JPH0616997Y2 - エンジンの点火装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は発電コイル、点火制御回路用電子部品および点
火コイルをユニット化したエンジンの点火装置に関す
る。

エンジンに於ける燃料の点火には電気点火法が採用さ
れ、今日では点火装置のイグニションコイルの１次電流
を断続して点火エネルギを得るのに、電磁的にピックア
ップした制御信号を用いている。

そして、かかる点火制御装置では、制御信号のピックア
ップのために、ロータの回転に応じた磁気変化によって
電圧を誘起する発電コイルが設けられ、この発電コイル
出力を適正タイミングでイグニョンコイルに出力する各
種電子部品からなる点火制御回路が設けられている。そ
して、この点火制御回路の出力側にイグニションコイル
を接続してなる。

ところで、かかる発電コイル、点火制御回路用の電子部
品およびイグニションコイルが、それぞれ独自の工程で
形成された後も、エンジン本体付近に異った部位に別々
に設置され、これらが互いにリード線等を介して電気的
に接続される構成となっていた。

したがって、かかるリード線等が外部に露出して複雑に
引き廻されて大気に触れた状態となり、外形と接触して
損傷や劣化を招くことのほか、サービス作業中や使用中
に入力が加わって断線し、点火動作を不能にするなどの
事故を招いていた。

また、発電コイル、点火制御回路用の電子部品およびイ
グニションコイルは設置占有空間を大きくし、点火装置
全体の大形化を招き、これらをエンジン外側に付設する
場合に、エンジン冷却効率の低下を招くという欠点があ
った。

本考案はかかる従来の問題点に着目してなされたもので
あり、発電コイル、点火制御回路用の電子部品およびイ
グニションコイルを一体化することによって、小形で電
気的に故障を生じにくくすることができ、しかも、組立
作業が簡単であるとともに、イグニションコイルの絶縁
性も十分に確保することができるエンジンの点火装置を
提供することを目的とする。

そして、この目的達成のため、本考案は、 発電コイルの一端が電気的に接続された第１の端子を有
し前記発電コイルが巻装されたボビンが脚に嵌装される
とともに、前記発電コイルの他端が電気的に接続された
第２の端子が固設された成層鉄心と、 点火制御回路が組み込まれ、イグニションコイルの１次
入力端の接続用の第３の端子及び外部接続用の第４の端
子を有し、前記第１の端子及び前記第２の端子にそれぞ
れ挿入して半田固定された電気的及び機械的な接続用の
端子孔を有するプリント基板と、 前記第３の端子及び前記第４の端子の一部を残して前記
発電コイル、前記ボビン及び前記プリント基板を包むと
ともに、前記第３の端子及び前記第４の端子側に前記第
３の端子及び前記第４の端子の一部が内側に露出した収
容空間を形成するように成形されたモールドケースと、 該モールドケースの前記収容空間内に収容され、１次入
力端が前記第３の端子に電気的に接続され、２次出力端
が前記収容間外に導出された点火栓ケーブルに電気的に
接続され、アース端が前記収容空間外に導出されたアー
ス接続用のリード線に電機的に接続されたイグニション
コイルと、 前記収容空間の内外に露出するように前記モールドケー
スに設けられ、前記第４の端子に接続された外部接続用
端子と、 前記収容空間内に前記イグニションコイルを覆うように
埋め込まれた熱硬化性樹脂と、 からなる構成としたものである。

以下に、本考案の実施例を図面について具体的に説明す
る。

第１図(a)(b)は成層鉄心(1)を示し、これは略コ字状の
ケイ素鋼板を積層してリベット(2)によって固定したも
のからなる。(3)は第２の端子たるアース端子で、リベ
ット(4)によって成層鉄心(1)に固設され、この第２の端
子(3)には後述の如く発電コイル(8)の他端が接続され
る。

