JPH061549Y2 - シート材送出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、スタッカ内に積載収容されたカードあるい
は紙葉等の比較的厚いシート材を、一枚づつ分離して搬
送させるようにしたシート材送出装置に関する。

〔従来の技術〕

一般に、スタッカ内に積載収容されたカードあるいは紙
葉等のシート材を、順次一枚づつ分離して搬送させるよ
うにしたシート材送出装置では、積載されたシート材の
最前部に一定圧で圧接する円筒形の送出ローラを有して
おり、スタッカ内に積載収容されたシート材は、回転す
るこの送出ローラの摩擦力により一枚づつ分離され、ス
タッカ外のシート材搬送路へ送出される。しかしながら
上述した送出ローラを有するシート材送出装置では、通
常シート材と送出ローラとの間に働く摩擦力の方がシー
ト材相互間に働く密着力、即ち摩擦力よりも大きいこと
を前提にしており、この前提が崩れた場合、即ちシート
材と送出ローラとの間に働く摩擦力の方がシート材相互
間に働く摩擦力よりも小さい場合は当然ながらシート材
の重送という誤動作が発生する。

そこで、従来は、このようなシート材の重送が発生する
場合を想定して、送出ローラに、当該送出ローラの回転
方向とは逆方向に回転する分離ローラを圧接させ、この
分離ローラによって、重送されたシート材を分離ローラ
の摩擦力によりスタッカ側に押し戻し、これにより重送
されたシート材を一枚ずつ分離して搬送させるようにし
ている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで上述した、送出ローラに圧接する分離ローラを
有する従来のシート材送出装置では、シート材と分離ロ
ーラとの間に働く摩擦力に基づいてシート材を分離する
が、その分離ローラの摩擦力を常時一定の値に管理する
ことは難しく、例えば、分離ローラ周面の摩擦係数が経
時変化、あるいは汚れ等の要因により低下すると、重送
されたシート材を分離ローラの摩擦力によりスタッカ側
に押し戻すことがでず、このためシート材の重送を防止
することができなくなる虞があった。

この考案は、上述した事情に鑑み、シート材の重送防止
をより一層確実に、しかも安定して行うことのできるシ
ート材送出装置を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上述した問題点を解決するため、この考案のシー材搬送
装置では、スタッカ内に積載収容されたカード等のシー
ト材を、圧接する最前部のシート材から摩擦力により一
枚ずつスタッカ外のシート材搬送路へ送出する送出ロー
ラと、前記送出ローラから前記シート材の長さＬよりも
短い距離ｌだけ下流のシート材搬送路に介在され、前記
送出ローラの回転方向とは逆方向に回転駆動される逆転
ローラと、該逆転ローラに圧接する径が同一の一対の大
径ローラであって、しかも前記シート材の幅Ｗよりも若
干大きい幅の間隔を設けて回動自在に支承された大径ロ
ーラと、該一対の大径ローラの間に回動自在に支承され
た小径ローラであって、しかも周面から前記逆転ローラ
の周面までの最短間隔が前記シート材一枚分の厚さの間
隔Ｔである小径ローラとを具え、前記シート材搬送路を
搬送されるシート材を、前記逆転ローラと前記一対の大
径ローラと前記小径ローラとにより形成された幅Ｗで間
隔Ｔの隙間内を通過させるようにしている。〔作用〕 上述したシート材送出装置によると、シート材は、前記
小径ローラの周面と前記逆転ローラの周面との間に形成
される隙間、すなわち幅Ｗで間隔Ｔであるシート材一枚
分のみが通過することのできる隙間を通過しなければな
らないので、重送されたシート材はこの隙間によりに、
強制的に一枚ずつに分離されて通過することとなる。

〔実施例〕

以下、この考案に係わるシート材送出装置の一実施例を
詳述する。

第２図は、この考案に係わるシート材送出装置１全体の
概念断面図である。

このシート材送出装置１は、底面が左側に傾斜し、カー
ド等の比較的厚さの厚いシート材２を縦方向に積載収容
するスタッカ３と、このスタッカ３内に積載収容された
シート材２のうち最も左側の最前部に位置するシート材
２ａに圧接し、最前部に位置するシート材２ａを一枚ず
つスタッカ３の排出口３ａからシート材搬送路５の下流
へ送出する送出ローラ４と、この送出ローラ４から誤っ
てシート材２が重送された際に、その重送を阻止し重送
されたシート材を一枚ずつ分離してシート材搬送路５の
下流へ送出する重送防止手段６と、この重送防止手段６
により一枚ずつ分離されたシート材２をさらにシート材
搬送路５の下流へ送出する排出ローラ７とから構成され
ている。なお、第２図で符号８は、前記スタッカ３内に
配設され、積載されたシート材２に、図面の右側から左
側へ向く荷重を加えるシートウェイトである。また第２
図で、符号９は、搬送されたシート材の数を計測する図
示せぬカウンタ装置のセンサである。

