JPH0616887A - 耐衝撃性、耐熱安定性及び耐薬品性に優れた高流動性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

耐衝撃性、耐熱安定性及び耐薬品性に優れた高流動性熱可塑性樹脂組成物

Info

Publication number
JPH0616887A
JPH0616887A JP17674492A JP17674492A JPH0616887A JP H0616887 A JPH0616887 A JP H0616887A JP 17674492 A JP17674492 A JP 17674492A JP 17674492 A JP17674492 A JP 17674492A JP H0616887 A JPH0616887 A JP H0616887A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
parts
weight
monomer
rubber
graft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17674492A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Mori
弘 森
Hideyuki Shigemitsu
英之 重光
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP17674492A priority Critical patent/JPH0616887A/ja
Publication of JPH0616887A publication Critical patent/JPH0616887A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐衝撃性、耐熱安定性及び耐薬品性に優れた
高流動性熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【構成】 ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、
特定のグラフト重合体及びエポキシ変性AS樹脂から構
成される。 【効果】 耐衝撃性、耐熱性及び耐薬品性に優れ、自動
車部品や電子部品等の広範な分野に有用な高流動性熱可
塑性樹脂組成物が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出成形時の流動加工
性及び物性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物に関
し、詳しくは特定の重合体を含むポリエステル−ポリカ
ーボネート−グラフト重合体系組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル樹脂は、耐薬品性や流動加
工性に優れているため電気電子部品、自動車部品などの
分野に使用されている。しかし、衝撃強さとりわけノッ
チ付きの衝撃強さが低いため耐衝撃性を必要とする用途
での使用がかなり制限されている。一方ポリカーボネー
ト樹脂は耐衝撃性や透明性に優れており広範な分野に使
用されているが、耐薬品性に劣ったり衝撃強度が厚みに
よって大きく変化する欠点も有している。このため薬品
に接触する部位での使用が制限されている。そこでポリ
エステル樹脂においては、耐衝撃改良を目的とした樹脂
組成物の研究が行われ、ポリエステル樹脂にABS樹脂
をブレンドする方法(特公昭51−25261号公
報)、ポリエステル樹脂にポリカーボネート樹脂、AB
S樹脂をブレンドする方法が提案されている(特公昭5
5−9435)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このうちポリエステル
樹脂・ポリカーボネート樹脂・ABS樹脂の3元系から
なる組成物は、ポリカーボネート樹脂・ABS樹脂から
なる組成物に比べると耐薬品性に優れた特性を有するが
ウエルド強度を含めた耐衝撃性の改良効果が不十分であ
る。また、耐熱安定性も劣っている。特に、低温成形時
に比べ高温で成形した際の耐衝撃性が低下する傾向にあ
る。この成形温度によって物性が大幅に変化すること
は、ユーザーにとって好ましくなく、使用が制限されて
いる。
【0004】また、ポリエステル樹脂に架橋アクリル系
ゴムをブレンドする方法(特開昭52−74652号公
報、同52−150446号公報、同53−13725
1号公報)が提案されている。しかしながらウエルド強
度を含めた耐衝撃性が不十分である。
【0005】さらにポリエステル樹脂・ポリカーボネー
ト樹脂・架橋アクリルゴム、オルガノシロキサンゴムか
らなる組成物(特開昭63−57041号公報)も提案
されているが、これもまたポリエステル・ポリカーボネ
ート樹脂・ABS樹脂からなる組成物と同様高温成形時
の物性邸かが大きい。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らはポ
リエステル樹脂のウエルド強度を含めた耐衝撃性と射出
成形時の流動性ならびに耐熱安定性を改良する方法につ
いて鋭意検討したところ、特定の共重合体を特定の割合
で配合することにより目的を達成できることを見い出し
本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明は下記成分(A)、(B)、
(C)及び(D)の合計量100重量部から成る耐衝撃
性、耐熱安定性及び耐薬品性に優れた高流動性熱可塑性
樹脂組成物である。 (A)ポリアルキレンテレフタレートを主体とするポリエステル樹脂 10〜75重量部 (B)ポリカーボネート樹脂 10〜75重量部 (C)架橋アクリルゴム、オルガノシロキサン系ゴムから成る群より選ばれた少 なくとも1種のゴム質重合体(a)の存在下に シアン化ビニル単量体 (I) 15〜40重量% 芳香族ビニル単量体 (II) 25〜85重量% 他のビニル単量体 (III) 0〜35重量% からなる単量体混合物(b)をグラフト重合して得られるグラフト重合体 10〜50重量部 (D)シアン化ビニル単量体 (I) 15〜40重量% 芳香族ビニル単量体 (II) 60〜84.9重量% エポキシ基含有ビニル単量体(III) 0.1〜0.7重量% を重合して得られる共重合体 5〜70重量部 本発明におけるポリアルキレンテレフタレートを主体と
するポリエステル樹脂(A)は、主として炭素数8〜2
2個の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜22個のアルキ
レングリコールあるいはシクロアルキレングリコールか
らなるものを50重量%以上含むものであり、所望によ
