JPH06153936A - アリルスルホトランスフェラーゼおよびその製造法 - Google Patents
アリルスルホトランスフェラーゼおよびその製造法Info
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- JPH06153936A JPH06153936A JP23994192A JP23994192A JPH06153936A JP H06153936 A JPH06153936 A JP H06153936A JP 23994192 A JP23994192 A JP 23994192A JP 23994192 A JP23994192 A JP 23994192A JP H06153936 A JPH06153936 A JP H06153936A
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- Japan
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- allylsulfotransferase
- producing
- sulfate
- enzyme
- sulfuric acid
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 芳香族硫酸エステルを硫酸供与体とし、その
硫酸基をフェノール化合物に移転する反応を触媒するア
リルスルホトランスフェラーゼ及びその産生菌によるア
リルスルホトランスフェラーゼの製造法。 【構成】 37℃以上の温度でも安定で耐アルカリ性に
優れた新規なアリルスルホトランスフェラーゼ及びその
産生菌であるクラブシェラ(Klebsiella)K
−36(FERM P−12976)。この菌は、ラッ
ト糞便より分離された腸内細菌である。
硫酸基をフェノール化合物に移転する反応を触媒するア
リルスルホトランスフェラーゼ及びその産生菌によるア
リルスルホトランスフェラーゼの製造法。 【構成】 37℃以上の温度でも安定で耐アルカリ性に
優れた新規なアリルスルホトランスフェラーゼ及びその
産生菌であるクラブシェラ(Klebsiella)K
−36(FERM P−12976)。この菌は、ラッ
ト糞便より分離された腸内細菌である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なアリルスルホトラ
ンスフェラーゼ及びクラブシェラ属に属する菌株による
アリルスルホトランスフェラーゼの製造法に関する。ア
リルスルホトランスフェラーゼ(Arylsulfot
ransferase、EC2.8.2.1)は硫酸供
与体から硫酸基をフェノール化合物に転移しフェノール
化合物の硫酸抱合体を形成する反応を触媒する酵素であ
り、フェノール化合物の解毒経路に関する酵素として重
要である。また、生体内で重要な役割をもつコレシスト
キニンパンクレオザイミンの合成において、チロシンを
特異的に硫酸エステル化するためにアリルスルホトラン
スフェラーゼが有用であることが見出されている(特開
昭64−80300号)。
ンスフェラーゼ及びクラブシェラ属に属する菌株による
アリルスルホトランスフェラーゼの製造法に関する。ア
リルスルホトランスフェラーゼ(Arylsulfot
ransferase、EC2.8.2.1)は硫酸供
与体から硫酸基をフェノール化合物に転移しフェノール
化合物の硫酸抱合体を形成する反応を触媒する酵素であ
り、フェノール化合物の解毒経路に関する酵素として重
要である。また、生体内で重要な役割をもつコレシスト
キニンパンクレオザイミンの合成において、チロシンを
特異的に硫酸エステル化するためにアリルスルホトラン
スフェラーゼが有用であることが見出されている(特開
昭64−80300号)。
【0002】
【従来の技術】従来アリルスルホトランスフェラーゼは
肝、小腸、腎、脳などの動物組織中および糸状菌類に存
在することが知られている。例えば、ラット肝には四つ
のタイプのアリルスルホトランスフェラーゼが存在し
[ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー
(J.Biol.Chem.)第254巻、5658ペ
ージ、1979年、アーカイブス オブ バイオケミス
