JPH06145910A - 現地加工性に優れたボイラー用合金 - Google Patents
現地加工性に優れたボイラー用合金Info
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- JPH06145910A JPH06145910A JP29621092A JP29621092A JPH06145910A JP H06145910 A JPH06145910 A JP H06145910A JP 29621092 A JP29621092 A JP 29621092A JP 29621092 A JP29621092 A JP 29621092A JP H06145910 A JPH06145910 A JP H06145910A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は溶融塩腐食環境に対して優れた抵抗
性を示し、かつ現地加工性に優れたボイラー用合金を提
供する。 【構成】 Ca、Co、Ni、Crに加えてMo、Wの
1種または2種を含有し、必要に応じてHfまたはZr
の1種または2種もしくはY、La、Ceのうち1種ま
たは2種以上を含有するか、あるいはHfまたはZrの
1種または2種とY、La、Ceの1種または2種以上
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、か
つ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足することを特徴とする現地加工性に優れた
ボイラー用合金。
性を示し、かつ現地加工性に優れたボイラー用合金を提
供する。 【構成】 Ca、Co、Ni、Crに加えてMo、Wの
1種または2種を含有し、必要に応じてHfまたはZr
の1種または2種もしくはY、La、Ceのうち1種ま
たは2種以上を含有するか、あるいはHfまたはZrの
1種または2種とY、La、Ceの1種または2種以上
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、か
つ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足することを特徴とする現地加工性に優れた
ボイラー用合金。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石炭焚きボイラーにお
いて使用される鋼管、特に溶融塩腐食環境で優れた抵抗
性を示し、かつ現地加工性に優れたボイラー用合金に関
する。
いて使用される鋼管、特に溶融塩腐食環境で優れた抵抗
性を示し、かつ現地加工性に優れたボイラー用合金に関
する。
【0002】
【従来の技術】燃料燃焼ボイラー、流動床反応器、石炭
のガス化、液化装置等に代表される高温エネルギー装置
は最近のエネルギー事情を反映して石炭利用技術として
注目されている。例えば、燃料燃焼ボイラーにあって
は、従来は石油利用が主体であったが、今日では代替エ
ネルギー利用の必要性が認識された結果、石炭利用が増
大する傾向となっている。
のガス化、液化装置等に代表される高温エネルギー装置
は最近のエネルギー事情を反映して石炭利用技術として
注目されている。例えば、燃料燃焼ボイラーにあって
は、従来は石油利用が主体であったが、今日では代替エ
ネルギー利用の必要性が認識された結果、石炭利用が増
大する傾向となっている。
【0003】しかし、かかる高温エネルギー装置にあっ
ても装置設計は石油利用の時の設計思想により行われて
おり、石炭利用となった時の問題点は十分には解決され
ていない。例えば、石炭火力ボイラーにおいても従来の
石油火力ボイラーと同様の材料構成にて製作されてい
る。ところが、石炭火力ボイラーにおいては石油火力ボ
イラーとは異なり、ボイラー内部で固形のアッシュ分が
クリンカとなって落下したり溶融状態でフライアッシュ
として燃焼ガス流中に浮遊していたりするため、高温溶
融塩による著しい損傷を受ける。このような問題点は当
業者にもよく認識されているが、その解決策はまだ明ら
かではなく、材料的な対策も殆どなく、経験的な設計上
の対応、例えば流速の低減、プロテクターの取り付け等
の対策が行われているにすぎない。しかし、設計的な対
処をもってしても、流速を制限した場合にも予想以上に
流速の早い偏流部ができたり、またプロテクターを用い
た場合にもプロテクター自身の損傷が早く、実際上効果
のない場合が多くある。
ても装置設計は石油利用の時の設計思想により行われて
おり、石炭利用となった時の問題点は十分には解決され
ていない。例えば、石炭火力ボイラーにおいても従来の
石油火力ボイラーと同様の材料構成にて製作されてい
る。ところが、石炭火力ボイラーにおいては石油火力ボ
イラーとは異なり、ボイラー内部で固形のアッシュ分が
クリンカとなって落下したり溶融状態でフライアッシュ
として燃焼ガス流中に浮遊していたりするため、高温溶
融塩による著しい損傷を受ける。このような問題点は当
業者にもよく認識されているが、その解決策はまだ明ら
かではなく、材料的な対策も殆どなく、経験的な設計上
の対応、例えば流速の低減、プロテクターの取り付け等
の対策が行われているにすぎない。しかし、設計的な対
