JPH0616706B2 - 固定化酵素の製造法 - Google Patents

固定化酵素の製造法

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JPH0616706B2
JPH0616706B2 JP2186A JP2186A JPH0616706B2 JP H0616706 B2 JPH0616706 B2 JP H0616706B2 JP 2186 A JP2186 A JP 2186A JP 2186 A JP2186 A JP 2186A JP H0616706 B2 JPH0616706 B2 JP H0616706B2
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正博 中尾
正進 木内
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はキトサンビーズによる固定化酵素を工業的に利
用するに際し極めて有効な固定化酵素の製造法に関し、
さらに詳しくはキトサンビーズを前処理することにより
良好なる固定化酵素を提供するものである。
酵素の固定化方法としてはイオン交換樹脂や多孔質担体
などに酵素を吸着させる吸着法、種々な担体に化学的に
結合させる担体結合法、多官能性の化合物と反応させて
酵素をつなぎ合わせる架橋法、酵素を高分子ゲルの格子
の中に包み込んだり高分子フィルムでカプセル包括法な
どに分類される多くの方法がある。
これらの方法の中で吸着法による固定化は固定化方法が
非常に簡単であるとともに、固定化酵素が失活したと
き、その固定化担体を繰り返し利用出来るという利点が
ある為、工業的な利用価値が非常に高い。
しかしながら、イオン交換樹脂やガラスビーズなどを用
いた従来の吸着法による固定化では、固定化に用いた酵
素を必ずしも有効に固定化できずその為固定化されずに
失なわれる酵素量が多く、また、それらの固定化酵素を
繰り返し使用したり、連続的に使用した場合担体からの
酵素の漏洩により活性の低下が早くおこるという欠点を
有していた。
これらの欠点を解決すべく鋭意研究を進めた結果天然物
であるキチンを脱アセチル化して得られるキトサンを3
次元化し、造粒したキトサンビーズを固定化担体として
用い、固定化に当ってキトサンビーズにある種の前処理
を行なうことにより前記の問題点が大巾に改善されるこ
とを見い出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は酵素の水溶液又は水性懸濁液とキトサン
ビーズを接触することにより得られる固定化酵素の製造
に於いて、固定化に先だってキトサンビーズをアルカリ
溶液又は塩溶液で前処理を行なうことである。
本発明で用いる固定化担体としては代表的なものとして
キトパール3510,3505,3503,3010,
3005,3003(商品名、富士紡(株)製)が掲げ
られるが、これらに限らず、キトサンを3次元化し、造
粒したものであればどんなものでも使用出来る。
キトサンビーズの前処理に使うアルカリ溶液としては例
えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア
水などがあり、塩溶液として、例えば、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、塩
化アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸第一カリ、
リン酸第二カリ、リン酸カリ・ナトリウムなどをあげる
ことが出来る。またアルカリ溶液および塩溶液の濃度は
0.1Mから10Mの範囲が良い。
前処理の方法としては、キトサンビーズと前記のアルカ
リ溶液または塩溶液とを撹拌混合槽又は流通式の充填槽
内で充分に接触させる。
撹拌混合槽の場合はキトサンビーズとその1〜10倍量
(容量比)の前記アルカリ溶液又は塩溶液とを槽内に入
れ1時間以上好ましくは2〜5時間撹拌する。その後キ
トサンビーズと溶液を分離した後このキトサンビーズを
0.5〜5倍量の水又は塩溶液で洗浄し前処理を終える。
なお、前処理に塩溶液を用いた場合は洗浄を省くことが
できる。
次いで酵素の固定化を行なう。
次に充填槽の場合は適当量のキトサンビーズを充填槽内
に充填した後、その1〜10倍量(容量比)の前記アル
カリ溶液又は塩溶液をSV0.1〜5好ましくは0.5〜2.0
の範囲にて流通させる。その後キトサンビーズの0.5〜
5倍量の水又は塩溶液で洗浄し前処理を完了する。洗浄
液のSVは0.1〜5好ましくは0.5〜2.0の範囲にて実施
する。
なお、前処理に塩溶液を用いた場合はこの洗浄を省くこ
とが出来る。
次いで酵素の水溶液又は水性懸濁液を充填槽に流し固定
化酵素を得る。この場合の酵素液のSVは0.1〜2.0好ま
しくは0.1〜0.5である。
本発明による前処理を実施することにより酵素をキトサ
ンビーズに固定化する時の酵素のロスが非常に少なくな
るとともに、得られた固定化酵素を酵素反応に使用した
場合固定化酵素からの酵素の漏洩が起り難くなり固定化
酵素の活性の寿命が長くなり、酵素の原単位が大巾にア
ップするという利点がある。
これで固定化酵素の充填層が形成されたので、次には酵
素反応をさせる基質溶液を充填槽に連続的にフィードす
ることにより目的の生成物を連続的に得ることが出来
る。
次に本発明の方法を適用しうる酵素を以下に示すが、こ
れはごく一例に過ぎない。
酵素の例としては、ウレアーゼ(Urease)、グルコアミ
ラーゼ(Glucoamylase)、グルコースオキシダーゼ(Gl