り劣位量の脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸やセ
バチン酸などを構成単位として含んでいてもよく、また
ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル等のポリアルキレングリコールを構成単位として含ん
でもよい。特に好ましいポリエステル樹脂としてはポリ
エチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタ
レート等が挙げられる。これらのポリエステル樹脂は単
独であるいは2種以上を混合して用いられる。
【0008】ポリエステル樹脂(A)の使用量は
(A)、(B)、(C)及び(D)成分の合計量100
重量部のうち10〜75重量部である。10重量部未満
では耐薬品性が劣り、75重量部を超えると低温時の耐
衝撃性が劣る。
【0009】本発明におけるポリカーボネート樹脂
(B)は、ジヒドロキシジアリールアルカンから得ら
れ、任意に枝分かれしてもよい。これらポリカーボネー
ト樹脂は公知の方法により製造されるものであり、一般
にジヒドロキシまたはポリヒドロキシ化合物をホスゲン
または炭酸のジエステルと反応させることにより製造さ
れる。
【0010】ジヒドロキシジアリールアルカンは、ヒド
ロキシ基に関しオルトの位置にアルキル基、塩素原子、
臭素原子を有するものも含む。ジヒドロキシジアリール
アルカンの好ましい具体例としては4,4’−ジヒドロ
キシ−2,2−ジフェニルプロパン(=ビスフェノール
A)、テトラメチルビスフェノールA及びビス−(4−
ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等
が挙げられる。
【0011】また、分岐したポリカーボネートは、例え
ばジヒドロキシ化合物の一部、例えば0.2〜2モル%
をポリヒドロキシで置換することにより製造される。ポ
リヒドロキシ化合物の具体例としては、フロログリシノ
ール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒ
ドロキシフェニル)−ヘプテン、4,6−ジメチル−
2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプ
タン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)
−ベンゼン等が挙げられる。
【0012】このポリカーボネート樹脂(A)の使用量
は(A)、(B)、(C)及び(D)の合計量100重
量部のうち10〜75重量部であり、10重量部未満で
あれば得られる樹脂組成物からの成形品の耐衝撃性や耐
熱性が劣り、75重量部を超える場合は成形性が劣った
り、めっき性が不良のため好ましくない。
【0013】次に、本発明におけるグラフト重合体
(C)はゴム質重合体(a)に、シアン化ビニル単量
体、芳香族ビニル単量体をグラフト重合して得られるも
のである。ゴム質重合体としては、ポリアクリル酸ブチ
ルのようなポリアクリル酸エステルゴム;ポリブタジエ
ンの外層にポリアクリル酸ブチルを設けて成るポリブタ
ジエン・ポリアクリル酸ブチル2段構造ゴム質重合体の
ような複合ゴム;ポリオルガノシロキサンゴム;ポリア
クリル酸ゴムとシロキサンゴムが相互に絡み合った構造
をとるゴム;あるいはこれら2種以上の混合物が挙げら
れる。
【0014】グラフト重合体(B)中のゴム質重合体
(a)の含有量は50〜80重量%であることが好まし
い。50重量%未満の場合、次に述べるグラフト重合し
ていない樹脂成分の含有量が増加傾向にあり、また80
重量%を超える場合にはグラフト重合体(B)を粉体と
して得ることが困難となる。またゴム質重合体(a)に
グラフト重合していない樹脂成分の含有量が全樹脂組成
物((A)、(B)及び(C)の合計量100重量部)
中7重量%以下にすることが特に好ましい。7重量%を
超える場合にはポリエステル樹脂(A)との相溶性に劣
るアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)が
増加する傾向にある。
【0015】グラフト重合に用いるゴム質重合体(a)
のうち架橋アクリル酸ゴム質重合体の形成に用いられる
アクリル酸エステルは、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルなどが
挙げられ、特にアクリル酸ブチルが好ましい。またアク
リル酸エステル単量体と共重合可能な単量体を所望によ
り50重量%以下用いてもよく、例えばメタクリル酸メ
チル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリル、スチレ
ンなどが挙げられる。架橋アクリルゴム質重合体の形成
に用いられるグラフト交叉剤は、付加重合性を有する不
飽和基を2〜3個有し、その各不飽和基の重合反応性に
大きな差のある化合物を指し、具体例としては、アクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シアヌル
酸、イソシアヌル酸等の不飽和酸のアリルエステルなど
が挙げられる。
【0016】また、架橋剤は、付加重合性を有する不飽
和基を複数個有し、その各不飽和基の重合性がほぼ同じ
か差の小さい化合物を指し、具体例としては、ポリアル
キレングリコ−ルのジアクリル酸エステル、ジメタクリ
ル酸エステルやジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0017】アクリル酸ゴム質重合体には、芯にブタジ
エン系ゴムを含有することができる。ブタジエン系ゴム
としては、ブタジエン単位を50重量%以上含むもの
で、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アク
リロニトリル共重合体などの共重合体も含まれる。ブタ
ジエンゴム質重合体は芯として用いられ、その外層にア
クリル酸エステル重合体を形成させて用いられる。ゴム
質重合体(a)に含まれるブタジエンゴム質重合体の含
有量は、耐熱安定性などからゴム質重合体(a)に対し
て30重量%以下が好ましい。
【0018】オルガノシロキサン系ゴムとしては、例え
ばオルガノシロキサンと架橋剤、必要に応じてグラフト
交叉剤を添加、重合して得られるポリオルガノシロキサ
ンゴム、あるいはこのポリオルガノシロキサンゴムに架
橋アクリル酸エステル系ゴムがからみあった、または多
重構造を有する複合ゴムなどが挙げられる。オルガノシ
ロキサンゴムは、オルガノシロキサン及び架橋剤より合
成され、さらにグラフト交叉剤も併用することができ
る。
【0019】オルガノシロキサンゴムを構成するシロキ
サン単位としては、次式 R2 nSiO(4−n)/2
(1)(式中、R2は、水素原子、メチル
