JPH06159282A - 再生ポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インペラーの回転によりポンプ流路内で生ず
る旋回流が各羽根片間の溝（羽根溝）へ流れ込み易いよ
うにして、ポンプ効率を向上させる。 【構成】 インペラー２８の外周部に、多数の羽根片３
９と、各羽根片３９間の溝４０を二分割する隔壁４１と
を形成する。各羽根片３９は、隔壁４１側を中心にして
その両側部分がそれぞれインペラー２８の回転方向Ａへ
向けて傾斜するように形成されている。これにより、各
羽根片３９（各羽根溝４０）の形状がインペラー３９の
回転によりポンプ流路内で生ずる旋回流（矢印Ｂ）に沿
った形状となるので、旋回流が各羽根溝４０に流入し易
くなり、各羽根片３９から流体に回転方向Ａの運動エネ
ルギが効率良く付与されてポンプ効率が高められる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インペラーの構造を改
良した再生ポンプに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、再生ポンプは、粘度が低い液体
を少量送って高揚程にする小型ポンプとして利用され、
近年では例えば自動車用の燃料ポンプとして使用されて
いる。この燃料ポンプについても、近年の省資源化・地
球環境保護という社会的要求から、ポンプ効率向上によ
る燃費改善（オルタネータ負荷低減）が近年の重要な技
術的課題となっている。

【０００３】従来の一般的な再生ポンプは、例えば、特
公昭６３−６３７５６号公報（図８及び図９参照）に示
すように、インペラー１１の外周部に、ケーシング１２
内のポンプ流路１３に突出する多数の羽根片１４を形成
し、各羽根片１４間の溝（以下「羽根溝」という）１５
を隔壁１６で二分割する構成となっている。この場合、
インペラー１１を矢印Ａ方向に回転させると、ポンプ流
路１３内に吸い込まれた流体が各羽根溝１５に流れ込
み、各羽根片１４から運動エネルギを受けてポンプ流路
１３内を吐出口（図示せず）側に圧送される。この際、
各羽根溝１５に流れ込んだ流体は、回転遠心力を受けて
矢印Ｂで示すように各羽根溝１５内を外周側に流れ出
し、ポンプ流路１３の内壁に衝突して流れ方向を反転し
て、隣接する下流側（反回転方向側）の羽根溝１５内に
流れ込むという旋回流となって、ポンプ流路１３内を吐
出口側に向かって昇圧されることになる。尚、図８に矢
印Ｂで示されている旋回流は、インペラー１１に固定し
た回転座標で見たときの流れを示している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述したような再生ポ
ンプにおいて、ポンプ効率を高めるには、インペラー１
１の各羽根溝１５に矢印Ｂで示す旋回流が流れ込み易い
ようにして、各羽根片１４から流体へ回転方向Ａの運動
エネルギを効率良く付与する必要がある。しかしなが
ら、上記従来構成では、羽根片１４（羽根溝１５）の形
状が旋回流に沿った形状となっていないため、羽根片１
４の先端部分（上端部分）が旋回流の流れ込みを妨げる
流路抵抗となってしまい、これがポンプ効率を低下させ
る一因となっていた。

【０００５】本発明は、この様な事情を考慮してなされ
たもので、その目的は、インペラーの回転によりポンプ
流路内で生ずる旋回流が各羽根片間の溝（羽根溝）へ流
れ込み易いようにして、ポンプ効率を向上させることが
できる再生ポンプを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の再生ポンプは、吸込口，吐出口及びこれら
両者をつなぐ円弧状のポンプ流路とが形成されたケーシ
ングと、このケーシング内に回転自在に収納されたイン
ペラーとを備え、このインペラーの外周部に、前記円弧
状のポンプ流路内に突出する多数の羽根片と各羽根片間
の溝（羽根溝）を二分割する隔壁とが形成されたものに
おいて、前記インペラーの各羽根片は、前記隔壁側を中
心にしてその両側部分がそれぞれインペラーの回転方向
へ向けて傾斜するように形成されている。

【０００７】

【作用】上記構成によれば、インペラーの各羽根片は、
隔壁側を中心にしてその両側部分がそれぞれインペラー
の回転方向へ向けて傾斜するように形成されているの
で、羽根片（羽根溝）の形状が、インペラーの回転によ
りポンプ流路内で生ずる旋回流に沿った形状となる。こ
のため、旋回流が羽根溝に流入し易くなり、各羽根片か
ら流体に回転方向の運動エネルギが効率良く付与され
る。

【０００８】

【実施例】以下、本発明を自動車用の燃料ポンプに適用
した第１実施例について、図１乃至図６を参照して説明
する。この燃料ポンプは、図６に示すように、ポンプ部
２１とこのポンプ部２１を駆動するモータ部２２とから
構成されている。このモータ部２２はブラシ付きの直流
モータであり、円筒状のハウジング２３内に永久磁石２
４を環状に配置し、この永久磁石２４の内周側に同心状
に電機子２５を配置した構成となっている。

