JPH06146827A - セラミックバルブ及びその製造方法 - Google Patents

セラミックバルブ及びその製造方法

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JPH06146827A
JPH06146827A JP33009192A JP33009192A JPH06146827A JP H06146827 A JPH06146827 A JP H06146827A JP 33009192 A JP33009192 A JP 33009192A JP 33009192 A JP33009192 A JP 33009192A JP H06146827 A JPH06146827 A JP H06146827A
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ceramic
ceramic valve
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JP33009192A
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Ritsutou Chin
立東 陳
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コッタとの当たり面である環状の溝部付近に
おける破壊を防止したセラミックバルブを提供する。 【構成】 ステム部2の端部に、コッタ6との嵌合部と
なる環状の溝部3が形成されているセラミックバルブ1
であって、少なくとも、その環状の溝部3の表面に軟質
材層が形成されているものである。軟質材層としては、
ニッケル、チタン等の金属やテフロン等の耐熱性樹脂を
用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の吸排気口に使
用されるセラミックバルブ及びその製造方法に関し、特
に、ステム部における破壊を防止したセラミックバルブ
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
【0003】内燃機関に用いられるバルブは、図1に示
すように、一般に、端部に環状の溝部3を有するステム
部2と、首部4と、傘部5とからなる。なお、図1にお
いては、ステム部2は一部省略して描かれているが、環
状の溝部3以外の部分は多少の径の変化はあるが円柱様
に形成されている。
【0004】このようなバルブは、一般に図2に示す構
造で内燃機関に装着される。すなわち、バルブ1のステ
ム部2の端部に形成された環状の溝部3に、コッタ6が
その凸部を嵌入するように装着され、その外側にリテー
ナ7が装着される。ここで、リテーナ7はバルブスプリ
ング8を受ける部位となる。また、バルブ1のステム部
2の端面は、シリンダーヘッド10と摺動するカップ状
のリフタ9の内面に面接触している。カップ状のリフタ
9の外側の面9aはカム11に接触する部位となり、こ
のカム11の回転に応じて、バルブ1はその軸線に沿っ
た方向に往復運動する。なお、傘部(図2には図示せ
ず)は内燃機関の燃焼室(図示せず)側に配置され、吸
排気口の開閉を行う部位となる。
【0005】従来より、このような内燃機関の吸排気用
バルブとして、SUH-3 やSUH-11、あるいはインコネル等
の耐熱合金からなるものが一般的であるが、最近では、
高出力、高回転の内燃機関が求められるようになり、そ
れに伴って、バルブも機械的及び熱的により過酷な環境
に耐えられるものが必要となってきた。また、従来のバ
ルブを形成する金属は概ね比重が7〜8程度であるが、
内燃機関の性能向上等の理由からバルブの軽量化も望ま
れている。
【0006】そこで、比較的軽量で(比重が3〜4程
度)高い剛性を有し、かつ耐熱性、低熱膨張性、耐摩耗
性、耐酸化性、耐腐食性等に優れたセラミックスをバル
ブに使用することが試みられ、実用化に向けての研究開
発が行われている。
