JP2011132126A - 耐摩耗性部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐摩耗性部材は、窒化ケイ素粉末に、希土類化合物を酸化物に換算して0.5〜10質量%、チタン化合物を窒化チタンに換算して0.1〜5質量%、酸化アルミニウムを0.1〜5質量%、および窒化アルミニウムを5質量%以下の範囲で添加した混合原料粉末を成形、焼結してなる窒化ケイ素焼結体を具備する。該窒化ケイ素焼結体は、長軸径が1μm以下の窒化チタン粒子を0.2〜5質量%含有する。該窒化チタン粒子は、アスペクト比が1.0〜1.2の範囲の粒子を80%以上含む。該窒化ケイ素焼結体は気孔率が0.5%以下である。
【選択図】なし
Description
本発明の耐摩耗性部材は、窒化ケイ素を75〜97質量%、長軸径1μm以下の窒化チタン粒子を0.2〜5質量%、およびSi−R−Al−O−N化合物(Rは希土類元素)を主として含む粒界相を2〜20質量%の範囲で含有する窒化ケイ素焼結体からなる。ここで、本発明で言う窒化ケイ素焼結体とは、窒化ケイ素を主成分とする焼結体であり、窒化ケイ素を75〜97質量%の範囲で含有するものである。
酸素含有量が1.3質量%、α相型窒化ケイ素を97重量%含む、平均粒子径が0.55μmのSi3N4(窒化ケイ素)原料粉末87.5質量%に、焼結助剤として平均粒子径が0.9μmのY2O3(酸化イットリウム)粉末を5質量%、平均粒子径が0.7μmのAl2O3(アルミナ)粉末を3質量%、平均粒子径が1.0μmのAlN(窒化アルミニウム)粉末を3質量%添加した。さらに、平均粒子径が0.3μmのTiO2(酸化チタン)粉末を窒化チタン換算で1.5質量%添加した。TiO2粉末は30分間隔で3回に分けて添加した。これらをエチルアルコール中で窒化ケイ素ボールを用いて72時間湿式混合した後に乾燥して原料混合物を調製した。
比較例1としてTiO2を添加しない以外は、実施例1と同一条件で窒化ケイ素焼結体を作製した。比較例2については、平均粒子径が2μmのTiO2粉末を使用する以外は実施例1と同一条件で窒化ケイ素焼結体を作製した。比較例3については、酸素含有量が1.7質量%、α相型窒化ケイ素を91重量%含み、平均粒子径が1.5μmのSi3N4(窒化ケイ素)原料粉末を使用すると共に、TiO2粉末を一度に全部添加する以外は実施例1と同一条件で窒化ケイ素焼結体を作製した。
実施例1と同様に調製した調合造粒粉を使用し、金型で球形に予備成形した後、98MPaの成形圧でラバープレスを行い、圧砕強度および転がり寿命測定用サンプルとして直径11mmの球状成形体を多数製作した。この成形体を実施例1と同一条件で脱脂、熱処理(保持処理)、焼結、HIP処理を実施し、緻密な焼結体を得た。次に、HIP処理後の焼結体を直径が9.52mm、表面粗さがRaで0.01μmのボールに研磨加工して、ベアリングボールとして使用可能な窒化ケイ素製耐摩耗性部材を作製した。表面粗さRaは触針式表面粗さ測定器によりボールの赤道上を測定して求めた中心線平均粗さである。
比較例4として比較例1で調製した調合造粒粉を使用する以外は、実施例2と同一条件で窒化ケイ素製ボールを作製した。同様に、比較例5として比較例2で調製した調合造粒粉、比較例6として比較例3で調製した調合造粒粉をそれぞれ使用する以外は、実施例2と同一条件でそれぞれ窒化ケイ素ボールを作製した。
実施例3〜16、参考例1〜9として、実施例1で使用した窒化ケイ素原料粉末、Y2O3粉末、Al2O3粉末、AlN粉末、TiO2粉末、さらに表3に示す平均粒子径が0.9〜1.0μmの各種希土類酸化物粉末、平均粒子径が0.5μmのMgO粉末、平均粒子径が0.4〜0.5μmの各種チタン化合物粉末を、それぞれ表3に示す組成比となるように調合して原料混合物を調製した。TiO2粉末および各種チタン化合物粉末は、窒化チタンに換算した量で示している。また、これらは30分毎に3回に分けて添加、混合した。
実施例3〜16、参考例1〜9と同様の原料混合物を用いると共に、実施例3〜16、参考例1〜9と同一条件で熱処理、焼結およびHIP処理を行う以外は実施例2と同様にして、実施例17〜30、参考例11〜19に係わるベアリングボール用窒化ケイ素焼結体を作製した。
