JPH06157994A - 熱硬化性粘着シートを用いた接着方法 - Google Patents

熱硬化性粘着シートを用いた接着方法

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JPH06157994A
JPH06157994A JP33968192A JP33968192A JPH06157994A JP H06157994 A JPH06157994 A JP H06157994A JP 33968192 A JP33968192 A JP 33968192A JP 33968192 A JP33968192 A JP 33968192A JP H06157994 A JPH06157994 A JP H06157994A
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weight
thermosetting
adhesive
curing
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Application number
JP33968192A
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English (en)
Inventor
Tsukasa Otsuki
司 大槻
Masato Yanagi
正人 柳
Kouichi Iibuchi
幸一 飯渕
Hideyuki Takahashi
秀幸 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F28HEAT EXCHANGE IN GENERAL
    • F28FDETAILS OF HEAT-EXCHANGE AND HEAT-TRANSFER APPARATUS, OF GENERAL APPLICATION
    • F28F2275/00Fastening; Joining
    • F28F2275/02Fastening; Joining by using bonding materials; by embedding elements in particular materials
    • F28F2275/025Fastening; Joining by using bonding materials; by embedding elements in particular materials by using adhesives

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  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は,振動の加わる条件下でも,硬化後は
大きな接着強度を示す熱硬化性粘着シートを用いた接着
方法を提供するものである。 【構成】熱硬化性粘着シートを用い,硬化後少なくとも
振動数5〜200Hz,振動加速0.5〜7.0Gの振
動が24時間以上加えられ,被接着体がアルミニウムの
場合の剪断接着力が15kg/cm2 である接着おい
て,加熱温度80℃〜150℃,加熱時間5〜120秒
で硬化させることを特徴とする熱硬化性粘着シートを用
いた接着方法。 【効果】本発明により,熱の加わる用途にも適用でき
る,熱硬化性粘着シートを用いた接着方法が可能になっ
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,接合時には粘着性を有
して被着体に仮接着でき,加熱により硬化して強固な接
着力を示す,熱硬化性粘着シートを使用した,硬化後少
なくとも振動数5〜200Hz,振動加速0.5〜7.
0Gの振動が24時間以上加えられても強固な接着力を
示し,高い信頼性を発揮する接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から用いられている粘着シートは,
長時間応力を加えるとズレや歪を生じやすく,使用上の
利便性にもかかわらず,信頼性には極めて乏しかった。
特に,接着した後,振動がかかる用途では,振動により
ズレや歪みを起こし,使用することは不可能であった。
この問題点を解消するために,接合時には粘着性を有
し,被着体に容易に仮接着でき,貼り付けた後は徐々に
硬化して強固な接着力を示す熱硬化性粘着シート(特公
昭50−12464号公報,特開昭51−6235号公
報,特開昭54−102335号公報,特公昭55−8
113号公報,特公昭59−14508号公報,特開昭
59−108072号公報,特開昭60−217283
号公報,特開昭61−81467号公報)が提案され
た。しかし,硬化前の粘着特性と硬化後の接着特性の両
方を満足させ,使用前の保存安定性も十分である硬化性
粘着シートを得ることは容易なことではなく,この種の
熱硬化性粘着シートを用いた接着方法の普及に対し,大
きな障害になっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,硬化前の粘
着特性と硬化後の接着特性の両方に優れ,使用するまで
の保存安定性も十分である熱硬化性粘着シートを考案す
ることにより,硬化後少なくとも振動数5〜200H
z,振動加速0.5〜7.0Gの振動が24時間かかる
部位の接合用途にも適用できる接着方法を提供しようと
するものである。硬化前の粘着特性と硬化後の接着特性
を,同時に満足させる成分系の確立は,粘着特性を発現
する樹脂が限定されているため,技術的には難度の高い
課題である。更に,使用前の保存安定性を確保すること
は,この特性が高い硬化性の発現と矛盾することから,
何らかの技術的な対策が必要であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明で用いた熱硬化性
粘着剤組成物は,粘着性ゴム系ポリマー(A)100重
量部に対して,不飽和性ポリエステルオリゴマー(B)
5〜200重量部含むこと特徴とする熱硬化性粘着剤組
成物である。粘着性ゴム系ポリマー(A)には,粘着性
アクリルポリマーや天然ゴム,合成ゴムなどのゴム系ポ
リマーがある。不飽和ポリエステルオリゴマー(B)
は,式1に示す反応式に従って,水酸基を有する化合物
(a),環状酸無水物(b),エチレン性不飽和基を有
するエポキシド(c)を反応させて得られる。
【0005】
【式1】
【0006】R1 ,R2 ,R3 :C1 〜C10の有機基 n:2以上の整数
【0007】これらの組成物を用いて得られたシート
は,粘着性ゴム系ポリマーと不飽和ポリエステルオリゴ
マーをブレンドすることにより,ミクロ相分離を起さ
せ,硬化前の粘着特性と硬化後の接着特性の両方に優れ
た,熱硬化性粘着剤組成物を開発したものである。更
に,重合開始剤(C)と重合禁止剤(D)の両方を加え
ることにより,加熱温度80℃〜150℃,加熱時間5
秒〜120秒で硬化し,熱による劣化が殆どなく,適度
の熱硬化性と使用前の保存安定性を確保することができ
る。この熱硬化性粘着シートを使用することにより,熱
硬化後少なくとも振動数5〜200Hz,振動加速0.
