JPH06158231A - 優れたクリープ強度と良好な靱性を備えた高Cr耐熱鋼の製造方法 - Google Patents
優れたクリープ強度と良好な靱性を備えた高Cr耐熱鋼の製造方法Info
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- JPH06158231A JPH06158231A JP4313796A JP31379692A JPH06158231A JP H06158231 A JPH06158231 A JP H06158231A JP 4313796 A JP4313796 A JP 4313796A JP 31379692 A JP31379692 A JP 31379692A JP H06158231 A JPH06158231 A JP H06158231A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明の目的は、優れたクリープ強度と良好
な靱性を備えた高Cr耐熱鋼の製造方法を提供すること
にある 【構成】 重量%にて、C:0.05〜0.15%、S
i:0.01〜0.5%、Mn:0.1〜1%、Cr:
8〜13%、Mo:0.7〜1.5%、V:0.05〜
0.25%、Nb:0.003%以上0.01%未満、
Al:0.005〜0.05%、N:0.005〜0.
1%を含み、必要に応じてW:0.05〜2.0%を含
み、Mo+(W/2):0.7〜1.5%であり、残部
Feおよび不可避的不純物からなる鋼を、1050℃以
上の温度に加熱し、600℃以上の温度で圧延を終了
し、300℃以下まで冷却の後、Ac1 以下で焼きもど
すことを特徴とする優れたクリープ強度と良好な靱性を
備えた高Cr耐熱鋼の製造方法。 【効果】 本発明による高Crフェライト鋼板は優れた
クリープ強度を示すばかりでなく、良好な靱性を有して
いる。
な靱性を備えた高Cr耐熱鋼の製造方法を提供すること
にある 【構成】 重量%にて、C:0.05〜0.15%、S
i:0.01〜0.5%、Mn:0.1〜1%、Cr:
8〜13%、Mo:0.7〜1.5%、V:0.05〜
0.25%、Nb:0.003%以上0.01%未満、
Al:0.005〜0.05%、N:0.005〜0.
1%を含み、必要に応じてW:0.05〜2.0%を含
み、Mo+(W/2):0.7〜1.5%であり、残部
Feおよび不可避的不純物からなる鋼を、1050℃以
上の温度に加熱し、600℃以上の温度で圧延を終了
し、300℃以下まで冷却の後、Ac1 以下で焼きもど
すことを特徴とする優れたクリープ強度と良好な靱性を
備えた高Cr耐熱鋼の製造方法。 【効果】 本発明による高Crフェライト鋼板は優れた
クリープ強度を示すばかりでなく、良好な靱性を有して
いる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、火力発電、化学プラン
ト等に用いられる高Cr耐熱鋼において、優れたクリー
プ強度と良好な靱性を付与する製造法に関する。
ト等に用いられる高Cr耐熱鋼において、優れたクリー
プ強度と良好な靱性を付与する製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】9〜12%Crを含有する高Cr耐熱鋼
板は、通常熱間圧延の後、1000℃以上の高温で焼な
らしあるいは焼入れされ、所定の強度に焼もどして使用
される。このため、圧延での高温加熱を焼ならしあるい
は焼入れ温度とみなし、熱間圧延後に焼ならしあるいは
焼入れすることなく、直接焼きもどすことが行われる。
このような方法は、特開平2−182826号公報等で
知ることができる。
板は、通常熱間圧延の後、1000℃以上の高温で焼な
らしあるいは焼入れされ、所定の強度に焼もどして使用
される。このため、圧延での高温加熱を焼ならしあるい
は焼入れ温度とみなし、熱間圧延後に焼ならしあるいは
焼入れすることなく、直接焼きもどすことが行われる。
このような方法は、特開平2−182826号公報等で
知ることができる。
【0003】上記の方法では、クリープ破断強度と靱性
を確保するため、1125℃以上の温度で50%以上の
高圧下を行う必要がある。しかしながら、スラブの表面
では温度が低下しやすく、上記の条件の確保は容易でな
い。また、薄手材では、さらに温度が低下しやすく、上
記の条件の工業的実現は困難であった。そこで、本発明
者らは、高Cr耐熱鋼を圧延後、直接焼もどす工程にお
いて、クリープ強度と靱性について種々検討した結果、
圧延条件、特に圧延開始のスラブ表面温度を規制するこ
とにより、圧延終了温度が750℃まで低下しても、優