基、エチル基、プロピル基またはフェニル基、nは、
0、1または2を示す。)で表せるものが好ましい。
【0020】オルガノシロキサンとしては、3員環以上
の各種環状体が挙げられ、好ましく用いられるのは3〜
6員環である。例えばヘキサメチルシクロトリシロキサ
ン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチル
シクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサン
シロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキ
サン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキ
サン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げ
られ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いられ
る。これらの使用量はポリオルガノシロキサンゴム成分
中50重量%以上、好ましくは70重量%以上である。
【0021】架橋剤、グラフト交叉剤としては、特開昭
62−297352号公報に記載されているものが好ま
しく用いられる。架橋剤、グラフト交叉剤の使用量は、
各々0.1〜30重量%、0〜10重量%以下である。
【0022】このポリオルガノシロキサンゴムの製造
は、例えば米国特許第2,891,920号明細書、同第
3,294,725号明細書などに記載された方法を用い
ることができる。本発明の実施では、例えば、オルガノ
シロキサンと架橋剤及びグラフト交叉剤の混合液とをア
ルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸などの
スルホン酸系乳化剤の存在下で、例えばホモゲナイザ−
等を用いて水と剪断混合する方法により製造することが
好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸はオルガノシロ
キサンの乳化剤として作用すると同時に重合開始剤とも
なるので好適である。この際、アルキルベンゼンスルホ
ン酸金属塩、アルキルスルホン酸金属塩などを併用する
とグラフト重合を行う際にポリマ−を安定に維持するの
に効果があるので好ましい。
【0023】ポリアクリル酸ゴムとポリシロキサンゴム
成分が、相互に絡み合った構造をとるゴムは、ポリアク
リル酸ゴムの合成用単量体をポリオルガノシロキサンゴ
ムラテックスのゴム粒子に含浸させてから重合して製造
することが好ましい。即ち、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリの水溶液の添
加により中和されたポリオルガノシロキサンゴム成分の
ラテックス中に、アクリル酸エステル単量体、架橋剤及
びグラフト交叉剤を添加し、ポリオルガノシロキサンゴ
ム粒子へ含浸させた後、通常のラジカル重合開始剤を作
用させてポリアルキル酸ゴム成分の重合を行う。
【0024】重合の進行と共にポリオルガノシロキサン
ゴムに複合一体化したポリアクリル酸ゴムが形成され、
ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアクリル酸ゴム
が実質上相互に分離できない一体化した複合ゴムのラテ
ックスが得られる。この様にして乳化重合により調製さ
れた複合ゴムは、ビニル系単量体とグラフト重合可能で
あり、また、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリア
クリル酸ゴム成分とは複合一体化されているためアセト
ン、トルエンなどの通常の有機溶剤では抽出分離できな
い。
【0025】グラフト重合に用いられるシアン化ビニル
単量体としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、エタクリロニトリル、フマロニトリルなどが挙げら
れ、これらは単独でまたは併用して使用することができ
る。グラフト単量体中のシアン化ビニル単量体の割合は
好ましくは15〜40重量%である。15重量%未満で
は得られる樹脂組成物の耐衝撃性や耐薬品性に劣る傾向
となり、また40重量%を超える場合は得られる樹脂組
成物を形成する際の着色が大きくなる。
【0026】また、グラフト重合に用いる芳香族ビニル
単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、o−メ
チルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、p−メチル
スチレン、t−ブチルスチレン、ハロゲン化スチレン、
p−エチルスチレン等が挙げられ、これらは単独でまた
は2種以上を併用して用いることができる。芳香族ビニ
ル単量体のグラフト単量体に占める割合は好ましくは2
5〜85重量%であり、これらの範囲をはずれる場合は
耐衝撃性、成形性の少なくとも1つが劣る。
【0027】また、グラフト重合時には劣位量の共重合
可能な他のビニル単量体を共重合できる。共重合可能な
他のビニル単量体としてはメタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル等のメタクリル酸エステルやN−フェニル
マレイミドのようなマレイミド単量体が挙げられるが、
特にこれらに限定されるものではない。これらの共重合
可能な他のビニル単量体はグラフト単量体中35重量%
までの範囲で必要に応じて使用される。
【0028】グラフト重合体(C)の使用量は(A)、
(B)及び(C)成分の合計量100重量部中10〜5
0重量部であり、好ましくは10〜35重量部である。
10重量〜50重量部の範囲をはずれる場合は、耐衝撃
性や耐薬品性の少なくとも1つが劣るため好ましくな
い。35重量部を超え50重量部以下の場合にはグラフ
ト重合していないフリーのAS樹脂が増加する傾向にあ
り、これを7重量%以下にするには高いグラフト率が必
要になる。
【0029】グラフト結合していないフリーの樹脂成分
の含有量は次のようにして求めたものである。即ち、グ
ラフト重合体2.5gをアセトン90ml中に浸漬し、6
5℃で3時間加熱後、遠心分離機を用い1500rpm
にて30分間遠心分離する。しかる後、上澄み液を除去
し、残分を真空乾燥機にて65℃で12時間乾燥し、乾
燥後の試料を精秤し、その重量をG(g)とする。グラ
フト重合していないフリーの樹脂成分の含有量X(%)
(グラフト重合体に対して)は、次式により求めること
ができる。
【0030】
【数1】
【0031】本発明における共重合体(D)は、シアン
化ビニル単量体15〜40重量%、芳香族ビニル単量体
60〜84.9重量%、エポキシ基含有ビニル単量体0.
