JP2000335976A - 窒化珪素質焼結体とその製造方法およびこれを用いた耐摩耗性部材 - Google Patents

窒化珪素質焼結体とその製造方法およびこれを用いた耐摩耗性部材

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JP2000335976A
JP2000335976A JP11150971A JP15097199A JP2000335976A JP 2000335976 A JP2000335976 A JP 2000335976A JP 11150971 A JP11150971 A JP 11150971A JP 15097199 A JP15097199 A JP 15097199A JP 2000335976 A JP2000335976 A JP 2000335976A
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Takehiro Oda
武廣 織田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】寿命が長く信頼性に富んだ窒化珪素質耐摩耗部
材を提供する。 【解決手段】窒化珪素粒子と周期律表第3a族元素(希
土類元素)を含有する粒界相から構成される窒化珪素質
焼結体において、ホウ素を0.002重量%〜1重量%
含有し、希土類元素酸化物の量が1〜30重量%で、か
つ、SiO2:希土類元素酸 化物の重量比が1:0.
3〜1:15であることを特徴とする窒化珪素質焼結体
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化珪素質焼結体
とこれを用いた耐摩耗性部材及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素質焼結体は、高強度で耐摩耗性
や剛性に優れているため構造用機械部品の材料として期
待されており、近年ではこれらの特性を利用してベアリ
ングの転動体であるボールやローラーに使用されてい
る。
【0003】上記窒化珪素質焼結体の焼結に際しては、
上記窒化珪素質焼結体の原材料である窒化珪素に自己焼
結性がないため焼結助剤を添加して焼結を行っている。
上記焼結助剤としては、一般にY2 3 などの周期律表
第3a族元素酸化物(希土類酸化物)や、Al2 3
MgO、CaOなどの酸化物が組み合わされて用いられ
ている。そして、窒化珪素粉末にこれらの焼結助剤を混
合して成形した後、焼結を行うことにより窒化珪素質焼
結体を得ている。上記焼結する方法としては、常圧下で
行う常圧焼結や窒素等による雰囲気加圧焼結などがあ
り、さらに、上記常圧焼結により得られる焼結体におい
ては、焼結体内部の残留気孔を排除するために高温で高
いガス圧力で処理して機械的強度を向上させるために、
HIP(熱間静水圧加圧)処理を行っている。
【0004】特に、軸受材料として用いる場合は、材料
に内在する微少な欠陥(気孔等)が転がり疲労によって
表面で剥離を起こす原因となるため、雰囲気加圧焼結や
HIP処理が用いられている。このようにして得られた
焼結体は、製品として精密加工された後、軸受部品とし
て使用される。
【0005】転動体は、表面ないしはその近傍の表層に
高い応力を受けるために、表面ないしはその近傍の表層
に欠陥が存在しないことが重要であり、軸受部品材料と
して用いる焼結体には、特に、欠陥(気孔、介在物、組
織の異常など)がないことが要求されている。
【0006】さらに、近年はセラミックベアリンクの主
用途である工作機械の高速化、及び、航空機、宇宙産業
への市場展開により、より高温環境化での高負荷用セラ
ミック軸受のニーズが高まっている。また、高速回転の
HDD用としてセラミック軸受のニーズが高まってい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ように期待される窒化珪素質焼結体であるが、得られた
焼結体を光学顕微鏡で観察すると、条件によっては焼結
体のラップ断面に図2(a)に示すような樹脂状白色模
様4が発生し、製品に加工するまでに除去できずに製品
の表面に残る場合がある。図2(b)に示すように、こ
の樹脂状白色模様4は窒化珪素粒子1の粒界相2が欠落
した粒界欠落部5によるものであり、表面に残った樹脂
状白色模様4は、製品表面の蛍光探傷検査において明確
な欠陥指示模様ではないが微弱に発色する。
【0008】特開平6−329472号公報でも、この
ような樹脂状白色模様4を有する窒化珪素質焼結体は、
軸受材料として要求されている転がり寿命に対して、下
記に示すような問題が記載されている。
【0009】上記表面からの深さが1mmを越えると、
該模様を構成している粒界相欠落部5の大きさが0. 3
μmを越える傾向があり、転がり疲労による剥離を起こ
す。また、窒化珪素質焼結体が有する上記模様を構成し
ている上記粒界相欠落部5の集合体の大きさは、0. 3
μm以下であっても使用温度が高い軸受についてはその
粒界相欠落部5が集まり、その群の大きさが0.5mm
以上になると、短時間で転がり疲労による剥離を生じる
という問題がある。
【0010】特開平6−329472号公報の中には、
上記のような問題も示されているが、欠陥サイズを0.