トリー アンド バイオフィジクス(Arch.Bio
chem.Biophys.)第211巻、352ペー
ジ、1981年およびユーロピアン ジャーナル オブ
バイオケミストリー(Eur.J.Biochem)
第104巻、3ページ、1980年]、これらはいずれ
も硫酸供与体として3′−ホスホアデニル5′−硫酸
(以下「PAPS」という)を必要とし、PAPSがな
いと反応は進行しない。糸状菌類では、アスペルギルス
(Aspergillus)属菌の産生するアリルスル
ホランスフェラーゼはPAPSを介さずに硫酸基を転移
することが知られている[ザ バイオケミカル ジャー
ナル(Biochem.J)第149巻、697ペー
ジ、1975年]。
肝、小腸、腎、脳などの動物組織中および糸状菌類に存
在することが知られている。例えば、ラット肝には四つ
のタイプのアリルスルホトランスフェラーゼが存在し
[ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー
(J.Biol.Chem.)第254巻、5658ペ
ージ、1979年、アーカイブス オブ バイオケミス
トリー アンド バイオフィジクス(Arch.Bio
chem.Biophys.)第211巻、352ペー
ジ、1981年およびユーロピアン ジャーナル オブ
バイオケミストリー(Eur.J.Biochem)
第104巻、3ページ、1980年]、これらはいずれ
も硫酸供与体として3′−ホスホアデニル5′−硫酸
(以下「PAPS」という)を必要とし、PAPSがな
いと反応は進行しない。糸状菌類では、アスペルギルス
(Aspergillus)属菌の産生するアリルスル
ホランスフェラーゼはPAPSを介さずに硫酸基を転移
することが知られている[ザ バイオケミカル ジャー
ナル(Biochem.J)第149巻、697ペー
ジ、1975年]。
【0003】また、細菌類ではPAPSを介さずに芳香
族硫酸エステルを基質硫酸供与体とし、その硫酸基をフ
ェノール化合物に転移する反応を触媒するアリルスルホ
トランスフェラーゼがヒト糞便より分離した嫌気性細菌
であるユウバクテリウム・レクタルA−44株から見い
だされている(特公平3−63351号)。しかしなが
ら、ユウバクテリウム・レクタルA−44株は嫌気的培
養が必要なため大量培養に適さず、またその産生するア
リルスルホトランスフェラーゼは安定性の面でも37℃
以上の温度や塩基性溶液中において活性が低下するため
それらの改善が望まれていた。
族硫酸エステルを基質硫酸供与体とし、その硫酸基をフ
ェノール化合物に転移する反応を触媒するアリルスルホ
トランスフェラーゼがヒト糞便より分離した嫌気性細菌
であるユウバクテリウム・レクタルA−44株から見い
だされている(特公平3−63351号)。しかしなが
ら、ユウバクテリウム・レクタルA−44株は嫌気的培
養が必要なため大量培養に適さず、またその産生するア
リルスルホトランスフェラーゼは安定性の面でも37℃
以上の温度や塩基性溶液中において活性が低下するため
それらの改善が望まれていた。
【0004】
【発明の開示】本発明者らは、37℃以上の温度でも安
定で耐アルカリ性に優れた新規なアリルスルホトランス
フェラーゼを得ることを目的に酵素及び酵素産生用微生
物の探索を行った。その結果、新たにラット糞便より腸
内細菌の一種であるクラブシェラ属菌が新規なアリルス
ルホトランスフェラーゼを産生することを見い出した。
これらの菌は通性嫌気性菌であるため好気的大量培養も
可能であり、またこれら菌から産生される新規なアリル
スルホトランスフェラーゼは、PAPSを硫酸供与体と
しない性質を有する酵素であり、安定性の面でも温度に
対しては50℃でも安定であり、塩基性溶液において活
性が高いなどの特徴をもつ。以下に本発明で用いる菌株
のスクリーニング法ならびに性質およびそれらから得ら
れるアリルスルホトランスフェラーゼの製法、性質につ
いて説明する。
定で耐アルカリ性に優れた新規なアリルスルホトランス
フェラーゼを得ることを目的に酵素及び酵素産生用微生
物の探索を行った。その結果、新たにラット糞便より腸
内細菌の一種であるクラブシェラ属菌が新規なアリルス
ルホトランスフェラーゼを産生することを見い出した。
これらの菌は通性嫌気性菌であるため好気的大量培養も
可能であり、またこれら菌から産生される新規なアリル
