JPH06166060A - 光ディスク基板成形用金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スタンパーを取り外すときに、このスタンパ
ー外周押え部材を半径方向に移動させることでスタンパ
ーが交換ができる。 【構成】 この構成は、固定側型１５に可動側型１が移
動されるとともに、型締めされて一体となる構成であ
る。可動側型１の固定型側の上面にはスタンパー１が載
置される逆円錐台形の可動側ミラー４が形成されてお
り、可動側ミラー４の中央部に孔が穿設されてスタンパ
ー１の内周部がスタンパー内周押え３により可動側ミラ
ー４表面に押し当てられている。可動側ミラー４の外周
部の可動側型５の表面には、スタンパー１の外周部を押
えるスタンパー押え部材としてのスタンパー外周押え２
が４つの押え片に分割できるように設けられており、各
押え片はスタンパー１の半径方向に移動自在に取り付け
られている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業の利用分野】本発明は、ＣＤ、ＶＤおよび光磁気
ディスクに用いられるプラスチック基板の射出成形金型
に関するもので、特に、スタンパーを外周で保持してい
るスタンパー外周押えに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ＣＤ、ＶＤや光磁気ディスクの様な微細
情報ピットおよびグループを有する薄肉円板を製造する
場合、通常、スタンパーと呼ばれる母型を用いる。スタ
ンパーは、厚さ０．２〜１．０ｍｍ程度のＮｉ電鋳品で
あり、これを射出成形金型に取り付ける場合は内外周を
切り取りドーナツ状にして押えリングで固定する。これ
らの内周押えリングや外周押えリングは特公昭５８−５
８２１４、特開昭６３−３０３７１３、特公平１−５３
６１５、特開平３−７９３２１に見られる様にすべて中
空リング形状をしており、スタンパーに対して垂直方向
からはめ込むようにして保持されていた。

【０００３】図１０（ａ）および（ｂ）は、上記従来の
射出成形金型の一例を示す縦断面図である。従来の射出
成形金型は、この図１０（ａ）のように可動側型１０１
と固定側型１０２を一体に組み合わされて構成される。
可動側型１０１の上面には中央部に孔が穿設されたドー
ナツ状の可動ミラー１０３が形成されており、その表面
が鏡面仕上げされている。可動ミラー１０３の上面に
は、中央部に孔が穿設されているスタンパー１０５が載
置され、スタンパー１０５はその中央部の孔に可動側ミ
ラー１０３の孔と嵌合するスタンパー内周押え１０４が
挿入されて、可動側ミラー１０３表面に押し当てられて
いる。可動側ミラー１０３の外周部の可動側型１０１の
表面には、スタンパー１０５の外周部を押えるスタンパ
ー外周押え１０６が可動側型１０１の表面に対して垂直
方向に取り外し可能に設けられており、スタンパー１０
５の外周部はボルト１０７を締め付けることにより保持
されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、図１０に示すようにスタンパー１０５を交換
する際に固定側型１０２に対して可動側型１０１を型締
装置により開いて、スタンパー１０５を保持しているス
タンパー外周押え１０６をスタンパー１０５に対して垂
直方向に引き抜くという作業が行わなければならなかっ
た。

【０００５】通常、この作業は成形機に取り付けられた
金型内で実施されており、スタンパーおよびスタンパー
の対向側に配置されている鏡面板に接触し傷を付けてし
まうという問題点があった。この様な問題点を発生させ
ないためには金型を大きく開いて十分な作業スペースを
取る必要があり、その為に成形機として型開きストロー
クの大きなものが必要となっていた。また、特開昭６３
−３０３７１３、特開平３−７９３２１に見られる様に
スタンパと内周押えリング、外周押えリングをユニット
化して成形機上での作業をなるべく簡略化する工夫がな
されていたが、この場合でもユニットを取り外すときに
鏡面板に接触する危険はあるし、ユニットになると重く
なるため、人手で行う際に落下させたり、はずみで他の
部品に傷を付けたりする可能性が高くなる。また、ユニ
ットを自動機で脱着させる場合はユニットの重量に耐え
るために専用の大型ロボットが必要となり、取付け位置
出し精度も落ちるため確実な脱着ができなくなるという
問題点があった。

【０００６】本発明は、上記従来技術の有する問題点に
鑑みてなされたものであって、スタンパーを取り外すと
きに、このスタンパー外周押え部材を半径方向に移動さ
せるだけでスタンパーが交換ができる光ディスク基板成
形用金型を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、可動型と、固定型と、前記可動型内あるい
は固定型内に設けられた、微細パターンを有するスタン
パーと、該スタンパーの外周部を押えて前記可動型ある
いは固定型に保持するためのスタンパー押え部材とを有
する光ディスク基板成形用金型において、前記スタンパ
押え部材は分割されて複数の押え片から構成されてお
り、前記複数の押え片は、それぞれ前記スタンパーの径
方向に移動可動に前記可動型あるいは固定型に取り付け
られており、さらに複数の押え片を前記径方向に移動さ
せるための駆動手段を備えたことを特徴とするものであ
る。

