JPH0615510B2 - 光学活性エリトロ―2―アミノ―1,2―ジフェニルエタノールの製造方法および製造の中間体 - Google Patents
光学活性エリトロ―2―アミノ―1,2―ジフェニルエタノールの製造方法および製造の中間体Info
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- JPH0615510B2 JPH0615510B2 JP26138185A JP26138185A JPH0615510B2 JP H0615510 B2 JPH0615510 B2 JP H0615510B2 JP 26138185 A JP26138185 A JP 26138185A JP 26138185 A JP26138185 A JP 26138185A JP H0615510 B2 JPH0615510 B2 JP H0615510B2
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Description
本発明は、(±)−エリトロ−2−アミノ−1,2−ジ
フェニルエタノールを光学活性なマンデル酸を用いて光
学分割し、光学活性体を製造する方法に関する。
フェニルエタノールを光学活性なマンデル酸を用いて光
学分割し、光学活性体を製造する方法に関する。
2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール(以下、
「ADPE」と略記する。)は、不整炭素原子を2個有
するため、4個の光学活性体がある。そのうち、下式で
あらわされるエリトロ体2種は、 エフェドリン、キニーネ、プルシンあるいは天然α−ア
ミノ酸を還元して得られるアミノアルコールなどの天然
分割剤、あるいは天然由来分割剤の欠点を補う純合成塩
基性分割剤として有用な化合物であることを本発明者ら
は見出し、さきに開示した。〔特開昭58−12474
1〕 一方、光学活性ADPEを取得する方法としては、
(±)−ADPEをD−グルタミン酸との塩に導き、そ
の塩を通常のジアステレオマー法によって分別結晶する
方法が知られている。〔J.Weijlardら,J.Am.Chem.So
c.,731216(1951)〕 発明者らの一人は、他の共同研究者と研究し、この方法
がD−またはL−グルタミン酸を使用しても同様に実施
できることを確認した。ところが、D−またはL−グル
タミン酸を用いる方法には、高い光学純度のADPEを
得るためには再結晶を繰り返す必要があり、さらに、両
活性体を高い光学純度で得るためには非天然型のD−グ
ルタミン酸を用いなければならないという問題がある。
このように、グルタミン酸によるADPEの光学分割
は、工業的実施には有利といえない。 発明者らの一人は、別法を求めて共同研究者らとの研究
の結果、(±)−ADPEをケイ皮酸塩へ誘導し、この
塩の過飽和溶液にいずれか一方の光学活性ADPE・ケ
イ皮酸塩を接種することによって、同種の光学活性体が
容易に得られることを見出し、これも開示した。〔特開
昭58−124749〕
「ADPE」と略記する。)は、不整炭素原子を2個有
するため、4個の光学活性体がある。そのうち、下式で
あらわされるエリトロ体2種は、 エフェドリン、キニーネ、プルシンあるいは天然α−ア
ミノ酸を還元して得られるアミノアルコールなどの天然
分割剤、あるいは天然由来分割剤の欠点を補う純合成塩
基性分割剤として有用な化合物であることを本発明者ら
は見出し、さきに開示した。〔特開昭58−12474
1〕 一方、光学活性ADPEを取得する方法としては、
(±)−ADPEをD−グルタミン酸との塩に導き、そ
の塩を通常のジアステレオマー法によって分別結晶する
方法が知られている。〔J.Weijlardら,J.Am.Chem.So
c.,731216(1951)〕 発明者らの一人は、他の共同研究者と研究し、この方法
がD−またはL−グルタミン酸を使用しても同様に実施
できることを確認した。ところが、D−またはL−グル
タミン酸を用いる方法には、高い光学純度のADPEを
