JPH06145304A - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents
熱硬化性樹脂組成物Info
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- JPH06145304A JPH06145304A JP29707592A JP29707592A JPH06145304A JP H06145304 A JPH06145304 A JP H06145304A JP 29707592 A JP29707592 A JP 29707592A JP 29707592 A JP29707592 A JP 29707592A JP H06145304 A JPH06145304 A JP H06145304A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】エポキシ樹脂と共に、所定の条件を満たすアリ
ルフェノール系化合物の混合物からなる組成物を硬化剤
として含有し、しかも、低粘度であつて、作業性にすぐ
れる熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。 【構成】本発明による熱硬化性樹脂組成物は、(a) 一般
式(I) 【化1】 (式中、Rは直接結合、-CH2- 、-CH(CH3)- 、-C(CH3)2
- 、-C(CF3)2- 、-O- 、-CO-又は-SO2- を示し、m及び
nはそれぞれ0、1又は2の数を示し、a、b、c及び
dはそれぞれ0又は1の数を示す。但し、Rが直接結
合、-CH(CH3)- 、-C(CH3)2- 、-C(CF3)2- 、-CO-又は-S
O2- であるときは、m及びnはいずれも0である。)で
表わされ、且つ、ヒドロキシル基の総和〔Σ(m+n+
2)〕に対するアリル基の総和〔Σ(a+b+c+
d)〕の割合が次式(II) 【数1】 を満足するアリルフェノール系化合物の混合物からなる
組成物、及び(b) エポキシ樹脂を含有することを特徴と
する。
ルフェノール系化合物の混合物からなる組成物を硬化剤
として含有し、しかも、低粘度であつて、作業性にすぐ
れる熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。 【構成】本発明による熱硬化性樹脂組成物は、(a) 一般
式(I) 【化1】 (式中、Rは直接結合、-CH2- 、-CH(CH3)- 、-C(CH3)2
- 、-C(CF3)2- 、-O- 、-CO-又は-SO2- を示し、m及び
nはそれぞれ0、1又は2の数を示し、a、b、c及び
dはそれぞれ0又は1の数を示す。但し、Rが直接結
合、-CH(CH3)- 、-C(CH3)2- 、-C(CF3)2- 、-CO-又は-S
O2- であるときは、m及びnはいずれも0である。)で
表わされ、且つ、ヒドロキシル基の総和〔Σ(m+n+
2)〕に対するアリル基の総和〔Σ(a+b+c+
d)〕の割合が次式(II) 【数1】 を満足するアリルフェノール系化合物の混合物からなる
組成物、及び(b) エポキシ樹脂を含有することを特徴と
する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エポキシ樹脂と共に新
規なアリルフェノール系化合物の混合物からなる組成物
を硬化剤として含有し、作業性にすぐれ、更に、物性に
すぐれる硬化物を与える熱硬化性樹脂組成物に関する。
規なアリルフェノール系化合物の混合物からなる組成物
を硬化剤として含有し、作業性にすぐれ、更に、物性に
すぐれる硬化物を与える熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、種々のアリルフェノール系化合物
