JPH06172625A - 難燃性成形用ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

難燃性成形用ポリエステル樹脂組成物

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JPH06172625A
JPH06172625A JP33043092A JP33043092A JPH06172625A JP H06172625 A JPH06172625 A JP H06172625A JP 33043092 A JP33043092 A JP 33043092A JP 33043092 A JP33043092 A JP 33043092A JP H06172625 A JPH06172625 A JP H06172625A
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weight
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fiber
pts
molding
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JP33043092A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Sugie
潔 杉江
Nobuo Arai
伸夫 荒井
Fumio Kato
文夫 加藤
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Denso Corp
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
NipponDenso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 剛性が高く耐衝撃性にも優れる成形用ポリエ
ステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート)の提供。 【構成】 固有粘度0.4〜0.9、末端カルボキシ基
濃度45〜70当量/106 gのPET又はPBTに、
臭素化ビスフェノール系化合物0.5〜25部とL/D
が10/30のミルドファイバー、粒状、鱗片状の充填
剤5〜150部とグリシジルオキシ基を含むポリオレフ
ィン系重合体3〜30部とを配合した成形材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は成形材料として有用な成
形収縮に基づく反りが小さく、しかも機械的特性とりわ
け耐衝撃性、剛性に優れ、流動性の良好な難燃性成形用
ポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリブチレンテレフタレート及びポリエ
チレンテレフタレートに代表される熱可塑性芳香族ポリ
エステル樹脂は機械的強度、耐薬品性及び、電気絶縁性
等に優れるために電気、電子部品、自動車部品その他の
機械部品等に広く用いられているが、製品の安全性向上
の要求から成形材料の難燃化が求められている。しかし
ながら、一般に樹脂材料を自消性にしようとすると、難
燃剤、難燃助剤を多量に配合しなければならず機械的特
性の低下が避けられなかった。
【0003】熱可塑性芳香族ポリエステルは高い剛性、
強度の要求される用途にはガラス繊維等を用いることが
行われるが、一般に繊維状強化材を含有する組成物は異
方性が大きく、成形時、あるいはアニール後に成形品に
反りが生じる。この反りは熱可塑性樹脂に見られる一般
的な現象であるが、ポリブチレンテレフタレート等の成
形時の結晶化が速い樹脂、ポリエチレンテレフタレート
等のアニールとともに結晶化の進む樹脂においては特に
この現象は著しいものがある。成形材料としての特性は
剛性、強度と反りの大きさのバランスが重要であるが、
粒状フィラーを用いた場合は反りは小さいが剛性が低
く、繊維状フィラーを用いた場合は強度、剛性は高い
が、反りも大きく、反りの低減と剛性等の向上を両立さ
せることは極めて困難であった。例えば、特公平4―1
028号公報には反り防止を狙って、ポリブチレンテレ
フタレートに、a)繊維状強化材、b)板状強化材、
c)非晶性ポリマーを配合してなる組成物が開示されて
いるが、反りの低減効果は十分ではない。
【0004】熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂は結晶性