第２図(a)(b)は成層鉄心(1)の一方の脚(1a)に嵌装され
る合成樹脂製のボビン(5)を示し、このボビン(5)の一方
のフランジ(5a)には発電コイル(8)の一端を接続する第
１の端子(6)が固設され、他方のフランジ(5b)には発電
コイル(8)の上記他端をガイドする切欠(7)が設けられて
いる。

第３図はボビン(5)に発電コイル(8)を巻装したものを示
す。ここでは発電コイル(8)の一端が第１の端子(6)にか
らげられて半田付けされて電気的に接続され、他端は切
欠(7)からボビン(5)外に導出されている。

第４図は点火制御回路を組み込んだプリント基板(9)を
示す。このプリント基板(9)上には点火制御用の各種電
子部品(9a)が取り付けられて、これらがプリントパター
ンとともに点火制御回路を構成している。(10a)は前記
第２の端子(3)を挿入してプリントパターンのいずれか
に半田固定し電気的及び機械的な接続をするための端子
孔、(10b)は前記第１の端子(6)を挿入してプリントパタ
ーンのいずれかに半田固定し電気的及び機械的な接続を
するための端子孔である。また、(11)はストップスイッ
チ（図示せず）に接続するための外部接続用の第４の端
子、(12)はイグニションコイル(13)の１次入力端の接続
用の第３の端子で、それぞれハトメ等によってプリント
パターンがあるプリント基板(9)上に固定されている。

第５図(a)(b)はイグニションコイル(13)を示す。これは
ボビン(14)に１次コイル、２次コイルを巻装したものか
らなり、ボビン(14)のフランジ端面には１次コイルの一
端及び他端(15)(16)がそれぞれ１次入力端及びアース端
として取り出されている。また、イグニションコイル(1
3)の中腹部には２次コイルの出力端子(17)が２次出力端
として突設されている。

第６図は、第１図示の成層鉄心(1)、第３図示の発電コ
イル(8)を巻装したボビン(5)、及び第４図示のプリント
基板(9)を一体化したものを示す。すなわち、第３図示
の発電コイル(8)を巻装したボビン(5)が成層鉄心(1)の
一方の脚(1a)に嵌装され、前記発電コイル(8)の他端が
半田付けにて前記第２の端子(3)に電気的に接続されて
いる。また、前記第１の端子(6)及び前記第２の端子(3)
がプリント基板(9)の前記端子孔(10b)(10a)にそれぞれ
挿入されて半田付けされている。

第７図(a)は、第６図に示した成層鉄心(1)、ボビン(5)
及びプリント基板(9)を一体化したものに、モールドケ
ース(19)を、前記第３の端子(12)及び前記第４の端子(1
1)の一部を残して前記発電コイル(8)、前記ボビン(5)及
び前記プリント基板(9)を包む（この包んだ部分を図面
では特にモールド被覆(18)として示している。）ととも
に、前記第３の端子(12)及び前記第４の端子(11)側に前
記第３の端子(12)及び前記第４の端子(11)の一部が内側
に露出した収容空間を形成するように、熱可塑性合成樹
脂にて成形したものを示す。また、(20)は前記収容空間
の内外に露出するように前記モールドケース(19)に設け
られたストップスイッチリード用の外部接続端子、(21)
はグロメット取付切欠である。

第７図(b)は、第７図(a)に示すモールドケース(19)の前
記収容空間内に第５図に示すイグニションコイル(13)を
収容したものを示す。イグニションコイル(13)の１次入
力端たる１次コイルの一端(15)は第３の端子(12)に接続
されている。また、イグニションコイル(13)の２次出力
端たる出力端子(17)には、前記収容空間外に導出された
点火栓ケーブル(25)の一端が半田付けされている。該点
火栓ケーブル(25)の他端は点火プラグに接続されるもの
である。また、イグニションコイル(13)のアース端たる
１次コイルの他端(16)には、前記収容空間外に導出され
たアース接続用のリード線(23)が接続されている。該リ
ード線(23)の端部にはアースするための丸形端子(24)が
設けられている。該丸形端子(24)は点火制御装置をエン
ジン本体に取り付けるときに同時にビス止めされるもの
である。さらに、前記外部接続用端子(20)は補助リード
線(22)を介して前記第４の端子(11)に接続されている。