1〜0.7重量%を重合して得られるものである。シア
ン化ビニル単量体や芳香族ビニル単量体は、グラフト重
合体(C)で用いられるものと同じものが使用できる。
シアン化ビニル単量体の含有量はグラフト単量体の合計
量に対して15〜40重量%、好ましくは15〜25重
量%である。この範囲をはずれる場合は耐衝撃性、耐薬
品性あるいは成形品の着色性、流動加工性の少なくとも
1つが劣るものとなる。
【0032】また、芳香族ビニル単量体の含有量は共重
合体(D)に用いる単量体の合計量に対して60〜8
4.9重量%であり、この範囲をはずれる場合は耐衝撃
性、射出成形時の流動加工性が低下する。
【0033】エポキシ基含有ビニル単量体としてはグリ
シジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等が挙
げられるが、グリシジルメタクリレートが特に好まし
い。エポキシ基含有ビニル単量体の含有量は、共重合体
(D)に用いる単量体の合計量に対して0.1〜0.7重
量%である。0.1重量%未満では耐衝撃性の改良効果
が劣り、0.7重量%を超える場合は成形時の流動性が
低下したり、耐衝撃性が低下する傾向にある。
【0034】共重合体(D)には、上記単量体の他に劣
位量の共重合可能な他のビニル単量体を用いることがで
きる。これらの単量体としてはメタクリル酸メチル等の
メタクリル酸エステルや2−ビニルピリジン、4−ビニ
ルピリジンやN−フェニルマレイミドのようなマレイミ
ド単量体が挙げられるが、特にこれらに限定されるもの
ではない。これらの共重合可能な他の単量体は共重合体
(D)中35重量%までの範囲で必要に応じて使用され
る。
【0035】共重合体(D)の含有量は5〜70重量部
であり、5重量部未満では高温成形時の耐衝撃性が劣る
ものとなる。また70重量部を超える場合は耐薬品性や
耐衝撃性の少なくとも1つが劣るものとなる。
【0036】また、共重合体(D)は0.2%ジメチル
ホルムアミド溶液で測定した還元粘度ηSP/Cが0.55
以下であることが好ましい。0.55を超える場合は射
出成形時の流動加工性が劣る傾向となる。
【0037】本発明の樹脂組成物は、さらに必要に応じ
て強化用充填材を配合することによって耐熱性、剛性、
寸法安定性を向上させることができる。強化用充填材と
してはガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維やウオラ
ストナイト、タルク、マイカ粉、ガラス箔、チタン酸カ
リ等の無機フィラーの少なくとも1種であるが、特にこ
れらに限定されるものではない。また得られる樹脂組成
物による成形品の外観向上を目的にしてこれらの粉砕品
も好ましく用いられる。強化用充填材の使用量は
(A)、(B)、(C)及び(D)成分の合計量100
重量部に対して0〜100重量部である。100重量部
を超える場合は、得られる樹脂組成物の耐衝撃性や表面
外観が劣るため、本発明の目的とするものにならない。
【0038】さらに、本発明の樹脂組成物には必要に応
じて改質剤、離型剤、光や熱に対する安定剤、染料、顔
料等の添加剤を適宜加えることができる。
【0039】本発明の熱可塑性樹脂組成物の調整方法と
しては、通常の樹脂のブレンドで用いられるヘンシェル
ミキサー、タンブラーなどの装置を使用することができ
る。また、賦型についても単軸押出機、二軸押出機、射
出成形機等の通常の賦型に用いられる装置を使用するこ
とができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。なお、実施例中「部」、「%」とあるのはそれ
ぞれ「重量部」、「重量%」を表す。なお、実施例中の
各物性の評価は下記の方法によった。
【0041】(1)アイゾット衝撃強度 ASTM D−256に準じて6.3mm厚みのノッチ付
き試片を射出成形機((株)名機製作所製M−100)
を使用して240℃と280℃の温度で成形した。得ら
れた成形品を23℃、−30℃の2点の温度範囲で衝撃
強度を測定した。(2)耐熱安定性 試片を120℃のオーブンに72時間放置し、ASTM
D−1925に準拠し、カラーコンピュータCSM−
4−2型(スガ(株)製)で△Eを測定した。 (3)耐薬品性 2.3mm厚み×12.7mm幅×127mm長さの試片を用
い、一方の端から2cmを支点とし他方の端から2cmの所
に300gの重りをつるす。すぐに支点部分にブレーキ
フルード(トヨタ自動車(株)2500H)を塗布し、ポ
リエステルフィルムを上から乗せ、破断までの時間
(秒)を求めた。
【0042】(4)ショートショット圧(SS圧) SS圧は、M−100((株)名機製作所)を用いて1
00mm角板、厚さ3mmをシリンダー温度240℃で成形
する時の成形可能な最小圧力を成形機の最大圧力(20
00kg・f/cm2)に対する百分率で表示した。
【0043】参考例 本実施例に使用する各成分は下記の方法により製造し
た。
【0044】ポリエステル樹脂(A) ポリエステル樹脂(A)としては、極限粘度[η]が
1.05であるポリテトラメチレンテレフタレートを使
用した。
【0045】ポリカーボネート樹脂(B) ポリカーボネート樹脂(B)としては、三菱化成(株)
製ノバレックス7022PJを使用した。
【0046】グラフト重合体(C−1)の製造 オレイン酸カリウム1.0部、不均化ロジン酸カリウム
1.0部、ピロリン酸ソーダ0.5部、硫酸第1鉄0.0
05部、デキストローズ0.3部、無水硫酸ナトリウム
0.3部、イオン交換水180部からなる混合物を反応
容器にいれて窒素置換を行い、70℃に昇温した。これ
に10部のイオン交換水に0.12部の過硫酸カリウム
(KPS)を溶解した溶液を加えた後、窒素置換された
アクリル酸n−ブチル65部、メタクリル酸アリル0.
