JPH0616393Y2 - ドラム蓋締結装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はドラム缶へのドラム蓋の締結装置に関し、特に
作業員の直接手作業によることなくドラム缶へドラム蓋
を装脱着及び締結することのできるドラム蓋締結装置に
関する。

〔従来の技術〕

従来、人体に有害な物質例えば放射性物質や放射性廃棄
物を大量に取扱う場所、例えば原子力発電所等において
は、これらの放射性物質や放射性廃棄物をドラム缶内に
収納して取扱つている。

この種のドラム缶は、例えば第１２図に示すように、周
囲には放射線遮蔽材（コンクリート）ａが充填されてお
り、放射性物質又は放射性廃棄物ｂを収納後、ドラム缶
ｇを閉缶するが、閉缶作業は相当重量のある放射線遮蔽
材（コンクリート）製内蓋ｃを作業員がかつぎ上げて内
蓋をし、ドラム上蓋ｄをドラム缶ｇにのせ、上蓋締結バ
ンドｅを装着し、ボルト・ナツトｆによつて締付けるこ
とにより行なつていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記のように閉缶を手作業で行なうと、放射性物質や放
射性廃棄物のような危険物では、その特殊性から相当な
経験を必要とし、しかも作業員の安全性を確実なものと
するため作業が煩雑となつたり、作業性が悪い等の問題
があつた。

本考案は、作業員が直接手作業せずにドラム缶へのドラ
ム蓋の装脱着及び締結を行うことのできるドラム蓋締結
装置を提案するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上蓋吊上げフックをかけるフランジとドラム口
金の上部フランジに嵌合する凸部とを有するドラム上蓋
を、ドラム蓋の中央部に該ドラム蓋とは独立に回転でき
るように設けられたボルトにより上下方向に移動し間隔
を調整できるようにして一体化させた、ドラム口金の下
部フランジに嵌合するフランジを有するドラム蓋を、ド
ラム上蓋の凸部に嵌合する上部フランジとドラム蓋のフ
ランジに嵌合する下部フランジとを有しドラム缶の上縁
に取り付けられたドラム口金内に挿入し、前記ボルトの
回転によりドラム口金の上部フランジとドラム上蓋の凸
部及びドラム口金の下部フランジとドラム蓋のフランジ
との嵌合部を締めつけることによって閉缶する方式のド
ラム缶のドラム蓋締結装置であって、ドラム缶の上方に
レールを設けて走行台車を配し、該走行台車には昇降装
置を設けて、ドラム蓋締結工具で吊上げたドラム上蓋を
一体化させたドラム蓋をドラム口金内に挿入する際の位
置ずれを調整するドラム蓋締結工具調芯機構と、該ドラ
ム蓋締結工具調芯機構の下部にドラム蓋締結工具とを搭
載させ、該ドラム蓋締結工具には前記ボルトの頭部を嵌
合させ回転させる締結ソケットと前記ドラム上蓋を一体
化させたドラム蓋を吊上げる上蓋吊上げフックとを設
け、該締結ソケットと上蓋吊上げフックのそれぞれを前
記ボルトと前記上蓋とに係合できるようにしたことを特
徴とするドラム蓋締結装置に関する。

〔作用〕

本考案においては、レール上を往復駆動する走行台車
と、当該走行台車に搭載されかつ鉛直方向に伸縮自在
で、ドラム蓋を締結するためのボルト締結ソケツト及び
ドラム蓋を把持するドラム蓋吊上げフツクを具備するド
ラム蓋締結工具とからなるドラム蓋締結装置の該ドラム
蓋吊上げフツクでドラム蓋を把持し、吊上げ、走行台車
で運搬するもので、これにより、作業員の直接手作業に
よる重量物の運搬等の作業の煩雑さを回避し、かつ作業
の安全性を確実にできる。