【0007】バルブ形成用のセラミックスとしては、窒
化珪素、炭化珪素、サイアロン等が注目されている。し
かしながら、窒化珪素を始めとするセラミックスは、一
般に靭性が低いという欠点を有する。すなわち、セラミ
ックスは脆く、何らかの理由で微小な欠陥が導入される
と、そこから容易にクラックが成長してセラミックス自
体が破壊しやすい。この理由により、セラミックバルブ
の実用化が遅れていた。
【0008】特に、図2に示すような取り付け構造であ
ると、コッタ6との当たり面が小さいことや切欠効果に
よる応力集中のために、環状の溝部3において大きな応
力を受けやすい。実際に、従来のセラミックバルブを図
2に示すようにエンジン(内燃機関)に装備して運転す
ると、この部分で破損する場合が最も多い。
【0009】そこで、セラミックバルブの割れ(特にコ
ッタとの結合部位における破損)に対する対策が種々考
案されているが、どれもまだ十分であるとは言えない。
【0010】したがって、本発明の目的は、特にコッタ
との当たり面である環状の溝部付近における破壊を防止
したセラミックバルブ、及びその製造方法を提供するこ
とである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
ステム部の端部に設けた環状の溝部にコッタの一部を嵌
入してリテーナに装着するタイプのセラミックバルブに
ついて鋭意検討を重ねた結果、本発明者は、ステム部の
表面のうちの少なくとも環状の溝部の表面を軟質材で被
覆すれば、コッタとの接触により生じる応力集中を緩和
することができ、もってセラミックバルブのコッタとの
結合部位において破損が生じなくなることを発見し、本
発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明のセラミックバルブは、
少なくとも、ステム部の端部に形成されたコッタとの嵌
合部となる環状の溝部の表面に、軟質材層が形成されて
いることを特徴とする。
【0013】また、セラミックバルブのコッタとの結合
部位において破損が生じないセラミックバルブを製造す
る本発明の方法は、傘部、首部及びステム部を有し、前
記ステム部の端部に環状の溝部を有するバルブ形状のセ
ラミック成形体を形成し、前記セラミック成形体を焼成
し、得られた焼成体の表面部を研削加工し、さらに、少
なくとも前記ステム部の端部に形成した環状の溝部の表
面に、メッキ、金属溶射法、真空蒸着法、スパッタ法、
イオンプレーティング法のいずれかにより軟質材層を形
成することを特徴とする。
【0014】
【実施例及び作用】以下、図面を参照して本発明を詳細
に説明する。本発明のセラミックバルブは、図1に示す
ように、そのステム部2の端部付近に環状の溝部3を有
する。溝部3はステム部2を一周するように形成されて
おり、コッタ6との結合部位となる。なお、その他の部
分は、従来のバルブと同様の構造をしていてよい。すな
わち、セラミックバルブ1はステム部2と首部4と傘部
5とを有し、傘部5は、内燃機関の吸排気口の開閉を行
う部位であり、この傘部5の外縁部で首部4側にはテー
パ面状のフェース部51が形成されており、このフェース
部51は、内燃機関の吸排気口のバルブシートに当接する
部位となる。
【0015】本発明においては、ステム部2の少なくと
も環状の溝部3の表面は、軟質材層により覆われてい
る。軟質材層を形成する材料としては、銅、亜鉛、アル
ミニウム、ニッケル、チタン、又は鉄系の金属やそれら
の合金、またはテフロン系樹脂等の耐熱性樹脂が好適で
ある。また、樹脂と金属との複合材を用いることもでき
る。
【0016】軟質材層の厚さは、これを形成する材料に
よって多少変化するが、一般に5〜100μmであるの
が好ましい。特に、ニッケル、チタン等の金属により軟
質材層を形成する場合には、軟質材層の厚さを5〜50
μmとするのが好ましい。またテフロン系の耐熱性樹脂
から形成する場合には、20〜80μmとするのが好ま
しい。
【0017】上述の通り、軟質材層は少なくとも環状の