れたクリープ強度と良好な靱性を工業的に付与できるこ
とを見出し、特願平4−142963号を提案した。
を確保するため、1125℃以上の温度で50%以上の
高圧下を行う必要がある。しかしながら、スラブの表面
では温度が低下しやすく、上記の条件の確保は容易でな
い。また、薄手材では、さらに温度が低下しやすく、上
記の条件の工業的実現は困難であった。そこで、本発明
者らは、高Cr耐熱鋼を圧延後、直接焼もどす工程にお
いて、クリープ強度と靱性について種々検討した結果、
圧延条件、特に圧延開始のスラブ表面温度を規制するこ
とにより、圧延終了温度が750℃まで低下しても、優
れたクリープ強度と良好な靱性を工業的に付与できるこ
とを見出し、特願平4−142963号を提案した。
【0004】この750℃以上の圧延終了温度は工業的
に達成できるものであるが、製造工程の自由度および製
品特性の安定性の点から、さらに低温の圧延終了温度に
おいても、優れたクリープ強度と良好な靱性を両立し得
ることが望ましい。
に達成できるものであるが、製造工程の自由度および製
品特性の安定性の点から、さらに低温の圧延終了温度に
おいても、優れたクリープ強度と良好な靱性を両立し得
ることが望ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱間圧延
後、直接焼もどす工程において、750℃未満の極低温
の圧延終了温度においても、優れたクリープ強度と良好
な靱性を両立する高Cr耐熱鋼の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
後、直接焼もどす工程において、750℃未満の極低温
の圧延終了温度においても、優れたクリープ強度と良好
な靱性を両立する高Cr耐熱鋼の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、先の課題を解
決するため、鋼材への添加元素の効果につき、極限まで
の調査検討を加えた。その結果、Nb添加量を微量かつ
狭い範囲に制御することにより、本発明の目的を達成で
きることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされ
たものであり、その要旨とするところは下記のとおりで
ある。
決するため、鋼材への添加元素の効果につき、極限まで
の調査検討を加えた。その結果、Nb添加量を微量かつ
狭い範囲に制御することにより、本発明の目的を達成で
きることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされ
たものであり、その要旨とするところは下記のとおりで
ある。
【0007】(1) 重量%にて、C:0.05〜0.
15%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1〜1
%、Cr:8〜13%、Mo:0.7〜1.5%、V:
0.05〜0.25%、Nb:0.003%以上0.0
1%未満、Al:0.005〜0.05%、N:0.0
05〜0.1%を含み、残部Feおよび不可避的不純物
からなる鋼を、1050℃以上の温度に加熱し、600
℃以上の温度で圧延を終了し、300℃以下まで冷却の
後、Ac 1以下で焼きもどすことを特徴とする優れたク
リープ強度と良好な靱性を備えた高Cr耐熱鋼の製造方
法。
15%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1〜1
%、Cr:8〜13%、Mo:0.7〜1.5%、V:
0.05〜0.25%、Nb:0.003%以上0.0
1%未満、Al:0.005〜0.05%、N:0.0
05〜0.1%を含み、残部Feおよび不可避的不純物
からなる鋼を、1050℃以上の温度に加熱し、600
℃以上の温度で圧延を終了し、300℃以下まで冷却の
後、Ac 1以下で焼きもどすことを特徴とする優れたク
リープ強度と良好な靱性を備えた高Cr耐熱鋼の製造方
法。
【0008】(2) 重量%にて、さらにW:0.05
〜2.0%を含み、Mo+(W/2):0.7〜1.5
%である前項1記載の優れたクリープ強度と良好な靱性
を備えた高Cr耐熱鋼の製造方法。
〜2.0%を含み、Mo+(W/2):0.7〜1.5
%である前項1記載の優れたクリープ強度と良好な靱性
を備えた高Cr耐熱鋼の製造方法。
【0009】
【作用】以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
0.10%C−0.25%Si−0.5%Mn−9%C
r−1%Mo−0.2%V−0〜0.02%Nb−0.
