JPH06162568A - 光記録媒体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ディスク基板３上に記録層４を形成しその上
にスピンコート法によって紫外線効果樹脂の第１の保護
膜５を設ける。さらにその上に、スクリーン印刷法によ
って、潤滑剤を内添した紫外線効果樹脂の第２の保護膜
６を形成する。 【効果】 保護膜が均一な厚みで形成されると共に、潤
滑効果により傷が付きにくく、適度な表面粗さの保護膜
とすることができるので、摺動方式或いはフライングヘ
ッド方式のヘッド装置に使用してもヘッドが貼り付きを
起こさない、優れた光磁気記録媒体となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、光記録媒体に関するも
のであり、特に、摺動方式或いはフライングヘッド方式
のヘッドに対応できる光記録媒体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、情報記録の分野においては、光記
録方式に関する研究が各所で進められている。この光記
録方式は、レーザ光を用いて情報の記録再生を行うもの
であり、これを用いた光記録媒体としては、再生専用型
のデジタルオーディオディスク（いわゆるコンパクトデ
ィスク），光学式ビデオディスク（いわゆるレーザディ
スク）等が広く普及している。

【０００３】一方、使用者が情報の繰り返し記録，消去
を行うことが可能な書き込み可能型の光記録媒体として
光磁気記録媒体の開発が進められ、商品化が実現されつ
つある。光磁気ディスクは、透明基板上に膜面と垂直方
向に磁化容易軸を有し且つ磁気光学効果の大きな磁性薄
膜よりなる磁気記録層を形成すると共に反射層，誘電体
層を積層することにより記録部を形成し、さらにこの記
録部上に保護膜が設けられた構成とされる。

【０００４】なお、上記光磁気ディスクに情報を記録す
る際には、透明基板側からのレーザ光の照射により磁性
薄膜を部分的にキュリー点または温度補償点を越えて昇
温し、この部分の保磁力を消滅させて、磁気ヘッド装置
にて印加される記録磁界の方向に磁化の向きを反転させ
る。再生に際しては、該記録磁性層にレーザ光を照射
し、磁気カー効果もしくはファラデー効果を利用して情
報を検出する。

【０００５】従来の光記録媒体の記録再生システムは、
固定型ヘッドであり、媒体とヘッドは一定間隔離されて
いる。例えば、光磁気ディスク１１の記録再生システム
は、図４のように、ピックアップ１６よりレーザーが発
せられ、透明基板１３を通して、記録層１４に照射さ
れ、これにより記録層１４の温度が上昇し、保護膜１５
を介して磁気ヘッド１７から生じる磁界により記録を行
うというものであるが、磁気ヘッド１７は固定型であ
り、ディスクの面振れによってヘッドと接触することを
さけるため、ディスクとヘッドとは５ｍｍ以上離されて
いる。

【０００６】光記録媒体を汎用化させるためには、装置
の小型化、低電力化が必要不可欠である。そのためには
ヘッドと媒体を接近させる必要があり、固定型ヘッドに
よる方法より、摺動方式やフライングヘッド方式といっ
た形態の方が望ましい。しかしながら、ディスクの保護
膜の多くは紫外線硬化樹脂をスピンコート法によって形
成させたものであり、記録層の耐腐性のみを目的として
いるため、ヘッドが摺動或いは接触すると保護膜に傷が
付き、記録層に書き込まれた情報が破壊されてしまう虞
れがある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】そこで、保護膜に潤滑
剤を内添させたり、保護膜上に潤滑剤を塗布したりする
ことによって、傷付きを抑えることが考えられる。しか
し、摺動方式においても、フライングヘッド方式におい
ても、ディスクの回転を止めると、ディスクとヘッドの
張り付きが起こるという問題がある。これは、保護膜が
スピンコート法等によって形成されているので表面が非
常に平滑化されているためである。