スルホトランスフェラーゼは、PAPSを硫酸供与体と
しない性質を有する酵素であり、安定性の面でも温度に
対しては50℃でも安定であり、塩基性溶液において活
性が高いなどの特徴をもつ。以下に本発明で用いる菌株
のスクリーニング法ならびに性質およびそれらから得ら
れるアリルスルホトランスフェラーゼの製法、性質につ
いて説明する。
【0005】本発明法に用いるクラブシェラ属菌の例と
して、具体的には本発明者らが腸内菌より見いだしたク
ラブシェラK−36があげられる。本菌株は次のように
光岡らの方法(臨床検査、第23巻、322ページ、1
979年)に準じて分離した。即ち、ラット糞便を希釈
し4−メチルウンベリフェリル硫酸(以下「MUS」と
いう。)を含んだGAM(general anaer
obic medium)寒天平板培地(日水製薬社
製)、およびMUSを含んだTS(tryptic s
oy agar)寒天平板培地(ディフコ社製)にそれ
ぞれ塗抹後、GAM寒天平板培地は嫌気ジャー(ヒラヤ
マ製作所製)で37℃ 3〜5日間培養し、TS寒天平
板培地は好気ジャー(ヒラヤマ製作所製)で37℃ 1
〜2日間培養した。培養した平板に紫外線(320n
m) を照射し蛍光を発したコロニーを釣菌し、それぞ
れ0.1mM MUSを含むGAM培地およびBHI
(brain heart infusion bro
th)培地(ディフコ社製)5mlに接種したのち培養
し、アリルスルホトランスフェラーゼ陽性株K−36を
得た。
して、具体的には本発明者らが腸内菌より見いだしたク
ラブシェラK−36があげられる。本菌株は次のように
光岡らの方法(臨床検査、第23巻、322ページ、1
979年)に準じて分離した。即ち、ラット糞便を希釈
し4−メチルウンベリフェリル硫酸(以下「MUS」と
いう。)を含んだGAM(general anaer
obic medium)寒天平板培地(日水製薬社
製)、およびMUSを含んだTS(tryptic s
oy agar)寒天平板培地(ディフコ社製)にそれ
ぞれ塗抹後、GAM寒天平板培地は嫌気ジャー(ヒラヤ
マ製作所製)で37℃ 3〜5日間培養し、TS寒天平
板培地は好気ジャー(ヒラヤマ製作所製)で37℃ 1
〜2日間培養した。培養した平板に紫外線(320n
m) を照射し蛍光を発したコロニーを釣菌し、それぞ
れ0.1mM MUSを含むGAM培地およびBHI
(brain heart infusion bro
th)培地(ディフコ社製)5mlに接種したのち培養
し、アリルスルホトランスフェラーゼ陽性株K−36を
得た。
【0006】クラブシェラK−36株は次のような性質
を有する。 (1) 形態的性質 形:桿菌 胞子:形成しない グラム染色性:陰性 (2) 培地における生育状態 GAM、LB(Luria Bertani medi
um)、EG(Eggerth and Gagnon
broth )、BHI、NB(nutrient
broth)およびMH(Mueller−Hinto
n broth)培地のうち、LB培地において最も生
育がよい。 (3) 生理学的性質 オキシダーゼ生成:陰性 硫化水素生成:陰性 運動性:陰性 インドール生成:陽性 メチルレッド:陽性 VPテスト:陽性 クエン酸塩(C源として):陽性 ウレアーゼ生成:陽性 酸素に対する態度:通性嫌気性 以上の性質を「腸内細菌の世界−嫌気性菌の分離と同
定」(光岡知足著、叢文社発行、1980年)および
「バージェイズ マニュアル オブ デイターミネイテ
ィブ バクテリオロジー(Bergey’s Manu
al of Determinative Bacte
riology)」(第8版、1974年)に従い検討
したところ、上記K−36株は非運動性、通性嫌気性グ
ラム陰性無芽胞桿菌であり、VPテストが陽性であるこ
とからクラブシェラ属に分類される。本菌株は工業技術
院微生物工業技術研究所にクラブシェラK−36(微工
研菌寄第12976号、FERM P−12976)と
して寄託されている。
を有する。 (1) 形態的性質 形:桿菌 胞子:形成しない グラム染色性:陰性 (2) 培地における生育状態 GAM、LB(Luria Bertani medi
um)、EG(Eggerth and Gagnon
broth )、BHI、NB(nutrient