015%Al−0.05%N−残部Feからなる100
kgf鋼塊を用い、1250℃で加熱の後、1050℃
から圧延を開始し、650℃で圧延を終了した。圧延後
の板厚は12mmとした。圧延後、常温まで冷却した
後、780℃で3時間の焼もどしを行い、圧延方向と直
角(C方向)に2mmVノッチシャルピー試験片および
クリープ破断試験片を採取し、シャルピー破面遷移温度
および600℃−21kgf/mm2 でのクリープ破断
時間を求めた。結果を図1および図2に示す。
0.10%C−0.25%Si−0.5%Mn−9%C
r−1%Mo−0.2%V−0〜0.02%Nb−0.
015%Al−0.05%N−残部Feからなる100
kgf鋼塊を用い、1250℃で加熱の後、1050℃
から圧延を開始し、650℃で圧延を終了した。圧延後
の板厚は12mmとした。圧延後、常温まで冷却した
後、780℃で3時間の焼もどしを行い、圧延方向と直
角(C方向)に2mmVノッチシャルピー試験片および
クリープ破断試験片を採取し、シャルピー破面遷移温度
および600℃−21kgf/mm2 でのクリープ破断
時間を求めた。結果を図1および図2に示す。
【0010】図1で、600℃−21kgf/mm2 で
のクリープ破断時間は、Nb添加量が0.003%まで
低下してもクリープ破断強度は殆ど低下しない。しか
し、Nb添加量が0.003%を下回ると、クリープ破
断時間が急激に低下し、クリープ破断強度が急激に低下
していることを示している。これは以下のような理由に
よると考えられる。
のクリープ破断時間は、Nb添加量が0.003%まで
低下してもクリープ破断強度は殆ど低下しない。しか
し、Nb添加量が0.003%を下回ると、クリープ破
断時間が急激に低下し、クリープ破断強度が急激に低下
していることを示している。これは以下のような理由に
よると考えられる。
【0011】低温圧延により鋼材中の転位密度が上昇す
る。この転位上に、圧延終了後の冷却中にNb炭窒化物
が微細かつ多量に析出する。その後の焼もどし過程で析
出するV炭窒化物は、先の転位上に析出したNb炭窒化
物を核に複合析出物として析出し、微細分散し得る。こ
のため、Nb添加量が多い領域ではクリープ破断強度も
低下しない。
る。この転位上に、圧延終了後の冷却中にNb炭窒化物
が微細かつ多量に析出する。その後の焼もどし過程で析
出するV炭窒化物は、先の転位上に析出したNb炭窒化
物を核に複合析出物として析出し、微細分散し得る。こ
のため、Nb添加量が多い領域ではクリープ破断強度も
低下しない。
【0012】一方、Nb添加量が0.003%未満に減
少すると、V炭窒化物の析出核となるNb炭窒化物数が
減少し、これを核とするV炭窒化物も粗大となり、数も
減少する。即ち、クリープ破断強度向上に有効なV炭窒
化物の分散状態を決定するための析出核、即ちNb炭窒
化物を確保するNb添加量の下限値が0.003%であ
る。
少すると、V炭窒化物の析出核となるNb炭窒化物数が
減少し、これを核とするV炭窒化物も粗大となり、数も
減少する。即ち、クリープ破断強度向上に有効なV炭窒
化物の分散状態を決定するための析出核、即ちNb炭窒
化物を確保するNb添加量の下限値が0.003%であ
る。
【0013】Nb添加量によるシャルピー破面遷移温度
の変化を図2に示す。Nb添加量が0.02%から減少
するに伴い、破面遷移温度が低温側に移動し、靱性が改
善される。0.003%以上0.01%未満のNb量で
は−40℃程度の優れた値を維持する。しかし、Nb添
加量が0.003%未満に低下すると、逆に破面遷移温
度が上昇に転じ、靱性が低下する。これは以下のような
理由によるものと考えられる。
の変化を図2に示す。Nb添加量が0.02%から減少
するに伴い、破面遷移温度が低温側に移動し、靱性が改
善される。0.003%以上0.01%未満のNb量で
は−40℃程度の優れた値を維持する。しかし、Nb添