3μm以下の群集であると規定したのみで根本対策には
至っていない。また、特公昭63−46029号公報に
おいては、所定量のタングステン化合物を添加して、焼
結体組織中に所定比のWSi2 を生成させ、高密度、高
強度、かつ、耐熱衝撃性を改善できることについて述べ
られている。しかし、これでも、上記の問題を解決でき
ていなかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題に鑑
み、種々検討した結果、窒化珪素粒子と周期律表第3a
族元素(希土類元素)を含有する粒界相から構成される
窒化珪素質焼結体において、ホウ素を0.002重量%
〜1重量%含有し、希土類元素酸化物の量が1〜30重
量%で、かつSiO2 :希土類元素酸化物の重量比が
1:0.3〜1:15であることにより、機械的特性に
優れた窒化珪素質焼結体を得られることを見出した。
【0012】また、Wの珪化物を結晶粒界に点在させ、
特に、W5 Si3 あるいはWSi2を点在させることに
より、さらに優れた機械的特性を有することを見出し、
本発明に至ったのである。
【0013】即ち、本発明の焼結体は、窒化珪素粒子と
希土類族元素を含有する粒界相から構成される窒化珪素
質焼結体において、ホウ素を0.002重量%〜1重量
%含有し、希土類元素酸化物の量が1〜30重量%で、
かつ、SiO2 :希土類元素酸化物の重量比が1:0.
3〜1:15するものである。
【0014】また、添加成分としてアルミニウム成分を
含み、酸化物換算したアルミニウム:希土類元素酸化物
の重量比が1:0.5〜1:10であることを特徴とす
るものである。
【0015】さらには平均粒径が3μm以下であるタン
グステン珪化物を粒界相として含有することを特徴とす
る。
【0016】かかる焼結体を作製する方法として、窒化
珪素を主成分とし、焼結助剤として希土類酸化粉末、ホ
ウ素化合物および酸化アルミニウム粉末を添加し、さら
に、タングステンをWO3 換算で0.1重量%〜10重
量%の割合で添加した混合物を成形した後、非酸化物雰
囲気中で1600℃〜2000℃の温度で焼成した後、
1600〜800℃の温度域を5時間以内で冷却させる
ことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】まず、本発明は、窒化珪素粒子と希土類元
素を含有する粒界相から構成される窒化珪素質焼結体に
おいて、ホウ素を0.002重量%〜1重量%含有し、
希土類元素酸化物の量が1〜30重量%で、かつ、Si
O2:希土類元素酸化物の重量比が1:0.3〜1:1
5であることを特徴とする。
【0019】焼結助剤としては希土類元素酸化物を用い
ると、焼結助剤を酸化マグネシウムや酸化カルシウムな
どを用いる場合より破壊靭性値が高く転動体としては好
ましい。理由は明確ではないが、粒界相の性質が異なる
ものと思われる。
【0020】特に希土類元素酸化物は焼結助剤として重
要であり、その量は1〜30重量%が望ましい。この範
囲を選んだ理由は、1重量%未満では緻密化させるため
に焼成温度を高温にする必要があるため、機械的特性が
低下する傾向にあるからであり、また、30重量%を越
えると窒化珪素の本来の特性、即ち機械的特性が低下す
る傾向にあるからである。
【0021】なお、本発明に用いられる希土類元素とし
て、Y、Er、Yb、Luが望ましい。これらの元素中
で、白い模様(粒界の脱落した組織)が発生し難くなる
点で特にYb、Er等の重希土類元素が最も望ましい。
【0022】また、窒化珪素質磁器を分析する事によっ
て求めた酸素量から、SiO2 以外の添加した酸化物の
含有する酸素量を差し引き、残りの酸素がSiO2 とな
っていると仮定して計算したときに、SiO2 :希土類