なお、前記リード線(23)および点火栓ケーブル(25)はモ
ールドケース(19)の上記切欠(21)に嵌合したゴム製グロ
メット(26)を貫通して、外部に導出される。

第７図(c)は、第７図(b)に示すようにイグニションコイ
ル(13)を収容したモールドケース(19)の収容空間内に、
イグニションコイル(13)を覆うように、熱硬化性樹脂(2
7)を埋め込んだものを示す。すなわち、第７図(c)は本
考案に一実施例に係るエンジンの点火装置の完成状態を
示す。

かかる点火装置では、前述した構造によって、発電コイ
ル(8)、点火制御回路用の電子部品(9a)およびイグニシ
ョンコイル(13)を一体化でき、小形化できる。また、か
かる点火装置では、発電コイル(8)、点火制御回路用の
電子部品(9a)およびイグニションコイル(13)の相互を結
ぶリード線は点火装置外部に現われることがなく、従っ
てリード線の品質劣化、物品等の接触による断線事故な
どの問題を完全になくすることができ、耐久性が向上す
る。さらに、第１の端子(6)及び第２の端子(3)とプリン
ト基板(9)のプリントパターン上の端子孔(10b)(10a)と
の挿入及び半田結合によって、発電コイル(8)と点火制
御用の電子部品(9a)などとを電気的に簡単かつ確実に接
続できると同時に、モールドケース(19)成形前に成層鉄
心(1)、発電コイル(8)及びプリント基板(9)を機械的に
も一体化しておくことができ、配線作業及びモールドケ
ース(19)の成形作業が容易となり、ひいては点火装置の
組立作業が簡単となる。さらにまた、モールドケース(1
9)の収容空間内にイグニションコイル(13)が収容され、
この収容空間内にイグニションコイル(13)を覆うように
熱硬化性樹脂(27)が埋め込まれているので、イグニショ
ンコイル(13)の周囲に気泡が生じにくく、したがって、
イグニションコイル(13)の絶縁性が低下することなく十
分に絶縁性を確保できる。

ところで、発電コイル(8)及び点火制御回路（すなわ
ち、プリント基板(9)）は低い電圧を取り扱うので高い
絶縁性は要求されずにその絶縁性は低くても十分である
が、イグニションコイル(13)は高電圧を発生するので高
い絶縁性が要求される。モールドケース(19)は、射出成
型等により成形されるのでその成形時に気泡が生じやす
く、モールドケース(19)により包まれた部品の絶縁性を
高くすることは困難である。一方、熱硬化性樹脂(27)に
より部品を埋め込む場合には、前述のように気泡が生じ
にくく、熱硬化性樹脂(27)により埋め込まれた部品の絶
縁性を高くすることができる。前記構成の点火装置で
は、低い絶縁性で十分である発電コイル(8)及び点火制
御回路はモールドケース(19)で包まれるとともに、高い
絶縁性が要求されるイグニションコイル(13)は熱硬化性
樹脂(27)で埋め込まれており、点火装置を構成する構造
部品や回路部品を一体化するにあたって、低い絶縁性で
十分な部分と高い絶縁性が要求される部分とに分けら
れ、いわば要求される絶縁性の高低に応じた二重構造が
採用されているのである。このため、前記点火装置で
は、イグニションコイル(13)の絶縁性を高くすることが
できる。勿論、前記点火装置と異なり、前記モールドケ
ース(19)を採用せずに、前記イグニションコイル(13)の
みならず発電コイル(8)及び点火制御回路も熱硬化性樹
脂で埋め込めば、絶縁性の点では問題が生じない。しか
しながら、その場合には、同一部品をモールドで包む場
合に比べて熱硬化性樹脂で埋め込む場合の方が形状が大
きくなることから、前記点火装置に比べて全体の形状の
大形化が免れず、また、結局熱硬化性樹脂の埋め込みの
ための特別なケースが必要となってしまう。このよう
に、前記点火装置では、前述のように要求される絶縁性
の高低に応じた二重構造を採用することによって、イグ
ニションコイル(13)の高い絶縁性を確保しつつ、より一
層の小形化を図ることができ、しかも、モールドケース
(19)が発電コイル(8)及び点火制御回路を包む役割のみ
ならず熱硬化性樹脂(27)の埋め込みのためのケースとし
ての役割も果たすことから、熱硬化性樹脂(27)の埋め込
みのための特別のケースが不要であるのである。