処をもってしても、流速を制限した場合にも予想以上に
流速の早い偏流部ができたり、またプロテクターを用い
た場合にもプロテクター自身の損傷が早く、実際上効果
のない場合が多くある。
【0004】また、材料の観点からボイラーチューブと
しては、SUS304鋼、同じく321、347、31
6鋼等の18−8系オーステナイト系ステンレス鋼が、
さらにはインコロイ800、SUS310等の合金が用
いられる。さらに一般の高温用部材としては、各種の高
温用オーステナイト系ステンレス鋼が用いられている
が、これらはいずれも耐溶融塩腐食を考慮したものでは
なく、石油火力ボイラー等での経験をもとに使用されて
いるにすぎない。
しては、SUS304鋼、同じく321、347、31
6鋼等の18−8系オーステナイト系ステンレス鋼が、
さらにはインコロイ800、SUS310等の合金が用
いられる。さらに一般の高温用部材としては、各種の高
温用オーステナイト系ステンレス鋼が用いられている
が、これらはいずれも耐溶融塩腐食を考慮したものでは
なく、石油火力ボイラー等での経験をもとに使用されて
いるにすぎない。
【0005】すでに述べたように、溶融塩腐食を防止す
る材料的対策は殆どないのが現状であるが、材料的対策
があれば、逆に装置設計に余裕が生じ、装置の小型化、
熱効率の向上などの利益も期待できる。しかし、耐食性
に優れていてもボイラー鋼管のように現地での曲げ加工
が多く行われる材料では現地での曲げ加工性が大きな問
題となる。
る材料的対策は殆どないのが現状であるが、材料的対策
があれば、逆に装置設計に余裕が生じ、装置の小型化、
熱効率の向上などの利益も期待できる。しかし、耐食性
に優れていてもボイラー鋼管のように現地での曲げ加工
が多く行われる材料では現地での曲げ加工性が大きな問
題となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的とすると
ころは、石炭火力ボイラーにみられるような溶融塩腐食
に対する高い抵抗性を有し、かつ現地加工性に優れた材
料を提供することにある。
ころは、石炭火力ボイラーにみられるような溶融塩腐食
に対する高い抵抗性を有し、かつ現地加工性に優れた材
料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記のとおりである。 (1) 重量%で、C:0.1%以下、Si:2.5%
以下、Mn:1.0%以下、P:0.03%以下、S:
0.005%以下、Ca:0.01〜0.08%、C
o:25〜40%、Cr:12〜18%、Ni:10〜
40%を含有し、Mo:2〜4%、W:8%以下の1種
または2種を含有し、残りがFeと不可避不純物からな
る組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足することを特徴とする現地加工性に優れた
ボイラー用合金。
ろは下記のとおりである。 (1) 重量%で、C:0.1%以下、Si:2.5%
以下、Mn:1.0%以下、P:0.03%以下、S:
0.005%以下、Ca:0.01〜0.08%、C
o:25〜40%、Cr:12〜18%、Ni:10〜
40%を含有し、Mo:2〜4%、W:8%以下の1種
または2種を含有し、残りがFeと不可避不純物からな
る組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足することを特徴とする現地加工性に優れた
ボイラー用合金。
【0008】(2) 重量%で、C:0.1%以下、S
i:2.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.03
%以下、S:0.005%以下、Ca:0.01〜0.
08%、Co:25〜40%、Cr:12〜18%、N
i:10〜40%を含有し、Mo:2〜4%、W:8%
以下の1種または2種を含有し、さらにHf:0.2%
以下、Zr:0.2%以下のうちの1種または2種を含
有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成を有し、
かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足することを特徴とする現地加工性に優れた
ボイラー用合金。
i:2.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.03
%以下、S:0.005%以下、Ca:0.01〜0.
08%、Co:25〜40%、Cr:12〜18%、N
i:10〜40%を含有し、Mo:2〜4%、W:8%
以下の1種または2種を含有し、さらにHf:0.2%
以下、Zr:0.2%以下のうちの1種または2種を含
有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成を有し、
かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足することを特徴とする現地加工性に優れた
ボイラー用合金。
【0009】(3) 重量%で、C:0.1%以下、S
i:2.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.03
%以下、S:0.005%以下、Ca:0.01〜0.