元素酸化物の重量比が1:0.3〜1:15となるよう
にすると、耐摩耗性が良好な窒化珪素質セラミック焼結
体を得ることができる。なお、添加物を酸化物以外の形
態で添加したものは、焼成中に酸化物に変化したものと
して酸化物換算の酸素量を差し引き計算した。
【0023】これは、重量比が1:0.3未満であれ
ば、粒界相がSiO2 に富んだ相を分離して樹脂状白色
模様(粒界の脱落した組織)が発生しやすい傾向にあ
り、また、1:15以上であれば、SiO2 −希土類元
素酸化物の反応による低融点組成から大幅に外れるため
液相生成が十分ではなく、焼結不良が発生して機械的特
性の低い焼結体になる傾向にあるためである。
【0024】なお、SiO2 は窒化珪素原料中に最初か
ら含まれていたものに加え、場合によっては焼結助剤と
して加えても構わないし、製造工程中で原料の酸化等に
よる増加や焼成分解等による減少が生じても構わない。
【0025】次に、ホウ素を0.002重量%〜1重量
%含有することで機械的特性の高い窒化珪素質焼結体と
なる。
【0026】ホウ素として0.002重量%〜1重量%
となるように酸化ホウ素や、ホウ酸、炭化ホウ素などの
ホウ素化合物を添加して焼成すると、ホウ素成分が窒化
ホウ素などの粒子として粒界相や窒化珪素と分離して単
独相を形成することがない。すなわち、粒界相中に溶解
しているものと思われる。その結果、ホウ素が粒界相の
非晶質化を促進し、粒界相の結晶化の際に発生する体積
収縮が生じることがなく、したがって、結晶化による粒
界相の隙間(脱落部)が生じず、樹脂状白色模様が発生
しにくく、機械的特性が向上することを発見した。ホウ
素が、0.002重量%未満であれば、ホウ素添加によ
る明確な特性の向上が無く、また、1重量%を越える
と、焼結を阻害することが確認された。ホウ素は、0.
002重量%〜1重量%、さらには0.003重量%〜
0.2重量%が望ましい含有量である。
【0027】さらに、副成分としてアルミニウム化合
物、好ましくは酸化アルミニウムを添加する方が焼結性
の点で望ましい。好ましい酸化アルミニウム量は、酸化
アルミニウム:希土類元素酸化物の重量比が1:0.5
〜1:10、さらに好ましくは、1:1〜1:5の範囲
に選ばれる。
【0028】その理由は、酸化アルミニウム:希土類元
素酸化物が(1:0.5)以上になると、破壊靭性値が
低下する傾向にある。また、酸化アルミニウム:希土類
元素酸化物が(1:10)以下になると、焼結性が悪く
なり、圧砕荷重が低くなる傾向にある。
【0029】なお、酸化アルミニウムの一部を窒化アル
ミニウムに置き換えても構わないが、窒化アルミニウム
は粒界相の結晶化を助長するので、酸化アルミニウムの
10重量%程度に留めた方がよい。
【0030】本発明によれば、上記の焼結体中に、平均
粒径が3μm以下であるタングステン珪化物を含有させ
ることも重要である。もともと窒化珪素原料中には微量
のFeが不純物として含まれることがある。その結果、
焼成後Feが偏在して破壊源となり、強度低下が生じ、
また耐摩耗性部材として用いたときに、圧砕荷重の低下
と、転がり寿命が短くなる。タングステン珪化物はFe
を固溶する性質を持つため、焼成後のFeの偏在を少な
くし、機械的特性の強度低下を防ぐ。
【0031】本発明で、これらのW珪化物の粒径を3μ
m以下に限定したのは、タングステン珪化物が3μmよ
り大きいと粒界相中での分散が不十分となり、それ自身
が破壊源となり焼結体の強度を低下させてしまい、目的
の強度が得られないためである。
【0032】また、窒化珪素質焼結体中にW5 Si3
WSi2 を生成させるには、平均粒径が3μm以下のW
の珪化物、炭化物、酸化物、窒化物の1種類以上を0.