Claims (15)
- 窒化ケイ素粉末に、希土類化合物を酸化物に換算して0.5〜10質量%、チタン化合物を窒化チタンに換算して0.1〜5質量%、酸化アルミニウムを0.1〜5質量%、および窒化アルミニウムを5質量%以下の範囲で添加した混合原料粉末を成形、焼結してなる窒化ケイ素焼結体を具備し、長軸径が1μm以下の窒化チタン粒子を0.2〜5質量%、前記窒化チタン粒子は、アスペクト比が1.0〜1.2の範囲の粒子を80%以上含み、前記窒化ケイ素焼結体は気孔率が0.5%以下であることを特徴とする耐摩耗性部材。
- 請求項1記載の耐摩耗性部材において、
前記窒化チタン粒子は、前記窒化ケイ素焼結体中に単独で粒子分散していることを特徴とする耐摩耗性部材。 - 請求項1記載の耐摩耗性部材において、
前記窒化チタンは、前記窒化ケイ素および前記粒界相に固溶していないことを特徴とする耐摩耗性部材。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の耐摩耗性部材において、
前記窒化チタン粒子は、前記粒界相中に分散していることを特徴とする耐摩耗性部材。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の耐摩耗性部材において、
前記窒化チタン粒子は、長軸径と短軸径の差が0.2μm以下であることを特徴とする耐摩耗性部材。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の耐摩耗性部材において、
前記窒化チタン粒子は、丸みを帯びた形状を有することを特徴とする耐摩耗性部材。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の耐摩耗性部材において、
前記窒化ケイ素焼結体は、最大気孔径が2μm以下であることを特徴とする耐摩耗性部材。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載の耐摩耗性部材において、
前記窒化ケイ素焼結体は、3点曲げ強度が1000MPa以上で、かつ破壊靭性値が6.5MPa・m1/2以上であることを特徴とする耐摩耗性部材。 - 請求項1ないし請求項8のいずれか1項記載の耐摩耗性部材において、
スラスト型軸受試験機を用いて、相手材がJIS G−4805で規定するSUJ2鋼球、荷重39.2MPa、回転数1200rpmの条件下で、前記耐摩耗性部材の表面が剥離するまでの転がり寿命を測定したとき、前記耐摩耗性部材は繰り返し回数で1×108回以上の転がり寿命を有することを特徴とする耐摩耗性部材。 - 請求項1ないし請求項9のいずれか1項記載の耐摩耗性部材において、
前記耐摩耗性部材はボール材を具備することを特徴とする耐摩耗性部材。 - 請求項10記載の耐摩耗性部材において、
前記ボール材は、圧砕強度が200MPa以上で、かつ破壊靭性値が6.5MPa・m1/2以上であることを特徴とする耐摩耗性部材。 - 請求項11載の耐摩耗性部材において、
スラスト型軸受試験機を用いて、相手材がJIS G−4805で規定するSUJ2鋼板、一球当りの最大接触応力5.9GPa、回転数1200rpmの条件下で、前記ボール材の表面が剥離するまでの転がり寿命を測定したとき、前記ボール材は400時間以上の転がり寿命を有することを特徴とする耐摩耗性部材。 - 請求項1ないし請求項12のいずれか1項記載の耐摩耗性部材において、
前記粒界相は、希土類元素を酸化物に換算して0.5〜10質量%、酸化アルミニウムを0.1〜5質量%、窒化アルミニウムを5質量%以下の範囲で含むことを特徴とする耐摩耗性部材。 - 請求項1ないし請求項13のいずれか1項記載の耐摩耗性部材において、
前記窒化ケイ素焼結体は、マグネシウム、ジルコニウム、ハフニウムおよびタングステンから選ばれる少なくとも1種の化合物を酸化物に換算して0.1〜5質量%の範囲で含有することを特徴とする耐摩耗性部材。 - 請求項1ないし請求項14のいずれか1項記載の耐摩耗性部材において、
前記耐摩耗性部材は転がり軸受部材であることを特徴とする耐摩耗性部材。
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