上述したシート材送出装置１の構成要素のうち、送出ロ
ーラ４は断面が略三角形状に形成され、各頂点に相当す
る周面４ａ，４ｂ，４ｃはそれぞれ円弧状に形成されて
いる。このような送出ローラ４が時計方向へ回転する
と、送出ローラ４の周面４ａ，４ｂ，４ｃによってカセ
ット３内に収容されたシート材２全体に、順次押し上げ
ては離す揺動作用が加えられ、このため積載された各シ
ート材相互間に働く密着力が減少し、各シート材は密着
することなくばらばらとなる。

一方、前記重送防止手段６は、第２図の要部拡大斜視図
で示す第１図のように、軸１０，１１に支承され、相対
向する一対のローラ１２，１３により構成されている。
このうち一方のローラ１２は、図示せぬ駆動装置によっ
て送出ローラ４に対し逆方向に回転する逆転ローラ１４
により構成されている。また、他方のローラ１３は、前
記逆転ローラ１４に圧接し、かつ軸１１に所定の間隔
（後述するシート材２の幅Ｗよりも若干大きい間隔）を
設けて回動自在に支承された径が同一の一対の大径ロー
ラ１５，１６と、前記逆転ローラ１４からシート材一枚
分の厚さに相当する間隔Ｔを有して前記大径ローラ１
５，１６間に回動自在に支承された小径ローラ１７とか
ら構成されている。

すなわち、この小径ローラ１７の径は、その周面から前
記逆転ローラ１４の周面までの最短間隔がシート材一枚
分の厚さの間隔Ｔとなるように設定されている。

なお、前記各ローラ１４，１５，１６，１７の周面は摩
擦力の大きいゴム等の弾性体によって構成されており、
各軸１０，１１は、所定圧を有する図示せぬバネ等の押
圧手段により互いに近接するように付勢されている。

上述したように、逆転ローラ１４に一対の大径ローラ１
５，１６を圧接させ、その間に小径ローラ１７を介在さ
せると、この小径ローラ１７と前記逆転ローラ１４との
間隔、即ちシート材一枚分の厚さの間隔Ｔは、軸１１，
１０の軸間距離の精度に依存することなく、大径ローラ
１５，１６と小径ローラ１７の径の加工精度に依存する
こととなるので、大径ローラ１５，１６の径と小径ロー
ラ１７の径を厳密に管理することによって、小径ローラ
１７と前記逆転ローラ１４との間隔Ｔが厳密に管理され
ることとなる。なお、大径ローラ１５，１６と小径ロー
ラ１７の径は共に円筒形なので、加工の際に径の高度な
精度を出すことはきわめて容易である。

次に、上述したシート材送出装置１の作用を説明し、併
せて構成をより詳細に説明する。

第２図に示すように、断面略三角形状の送出ローラ４が
時計方向に回転すると、各頂点に対応する周面４ａ，４
ｂ，４ｃが順次スタッカ３内に積載収容されたシート材
２の最前部に摩擦接触し、最前部に位置するシート材２
ａを一枚ずつスタッカ３の排出口３ａからシート材搬送
路５の下流へ送出する。その際、送出ローラ４の周面４
ａ，４ｂ，４ｃは、順次シート材２を押し上げては離す
揺動作用をシート材２全体に与えるので、シート材相互
間の密着力、言替えれば摩擦力が減少して各シート材は
ばらばらに振りほぐされ、この結果シート材２は一枚ず
つスタッカ３の排出口３ａからシート材搬送路５の下流
へ送出されることとなる。

ところで、前記送出ローラ４の揺動力によっても、シー
ト材２相互間の密着力が減少せず、このため誤ってシー
ト材２が重送されると、この重送されたシート材２ｂは
第２図の要部拡大斜視図で示す第３図のように、重送防
止手段６の一対のローラ１２，１３間に形成された隙間
内に送出される。なお、重送防止手段６では、逆転ロー
ラ１４が逆転すると、この逆転ローラ１４に圧接する大
径ローラ１５，１６のみが従動して逆転し、小径ローラ
１７はその回転を停止している。

この、重送防止手段６では、逆転ローラ１４と小径ロー
ラ１７との間隔Ｔは厳密にシート材２の一枚分の厚さに
管理されているので、送出ローラ４により直接送出され
たシート材２ａ以外のシート材、即ち重送されたシート
材２ｂは、逆転ローラ１４と小径ローラ１７との間に形
成された隙間、即ち幅Ｗで間隔Ｔの隙間内に進入するこ
とが出来ず、接触する逆転ローラ１４の回転力によって
はじき返され、矢印Ｂで示すようにスタッカ３の排出口
３ａ（第２図）へ押し戻されることとなる。