1〜10.0重量%を添加する。これらのW化合物は焼
成中に窒化珪素やSiO2 と反応し、3μm以下のW5
Si3 やWSi2 を生成する。
【0033】なお、本発明の焼結体においては、W成分
以外に、Ti、Ta、Mo、Nb、V、Mnなどの周期
率第4a、5a、6a族金属や、それらの珪化物、炭化
物、酸化物、窒化物、また、SiCなどの分散粒子やウ
イスカーとして本発明の焼結体に分散させても特性を劣
化させるような影響が少ないことから、これらを周知技
術に基づき、適量添加して複合材料として特性の改善を
行うことも当然可能である。
【0034】さらに、Wの珪化物のうち、W5 Si3
子はWSi2 粒子よりも耐熱性が高いと考えられるため
5 Si3 粒子を含有する場合の方が、転がり寿命が優
れる。W5 Si3 とWSi2 との比率(W5 Si3 /W
Si2 )が0.1以上で構成されるセラミック焼結体が
好適である。好ましくは、上記比率が0.3〜1.5と
するのが望ましい。W5 Si3 /WSi2 比が0.1以
下になると、耐熱性が低下する。
【0035】WSi2 又はW5 Si3 は粒界に単分散
し、外部より応力がかかった際に、応力を緩和する効
果、また、同時に焼結助剤としても効果があり、その結
果、本発明の窒化珪素質焼結体は、破壊靭性が5.6M
Pa√m以上、かつ、Hv10硬度が14.5GPa以
上の高靭性、かつ、高硬度の機械的特性を有することが
できる。
【0036】本発明の窒化珪素質焼結体は、少なくとも
表面より1mm以内の表層部において、窒化珪素粒子間
から欠落した粒界相欠落部の集合である樹枝状白色模様
の大きさが300μm以下であることが重要である。
【0037】白色模様の大きさが300μm以上であれ
ば、転がり疲労による剥離が発生しやすくなるが、粒界
相欠落部の集合である樹枝状白色模様の大きさが300
μm以下、望ましくは、100μm以下、さらに望まし
くは10μm以下であれば、転がり疲労による剥離が生
じないことが判明した。
【0038】さらには、表面より1mm以内の表層部が
重要である理由は、セラミック部品、特に軸受材等の耐
摩耗性部品は表面を研削したり、研削しない場合でも表
面近傍に応力がかかるため、表面より1mmの範囲内が
特に重要であり、粒界相欠落部の集合である樹枝状白色
模様の大きさが300μm以下であることが特に重要で
ある。
【0039】本発明の窒化珪素質焼結体の製造方法を説
明する。
【0040】原料粉末を所定量秤量し、公知の混合方
法、例えば回転ミルや振動ミル、バレルミルでIPAや
メタノール、水等を溶媒として混合する。場合によって
は、溶媒を使わない乾式混合でも構わない。
【0041】できあがった混合粉末を所望の成形手段、
例えば、金型プレス、冷間静水圧プレス、押し出し成
形、射出成形、鋳込み成形等により任意の形状にする。
成型手段によっては、スプレードライ等による造粒や、
水、有機バインダーと共にある一定粘度の杯土を作製す
るなどの準備も必要であるが、通常のセラッミクスの成
形手順に従えばよい。
【0042】成形後、乾燥、脱脂が必要な場合、窒素中
や真空中、大気中で、50℃〜1400℃の温度で加熱
処理する。
【0043】焼成は、窒素を含有した非酸化物雰囲気中