08%、Co:25〜40%、Cr:12〜18%、N
i:10〜40%を含有し、Mo:2〜4%、W:8%
以下の1種または2種を含有し、さらにY:0.1%以
下、La:0.1%以下、Ce:0.1%以下のうちの
1種または2種以上を含有し、残りがFeと不可避不純
物からなる組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足することを特徴とする現地加工性に優れた
ボイラー用合金。
i:2.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.03
%以下、S:0.005%以下、Ca:0.01〜0.
08%、Co:25〜40%、Cr:12〜18%、N
i:10〜40%を含有し、Mo:2〜4%、W:8%
以下の1種または2種を含有し、さらにY:0.1%以
下、La:0.1%以下、Ce:0.1%以下のうちの
1種または2種以上を含有し、残りがFeと不可避不純
物からなる組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足することを特徴とする現地加工性に優れた
ボイラー用合金。
【0010】(4) 重量%で、C:0.1%以下、S
i:2.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.03
%以下、S:0.005%以下、Ca:0.01〜0.
08%、Co:25〜40%、Cr:12〜18%、N
i:10〜40%を含有し、Mo:2〜4%、W:8%
以下の1種または2種を含有し、Hf:0.2%以下、
Zr:0.2%以下のうちの1種または2種とY:0.
1%以下、La:0.1%以下、Ce:0.1%以下の
うちの1種または2種以上を含有し、残りがFeと不可
避不純物からなる組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足することを特徴とする現地加工性に優れた
ボイラー用合金。
i:2.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.03
%以下、S:0.005%以下、Ca:0.01〜0.
08%、Co:25〜40%、Cr:12〜18%、N
i:10〜40%を含有し、Mo:2〜4%、W:8%
以下の1種または2種を含有し、Hf:0.2%以下、
Zr:0.2%以下のうちの1種または2種とY:0.
1%以下、La:0.1%以下、Ce:0.1%以下の
うちの1種または2種以上を含有し、残りがFeと不可
避不純物からなる組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足することを特徴とする現地加工性に優れた
ボイラー用合金。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
【作用】最初に本発明において各成分範囲を前記の如く
限定した理由を述べる。Cは0.1%を超えると加工性
が劣化することおよび粒界腐食割れが発生しやすくなる
ので、上限値を0.1%と定めた。Siは脱酸成分とし
て必要な成分であるが、その含有量が2.5%を超える
と熱間加工性が劣化するので、上限値を2.5%と定め
た。
限定した理由を述べる。Cは0.1%を超えると加工性
が劣化することおよび粒界腐食割れが発生しやすくなる
ので、上限値を0.1%と定めた。Siは脱酸成分とし
て必要な成分であるが、その含有量が2.5%を超える
と熱間加工性が劣化するので、上限値を2.5%と定め
た。
【0013】MnはSiと同様に脱酸作用があるが、過
剰に添加すると脆化するので、その上限値を1.0%と
定めた。Pは不可避不純物であるが、その含有量が0.
03%を超えると粒界偏析が著しくなることから、上限
値を0.03%と定めた。Sは不可避不純物であるが、
その含有量が0.005%を超えると熱間加工性が著し
く劣化し、製造不能となるので、上限値を0.005%
と定めた。
剰に添加すると脆化するので、その上限値を1.0%と
定めた。Pは不可避不純物であるが、その含有量が0.