32部、ジメタクリル酸エチルアルコール0.16部か
ら成る単量体混合物を2時間にわたり滴下した。滴下終
了後、更に内温を80℃に昇温し1時間保持した。重合
率は98.8%に達した。この架橋アクリルゴム質重合
体の膨潤度(メチルエチルケトン中30℃で24時間浸
漬静置後の膨潤重量と絶乾重量の差)は6.4、ゲル含
有量は93.6%、粒子径は0.22μmであった。
【0047】この架橋アクリルゴム質重合体に、更にア
クリロニトリル10.5部、スチレン24.5部、ベンゾ
イルパーオキサイド0.35部から成る混合物を1時間
にわたり連続滴下した。滴下終了後80℃に昇温し、3
0分間保持した。重合率は995で粒子径は0.29μm
であった。得られたラテックスを希硫酸で凝析した後、
洗浄、濾過、乾燥してグラフト重合体(B−1)を得
た。なおグラフト重合していないフリーの樹脂成分の含
有量は6%であった。
【0048】グラフト重合体(C−2)の製造 固形分含量が35%、平均粒子径0.08μmのポリブタ
ジエンラテックス19.6部(固形分として)にアクリ
ル酸n−ブチル単位85%、メタクリル酸単位15%か
ら成る平均粒子径0.08μmの共重合体ラテックス0.
4部(固形分として)を攪拌しながら添加し、30分攪
拌を続け平均粒子径0.28μmの肥大化ゴムラテックス
を得た。得られた肥大化ゴムラテックス20部(固形分
として)を反応容器に加え、更に不均化ロジン酸カリウ
ム1部、イオン交換水150部を加え、窒素置換を行
い、反応器内の温度を70℃に昇温した。これに10部
のイオン交換水に0.12部の過硫酸カリウムを溶解し
た溶液を加え、窒素置換されたアクリル酸n−ブチル8
0部、メタクリル酸アリル0.32部、ジメタクリル酸
エチレングリコール0.16部から成る単量体混合物を
2時間にわたって連続に滴下した。
【0049】滴下終了と同時に内温の上昇はなくなる
が、更に80℃に昇温し1時間続けると、重合率は98
%に達し、肥大化ジエン系ゴムを内部に含む多層構造架
橋アクリルゴム質重合体を得た。この多層構造アクリル
ゴム質重合体の膨潤度は6.4、ゲル含有量は93.3
%、粒子径は0.28μmであった。
【0050】得られた多層構造架橋アクリルゴム質重合
体ラテックス65部(固形分として)を反応容器にと
り、イオン交換水220部を加えて希釈し、70℃に昇
温した。更にアクリロニトリル10.5部、スチレン2
4.5部から成る単量体混合物を35部調整し、ベンゾ
イルパーオキサイド0.3部を溶解した後窒素置換し
た。この単量体混合物を90分間かけて上記反応系内に
連続的に滴下し、滴下終了後80℃に昇温し、攪拌保持
を30分間実施した。重合率は99%で、平均粒子径は
0.31μmであった。得られたラテックスを希硫酸で凝
析した後、洗浄、濾過、乾燥してグラフト重合体(C−
2)を得た。なお、グラフト結合していないフリーの樹
脂成分の含有量は5%であった。
【0051】グラフト重合体(C−3)の製造 テトラエトキシシラン3.0部、γ−メタクリロイルプ
ロピルジメトキシメチルシラン1.0部及びオクタメチ
ルテトラシクロシロキサン96.0を混合し、混合シロ
キサン100部を得た。ドデシルベンゼンスルホン酸及
びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムをそれぞれ
1.0部を溶解したイオン交換水300部に混合シロキ
サン100部を加え、ホモミキサーにて10,000r
pmで予備かくさんした後、ホモジナイザーにより30
0kg/cm2の圧力で乳化、分散させオルガノシロキ
サンラテックスを得た。この混合液をコンデンサー及び
攪拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し、混合攪拌し
ながら85℃で4時間攪拌した後5℃で24時間冷却し
た。次いで、水酸化ナトリウム水溶液でこのラテックス
のpHを7.2に中和し、重合を完結した。
【0052】得られたポリオルガノシロキサンゴムの重
合率は91.2%、固形分濃度は22.74%、膨潤度
(ポリオルガノシロキサンをトルエン溶媒下で25℃で
飽和したとき、ポリオルガノシロキサンが吸収している
トルエンの重量割合)は7.4であり、ポリオルガノシ
ロキサンゴムの粒子径は0.15μmであった。
【0053】得られたオルガノシロキサンゴムラテック
ス70部(固形分として)をフラスコに入れ、窒素置換
をしてから70℃に昇温しアクリロニトリル9部、スチ
レン21部及びt−ブチルハイドロパーオキサイド0.
08部から成る混合液を仕込み30分間攪拌した。更
に、ロンガリット0.12部、硫酸第一鉄0.0002
部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0006
部及びイオン交換水10部の混合液を投入しラジカル重
合を開始し、重合発熱がなくなった後、2時間反応を維
持して重合を終了させた。
【0054】得られたグラフト重合体の重合率は97
%、グラフト率は48%であった。得られたラテックス
を塩化カルシウム2水塩を5部溶解した熱水中に滴下す
ることにより重合体を凝固、分離、乾燥して水分を除去
し、グラフト重合体(C−3)を得た。なお、グラフト
結合していないフリーの樹脂成分の含有量は5%であっ
た。
【0055】グラフト重合体(C−4)の製造 グラフト重合体(C−3)で用いたオルガノシロキサン
ゴムラテックス30部(固形分として)をセパラブルフ
ラスコに入れ、イオン交換水120部を加え窒素置換を
してから50℃に昇温し、アクリル酸n−ブチル37.