であるために、クラックの伝播に対する抵抗性が小さ
く、脆性破壊が起こりやすいため有用性が制限されてい
た。かかる耐衝撃性を改善する試みとして、特公昭60
―3101号公報にはポリアルキレンテレフタレートと
多相複合共重合体の混合物からなる組成物が開示されて
いるが、耐衝撃性の改善は十分ではなかった。また、特
公昭58―47419号公報にはポリエステルに対しα
―オレフィン―グリシジルメタクリレート共重合体ある
いはα―オレフィン―グリシジルメタクリレート―酢酸
ビニル共重合体を熔融混合してなる樹脂組成物が開示さ
れているが、熔融粘度の増加が大きく成形性が犠牲にな
っていた。
【0005】
【発明の目的】本発明者は熱可塑性ポリエステルの強化
フィラーと反りの原因となる成形収縮率の異方性につい
て検討を行い、機械的特性を改善すべく鋭意検討した結
果、特定の繊維長分布を有するミルドファイバーを含む
無機充填剤によって補強され、臭素化ビスフェノール系
化合物を含み、熱可塑性芳香族ポリエステルと特定のエ
ポキシ化合物で変性されたポリプロピレンとをみ反応の
エポキシ基を実質的に含まないように熔融反応して得ら
れる難燃性組成物が合成が高く耐衝撃性に優れ、かつ成
形収縮性の異方性が小さく流動性が良好であることを見
いだし本発明に到達した。
【0006】
【発明の構成】即ち、本発明は、固有粘度が0.4〜
0.9、末端カルボキシル基濃度が45〜70meq/
kgの熱可塑性芳香族ポリエステル100重量部に対し
て、 A)臭素化ビスフェノール系化合物0.5〜25重量
部、 B)平均L/D(L:数平均繊維長、D:繊維径)が1
0〜30の範囲にあり、かつL/Dが30以上のものを
実質的に含まないミルドファイバーと、粒状及び/又は
鱗片状の無機固体からなる無機充填剤5〜150重量部
(ただし、ミルドファイバーは60重量部を越えな
い。)、及び C)ポリオレフィン100重量%に下記一般式(I)
【0007】
【化2】
【0008】[式中、RはH又は炭素数1〜6のアルキ
ル基であり、Arはグリシジルオキシ基を少なくとも1
つ有する炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、n
は1〜4の整数を表す。]で表されるグリシジル化合物
0.01〜30重量%をグラフト重合してなる変性ポリ
オレフィン3〜30重量部、を配合し、熔融混練して得
られる未反応のエポキシ基を実質的に含まない、難燃性
を呈する成形用ポリエステル樹脂組成物である。
【0009】本発明を説明する。本発明において用いら
れる熱可塑性芳香族ポリエステルは、その酸成分がテレ
フタル酸であり、ジオール成分がエチレングリコール、
トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、
ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等
のごとき脂肪族ジオールの少なくとも1種よりなる芳香
族ポリエステルを主成分とする。これらの中で結晶化速
度の速いポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン
テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等が好ま
しく、特に、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
また熱可塑性芳香族ポリエステルとしては上述のポリエ
ステルの一部を共重合成分が置換したものでもよく、こ
のような共重合成分としては、イソフタル酸、フタル
酸;メチルテレフタル酸、イメチルイソフタル酸等のア
ルキル置換フタル酸類;2,6―ナフタリンジカルボン
酸、2,7―ナフタリンジカルボン酸、1,5―ナフタ
リンジカルボン酸等のナフタリンジカルボン酸類;4,
4′―ジフェニルジカルボン酸、3,4′―ジフェニル
ジカルボン酸等のジフェニルジカルボン酸類;4,4′
―ジフェノキシエタンジカルボン酸等のジフェノキシエ
タンジカルボン酸類などの芳香族ジカルボン酸、コハク
酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、デカンジ
カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸類などの脂肪