【０００９】一方、ポンプ部２１は、図４に示すよう
に、ケーシング本体２６，ケーシングカバー２７及びイ
ンペラー２８等から構成され、ケーシング本体２６とケ
ーシングカバー２７は、例えばアルミのダイカスト成形
により形成されている。この場合、ケーシング本体２６
は、ハウジング２３の一端に圧入固定され、その中心に
嵌着された軸受３０に電機子２５の回転シャフト３１が
貫通支持されている。一方、ケーシングカバー２７は、
ケーシング本体２６に被せられた状態でハウジング２３
の一端にかしめ付け等により固定され、このケーシング
カバー２７の中心に固定されたスラスト軸受３２によっ
て回転シャフト３１のスラスト荷重が受けられるように
なっている。これらケーシング本体２６とケーシングカ
バー２７とで密閉された１つのケーシングが構成され、
その内部にインペラー２８が回転自在に収納されてい
る。このインペラー２８の中心には、図３に示すよう
に、ほぼＤ字形の嵌合孔３３が形成され、この嵌合孔３
３が回転シャフト３１のＤカット部３１ａに嵌合されて
いる。これにより、インペラー２８は、回転シャフト３
１と一体的に回転するが、軸方向には摺動可能となって
いる。

【００１０】一方、図５（ａ）（ｂ）に示すように、ケ
ーシング本体２６とケーシングカバー２７の内側面に
は、円弧状のポンプ流路３４が形成され、ケーシングカ
バー２７に、ポンプ流路３４の一端に連通する吸込口３
５が形成され、ケーシング本体２６に、ポンプ流路３４
の他端に連通する吐出口３６が形成されている。これら
吸込口３５と吐出口３６との間には、燃料の逆流を防止
する仕切部３７が形成されている。上記吐出口３６は、
前述したモータ部２２内の空間に連通し、吐出口３６か
ら吐出された燃料が、モータ部２２内の空間部を通過し
て、モータ部２２に隣接して設けられた燃料吐出口４３
（図６参照）からインジェクタ（図示せず）へ圧送され
るようになっている。一方、吸込口３５は、燃料溜め
（図示せず）に連通されている。

【００１１】前述したインペラー２８の外周部には、円
弧状のポンプ流路３４内に突出する多数の羽根片３９
と、各羽根片３９間の羽根溝４０を二分割する隔壁４１
とが形成されている。この場合、各羽根溝４０の幅が内
周側と外周側で等しくなるように、各羽根片３９の肉厚
が外周側に向かって徐々に厚くなるように形成されてい
ると共に、各羽根片３９が隔壁４１よりも外周側に突出
されている。更に、各羽根片３９は、図１及び図２に示
すように、隔壁４１側を中心にしてその両側部分がそれ
ぞれインペラー２８の回転方向Ａへ向けて傾斜するよう
に形成されている。このような形状のインペラー２８
は、タービンブレード等と同様に例えば鋳造で作られて
いる。

【００１２】尚、本実施例では、インペラー２８の直径
を例えば３０ｍｍに設定し、インペラー２８の両側面と
ケーシング本体２６の内面及びケーシングカバー２７の
内面との間の隙間（クリアランス）をそれぞれ数μｍ〜
数十μｍ程度に設定している。更に、各羽根片３９間の
ピッチを例えば１．２ｍｍ程度に設定し、各羽根片３９
の外周端とポンプ流路３４内面との間の隙間（クリアラ
ンス）を０．５〜１．５ｍｍに設定している。

【００１３】次に、上記構成の作用について説明する。
モータ部２２の電機子２５のコイル（図示せず）に通電
して、電機子２５を回転させると、この電機子２５の回
転シャフト３１と一体的にインペラー２８が矢印Ａ方向
に回転する。これにより、インペラー２８の外周部の羽
根片３９が円弧状のポンプ流路３４に沿って回転してポ
ンプ作用を生じ、燃料溜め（図示せず）内の燃料が吸込
口３５からポンプ流路３４内に吸い込まれて、各羽根溝
４０内に流れ込み、この燃料が各羽根片３９から運動エ
ネルギを受けてポンプ流路３４内を吐出口３６側に圧送
される。この際、各羽根溝４０に流れ込んだ燃料は、回
転遠心力を受けて図１に矢印Ｂで示すように各羽根溝４
０内を外周側に流れ出し、ポンプ流路３４の内壁に衝突
して流れ方向を反転して、隣接する下流側（反回転方向
側）の羽根溝４０内に流れ込むという旋回流となって、
ポンプ流路３４内を吐出口３６側に向かって昇圧され、
吐出口３６から吐出される。尚、図１に矢印Ｂで示す燃
料の流れ（旋回流）は、インペラー２８に固定した回転
座標で見たときの流れを示している。上述したようにし
て吐出口３６から吐出された燃料は、モータ部２２内の
空間部を通過して燃料吐出口４３からインジェクタ（図
示せず）に圧送される。