broth)およびMH(Mueller−Hinto
n broth)培地のうち、LB培地において最も生
育がよい。 (3) 生理学的性質 オキシダーゼ生成:陰性 硫化水素生成:陰性 運動性:陰性 インドール生成:陽性 メチルレッド:陽性 VPテスト:陽性 クエン酸塩(C源として):陽性 ウレアーゼ生成:陽性 酸素に対する態度:通性嫌気性 以上の性質を「腸内細菌の世界−嫌気性菌の分離と同
定」(光岡知足著、叢文社発行、1980年)および
「バージェイズ マニュアル オブ デイターミネイテ
ィブ バクテリオロジー(Bergey’s Manu
al of Determinative Bacte
riology)」(第8版、1974年)に従い検討
したところ、上記K−36株は非運動性、通性嫌気性グ
ラム陰性無芽胞桿菌であり、VPテストが陽性であるこ
とからクラブシェラ属に分類される。本菌株は工業技術
院微生物工業技術研究所にクラブシェラK−36(微工
研菌寄第12976号、FERM P−12976)と
して寄託されている。
【0007】本発明によりアリルスルホトランスフェラ
ーゼを採取するには、まず通常の好気性菌用培地または
嫌気性菌用培地にアリルスルホトランスフェラーゼを産
生するクラブシェラ属に属する菌株を植菌し、それぞれ
好気条件下または嫌気条件下約25〜45℃で培養し酵
素を蓄積せしめる。培養時間は酵素の生産が最大になっ
た時をとればよく、通常約13〜18時間である。本酵
素は公知の酵素精製方法を適宜組合せて精製される。即
ち、培養物をそのままか、または菌体のみを集めて超音
波、フレンチプレス、アルミナ磨砕などの方法により菌
体を破砕し酵素を抽出したのち、塩析、有機溶媒沈殿、
透析、限外ろ過、遠心分離、イオン交換クロマトグラフ
ィー、アフィニティクロマトグラフィー、濃縮、凍結乾
燥などの方法を適宜組合せ精製される。
ーゼを採取するには、まず通常の好気性菌用培地または
嫌気性菌用培地にアリルスルホトランスフェラーゼを産
生するクラブシェラ属に属する菌株を植菌し、それぞれ
好気条件下または嫌気条件下約25〜45℃で培養し酵
素を蓄積せしめる。培養時間は酵素の生産が最大になっ
た時をとればよく、通常約13〜18時間である。本酵
素は公知の酵素精製方法を適宜組合せて精製される。即
ち、培養物をそのままか、または菌体のみを集めて超音
波、フレンチプレス、アルミナ磨砕などの方法により菌
体を破砕し酵素を抽出したのち、塩析、有機溶媒沈殿、
透析、限外ろ過、遠心分離、イオン交換クロマトグラフ
ィー、アフィニティクロマトグラフィー、濃縮、凍結乾
燥などの方法を適宜組合せ精製される。
【0008】本発明によりクラブシェラK−36より得
られたアリルスルホトランスフェラーゼの性質は次のと
おりである。 (1) 作用 芳香族硫酸エステルを基質硫酸供与体とし、その硫酸基
をフェノール化合物に移転する反応を触媒する。 (2) 基質特異性 各種芳香族硫酸エステルならびに生体内硫酸エステルを
硫酸供与体として、またフェノールを受容体として反応
させ生成されるフェノール硫酸の量を高速液体クロマト
グラフィーで定量した。すなわち、反応液をケムコソル
ブ7−ODS−Hを担体とする高速液体クロマトグラフ
装置(島津製作所製)にかけ45%メタノールで1.0
ml/分で溶出し、波長254nmで検出した。p−ニ
トロフェニル硫酸(以下「PNS」という)を硫酸供与
体として、フェノールを受容体として反応させた時の比
活性(蛋白当りの活性)8.82μmol/min m
g蛋白質を100%としたときの活性を表1に示す。ま
たPNSを硫酸供与体としたときの各種硫酸受容体の基
質特異性は表2のとおりである。
られたアリルスルホトランスフェラーゼの性質は次のと
おりである。 (1) 作用 芳香族硫酸エステルを基質硫酸供与体とし、その硫酸基
をフェノール化合物に移転する反応を触媒する。 (2) 基質特異性 各種芳香族硫酸エステルならびに生体内硫酸エステルを
硫酸供与体として、またフェノールを受容体として反応
させ生成されるフェノール硫酸の量を高速液体クロマト
グラフィーで定量した。すなわち、反応液をケムコソル
ブ7−ODS−Hを担体とする高速液体クロマトグラフ
装置(島津製作所製)にかけ45%メタノールで1.0
ml/分で溶出し、波長254nmで検出した。p−ニ
トロフェニル硫酸(以下「PNS」という)を硫酸供与