加量が0.003%未満に低下すると、逆に破面遷移温
度が上昇に転じ、靱性が低下する。これは以下のような
理由によるものと考えられる。
【0014】Nbは熱間圧延での再結晶温度を上昇させ
る効果を有していることが知られている。したがって、
Nb添加量を減少することにより、圧延での再結晶が促
進され、圧延の仕上温度が上昇したのと同等の効果が得
られる。このため、Nb添加量の減少とともに、低温仕
上による組織の異方性が減少し、C方向の靱性が向上す
る。一方、Nb添加量が0.003%を下回ると、再結
晶が進行しすぎて組織が粗大化し、靱性が低下する。
る効果を有していることが知られている。したがって、
Nb添加量を減少することにより、圧延での再結晶が促
進され、圧延の仕上温度が上昇したのと同等の効果が得
られる。このため、Nb添加量の減少とともに、低温仕
上による組織の異方性が減少し、C方向の靱性が向上す
る。一方、Nb添加量が0.003%を下回ると、再結
晶が進行しすぎて組織が粗大化し、靱性が低下する。
【0015】このように、Nb添加量は0.003%以
上0.01%未満とすることが必要である。以下にその
他の成分元素の限定理由について述べる。Cは常温およ
び高温強度を高めるのに有効な元素であり、高Cr耐熱
鋼として要求される強度レベルから、少なくても0.0
5%を必要とする。しかし、C量の増加とともに、鋼材
の靱性が低下し、溶接性も悪くなるため、上限を0.1
5%とする。
上0.01%未満とすることが必要である。以下にその
他の成分元素の限定理由について述べる。Cは常温およ
び高温強度を高めるのに有効な元素であり、高Cr耐熱
鋼として要求される強度レベルから、少なくても0.0
5%を必要とする。しかし、C量の増加とともに、鋼材
の靱性が低下し、溶接性も悪くなるため、上限を0.1
5%とする。
【0016】Siは脱酸および強度上昇のため0.01
%以上添加するが、添加量が多いと靱性が低下するた
め、上限を0.5%とする。MnはSを固定し、強度を
高めるのに有効な元素であるが、添加量が多いとクリー
プ破断強度が低下するため、0.1〜1%とする。Cr
は焼入れ性を増すとともに、焼もどしおよび溶接後熱処
理で炭窒化物を析出し、高温強度を向上させる。またC
rは密着性の良い酸化皮膜を形成し、耐酸化性を向上さ
せるため、8%以上添加する。しかし、13%超の添加
は反応容器用鋼では不必要なため、上限を13%とす
る。
%以上添加するが、添加量が多いと靱性が低下するた
め、上限を0.5%とする。MnはSを固定し、強度を
高めるのに有効な元素であるが、添加量が多いとクリー
プ破断強度が低下するため、0.1〜1%とする。Cr
は焼入れ性を増すとともに、焼もどしおよび溶接後熱処
理で炭窒化物を析出し、高温強度を向上させる。またC
rは密着性の良い酸化皮膜を形成し、耐酸化性を向上さ
せるため、8%以上添加する。しかし、13%超の添加
は反応容器用鋼では不必要なため、上限を13%とす
る。
【0017】Moは高温強度、特にクリープ破断強度を
増すために添加する。しかし、0.7%未満の添加では
効果が顕著でなく、1.5%超では効果が飽和し、場合
によってはδフェライトを生成してクリープ強度が低下
するため、添加量を0.7〜1.5%とする。Vは炭窒
化物を形成し、クリープ破断強度を上昇させるととも
に、Crの炭窒化物に固溶し、Cr炭窒化物をさらに安
定化する効果がある。しかし、0.05%未満では効果
が認められず、0.25%超では効果が飽和し添加量に
応じた効果が得られないため、0.05〜0.25%と
する。
増すために添加する。しかし、0.7%未満の添加では
効果が顕著でなく、1.5%超では効果が飽和し、場合
によってはδフェライトを生成してクリープ強度が低下
するため、添加量を0.7〜1.5%とする。Vは炭窒
化物を形成し、クリープ破断強度を上昇させるととも
に、Crの炭窒化物に固溶し、Cr炭窒化物をさらに安