族又は脂環族ジカルボン酸;1,4―シクロヘキサンジ
メタノールなどの脂環族ジオール;ハイドロキノン、レ
ゾルシン等のジヒドロキシベンゼン類;2,2―ビス
(4―ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2―ビス
(4―ヒドロキシフェニル)スルホン等のビスフェノー
ル類、ビスフェノール類とエチレングリコールのごとき
グリコールとから得られるエーテルジオールなどの芳香
族ジオール;ε―オキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香
酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸
等があげられる。
【0010】さらに上述の芳香族ポリエステルに分岐成
分として、トリメシン酸、トリメリット酸のごとき多官
能のエステル形性能を有する酸又はグリセリン、トリメ
チロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能の
エステル形性能を有するアルコールを1.0モル%以
下、好ましくは0.5モル%以下、さらに好ましくは
0.3モル%以下を共重合せしめてもよい。
【0011】本発明で用いられる熱可塑性芳香族ポリエ
ステルは極限粘度数が0.4〜0.9である。固有粘度
が0.4より小さいと充分な特性が得られず、0.9よ
り大きくなると熔融粘度が高く流動性が低下して成形性
が損なわれるため好ましくない。ここで固有粘度とは3
5℃オルトクロルフェノール中での測定値である。
【0012】本発明で用いられる熱可塑性芳香族ポリエ
ステルは末端カルボキシル基濃度が45〜70meq/
kgである。末端カルボキシル基濃度が45未満では変性
ポリオレフィンとの反応が不十分となり、耐衝撃性の改
善効果が小さくなり。末端カルボキシル基濃度が70m
eq/kgを超えると耐加水分解性が低下し好ましくな
い。
【0013】上述の熱可塑性芳香族ポリエステルは通常
の製造方法、例えば熔融重縮合反応又はこれと固相重合
反応とを組み合わせた方法等によって製造できる。例え
ば、ポリブチレンテレフタレートの製造例について説明
すると、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体
(例えばジメチルエステル、モノメチルエステル等のご
とき低級アルキルエステル)とテトラメチレングリコー
ル又はそのエステル形成性誘導体とを触媒の存在下、加
熱反応せしめ、次いで得られるテレフタル酸のグリコー
ルエステルを触媒の存在下、所定の重合度まで重合せし
める方法によって製造することができる。
【0014】本発明で難燃性を付与する目的で配合され
る臭素化ビスフェノールA系化合物の好適な例として下
記一般式(II)で表される臭素化ビスフェノールA系ポ
リカーボネート類及び、下記一般式(III )で表される
臭素化ビスフェノールA系エポキシ樹脂類を挙げること
ができる。
【0015】
【化3】
【0016】臭素化ビスフェノールA系ポリカーボネー
ト類(II)の末端構造は特に限定されないが、4―t―
ブチルフェニル基や2,4,6―トリブロモフェニル基
等を例示することができる。
【0017】難燃剤の添加量は0.5〜25重量部、好
ましくは3〜20重量部である。全組成物中の無機充填
剤の添加量が多いほど、また、難燃助剤を併用した場合
には難燃剤の添加量を少なくできるが、その場合でも少
なくとも0.5重量部は必要であり、0.5重量部未満
では得られる組成物の難燃性が不充分である。添加量が
25重量%を超えると難燃剤の分散が悪くなり、押出性
や成形性が低下すると共に得られる成形品の物性が低く
なり好ましくない。
【0018】また、難燃効果を助長する目的で難燃助剤
を配合することができる。好適な難燃助剤の例としてS
2 3 及び/又はxNa2 O・Sb2 5 ・yH2
(x=0〜1、y=0〜4)を挙げることができる。粒
径は特に限定されないが、0.02〜5μmが好まし
い。また、所望により、エポキシ化合物、シラン化合
物、イソシアネート化合物、チタネート化合物等で表面
処理されたものを用いることができる。難燃助剤の添加
量は0〜15重量部であるが、効果的に難燃性を付与す
るためには難燃剤100重量部に対して20〜60重量
部となるように配合することが好ましい。添加量が15
重量部を超えると樹脂や配合剤の分解を促進し、成形品
の特性が低下することがあり好ましくない。