また、本考案では、上記のドラム蓋締結工具を鉛直方向
に伸縮させる昇降装置及びボルト締結ソケツトにより、
遠隔地にある処理対象ドラム缶の閉缶、締結を行なうこ
とができる。

〔実施例〕

第１図〜第１１図に本考案装置の実施例を示す。

第１図及びそのＡ−Ａ矢視図である第２図において、１
は放射性物質又は放射性廃棄物５０をドラム缶２に収納
するドラム収納室、３は基礎、４は基礎３に敷設された
レールで、このレール４上を車輪５を介して走行台車６
が移動する。７はドラム蓋締結工具調芯機構で、走行台
車６に搭載されており、８はドラム蓋締結工具である。
これらのドラム蓋締結工具調芯機構７及びドラム蓋締結
工具８は昇降装置９，１０により鉛直方向に伸縮自在で
ある。

ドラム蓋締結工具調芯機構７は、第４図(A)及びその右
側面形状を示す第４図(B)のように、互いに直交するよ
う配置されたレール３７，３８上を摺動部４１，４２を
介して架台３９，４０が移動するようにしたもので、架
台３９に取り付けられたドラム蓋締結工具８がドラム蓋
１１をドラム缶２に着脱する時、ドラム蓋１１に設けら
れたボルト１２とドラム蓋締結工具８の先端に設けられ
たボルト１２の挿入されるボルト締結ソケツト１３との
芯ずれによつて生ずる反力、及びドラム蓋締結工具８が
ドラム蓋１１をドラム口金１４に挿入する際の芯ずれに
よつて生ずる反力に相当する量だけ架台３９，４０が偏
位し、芯ずれを自己調整することができるものである。

第５図はドラム蓋締結工具８の断面を示す。ボルト締結
ソケツト１３は揺動モータ（ナツトランナ）１５に軸１
６を介して接続され、ボルト締結ソケツト１３の先端
は、ドラム蓋１１に設けられたボルト１２の先端に加工
された角軸１２−１を挿入可能な角穴となつており、こ
の角穴にボルト１２が挿入され、揺動モータ１５の回転
が軸１６を介してボルト締結ソケツト１３、そしてボル
ト１２に伝わる。この時、第１０図(B)に示すように、
ボルト１２は円筒形をなし、先端に角軸１２−１を具備
し、ボルト１２が貫通できる穴が明けられた金物４３に
よつてドラム蓋１１に取り付けられており、ボルト１２
はドラム蓋１１に対し独立して回転する構造となつてい
る。

ボルト締結ソケツト１３の内部には、圧縮コイルばね１
７が内蔵され、第７図(A)、(B)に示すように、ドラム蓋
１１に設けられたボルト１２がねじ込まれるねじ穴３３
が明けられたドラム上蓋２６とドラム蓋１１とがボルト
１２で一体化されている第７図(A)の状態から、揺動モ
ータ１５の回転によつてボルト１２がねじ戻されドラム
上蓋２６とドラム蓋１１が離反する第７図(B)の状態ま
で、ボルト１２の移動ストロークに追従でき且つボルト
締結ソケツト１３とボルト１２の嵌合を圧縮コイルばね
１７の反発力によつて確実なものにしている。

１８はドラム上蓋吊上げフツクで、その上端１８−２
は、第５図及びそのＢ−Ｂ断面矢視図である第６図に示
すように、回転板１９の穴２０に挿入されている。同ド
ラム上蓋吊上げフツク１８の機構は以下のとおりであ
る。モータ２１の回転が減速器２２により減速された
後、軸２４によつてギヤ２３に伝達され、更にギヤ２３
とかみ合うギヤ２５に伝達されて、ギヤ２５と一体構造
である回転板１９が回転する。回転板１９が第６図の位
置まで回転すると、ドラム上蓋吊上げフツク１８の上端
１８−２は回転板１９の回転中心１９−１に向かつて互
いに接近し、ドラム上蓋吊上げフツク１８のフツク１８
−１は軸２８を介してドラム蓋締結工具８の外周方向へ
互いに開き、第３図に示すように、フツク１８−１はド
ラム上蓋２６を把持する。また回転板１９が第６図中
で示す方向に回転すると、フツク１８−１はドラム蓋締
結工具８の中心に向かい互いに閉じてドラム上蓋２６の
把持を開放する。