【０００８】また、スピンコート法によって形成された
保護膜は、膜厚がディスクの中心側では薄く、外側に向
かうにしたがって厚くなり、さらに外周端では盛り上が
りが発生するという欠点がある。このような保護膜の厚
みの差がヘッドとの距離の差となり、記録再生或いは消
去に影響を与えたり、ヘッドの浮上特性に悪影響を及ぼ
したりすることにもなる。

【０００９】このため、均一な厚さで保護膜を形成する
方法として、例えば、特開平３−１８１０３６号広報に
記載されるようなスクリーン印刷法を用いた方法が考え
られる。この方法によると、スピンコート法に比較して
成膜時間が短いこと、塗料を飛散させないためムダが少
ないこと等の利点があるが、記録層に直接印刷を施して
いるので不用意に記録層に傷を付けてしまう虞れがあ
り、実際にはこの方法による保護膜形成は困難である。

【００１０】そこで本発明は、かかる実情に鑑みて提案
されたものであり、摺動方式やフライングヘッド方式に
おいてヘッドとの貼り付きを発生させることなく、さら
に、ディスク表面の保護膜の厚さが均一な光記録媒体を
提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、上述の目的を
達成するために提案されたものであり、透明基板上に記
録層と保護膜とが順次積層形成されてなる光記録媒体に
おいて、前記保護膜は、スピンコート法によって形成さ
れ紫外線硬化樹脂よりなる第１の保護膜と、スクリーン
印刷法によって形成され潤滑剤の内添された紫外線硬化
樹脂よりなる第２の保護膜とからなることを特徴とする
ものである。

【００１２】即ち、本発明は、スピンコート法によって
形成された保護膜に存在していた外周端の盛り上がりを
この保護膜の上からさらにスクリーン印刷法による保護
膜を形成することにより水平面としてしまうものであ
る。また、このスクリーン印刷法による保護膜には潤滑
剤を内添させているため傷が付きにくい光記録媒体とす
ることができるうえ、スクリーン印刷法による塗布は表
面を適度に荒らすことができるためヘッドとの貼り付き
を防止し、摩擦係数を低減することが可能である。

【００１３】

【作用】スピンコート法によって記録層をコーティング
するため、記録層に傷を付けることなく、密着性の高い
保護膜が形成される。さらに、スピンコート法による保
護膜形成の後、スクリーン印刷による保護膜形成を行っ
ているため、完成された２層からなる保護膜は全体とし
て膜厚が均一で、外周端の盛り上がりがないものとな
る。

【００１４】スクリーン印刷による保護膜の表面は、適
度の粗さを持たせることにより、ヘッドとの貼り付きを
防止できる。また、潤滑剤が内添されているため、傷付
きにくい。

【００１５】

【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて、図面を参照しながら説明する。光磁気ディスクに
本発明を適用して本実施例のサンプルディスクを作製し
たが、本発明が以下の実施例に限定されるものではない
ことはいうまでもない。

【００１６】この光磁気ディスク１は、図１に示される
ように、透明樹脂からなりセンター穴２を有するディス
ク基板３の一方の面に記録層４が形成された単板構造の
ディスクであり、この上に、紫外線硬化樹脂よりなる第
１の保護膜５と、潤滑剤を内添した紫外線硬化樹脂より
なる第２の保護膜６が形成されてなるものである。

【００１７】第１の保護膜の形成方法は、スピンコート
法であり、記録層４か形成されたディスク基板３を低速
回転させながらディスペンサをディスクの中心部から外
周部へ移動させ塗料を塗布し、その後、ディスク基板３
を高速回転させることにより、記録層４上の全面に塗料
を行き渡らせ余分な塗料を除去させた後硬化させること
によって保護膜を形成するものである。

【００１８】さらに、第２の保護膜の形成方法はスクリ
ーン印刷法によるものである。つまり、図２，３のよう
に、上記第１の保護膜までが形成されたディスクは、ス
クリーン７の下側にセットされて、スクリーン７の編み
目部７ａの上から摺り切り板８により潤滑剤を内添した
紫外線硬化型の塗料９が塗布されるようになっている。