5部、メタクリル酸アリル2.5部及びt−ブチルハイ
ドロパーオキサイド0.3部から成る混合液をポリオル
ガノシロキサンゴム粒子に浸透させた。次いで、硫酸第
一鉄0.0003部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリ
ウム0.001部、ロガリット0.17部及びイオン交換
水3部の混合液を仕込みラジカル重合を開始し、その後
内温70℃で2時間保持し重合を完了して複合ゴムラテ
ックスを得た。このラテックスの一部を採取し、複合ゴ
ムの平均粒子径を測定したところ0.19μmであった。
またこのラテックスを乾燥し固形物を得て、トルエンで
90℃、12時間抽出しゲル含量を測定したところ9
0.3%であった。
【0056】この複合ゴムラテックスにt−ブチルハイ
ドロパーオキサイド0.3部、アクリロニトリル9部及
びスチレン21部との混合物を70℃にて45分間にわ
たり滴下し、その後70℃で2時間保持し、複合ゴムへ
のグラフト重合を完了した。得られたグラフト重合体の
重合率は98.6%であった。得られた重合体ラテック
スを塩化カルシウム5%の熱水中に滴下することにより
凝固、分離、洗浄した後、75℃で16時間乾燥し、複
合ゴム系グラフト重合体(C−4)を得た。なお、グラ
フト結合していないフリーの樹脂成分の含有量は5%で
あった。
【0057】グラフト重合体(C−5)の製造 固形分含量が35%、平均粒子径0.08μmのポリブタ
ジエンラテックス19.6部(固形分として)にアクリ
ル酸n−ブチル単位85%、メタクリル酸単位15%か
ら成る平均粒子径0.08μmの共重合体ラテックス0.
4部(固形分として)を攪拌しながら添加し、30分攪
拌を続け平均粒子径0.28μmの肥大化ゴムラテックス
を得た。得られた肥大化ゴムラテックス20部(固形分
として)を反応容器に加え、更に不均化ロジン酸カリウ
ム1部、イオン交換水150部を加え、窒素置換を行
い、反応器内の温度を70℃に昇温した。これに10部
のイオン交換水に0.12部の過硫酸カリウムを溶解し
た溶液を加え、窒素置換されたアクリル酸n−ブチル8
0部、メタクリル酸アリル0.32部、ジメタクリル酸
エチレングリコール0.16部から成る単量体混合物を
2時間にわたって連続に滴下した。
【0058】滴下終了と同時に内温の上昇はなくなる
が、更に80℃に昇温し1時間続けると、重合率は98
%に達し、肥大化ジエン系ゴムを内部に含む多層構造架
橋アクリルゴム質重合体を得た。この多層構造アクリル
ゴム質重合体の膨潤度は6.4、ゲル含有量は93.3
%、粒子径は0.28μmであった。
【0059】得られた多層構造架橋アクリルゴム質重合
体ラテックス55部(固形分として)を反応容器にと
り、イオン交換水220部を加えて希釈し、70℃に昇
温した。更にアクリロニトリル13部、スチレン32部
から成る単量体混合物を45部調整し、ベンゾイルパー
オキサイド0.4部を溶解した後窒素置換した。この単
量体混合物を90分間かけて上記反応系内に連続的に滴
下し、滴下終了後80℃に昇温し、攪拌保持を30分間
実施した。重合率は99%で、平均粒子径は0.31μm
であった。得られたラテックスを希硫酸で凝析した後、
洗浄、濾過、乾燥してグラフト重合体(C−5)を得
た。なお、グラフト結合していないフリーの樹脂成分の
含有量は25%であった。
【0060】グラフト重合体(C−6)の製造 グラフト重合体(C−3)で用いたオルガノシロキサン
ゴムラテックス20部(固形分として)をセパラブルフ
ラスコに入れ、イオン交換水120部を加え窒素置換を
してから50℃に昇温し、アクリル酸n−ブチル32.
5部、メタクリル酸アリル2.5部及びt−ブチルハイ
ドロパーオキサイド0.3部から成る混合液をポリオル
ガノシロキサンゴム粒子に浸透させた。次いで、硫酸第
一鉄0.0003部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリ
ウム0.001部、ロガリット0.17部及びイオン交換
水3部の混合液を仕込みラジカル重合を開始し、その後
内温70℃で2時間保持し重合を完了して複合ゴムラテ
ックスを得た。このラテックスの一部を採取し、複合ゴ
ムの平均粒子径を測定したところ0.19μmであった。
またこのラテックスを乾燥し固形物を得て、トルエンで
90℃、12時間抽出しゲル含量を測定したところ9
0.3%であった。
【0061】この複合ゴムラテックスにt−ブチルハイ
ドロパーオキサイド0.3部、アクリロニトリル13部
及びスチレン32部との混合物を70℃にて45分間に
わたり滴下し、その後70℃で2時間保持し、複合ゴム
へのグラフト重合を完了した。得られたグラフト重合体
の重合率は98.6%であった。得られた重合体ラテッ
クスを塩化カルシウム5%の熱水中に滴下することによ
り凝固、分離、洗浄した後、75℃で16時間乾燥し、
複合ゴム系グラフト重合体(C−6)を得た。なお、グ
ラフト結合していないフリーの樹脂成分の含有量は23
%であった。
【0062】グラフト重合体(C−7)の製造 固形分含量が35%、平均粒子径0.08μmのポリブタ
ジエンラテックス63.5部(固形分として)にアクリ
ル酸n−ブチル単位85%、メタクリル酸単位15%か
ら成る平均粒子径0.08μmの共重合体ラテックス1.