第１図において、２７はドラム蓋締結工具旋回装置を示
し、第４図(A)，(B)に示すように、ドラム蓋締結工具８
は架台３９に対して軸受４４を介して旋回可能となつて
おり、架台３９に取り付けられたモータ３４の回転が、
減速器２９により減速され、減速器２９の軸３０に取り
付けられたギヤ３１、そしてドラム蓋締結工具８の上部
８−１に設けられたギヤ３１とかみ合うギヤ３２に伝達
されることによつて、ドラム蓋締結工具８が架台３９に
対して旋回を行なうことができる。

第８図(A)にはドラム口金１４を上面から見た形状を、
第８図(B)には第８図(A)のＣ−Ｃ線断面矢視形状を示
す。第９図(A)にはドラム上蓋２６を上面から見た形状
を第９図(B)には第９図(A)のＤ−Ｄ線断面矢視形状を示
す。第１０図(A)にはドラム蓋１１を上面から見た形状
を、(B)には第１０図(A)のＥ−Ｅ線断面矢視形状を示
す。ドラム口金１４の上部フランジ４５には切り欠き部
４５−１があり、ドラム上蓋２６の側板４６には凸部４
６−１が設けられており、ドラム口金１４にドラム上蓋
２６を挿入する時、ドラム口金１４の切り欠き部４５−
１にドラム上蓋２６の凸部４６−１がはまり込む。ま
た、ドラム上蓋２６にはドラム蓋１１に設けられたボル
ト１２がねじ込まれるねじ穴３３が明けられ、該ドラム
上蓋２６の上面にはドラム上蓋吊上げフツク１８のフツ
ク１８−１が掛かるフランジ４７が設けてある。

第１１図(A)〜(C)は、以上に述べたドラム蓋締結工具
８、ドラム上蓋２６、ドラム蓋１１によるドラム缶２の
閉缶作用を示す図である。

先ず第１１図(A)において、ドラム上蓋吊上げフツク
１８のフツク１８−１を閉の状態で、ドラム上蓋２６の
ねじ穴３３にボルト１２をねじ込んでドラム蓋１１と一
体化したドラム上蓋２６のフランジ部４７に挿入し、フ
ツク１８−１を開いてドラム上蓋２６を把持する。この
時、ボルト締結ソケツト１３先端の角穴には、ボルト１
２の先端に加工された角軸１２−１が嵌合されている。

次いで第１１図(B)において、ドラム口金１４の切り
欠き部４５−１にドラム上蓋２６の凸部４６−１がはま
り込むようにして一体化したドラム上蓋２６とドラム蓋
１１をドラム口金１４に挿入する。

しかる後第１１図(B)において、ドラム蓋締結工具旋
回装置２７によりドラム蓋締結工具８そしてフツク１８
−１によつて把持されたドラム上蓋２６を旋回させて、
ドラム上蓋２６の凸部４６−１とドラム口金１４の上部
フランジ４５が重なり合うようにする。

そして第１１図(C)において、ボルト１２をねじ戻す
方向にボルト締結ソケツト１３を回転させてボルト１２
をねじ戻し、ボルト１２の頭部がドラム蓋１１を押し戻
すことによりドラム蓋１１とドラム上蓋２６を互いに離
反させる。

以上によつて、ドラム蓋１１のフランジ下面１１−１は
ドラム口金１４の下部フランジ４８に押し付けられ、ド
ラム上蓋２６の凸部上面４９はドラム口金１４の上部フ
ランジ４５の下面に押し付けられ、ドラム口金１４の上
部フランジ４５とドラム上蓋２６の凸部４６−１及びド
ラム口金１４の下部フランジ４８とドラム蓋１１のフラ
ンジとの嵌合、締めつけによるドラム缶２の閉缶が完了
する。