溝部3の表面を被覆しているが、本発明はこれに限定さ
れない。たとえば、環状の溝部3の表面のみならず、コ
ッタ6と接触する領域全体(図1のAの領域)に軟質材
層を設ける構造とすることができる。また、ステム部2
全体に軟質材層を設ける構成としてもよい。
【0018】本発明において、「軟質材層」とはセラミ
ックバルブ本体部を形成するセラミックスより軟らかい
材料からなる層であることを意味するが、具体的には、
ヤング率がセラミックスの2/3以下であるものを指
す。なお軟質材層の形成方法については後述する。
【0019】一方、セラミックバルブ本体部を形成する
セラミックスとしては、窒化珪素系セラミックス、炭化
珪素系セラミックス、サイアロン系セラミックス、ジル
コニア系セラミックス等が好ましい。またこれらのセラ
ミックスをウィスカー、円板形状、球形状をした強化材
成分で強化したセラミック複合材を用いることができ
る。
【0020】次に、セラミックバルブ本体部(軟質材層
を除いた部分)を窒化珪素系のセラミックスにより形成
する場合を例にとり、本発明のセラミックバルブの製造
方法を説明する。
【0021】窒化珪素系のセラミックスからなるバルブ
を製造する場合、原料となる窒化珪素原料粉は高純度で
あることが望ましく、Fe、Ca、Al、Cl等の不純物元素は
100ppm以下であることが好ましい。また、不純物元素と
しては、上記したもの以外に窒化珪素粉末に不可避的に
存在する酸素も挙げられるが、窒化珪素粉末の酸素含有
量は、窒化珪素粉末に対して0.5〜2.0重量%であ
るのが好ましい。酸素含有量が0.5重量%未満である
と、焼結性が低下する。また、2.0重量%を超すと、
粒界相の融点が低下し、良好な高温強度が得られない。
【0022】窒化珪素粉末は、微粉であることが望まし
く、かつ粒度分布が狭いことが望ましい。粒径が細い
と、焼結助剤と反応し溶解、再析出する際に核発生の場
所が多くなり、組織は微細化される。また粒径がそろわ
ず、粗い粒子が多少存在すると、その部分の組織が焼結
の際に粗大化し、破壊源となる。粒径の目安となるBE
T値は1m2 /g以上であるのが好ましく、より好まし
くは10m2 /g以上である。
【0023】窒化珪素にはその結晶系にα−型とβ−型
とがあるが、α型を多く含む窒化珪素粉を原料粉として
使用するのが好ましい。窒化珪素が高靭性を示すのはそ
の結晶の柱状晶化によるものであり、この柱状晶化はα
−型窒化珪素粉が焼結助剤と反応して液相を作り、再折
出する際にα−型がβ−型に相変態することで助長され
るからである。焼結体が高靭性を有するには窒化珪素粉
の少なくとも60%以上がα−型であるのが好ましい。よ
り好ましくは90%以上である。
【0024】焼結助剤としては、Al2 3 、Y2 3
MgO、ZrO2 等が挙げられるが、特にAl2 3 とY2
3 との混合物を用いるのが好ましい。Y2 3 は窒化珪
素粉と同様に高純度であることが必要である。不純物元
素としてはCe、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Ca、Fe等が考えら
れるが、それらをそれぞれ100ppm以下に抑えることが好
ましい。より好ましくは50ppm 以下に抑える。また粒径
は、窒化珪素粉末と同等又はそれ以上に微粉であること
が好ましい。従ってBET値は1m2 /g以上であるの
が好ましく、より好ましくは10m2 /g以上である。
【0025】またAl2 3 も同様に高純度であることが
必要である。不純物元素としては、Na、Ca、Mg、Fe、S
i、Ga、Cr等が考えられるが、それらは、それぞれ100pp
m以下とするのが好ましく、より好ましくは50ppm 以下
とする。Al2 3 にはα−型、γ−型があるが、このど
ちらを用いてもよい。ただし、α−型はBET値が最高
10m2 /g程度であり、一方γ−型はBET値が100 m
2 /g以上のものも存在するので、一般的にはγ−型の
ものが焼結助剤として適している。このどちらを使用す