得るためには再結晶を繰り返す必要があり、さらに、両
活性体を高い光学純度で得るためには非天然型のD−グ
ルタミン酸を用いなければならないという問題がある。
このように、グルタミン酸によるADPEの光学分割
は、工業的実施には有利といえない。 発明者らの一人は、別法を求めて共同研究者らとの研究
の結果、(±)−ADPEをケイ皮酸塩へ誘導し、この
塩の過飽和溶液にいずれか一方の光学活性ADPE・ケ
イ皮酸塩を接種することによって、同種の光学活性体が
容易に得られることを見出し、これも開示した。〔特開
昭58−124749〕
本発明の目的は、ADPEの光学活性体とくにエリトロ
体の製造に関して、既知の技術よりも簡便で効率のよい
方法を提供することにある。
体の製造に関して、既知の技術よりも簡便で効率のよい
方法を提供することにある。
本発明の光学活性ADPEの製造方法は、基本的には、
(±)−ADPEに溶媒中で光学活性なMAを作用させ
てジアステレオマー塩を生成させ、このジアステレオマ
ー塩の溶液に一方のジアステレオマー塩の光学的に純粋
な塩の結晶を接種して同種のジアステレオマー塩を選択
的に晶出させ、晶出した結晶を溶媒から分離したのち分
解し、光学活性な目的物を取得することからなる。 本発明の光学活性ADPEの製造方法の別の態様は、い
ずれか一方の対掌体を他方の対掌体に対して過剰に含む
エリトロ−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール
の溶液に光学活性マンデル酸を作用させてジアステレオ
マー塩を生成させ、このジアステレオマー塩の溶液に過
剰に含まれるジアステレオマー塩と同種のジアステレオ
マー塩の光学的に純粋な塩の結晶を接種するか、または
接種することなしに、このジアステレオマー塩を選択的
に晶出させ、晶出した結晶を溶媒から分離したのち分解
し、光学活性な目的物を取得することからなる。 上記の方法の実施に当って生成する、下記の式I〜IVの
いずれかであらわされるジアステレオマー塩 I (+)ADPE・(−)MA II (−)ADPE・(−)MA III (−)ADPE・(+)MA IV (+)ADPE・(+)MA は、光学活性なADPE製造の中間体として有用であ
る。 本発明を実施するにあたって、その原料となる(±)−
ADPEはベンゾイン−α−オキシムをパラジウム−炭
素を用いて接触還元することによって容易に、かつ大量
に合成することができる。MAは、工業的に量産されて
いて、入手が容易である。 ジアステレオマー塩の生成および選択的晶出の溶媒とし
ては、極性の有機溶媒を使用すればよい。具体的には、
メタノール、エタノールあるいは2−プロパノールのよ
うなアルコール類が、ADPEやMA、およびジアステ
レオマー塩に対する適度の溶解性を示し、かつ取扱いが
容易であって好適な媒体である。 光学活性なMAの添加量は、(±)−ADPEに対して
ほぼ等モルが適当である。
(±)−ADPEに溶媒中で光学活性なMAを作用させ
てジアステレオマー塩を生成させ、このジアステレオマ
ー塩の溶液に一方のジアステレオマー塩の光学的に純粋
な塩の結晶を接種して同種のジアステレオマー塩を選択
的に晶出させ、晶出した結晶を溶媒から分離したのち分
解し、光学活性な目的物を取得することからなる。 本発明の光学活性ADPEの製造方法の別の態様は、い
ずれか一方の対掌体を他方の対掌体に対して過剰に含む
エリトロ−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール
の溶液に光学活性マンデル酸を作用させてジアステレオ
マー塩を生成させ、このジアステレオマー塩の溶液に過
剰に含まれるジアステレオマー塩と同種のジアステレオ
マー塩の光学的に純粋な塩の結晶を接種するか、または
接種することなしに、このジアステレオマー塩を選択的
に晶出させ、晶出した結晶を溶媒から分離したのち分解
し、光学活性な目的物を取得することからなる。 上記の方法の実施に当って生成する、下記の式I〜IVの