次に以上のように構成される本考案の一実施例を用いて
行うドラム缶の閉缶作業を手順ごとに説明する。

(1)第１図のドラム収納室１の上階の基礎３に敷設され
たレール４上の控位置にある本考案装置のドラム蓋締結
工具８にて、前述のように、ボルト１２でドラム蓋１１
と一体化されたドラム上蓋２６をドラム上蓋吊上げフツ
ク１８を介して吊り上げる。

(2)このようにして一体化したドラム蓋１１とドラム上
蓋２６を吊り上げたドラム蓋締結工具８を第１図に示す
ように、走行台車６にてレール４上をドラム収納室１内
ドラム缶２の直上に設けられたハツチ３５位置まで移動
させる。

(3)ハツチ３５を開き、昇降装置９，１０にてドラム蓋
締結工具８を下降させる。

(4)一体化したドラム蓋１１とドラム上蓋２６がドラム
口金１４に挿入されるまで、ドラム蓋締結工具８を下降
させた後、下降を停止し、続いて前述のようにドラム蓋
締結工具旋回装置２７にてドラム蓋締結工具８、そして
ドラム蓋１１とドラム上蓋２６を旋回させて、ドラム上
蓋２６の凸部４６−１とドラム口金１４の上部フランジ
４５を重ね合わせる。

(5)ドラム蓋締結工具８内の揺動モータ１５をボルト１
２をねじ戻す方向に回転させてボルト１２をねじ戻し、
ドラム蓋１１とドラム上蓋２６を互いに離反させ、蓋１
１をドラム口金１４の上，下フランジ４５，４８に押し
付けてドラム缶２の閉缶、締結を行なう。

(6)ドラム蓋１１及びドラム上蓋２６とドラム口金１４
の締結完了後、ドラム蓋締結工具８内のモータ２１の回
転によつてドラム上蓋吊上げフツク１８のドラム上蓋２
６に対する把持を解放する。

(7)ドラム上蓋２６に対するドラム上蓋吊上げフツク１
８の把持が解放され、上昇可能となつたドラム蓋締結工
具８を昇降装置９，１０によつて上昇させ、走行台車６
上の控位置へ復帰させる。

(8)ハツチ３５を閉鎖し、ドラム蓋締結工具８を走行台
車６によつてレール上を移動させドラム蓋締結装置控位
置に復帰させて、ドラム缶閉缶、締結作業が完了する。

なお、これら一連の作業は、ドラム蓋締結装置の走行台
車６に設置された操作盤３６によつて遠隔操作し、効率
良く、しかも作業員の直接手作業によることなく安全に
行なうことができる。

