。

この後、発泡樹脂液が表皮シート１の裏面側に注入され
て型閉じがなされ、所定時間経過して型開きを行えば表
皮シート１にパッドが積層され、しかも表皮側には皺の
ない製品が得られる。

なお、本例では成形面８を金網７によって形成したもの
を例示したが、これに限定するものではなく、例えばシ
ート成形面にプレス成形した鋼板に所定の径の孔を多数
個貫設して透視可能に形成してもよく、また、合成樹脂
製の金網状のものであっても良く、要はメッシュ構造の
ものであればよい。

（考案の効果） 以上の説明から明らかなように、本考案の成形型によれ
ば表皮シートと成形面との密着状況がそのほぼ全範囲に
亘って外部から視認可能であるため、発泡前に両者の密
着性を確保できる。したがって、皺の発生を未然に防止
して外観に優れた製品を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は成形型に表皮シートを仕掛けた状態を示す断面
図、第２図は成形型を示す斜視図、第３図は従来の成形
型に表皮シートを仕掛けた状態を部分的に示す断面図で
ある。 １…表皮シート ５……成形型 ８…成形面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】表皮シートを一方の成形型の成形面に仕掛
   けた状態で発泡を行い、表皮シート裏面に発泡層が積層
   された所定の成形品を得る発泡成形型において、 前記表皮シートが仕掛けられる側の成形型の成形面と前
   記表皮シートとの密着状況を当該成形型の外部から透視
   可能に形成したことを特徴とする発泡成形型。