いずれかであらわされるジアステレオマー塩 I (+)ADPE・(−)MA II (−)ADPE・(−)MA III (−)ADPE・(+)MA IV (+)ADPE・(+)MA は、光学活性なADPE製造の中間体として有用であ
る。 本発明を実施するにあたって、その原料となる(±)−
ADPEはベンゾイン−α−オキシムをパラジウム−炭
素を用いて接触還元することによって容易に、かつ大量
に合成することができる。MAは、工業的に量産されて
いて、入手が容易である。 ジアステレオマー塩の生成および選択的晶出の溶媒とし
ては、極性の有機溶媒を使用すればよい。具体的には、
メタノール、エタノールあるいは2−プロパノールのよ
うなアルコール類が、ADPEやMA、およびジアステ
レオマー塩に対する適度の溶解性を示し、かつ取扱いが
容易であって好適な媒体である。 光学活性なMAの添加量は、(±)−ADPEに対して
ほぼ等モルが適当である。
上記した溶媒のうち適宜のものをえらび、その中で
(±)−ADPE・(−)−MAジアステレオマー塩混
合物を調製し、加熱下に溶解させる。冷却後、この溶液
に(+)−ADPE・(−)−MA塩の結晶を接種し、
種晶と同種のジアステレオマー塩、(+)−ADPE・
(−)−MA塩を得る。次に、この母液に(−)−AD
PE・(−)−MA塩の結晶を接種し、同種のジアステ
レオマー塩、(−)−ADPE・(−)−MA塩が晶出
するから、これを溶液から分離する。分離後の母液に
(±)−ADPE・(−)−MAジアステレオマー塩混
合物を補充し、加熱溶解して均一な溶液として同様の操
作を行なうと、同一溶液から交互に(+)−ADPE・
(−)−MA塩および(−)−ADPE・(−)−MA
塩を得ることができる。 このような接種によるジアステレオマー塩の交互選択晶
出は、光学活性MAとして(+)−MAを用いても、同
様に良好な結果を与える。 (+)−および(−)−ADPEと(−)−MAから得
た両ジアステレオマー塩の溶解度を測定したところ、両
者で差はほとんどないことがわかった。それにもかかわ
らず、(±)−ADPE・(−)−MA塩の溶液に
(+)−ADPE・(−)−MA塩の結晶を接種すると
(+)−ADPE・(−)−MA塩が選択的に晶出し、
さらに、この濾液に(−)−ADPE・(−)−MA塩
の結晶を接触すると(−)−ADPE・(−)−MA塩
が選択的に晶出することは、発明者らの見出した驚くべ
き事実である。 本発明の方法は、低光学純度のADPEの精製に役立て
ることができる。すなわち、低光学純度のADPEを
(−)−あるいは(+)−MAとのジアステレオマー塩
となし、この溶液に過剰に含まれるジアステレオマー塩
と同種のADPE・(−)−MA塩あるいはADPE・
(+)−MA塩の光学的に純粋なものを接種するか、ま
たは接種することなしに、過剰に含まれるジアステレオ
マー塩を得ることができる。 このようにして得られたADPE・(−)−MA塩ある
いはADPE・(+)−MA塩は、1回再結晶するだけ
で光学的に高純度にすることができる。この塩を常法に
従いアルカリで分解すると、ラセミ化あるいはエピメリ
化を伴うことなく、光学的に純粋なADPEが得られ
る。
(±)−ADPE・(−)−MAジアステレオマー塩混
合物を調製し、加熱下に溶解させる。冷却後、この溶液
に(+)−ADPE・(−)−MA塩の結晶を接種し、
種晶と同種のジアステレオマー塩、(+)−ADPE・
(−)−MA塩を得る。次に、この母液に(−)−AD
PE・(−)−MA塩の結晶を接種し、同種のジアステ
レオマー塩、(−)−ADPE・(−)−MA塩が晶出
するから、これを溶液から分離する。分離後の母液に
(±)−ADPE・(−)−MAジアステレオマー塩混
合物を補充し、加熱溶解して均一な溶液として同様の操
作を行なうと、同一溶液から交互に(+)−ADPE・
(−)−MA塩および(−)−ADPE・(−)−MA
塩を得ることができる。 このような接種によるジアステレオマー塩の交互選択晶
出は、光学活性MAとして(+)−MAを用いても、同
様に良好な結果を与える。 (+)−および(−)−ADPEと(−)−MAから得
た両ジアステレオマー塩の溶解度を測定したところ、両