で1600℃〜2000℃で行う。1800℃以上で焼
成を行う場合は、窒化珪素の分解が生じるので、1気圧
以上の窒素分圧下で焼成する必要がある。さらにこれら
の焼成後、熱間静水圧焼成(HIP)等で焼成すること
によりより緻密な焼結体を得る。焼成温度は、高すぎる
と主相である窒化珪素結晶が粒成長し強度が低下するた
め、1650〜1850℃で行うことが望ましい。ま
た、HIP温度は1500〜1750℃が望ましい。ま
た、成形体をガラス浴HIP法で焼成すると低温短時間
で緻密な焼結体が作製できるので、特に高強度を必要と
するセラミック部品や、耐摩耗性部品には好適である。
【0044】粒界相欠落部は、粒界相が結晶化すること
により生じる体積収縮に起因するものであるので、焼成
後の冷却速度は速いほうが良く、特に1600〜800
℃の温度領域を3時間、望ましくは1時間、さらに望ま
しくは30分以内で冷却させる方がよい。
【0045】また、本発明品は、ホウ素を含有している
ので、粒界相のガラス化が促進され、焼成時に大量に製
品を投入しても、粒界相の結晶化が生じにくくなり、粒
界相欠落部の集合である樹脂状白色模様の発生は無い。
【0046】この焼成により窒化珪素は、原料がα、β
のいずれの場合においても最終的にはβ−窒化珪素主結
晶相と粒界相を含む焼結体が得られる。特に希土類元素
酸化物、酸化アルミニウムを焼結助剤として用いた場合
は、希土類元素、アルミニウム、ホウ素、酸素および窒
素を含む粒界相からなり、図1に示すように窒化珪素粒
子1の粒界相2に、平均粒径が3μm以下であるW5
3 あるいはW5 Si3 +WSi2 からなるタングステ
ン珪化物粒子3をを含有した焼結体を得ることができ
る。
【0047】さらに、WSi2 又はW5 Si3 は粒界内
に分散し、外部より応力がかかった際に、応力を緩和す
る効果、また、同時に焼結助剤としても効果があり、そ
の結果、高破壊靭性、かつ、高硬度の機械的特性を有す
ることができる。
【0048】以上のように、本発明による窒化珪素質焼
結体は、優れた機械的特性を有する結果、高信頼性であ
り、研削代が少なく、かつ高破壊靭性、高硬度である窒
化珪素質焼結体を得ることが可能となる。
【0049】以上の本発明の窒化珪素質焼結体は種々の
セラミックス部品、特に、ベアリングの転動体であるボ
ールや、ピストンピン、ローラーピン、ロッカーアーム
チップ、ローラーブッシュ、カムローラー、バルブ等の
耐摩耗性エンジン部品、切削工具等、あるいは軸受部品
やその他の耐摩耗性が要求される各種産業機械用部品な
どの耐摩耗製部品に広く使用する事が可能である。
【0050】
【実施例】実施例 1 以下、実施例を説明する。
【0051】まず窒化珪素粉末(BET比表面積9m2
/g)粉末に表1に示す焼結助剤を所定量添加し、イソ
プロピルアルコールとともにバレルミルで40Hr混合
した。混合後#500メッシュを通してスラリーから異
物を除去後、乾燥した。この混合粉末に水、ホウ酸、有
機バインダーを加え、20Hr混合後、スプレードライ
により原料顆粒を得た。この原料顆粒を用いて、プレス
成形により球状成形体及び0.8ton/cm2 の圧力
で強度測定用の試験片を作製した。球状成形体は、0.