るにしてもBET値が1m2 /g以上のものを用いるの
が好ましく、より好ましくは10m2 /g以上のものを使
用する。
【0026】焼結助剤は、一般には、窒化珪素原料粉と
焼結助剤の合計を100重量%として4〜27.5重量
%程度とするのが好ましい。特に、焼結助剤としてY2
3及びAl2 3 を用いる場合、Y2 3 の配合量は焼
結助剤を含む原料粉全体に対して3〜20重量%とする
のが好ましい。またAl2 3 の配合量は1〜7.5 重量%
とするのが好ましい。Y2 3 の配合量が3重量%未満
であると粒界相の結晶化が難しくなり、高温強度が低下
する。またこれが20重量%を超すと、焼結性が急激に
悪化する。一方、Al2 3 の配合量が1重量%未満であ
ると焼結性が低下する。また、これが7.5 重量%を超す
と、特に高温において強度の低下がみられる。
【0027】まず、窒化珪素粉末と焼結助剤粉末とを混
合する。混合はボールミル法により行うのが確実でしか
も安価である。ボールミル法による混練の時間は長い程
好ましく、10時間以上とする。望ましくは78時間以上混
合する。このように両者を良く混合することにより、均
一な微細組織を得ることができる。
【0028】なお混練に使用するポット及びボールは、
原料粉の成分の一種又は二種以上の組合せの成分からな
るものを使用するのが好ましい。具体的には窒化珪素か
らなるものを使用するのが最適である。窒化珪素からな
るポット及びボールは高価であることから、アルミナ製
のポット及びボールを使用しても良い。これによりポッ
トやボールの摩耗による原料への異種成分の混入を防ぐ
ことができる。
【0029】また混練時の分散媒体としては、メチルア
ルコール、エチルアルコール、アセトン、水等を使用す
ることができる。
【0030】混練が終了したらスラリーを乾燥、造粒す
る。乾燥造粒法には大別して二つの方法がある。第一の
方法は乾燥により溶媒を除去(熱的に、または電子レン
ジ等により溶媒を除去)した後、ふるいにより造粒する
方法である。第二の方法はスプレードライヤーによる方
法で、乾燥と造粒を同時に行う方法である。本発明にお
いてはどちらの方法でも良い。
【0031】成形体は、プレス成形、ラバープレス成
形、射出成形、押し出し成形、静水圧成形(CIP)、
鋳込み成形等のいずれかの成形法によって製造すること
ができる。
【0032】次に、得られた成形体を乾燥する。具体的
には、50〜250℃で24時間以上の乾燥を行う。こ
の乾燥によって成形体中の不純物(水、アルコール、バ
インダー等)が除去され、もって焼結体中の欠陥の生成
が極力防止される。また、欠陥ができたとしてもそれは
小さなものとなる。
【0033】射出成形、押し出し成形等により成形体を
得たら、脱脂処理を行わなければならない。脱脂処理と
しては、成形体を水及びアルコール、又は射出成形体の
場合にはケトン等の有機溶媒、又はこれらの混合物に浸
漬し、成形体に含まれているバインダーの約50%を抽
出した後、乾燥し、得られた成形体を400〜600℃
程度に加熱することにより、完全にバインダーを除去す
ることができる。
【0034】上記で得られた成形体を焼成する。焼成は
公知の方法に従ってよい。Si3 4、Y2 3 及びAl2
3 を上述した配合で混合した原料粉から焼結体を製造
する場合には、一般に、1750〜1900℃で1〜4
時間の焼成条件とする。また、そのときの雰囲気は、窒
素ガス雰囲気とするのが好ましく、最高焼成温度では、
9気圧程度の窒素ガス圧とするのが好ましい。
【0035】なお、焼結体中の欠陥(空孔等)を取り除
くために、必要に応じてHIP処理を施してもよい。
【0036】上記の焼結によりバルブ形状の焼結体を得
たら、次に、所望の寸法になるように研削加工を行う。
特に、セラミックバルブのステム部の端部に設けたコッ
タとの嵌合部の溝部は、ステム部及び傘部のフェース部
と同軸となるように加工する必要がある。具体的には、
ステム部に対する環状の溝部の同軸度(同心度)は0.