が知られており、また、その用途が種々提案されてい
る。例えば、特開昭52−154897号公報や特開昭
53−40098号公報には、o,o'−ジアリルビスフェ
ノールAやo,o'−ジアリルビスフェノールFがエポキシ
樹脂の原料として提案されている。
が知られており、また、その用途が種々提案されてい
る。例えば、特開昭52−154897号公報や特開昭
53−40098号公報には、o,o'−ジアリルビスフェ
ノールAやo,o'−ジアリルビスフェノールFがエポキシ
樹脂の原料として提案されている。
【0003】また、特開昭55−145730号公報に
は、ジアリルビスフェノールAやFをエポキシ樹脂及び
硬化触媒と共に用いてなる熱硬化性樹脂組成物が提案さ
れており、特開昭54−68899号公報には、マレイ
ミド系化合物とジアリルビスフェノールAやFやSとの
反応組成物をエポキシ樹脂及び硬化触媒と共に用いてな
る熱硬化性樹脂組成物が提案されている。
は、ジアリルビスフェノールAやFをエポキシ樹脂及び
硬化触媒と共に用いてなる熱硬化性樹脂組成物が提案さ
れており、特開昭54−68899号公報には、マレイ
ミド系化合物とジアリルビスフェノールAやFやSとの
反応組成物をエポキシ樹脂及び硬化触媒と共に用いてな
る熱硬化性樹脂組成物が提案されている。
【0004】このように、従来、アリルフェノール系化
合物とエポキシ樹脂とを含有する種々の熱硬化性樹脂組
成物が知られているが、そのような従来の熱硬化性樹脂
組成物に用いられているアリルフェノール系化合物は、
一般式(III)
合物とエポキシ樹脂とを含有する種々の熱硬化性樹脂組
成物が知られているが、そのような従来の熱硬化性樹脂
組成物に用いられているアリルフェノール系化合物は、
一般式(III)
【0005】
【化2】
【0006】(式中、Rは直接結合、-CH2- 、-CH(CH3)
- 、-C(CH3)2- 、-C(CF3)2- 、-O- 、-CO-又は-SO2- を
示し、m及びnはそれぞれ0、1又は2の数を示。但
し、Rが直接結合、-CH(CH3)- 、-C(CH3)2- 、-C(CF3)2
- 、-CO-又は-SO2- であるときは、m及びnはいずれも
0である。)で表わされるものである。即ち、そのアリ
ルフェノール系化合物が有する芳香環がすべてアリル基
を有する。
- 、-C(CH3)2- 、-C(CF3)2- 、-O- 、-CO-又は-SO2- を
示し、m及びnはそれぞれ0、1又は2の数を示。但
し、Rが直接結合、-CH(CH3)- 、-C(CH3)2- 、-C(CF3)2
- 、-CO-又は-SO2- であるときは、m及びnはいずれも
0である。)で表わされるものである。即ち、そのアリ
ルフェノール系化合物が有する芳香環がすべてアリル基
を有する。
【0007】かかる従来より知られているアリルフェノ
ール系化合物は、通常、それ自体、常温で液状であるの
で、熱硬化性樹脂組成物における一成分として用いるこ
とによつて、組成物の液状化や低粘度化を実現し、操作
性の向上に寄与する。即ち、上述したような熱硬化性樹
脂組成物は、アリルフェノール系化合物のこのような液
状の特性を利用するものである。
ール系化合物は、通常、それ自体、常温で液状であるの
で、熱硬化性樹脂組成物における一成分として用いるこ
とによつて、組成物の液状化や低粘度化を実現し、操作
性の向上に寄与する。即ち、上述したような熱硬化性樹
脂組成物は、アリルフェノール系化合物のこのような液
状の特性を利用するものである。
【0008】しかしながら、従来、熱硬化性樹脂組成物
において、エポキシ樹脂と共に用いられているアリルフ
ェノール系化合物は、殆どの場合、硬化触媒の併用の下
にエポキシ樹脂と反応する成分として用いられている。
即ち、従来、アリルフェノール系化合物を含むエポキシ
樹脂系熱硬化性樹脂組成物においては、アリルフェノー