体として、フェノールを受容体として反応させた時の比
活性(蛋白当りの活性)8.82μmol/min m
g蛋白質を100%としたときの活性を表1に示す。ま
たPNSを硫酸供与体としたときの各種硫酸受容体の基
質特異性は表2のとおりである。
【0009】
【表1】
【0010】
【表2】
【0011】(3) 至適pH 硫酸供与体としてPNSを用い、受容体を各種変えて至
適pHをみた。その結果本酵素は受容体にフェノール、
1−ナフトールを用いた場合はpH約10〜10.5に
至適pHが存在した。(図1) 使用した緩衝液は、pH5〜6は0.1M酢酸緩衝液p
H6〜7は0.1Mリン酸緩衝液、pH7〜9は0.1
Mトリス塩酸緩衝液、pH9〜12.5は0.1Mグリ
シン−水酸化ナトリウム緩衝液である。 (4) 温度安定性 5〜60℃の各温度で10分間処理したのち酵素活性を
測定したところ、50℃以下で安定であった。(図2) (5) 活性測定法 硫酸供与体としてPNS、受容体としてフェノールを用
い、50mMPNS0.03ml、1mMフェノール
0.29mlを含むトリス塩酸緩衝液(pH8.0)
0.21mlおよび酵素溶液0.1mlを混合し37
℃、30分間反応させる。1N水酸化ナトリウム0.4
mlを加えて反応を止め、白濁したものについては遠心
したのち透明な上清の405nmにおける吸光度を測定
し、別にp−ニトロフェノールの標準液を用いて作成し
た検量線にもとづいて定量する。1分間に1μmolの
p−ニトロフェノールを生成する酵素量を1単位とし
た。またPNS以外の硫酸供与体を用いる場合は高速液
体クロマトグラフィーにて行った。
適pHをみた。その結果本酵素は受容体にフェノール、
1−ナフトールを用いた場合はpH約10〜10.5に
至適pHが存在した。(図1) 使用した緩衝液は、pH5〜6は0.1M酢酸緩衝液p
H6〜7は0.1Mリン酸緩衝液、pH7〜9は0.1
Mトリス塩酸緩衝液、pH9〜12.5は0.1Mグリ
シン−水酸化ナトリウム緩衝液である。 (4) 温度安定性 5〜60℃の各温度で10分間処理したのち酵素活性を
測定したところ、50℃以下で安定であった。(図2) (5) 活性測定法 硫酸供与体としてPNS、受容体としてフェノールを用
い、50mMPNS0.03ml、1mMフェノール
0.29mlを含むトリス塩酸緩衝液(pH8.0)
0.21mlおよび酵素溶液0.1mlを混合し37
℃、30分間反応させる。1N水酸化ナトリウム0.4
mlを加えて反応を止め、白濁したものについては遠心
したのち透明な上清の405nmにおける吸光度を測定
し、別にp−ニトロフェノールの標準液を用いて作成し
た検量線にもとづいて定量する。1分間に1μmolの
p−ニトロフェノールを生成する酵素量を1単位とし
た。またPNS以外の硫酸供与体を用いる場合は高速液
体クロマトグラフィーにて行った。
【0012】(6) 基質親和性 受容体としてフェノールを用いたときPNSに対するミ
カエリス定数(Km値)は0.11mM、硫酸供与体と
してPNSを用いたときフェノールに対するミカエリス
定数(Km値)は0.66mMであった。 (7) 安定剤と阻害剤 本酵素に対する金属イオンの影響を表3に示した。マグ
ネシウムイオン、コバルトイオンは2mM添加すること
により活性はそれぞれ65%、30%上昇するが、カド
ミウムイオンは活性を強く阻害し、エチレンジアミン四
酢酸(2mM)は元の活性の53%にまで減少させる。
なおユウバクテリウム・レクタルA−44株由来硫酸基
転移酵素の阻害剤であったp−ニトロフェノールリン
酸、アデノシン三リン酸、ピロリン酸による阻害は認め
られなかった。
カエリス定数(Km値)は0.11mM、硫酸供与体と
してPNSを用いたときフェノールに対するミカエリス
定数(Km値)は0.66mMであった。 (7) 安定剤と阻害剤 本酵素に対する金属イオンの影響を表3に示した。マグ
ネシウムイオン、コバルトイオンは2mM添加すること
により活性はそれぞれ65%、30%上昇するが、カド
ミウムイオンは活性を強く阻害し、エチレンジアミン四
酢酸(2mM)は元の活性の53%にまで減少させる。
なおユウバクテリウム・レクタルA−44株由来硫酸基
転移酵素の阻害剤であったp−ニトロフェノールリン
酸、アデノシン三リン酸、ピロリン酸による阻害は認め