5部(固形分として)を攪拌しながら添加し、30分攪
拌を続け平均粒子径0.28μmの肥大化ゴムラテックス
を得た。得られた肥大化ゴムラテックス65部(固形分
として)を反応容器に加え、更に蒸留水20部、ナフタ
レンスルホン酸ホルマリン縮合物(デモールN:花王
(株)製)0.2部、水酸化ナトリウム0.02部、デキ
ストローズ0.35部を加え、反応器内の温度を60℃
に昇温した後、これに硫酸第一鉄0.006部、ピロリ
ン酸ナトリウム0.2部を加え、更にアクリロニトリル
10.5部、スチレン24.5部、t−ドデシルメルカプ
タン0.2部、クメンヒドロパーオキサイド0.12部か
ら成る混合物を攪拌しながら90分間かけて連続的に滴
下した後1時間保持して冷却した。
【0063】得られたラテックスを希硫酸で凝析した
後、洗浄、濾過、乾燥してグラフト重合体(C−7)を
得た。なお、グラフト結合していないフリーの樹脂成分
の含有量は4%であった。
【0064】共重合体(D−1)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、ポリカルボ
ン酸型高分子界面活性剤(デモールP:花王(株)製)
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアクリ
ロニトリル23部、スチレン76.7部、グリシジルメ
タクリレート0.3部、t−ドデシルメルカプタン0.5
部、アゾビスイソブチロニトリル0.17部、アルキル
型リン酸エステル(ガファックGB−520:東邦化学
工業(株)製)0.003部の混合物を加え懸濁液状に
した後75℃に昇温し、240分間保持し重合を完結し
た。得られた共重合体(D−1)の還元粘度は0.49
であった。
【0065】共重合体(D−2)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアク
リロニトリル18部、スチレン81.75部、グリシジ
ルメタクリレート0.25部、t−ドデシルメルカプタ
ン0.6部、アゾビスイソブチロニトリル0.17部、ガ
ファックGB−520 0.003部の混合物を加え懸
濁液状にした後75℃に昇温し、240分間保持し重合
を完結した。得られた共重合体(D−2)の還元粘度は
0.47であった。
【0066】共重合体(D−3)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアク
リロニトリル28部、スチレン71.7部、グリシジル
メタクリレート0.3部、t−ドデシルメルカプタン0.
6部、アゾビスイソブチロニトリル0.17部、ガファ
ックGB−520 0.003部の混合物を加え懸濁液
状にした後75℃に昇温し、240分間保持し重合を完
結した。得られた共重合体(D−3)の還元粘度は0.
47であった。
【0067】共重合体(D−4)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアク
リロニトリル28部、スチレン71.7部、グリシジル
メタクリレート0.3部、t−ドデシルメルカプタン0.
3部、アゾビスイソブチロニトリル0.17部、ガファ
ックGB−520 0.003部の混合物を加え懸濁液
状にした後75℃に昇温し、240分間保持し重合を完
結した。得られた共重合体(D−4)の還元粘度は0.
65であった。
【0068】共重合体(D−5)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアク
リロニトリル23部、スチレン76.7部、グリシジル
メタクリレート0.3部、t−ドデシルメルカプタン0.
3部、アゾビスイソブチロニトリル0.17部、ガファ
ックGB−520 0.003部の混合物を加え懸濁液
状にした後75℃に昇温し、240分間保持し重合を完
結した。得られた共重合体(D−5)の還元粘度は0.
64であった。
【0069】共重合体(D−6)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアク
リロニトリル28部、スチレン72部、t−ドデシルメ
ルカプタン0.3部、アゾビスイソブチロニトリル0.1
7部、ガファックGB−520 0.003部の混合物
を加え懸濁液状にした後75℃に昇温し、240分間保
持し重合を完結した。得られた共重合体(D−6)の還
元粘度は0.65であった。
【0070】共重合体(D−7)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアク
リロニトリル23部、スチレン77部、t−ドデシルメ
ルカプタン0.5部、アゾビスイソブチロニトリル0.1
7部、ガファックGB−520 0.003部の混合物
を加え懸濁液状にした後75℃に昇温し、240分間保
持し重合を完結した。得られた共重合体(D−7)の還
元粘度は0.49であった。
【0071】共重合体(D−8)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアク
リロニトリル23部、スチレン76部、グリシジルメタ
クリレート1部、t−ドデシルメルカプタン0.5部、
アゾビスイソブチロニトリル0.17部、ガファックG
B−520 0.003部の混合物を加え懸濁液状にし
た後75℃に昇温し、240分間保持し重合を完結し
た。得られた共重合体(D−8)の還元粘度は0.49
であった。
【0072】共重合体(D−9)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアク
リロニトリル23部、スチレン76.95部、グリシジ
ルメタクリレート0.05部、t−ドデシルメルカプタ
ン0.5部、アゾビスイソブチロニトリル0.17部、ガ
ファックGB−520 0.003部の混合物を加え懸
濁液状にした後75℃に昇温し、240分間保持し重合
を完結した。得られた共重合体(D−9)の還元粘度は
0.49であった。
【0073】強化用充填材(E) ガラス繊維としてECSO3T−34(日本電気硝子
(株)製)、タルクとしてマイクロタルクMP10−5
2(ファイザーMSP(株)製)を使用した。
【0074】実施例1〜15、比較例1〜15 上記の(A)〜(E)の各成分を表1〜表4に示す割合
で配合し、スーパーミキサー((株)カワタ製)にて5
分間混合した後、スクリューの直径37mmの2軸押出機
でペレット化した。得られたペレットを用いて射出成形
して試片を得た後、各種物性を前記方法により評価し
た。結果を表1〜表4に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃
性と耐熱安定性(高温成形された試片の耐衝撃性やオー
ブンでの変色性)に優れたものであるので、自動車部品
や電子部品等の広範な分野で極めて有用であり、その工
業的意義は大きい。
【0080】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 67/02 LNZ 8933−4J 69/00 LPN 9363−4J

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記成分(A)、(B)、(C)及び
    (D)の合計量100重量部から成る耐衝撃性、耐熱安
    定性及び耐薬品性に優れた高流動性熱可塑性樹脂組成