一方、第２図に示すように、送出ローラ４から排出ロー
ラ７までの搬送路長ｌはシート材２の長さＬよりも短く
設定されているので、重送防止手段６におけるシート材
２ａの位置では、当該シート材２ａに搬送路５の下流方
向へ向かう送出ローラ４の搬送力が依然として働いてお
り、しかも当然ではあるが、重送防止手段６の逆転ロー
ラ１４によるシート材２ａの逆方向への搬送力よりも、
送出ローラ４によるシート材２ａの搬送力のほうが摩擦
力の相違により大きくなるように設定されているので、
送出ローラ４により直接送出されたシート材２ａのみ
は、逆転ローラ１４と小径ローラ１７との間の隙間を通
過して第２図で示すように搬送ローラ７へ送出され、こ
の搬送ローラ７を構成する駆動ローラ２０とピンチロー
ラ２１間に把持されて、さらにシート材搬送路５の下流
へ確実に一枚ずつ送出されることとなる。

なお、上記実施例では、送出ローラ４を断面三角形状に
形成するようにしたが、送出ローラは、上記実施例に限
定されることなく、回転により圧接するシート材２全体
に揺動作用を与えるものであればいかなる断面形状を持
つものでも良く、例えば断面形状が板状で端部が円弧形
状をなしたもの、角が円弧形状をなした断面多角形体、
偏心ローラ、あるいは円筒形ローラの周面に適宜突起物
を植設したもの等でもよい。

なお、上記実施例では重送防止手段６を構成する、逆転
ローラ１４、大径ローラ１５，１６、小径ローラ１７を
いずれも摩擦力の大きい弾性体で構成するようにした
が、この考案は上記実施例に限定されることなく、この
重送防止手段６を構成する各ローラ１４，１５，１６，
１７を金属等の硬質な材料により構成しても良い。この
ように各ローラ１４，１５，１６，１７を金属等の硬質
な材料により構成すると重送防止手段を構成する一対の
ローラ間の間隔を長期間に渡って一層厳密に管理するこ
とが出来る。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案に係わるシート材送出装
置では、逆転ローラと一対の大径ローラと小径ローラと
の間に、シート材一枚分しか通過することの出来ない隙
間を形成し、重送されたシート材をこの隙間内を通過さ
せることにより強制的に一枚ずつ分離させるようにした
ので、重送されたシート材の分離機能が各ローラの摩擦
係数の低下により低下することはなく、よって重送され
たシート材の分離が一層確実となり、またその分離機能
を一層安定して維持することができる。また特に、逆転
ローラと小径ローラとの間隔Ｔを、高度な加工精度を出
すことが極めて容易な一対の大径ローラの径と、この一
対の大径ローラの間に配設された小径ローラの径とによ
り管理させるようにしたので、簡単な構成によって逆転
ローラと小径ローラとの間隔Ｔをシート材一枚分に厳密
に管理することが出来、このため間隔Ｔの変動に基づく
シート材の重送の虞も極力低減させることもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は重送防止手段の概念拡大斜視図、第２図は、こ
の考案に係わるシート材送出装置の概念断面図、第３図
は重送防止手段の作用を示す概念拡大斜視図である。 １…シート材送出装置、２…シート材、３…スタッカ、
５…シート材搬送路、４…送出ローラ、１４…逆転ロー
ラ、１５，１６…大径ローラ、１７…小径ローラ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−118631（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−153032（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−46835（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−52650（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−170536（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−46947（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−83030（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】スタッカ(3)内に積載収容されたカード等
   のシート材(2)を、圧接する最前部のシート材(2a)から
   摩擦力により一枚ずつスタッカ外のシート材搬送路(5)
   へ送出する送出ローラ(4)と、 前記送出ローラ(4)から前記シート材(2)の長さＬよりも
   短い距離ｌだけ下流のシート材搬送路(5)に介在され、
   前記送出ローラ(4)の回転方向とは逆方向に回転駆動さ
   れる逆転ローラ(14)と、 該逆転ローラ(14)に圧接する径が同一の一対の大径ロー
   ラ(15,16)であって、しかも前記シート材の幅Ｗよりも
   若干大きい幅の間隔を設けて回動自在に支承された大径
   ローラ(15,16)と、 該一対の大径ローラ(15,16)の間に回動自在に支承され
   た小径ローラ(17)であって、しかも周面から前記逆転ロ
   ーラ(14)の周面までの最短間隔が前記シート材一枚分の
   厚さの間隔Ｔである小径ローラ(17)とを具え、 前記シート材搬送路(5)を搬送されるシート材を、前記
   逆転ローラ(14)と前記一対の大径ローラ(15,16)と前記
   小径ローラ(17)とにより形成された幅Ｗで間隔Ｔの隙間
   内を通過させるようにしたことを特徴とするシート材送
   出装置。
2. 【請求項２】前記送出ローラ(4)は、断面が略三角形状
   に形成されていることを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第(1)項記載のシート材送出装置。