以上説明した様に、本考案によれば、点火装置を構成す
る構造部品や回路部品を一体化したことによって、構成
の小形化が図られ、エンジン本体に対する取付面積や空
間を抑制でき、エンジン本体の放熱妨害を極裏避けるこ
とができる。また、各回路部品間を接続するリード線を
省略または短縮できるほか、これらのリード線が外部に
露出することがないので、外力による断線事故といった
問題もなくなる等の効果が得られるものである。さら
に、配線作業やモールドケースの成形作業等が容易とな
って点火装置の組立作業が簡単となるとともに、イグニ
ションコイルの絶縁性も十分に確保できる効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】 第１図(a)(b)は本考案に於ける成層鉄心の正面図および
平面図、第２図(a)(b)は同じくボビンの正面図および平
面図、第３図は発電コイルを巻装したボビンの平面図、
第４図は点火制御回路を組み込んだプリント基板の平面
図、第５図(a)(b)はイグニションコイルの正面図および
底面図、第６図は成層鉄心およびプリント基板の組付ブ
ロック構造を示す正面図、第７図(a)(b)(c)は組付ブロ
ック構造にイグニションコイルを取り付ける順序を示す
点火装置の組立平面図である。 (1)…成層鉄心、(3)…第２の端子、 (5)…ボビン、(6)…第１の端子、 (8)…発電コイル、(9)…プリント基板、 (10a)(10b)…端子孔、 (11)…第４の端子、(12)…第３の端子、 (13)…イグニションコイル、 (19)…モルドケース、 (20)…外部接続用端子、 (23)…リード線、(25)…点火栓ケーブル、 (27)…熱硬化性樹脂。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】発電コイルの一端が電気的に接続された第
   １の端子を有し前記発電コイルが巻装されたボビンが脚
   に嵌装されるとともに、前記発電コイルの他端が電気的
   に接続された第２の端子が固設された成層鉄心と、 点火制御回路が組み込まれ、イグニションコイルの１次
   入力端の接続用の第３の端子及び外部接続用の第４の端
   子を有し、前記第１の端子及び前記第２の端子にそれぞ
   れ挿入して半田固定された電気的及び機械的な接続用の
   端子孔を有するプリント基板と、 前記第３の端子及び前記第４の端子の一部を残して前記
   発電コイル、前記ボビン及び前記プリント基板を包むと
   ともに、前記第３の端子及び前記第４の端子側に前記第
   ３の端子及び前記第４の端子の一部が内側に露出した収
   容空間を形成するように成形されたモールドケースと、 該モールドケースの前記収容空間内に収容され、１次入
   力端が前記第３の端子に電気的に接続され、２次出力端
   が前記収容空間外に導出された点火栓ケーブルに電気的
   に接続され、アース端が前記収容空間外に導出されたア
   ース接続用のリード線に電気的に接続されたイグニショ
   ンコイルと、 前記収容空間の内外に露出するように前記モールドケー
   スに設けられ、前記第４の端子に接続された外部接続用
   端子と、 前記収容空間内に前記イグニションコイルを覆うように
   埋め込まれた熱硬化性樹脂と、 からなることを特徴とするエンジンの点火装置。