者で差はほとんどないことがわかった。それにもかかわ
らず、(±)−ADPE・(−)−MA塩の溶液に
(+)−ADPE・(−)−MA塩の結晶を接種すると
(+)−ADPE・(−)−MA塩が選択的に晶出し、
さらに、この濾液に(−)−ADPE・(−)−MA塩
の結晶を接触すると(−)−ADPE・(−)−MA塩
が選択的に晶出することは、発明者らの見出した驚くべ
き事実である。 本発明の方法は、低光学純度のADPEの精製に役立て
ることができる。すなわち、低光学純度のADPEを
(−)−あるいは(+)−MAとのジアステレオマー塩
となし、この溶液に過剰に含まれるジアステレオマー塩
と同種のADPE・(−)−MA塩あるいはADPE・
(+)−MA塩の光学的に純粋なものを接種するか、ま
たは接種することなしに、過剰に含まれるジアステレオ
マー塩を得ることができる。 このようにして得られたADPE・(−)−MA塩ある
いはADPE・(+)−MA塩は、1回再結晶するだけ
で光学的に高純度にすることができる。この塩を常法に
従いアルカリで分解すると、ラセミ化あるいはエピメリ
化を伴うことなく、光学的に純粋なADPEが得られ
る。
実施例1 (±)−ADPE(2.13g)と(−)−MA(1.
52g)をエタノール(60m)に加熱溶解した後、
室温に放置し約40℃まで冷却した。この溶液にあらか
じめ調製しておいた(+)−ADPE・(−)−MA・
EtOH塩結晶を10mg接種し、一夜室温に放置して
(+)−ADPE・(−)−MA・EtOH塩を1.3
7g得た。(±)−ADPE中の(+)−ADPEに対
しての収率67% ▲〔α〕17 435▼+83.8°(c=1.00,MeOH) ジアステレオマー純度94% 濾液を加熱して均一な溶液とした後、室温に放置し約4
0℃まで冷却した。この溶液にあらかじめ調製しておい
た(−)−ADPE・(−)−・EtOH塩結晶を10
mg接種し、一夜室温に放置して(−)−ADPE・
(−)−MA・EtOH塩を1.37g得た。 (±)−ADPE中の(−)−ADPEに対しての収率
67% ▲〔α〕16 435▼−257.9°(c=1.00,MeOH) ジアステレオマー純度99% 次に、この母液に(±)−ADPE・(−)−MA塩を
2.33g加え加熱溶解した後、同様に冷却して(+)
−ADPE・(−)−MA・EtOH塩結晶を接種する
と(+)−ADPE・(−)−MA・EtOH塩が得ら
れ、この濾液を加熱して均一溶液とした後、冷却して
(−)−ADPE・(−)−MA・EtOH塩が得られ
た。 この操作を繰り返すことにより、(+)−ADPE
(−)−MA・EtOH塩と(−)−ADPE・(−)
−MA・EtOH塩が交互に得られた。下に3回の繰り
返しの結果を示す。 このようにして得られた(+)−ADPE・(−)−M
A・EtOH塩および(−)−ADPE・(−)−MA
・EtOH塩をそれぞれ合わせ、エタノールから再結晶
をして光学的に純粋な(+)−ADPE・(−)−MA
・EtOH塩および(−)−ADPE・(−)−MA・
EtOH塩を得た。再結晶収率80〜85% これらの塩を80℃で24時間乾燥すると、結晶エタノ
ールを含まない(+)−ADPE・(−)−MA塩およ
び(−)−ADPE・(−)−MA塩が得られた。 (+)−ADPE・(−)−MA塩: 融点165〜167℃(分解) ▲〔α〕17 435▼+105.7°(c=1.00,MeOH) ▲〔α〕20 D▼+49.2°)c=1.00,MeOH) (−)−ADPE・(−)−MA塩: 融点165〜167℃(分解) ▲〔α〕18 435▼−292.5°(c=1.00,MeOH) ▲〔α〕20 D▼−133.7°(c=1.00,MeOH) 精製塩を熱水に溶解し、これに濃アンモニア水を作用さ
せて塩を分解し、析出物をエタノールから再結晶して光
学的に純粋な(+)−および(−)−ADPEを得た。
収率70〜80%。 (+)−ADPE: 融点143〜144℃ ▲〔α〕2 D▼+7.7°(c=0.63,EtOH) (−)−ADPE: 融点143〜144℃ ▲〔α〕3 D▼−7.6°(c=0.60,EtOH) 実施例2 実施例1において、(−)−MAに代えて(+)−MA