5〜7.0Gの振動が24時間以上加えられ被接着体が
アルミニウムの場合の剪断接着力が15kg/cm2
上の高い接着信頼性を発現する接着方法を得ることがで
きる。ポリイソシアネート(E)を添加した場合には,
硬化前の粘着特性の一つである保持力が向上し,粘着付
与剤(F)を添加した場合には,プラスチック基材への
接着性が改善される。この熱硬化性粘着剤組成物を,基
材に塗布または含浸させることにより,硬化前の粘着特
性および硬化後の接着特性の両方に優れ,使用前の保存
安定性も十分な熱硬化性粘着シートを得ることができ,
そのシートを用いることにより,より信頼性の高い接着
方法が得られるようになった。
【0008】本発明に用いる熱硬化性粘着剤組成物は,
粘着性ポリマーと反応性のオリゴマーとのブレンドであ
るという点で,従来のものと類似している。しかし,従
来のブレンド型の粘接着剤では,ブレンドした両者の性
質を相殺してしまい,優れたものはできない。それに対
して,本発明の粘着性ゴム系ポリマー(A)と不飽和ポ
リエステルオリゴマー(B)を,熱硬化性粘着剤組成物
として用いた場合には,両者の相溶性が適度に調整さ
れ,海島状のミクロ相分離構造を形成することができ
る。そのために,硬化性を発現する成分と硬化前の粘着
性を発現する成分が,それぞれ別々に機能し,両者の性
質を相殺することなしに,優れた硬化前の粘着特性,お
よび優れた硬化後の接着特性を,発現させることが特徴
である。
【0009】硬化性を発現する成分は,ポリエステルオ
リゴマー(B)に組み込まれた不飽和基を有するエポキ
シドであるが,加熱による重合開始剤(C)の分解によ
り,ラジカルを発生し,不飽和基に作用して,組成物全
体を固化させる。重合禁止剤(D)は,熱硬化させるま
での保存安定性を維持するのに寄与する。重合禁止剤
(D)の添加は,重合反応を抑制するものであるが,適
切な量を添加することにより,硬化は妨害しない。
【0010】また,ポリイソシアネート(E)を添加し
た場合には,粘着性ゴム系ポリマー(A)と不飽和ポリ
エステルオリゴマー(B)に含まれる官能基の間で部分
的に架橋構造を形成し,海島状のミクロ相分離構造を保
持したまま,硬化性を損なうことなく,硬化前の凝集力
を著しく向上させることができる。粘着付与剤(F)を
添加した場合には,粘着性ゴム系ポリマー(A)と硬化
性ポリエステルオリゴマー(B)が形成する,海島状の
ミクロ相分離構造の中で,さらに粘着付与剤(F)もミ
クロ相分離を起こし,非常に複雑なミクロ相分離構造を
形成する。その結果,粘着性ゴム系ポリマー(A)と硬
化性ポリエステルオリゴマー(B)からなる,ミクロ相
分離構造によって得られた,硬化前の粘着特性や硬化後
の接着特性は損なわれることなく,さらに,粘着付与剤
(F)の効果によって,プラスチック基材への接着性に
も優れた熱硬化性粘着剤組成物を得ることができる。
【0011】粘着性ゴム系ポリマー(A)は,粘着性ア
クリルポリマーをはじめ,天然および合成のゴムなど粘
着剤用ゴム系樹脂として用いられているものであり,い
わゆるエラストマーと称されているポリマーである。粘
着性アクリルポリマーの合成には,長鎖アルキル(メ
タ)アクリレートを主成分として,様々な官能基を有す
るモノマーを用いることができる。長鎖アルキル(メ
タ)アクリレートとしては,ブチル(メタ)アクリレー
ト,ペンチル(メタ)アクリレート,ヘキシル(メタ)
アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト,オクチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メ
タ)アクリレートがある。その他,メチル(メタ)アク
リレート,エチル(メタ)アクリレート,プロピル(メ
タ)アクリレート,シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト,ベンジル(メタ)アクリレート,テトラヒドロフル
フリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)ア
クリレートがある。また,アルキル基が芳香環基,複素
環基,ハロゲン原子などで置換されているアルキル(メ
タ)アクリレートなど,一般にアクリルポリマーの合成
に用いられるモノマーを,本発明の粘着性アクリルポリ
マーの合成にも用いることもできる。水酸基を有するモ
ノマーとしては,2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト,3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,4
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート,N−メチロ
ールアクリルアミド,アリルアルコールなどがあり,三
級アミノ基を有するモノマーとしては,ジメチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート,ジエチルアミノエチル
(メタ)アクリレート,ジメチルアミノプロピル(メ
タ)アクリルアミドなどをあげることができる。カルボ
キシル基を有するモノマーとしては,アクリル酸,メタ
クリル酸,クロトン酸,マレイン酸,フマル酸,イタコ
ン酸,シトラコン酸などがある。アミド基,N−置換ア
ミド基を有するモノマーとしては,アクリルアミド,メ
タクリルアミド,N−メチル(メタ)アクリルアミド,
N−エチル(メタ)アクリルアミド,N−メトキシメチ
ル(メタ)アクリルアミド,N−エトキシメチル(メ
タ)アクリルアミド,N−プロポキシメチル(メタ)ア
クリルアミド,N−ブトキシメチル(メタ)アクリルア
ミド,N−tert−ブチルアクリルアミド,N−オク
チルアクリルアミド,ジアセトンアクリルアミドなどが
ある。ニトリル基を有するモノマーとしては,アクリロ
ニトリル,メタクリロニトリル,クロトノニトリル,フ
マロニトリルなどがある。