られなかった。
【0013】
【表3】
【0014】(8) 等電点 等電点カラムクロマトグラフィーにより、本酵素の等電
点は5.3であった。 (9) 分子量 セファクリルS−300スーパーファイン(ファルマシ
ア社製)を用いたゲルろ過法により測定したところ、約
160000であった(図3)。またSDS−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動法により約73000の2つの
サブユニットから成なることが示された。
点は5.3であった。 (9) 分子量 セファクリルS−300スーパーファイン(ファルマシ
ア社製)を用いたゲルろ過法により測定したところ、約
160000であった(図3)。またSDS−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動法により約73000の2つの
サブユニットから成なることが示された。
【0015】次に本発明法を実施例をもって具体的に説
明する。 実施例 1 0.15%寒天を含んだLB培地31を滅菌したのち、
あらかじめ上記と同様の培地にクラブシェラK−36を
培養して得た種培養液60mlを植菌し、好気的に37
℃、15時間培養した。培養液を遠心分離して菌体を集
めたのち超音波破砕機(ヒートシステムズ社製)にて菌
体を破砕し、さらに遠心分離により上清を集め粗酵素抽
出液を得た。これに最終濃度60%になるよう硫安を加
え、沈殿物を0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0)
に溶解し、同緩衝液に15時間透析した。次いであらか
じめ同緩衝液で平衡化したDEAEセルロース(ファル
マシア社製)カラム(2.5×30cm)に通し酵素を
吸着させたのち、0〜0.5M塩化カリウムでグラジエ
ントに溶出し活性画分を集めた。これをUM−10メン
ブラン(アミコン社製)を用いた限外ろ過により濃縮、
25mMイミダゾール緩衝液(pH7.4)に溶解し同
緩衝液に透析した。次にあらかじめ同緩衝液で平衡化し
たクロマトフォーカシングカラム(1.5×15cm)
に通し酵素を吸着させたのち、酢酸でpH4までグラジ
エントに溶出し活性画分を集め、UM−10メンブラン
で濃縮した。最後にこれを0.1Mトリス塩酸緩衝液
(pH7.0)で平衡化したセファクリルS−300ス
ーパーファインカラム(2×86cm)に通し精製酵素
標品を得た。図4にDEAEセルロースカラムクロマト
グラフィーの溶出パターン、図5にクロマトフォーカシ
ングカラムクロマトグラフィーの溶出パターンを、また
表4には精製過程の結果を示す。なお蛋白量はフォーリ
ン−ロウリィ(Folin−Lowry)法により牛血
清アルブミン(フラクションV)を標準として測定し
た。
明する。 実施例 1 0.15%寒天を含んだLB培地31を滅菌したのち、
あらかじめ上記と同様の培地にクラブシェラK−36を
培養して得た種培養液60mlを植菌し、好気的に37
℃、15時間培養した。培養液を遠心分離して菌体を集
めたのち超音波破砕機(ヒートシステムズ社製)にて菌
体を破砕し、さらに遠心分離により上清を集め粗酵素抽
出液を得た。これに最終濃度60%になるよう硫安を加
え、沈殿物を0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0)
に溶解し、同緩衝液に15時間透析した。次いであらか
じめ同緩衝液で平衡化したDEAEセルロース(ファル
マシア社製)カラム(2.5×30cm)に通し酵素を
吸着させたのち、0〜0.5M塩化カリウムでグラジエ
ントに溶出し活性画分を集めた。これをUM−10メン
ブラン(アミコン社製)を用いた限外ろ過により濃縮、
25mMイミダゾール緩衝液(pH7.4)に溶解し同
緩衝液に透析した。次にあらかじめ同緩衝液で平衡化し
たクロマトフォーカシングカラム(1.5×15cm)
に通し酵素を吸着させたのち、酢酸でpH4までグラジ
エントに溶出し活性画分を集め、UM−10メンブラン
で濃縮した。最後にこれを0.1Mトリス塩酸緩衝液
(pH7.0)で平衡化したセファクリルS−300ス
ーパーファインカラム(2×86cm)に通し精製酵素
標品を得た。図4にDEAEセルロースカラムクロマト
グラフィーの溶出パターン、図5にクロマトフォーカシ