【0019】本発明に用いるミルドファイバーは繊維径
Dと数平均繊維長Lの比(平均L/D)が10〜30、
好ましくは10〜25である。平均L/Dが10よりも
小さいと補強効果が十分ではなく、30を超えると成形
収縮率の異方性が大きくなり、反りを生じるようにな
る。また本発明に用いるミルドファイバーは実質的にL
/Dが30以上のものを含まない。L/Dが30以上の
ミルドファイバーを含む場合には成形収縮率の異方性が
大きくなり、反りを生じるようになる。本発明に用いる
ミルドファイバーはガラス長繊維を切断あるいは粉砕す
ることによって得られる。また所望によりコンパウンド
時の供給安定性化、補強効果の改善の目的で集束性、表
面処理剤を用いることができる。
【0020】本発明に用いる粒状の無機固体の好適な例
として、炭酸カルシウム、酸化チタン、長石、クレー、
ホワイトカーボン、ガラスビーズ等を挙げることができ
る。
【0021】本発明に用いる鱗片状の無機固体の好適な
例として、ガラスフレーク、マイカ、グラファイト等を
挙げることができる。
【0022】本発明で用いるミルドファイバーと粒状及
び/又は鱗片状の無機固体からなる無機充填剤の添加量
は好ましくは5〜150重量部である。5重量部未満で
は補強効果が小さく機械特性の改善が見られない。ま
た、150重量部を超えると靭性が失われ好ましくな
い。ただし、このうちミルドファイバーの占める割合は
60重量部を超えない。1重量部未満では補強効果が認
められず、60重量部を超えると、急激に成形収縮の異
方性が大きくなって好ましくない。
【0023】本発明に用いられる変性ポリオレフィンの
原料となるポリオレフィンは、主たるポリオレフィン成
分を50モル%以上、好ましくは75モル%以上含む他
のポリオレフィン成分とのランダム又はブロック共重合
体を用いることができる。主たるポリオレフィン成分と
しては、エチレン、プロピレン、1―ブテン、3―メチ
ル―1―ブテン、1―ペンテン、4―メチル―1―ペン
テン、1―ヘキセン、5―メチル―1―ヘキセンなどが
挙げられる。
【0024】また、下記一般式(IV)
【0025】
【化4】
【0026】[式中、R1 〜R4 は水素又は炭素数1〜
6のアルキル基であり、jは1〜20の整数を表す。]
で表される非共役ジエンを共重合してもよい。ここで、
非共役ジエンコモノマーとしては、2―メチル―1,4
―ペンタジエン、1,4―ヘキサジエン、4―メチリデ
ン―1―ヘキセン、4―メチル―1,4―ヘキサジエ
ン、5―メチル―1,4―ヘキサジエン、1,4―ヘプ
タジエン、4―エチル―1,4―ヘキサジエン、4,5
―ジメチル―1,4―ヘキサジエン、4―メチル―1,
4―ヘプタジエン、4―エチル―1,4―ヘプタジエ
ン、5―メチル―1,4―ヘプタジエン、5―メチル―
1,4―オクタジエン、1,5―ヘプタジエン、1,5
―オクタジエン、5―メチル―1,5―ヘプタジエン、
2―メチル―1,5―ヘキサジエン、1,6―オクタジ
エン、6―メチル―1,6―オクタジエン、7―メチル
―1,6―オクタジエン、2―メチル―1,6―ヘプタ
ジエン、1,9―デカジエン、1,13―テトラデカジ
エンなどが挙げられる。これらのうち、1,4―ヘキサ
ジエン、2―メチル―1,5―ヘキサジエン、7―メチ
ル―1,6―オクタジエン、1,9―デカジエン、1,
13―テトラデカジエンなどが望ましい。これらの非共
役ジエンコモノマーは2種以上用いてもよい。
【0027】なお、ポリオレフィンと非共役ジエンコモ
ノマーとをランダム共重合させるには、チーグラー・ナ
ッタ触媒を用いる通常の共重合法を適用すればよい。こ
の場合、前記非共役ジエンの割合は0.05〜10モル
%となるようにするのが望ましい。非共役ジエンの含有
量が0.05モル%未満の場合、後のグラフト反応にお
いて高いグラフト率が得られない。また、10モル%を
超えると共重合体の結晶性が大幅に低下する。
【0028】本発明に用いられる変性ポリオレフィンの
変性用モノマーは、下記一般式(I)
【0029】
【化5】
【0030】[式中、Rは水素又は炭素数1〜6のアル
キル基であり、Arはグリシジルオキシ基を少なくとも
1つ有する炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、
nは1〜4の整数を表す。]で表されるグリシジル化合
物である。
【0031】好ましい上記グリシジル化合物としては、
下記一般式(V)で表されるものが挙げられる。
【0032】