【0012】反応は通常のラジカル重合であり,反応方
法に何等制限はなく,溶液重合,塊状重合,乳化重合な
どの公知の重合法で行なうことができるが,反応のコン
トロールが容易であることや直接次の操作に移れること
から溶液重合が好ましい。溶媒としては,メチルエチル
ケトン,メチルイソブチルケトン,トルエン,セロソル
ブ,酢酸エチル,酢酸ブチルなど本発明の樹脂が溶解す
るものであれば何でもよく,単独でも,複数の溶媒を混
合しても使用できるが,特にその中でも,ラジカル重合
反応時に連鎖移動を起こしにくく,沸点も適度である酢
酸エチルが好ましい。また,重合反応の際に使用される
重合開始剤もベンゾイルパーオキサイド,アセチルパー
オキサイド,メチルエチルケトンパーオキサイド,ラウ
ロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物,アゾビスイ
ソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤など公知のもので
あれば何でもよく,とくに制限はない。
【0013】粘着性アクリルポリマーを除いた粘着性ゴ
ム系ポリマーには,天然および合成のシス−1,4−ポ
リイソプレンゴム,再生ゴム,ポリイソブチレン,ブチ
ルゴム,ハロゲン化ブチルゴム,部分加硫ブチルゴム,
スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー
(SBS),スチレン−イソプレン−スチレンブロック
コポリマー(SIS),スチレン−エチレン−ブチレン
−スチレンブロックコポリマー(SEBS),シリコン
ゴム,クロロプレンゴム,ニトリルゴム,ブタジエンゴ
ムなどがあり,これらの中でもSBS,SIS,SEB
Sなどのようなブロックコポリマーは,非常に高い凝集
力を有しており本発明の粘着性ゴム系ポリマー(A)に
は好適である。これらのポリマーは,メチルエチルケト
ン,メチルイソブチルケトン,トルエン,セロソルブ,
酢酸エチル,酢酸ブチルなど適当な溶媒に溶解され使用
する。
【0014】不飽和ポリエステルオリゴマー(B)にお
いて,水酸基を有する化合物(a)(以下より化合物
(a)とする)は,メタノール,エタノール,1−プロ
パノール,2−プロパノール,1−ブタノール,2−ブ
タノール,ペンタノール,ヘキサノールなどの脂肪族飽
和アルコール,アリルアルコール,クロチルアルコー
ル,プロパギルアルコールなどの脂肪族不飽和アルコー
ル,2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,3−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート,4−ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレート,N−メチロールアクリルア
ミドなどの水酸基を有する(メタ)アクリレートまたは
(メタ)アクリルアミドなど,シクロペンタノール,シ
クロヘキサノールなどの脂環式アルコール,ベンジルア
ルコール,シンナミルアルコールなどの芳香族アルコー
ル,フルフリルアルコール,テトラヒドロフルフリルア
ルコールなどの複素環アルコール,エチレングリコー
ル,プロピレングリコール,1,4−ブチレングリコー
ル,ブテンジオール,ヘキサンジオール,シクロヘキサ
ンジオール,ビスフェノールA,ジエチレングリコール
などのジオール,グリセリン,トリメチロールプロパン
などのトリオール,フェノール,o−クレゾール,m−
クレゾール,p−クレゾールなどのフェノール類などの
アルコール性またはフェノール性の水酸基を有する化合
物がある。
【0015】しかしこの中でも,2つの水酸基を同時に
有する前出のジオールや,2−ヒドロキシ−n−酪酸,
3−ヒドロキシ−n−酪酸,p−ヒドロキシ安息香酸,
ヒドロキシピバリン酸,サリチル酸,バニリン酸,12
−ヒドロキシステアリン酸などのカルボキシル基と水酸
基を同時に有する化合物,あるいはエタノールアミン,
1−アミノ−2−プロパノール,o−アミノフェノー
ル,m−アミノフェノール,p−アミノフェノールなど
のアミノ基と水酸基を同時に有する化合物など,2つ以
上の官能基を有する化合物が好ましい。これらの化合物
の中でも,グリコールを用いるのが好ましく,とりわけ
エチレングリコールが反応性や樹脂物性の面から好まし
い。その理由は,グリコールを用いた場合,片側の水酸
基のみが反応し,もう一つの水酸基を末端に残した不飽
和ポリエステルオリゴマー(B)が生成し,粘着性ゴム
系ポリマー(A)との良好なミクロ相分離に寄与するた
めである。
【0016】不飽和ポリエステルオリゴマー(B)にお
いて,環状酸無水物(b)としては,多価カルボン酸の
分子内無水物であり,飽和または不飽和の脂肪族多価カ
ルボン酸無水物,脂環式多価カルボン酸無水物,芳香族
多価カルボン酸無水物など,あるいはこれらの一部が飽
和または不飽和の炭化水素基,芳香環基,ハロゲン原
子,複素環基などで置換されたものがある。これらの具
体例としては,無水こはく酸,無水フタル酸,無水マレ
イン酸,無水イタコン酸,無水グルタル酸,無水ドデセ
ニルこはく酸,無水クロレンデック酸,無水ピロメリッ
ト酸,無水トリメリット酸,シクロペンタンテトラカル
ボン酸二無水物,ヘキサヒドロ無水フタル酸,メチルヘ
キサヒドロ無水フタル酸,テトラメチレン無水マレイン
酸,テトラヒドロ無水フタル酸,メチルテトラヒドロ無
水フタル酸,エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル
酸,メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸,
5−(2,5−ジオキソテトラヒドロキシフリル)−3
−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸
無水物,無水メチルナジック酸,無水ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸,グリセロールトリス(アンヒドロトリ
メリテート),エチレングリコールビス(アンヒドロト
リメリテート)などがある。これらの中でも,架橋構造
を作らないジカルボン酸無水物またはトリカルボン酸無
水物を用いることが好ましい。
【0017】不飽和ポリエステルオリゴマー(B)にお
いて,エチレン性不飽和基を有するエポキシド(c)
(以下よりエポキシド(c)とする)には,グリシジル
(メタ)アクリレート,グリシジルシンナメート,アリ
ルグリシジルエーテル,ビニルシクロヘキセンモノエポ
キサイド,1,3−ブタジエンモノエポキサイドなどが
あり,これらは飽和または不飽和の炭化水素基,芳香環
基,ハロゲン原子,複素環基などで置換されていてもよ
い。これらの中でも,架橋構造を作らないモノエポキサ
イドを用いることが好ましい。また,エチレン性不飽和
基を持たないエポキシドを併用し,不飽和ポリエステル
オリゴマー(B)合成時に共縮合しても差しつてかえな
い。
【0018】化合物(a),環状酸無水物(b),エポ
キシド(c)を反応させて,不飽和ポリエステルオリゴ
マー(B)が得られる。反応は,適当な溶媒の存在下あ
るいは不存在下に行うことができるが,反応を制御しや
すくするため,モノマー100重量部に対し,10〜5
0部の溶媒を加えるのが一般的である。溶媒の添加量を
これより多くすると反応速度が極端に遅くなり,少なく
すると反応の制御が難しくなる。N,N−ジメチルベン
ジルアミン,トリエチルアミン,トリブチルアミン,
N,N−ジエチルアニリン,N,N−ジメチルアニリン
などの三級アミンなどに代表される塩基性触媒を用い,
エチレン性不飽和基の保護のために,ハイドロキノン,
ハイドロキノンモノメチルエーテル,tert−ブチル
カテコール,p−ベンゾキノンなどのラジカル重合禁止
剤を添加した状態で行なうことができる。酸素濃度が5
〜10%になるよう空気と窒素を混合し,反応器中に導
入して反応を制御することも可能である。
【0019】反応は,化合物(a)の水酸基と,塩基性
触媒により活性化された環状酸無水物(b)の酸無水物
基とが,先ず優先的に反応し,次いで,この反応により
生じたカルボキシル基と,塩基性触媒により活性化され
たエポキシド(c)のエポキシ基とが反応し,二級の水
酸基を生じる。さらに,生じた水酸基と環状酸無水物
(b)の酸無水物基とが反応するというように,以下,
順次,上記と同様の反応を進行させることができる。合
成されたポリエステルオリゴマー(B)は,化合物
(a)を起点として,酸無水物とエポキシドが結合した
ユニットを繰り返し単位とする構造である。
【0020】この反応において,化合物(a)の量に対
して,反応させられる環状酸無水物(b),エポキシド
(c)からなるエポキシドの量を調整することにより,
化合物(a)を末端とする,所望の長さの不飽和ポリエ
ステルオリゴマー(B)をつくることができる。それぞ
れの化合物の割合は,環状酸無水物(b)がジカルボン
酸無水物である場合には,化合物(a)1モルに対し
て,環状酸無水物(b)1〜20モル,およびエポキシ
ド(c)1〜20モルの割合で,また,環状酸無水物
(b)とエポキシド(c)はほぼ等モルの割合で反応さ
せることが好ましい。環状酸無水物(b)がトリカルボ
ン酸無水物である場合には,化合物(a)1モルに対し
て,環状酸無水物(b)1〜10モルおよびエポキシド
(c)1〜20モルの割合で,また,環状酸無水物
(b)1モルに対してエポキシド(c)をほぼ1〜2モ
ルの割合で反応させることが好ましい。化合物(a)1
モルに対して,反応させられる環状酸無水物(b)また
はエポキシド(c)の量が1モル未満の場合には,得ら
れるポリエステルオリゴマー(B)の分子量が低く,化
合物(a)の残留もあって,必要な特性が得られない。
逆に,環状酸無水物(b)またはエポキシド(c)の量
が20モルを超える場合には,反応のコントロールが難
しくなったり,分子量が高くなりすぎて,やはり必要な
特性が得られなくなる傾向がある。それぞれ反応および
溶解によって得られた粘着性ゴム系ポリマー(A)の溶
液と,不飽和ポリエステルオリゴマー(B)の溶液を混
合することにより,硬化性を有する粘着剤組成物を得る
ことができる。混合は室温で見かけ上,均一になる程度
まで撹拌すれば十分であるが,相互の混合の状態をより
高めるために,粘着性ゴム系ポリマー(A)および不飽
和ポリエステルオリゴマー(B)の合成および溶解で用
いた溶媒の沸点以下の温度での加熱撹拌を行なってもよ
い。エポキシド(c)はエチレン性不飽和基を有してい
るので,ポリエステルオリゴマー(B)が不飽和基を持
ち,適切な重合開始剤(C)との併用で熱硬化反応を起
こし,簡単に粘着シートを固化させることができる。
【0021】重合開始剤(C)としては,ジ−tert
−ブチルパーオキサイド,tert−ブチルクミルパー
オキサイド,ジクミルパーオキサイドなどのジアルキル
パーオキサイド類,アセチルパーオキサイド,ラウロイ
ルパーオキサイド,ベンゾイルパーオキサイドなどのジ
アシルパーオキサイド類,メチルエチルケトンパーオキ
サイド,シクロヘキサノンパーオキサイド,3,3,5
−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド,メチル
シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキ
サイド類,1,1−ビス(tert−ブチルパーオキ
シ)シクロヘキサンなどパーオキシケタール類,ter
t−ブチルヒドロパーオキサイド,クメンヒドロパーオ
キサイド,1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロ
パーオキサイド,p−メンタンヒドロパーオキサイド,
ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド,2,5