を光学分割剤として使用し、同様に操作して、(−)−
ADPE・(+)−MA・EtOH塩および(+)−A
DPE・(+)−MA・EtOH塩を得た。ただし、種
晶は、それぞれ純粋な(−)−または(+)−ADPE
と(+)−MAとから別途調製したものを使用した。 得られた塩をそれぞれエタノールから再結晶したのち、
80℃に24時間加熱して結晶エタノールを放出させ、
光学的に純粋なジアステレオマー塩とした。 (−)−ADPE・(+)−MA塩: 融点165〜167℃(分解) ▲〔α〕20 D▼−49.2°(c=1.00,MeOH) (+)−ADPE・(+)−MA塩: 融点165〜167℃(分解) ▲〔α〕20 D▼+133.2°(c=1.00,MeOH) 実施例3 光学純度90%の(+)−ADPE(21.7g)と
(−)−MA(15.53g)をエタノール(42.3
m)に加熱溶解し均一溶液とした後、約40℃に冷却
したところ(+)−ADPE・(−)−MA・EtOH
塩の結晶が析出した。この塩を80℃で24時間乾燥す
ると、結晶エタノールを含まない(+)−ADPE・
(−)−MA塩が28.61g(77%)得られた。 融点165〜166℃(分解) ▲〔α〕17 435▼+105.7°(c=1.00,MeOH) ジアステレオマー純度100% この塩を熱水に加熱溶解した後、濃アンモニア水を作用
させて塩を分解し、得られた固体をエタノールで再結晶
すると、光学的に純粋な(+)−ADPEが11.57
g(69%)得られた。 融点142.5〜144℃ 中間体として得られた4種のジアステレオマー塩のIR
吸収スペクトルを測定した。次の組み合わせは互いに鏡
像体の関係にあるため、 (I)(+)−ADPE・(−)−MAと (−)−ADPE・(+)−MA (III) (II)(−)−ADPE・(−)−MAと (+)−ADPE・(+)−MA (IV) スペクトルはよく似たものとなることが予想され、実際
に予想どおりであった。そこで、上記(I)〜(III)
のチャートを、それぞれ第1図〜第3図に示す。第1図
と第3図を比較すると、上記の事実が理解できる。
52g)をエタノール(60m)に加熱溶解した後、
室温に放置し約40℃まで冷却した。この溶液にあらか
じめ調製しておいた(+)−ADPE・(−)−MA・
EtOH塩結晶を10mg接種し、一夜室温に放置して
(+)−ADPE・(−)−MA・EtOH塩を1.3
7g得た。(±)−ADPE中の(+)−ADPEに対
しての収率67% ▲〔α〕17 435▼+83.8°(c=1.00,MeOH) ジアステレオマー純度94% 濾液を加熱して均一な溶液とした後、室温に放置し約4
0℃まで冷却した。この溶液にあらかじめ調製しておい
た(−)−ADPE・(−)−・EtOH塩結晶を10
mg接種し、一夜室温に放置して(−)−ADPE・
(−)−MA・EtOH塩を1.37g得た。 (±)−ADPE中の(−)−ADPEに対しての収率
67% ▲〔α〕16 435▼−257.9°(c=1.00,MeOH) ジアステレオマー純度99% 次に、この母液に(±)−ADPE・(−)−MA塩を
2.33g加え加熱溶解した後、同様に冷却して(+)
−ADPE・(−)−MA・EtOH塩結晶を接種する
と(+)−ADPE・(−)−MA・EtOH塩が得ら
れ、この濾液を加熱して均一溶液とした後、冷却して
(−)−ADPE・(−)−MA・EtOH塩が得られ
た。 この操作を繰り返すことにより、(+)−ADPE
(−)−MA・EtOH塩と(−)−ADPE・(−)
−MA・EtOH塩が交互に得られた。下に3回の繰り
返しの結果を示す。 このようにして得られた(+)−ADPE・(−)−M
A・EtOH塩および(−)−ADPE・(−)−MA
・EtOH塩をそれぞれ合わせ、エタノールから再結晶
をして光学的に純粋な(+)−ADPE・(−)−MA
・EtOH塩および(−)−ADPE・(−)−MA・
EtOH塩を得た。再結晶収率80〜85% これらの塩を80℃で24時間乾燥すると、結晶エタノ
ールを含まない(+)−ADPE・(−)−MA塩およ