定化する効果がある。しかし、0.05%未満では効果
が認められず、0.25%超では効果が飽和し添加量に
応じた効果が得られないため、0.05〜0.25%と
する。
【0018】Alは鋼の脱酸に不可欠な元素であり、こ
の目的から0.005%以上を添加する。しかし、Al
添加量が高くなるとクリープ破断強度を害するため添加
の上限を0.05%とする。NはCと同様、鋼の強度を
上昇させるが、通常の溶製方法では0.1%超の添加で
鋼塊内に気孔を形成する。気孔が圧延によっても未圧着
であると、延性および靱性を低下させるため、添加量を
0.1%以下とする。また、0.005%未満の添加で
は効果が明瞭でないため、下限を0.005%とする。
の目的から0.005%以上を添加する。しかし、Al
添加量が高くなるとクリープ破断強度を害するため添加
の上限を0.05%とする。NはCと同様、鋼の強度を
上昇させるが、通常の溶製方法では0.1%超の添加で
鋼塊内に気孔を形成する。気孔が圧延によっても未圧着
であると、延性および靱性を低下させるため、添加量を
0.1%以下とする。また、0.005%未満の添加で
は効果が明瞭でないため、下限を0.005%とする。
【0019】本発明では以上の元素を基本成分として含
むが、さらにWの添加が有効である。WはMoと同様に
クリープ破断強度の向上に有効な元素であり、必要に応
じて使用することができる。この場合0.05%未満で
は添加効果が明瞭でなく、2.0%超では添加効果が飽
和する。また、Mo+(W/2)が0.7%未満ではク
リープ破断強度向上効果が十分でなく、1.5%を超え
るとδフェライトの生成により却ってクリープ破断強度
が低下する。このため、Mo+(W/2)が0.7〜
1.5%となるように添加量を調整する。
むが、さらにWの添加が有効である。WはMoと同様に
クリープ破断強度の向上に有効な元素であり、必要に応
じて使用することができる。この場合0.05%未満で
は添加効果が明瞭でなく、2.0%超では添加効果が飽
和する。また、Mo+(W/2)が0.7%未満ではク
リープ破断強度向上効果が十分でなく、1.5%を超え
るとδフェライトの生成により却ってクリープ破断強度
が低下する。このため、Mo+(W/2)が0.7〜
1.5%となるように添加量を調整する。
【0020】次に、素材の製造条件について述べる。前
記のような化学成分を有する鋼は転炉、電気炉で溶製し
た後、必要に応じて取鍋精錬や真空脱ガス処理を施して
得られ、通常、鋳型あるいは一方向凝固鋳型で造塊した
後、分塊でスラブとされる。スラブは連続鋳造法により
溶鋼から直接製造してもよい。分塊での均熱・圧下はい
かなるものであっても構わない。即ち、スラブを冷却し
た後均熱してもよく、分塊のまま熱片で均熱炉に装入し
てもよい。1000〜1300℃で均熱の後、圧延また
は鍛造によりスラブとする。スラブ厚は製品板厚の2倍
以上が好ましい。
記のような化学成分を有する鋼は転炉、電気炉で溶製し
た後、必要に応じて取鍋精錬や真空脱ガス処理を施して
得られ、通常、鋳型あるいは一方向凝固鋳型で造塊した
後、分塊でスラブとされる。スラブは連続鋳造法により
溶鋼から直接製造してもよい。分塊での均熱・圧下はい
かなるものであっても構わない。即ち、スラブを冷却し
た後均熱してもよく、分塊のまま熱片で均熱炉に装入し
てもよい。1000〜1300℃で均熱の後、圧延また
は鍛造によりスラブとする。スラブ厚は製品板厚の2倍
以上が好ましい。
【0021】スラブは鋼に含有されるNbあるいはVの
一部あるいは全部が固溶する温度で加熱されることが不
可欠である。したがって、1050℃以上の温度で加熱
する。しかし、1280℃を超えると、オーステナイト
粒が粗大化しすぎ、圧延によっても微細化できなくなる
ことがあるため、1280℃以下が好ましい。加熱され
たスラブはクレーン、テーブルローラー等により圧延機