【０００８】

【作用】本発明の光ディスク基板成形用金型では、成形
する際、スタンパー押え部材が複数に分割された押え片
によりスタンパーの外周部が押えられて固定保持されて
いる。このスタンパーを交換するには、各押え片をそれ
ぞれ駆動手段により半径方向に移動させてスタンパー外
周部を自由にすることで、スタンパーは交換可能にな
る。

【０００９】

【実施例】次に本発明の実施例について図面を参照して
説明する。

【００１０】図１は本発明の光ディスク基板成形用金型
の一実施例を示す縦断面図であり、図２は図１に示した
一実施例の可動側型の右側面図である。図３は図２のＡ
−Ａ線断面の拡大図である。

【００１１】本実施例の射出成形金型は、上記図に示す
ように、固定側型１５に可動側型５が移動されるととも
に、型締めされて一体となる構成である。可動側型５の
固定型側の上面には中央部に孔が穿設された逆円錐台形
の可動側ミラー４が形成されており、その表面が鏡面仕
上げされている。可動側ミラー４の表面には、中央部に
孔が穿設されているスタンパー１が載置され、スタンパ
ー１はその中央部の孔に可動側ミラー４の孔と嵌合する
スタンパー内周押え３が挿入されて、可動側ミラー４表
面に押し当てられている。可動側ミラー４の外周部の可
動側型５の表面には、スタンパー１の外周を押えるスタ
ンパー押え部材としてのスタンパー外周押え２が４つの
押え片に分割できるように設けられており、可動側ミラ
ー４の外周部１０と係合するスタンパー外周押え２の接
触面はテーパ面１１として形成されている。

【００１２】各スタンパー外周押え２と接触する可動側
型５には、スタンパー１の半径方向にスタンパー外周押
え２を摺動自在にするスライドレール８が係合される溝
１６（図３参照）がそれぞれ穿設されており、スタンパ
ー外周押え２は可動側型５に対して外れないように垂直
に保持されている。

【００１３】各スタンパー外周押え２にはそれぞれボー
ルねじ６が係合されており、可動側型５上面には各ボー
ルねじ６を回転させるための駆動手段としての電動モー
タ７が各スタンパー外周押え２と対応するようにそれぞ
れ取り付けられている。そのため、各スタンパー外周押
え２は電動モータ７の回転によりスライドレール８に沿
ってスタンパー１の半径方向に摺動される。このとき、
可動側ミラー４の外周部１０上に位置するスタンパー１
の外周部とスタンパー外周押え２との位置関係は、スタ
ンパー１の外周部に対して各スタンパー外周押え２を移
動させて接触押圧すると、樹脂がキャビティ１４内に入
ってきたときの熱とせん断応力によるスタンパー１の膨
張を逃すことができずスタンパー１を変形させてしまう
ので、スタンパー１の外周部が基本的に押圧係合されな
い位置にする。

【００１４】また、スタンパー外周押え２を可動側型板
５に対して垂直方向に強く保持する手段として従来技術
ではボルト９で締め付けていたが、本発明では特にボル
ト９等の手段によってスタンパー外周押え２を可動側型
板５に対して垂直方向に締め付ける必要は特にない。

【００１５】さらに、スタンパー外周押え２の外周端面
にはテーパ面１２が形成されており、スタンパー外周押
え２の外周端面と組み合う固定側型板１５にはテーパ面
１２と押圧係合するロッキングリング１３が設けられて
いる。この構成は、可動側型板５と固定側型板１５とが
成形機の不図示の型締装置によって締め付けられたとき
に各スタンパー外周押え２がそれぞれスタンパー１の半
径方向の内側向きに強く締め付けられるようになってい
る。

【００１６】上記説明したように、本実施例の射出成形
金型では、スタンパー１がその半径方向に摺動可能な複
数に分割されたスタンパー外周押えによって押えられる
構成となっている。

【００１７】図４は本発明の一実施例の成形状態を示し
た図である。図４（ｂ）の状態で、ＣＤ、ＶＤや光磁気
ディスクの様な微細情報ピットおよびグループを有する
薄肉円板を製造する場合は、図４（ａ）に示すようにキ
ャビティー１４内に射出ノズル１７より溶融樹脂１８を
注入する。そして、冷却完了後、金型内より成形品を取
り出して１サイクルを終了する。