8ton/cm2 の圧力のCIPにより成形体密度を均
一化させた。
【0052】次にこの成形体をN2 気流中および大気中
で脱脂後、1750〜1850℃で窒素雰囲気の下、相
対比重99%以上まで緻密化させた。さらに、2000
気圧の加圧下にて1600℃でHIP処理を施し、16
00〜800℃までの冷却時間を3時間として直径3/
8インチの本発明球状セラミックス焼結体および強度測
定用試験片を得た。
【0053】得られた焼結体を以下のように分析、評価
した。
【0054】磁器の組成分析は、ICP発光分析法によ
り各金属成分とホウ素を、また別途磁器中の酸素量を定
量し、希土類元素、不可避不純物元素についてはこれら
を酸化物換算して酸素量を差し引き、残りの酸素がSi
2 とみなして、SiO2 量を換算した。
【0055】粒界相欠落部の集合体である樹枝状白色模
様のサイズは、焼結体を研削し1μmのダイヤモンドペ
ーストで鏡面研磨した面について、光学顕微鏡100倍
で測定した。
【0056】粒界相の非晶質化の判断は、焼結体を粉砕
した粉末のX線回折により判断し、さらに同一ロットの
球状セラミックス体を20μmに薄片加工し、偏光顕微
鏡によって非晶質化の確認を行った。
【0057】構成相は、上記粉末X線回折と、また、上
記の1μmのダイヤモンドペーストで鏡面研磨した面の
SEM観察にて決定した。
【0058】強度測定は、3×4×35mmの形状に加
工した試験片をJIS R1601に準じた四点曲げ試
験にて行った。HV10硬度の測定は、サンプル表面を
1μmのダイヤモンドペーストを用いて鏡面研磨した
後、JIS B7725に準じて測定した。破壊靭性値
はJIS R1607に準じた。
【0059】球状セラミックスの圧砕荷重は、同じ寸法
の2個の球を重ねて圧縮荷重を加えるもので、JIS−
B−1501に準じ、インストロン万能試験機によりク
ロスヘッドスピード5mm/分で測定した。
【0060】寿命(転がり疲労試験)はスラスト型軸受
試験機を用いて、SUJ板上で3個のセラミックス製ボ
ールを荷重400kg回転数1200rpmで回転させ
試験した。
【0061】これらの評価結果を表1にまとめた。
【0062】表1から明らかなように、窒化珪素粒子と
希土類元素を含有する粒界相から構成される窒化珪素質
焼結体において、ホウ素を0.002重量%〜1重量%
含有し、希土類元素の量が酸化物換算で1〜30重量%
で、かつ、SiO2 :希土類元素酸化物の重量比が1:
0.3〜1:15である試料2、3、5、7〜11、1
3、15は、粒界相欠落部の集合である樹枝状白色模様
が300μm以下であって、機械的特性に優れていた。
【0063】また、同じ重量比の希土類元素酸化物を添
加した試料2、3、9、15において、Er、Ybを使
用した試料3、9は強度、転がり寿命が特に優れてい
た。
【0064】
【表1】
【0065】実施例 2 実施例1と同様の手法を用いて、焼結体を作製した。添
加成分として酸化アルミニウムを所定量添加した。焼成
温度、HIP温度、冷却時間は表2に示した。
【0066】得られた焼結体を実施例1と同様の手法に
より評価した。これらの評価結果を表2にまとめた。
【0067】表2から判るように1750℃で焼成した
試料1〜11において、酸化アルミニウム:希土類酸化
物が(1:10)以下の試料1、3、5は焼結不足であ
った、酸化アルミニウム:希土類酸化物が1:0.5〜
1:10の試料2、4、6〜10は、焼結性に優れてお
り、かつ、粒界相が非晶質であり、粒界相欠落部の集合
である樹枝状白色模様が300μm以下であり、優れた
機械的特性を有していた。
【0068】
【表2】
【0069】実施例 3 実施例1と同様の手法を用いて、焼結体を作製した。タ
ングステン珪化物生成のため酸化タングステンを所定量
添加した。焼成温度、HIP温度、冷却時間は表3に示
した。
【0070】得られた焼結体を実施例1〜2と同様の手
法により評価した。
【0071】タングステン珪化物については、W5 Si
3 及びWSi2 の生成量を、粉末X線回折の強度比を用
いて下記式で表した。
【0072】 W5化合物生成率(%)=W5生成率/W2生成率 ここで、 W2生成率=W2/βSN×100 W5生成率=W5/βSN×100 W2:WSi2 の(101)面+(103)面のX線強