−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド
などのヒドロパーオキサイド類,tert−ブチルパー
オキシアセテート,tert−ブチルパーオキシ−2−
エチルヘキサノエート,tert−ブチルパーオキシベ
ンゾエートなどのパーオキシエステル類などの有機過酸
化物がある。これらの中でも,硬化性と保存安定性の面
から,ベンゾイルパーオキサイドが好ましい。2,2
−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニ
トリル),2,2 −アゾビス(2−シクロプロピルプ
ロピオニトリル),2,2 −アゾビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル),アゾビスイソブチロニトリル,
2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル),1,
1 −アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリ
ル),2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル,
2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバ
レロニトリルなどのアゾ系化合物など公知のものであれ
ば特に制限はない。重合開始剤(C)は,粘着性ゴム系
ポリマー(A)と不飽和ポリエステルオリゴマー(B)
の総重量100重量部に対して,通常0.1〜10重量
部,好ましくは0.5〜5重量部の割合で用いられる。
【0022】有機過酸化物のうちラジカル発生速度の小
さいものを用いる場合には,N,N−ジメチルベンジル
アミン,トリエチルアミン,トリブチルアミン,N,N
−ジエチルアニリン,N,N−ジメチルアニリン,N−
フェニルジエタノールアミン,N−フェニルジイソプロ
パノールアミン,ジメチル−p−トルイジン,トリエタ
ノールアミン,4−フェニルモルホリンなどの三級アミ
ンや,リチウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウ
ム,セリウム,ジルコニウム,バナジウム,モリブデ
ン,マンガン,鉄,コバルト,ニッケル,銅,亜鉛,ス
ズ,鉛などの金属のラウリル酸塩,ナフテン酸塩,オク
チル酸塩,オレイン酸塩,オクテン酸塩などの脂肪酸
塩,ロジン塩などの樹脂酸塩,アセチルアセトネート錯
塩などのキレート化合物などから選ばれる金属化合物の
うちの1種または2種以上を促進剤として用いることが
できる。特に,嫌気硬化の場合には,促進剤として三級
アミンまたは金属化合物のうちのどちらか,あるいはそ
の両方を有機過酸化物と併用するのが好ましい。これら
の促進剤のうち,三級アミンは通常有機過酸化物100
重量部に対して,1〜100重量部の割合で,金属化合
物は有機過酸化物100重量に対して,0.01〜10
重量部の割合で用いられる。
【0023】本発明に用いる重合禁止剤(D)として
は,ハイドロキノン,p−t−ブチルカテコール,2,
5−ジ−t−ブチルヒドロキノン,モノ−t−ブチルヒ
ドロキノン,ピロガロール,タンニン酸,レゾルシンな
どの多価フェノール類,p−ベンゾキノン,ナフトキノ
ン,フェナンスラキノン,p−キロキノン,p−トルキ
ノン,2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン,2,5
−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン,2,5−ジカプロ
キシ−p−ベンゾキノン,2,5−ジアシロキシ−p−
ベンゾキノンなどのキノン類,ジ−t−ブチル−p−ク
レゾール,ハイドロキノンモノメチルエーテル,α−ナ
フトールなどのフェノール類,トリメチルベンジルアン
モニウムクロリド,ラウリルピリジニウムクロリド,セ
チルトリメチルアンモニウムクロリド,フェニルトリメ
チルアンモニウムクロリド,トリメチルベンジルアンモ
ニウムオキザレート,ジ(トリメチルベンジルアンモニ
ウム)オキザレート,トリメチルベンジルアンモニウム
マレエート,トリメチルベンジルアンモニウムタータレ
ート,トリメチルベンジルアンモニウムグリコレート,
などの4級アンモニウム塩類,フェニル−β−ナフチル
アミン,p−ベンジルアミノフェノール,ジ−β−ナフ
チル−p−フェニレンジアミンなどのアミン類,アセト
アミジンアセテート,アセトアミジンサルフェートなど
のアミジン類,ジニトロベンゼン,トリニトロトルエ
ン,ピクリン酸などのニトロ化合物,N−ニトロソフェ
ニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩,N−ニトロソ
フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩などのニト
ロソ化合物,キノンジオキシム,シクロヘキサノンオキ
シムなどのオキシム類,トリエチルアミン塩酸塩,ジメ
チルアニリン塩酸塩,ジブチルアミン塩酸塩などのアミ
ン塩酸塩類,ヒドラジン塩類,銅塩類などがある。これ
らの中でも,ハイドロキノン,N−ニトロソフェニルヒ
ドロキシルアミンアンモニウム塩が好ましく,とりわけ
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム
塩が好ましい。また,両者を併用して用いることも可能
である。重合禁止剤(D)の添加量は,粘着性ゴム系ポ
リマー(A)と不飽和ポリエステルオリゴマー(B)の
総重量100重量部に対して,通常0.01〜5重量部
である。
【0024】硬化前の粘着特性を改善するため,特に保
持力を高めるために,熱硬化性粘着剤組成物にさらにポ
リイソシアネート(E)を添加して,粘着性ゴム系ポリ
マー(A)および不飽和ポリエステルオリゴマー(B)
を部分架橋させることができる。ポリイソシアネート
(E)としてはトリレンジイソシアネート,4,4´−