【００１８】図５は本発明の一実施例においてスタンパ
ーを交換するときの図である。スタンパー１を交換する
場合は、図５（ａ）および図５（ｂ）に示すように、不
図示の型締装置により可動側型板５を移動させて型を全
開し、電動モータ７によってボールねじ６を回転させて
スライドレール８に沿ってスタンパー外周押え２をスタ
ンパー１の半径方向外側に移動させる。そのため、スタ
ンパー１の外周部はフリーになる。しかる後、スタンパ
ー内周押え３を可動側ミラー４の孔から取り外してスタ
ンパー１を型外へ取り外す。

【００１９】以上説明した本実施例では、スタンパー外
周押えの移動にボールねじと電動モータを設けた構成も
のだが、これに限られるものではなく、自動化を問題と
しない場合には、図６に示すように単純に可動側ミラー
２１に対してボルト２２でスタンパー外周押え２３を固
定するだけのものでもよい。

【００２０】また、本実施例ではスタンパー外周押えを
４分割で構成したものとしたが、必ずしも４分割にする
ことはなく、図７および図８に示すように複数分割され
た各スタンパー外周押え３１（または４１）に対応する
ように電動モータ３１（または４２）によってボールね
じ３４（または４４）を回転させてスライドレール３３
（または４３）に沿って摺動可能にするものなら、２分
割、３分割、６分割などのいろいろなパターンが考えら
れる。

【００２１】さらに、本実施例において、図９に示すよ
うに、スタンパー内周押え５４とともにスタンパー５３
を可動側ミラー５２に装着するとき、スタンパー５３の
ソリによってスタンパー５３の外周部が浮き上がること
があるので、可動側ミラー５２の外周側上面に真空孔５
１を複数設けて、スタンパー５３を吸着してから、スタ
ンパー５３の外周部をスタンパー外周押え５５によって
押えて組付ける構成でもよい。

【００２２】

【発明の効果】このように説明した本発明では、スタン
パーの外周部を押えて保持するスタンパー押え部材が分
割されて、複数の押え片で構成されており、各押え片が
駆動手段によりスタンパーの半径方向に移動可能に設け
られていることで、従来のように比較的に重量のあるス
タンパー押え部材をスタンパー交換時に金型から取り外
す必要がなく、スタンパー押え部材の脱着による金型へ
の破損の心配がなくなる。

【００２３】さらに、スタンパーを交換する際にスタン
パー押え部材を手で持つ必要がないので、比較的高い金
型温度においてもスタンパ押え部材を外すことができる
ようになり、スタンパー交換時間を大幅に短縮すること
ができる。

【００２４】また、スタンパー交換を自動化する場合は
比較的重量のあるスタンパ押え部材を持ち運ぶ必要がな
いので、スタンパー自動交換装置の小型軽量化が実現で
きた。

【００２５】そして、このような本発明の構成において
も従来と同様な光情報ディスク媒体が形成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の光ディスク基板成形用金型の一実施例
を示す縦断面図である。

【図２】図１に示した一実施例の可動側型の右側面図で
ある。

【図３】図２のＡ−Ａ線断面の拡大図である。

【図４】本発明の一実施例の成形状態を示した図であ
る。

【図５】本発明の一実施例においてスタンパーを交換す
るときの図である。

【図６】本発明の他の実施例を示した図である。

【図７】本発明の他の実施例を示した図である。

【図８】本発明の他の実施例を示した図である。

【図９】本発明の他の実施例を示した図である。

【図１０】従来の射出成形金型の一例を示す縦断面図で
ある。

【符号の説明】

１，５３ スタンパー ２，２３，３１，４１，５５ スタンパー外周押え ３，５４ スタンパー内周押え ４，２１，５２ 可動側ミラー ５ 可動側型 ６，３４，４４ ボールねじ ７，３２，４２ 電動モータ ８，３３，４３ スライドレール ９，２２ ボルト １０ 外周部 １１，１２ テーパ面 １３ ロッキングリング １４ キャビティー １５ 固定側型 １６ 溝 １７ 出射ノズル １８ 溶融樹脂 ５１ 真空孔

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 可動型と、固定型と、前記可動型内ある
   いは固定型内に設けられた、微細パターンを有するスタ
   ンパーと、該スタンパーの外周部を押えて前記可動型あ
   るいは固定型に保持するためのスタンパー押え部材とを
   有する光ディスク基板成形用金型において、 前記スタンパ押え部材は分割されて複数の押え片から構
   成されており、 前記複数の押え片は、それぞれ前記スタンパーの径方向
   に移動可動に前記可動型あるいは固定型に取り付けられ
   ており、さらに複数の押え片を前記径方向に移動させる
   ための駆動手段を備えたことを特徴とする光ディスク基
   板成形用金型。