JPH061594U - 吊具付き回り縁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回り縁に吊具を装着させる際、吊具の取り付
け位置の変動が容易で、且つ取付施工を省力化でき、併
せて、意匠的に非常に美しい吊具付き回り縁を提供する
こと。 【構成】 天井A と壁B の見切り縁として取り付けられ
る中空状の回り縁C 内部の下部に、長手方向に沿って前
方側に略上向きコ字状のレール部8 を設けると共に、該
レール部8 に沿って、前記回り縁C の長手方向下面にス
リット18を設け、前記レール部8 に摺動自在に摺動する
吊具D が、前記スリット18を介して下方に垂下して吊着
品E を掛吊する掛吊部21を有すると共に、前記レール部
8 に上部が支持されて設けられている。

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、天井と壁の見切り縁として取り付ける回り縁であって、特に吊具が 予め装着されているものに関する。

【０００１】

【従来の技術】

従来、回り縁としては、木製の他に、金属製、ビニル製等のものがあったが、 何かものを吊り下げるための吊具を取り付けようとする場合、木製の場合は釘を 打ったり、ネジを螺着できるが、金属製、ビニル製等の回り縁では、釘孔を開け ることができず、貼着フック等、その裏面に貼着剤が付いたプラスチック製の吊 具を使用するしかなかった。 一方、壁や天井に予め吊具を埋設させている建築構造も最近ではよく知られて いる。

【０００２】

【考案が解決しようとする課題】

上記、回り縁に吊具を取り付けるにあたり、特に木製の場合に釘孔を開けて吊 具を取り付けたものは、取り付け位置が変動するたびに釘などを打たねばならな いし、使用しなくなった時にその吊具を取っても孔があき、体裁が悪く、また、 取らなくても意匠上好ましくなかった。 貼着剤が付いたプラスチック製の吊具を取り付けたものは、吊着品の重量に限 界があり、また、直ぐに貼着剤が離脱してしまうので、長期使用ができない上、 貼着剤の痕跡が残ってやはり体裁が悪かった。

【０００３】 また、壁や天井に予め吊具を埋設させたものでは吊具を必要な位置に簡単に取 り付けなおすことはできず、予め決められて位置範囲内のみで使用するしかなか った。

【０００４】 そこで、本考案では、前記問題点に鑑み、回り縁に吊具を装着させる際、吊具 の取り付け位置の変動が容易で、且つ取付施工を省力化でき、併せて、意匠的に 非常に美しい吊具付き回り縁を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じる。

【０００６】 即ち、中空状の回り縁内部の下部に、長手方向に沿ってレール部を設けると共 に、該レール部に沿って、前記回り縁の長手方向下面にスリットを設け、且つ前 記レール部に上部が支持されると共に、前記スリットを介して下方に垂下された 掛吊部を有する吊具を前記レール部に摺動自在に設けたことを特徴とし、 前記回り縁の構造としては、 壁面に定着され、その下部前方側に略上向きコ字状のレール部を形成した壁当 接部と、該壁当接部上部に一体的に設けられると共に、天井面に定着され、且つ その先端部に前方に向けて開口された係合凹部を有する天井当接部とからなる金 属製本体と； 上部に前記本体の係合凹部に係合する係止部と、中途部から後方に前記レール 部の上部にまで延設された当たり片と、下端に前記レール部のスリット側面を構 成する対向部とが設けられ、且つ前記本体を被冠する蓋体と； 上部に前記本体のレール部に摺動自在に支持される略下向きコ字状の吊持部と 、中途部に前記スリットを摺動自在に通過する胴部と、下部に前方に向けて突設 された掛吊部とを有する吊具と； から構成されていることを特徴としている。

【０００７】

【作用】

本考案では、回り縁の内部の下部に、長手方向に沿ってレール部を設けると共 に、該レール部に沿って、前記回り縁の長手方向下面にスリットを設けて、この レール部上部からスリットを嵌通して下方に垂下された吊具を備えているので、 レール部上を摺動させてスリットに沿って移動させるだけで、吊具を必要な位置 に容易に変動できる。

【０００８】 また、本考案の回り縁は、本体の壁当接部を通常の釘打ちにて壁に取り付け、 その後、吊具の吊持部を本体のレール部に支持させると共に蓋体の係止部を天井 当接部の係合凹部に嵌合して閉塞一体化するだけで、取付施工が完了し、前記釘 打ちした部分を隠すだけでなく、吊具の保持が強固となる。 従って、回り縁の表面には釘や吊具摺動のためのレール部が露出せず、意匠的 に見ても美しく仕上げることができる。 更に、取付施工も充分省力化できる。

【０００９】

【実施例】

図面に基いて本考案の実施例を詳述する。

【００１０】 本考案は、図１に示すように、天井A と壁B の見切り縁として取り付けられる 回り縁C に何かものを吊り下げるための吊具D を摺動自在に取り付けたものであ る。