ジフェニルメタンジイソシアネート,ヘキサメチレンジ
イソシアネート,m−キシレンジイソシアネート,p−
キシレンジイソシアネート,1,5−ナフタレンジイソ
シアネート,イソホロンジイソシアネート,リジンジイ
ソシアネート,水添4,4´−ジフェニルメタンジイソ
シアネート,水添トリレンジイソシアネートなどのジイ
ソシアネート類,あるいはこれらとグリコール類または
ジアミン類との両末端イソシアネートアダクト体,ある
いはこれらの混合物があり,必要に応じてトリフェニル
メタントリイソシアネート,ポリメチレンポリフェニル
イソシアネートなどの3官能以上のポリイソシアネート
類もジイソシアネート類と混合して用いることができ
る。ポリイソシアネート(E)の添加量は,粘着性ゴム
系ポリマー(A)と不飽和ポリエステルオリゴマー
(B)の総重量100重量部に対して,通常0.1〜5
重量部である。ポリイソシアネート(E)は反応性が大
きいため,塗工直前に加える。
【0025】プラスチック基材への接着性を改善するた
め,熱硬化性粘着剤組成物にさらに粘着付与剤(F)を
添加することができる。粘着付与剤(F)は,粘着性樹
脂にさらに粘着性を付与するものであるが,粘着性ゴム
系ポリマー(A)と不飽和ポリエステルオリゴマー
(B)より形成される,海島状のミクロ相分離構造の中
で,粘着付与剤(F)もさらに複雑なミクロ相分離を起
こし,様々な被着体特にプラスチック基材にたいする接
着性を改善することができる。粘着付与剤(F)として
は,ロジン系樹脂やテルペン系樹脂などの天然樹脂およ
びその誘導体や,石油樹脂などの合成樹脂を使うことが
できる。ロジン系樹脂には,ガムロジン,トール油ロジ
ン,ウッドロジンなどの天然ロジン,水添ロジン,重合
ロジン,マレイン化ロジンなどの変性ロジン,ロジング
リセリンエステル,水添ロジングリセリンエステル,重
合ロジングリセリンエステル,ロジンペンタエリスリト
ールエステル,水添ロジンペンタエリスリトールエステ
ル,重合ロジンペンタエリスリトールエステルなどのロ
ジンエステルがある。テルペン系樹脂には,α−ピネ
ン,β−ピネン,リモネンなどのテルペン樹脂や,α−
ピネンフェノール樹脂,ジテルペンフェノール樹脂など
のテルペンフェノール樹脂がある。この他,芳香族炭化
水素変性テルペン樹脂も使用できる。一方,粘着付与剤
(F)に使用できる合成樹脂としては,脂肪族系,脂環
族系,芳香族系などの石油樹脂,クマロンインデン樹
脂,スチレン樹脂,キシレン樹脂,ロジン変性フェノー
ル樹脂などがある。粘着付与剤(F)の添加量は,粘着
性ゴム系ポリマー(A)と不飽和ポリエステルオリゴマ
ー(B)の総重量100重量部に対して,通常1〜10
0重量部である。
【0026】硬化前の粘着特性や硬化後の接着力を調整
するために,エチレン性不飽和基を持たないエポキシド
を用いて合成したポリエステルオリゴマーを,本発明の
不飽和基を有する不飽和ポリエステルオリゴマー(B)
と併用することができる。エチレン性不飽和基を持たな
いエポキシドとしてはエピクロルヒドリン,フェニルグ
リシジルエーテル,スチレンオキサイド,シクロヘキセ
ンオキサイド,ブテンオキサイドなどがある。
【0027】硬化後の接着力をさらに強固なものとする
ために,熱硬化性粘着剤組成物に,さらに,(メタ)ア
クリロイル基などのエチレン性不飽和基を有する,モノ
マーやオリゴマーを添加することができる。本発明で用
いた不飽和ポリエステルオリゴマー(A)以外に,エチ
レン性不飽和基を有するモノマーやオリゴマーを別に添
加することによって,接着に要する時間を短くしたり,
重合開始剤(C)量を少なくすることができる。このよ
うなモノマーやオリゴマーとしては,スチレン,アルキ
ル(メタ)アクリレート,(メタ)アクリル酸,多価ア
ルコールポリ(メタ)アクリレート,エポキシポリ(メ
タ)アクリレート,オリゴエステルポリ(メタ)アクリ
レート,ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート,ジア
リルフタレート,ジアリルイソフタレートなどがある。
これらのモノマーやオリゴマーの使用量は,本発明の粘
着剤組成物の全固形分に対して60重量%以下である。
60重量%を超えると,硬化前の粘着特性,とりわけ凝
集力が著しく劣るようになる。
【0028】熱硬化性粘着剤組成物には,その性能を阻
害しない範囲で,必要に応じて顔料,染料,無機充填
剤,有機溶剤,銀粉,銅粉,ニッケル粉などの金属粉,
カーボンブラック,グラファイト,シランカップリング
剤などを加えることができる。熱硬化性粘着剤組成物
は,塗工直前に混合してもよいが,作業性の面より,粘
着性ゴム系ポリマー(A),不飽和ポリエステルオリゴ
マー(B),重合禁止剤(D)は予め混合しておき,粘
着付与剤(F)を使用する場合には,粘着付与剤(F)
も(A)(B)(C)と予め混合しておくのが好まし
い。重合開始剤(C)は,保存性を確保するため塗工直
前に混合する。ポリイソシアネート(E)を用いる場合
は,ポリイソシアネート(E)も塗工直前に混合する。
【0029】熱硬化性粘着剤組成物は,それ自体をシー
トの形状に加工するか,シリコーン処理を施した紙,
布,プラスチックフィルムなどの剥離性の高いフィル
ム,シートあるいはテープなどの上に塗工し,必要があ
れば乾燥により有機溶剤を除去し,必要があれば裁断
し,粘着シートの形にされる。また,レーヨン,ナイロ
ンなどの不織布や寒冷紗などの布類,ウレタン,アクリ
ルなどのフォーム類などでライニングしたり,これらの
布類,フォーム類などを芯材として,これに熱硬化性粘
着剤組成物を塗布または含浸させて用いることもでき
る。ここで用いられるシートの基材,芯材などが熱硬化
性粘着剤組成物とともに使用後も接着部に残る場合に
は,これらが,加熱硬化のための処理で著しく変質した
り,硬化を著しく妨げることが無いものである必要があ
る。
【0030】このようにして得られた粘着シートは,2
つの同種または異種の被着体間に挟持され,その良好な