03%を超えると粒界偏析が著しくなることから、上限
値を0.03%と定めた。Sは不可避不純物であるが、
その含有量が0.005%を超えると熱間加工性が著し
く劣化し、製造不能となるので、上限値を0.005%
と定めた。
【0014】Caは脱酸材としての効用は言うまでもな
いが、不純物元素であるSとCaSを生成し、CaSを
核としてフェライト変態を促進し、結果として硬度の比
較的低い材料を得ることが可能となる。しかし、その添
加量が0.01%未満ではCaSを生成せず、下限値を
0.01%とする必要がある。一方、0.08%を超え
て添加してもその効果は飽和するので上限値を0.08
%とした。
いが、不純物元素であるSとCaSを生成し、CaSを
核としてフェライト変態を促進し、結果として硬度の比
較的低い材料を得ることが可能となる。しかし、その添
加量が0.01%未満ではCaSを生成せず、下限値を
0.01%とする必要がある。一方、0.08%を超え
て添加してもその効果は飽和するので上限値を0.08
%とした。
【0015】Co、Ni、Cr、MoおよびWは耐溶融
塩腐食性および耐食性を改善するが、各元素を単独で添
加しただけではそれらの効果は現れず、複合添加によっ
てのみ効果が発揮される。そこで、本発明者らは実ボイ
ラーの操業条件を想定し、500℃の高温ボイラー環境
で耐溶融塩腐食性に優れた材料を得るべく研究を行った
結果、(1) Co、NiおよびCr量が 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 および(2) Ni、Cr、Co、Mo、W量が 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足する場合には、下記の添加量で最も効果的
に合金元素の有する特性を発揮することが明らかとなっ
た。
塩腐食性および耐食性を改善するが、各元素を単独で添
加しただけではそれらの効果は現れず、複合添加によっ
てのみ効果が発揮される。そこで、本発明者らは実ボイ
ラーの操業条件を想定し、500℃の高温ボイラー環境
で耐溶融塩腐食性に優れた材料を得るべく研究を行った
結果、(1) Co、NiおよびCr量が 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 および(2) Ni、Cr、Co、Mo、W量が 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足する場合には、下記の添加量で最も効果的
に合金元素の有する特性を発揮することが明らかとなっ
た。
【0016】CoはNi、Cr、MoおよびWとの共存
で耐溶融塩腐食性を向上させる元素であるが、500℃
での使用にはその含有量が25%未満では著しい効果は
なく、所望の耐溶融塩腐食性を得るには他の合金元素量
を増加させる必要があり、経済的に不利であるから、下
限値を25%と定めた。一方、その含有量が40%を超
えると耐溶融塩腐食性向上の効果が低下することから、
上限値を40%と定めた。
で耐溶融塩腐食性を向上させる元素であるが、500℃
での使用にはその含有量が25%未満では著しい効果は
なく、所望の耐溶融塩腐食性を得るには他の合金元素量
を増加させる必要があり、経済的に不利であるから、下
限値を25%と定めた。一方、その含有量が40%を超
えると耐溶融塩腐食性向上の効果が低下することから、
上限値を40%と定めた。
【0017】Niは耐食性を改善させる効果があるが、
10%未満ではその効果はなく、所望の耐食性を得るに
は他の合金元素量を増加させる必要があり、経済的でな
いことから、その下限値を10%と定めた。一方、40
%を超えても効果の一段の向上は認められず、経済性を
考慮して、その上限値を40%とした。CrはNi、M
o、Wとの共存で著しく耐食性を改善する元素である
が、12%未満の添加では著しい効果は得られず、一方
18%を超えて添加しても効果の一段の向上は認められ
ないことから、その上限値を18%とした。
10%未満ではその効果はなく、所望の耐食性を得るに
は他の合金元素量を増加させる必要があり、経済的でな
いことから、その下限値を10%と定めた。一方、40
%を超えても効果の一段の向上は認められず、経済性を
考慮して、その上限値を40%とした。CrはNi、M
o、Wとの共存で著しく耐食性を改善する元素である
が、12%未満の添加では著しい効果は得られず、一方
18%を超えて添加しても効果の一段の向上は認められ
ないことから、その上限値を18%とした。
【0018】MoはCoとともに耐溶融塩腐食性を向上
させ、特に硬度の上昇から耐溶融塩腐食性を向上させる
作用がある。しかし2%未満では硬度が十分でなく、一
方4%を超えて添加しても硬度が上昇し過ぎて加工性が
劣化するので、その添加範囲を2〜4%とした。WもM
oと同様に硬度上昇によって耐溶融塩腐食性を改善する
が、8%を超えて添加しても効果の一段の向上はない
上、加工性が劣化するので、その上限値を8%とした。
させ、特に硬度の上昇から耐溶融塩腐食性を向上させる
作用がある。しかし2%未満では硬度が十分でなく、一
方4%を超えて添加しても硬度が上昇し過ぎて加工性が
劣化するので、その添加範囲を2〜4%とした。WもM
oと同様に硬度上昇によって耐溶融塩腐食性を改善する
が、8%を超えて添加しても効果の一段の向上はない
上、加工性が劣化するので、その上限値を8%とした。
【0019】Hfは微量の添加でも高温での強度を改善
することから、その上限値を0.2%と定めた。Zrは
脱酸元素として作用するが、その添加量が0.2%を超
えても効果の一段の向上は認められないので、上限値を
0.2%と定めた。Y、LaおよびCeは熱間加工性を
さらに改善する作用があるので、きびしい条件で熱間加