ucose oxidase)、グルコースイソメラーゼ(Glucose i
somerase)、アミノアシラーゼ(Aminoacylase)、カタ
ラーゼ(Catalase)、インベルターゼ(Invertase)、
ラクターゼ(Lactase)、D−アミノ酸オキシダーゼ
(D−Amino-acidoxidase)、β−チロシナーゼ(β−T
yrosinase)、トリプトファンシンターゼ(Tryptophane
syntase)などがある。
実施例1 固定化担体の前処理法 市販キトサンビーズであるキトパール3510(富士紡
(株)製)20wetgに対して、各々に1Mリン酸カリ
ウムバッファー(pH7.0)200mlまたは1M水酸化ナ
トリウム200mlを加えて、25℃において2hr撹拌を
行なった。
その後、キトパール3510を分離して、蒸留水100
mlで2回洗浄して前処理を終了した。
また、前処理を行なわなかったキトパール3510(ブ
ランク標品)も同様に蒸留水で洗浄し、前処理標品2種
とあわせて、3標品について、以下の検討を行なった。
アミノアシラーゼの固定化 糸状菌より得られた市販アミノアシラーゼ(天野製薬
(株)製)2g(酵素活性:500単位137℃、1分
間に1μmolのアセチル−DL−アラニンを加水分解する
酵素活性を1単位とする)を0.2M酢酸ナトリウム20
0mlに溶解した。
このアミノアシラーゼ溶液に、先の3標品の固定化担体
を各々加え、25℃で16hr撹拌してアミノアシラーゼ
の固定化を行ない、その後固定化酵素を分離し、100
mlの蒸留水で3回洗浄し、3標品の固定化酵素を得た。
固定酵素反応 上記の3標品の固定化酵素に0.5mMの塩化コバルトを
含む1Mアセチル−DL−アラニン100mlを加え、pH7.
0、温度37℃で撹拌して、不斉加水分解を行ない、生
成するL−Al9の濃度を測定し、固定化酵素活性を求め
た。
その結果を表1に示した。
実施例2 固定化担体前処理 市販キトサンビーズであるキトパール3510(富士紡
(株)製)20mlを各々3本のカラムに充填し、1Mリ
ン酸カリウムバッファー200mlまたは1M水酸化ナト
リウム200mlあるいは蒸留水200mlをSV2で流通
させ前処理を行なった。その後、200mlの蒸留水をS
V2で流通させ洗浄を行なった。
アミノアシラーゼ固定化 市販アミノアシラーゼ(天野製薬(株)製)2gを0.2
M酢酸ナトリウム200mlに溶解させた、アミノアシラ
ーゼ溶液を先の3本の固定担体充填カラムにSV=2で
流通させアミノアシラーゼの固定化を行なった。その後
200mlの蒸留水をSV=2で流通させ、洗浄を行な
い、3種の固定化酵素充填カラムを得た。
固定化酵素反応 上記の3種の固定化酵素充填カラムに0.5mMの塩化コ
バルトを含む1Mアセチル−DL−アラニンを温度37℃
でSV=0.2で長期連続流通し、カラム出口のL−アラ
ニン濃度より、固定化酵素カラムの活性低下を測定し
た。
その結果より、半減期(初期活性の50%に低下する日
数)を表2に示した。
実施例3 実施例1と同様にして得た3標品の固定化担体20wet
gにエシェリヒア・コリ10wetgから超音波処理によ
り得たトリプトファンシンターゼ(EC4.2.1.20)溶液1
00ml(酵素活性250単位135℃、1分間に1μmo
lのS−カルボキシメチル−L−システィンを合成する
酵素活性を1単位とする)を25℃で16hr撹拌して固
定化を行ない、その後、固定化酵素を分離し、100ml
の蒸留水で洗浄し、3標品の固定化酵素を得た。
上記の3標品の固定化酵素に表3に示す組成の反応液5
00mlを加えて、pH7.8、温度35℃で撹拌し、S−カ
ルボキシメチル−L−システィン合成反応を行った。
生成するS−カルボキシメチル−L−システィンの濃度
を測定し、固定化酵素活性を求めた。
その結果を表4に示した。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キトサンビーズを酵素の水性溶液又は水性
    懸濁液と接触させることにより固定化酵素を作成する際
    に、キトサンビーズをアルカリ溶液又は塩溶液で前処理
    を行なう固定化酵素の製造法
JP2186A 1986-01-06 1986-01-06 固定化酵素の製造法 Expired - Lifetime JPH0616706B2 (ja)

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JP2186A JPH0616706B2 (ja) 1986-01-06 1986-01-06 固定化酵素の製造法

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JPS62158484A JPS62158484A (ja) 1987-07-14
JPH0616706B2 true JPH0616706B2 (ja) 1994-03-09

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JPH0223869A (ja) * 1988-07-11 1990-01-26 Fuji Spinning Co Ltd 固定化β−フラクトフラノシダーゼ

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JPS62158484A (ja) 1987-07-14

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