粘着性によって仮接着した後,それぞれの硬化法に応じ
た処理をすることにより熱硬化性粘着剤組成物が硬化
し,被着体同士を強固に接着させることができる。
【0031】接着は,片方の被着体に,熱硬化性粘着シ
ートの粘着面を貼り付け,離型紙を付けたまま,必要な
場合には型抜きなどの加工を行った後,離型紙を除いて
一定の加圧下に加熱し被着体同士を接着する。加圧の程
度は,被着体の強度や耐熱性によって異なるが,ポリイ
ミドのような強度が大きく耐熱性も大きいフィルムでは
10〜50kg/cm2 が適当である。ポリカーボネー
トのような耐熱性の乏しいフィルムは圧力を20kg/
cm2 以下とするのが好ましい。加熱温度と加熱時間
は,使用する重合開始剤(C)の種類と量で異なるが,
ベンゾイルパーオキサイドを用いる場合,加熱温度11
0℃〜130℃,加熱時間10℃〜60秒である。熱プ
レスを用いた接着では,前もって常温で熱硬化性粘着剤
シートを用いて貼り合わせ,仮止めした被着体を常温で
熱プレスにセットし,必要であればエアー抜きを数回行
った後,圧力を加え同時に加熱して被着体の温度を上昇
させる。更に必要であれば,再度エアー抜きを行い圧力
を加えて加熱する。所定の加熱温度を加え,所定の加熱
時間が経過すれば冷却し取り出す。加熱温度はできる限
り小さく,加熱時間はできる限り短い方が作業性は優れ
ているが,通常,加熱温度80℃〜150℃,加熱時間
5〜120秒が標準的な硬化条件である。硬化後の信頼
性と作業性の両方を考慮すると,加熱温度100℃〜1
40℃,加熱時間30〜60秒が好ましい。硬化後少な
くとも振動数5〜200Hz,振動加速0.5〜7.0
Gの振動が24時間以上加えられる部位の接着に,硬化
性を持たない粘着シートを用いた場合,粘着剤層にズレ
や歪みを生じ,接着強度が著しく低下するのに対し,熱
硬化性粘着シートを使用した場合,振動による劣化は殆
ど認められない。硬化後の振動の加わり方は,連続的で
あっても不連続的であってもあまり影響はなく,硬化後
少なくとも振動数5〜200Hz,振動加速0.5〜
7.0Gの振動が24時間以上加えられ被接着体がアル
ミニウムの場合において剪断接着力が15kg/cm2
以上を発揮する。
【0032】
【実施例】以下,実施例により本発明を説明する。例
中,部とは重量部を,%とは重量%を,それぞれ表わ
す。
【0033】粘着性ゴム系ポリマー溶液の作製 ポリマー1 ブチルアクリレート 92.0部 アクリルアミド 2.8部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 5.2部 アゾビスイソブチロニトリル 0.2部 酢酸エチル 150.0部 窒素気流中で,80℃に加熱した上記組成の混合物12
5部に,上記の同組成の混合物125部を滴下し,滴下
終了後,12時間加熱還流させ,冷却し,アクリルポリ
マー1の溶液(固形分40%)を得た。
【0034】ポリマー2 カリフレックス TR−1101 40.0部 (SBS,シェル化学(株)製ゴム系ポリマー) エステルガムH 60.0部 (水添ロジンエステル,荒川化学(株)製粘着付与剤) トルエン 135.0部 メチルエチルケトン 15.0部 上記組成物を,窒素雰囲気中50℃で撹拌溶解し,ポリ
マー2の溶液を得た。
【0035】不飽和ポリエステルオリゴマーの合成 不飽和ポリエステルオリゴマー1 エチレングリコール 2.0部 ヘキサヒドロ無水フタル酸 50.2部 グリシジルメタクリレート 46.3部 N,N−ジメチルベンジルアミン 0.9部 ハイドロキノン 0.2部 酢酸エチル 25.0部 上記原料をそれぞれ混合し,空気雰囲気中,80℃で1
0時間反応させ,冷却後,酢酸エチル125部を加え
て,ポリエステルオリゴマー1の溶液(固形分40%)
を得た。
【0036】タッキファイアー溶液の作製 タッキファイアー1 ペンタリンC−J 50.0部 (ハーキュリーズ社製重合ロジンペンタエリスルトール
エステル) 酢酸エチル 50.0部 上記組成物を,窒素雰囲気50℃で撹拌溶解し,タッキ
ファイアー1の溶液を得た。
【0037】実施例1 ポリマー1の溶液60.0部,オリゴマー1の溶液4
0.0部を十分に混合し,この樹脂溶液100部に対し
て,ベンゾイルパーオキサイド0.4部,N−ニトロソ
フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩(和光純薬
製化成品Q−1301)0.02部を均一に混合し,シ
リコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィ
ルム(以下「処理PET」と記載する)上に,乾燥後の
厚さが30μmとなるように塗布し,60℃で3分間乾
燥して,シリコン処理した紙からなる剥離紙を重ね合わ
せ粘着シートを得た。得られた粘着シートについて,
(1)〜(3)の方法でアルミ板を用いた硬化前の粘着
特性(剥離接着力,保持力),硬化後の剪断接着力を測
定した。更に,(4)の方法により,硬化後振動試験後
の剪断接着力を測定した。結果を表1に示す。硬化は熱
プレスを用い,120℃,30秒間加熱し硬化させた。
なお,測定には次のような方法を用いた。
【0038】(1)硬化前の剥離接着力 得られた粘着シートの剥離紙を剥し,粘着面に厚さ50
μmの未処理ポリエチレンテレフタレートシートを貼着
し,幅25mmに切断し,次に処理PETを剥離させ,
生じた粘着面を#280の紙やすりで研磨したステンレ
ススチール板(SUS304)に貼着し,30分間放置
した後,25℃,相対湿度65%の条件下,剥離速度3
00mm/分で,180度剥離接着力を測定した。
【0039】(2)硬化前の保持力 得られた粘着シートの剥離紙を剥し,粘着面に厚さ50
μmの未処理ポリエチレンテレフタレートシートを貼着
し,幅25mm,長さ100mmの大きさに切断し,次
に処理PETを剥離させ,生じた粘着面のうち,たて2
5mm,横25mmの部分を紙やすり#280で研磨し
たステンレススチール板(SUS304)に貼着し,4