【００１４】このような再生ポンプにおいて、ポンプ効
率を高めるには、燃料が各羽根溝４０に流れ込み易くし
て、各羽根片３９から燃料に回転方向Ａの運動エネルギ
を効率良く付与する必要がある。

【００１５】この観点から、本実施例の各羽根片３９
は、隔壁４１側を中心にしてその両側部分がそれぞれイ
ンペラー２８の回転方向Ａへ向けて傾斜するように形成
されている。これにより、各羽根片３９（各羽根溝４
０）の形状が、インペラー３９の回転によりポンプ流路
３４内で生ずる旋回流（矢印Ｂ）に沿った形状となる。
このため、旋回流が各羽根溝４０に流入し易くなり、各
羽根片３９から燃料に回転方向Ａの運動エネルギが効率
良く付与されて、ポンプ効率が高められる。

【００１６】しかも、本実施例では、各羽根片３９を隔
壁４１よりも外周側に突出させているので、隔壁４１の
真上にも羽根片３９による回転遠心力を及ぼすことがで
きて、隔壁４１の真上に逆流域（ポンプ作用を妨げる領
域）が発生するのを防止でき、上述した事情と相俟っ
て、ポンプ効率をより一層向上させることができる。但
し、本発明は、各羽根片３９と隔壁４１とを同一高さに
した構成としても良く、この場合でも本発明の所期の目
的は達成できる。

【００１７】尚、本実施例では、インペラー２８を鋳造
で一体に成形しているが、各羽根片３９を切削加工によ
り形成するようにしても良い。また、本実施例のよう
に、外周側から見てＶ字形状をした羽根片３９を持つイ
ンペラー２８は、二分割型では成形できないので、図７
に示す本発明の第２実施例のように、２枚の半割り成形
品２８ａ，２８ｂを重ね合わせて１つのインペラー２８
を構成しても良い。このような構成にすれば、各半割り
成形品２８ａ，２８ｂを簡単な構成の二分割型で容易に
成形することができて、成形コストを低減できる利点が
ある。この場合でも、２枚の半割り成形品２８ａ，２８
ｂを重ね合わせるだけで、両者を接着等により固着する
必要はなく（両者間の微小な隙間によるポンプ作用の低
下がほとんど問題にならないため）、組立能率をほとん
ど損なわずに済む。但し、２枚の半割り成形品２８ａ，
２８ｂを接着等により固着した構成としても良いことは
言うまでもない。

【００１８】その他、本発明の再生ポンプは、自動車の
燃料ポンプに限定されず、水等の種々の流体を圧送する
ポンプとして広く適用できる等、要旨を逸脱しない範囲
内で種々の変形が可能である。

【００１９】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、インペラーの各羽根片を、隔壁側を中心にし
てその両側部分がそれぞれインペラーの回転方向へ向け
て傾斜するように形成しているので、羽根片（羽根溝）
の形状が、インペラーの回転によりポンプ流路内で生ず
る旋回流に沿った形状となり、旋回流が羽根溝に流入し
易くなって、各羽根片から流体に回転方向の運動エネル
ギを効率良く付与でき、ポンプ効率を効果的に向上でき
るという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示すインペラーの羽根片
部分の拡大斜視図

【図２】インペラーの羽根片部分の拡大側面図

【図３】図４のＣ−Ｃ線に沿って示す断面図

【図４】図３のＤ−Ｄ線に沿って示す断面図

【図５】ケーシング本体の斜視図（ａ）とケーシングカ
バーの斜視図（ｂ）

【図６】全体の縦断面図

【図７】本発明の第２実施例を示すインペラーの羽根片
部分の拡大斜視図

【図８】従来のインペラーの部分拡大斜視図

【図９】従来の再生ポンプの部分拡大断面図

【符号の説明】

２１…ポンプ部、２２…モータ部、２６…ケーシング本
体（ケーシング）、２７…ケーシングカバー（ケーシン
グ）、２８…インペラー、２８ａ，２８ｂ…半割り成形
品、３４…ポンプ流路、３５…吸込口、３６…吐出口、
３７…仕切部、３９…羽根片、４０…羽根溝（溝）、４
１…隔壁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸込口，吐出口及びこれら両者をつなぐ
   円弧状のポンプ流路とが形成されたケーシングと、 このケーシング内に回転自在に収納されたインペラーと
   を備え、 このインペラーの外周部に、前記円弧状のポンプ流路内
   に突出する多数の羽根片と各羽根片間の溝を二分割する
   隔壁とが形成された再生ポンプにおいて、 前記インペラーの各羽根片は、前記隔壁側を中心にして
   その両側部分がそれぞれインペラーの回転方向へ向けて
   傾斜するように形成されていることを特徴とする再生ポ
   ンプ。