〔考案の効果〕

本考案装置を使用することにより、ドラム缶閉缶作業を
作業員の直接手作業によることなく行うことができ、作
業が簡素化されると共に、作業性が向上する。また、作
業員の直接手作業によつて起こり得るドラム缶の転倒や
指詰め事故の危険性は皆無となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の一実施例の概略外観図、第２図は
第１図のＡ−Ａ線断面矢視図、第３図は第１図のドラム
蓋締結工具まわりの拡大図、第４図(A)はドラム蓋締結
工具調芯機構及びドラム蓋締結工具旋回装置を示す図、
第４図(B)は第４図(A)の右側面図、第５図はドラム蓋締
結工具の断面図、第６図は第５図のＢ−Ｂ線断面矢視
図、第７図(A)はドラム蓋締結工具のうちボルト締結ソ
ケツトの拡大断面及びドラム上蓋とドラム蓋がドラム蓋
に設けられたボルトによつて一体化した状態を示す図、
第７図(B)は第７図(A)のボルト締結ソケツトの回転によ
つてドラム上蓋とドラム蓋が離反した状態を示す図、第
８図(A)はドラム口金を上面より見た図、第８図(B)は第
８図(A)のＣ−Ｃ線断面矢視図、第９図(A)はドラム上蓋
を上面より見た図、第９図(B)は第９図(A)のＤ−Ｄ線断
面矢視図、第１０図(A)はドラム蓋を上面より見た図、
第１０図(B)は第１０図(A)のＥ−Ｅ線断面矢視図、第１
１図(A)〜(C)はドラム蓋及びドラム上蓋をドラム口金に
締結する手順の説明図、第１２図は従来のドラム缶を示
す図である。 ａ……放射線遮断材（コンクリート）、ｂ……放射性物
質または放射性廃棄物、ｃ……放射線遮断材（コンクリ
ート）製内蓋、ｄ……ドラム上蓋、ｅ……上蓋締結バン
ド、ｆ……ボルト・ナツト、ｇ……ドラム缶、１……ド
ラム収納室、２……ドラム缶、３……基礎、４，３７，
３８……レール、５……車輪、６……走行台車、７……
ドラム蓋締結工具調芯機構、８……ドラム蓋締結工具、
９，１０……昇降装置、１１……ドラム蓋、１１−１…
…フランジ下面、１２……ボルト、１２−１……角軸、
１３……ボルト締結ソケツト、１４……ドラム口金、１
５……揺動モータ（ナツトランナ）、１６，２４，２
８，３０……軸、１７……圧縮コイルばね、１８……ド
ラム上蓋吊上げフツク、１８−１……フツク、１８−２
……ドラム上蓋吊上げフツク上端、１９……回転板、２
０……穴、２１，３４……モータ、２６……上蓋、２７
……ドラム蓋締結工具旋回装置、２２，２９……減速
器、２３，２５，３１，３２……ギヤ、３３……ねじ
穴、３５……ハツチ、３６……操作盤、３９，４０……
架台、４１，４２……摺動部、４３……金物、４４……
軸受、４５……上部フランジ、４５−１……切り欠き
部、４６……側板、４６−１……凸部、４７……フラン
ジ、４８……下部フランジ、４９……凸部上面、５０…
…放射性物質または放射性廃棄物

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上蓋吊上げフックをかけるフランジとドラ
   ム口金の上部フランジに嵌合する凸部とを有するドラム
   上蓋を、ドラム蓋の中央部に該ドラム蓋とは独立に回転
   できるように設けられたボルトにより上下方向に移動し
   間隔を調整できるようにして一体化させた、ドラム口金
   の下部フランジに嵌合するフランジを有するドラム蓋
   を、ドラム上蓋の凸部に嵌合する上部フランジとドラム
   蓋のフランジに嵌合する下部フランジとを有しドラム缶
   の上縁に取り付けられたドラム口金内に挿入し、前記ボ
   ルトの回転によりドラム口金の上部フランジとドラム上
   蓋の凸部及びドラム口金の下部フランジとドラム蓋のフ
   ランジとの嵌合部を締めつけることによって閉缶する方
   式のドラム缶のドラム蓋締結装置であって、ドラム缶の
   上方にレールを設けて走行台車を配し、該走行台車には
   昇降装置を設けて、ドラム蓋締結工具で吊上げたドラム
   上蓋を一体化させたドラム蓋をドラム口金内に挿入する
   際の位置ずれを調整するドラム蓋締結工具調芯機構と、
   該ドラム蓋締結工具調芯機構の下部にドラム蓋締結工具
   とを搭載させ、該ドラム蓋締結工具には前記ボルトの頭
   部を嵌合させ回転させる締結ソケットと前記ドラム上蓋
   を一体化させたドラム蓋を吊上げる上蓋吊上げフックと
   を設け、該締結ソケットと上蓋吊上げフックのそれぞれ
   を前記ボルトと前記上蓋とに係合できるようにしたこと
   を特徴とするドラム蓋締結装置。