JPH0615721Y2 - シヤ−プペンシル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はガイドパイプに供給された芯を軸筒後端に設け
たノック部による押出動作により所定量突出させ、ま
た、後退したスライダーの復帰により消耗した芯を芯出
構造体に対して引き出すようにした芯出機能と、筆記中
の過大筆圧を調整する機能とを一体的に備える改良され
たシャープペンシルに関する。

（従来の技術） ノック操作に代えて芯の摩耗に伴い後退するスライダー
が復帰する際に芯を保持して前進するために自動的に芯
を供給できる機構は古くから採用され、種々の構造のも
のとして知られている。その一例としての具体的構造
は、軸筒内に軸先金端から突出した芯保護用のガイドパ
イプと、芯と摩擦係合する芯戻り止めを有するスライダ
ーとが一体的に収容され、かつ、バネにより前方に付勢
され筆圧等により後退するものである。

また、前記ガイドパイプを備えたシャープペンシルにお
いて、芯にかかる過大筆圧を調整するバネを有したもの
も知られている。例えば、特公昭54-37535号や、特開昭
59-93397号である。しかし、前者は芯出し構造が複雑で
あり、また後者は常時開放状態であるチャックの前方に
スプリングを配し、スライダーの後退によってチャック
を後方に押圧して閉じ、芯を挟持させる構造であり、チ
ャックの開閉にチャックの自重を利用しているので、チ
ャックの開閉の確実性に難点があり、また、これにより
芯の折損等をまねくおそれがあり、いずれも改良の余地
がある。

（この考案の課題） 本考案は上記従来技術の欠点を解消し、筆記中の過大筆
圧を調整しながら芯出し動作を確実、かつスムーズに行
い得、しかも芯出構造体をユニット化したシャープペン
シルを提供することを目的とする。

（問題点を解決すべき手段） 本考案は軸筒先金の内部に先金先端から突出する芯保護
用のガイドパイプと、芯と摩擦係合する芯戻り止めを有
し、かつ、バネにより前方に付勢され、筆圧により後退
しうるスライダーとの一体を収容し当該スライダーの後
方には軸筒内に摺動自在の内筒に転動体を備えたチャッ
ク体とこれと協働するチャック作動体を有し芯の前進は
許容するが、芯の後退を阻止するチャック機構と、前記
チャック作動体とチャック体とにそれらの押下後期にチ
ャック体のみを押下作用しうる押下筒とを組付け、か
つ、内筒を弾力的に収容したシャープペンシルを提供す
るものである。

以下、本考案の実施例を示す図面について説明すれば、
第１図はシャープペンシルの縦断面図で、芯２４が芯容
筒部９からガイドパイプ１９まで供給されている筆記で
きる状態を示している。

ここにおいて、１は軸筒、２は軸筒１に固着した先金、
３は軸筒１の内部に摺動自在の内筒で、軸筒１の内段部
１ａと当該内筒３の頂壁（被係合部）５後端面とに第２
の弾性力を持つ筆圧調整バネ４を介して収容し、同バネ
４により前端６を先金２の後側端部２ａに弾力的に当接
させて支持する。

内筒３は内部にチャック機構と該機構に時間差を有して
作用する筒状部７とを組付けてユニット構造とする。筒
状部７は軸筒１の後端から突出するノックキヤツプ８か
ら下端部を内筒３の内部上方に達するもので、図示上、
ノックキヤツプ８を有する芯容筒部９と筒状部１０との
連結構造としたが、これに限らない。筒状部７の中間肩
部７ａと内筒３の頂壁５との間に第３弾性力を持つコイ
ルバネ１１を介在させてこの筒状部７の上下復動を行わ
しめる。内筒３内において筒状部７の下端部には外肩部
１０ｂに受け止めて摺動筒１２を外挿し、内筒３に収容
した当該摺動筒１２の鍔（係合部）１２ａを内筒３の頂
壁５に係合させて抜出しを阻止する。筒状部７と前記摺
動筒１２との摺動面には一般的に上方端部に位置して締
付作用をもった摩擦結合部１３を設け、この筒状部７と
摺動筒１２とを接続している。