工が行われる場合には必要に応じて添加されるが、どの
元素も0.1%を超えて添加しても効果の一段の向上は
認められず、むしろ劣化現象さえ現れるので、含有量を
それぞれ0.1%以下とした。
することから、その上限値を0.2%と定めた。Zrは
脱酸元素として作用するが、その添加量が0.2%を超
えても効果の一段の向上は認められないので、上限値を
0.2%と定めた。Y、LaおよびCeは熱間加工性を
さらに改善する作用があるので、きびしい条件で熱間加
工が行われる場合には必要に応じて添加されるが、どの
元素も0.1%を超えて添加しても効果の一段の向上は
認められず、むしろ劣化現象さえ現れるので、含有量を
それぞれ0.1%以下とした。
【0020】本発明者らはCo、Ni、Cr量を変化さ
せた合金を溶製し、鋳造し、熱間圧延して板厚7mmの
板材とし、次いでこの板材に、温度1050℃に30分
保持後、水冷の熱処理を施した後、板材から圧延方向と
直角に、厚さ2mm、幅15mm、長さ80mmの試験
片を切り出し、曲げを与えた後に、この試験片を500
℃に加熱した装置中に保持し、NaCl−KClの混合
溶融塩を塗布して500時間にわたって試験を行い、試
験前後における外見上の変化の程度を観察した。これら
の結果を科学的に解析した結果、Co、Ni、Crの間
には前述の条件が存在することが明らかになった。
せた合金を溶製し、鋳造し、熱間圧延して板厚7mmの
板材とし、次いでこの板材に、温度1050℃に30分
保持後、水冷の熱処理を施した後、板材から圧延方向と
直角に、厚さ2mm、幅15mm、長さ80mmの試験
片を切り出し、曲げを与えた後に、この試験片を500
℃に加熱した装置中に保持し、NaCl−KClの混合
溶融塩を塗布して500時間にわたって試験を行い、試
験前後における外見上の変化の程度を観察した。これら
の結果を科学的に解析した結果、Co、Ni、Crの間
には前述の条件が存在することが明らかになった。
【0021】
【実施例】表1〜4に示される成分組成をもった合金そ
れぞれ1tonを真空誘導加熱炉を用いて溶解し、ES
R処理で清浄化して断面500mm×250mmのイン
ゴットに鋳造した後、熱間圧延して板厚7mmの板材と
し、次いでこの板材に、温度1050℃に30分保持
後、水冷の熱処理を施した後、板材から圧延方向と直角
に、厚さ2mm、幅15mm、長さ80mmの試験片を
切り出し、この試験片を長さ方向の中心で折り返し、そ
の時の加工性を評価した結果を表2(表1のつづき)お
よび表4(表3のつづき)に示した。その後NaCl−
KClの混合溶融塩を塗布し、500℃に加熱した装置
中に保持し、500時間にわたって試験を行い、外見上
の変化の程度を測定した結果を調査した。
れぞれ1tonを真空誘導加熱炉を用いて溶解し、ES
R処理で清浄化して断面500mm×250mmのイン
ゴットに鋳造した後、熱間圧延して板厚7mmの板材と
し、次いでこの板材に、温度1050℃に30分保持
後、水冷の熱処理を施した後、板材から圧延方向と直角
に、厚さ2mm、幅15mm、長さ80mmの試験片を
切り出し、この試験片を長さ方向の中心で折り返し、そ
の時の加工性を評価した結果を表2(表1のつづき)お
よび表4(表3のつづき)に示した。その後NaCl−
KClの混合溶融塩を塗布し、500℃に加熱した装置
中に保持し、500時間にわたって試験を行い、外見上
の変化の程度を測定した結果を調査した。
【0022】表2、表4に示される結果から、比較合金
材は耐溶融塩腐食性および加工性がそれほど良好ではな
いのに対して、本発明合金1〜37はいずれの材料も耐
溶融塩腐食性および加工性は良好で優れた特性を有する
ことが明らかである。
材は耐溶融塩腐食性および加工性がそれほど良好ではな
いのに対して、本発明合金1〜37はいずれの材料も耐
溶融塩腐食性および加工性は良好で優れた特性を有する
ことが明らかである。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【発明の効果】本発明によれば溶融塩腐食環境に耐して
優れた抵抗性を有し、かつ現地加工性に優れた合金が得
られるので、近年注目されている高温エネルギー装置の
実用化および普及に寄与するところが極めて大である。
優れた抵抗性を有し、かつ現地加工性に優れた合金が得
られるので、近年注目されている高温エネルギー装置の
実用化および普及に寄与するところが極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 洋之 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.1%以下、Si:
2.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.03%以
下、S:0.005%以下、Ca:0.01〜0.08
%、Co:25〜40%、Cr:12〜18%、Ni:
10〜40%を含有し、Mo:2〜4%、W:8%以下
の1種または2種を含有し、残りがFeと不可避不純物
からなる組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足することを特徴とする現地加工性に優れた
ボイラー用合金。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.1%以下、Si:
2.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.03%以
下、S:0.005%以下、Ca:0.01〜0.08
%、Co:25〜40%、Cr:12〜18%、Ni:
10〜40%を含有し、Mo:2〜4%、W:8%以下
の1種または2種を含有し、さらにHf:0.2%以