び(−)−ADPE・(−)−MA塩が得られた。 (+)−ADPE・(−)−MA塩: 融点165〜167℃(分解) ▲〔α〕17 435▼+105.7°(c=1.00,MeOH) ▲〔α〕20 D▼+49.2°)c=1.00,MeOH) (−)−ADPE・(−)−MA塩: 融点165〜167℃(分解) ▲〔α〕18 435▼−292.5°(c=1.00,MeOH) ▲〔α〕20 D▼−133.7°(c=1.00,MeOH) 精製塩を熱水に溶解し、これに濃アンモニア水を作用さ
せて塩を分解し、析出物をエタノールから再結晶して光
学的に純粋な(+)−および(−)−ADPEを得た。
収率70〜80%。 (+)−ADPE: 融点143〜144℃ ▲〔α〕2 D▼+7.7°(c=0.63,EtOH) (−)−ADPE: 融点143〜144℃ ▲〔α〕3 D▼−7.6°(c=0.60,EtOH) 実施例2 実施例1において、(−)−MAに代えて(+)−MA
を光学分割剤として使用し、同様に操作して、(−)−
ADPE・(+)−MA・EtOH塩および(+)−A
DPE・(+)−MA・EtOH塩を得た。ただし、種
晶は、それぞれ純粋な(−)−または(+)−ADPE
と(+)−MAとから別途調製したものを使用した。 得られた塩をそれぞれエタノールから再結晶したのち、
80℃に24時間加熱して結晶エタノールを放出させ、
光学的に純粋なジアステレオマー塩とした。 (−)−ADPE・(+)−MA塩: 融点165〜167℃(分解) ▲〔α〕20 D▼−49.2°(c=1.00,MeOH) (+)−ADPE・(+)−MA塩: 融点165〜167℃(分解) ▲〔α〕20 D▼+133.2°(c=1.00,MeOH) 実施例3 光学純度90%の(+)−ADPE(21.7g)と
(−)−MA(15.53g)をエタノール(42.3
m)に加熱溶解し均一溶液とした後、約40℃に冷却
したところ(+)−ADPE・(−)−MA・EtOH
塩の結晶が析出した。この塩を80℃で24時間乾燥す
ると、結晶エタノールを含まない(+)−ADPE・
(−)−MA塩が28.61g(77%)得られた。 融点165〜166℃(分解) ▲〔α〕17 435▼+105.7°(c=1.00,MeOH) ジアステレオマー純度100% この塩を熱水に加熱溶解した後、濃アンモニア水を作用
させて塩を分解し、得られた固体をエタノールで再結晶
すると、光学的に純粋な(+)−ADPEが11.57
g(69%)得られた。 融点142.5〜144℃ 中間体として得られた4種のジアステレオマー塩のIR
吸収スペクトルを測定した。次の組み合わせは互いに鏡
像体の関係にあるため、 (I)(+)−ADPE・(−)−MAと (−)−ADPE・(+)−MA (III) (II)(−)−ADPE・(−)−MAと (+)−ADPE・(+)−MA (IV) スペクトルはよく似たものとなることが予想され、実際
に予想どおりであった。そこで、上記(I)〜(III)
のチャートを、それぞれ第1図〜第3図に示す。第1図
と第3図を比較すると、上記の事実が理解できる。
本発明により、合成塩基性光学分割剤として有用な光学
活性ADPEが、工業的規模で製造できるようになっ
た。この方法は入手容易なMAを分割剤とし、溶媒も特
別なものは必要なく、短い工程で高い光学純度をもった
目的物を高収率で得ることが可能である。
活性ADPEが、工業的規模で製造できるようになっ
た。この方法は入手容易なMAを分割剤とし、溶媒も特
別なものは必要なく、短い工程で高い光学純度をもった
目的物を高収率で得ることが可能である。
図面はいずれも、本発明において中間体として得られた
ジアステレオマー塩のIR吸収スペクトルのチャートで
あって、それぞれ下記の塩に対応する。 第1図:(+)−ADPE・(−)−MA 第2図:(−)−ADPE・(−)−MA 第3図:(−)−ADPE・(+)−MA
ジアステレオマー塩のIR吸収スペクトルのチャートで
あって、それぞれ下記の塩に対応する。 第1図:(+)−ADPE・(−)−MA 第2図:(−)−ADPE・(−)−MA 第3図:(−)−ADPE・(+)−MA