芯の前進は許容するが、芯の後退を阻止するチャック機
構は、チャック作動体１４と、転動体１６を有するチャ
ック体１５とから構成される。チャック作動体１４は筒
状で上端部を前記摺動筒１２の下端部に嵌合固着して摺
動筒１２と一体化し、常態において先方側端部１４ａと
先金２の後側端部２ａとの間に第１の所定距離からな
る芯出用隙間を開ける。チャック作動体１４の下部内面
には下方に向けて拡開するテーパ面１４ｂを設ける。チ
ャック体１５は前記チャック作動体１４との間に軽い第
４の弾性力を持つ締付バネ１７を介して内挿し、常態に
おいて当該バネ１７によるテーパ面１４ｂと転動体１６
との楔作用のために軽くボールチャックを閉じる。な
お、チャック体１５は、筒状部１０の先方部から前記長
手方向に第２の所定距離からなる隙間を設けた状態でセ
ットされている。このように、内筒３，筒状部７，１
０，チャック作動体１４およびチャック体１５により、
全体としてユニット化された芯出構造体を構成してい
る。１８はチャック作動体１４に設けたストッパで、チ
ャック体１５の異常な前進を規制する。１９は芯保護用
のガイドパイプ、２０は前記ガイドパイプ１９と一体的
なスライダーで、内部にゴム等の弾性物質より成る芯戻
り止め２１を保有する。このスライダー２０は先金２の
内部孔２ｂに摺動自在であり、先金２の先端からガイド
パイプ１９が出没自在となる。２２は先金２の内部孔２
ｂに設けたストッパで、このストッパとスライダー２０
とに第１の弾性力を持つコイルバネ２３を介在させて先
金２の先側にスライダー２０を付勢する。したがって、
第１の所定距離相当のノック操作、すなわちチャック
作動体１４の先方側端部１４ａが先金２の後側端部２ａ
に当たるまでのノック操作を行うと、チャック体１５で
挟持された芯２４は芯戻り止め２１の中に第１の所定距
離だけ入り込み、所定の力で挟持されることになる。

そして、このノック操作の終了によってチャック作動体
１４がコイルバネ１１の第３の付勢力により元の位置に
復帰しても、先に挟持された状態の芯２４は上動するこ
となく芯戻り止め２１の中に入り込んだままとなってい
る。これは、芯戻り止め２１が芯２４を挟持する力が十
分に強くてチャック作動体１４の復帰開始のときにチャ
ック体１５が追従せずに締付バネ１７が圧縮された状態
となり、転動体１６とテーパ面１４ｂとの点接触状態が
解除されてこのチャック体１５による芯２４の挟持の程
度が弱くなること、また、チャック体１５による芯２４
の挟持はもともと後者の前者に対する先方への相対的移
動が可能なようにされていることなどのためである。

これにより、このノック操作を行うたびに芯２４はガイ
ドパイプ１９の方に第１の所定距離だけ進むことにな
る。なお、この浅めのノック操作の間、チャック体１５
は閉じたままである。

第３図に示すように、筆記中に芯２４の摩耗につれてガ
イドパイプ１９、スライダー２０が後退する。筆記中に
筆記面からガイドパイプ１９を離すとコイルバネ２３に
よりスライダー等２０が復帰し、芯戻り止め２１で支持
している芯２４を引出すことができる。ここで、芯戻り
止め２１に強く挟持された芯２４の先端部方向への移動
によってチャック体１５も同方向に移動し、先に説明し
たノック操作による芯出しの場合と同じように、転動体
１６とテーパ面１４ｂとの点接触状態が解除される。

また、第４図に示すように、筆記中に芯２４に過大筆圧
がかかったときには、芯２４およびそれを把持している
チャック体１５が後方に移動し、チャック作動体１４を
介して頂壁５を鍔１２ａで押し上げることになるため、
内筒３は筆圧調整バネ４に抗した状態で軸筒１に対して
後方に移動することになる。