ングカラムクロマトグラフィーの溶出パターンを、また
表4には精製過程の結果を示す。なお蛋白量はフォーリ
ン−ロウリィ(Folin−Lowry)法により牛血
清アルブミン(フラクションV)を標準として測定し
た。
【0016】
【表4】
【図1】アリルスルホトランスフェラーゼの至適pHを
表す図である。
表す図である。
【図2】アリルスルホトランスフェラーゼの温度安定性
を表す図である。
を表す図である。
【図3】同酵素のゲルろ過法による分子量の測定を表す
図である。
図である。
【図4】同酵素のDEAEセルロースカラムクロマトグ
ラフィーの溶出パターンを表す図である。
ラフィーの溶出パターンを表す図である。
【図5】同酵素のクロマトフォーカシングカラムクロマ
トグラフィーの溶出パターンを表す図である。
トグラフィーの溶出パターンを表す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 下記性質を有するアリルスルホトランス
フェラーゼ (a)作用 芳香族硫酸エステルを硫酸供与体とし、その硫酸基をフ
ェノール化合物に移転する反応を触媒する。 (b) 至適pH 10〜10.5 (c) 温度安定性 50℃以下で安定 (d) 各種金属イオン、阻害剤の影響 Mg2+、Co2+により活性は上昇し、Cd2+、E
DTAにより阻害される。 - 【請求項2】 クラブシェラ属に属する下記性質を有す
るアリルスルホトランスフェラーゼ産生菌を培養し、該
アリルスルホトランスフェラーゼを生成蓄積せしめ、こ
れを採取することを特徴とするアリルスルホトランスフ
ェラーゼの製造法。 (a) 作用 芳香族硫酸エステルを硫酸供与体とし、その硫酸基をフ
ェノール化合物に移転する反応を触媒する。 (b) 至適pH 10〜10.5 (c) 温度安定性 50℃以下で安定 (d) 各種金属イオン、阻害剤の影響 Mg2+、Co2+により活性は上昇し、Cd2+、E
DTAにより阻害される。 - 【請求項3】 クラブシェラ属に属するアリルスルホト
ランスフェラーゼ産生菌がクラブシェラK−36である
ことを特徴とする特許請求の範囲第2項記載のアリルス
ルホトランスフェラーゼの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23994192A JPH06153936A (ja) | 1992-07-23 | 1992-07-23 | アリルスルホトランスフェラーゼおよびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23994192A JPH06153936A (ja) | 1992-07-23 | 1992-07-23 | アリルスルホトランスフェラーゼおよびその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06153936A true JPH06153936A (ja) | 1994-06-03 |
Family
ID=17052101
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23994192A Pending JPH06153936A (ja) | 1992-07-23 | 1992-07-23 | アリルスルホトランスフェラーゼおよびその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06153936A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6225100B1 (en) | 1996-07-09 | 2001-05-01 | Dcv, Inc. | Arylsulfotransferase |
-
1992
- 1992-07-23 JP JP23994192A patent/JPH06153936A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6225100B1 (en) | 1996-07-09 | 2001-05-01 | Dcv, Inc. | Arylsulfotransferase |
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