【化6】
【0033】[式中、Rは水素又は炭素数1〜6のアル
キル基を表す。]
【0034】このようなグリシジル化合物は例えば特開
昭60―130580号公報に開示されている方法で製
造することができる。変性ポリオレフィンは一般式
(I)で表されるグリシジル化合物をポリオレフィンに
グラフト重合することにより製造することができる。そ
の製造は溶液法又は熔融混練法のいずれでも行うことが
できる。熔融混練法の場合、ポリオレフィンと上述のグ
リシジル化合物、及び必要に応じて触媒を押出機などに
投入し、200〜300℃、望ましくは220〜260
℃に加熱して熔融しながら0.1〜20分間混練するこ
とにより製造される。また、溶液法の場合、キシレンな
どの有機溶媒に上記出発物質を溶解し、90〜200℃
で0.1〜100時間攪拌しながら行う。いずれの場合
にも、触媒として通常のラジカル重合用触媒を用いるこ
とができ、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイ
ル、過酸化ジ―t―ブチル、過酸化アセチル、t―ブチ
ルペルオキシ安息香酸、過酸化ジクミル、ペルオキシ安
息香酸、t―ブチルペルオキシピバレート、2,5―ジ
メチル―2,5―ジ―t―ブチルペルオキシヘキシンな
どの過酸化物類やアゾビスイソブチロニトリルなどのジ
アゾ化合物などが望ましい。触媒の添加量はグリシジル
化合物100重量部に対して0.1〜10重量部程度で
ある。なお、本発明においては上記グラフト反応時にフ
ェノール系酸化防止剤を添加することができる。ただ
し、ラジカル重合用触媒を添加しなくてよい場合には添
加しないほうが好ましい。
【0035】変性ポリオレフィンの製造に際して、グリ
シジル化合物の配合割合はポリオレフィン100重量%
に対して0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜1
0重量%である。グリシジル化合物の配合量が0.01
重量%未満ではグラフト率が低く得られる樹脂組成物の
機械特性が低下し、30重量%を超えると得られる変性
ポリオレフィンの分子量が低下する。このようにして得
られた変性ポリオレフィンは、分子量の低下率が極めて
小さく、変性時に臭気を生じることがなく変色もない。
【0036】本発明の変性ポリオレフィンの配合量は、
熱可塑性芳香族ポリエステル100重量部に対して3〜
30重量部、好ましくは3〜20重量部である。変性ポ
リオレフィンが3重量部未満であると耐衝撃性が向上し
ない。逆に、30重量部を超えると剛性が低下する。
【0037】本発明の難燃性成形用ポリエステル樹脂組
成物は各成分を公知の方法、例えば、バンバリーミキ
サ、加熱ロールや単軸又は多軸押出機等を用いて200
〜300℃、好ましくは220〜270℃の温度で熔融
混練することにより製造することができるが、本発明の
熱可塑性芳香族ポリエステルを変性ポリオレフィンと未
反応のエポキシ基を実質的に含まないように熔融反応さ
せることが必要である。このような条件の下で反応させ
ることによって耐衝撃性に優れ、かつ流動性が良好な組
成物を得ることができる。
【0038】本発明の熱可塑性ポリエステル組成物に
は、本発明の目的を損なわない範囲で、核剤、滑剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、顔料、改質剤等の
通常の添加剤を含有せしめることができる。
【0039】
【実施例】以下実施例を挙げ本発明を詳述する。なお実
施例中の部は重量部を意味する。さらに、成形物の特性
は下記方法により測定した。 燃焼テスト:アンダーライターズ・ラボラトリーズのサ
ブジェクト94(UL―94)の方法に準じ、5本の試
験片(厚み:1/16インチ)を用いて燃焼性を試験。 衝撃強度:ASTM D 256 曲げ弾性率:ASTM D 790 成形収縮率比: 成形条件 名機M―100成形機 平板(105(L)×65(W)×3(T)、フイルム
ゲート) シリンダー温度:270℃ 金型温度:130℃ 射出圧力:800kg/cm2
【0040】上記条件で成形した平板の樹脂の流れ方向
と直角方向の成形収縮率比を測定した。 バーフロー流動長: シリンダー温度:270℃ 金型温度:130℃ 射出圧力:300kg/cm2 射出速度:170mm/s 上記条件で成形して得られた0.7mm厚の成形品の長
さ。
【0041】
【参考例1】実施例1で原料として用いたミルドファイ
バー(繊維径:11μm)の繊維長分布を調べた。結果