0℃,荷重1kgで粘着シートがステンレススチール板
より落下するまでの時間(秒)を測定した。
【0040】(3)硬化後の剪断接着力 得られた粘着シートを縦10mm,横10mmに切断
し,剥離紙を剥して粘着面を,縦50mm,横10m
m,厚さ0.5mmのアルミニウム板の一端に貼着し,
処理PETを剥離させ,生じた粘着面に縦50mm,横
10mm,厚さ0.5mmのもう一方のアルミニウム板
を貼着し,所定の硬化法で粘着剤を硬化させた後,25
℃,相対湿度65%の条件下,引張り速度5mm/分で
剪断強度を測定した。
【0041】(4)硬化後振動試験後の剪断接着力 (3)硬化後の剪断接着力の測定と同様にして試験片を
得,所定の条件で硬化させた後,振動数15〜50H
z,振動加速度周期5分で30時間40℃で振動を加え
た。振動試験後,(3)と同様にして,剪断接着力を測
定した。
【0042】実施例2 実施例1の樹脂混合物に,さらにトリレンジイソシアネ
ート0.2部を加え,同様に粘着シートを得,実施例1
と同様にして測定を行った。
【0043】実施例3 ポリマー1の溶液をポリマー2の溶液に変更する以外
は,実施例1と全く同様に操作して結果を得た。
【0044】実施例4 ポリマー1の溶液60.0部,オリゴマー1の溶液4
0.0部に,更にタッキファイアー1の溶液20.0部
を加える以外は実施例2と全く同様に操作して粘着シー
トを得た。硬化後の剪断接着力の測定および硬化後振動
経時後の剪断接着力の測定は,被着体としてアルミニウ
ム板の他にポリカーボネート板,ABS板,を使用し結
果を得た。
【0045】比較例1 実施例2で,不飽和ポリエステルオリゴマー1の溶液4
0.0部を添加しない以外は全く同様に操作して粘着シ
ートを得,所定の測定を行った。
【0046】比較例2 実施例2で,ベンゾイルパーオキサイド0.4部を添加
しない以外は全く同様に操作して粘着シートを得,所定
の測定を行った。
【0047】比較例3 実施例2で,N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン
アルミニウム塩0.02部を添加しない以外は全く同様
に操作して粘着シートを得,所定の測定を行った。
【0048】比較例4 実施例4で,タッキファイアー1の溶液20.0部を添
加しない以外,全く同様に操作して粘着シートを得,所
定の測定を行った。
【0049】
【表1】
【0050】単位:硬化前の剥離接着力 g/25mm 保持力 秒 硬化後の剪断接着力 kg/cm2 振動試験後の剪断接着力 kg/cm2 硬化後の剪断接着力測定に用いた試験板 AL アルミニウム PC ポリカーボネート板 ABC ABS板 TDI トリレンジイソシアネート 無 無添加 有 添加 NC 24時間以上
【0051】
【発明の効果】熱硬化性粘着シートを用いた接着方法に
よって,硬化後振動数5〜200Hz,振動加速0.5
〜7.0Gの振動が24時間以上加えられる用途でも,
信頼性に優れた接着が可能になった。これらの用途とし
ては,モーター廻り,熱交換器周辺など電器製品の発熱
部分,およびエンジン周辺,内装などの自動車関連の熱
がかかる部位の接着などがある。また,この熱硬化性粘
着シートは,硬化前の粘着特性と硬化後の接着特性に優
れ,更に使用するまでの保存安定性も十分である。従っ
て,本発明の接着方法は,作業性と使用性の両方を兼ね
備えた接着システムを提供するものである。
【化1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08F 299/02 MRT 7442−4J (72)発明者 高橋 秀幸 東京都中央区京橋二丁目3番13号東洋イン キ製造株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性粘着シートを用い,硬化後少な
    くとも振動数5〜200Hz,振動加速0.5〜7.0
    Gの振動が24時間以上加えられ,被接着体がアルミニ
    ウムの場合の剪断接着力が15kg/cm2 である接着
    おいて,加熱温度80℃〜150℃,加熱時間5〜12
    0秒で硬化させることを特徴とする熱硬化性粘着シート
    を用いた接着方法。
  2. 【請求項2】 熱硬化性粘着シートに用いる熱硬化性粘
    着剤組成物が,以下の(1)〜(4)の成分よりなるこ
    とを特徴とする請求項1記載の熱硬化性粘着シートを用
    いた接着方法。 (1)粘着性ゴム系ポリマー(A) 100重量部 (2)(a)〜(c)の化合物を反応させて得られる不飽和ポリエステルオリゴ マー(B) 5〜200重量部 (a)水酸基を有する化合物 (b)環状酸無水物 (c)エチレン性不飽和基を有するエポキシド (3)重合開始剤(C) 0.1〜10重量部 (4)重合禁止剤(D) 0.01〜5重量部
  3. 【請求項3】 請求項2記載の成分の他に, (1)ポリイソシアネート(E)を,粘着性ゴム系ポリ
    マー(A)と硬化性ポリエステルオリゴマー(B)の総
    重量100重量部に対し,0.1〜5重量部。 (2)粘着付与剤(F)を,粘着性ゴム系ポリマー
    (A)と硬化性ポリエステルオリゴマー(B)の総重量
    100重量部に対し,1〜100重量部。 (1)〜(2)から選ばれる1種以上を含むことを特徴
    とする請求項1ないし2いずれか記載の熱硬化性粘着シ
    ートを用いた接着方法。
  4. 【請求項4】 重合開始剤(C)が,ベンゾイルパーオ
    キサイドであることを特徴とする請求項2記載の熱硬化
    性粘着シートを用いた接着方法。
  5. 【請求項5】 重合禁止剤(D)が,N−ニトロソフェ
    ニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩であることを特
    徴とする請求項2記載の熱硬化性粘着シートを用いた接
    着方法。
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