【００１１】 以下、その構造及び取り付け方法を図２及び図３の断面概略図にて説明する。

【００１２】 本考案の回り縁C は、天井A 及び壁B に密接する略断面逆Ｌ字状の金属製本体 1 と、その本体1 を開閉自在に被冠する略断面Ｊ字状の蓋体2 とから構成された 長尺体である。

【００１３】 前記本体1 は図２で示すように、壁B 面に釘止め或いはねじ止めできるように その長さ方向に例えば一定間隔に予め設けられた取付孔3 を有し、且つその壁B 面と接する側に、前記壁B 面に対して剛性を持たせるための長さ方向のリブ4 が 数列設けられた板状の壁当接部5 と、 この壁当接部5 の上部から天井A 面に定着固定するよう、天井A 面に水平方向 に一体的に突設させ、且つ前記天井B 面に対して剛性を持たせるための長さ方向 のリブ6 が数列設けられた板状の天井当接部7 と、 前記壁当接部5 の下部から前方に向けて略上向きコ字状に突設されたレール部 8 とから構成されている。

【００１４】 前記天井当接部7 の先端部9 には更に、前方に向けて開口された例えば、鋸歯 状の段部10を有する係合凹部11が長さ方向に沿って溝状に設けられている。 また、前記レール部8 は、内部を空洞にしたり、金型の関係上、図に示すよう に半Ｈ型に切り欠いたりしてもよい。

【００１５】 前記本体1 は、アルミニウム等でなる軽合金を使用し、金型成形、或いは押し 出し成形にて作製することが好ましい。

【００１６】 一方、蓋体2 は、上部に前記本体1 の係合凹部11と適合する形状で、係合凹部 11に嵌合させる係止部12と、 中途部から天井A 面に水平方向に、且つ後方に向けて前記レール部8 の上部に まで延設され、その後端13が前記本体1 の壁当接部5 内面に接当するように構成 された当たり片14とを有し、その下端は吊具D が露出する分の幅のみ、前記レー ル部8 から離した位置まで延設させて対向部15とし、前記壁当接部5 のレール部 8 前面16とこの対向部15の先端面17にてスリット18を形成している。

【００１７】 前記蓋体2 は、アルミニウム等でなる軽合金を使用し、金型成形、或いは押し 出し成形にて作製てもよいが、硬質塩化ビニル・ポリプロピレン・ＡＢＳ等の合 成樹脂を使用する方が、色彩上、コスト上好ましい。 尚、前記本体1 の係合凹部11及び蓋体2 の係止部12の形状は上記鋸歯状の段部 10を有するものに限定はされず、他のあらゆる係合手段であっても、確実に係止 されていればよい。

【００１８】 前記吊具D は図３で示すように、上部に前記本体1 のレール部8 に対して摺動 自在に支持される略下向きコ字状の吊持部19と、中途部に前記スリット18内を摺 動自在に通過する胴部20と、下部に前方に向けて略上向きコ字状に突設され、実 際に何かものを吊り下げるようにした掛吊部21とを有する小型のフックである。 この吊具D は金属製のものでも、プラスチック製のものでもよいが、ステンレ ス等の合金を使用すると重量を有する吊着品E でも充分保持することができて好 ましい。

【００１９】 また、図のように前記胴部20には、吊具D をレール部8 からスリット18を介し て下方に垂下させた時、掛吊部21に対してバランスよく支持されるように、その 中途に段22を設けることが好ましい。

【００２０】 尚、前記吊具D の形状及び大きさについては、上記実施例に限定されるもので はなく、吊着品E の重量や、部屋全体の雰囲気等に応じて適宜取り替え自在とで きるように構成させておくとよい。

【００２１】 次に、本考案の吊具付き回り縁を取り付けるための取付施工方法を説明する。 前記回り縁C のうち、先ず、本体1 の取り付けから施行する。 その際、壁当接部1 の取付孔3 に釘23や木ねじ等の固着具を貫通させ、これを 壁B に直接打ち込むか、或いは接着剤等を介して打ち込み固着する。 尚、本実施例では、壁B 面のみに固着するものを例示したが、勿論天井A 面に のみ固着しても、或いは天井A 、壁B 両方に固着するようにしても構わない。

【００２２】 前記のように天井A 或いは壁B に釘打ちが全て終了したら、次に吊具D の吊持 部19を前記本体1 のレール部8 上部から覆い、必要な個数垂下させる。 最後に前記蓋体2 を本体1 に対して水平に向け、本体1 の係合凹部11に蓋体2 の係止部12を嵌合させながら、本体1 を被冠させると共に、前記吊具D を当たり 片14及び対向部15の先端面17にて保持させる。