を図1に示す。これから明らかなように、L/Dが30
以上のものを実質的に含んでおらず、これを用いて得ら
れる本発明の熱可塑性ポリエステル組成物にはL/Dが
30以上のものは実質的に含まれない。
【0042】
【実施例1〜2】固有粘度が0.87のポリブチレンテ
レフタレート100部に表1に示すミルドファイバー等
のフィラー及びその他の添加剤を添加し、68mm径エク
ストルーダーを用いてシリンダー温度265℃で熔融混
練押出し、ペレットを得た。得られたペレットから射出
成形機を用いて表1に示す試験法に準拠した成形片を作
成し、それぞれ評価を行った。その結果を表1に示す。
【0043】表1の結果から明らかなように、本発明の
難燃性成形用ポリエステル樹脂組成物から得られる成形
物は成形収縮率比が1.0〜2.5の範囲にあり、極め
て反りが小さく非常に寸法精度が高い。また、曲げ弾性
率に代表される剛性が高く、顕著な耐衝撃性の向上が認
められる。
【0044】
【表1】
【0045】
【実施例3〜5及び比較例1〜5】固有粘度が0.87
のポリブチレンテレフタレート100部に表2に示すミ
ルドファイバー等のフィラー及びその他の添加剤を添加
し、68mm径エクストルーダーを用いてシリンダー温度
265℃で熔融混練押出し、ペレットを得た。得られた
ペレットから射出成形機を用いて表2に示す試験法に準
拠した成形片を作成し、それぞれ評価を行った。その結
果を表2に示す。
【0046】また比較例として、本発明で用いる変性ポ
リオレフィンにかえてアクリル系衝撃改良剤を用いた成
形片、平均L/Dが10より短いミルドファイバーのみ
を含む成形片、及び平均L/Dが30以上のガラス繊維
を含む成形片を作成し、それぞれ評価した。その結果を
表2に示す。
【0047】表2の結果から明らかなように、本発明の
難燃性成形用ポリエステル樹脂組成物から得られる成形
物は異方性が小さく、非常に寸法精度が高い。また、曲
げ弾性率が高く、顕著な耐衝撃性の向上が認められる。
【0048】
【表2】
【0049】実施例5及び比較例5 固有粘度が0.87のポリブチレンテレフタレート10
0部に表2に示すミルドファイバー等のフィラー及びそ
の他の添加剤を添加し、68mm径エクストルーダーを用
いてシリンダー温度270℃で熔融混練押出し、ペレッ
トを得た。得られたペレットから射出成形機を用いて成
形片を作成し、この成形片を電気炉で焼成灰化した。こ
の灰分を界面活性剤を含む水中に分散させた。このミル
ドファイバーを含む分散液をスライドガラス上に滴下し
写真撮影を行った。この写真から画像処理(画像処理装
置:LA―525)によってミルドファイバーの繊維長
分布を求めた(実施例5)。比較例5で得た成形片中の
ガラス繊維長分布を同様に求めた。結果を図2に示す。
本発明の難燃性成形用ポリエステル樹脂組成物が含有す
るミルドファイバーは平均L/Dが10〜30の範囲に
あり、かつL/Dが30以上のものを実質的に含まない
ことが判る。
【0050】
【実施例6〜9及び比較例6〜10】固有粘度が0.8
7のポリブチレンテレフタレート100部に表3に示す
ミルドファイバー等のフィラー及びその他の添加剤を添
加し、68mm径エクストルーダーを用いてシリンダー温
度265℃で熔融混練押出し、ペレットを得た。得られ
たペレットから射出成形機を用いて表3に示す試験法に
準拠した成形片を作成し、それぞれ評価を行った。その
結果を表3に示す。
【0051】また比較例として、平均L/Dが10〜3
0の範囲にあるが、含有量が25%を超える成形片、平
均L/Dが30以上のガラス繊維を含む成形片、及び非
晶性ポリマーを含む成形片を作成し、それぞれ評価し
た。その結果を表3及び図3に示す。
【0052】表3の結果から明らかなように、本発明の
熱可塑性ポリエステル組成物から得られる成形物は成形
収縮率比が1.0〜2.5の範囲にあり、極めて反りが
小さく非常に寸法精度が高い。また、曲げ弾性率に代表
される剛性が高く、顕著な補強効果が認められる。
【0053】図3の結果から明らかなようにミルドファ
イバーの含有量が25%を超えると急激に成形収縮率比
が増大し、結果として反りが大きくなることが判る。
【0054】
【表3】
【0055】実施例5、10及び比較例11 (流動性の改善)ポリブチレンテレフタレート100部
に表4に示すミルドファイバー等のフィラー及びその他
の添加剤を添加し、68mm径エクストルーダーを用いて
シリンダー温度270℃で熔融混練押出し、ペレットを