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉浦 出 東京都文京区根津2丁目31番3号 コーポ 楢208号 (72)発明者 長谷川 正木 東京都杉並区宮前2丁目26番2号
Claims (2)
- 【請求項1】(±)−エリトロ−2−アミノ−1,2−
ジフェニルエタノールに溶媒中で光学活性なマンデル酸
を作用させてジアステレオマー塩を生成させ、このジア
ステレオマー塩の溶液に一方のジアステレオマー塩の光
学的に純粋な塩の結晶を接種して同種のジアステレオマ
ー塩を選択的に晶出させ、晶出した結晶を溶媒から分離
したのち分解し、光学活性な目的物を取得することから
なる光学活性エリトロ−2−アミノ−1,2−ジフェニ
ルエタノールの製造方法。 - 【請求項2】いずれか一方の対掌体を他方の対掌体に対
して過剰に含むエリトロ−2−アミノ−1,2−ジフェ
ニルエタノールの溶液に光学活性マンデル酸を作用させ
てジアステレオマー塩を生成させ、このジアステレオマ
ー塩の溶液に過剰に含まれるジアステレオマー塩と同種
のジアステレオマー塩の光学的に純粋な塩の結晶を接種
するか、または接種することなしに、このジアステレオ
マー塩を選択的に晶出させ、晶出した結晶を溶媒から分
離したのち分解し、光学活性な目的物を取得することか
らなる光学活性エリトロ−2−アミノ−ジフェニルエタ
ノールの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26138185A JPH0615510B2 (ja) | 1985-11-22 | 1985-11-22 | 光学活性エリトロ―2―アミノ―1,2―ジフェニルエタノールの製造方法および製造の中間体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26138185A JPH0615510B2 (ja) | 1985-11-22 | 1985-11-22 | 光学活性エリトロ―2―アミノ―1,2―ジフェニルエタノールの製造方法および製造の中間体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPS62123156A JPS62123156A (ja) | 1987-06-04 |
JPH0615510B2 true JPH0615510B2 (ja) | 1994-03-02 |
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ID=17361056
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JP26138185A Expired - Fee Related JPH0615510B2 (ja) | 1985-11-22 | 1985-11-22 | 光学活性エリトロ―2―アミノ―1,2―ジフェニルエタノールの製造方法および製造の中間体 |
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JP (1) | JPH0615510B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
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JP5122871B2 (ja) * | 2007-06-01 | 2013-01-16 | 大東化学株式会社 | 光学活性n−ベンジルオキシカルボニルアミノ酸の製造方法およびジアステレオマー塩 |
-
1985
- 1985-11-22 JP JP26138185A patent/JPH0615510B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPS62123156A (ja) | 1987-06-04 |
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