【００２３】 このようにして、蓋体2 を本体1 に取り付けることで、図２に示すような吊具 付き回り縁の取付施工が完了し、その後、吊具D が必要な位置に、この吊具D を 摺動させ、スリット18に沿って移動させ、位置設定が終了したら、吊着品E を前 記吊具D の掛吊部21に掛けるとよい。

【００２４】 尚、他の取付施工方法の実施例として、先ず、回り縁C の本体1 を取り付け、 次に、回り縁C の蓋体2 を被冠させ、最後に吊具D を回り縁C の端部24から摺動 させることで取り付けてもよい。 この場合、前記回り縁C の端部24にキャップ25を被冠させると、吊具D が前記 端部24から脱落しなくてよい。 また、この場合に限らず、回り縁C のおさまりの都合で、適宜キャップ25を被 冠させるとよい。

【００２５】 回り縁C 及び吊具D の配色に関しては、部屋・通路（廊下）等の仕上げに適し た色彩のものを適宜選択する。

【００２６】 尚、図示してはいないが、例えば、家内電話線や電気線等の配線コードを配設 するための配線取付具を、回り縁C 内部の本体1 に予め一体的に成形させておく か、或いは、必要に応じて貼着させると、回り縁C の固着具やレール部8 ばかり でなく、配線コードも同時に隠すことができ、更に好ましい。

【考案の効果】

本考案では、回り縁C の内部の下部に、長手方向に沿ってレール部8 を設ける と共に、該レール部8 に沿って、前記回り縁C の長手方向下面にスリット18を設 けて、このレール部8 からスリット18を嵌通して下方に垂下された吊具D を備え ているので、レール部8 上を摺動させ、スリット18に沿って移動させるだけで、 吊具を必要な位置に容易に変動でき、使用できる。

【００２７】 また、本考案の回り縁C は、本体1 を通常の釘打ちにて壁B 又は天井A に取り 付け、その後、吊具D の吊持部19を 本体1 のレール部8 に支持させると共に蓋 体2 の係止部12を天井当接部7 の係合凹部11に嵌合して閉塞一体化するだけで、 取付施工が完了し、前記釘打ちした部分を隠すだけでなく、吊具D の保持が強固 となる。

【００２８】 従って、回り縁C の表面には釘23や吊具D の摺動のためのレール部8 が露出せ ず、意匠的に見ても色彩豊かに美しく仕上げることができる上、取付施工の際も 省力化を充分果たすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す使用様態図である。

【図２】同装着後の断面説明図である。

【図３】同装着前の断面説明図である。

【符号の説明】

Ａ 天井 Ｂ 壁 Ｃ 回り縁 Ｄ 吊具 Ｅ 吊着品 １ 本体 ２ 蓋体 ５ 壁当接部 ７ 天井当接部 ８ レール部 １１ 係合凹部 １２ 係止部 １４ 当たり片 １８ スリット １９ 吊持部 ２１ 掛吊部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 清水 史郎 大阪府大阪市中央区南船場３丁目10番19号 住友心斎橋ビル エスエム工業株式会社 内 (72)考案者 松本 義三 大阪府大阪市中央区南船場３丁目10番19号 住友心斎橋ビル エスエム工業株式会社 内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 中空状の回り縁(C) 内部の下部に、長手
   方向に沿ってレール部(8) を設けると共に、該レール部
   (8) に沿って、前記回り縁(C) の長手方向下面にスリッ
   ト(18)を設け、且つ前記レール部(8) に上部が支持され
   ると共に、前記スリット(18)を介して下方に垂下された
   掛吊部(21)を有する吊具(D) を前記レール部(8) に摺動
   自在に設けたことを特徴とする吊具付き回り縁。
2. 【請求項２】 壁(B) 面に定着され、その下部前方側に
   略上向きコ字状のレール部(8) を形成した壁当接部(5)
   と、該壁当接部(5) 上部に一体的に設けられると共に、
   天井(A) 面に定着され、且つその先端部(9) に前方に向
   けて開口された係合凹部(11)を有する天井当接部(7) と
   からなる金属製本体(1) と；上部に前記本体(1) の係合
   凹部(11)に係合する係止部(12)と、中途部から後方に前
   記レール部(8) の上部にまで延設された当たり片(14)
   と、下端に前記レール部(8) のスリット(18)側面を構成
   する対向部(17)とが設けられ、且つ前記本体(1) を被冠
   する蓋体(2) と；上部に前記本体(1) のレール部(8) に
   摺動自在に吊持される略下向きコ字状の吊持部(19)と、
   中途部に前記スリット(18)を摺動自在に通過する胴部(2
   0)と、下部に前方に向けて突設された掛吊部(21)とを有
   する吊具(D) と；から構成されていることを特徴とする
   請求項１記載の吊具付き回り縁。
3. 【請求項３】 前記当たり片(14)の後端(13)が前記本体
   (1) の壁当接部(5)内面に接当するように構成されてい
   ることを特徴とする請求項２記載の吊具付き回り縁。