得た。得られたペレットで射出成形機を用いてバーフロ
ー流動長を測定し、流動性を比較した。その結果を表4
に示す。表4の結果から明らかなように、本発明の難燃
性成形用ポリエステル樹脂組成物から得られる成形物は
良好な流動性を示す。バーフロー流動長が30mm以下に
なると電子部品等の肉薄部分への熔融樹脂の流れ込みが
困難になる。
【0056】
【表4】
【0057】実施例5及び比較例12 (未反応エポキシ基の影響)末端カルボキシル基濃度の
異なるポリブチレンテレフタレート100部に表5に示
すミルドファイバー等のフィラー及びその他の添加剤を
添加し、熔融混練押出し、ペレットを得た。このペレッ
トを粉砕し、下記の条件でDSCを測定した。結果を図
4及び図5に示す。実施例5ではDSCチャートに発熱
ピークは認められないが、比較例11では6分間後付近
から発熱ピークの立ち上がりが認められる。これは未反
応状態にあった残存エポキシ基の反応に基づく発熱であ
る。末端カルボキシル基濃度が40meq/kg未満の場
合には変性ポリオレフィンのエポキシ基が未反応のまま
残り、熔融保持すると次第に増粘が起こり、成形が困難
になった。
【0058】
【表5】
【0059】測定条件:30℃から40℃/min で20
0℃まで昇温し、30min 保持。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いたミルドファイバーの繊維長分
布を示すグラフである。
【図2】成形試験片中のガラス繊維の繊維長分布を示す
グラフであって、実施例5及び比較例5の実例である。
【図3】ミルドファイバー含有量と成形収縮率比との関
係を示すグラフである。
【図4】実施例5の組成物の走査型熱量計による熱量測
定結果を示すチャートである。
【図5】比較例12の組成物の走査型熱量計による熱量
変化を示すチャートである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 63:00 23:26) (72)発明者 加藤 文夫 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固有粘度が0.4〜0.9、末端カルボ
    キシル基濃度が45〜70meq/kgの熱可塑性芳香族
    ポリエステル100重量部に対して、 A)臭素化ビスフェノール系化合物0.5〜25重量
    部、 B)平均L/D(L:数平均繊維長、D:繊維径)が1
    0〜30の範囲にあり、かつL/Dが30以上のものを
    実質的に含まないミルドファイバーと、粒状及び/又は
    鱗片状の無機固体からなる無機充填剤5〜150重量部
    (ただし、ミルドファイバーは60重量部を超えな
    い。)、及び C)ポリオレフィン100重量%に下記一般式(I) 【化1】 [式中、RはH又は炭素数1〜6のアルキル基であり、
    Arはグリシジルオキシ基を少なくとも1つ有する炭素
    数6〜20の芳香族炭化水素基であり、nは1〜4の整
    数を表す。]で表されるグリシジル化合物0.01〜3
    0重量%をグラフト重合してなる変性ポリオレフィン3
    〜30重量部を配合し、熔融混練して得られる未反応の
    エポキシ基を実質的に含まない難燃性成形用ポリエステ
    ル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 熱可塑性芳香族ポリエステルがポリエチ
    レンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートで
    ある請求項1に記載の難燃性成形用ポリエステル樹脂組
    成物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003321598A (ja) * 2002-04-26 2003-11-14 Toray Ind Inc 液晶性樹脂組成物、それからなる長尺成形品およびその製造方法

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JP2003321598A (ja) * 2002-04-26 2003-11-14 Toray Ind Inc 液晶性樹脂組成物、それからなる長尺成形品およびその製造方法

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