度 W5:W5 Si3 の(411)面+(321)面のX線
強度 βSN:β相窒化珪素の(210)面のX線強度 表3から明らかなように、平均粒径3μm以下のタング
ステン珪化物を含む試料2、4、5、7〜14は強度、
圧砕荷重が高く、転がり疲労に優れている。さらには、
5 Si3 とWSi2 の両方を含有し、両者の比率(W
5 Si3 /WSi2 )が0.1以上である試料9〜14
はより高特性である。
【0073】また、破壊靭性値が5.2MPa√m以
上、かつ、Hv10硬度が14.5以上である試料2、
4、5、7〜14は圧砕荷重が高く、転がり疲労に優
れ、耐摩耗性部材として良好である。
【0074】
【表3】
【0075】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、窒
化珪素粒子と周期律表第3a族元素を含有する粒界相か
ら構成され、ホウ素を0.002重量%〜1重量%含有
することによって、高い機械的特性を有する窒化珪素質
焼結体を得ることができ、これを用いることによって長
寿命の耐摩耗性部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の窒化珪素質焼結体の結晶構造を示した
模式図である。
【図2】(a)は従来の窒化珪素質耐磨耗性部材におけ
る粒界相欠落部の集合である樹枝上白色模様を示す模式
図、(b)は(a)の樹枝上白色模様を構成する粒界相
欠落部の結晶構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1;窒化珪素粒子 2;粒界相 3;タングステン珪化物粒子 4;樹枝上白色模様 5;粒界相欠落部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化珪素粒子と周期律表第3a族元素を含
    有する粒界相から構成される窒化珪素質焼結体におい
    て、ホウ素を0.002重量%〜1重量%含有し、周期
    律表第3a族元素の量が酸化物換算で1〜30重量%
    で、かつ、SiO2 :周期律表第3a族酸化物の重量比
    が1:0.3〜1:15であることを特徴とする窒化珪
    素質焼結体。
  2. 【請求項2】添加成分としてアルミニウム成分を含み、
    酸化物換算したアルミニウム:周期律表第3a族酸化物
    の重量比が1:0.5〜1:10であることを特徴とす
    る請求項1記載の窒化珪素質焼結体。
  3. 【請求項3】粒界相中に平均粒径が3μm以下のタング
    ステン珪化物が分散していることを特徴とする請求項1
    又は2記載の窒化珪素質焼結体。
  4. 【請求項4】上記タングステン珪化物がW5 Si3 とW
    Si2 であり、W5Si3 /WSi2 の比率が0.1以
    上であることを特徴とする請求項3記載の窒化珪素質焼
    結体。
  5. 【請求項5】破壊靭性(JIS R1607)が5.2
    MPa√m以上、かつHV10硬度(JIS B772
    5)が14.5GPa以上であることを特徴とする請求
    項1〜4記載の窒化珪素質焼結体。
  6. 【請求項6】少なくとも表面より1mm以内の表層部に
    おいて、窒化珪素粒子間から欠落した粒界相欠落部の集
    合である樹枝状白色模様の大きさが300μm以下であ
    ることを特徴とする請求項1〜5記載の窒化珪素質焼結
    体。
  7. 【請求項7】窒化珪素を主成分とし、周期律表第3a族
    元素酸化物とホウ素化合物を含む原料粉末を成形し、非
    酸化雰囲気中で1600〜2000℃の温度で焼成した
    後、1600〜800℃の温度域を3時間以内で冷却さ
    せることを特徴とする窒化珪素質焼結体の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜6記載の窒化珪素質焼結体から
    なることを特徴とする耐摩耗性部材。
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