【００１９】さらに詳しくは、前記スクリーンの編み目
部７ａは前記ディスク基板３の外径に合った大きさに形
成され、この編み目７ａの下面が前記第１の保護膜４の
上面と当接するようにセットされた状態で編み目部７ａ
上に摺り切り板８を図中の矢印のように摺動させて塗料
９を伸ばし、これによって編み目部７ａからしみ出た塗
料が第１の保護膜５の上面全体に塗布されて第２の保護
膜６の層が形成されることになる。その後、塗料の希釈
剤等を揮発乾燥させて紫外線を照射することによって第
２の保護膜６を硬化させるものである。

【００２０】上述のように保護膜を形成すると、第１の
保護膜５の厚さにムラがあっても、第２の保護膜６の上
面はスクリーン７の面によって規定されているため、こ
の処理が終了した時点で本発明の光磁気ディスク１の上
面は水平面となっている。また、保護膜表面の平滑性に
ついては、第２の保護膜６を形成する際、スクリーン印
刷を施す塗料９の条件を適性化することによって、適度
な表面粗さを持つ保護膜とすることができる。

【００２１】ここで、上述した実施例のディスクと比較
するために、以下の比較例ディスクを作製した。 比較例１ ：スピンコート法による第１の保護膜までは
実施例のディスクと同様にして形成され、第２の保護膜
は設けられていないものである。 比較例２ ：スピンコート法による第１の保護膜に潤滑
剤を内添させた以外は実施例のディスクと同様にして形
成され、第２の保護膜は設けられていないものである。

【００２２】比較例３ ：スクリーン印刷による第２の
保護膜には潤滑剤が内添されていない以外は実施例のデ
ィスクと同様にして形成されたものである。

【００２３】以上のようにして作製された実施例，比較
例のディスクを実際に、摺動型の磁気ヘッド装置とフラ
イングヘッド型の磁気ヘッド装置に対して使用してみ
た。摺動型の磁気ヘッド装置に適用した結果を表１に、
フライングヘッド型の磁気ヘッド装置に適用した結果を
表２に示す。

【００２４】

【表１】

【００２５】

【表２】

【００２６】この実験より、本発明の光記録媒体は、摺
動型の磁気ヘッド装置に適用しても、フライングヘッド
型の磁気ヘッド装置に対して適用しても良好な結果が得
られることがわかった。

【００２７】

【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、先ず
最初にスピンコート法によって記録層をコーティングす
るので、記録層に傷を付けることなく、密着性の高い保
護膜が形成することができる。さらに、スピンコート法
による保護膜形成の後、スクリーン印刷による保護膜形
成を行っているので、完成された２層からなる保護膜の
表面は水平面とすることができる。

【００２８】スクリーン印刷による保護膜の表面は、適
度の粗さを持たせることにより、ヘッドとの貼り付きを
防止できる。また、潤滑剤が内添されているため、傷付
きにくい光記録媒体とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した光磁気ディスクの一例を模式
的に示す断面図である。

【図２】第２の保護膜の形成工程を示す斜視図である。

【図３】第２の保護膜の形成工程を示す断面図である。

【図４】従来の光磁気記録媒体の記録再生システムを模
式的に示す断面図である。

【符号の説明】

１・・・光磁気ディスク ２・・・センター穴 ３・・・ディスク基板 ４・・・記録層 ５・・・第１の保護膜 ６・・・第２の保護膜 ７・・・スクリーン ７ａ・・・編み目 ８・・・摺り切り板 ９・・・塗料

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透明基板上に記録層と保護膜とが順次積
   層形成されてなる光記録媒体において、 前記保護膜は、スピンコート法によって形成され紫外線
   硬化樹脂よりなる第１の保護膜と、スクリーン印刷法に
   よって形成され潤滑剤の内添された紫外線硬化樹脂より
   なる第２の保護膜とからなることを特徴とする光記録媒
   体。