下、Zr:0.2%以下のうちの1種または2種を含有
し、残りがFeと不可避不純物からなる組成を有し、か
つ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足することを特徴とする現地加工性に優れた
ボイラー用合金。 - 【請求項3】 重量%で、C:0.1%以下、Si:
2.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.03%以
下、S:0.005%以下、Ca:0.01〜0.08
%、Co:25〜40%、Cr:12〜18%、Ni:
10〜40%を含有し、Mo:2〜4%、W:8%以下
の1種または2種を含有し、さらにY:0.1%以下、
La:0.1%以下、Ce:0.1%以下のうちの1種
または2種以上を含有し、残りがFeと不可避不純物か
らなる組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足することを特徴とする現地加工性に優れた
ボイラー用合金。 - 【請求項4】 重量%で、C:0.1%以下、Si:
2.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.03%以
下、S:0.005%以下、Ca:0.01〜0.08
%、Co:25〜40%、Cr:12〜18%、Ni:
10〜40%を含有し、Mo:2〜4%、W:8%以下
の1種または2種を含有し、Hf:0.2%以下、Z
r:0.2%以下のうちの1種または2種とY:0.1
%以下、La:0.1%以下、Ce:0.1%以下のう
ちの1種または2種以上を含有し、残りがFeと不可避
不純物からなる組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦65 0.7≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+0.5W)≦
1.2 の条件を満足することを特徴とする現地加工性に優れた
ボイラー用合金。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29621092A JPH06145910A (ja) | 1992-11-05 | 1992-11-05 | 現地加工性に優れたボイラー用合金 |
EP93924182A EP0667399A4 (en) | 1992-11-05 | 1993-11-05 | HIGH RESISTANCE ALLOY TO CORROSION FROM MOLTEN SALTS, FOR BOILERS. |
PCT/JP1993/001604 WO1994010353A1 (en) | 1992-11-05 | 1993-11-05 | Boiler alloy excellent in molten-salt corrosion resistance |
CA002148695A CA2148695A1 (en) | 1992-11-05 | 1993-11-05 | Boiler alloy excellent in molten-salt corrosion resistance |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29621092A JPH06145910A (ja) | 1992-11-05 | 1992-11-05 | 現地加工性に優れたボイラー用合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06145910A true JPH06145910A (ja) | 1994-05-27 |
Family
ID=17830604
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29621092A Withdrawn JPH06145910A (ja) | 1992-11-05 | 1992-11-05 | 現地加工性に優れたボイラー用合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06145910A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010174350A (ja) * | 2009-01-30 | 2010-08-12 | Res Inst Electric Magnetic Alloys | 高弾性・恒弾性合金及びその製造法並びに精密機器 |
JP2012255212A (ja) * | 2012-07-11 | 2012-12-27 | Research Institute For Electromagnetic Materials | 高弾性・恒弾性合金及びその製造法並びに精密機器 |
-
1992
- 1992-11-05 JP JP29621092A patent/JPH06145910A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010174350A (ja) * | 2009-01-30 | 2010-08-12 | Res Inst Electric Magnetic Alloys | 高弾性・恒弾性合金及びその製造法並びに精密機器 |
JP2012255212A (ja) * | 2012-07-11 | 2012-12-27 | Research Institute For Electromagnetic Materials | 高弾性・恒弾性合金及びその製造法並びに精密機器 |
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