1mm以内とするのが好ましい。同軸度(同心度)がこれ
より大きくなると、エンジン作動中にバルブは横振れを
生じ、カムのプロファイルに追従できなくなり、ジャン
プ、バウンス等を生じやすくなる。また、バルブに衝撃
応力が作用しバルブ破損の原因となる。
【0037】この研削加工では、ダイヤモンド砥石を用
いて行うのが一般的であるが、図面寸法を誤差範囲内で
達成できるものであれば特にこれに限定されない。焼結
体(セラミックバルブ本体部)の加工面の表面粗さは、
最大高さ(Rmax :加工傷で最も高い部分と最も低い部
分との差)で10μm以下とするのが好ましく、これを
達成できるように砥石、及び研削方法を適宜設定する。
ただし、環状の溝部等、その表面に軟質材層を形成する
部位における表面の粗さ(RZ )は1.0〜4.0μm
とするのが好ましい。このような表面の粗さとしておく
と、軟質材層とセラミックバルブ本体部との密着性が向
上する。
【0038】軟質材層を銅、亜鉛、アルミニウム、ニッ
ケル、チタン、又は鉄系の金属、またはそれらの合金に
よって形成する場合、メッキ、金属溶射法、真空蒸着
法、スパッタ法、イオンプレーティング法等を採用する
ことができる。メッキ、金属溶射法、真空蒸着法、スパ
ッタ法、イオンプレーティング法は従来の方法に従って
よいが、軟質材層の厚さが10〜100μmとなるよう
に諸条件を設定する。また、テフロン等の耐熱性樹脂を
用いる場合には、スプレーにより耐熱性樹脂を所望の部
位に塗装して軟化処理を行うことにより軟質材層を形成
する。
【0039】本発明を以下の具体的実施例によりさらに
詳細に説明する。実施例1〜5 Al2 3 製ポット中に、Si3 4 粉末(平均粒径0.4 μ
m、宇部興産(株)製)90重量%と、Y2 3 粉末
(平均粒径0.4 μm、日本イットリウム(株)製)5重
量%と、γ−Al2 3 粉末(平均粒径0.03μm、旭化成
(株)製)5重量%とを投入し、エタノールを加え、20
φで1kgのAl2 3 製ボールで96時間の湿式ボールミル
混合を行った。
【0040】混合終了後、マントルヒータで乾燥した後
ふるいで造粒し、60メッシュ以下の混合粉を得た。こ
の混合粉をセラミックバルブ製造用の原料粉とした。
【0041】上記で得た原料粉100重量部に、射出成
形用バインダーを39重量部添加し、加圧ニーダで混合
した。混合後、ペレタイザーでペレット化し、これを用
いて射出成形により図1に示す形状を有する成形体を5
本(実施例1〜5)製造した。
【0042】得られた成形体を水/アセトン/メタノー
ルが体積比で14/3/3となる組成の溶媒に浸漬し、
5時間の抽出脱脂を行った。この後、100℃/時の速
度で420℃まで昇温し、420℃に2時間保持するこ
とにより脱脂を完了した。
【0043】得られた成形体に対し、窒素ガス圧8.5
気圧中で、1850℃で2時間の焼結を行った。
【0044】次に、粒度#400のダイヤモンド砥石を
用いて焼結体を研削加工し、所望の寸法及び(RZ =)
2.0μmの表面粗さに仕上げた。
【0045】イオンプレーティング法により、環状の溝
部3の表面のみに厚さ20μmのニッケルからなる軟質
材層を形成した。ここで、セラミックバルブ本体部の傘
部、首部、及び軟質材層を形成しないステム部表面は、
金属製の治具によりマスクした。イオンプレーティング
法における条件、及び得られた軟質材層の表面粗さを表
1に示す。
【0046】表1 アーク電流 :100A バイアス電圧 :−50V チャンバー内圧力 :1.0 ×10-2Torr 成膜速度 :0.25μm/分 表面粗さ(Ra ) :0.1 〜0.2 μm
【0047】次に、図3に示すように、得られたセラミ
ックバルブ1にコッタ6を装着してスプリング8を取り
付け、スプリングリテーナ7により50kgf の荷重で締
めつけ、バルブ試験装置12に設置した。なお、図3に
示すように、セラミックバルブ1の環状の溝部の表面に
は、軟質材層3aが形成されている。
【0048】図3に示す試験装置12において、スプリ
ングリテーナ7を装着し、リフタ9をステム部2の端部
に被せたバルブ1は、カム11により軸線方向に往復運
動するように設置されている。なお、バルブ1の傘部5
の傘面5c側には、ガスバーナ14を用いて炎をあて、
通常のエンジン内部と同様の温度に保った。また、エン
ジンブロック16は、矢印で示した部位で冷却水をあて
て冷却した。試験装置、及び試験条件は以下の通りと
し、セラミックバルブの寿命(破損するまでのサイクル
数)を測定した。