ル系化合物は、エポキシ樹脂の硬化能を殆どもたないの
で、他の硬化触媒の併用なしに、フェノール系化合物が
本来有しているエポキシ樹脂の硬化剤として、硬化物を
生成させる成分としては用いられていない。
において、エポキシ樹脂と共に用いられているアリルフ
ェノール系化合物は、殆どの場合、硬化触媒の併用の下
にエポキシ樹脂と反応する成分として用いられている。
即ち、従来、アリルフェノール系化合物を含むエポキシ
樹脂系熱硬化性樹脂組成物においては、アリルフェノー
ル系化合物は、エポキシ樹脂の硬化能を殆どもたないの
で、他の硬化触媒の併用なしに、フェノール系化合物が
本来有しているエポキシ樹脂の硬化剤として、硬化物を
生成させる成分としては用いられていない。
【0009】他方、エポキシ樹脂は、接着性、機械及び
電気特性、耐薬品性、耐熱性等にすぐれており、プリン
ト回路基板、半導体実装材料をはじめ、接着剤、塗料、
被覆剤、含浸剤、建材、鋳型等に広く用いられている。
これら用途のなかで、接着剤、塗料、被覆剤、含浸剤等
は、エポキシ樹脂が室温で液状又はペースト状であるご
とが要求される。そこで、このような分野においては、
従来、液状又は半固形エポキシ樹脂と液状のアミン又は
酸無水物とを含む液状又はペースト状の樹脂組成物や、
或いは固形のエポキシ樹脂とフェノール系硬化剤を溶剤
に溶解させてなる液状又はペースト状の樹脂組成物が用
いられている。
電気特性、耐薬品性、耐熱性等にすぐれており、プリン
ト回路基板、半導体実装材料をはじめ、接着剤、塗料、
被覆剤、含浸剤、建材、鋳型等に広く用いられている。
これら用途のなかで、接着剤、塗料、被覆剤、含浸剤等
は、エポキシ樹脂が室温で液状又はペースト状であるご
とが要求される。そこで、このような分野においては、
従来、液状又は半固形エポキシ樹脂と液状のアミン又は
酸無水物とを含む液状又はペースト状の樹脂組成物や、
或いは固形のエポキシ樹脂とフェノール系硬化剤を溶剤
に溶解させてなる液状又はペースト状の樹脂組成物が用
いられている。
【0010】しかし、液状のアミンを硬化剤とする場合
は、樹脂組成物のポットライフが短かく、また、得られ
る硬化物が耐湿性や耐熱性に劣る欠点があり、酸無水物
を硬化剤とする樹脂組成物は、耐湿性のほか、接着に劣
る欠点がある。硬化剤としてフェノール系のものを用い
る上記溶剤型樹脂組成物の場合は、加熱硬化時の溶剤の
蒸発によつて硬化物にボイドが残るために、吸湿率が大
きく、機械的強度が低い欠点があり、更に、溶剤の蒸発
時に樹脂組成物の膨れによつて、厚みが不均一になる等
の欠点もある。
は、樹脂組成物のポットライフが短かく、また、得られ
る硬化物が耐湿性や耐熱性に劣る欠点があり、酸無水物
を硬化剤とする樹脂組成物は、耐湿性のほか、接着に劣
る欠点がある。硬化剤としてフェノール系のものを用い
る上記溶剤型樹脂組成物の場合は、加熱硬化時の溶剤の
蒸発によつて硬化物にボイドが残るために、吸湿率が大
きく、機械的強度が低い欠点があり、更に、溶剤の蒸発
時に樹脂組成物の膨れによつて、厚みが不均一になる等
の欠点もある。
【0011】このように、エポキシ樹脂においては、従
来、種々の硬化剤が用いられているが、それぞれの硬化
剤が欠点を有し、技術の高度化、精密化が進むにつれ
て、それらの解決がつよく要望されるに至つている。
来、種々の硬化剤が用いられているが、それぞれの硬化
剤が欠点を有し、技術の高度化、精密化が進むにつれ
て、それらの解決がつよく要望されるに至つている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、従来の
エポキシ樹脂における上記した問題を解決するために鋭
意研究した結果、所定の条件を満たすアリルフェノール
系化合物の混合物からなる組成物は、低粘度の液状物で
あり、しかも、エポキシ樹脂の硬化剤として有効に作用