まで搬送され、複数パスの熱間圧延により所定の板厚に
圧延される。圧延開始温度は如何なる条件でもよい。ま
た、圧延終了温度は600℃以上とする。この温度より
圧延終了温度が低下すると、圧延での変形抵抗が高くな
りすぎ、圧延機に負担が掛かりすぎるため、600℃以
上に制限する。
一部あるいは全部が固溶する温度で加熱されることが不
可欠である。したがって、1050℃以上の温度で加熱
する。しかし、1280℃を超えると、オーステナイト
粒が粗大化しすぎ、圧延によっても微細化できなくなる
ことがあるため、1280℃以下が好ましい。加熱され
たスラブはクレーン、テーブルローラー等により圧延機
まで搬送され、複数パスの熱間圧延により所定の板厚に
圧延される。圧延開始温度は如何なる条件でもよい。ま
た、圧延終了温度は600℃以上とする。この温度より
圧延終了温度が低下すると、圧延での変形抵抗が高くな
りすぎ、圧延機に負担が掛かりすぎるため、600℃以
上に制限する。
【0022】圧延終了後はマルテンサイト変態が完全に
完了する300℃以下まで冷却する。冷却は空冷でもよ
く、水冷等の加速冷却を採用してもよい。冷却した熱延
板は焼もどしにより所定の強度に調整する。本発明の高
Cr耐熱鋼のAc1温度は概ね830〜850℃であ
り、焼もどしはこの温度以下とする。
完了する300℃以下まで冷却する。冷却は空冷でもよ
く、水冷等の加速冷却を採用してもよい。冷却した熱延
板は焼もどしにより所定の強度に調整する。本発明の高
Cr耐熱鋼のAc1温度は概ね830〜850℃であ
り、焼もどしはこの温度以下とする。
【0023】
【実施例】表1に示す化学成分を有する鋼板を用い、表
2に示す製造条件で熱間圧延し、一旦常温まで冷却した
後、熱処理を施して製品とした。得られた鋼板からサン
プルをC方向に切り出し、シャルピー衝撃試験を実施し
vTrsを求めるとともに、600℃−21kgf/m
m2 でのクリープ破断時間を試験した。結果を併せて表
2に示す。
2に示す製造条件で熱間圧延し、一旦常温まで冷却した
後、熱処理を施して製品とした。得られた鋼板からサン
プルをC方向に切り出し、シャルピー衝撃試験を実施し
vTrsを求めるとともに、600℃−21kgf/m
m2 でのクリープ破断時間を試験した。結果を併せて表
2に示す。
【0024】板番1B、4Bおよび7Bは熱間圧延の終
了温度が600℃未満であり、圧延での反力が高く圧延
機に負担が掛かるばかりでなく、靱性が悪い。板番2
B、5Bおよび8Bでは、熱間圧延の加熱温度が105
0℃よりも低い。このため、クリープ破断時間が3桁と
短く、クリープ破断強度が低い。板番3Bおよび6Bで
は、鋼板でのNb含有量が本発明の範囲を超えており、
クリープ破断時間は許容できる値であるが、靱性が極め
て低い。
了温度が600℃未満であり、圧延での反力が高く圧延
機に負担が掛かるばかりでなく、靱性が悪い。板番2
B、5Bおよび8Bでは、熱間圧延の加熱温度が105
0℃よりも低い。このため、クリープ破断時間が3桁と
短く、クリープ破断強度が低い。板番3Bおよび6Bで
は、鋼板でのNb含有量が本発明の範囲を超えており、
クリープ破断時間は許容できる値であるが、靱性が極め
て低い。
【0025】これに対し、本発明により製造したAシリ
ーズの鋼板はクリープ破断時間が1000時間以上と大
きく、クリープ破断強度が優れ、良好な靱性を有してお
り、圧延反力も許容できる範囲であり、圧延機への負担
も少ない。
ーズの鋼板はクリープ破断時間が1000時間以上と大
きく、クリープ破断強度が優れ、良好な靱性を有してお
り、圧延反力も許容できる範囲であり、圧延機への負担
も少ない。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】本発明による高Cr耐熱鋼板は優れたク
リープ強度を有するばかりでなく、良好な低温靱性を有
しており、高温高圧で使用される火力発電や化学プラン