    物。 (A)ポリアルキレンテレフタレートを主体とするポリエステル樹脂 10〜75重量部 (B)ポリカーボネート樹脂 10〜75重量部 (C)架橋アクリルゴム、オルガノシロキサン系ゴムから成る群より選ばれた少 なくとも1種のゴム質重合体(a)の存在下に シアン化ビニル単量体 (I) 15〜40重量% 芳香族ビニル単量体 (II) 25〜85重量% 他のビニル単量体 (III) 0〜35重量% からなる単量体混合物(b)をグラフト重合して得られるグラフト重合体 10〜50重量部 (D)シアン化ビニル単量体 (I) 15〜40重量% 芳香族ビニル単量体 (II) 60〜84.9重量% エポキシ基含有ビニル単量体(III) 0.1〜0.7重量% を重合して得られる共重合体 5〜70重量部
  2. 【請求項2】 グラフト重合体(C)中のゴム質重合体
    が50〜80重量%である請求項第1項記載の熱可塑性
    樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 共重合体(D)のシアン化ビニル単量体
    が15〜25重量%である請求項第1項ならびに第2項
    記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 共重合体(D)中の0.2%ジメチルホ
    ルムアミド溶液で測定した還元粘度ηSP/Cが0.55以
    下である請求項第1項ないし第3項記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 グラフト重合体(C)中のゴム質重合体
    に結合していない樹脂成分の含有量が、全樹脂組成物
    ((A)、(B)、(C)及び(D)の合計量100重
    量部))中7重量%以下である請求項第1項ならびに第
    4項記載の熱可塑性樹脂組成物。
JP17674492A 1992-07-03 1992-07-03 耐衝撃性、耐熱安定性及び耐薬品性に優れた高流動性熱可塑性樹脂組成物 Pending JPH0616887A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17674492A JPH0616887A (ja) 1992-07-03 1992-07-03 耐衝撃性、耐熱安定性及び耐薬品性に優れた高流動性熱可塑性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17674492A JPH0616887A (ja) 1992-07-03 1992-07-03 耐衝撃性、耐熱安定性及び耐薬品性に優れた高流動性熱可塑性樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0616887A true JPH0616887A (ja) 1994-01-25

Family

ID=16019047

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17674492A Pending JPH0616887A (ja) 1992-07-03 1992-07-03 耐衝撃性、耐熱安定性及び耐薬品性に優れた高流動性熱可塑性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0616887A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000004094A1 (fr) * 1998-07-17 2000-01-27 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Composition de resine thermoplastique
US9580596B2 (en) 2014-10-31 2017-02-28 Sk Chemicals Co., Ltd. Chemical resistant polymer composition for a center fascia

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000004094A1 (fr) * 1998-07-17 2000-01-27 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Composition de resine thermoplastique
JP4580553B2 (ja) * 1998-07-17 2010-11-17 三菱レイヨン株式会社 熱可塑性樹脂組成物
US9580596B2 (en) 2014-10-31 2017-02-28 Sk Chemicals Co., Ltd. Chemical resistant polymer composition for a center fascia

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0430134B1 (en) High impact graft copolymers and resin compositions
US4877831A (en) Polycarbonate resin composition
KR20010074740A (ko) 금속성 외관을 갖는 난연성 폴리카보네이트/고무-변성된그래프트 공중합체 수지 블렌드
JP3974972B2 (ja) 熱板溶着用熱可塑性樹脂組成物およびこれを用いた自動車用ランプ
JPH02191661A (ja) ポリオルガノシロキサン/ポリビニルをベースとするグラフトポリマー改質剤を含有する熱可塑性成形用組成物
JP2558126B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2867092B2 (ja) ウエルド強度及び耐熱安定性に優れた高流動性熱可塑性樹脂組成物
WO2006011384A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
US5179144A (en) Polyester resin compositions
JPH04239010A (ja) グラフト共重合体
JPH0481460A (ja) 耐衝撃性、耐熱安定性に優れた樹脂組成物
JPH0616887A (ja) 耐衝撃性、耐熱安定性及び耐薬品性に優れた高流動性熱可塑性樹脂組成物
JP2955944B2 (ja) 疲労特性が改良された熱可塑性樹脂組成物
JP2876226B2 (ja) 耐衝撃性、耐熱安定性に優れた樹脂組成物
JP2692019B2 (ja) メッキ性、耐衝撃性及び大型成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物
JPH07331025A (ja) 二次加工用熱可塑性樹脂組成物
JPH05295242A (ja) めっき特性に優れた熱可塑性樹脂組成物
JP3106546B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物
WO2004111125A1 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JPH0812846A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH11181214A (ja) ゴム変性ポリスチレン系樹脂組成物
JPH06322222A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3222677B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
CA2023208A1 (en) Thermoplastic resin composition having improved impact resistance
JPH08291245A (ja) メタクリル樹脂組成物