なお、最初に芯２４をガイドパイプ１９にセットして筆
記できる状態にするとき、もしくは芯２４を収納すると
きには、第２図に示すように、ノック操作によって筒状
部７が第１の所定距離以上にわたり移動する、すなわ
ち先方側端部１４ａが後側端部２ａに当たってからも移
動することにより、チャック体１５をチャック作動体１
４に対して先方に移動させ、転動体１６とテーパ面１４
ｂとの点接触状態を解除することによってチャック体１
５を開いた状態にさせる。

そして、この開いたチャック体１５の間に芯２４を入れ
た後には、芯２４がチャック体１５により挟持された芯
出し可能な状態となってその後のノック操作を行うたび
に芯２４は突出され、また、この突出した芯２４はチャ
ック体１５が開くことによりガイドパイプ１９に収納可
能となる。

本考案は以上のように構成したのでガイドパイプまで芯
を供給し、筆記状態となった後はノック動作による外、
芯の摩耗によって後退するスライダーの復帰により芯出
構造体に対する芯の引出しを行い、かつ、筆記中の過大
筆圧を調整しながらスムーズに使用できる。しかも、芯
出構造体は内筒に組付けることができる簡単なユニット
構成のため組付作業を容易にし、他の軸筒に組換え対応
できる実用価値をもつ。

【図面の簡単な説明】

第１図は全体の縦断面図、第２図は要部断面図、第３図
は部分断面図、第４図は一部断面図を示す。 １……軸筒 ２……先金 ３……内筒 ４……筆圧調整バネ ７……筒状部 １３……摩擦結合部 １４……チャック作動体 １５……チャック体 １９……ガイドパイプ ２０……スライダー ２４……芯

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】軸筒(1)の先方端部に取り付けられた先金
   (2)の内部には、芯(24)を案内するガイドパイプ(19)お
   よび芯(24)を挟持する芯戻り止め(21)を持ち、第１の弾
   性力により先方に付勢されたスライダ(20)を、それ自身
   は前記軸筒の長手方向に移動可能でかつ前記ガイドパイ
   プ(19)を前記先金(2)の先端部から突出させた状態で、
   また前記第１の弾性力に抗して一時的に後方に移動した
   当該スライダ(20)がその後方位置に保持されたままとな
   ることがないような態様で収容し、 前記軸筒(1)の内部には、第２の弾性力により先方に付
   勢された内筒(3)を設け、 この内筒(3)の内部には、ノック操作により第３の弾性
   力に抗して先方に移動する筒状部(7,10)と、内面にチャ
   ック用のテーパ面(14b)を持つ筒状のチャック作動体(1
   4)とを、当該チャック作動体(14)の先方側端部(14a)が
   前記軸筒(1)内の底面部分から第１の所定距離だけ離れ
   た状態で連結し、 このチャック作動体(14)の内部には、第４の弾性力によ
   り後方に付勢されてこのときの前記テーパ面(14b)との
   係止作用で芯(24)を挟持し、かつこの挟持状態では芯(2
   4)の前進は許容するが後退は防止するような構造となっ
   ているチャック体(15)を、前記筒状部(7,10)の先方部か
   ら前記長手方向に第２の所定距離だけ離れた状態で設
   け、 前記チャック作動体(14)が前記第１の所定距離だけ離れ
   た状態で、芯(24)が、前記チャック体(15)に挟持された
   まま後方に移動するとき、前記テーパ面(14b)を介して
   連動する前記チャック作動体(14)により前記内筒(3)が
   押し上げられるように、当該チャック作動体(14)には係
   合部(12a)を、また当該内筒(3)には被係合部(5)をそれ
   ぞれ設け、 前記内筒(3)，前記筒状部(7,10)前記チャック作動体(1
   4)およびチャック体(15)を全体としてユニット化すると
   ともに、前記芯戻り止め(21)による芯(24)の挟持力を、
   この芯戻り止め(21)と前記チャック体(15)がともに芯(2
   4)を挟持した状態で前者が後者に対して相対的に先方に
   移動する場合、芯(24)も当該芯戻り止め(21)と同じよう
   に先方に移動する程度にしたことを特徴とするシャープ
   ペンシル。