ト用として極めて有用なものであり、工業上価値が大き
い。
リープ強度を有するばかりでなく、良好な低温靱性を有
しており、高温高圧で使用される火力発電や化学プラン
ト用として極めて有用なものであり、工業上価値が大き
い。
【図1】Nb添加量と600℃−21kgf/mm2 で
のクリープ破断時間の関係を表わす図である。
のクリープ破断時間の関係を表わす図である。
【図2】Nb添加量とシャルピー試験での破面遷移温度
(vTrs)の関係を示す図である。
(vTrs)の関係を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%にて、 C:0.05〜0.15%、 Si:0.01〜0.5%、 Mn:0.1〜1%、 Cr:8〜13%、 Mo:0.7〜1.5%、 V:0.05〜0.25%、 Nb:0.003%以上0.01%未満、 Al:0.005〜0.05%、 N:0.005〜0.1% を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を、
1050℃以上の温度に加熱し、600℃以上の温度で
圧延を終了し、300℃以下まで冷却の後、Ac 1以下
で焼きもどすことを特徴とする優れたクリープ強度と良
好な靱性を備えた高Cr耐熱鋼の製造方法。 - 【請求項2】 重量%にて、さらに W:0.05〜2.0% を含み、 Mo+(W/2):0.7〜1.5% である請求項1記載の優れたクリープ強度と良好な靱性
を備えた高Cr耐熱鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4313796A JPH06158231A (ja) | 1992-11-24 | 1992-11-24 | 優れたクリープ強度と良好な靱性を備えた高Cr耐熱鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4313796A JPH06158231A (ja) | 1992-11-24 | 1992-11-24 | 優れたクリープ強度と良好な靱性を備えた高Cr耐熱鋼の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06158231A true JPH06158231A (ja) | 1994-06-07 |
Family
ID=18045631
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4313796A Withdrawn JPH06158231A (ja) | 1992-11-24 | 1992-11-24 | 優れたクリープ強度と良好な靱性を備えた高Cr耐熱鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06158231A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015107608A1 (ja) * | 2014-01-17 | 2015-07-23 | 新日鐵住金株式会社 | マルテンサイト系Cr含有鋼及び油井用鋼管 |
-
1992
- 1992-11-24 JP JP4313796A patent/JPH06158231A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015107608A1 (ja) * | 2014-01-17 | 2015-07-23 | 新日鐵住金株式会社 | マルテンサイト系Cr含有鋼及び油井用鋼管 |
JP5804232B1 (ja) * | 2014-01-17 | 2015-11-04 | 新日鐵住金株式会社 | マルテンサイト系Cr含有鋼及び油井用鋼管 |
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