【0049】(1) 試験装置 バルブ駆動方式: 直接駆動方式 バルブ配列 : DOHC スプリング荷重: 50kgf (着座時) 70kgf (リフト時) ばね定数 : 20.0kg/mm リフト量 : 6.5mm (2) 試験条件 回転数 : 3000rpm 温度 : 室温 結果を表2に示す。
【0050】比較例1〜5 環状の溝部3に軟質材層を設けない以外は、実施例1と
同様にしてセラミックバルブを5本製造した。このセラ
ミックバルブについて、実施例1と同様にして試験装置
12を用いてセラミックバルブの寿命(破損するまでの
サイクル数)を測定した。結果を表2に示す。
【0051】 表2 例No. 寿命サイクル (1) 例No. 寿命サイクル 実施例1 5×107 以上 比較例1 1×103 実施例2 5×107 以上 比較例2 9×102 実施例3 5×107 以上 比較例3 4×103 実施例4 5×107 以上 比較例4 1×104 実施例5 5×107 以上 比較例5 1×104 表2の注(1) :運転時間は5×107 サイクルまでとした。
【0052】表2からわかるように、各実施例のセラミ
ックバルブは、5×107 サイクルまでの運転中に破壊し
なかった。一方、環状の溝部に軟質材層を設けない比較
例の窒化珪素バルブは105 未満(102 〜104 )のサイク
ルにおいて破壊した。比較例においては寿命のバラツキ
も大きいことがわかる。
【0053】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明によるセ
ラミックバルブは、少なくとも環状の溝部に軟質材層が
形成されているので、セラミックバルブの破壊や破損を
確実に防止することができる。
【0054】本発明の方法によれば、高い信頼性を有す
るエンジンバルブを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ステム部に環状の溝部を有するバルブを示す
側面図である。
【図2】 セラミックバルブの取り付け構造の例を示す
部分断面図である。
【図3】 実施例及び比較例において用いた試験装置
に、セラミックバルブを装着した状態を示す部分断面図
である。
【符号の説明】
1 セラミックバルブ 2 ステム部 3 環状の溝部 4 首部 5 傘部 6 コッタ 7 リテーナ 8 スプリング 9 リフタ 11 カム

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の吸排気用のセラミックバルブ
    において、少なくとも、ステム部の端部に形成されたコ
    ッタとの嵌合部となる環状の溝部の表面に、軟質材層が
    形成されていることを特徴とするセラミックバルブ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のセラミックバルブにお
    いて、前記軟質材層が、銅、亜鉛、アルミニウム、ニッ
    ケル、チタン、又は鉄系の金属、もしくは、耐熱性樹脂
    からなることを特徴とするセラミックバルブ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のセラミックバル
    ブにおいて、前記セラミックバルブを形成するセラミッ
    クスが窒化珪素系セラミックス、炭化珪素系セラミック
    ス、サイアロン系セラミックス、又はジルコニア系セラ
    ミックスからなることを特徴とするセラミックバルブ。
  4. 【請求項4】 内燃機関の吸排気用のセラミックバルブ
    を製造する方法において、傘部、首部及びステム部から
    なり、前記ステム部の端部に環状の溝部を有するバルブ
    形状のセラミック成形体を形成し、前記セラミック成形
    体を焼成し、得られた焼成体の表面部を研削加工し、さ
    らに、少なくとも前記環状の溝部の表面に、メッキ、金
    属溶射法、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティ
    ング法のいずれかにより軟質材層を形成することを特徴
    とするセラミックバルブの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20010066093A (ko) * 1999-12-31 2001-07-11 이계안 대형 디젤차량의 고성능화를 위한 밸브 및 그 제조방법
JP2020180346A (ja) * 2019-04-25 2020-11-05 日本製鉄株式会社 セラミックス積層体の製造方法およびそれによって製造されたセラミックス積層体

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