することを見出し、かくして、アリルフェノール系化合
物の混合物からなる組成物を硬化剤として含有し、好ま
しい態様においては、溶剤を用いることなく、液状乃至
ペースト状であつて、ポットライフが比較的長く、接着
性にすぐれ、しかも、得られる硬化物が耐湿性や耐熱性
にすぐれる硬化性樹脂組成物組成物を得ることができる
ことを見出して、本発明に至つたものである。
エポキシ樹脂における上記した問題を解決するために鋭
意研究した結果、所定の条件を満たすアリルフェノール
系化合物の混合物からなる組成物は、低粘度の液状物で
あり、しかも、エポキシ樹脂の硬化剤として有効に作用
することを見出し、かくして、アリルフェノール系化合
物の混合物からなる組成物を硬化剤として含有し、好ま
しい態様においては、溶剤を用いることなく、液状乃至
ペースト状であつて、ポットライフが比較的長く、接着
性にすぐれ、しかも、得られる硬化物が耐湿性や耐熱性
にすぐれる硬化性樹脂組成物組成物を得ることができる
ことを見出して、本発明に至つたものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明による熱硬化性樹
脂組成物は、(a) 一般式(I)
脂組成物は、(a) 一般式(I)
【0014】
【化3】
【0015】(式中、Rは直接結合、-CH2- 、-CH(CH3)
- 、-C(CH3)2- 、-C(CF3)2- 、-O- 、-CO-又は-SO2- を
示し、m及びnはそれぞれ0、1又は2の数を示し、
a、b、c及びdはそれぞれ0又は1の数を示す。但
し、Rが直接結合、-CH(CH3)- 、-C(CH3)2- 、-C(CF3)2
- 、-CO-又は-SO2- であるときは、m及びnはいずれも
0である。)で表わされ、且つ、ヒドロキシル基の総和
〔Σ(m+n+2)〕に対するアリル基の総和〔Σ(a
+b+c+d)〕の割合が次式(II)
- 、-C(CH3)2- 、-C(CF3)2- 、-O- 、-CO-又は-SO2- を
示し、m及びnはそれぞれ0、1又は2の数を示し、
a、b、c及びdはそれぞれ0又は1の数を示す。但
し、Rが直接結合、-CH(CH3)- 、-C(CH3)2- 、-C(CF3)2
- 、-CO-又は-SO2- であるときは、m及びnはいずれも
0である。)で表わされ、且つ、ヒドロキシル基の総和
〔Σ(m+n+2)〕に対するアリル基の総和〔Σ(a
+b+c+d)〕の割合が次式(II)
【0016】
【数2】
【0017】を満足するアリルフェノール系化合物の混
合物からなる組成物、及び(b) エポキシ樹脂とを含有す
ることを特徴とする。本発明による熱硬化性樹脂組成物
は、エポキシ樹脂の硬化剤として、前記一般式(I)で
表わされるアリルフェノール系化合物の混合物からなる
組成物を含有する。先ず、かかるアリルフェノール系化
合物の製造について説明する。
合物からなる組成物、及び(b) エポキシ樹脂とを含有す
ることを特徴とする。本発明による熱硬化性樹脂組成物
は、エポキシ樹脂の硬化剤として、前記一般式(I)で
表わされるアリルフェノール系化合物の混合物からなる
組成物を含有する。先ず、かかるアリルフェノール系化
合物の製造について説明する。
【0018】上記アリルフェノール系化合物の混合物か
らなる組成物を製造する方法としては、先ず、フェノー
ル系化合物に対するアリルハライドの量を調節しつつ、
フェノール系化合物とアリルハライドとをアルカリ金属
水酸化物の存在下、溶剤中にて反応させることによつ
て、原料フェノール系化合物のヒドロキシル基の総和に
対して、導入されるアリル基の総和の割合が0.1乃至0.
9の割合のアリルフェニルエーテル化合物を製造し、次
いで、このアリルフェニルエーテル化合物を高温で熱処
理し、クライゼン転移させる方法を挙げることができ
る。
らなる組成物を製造する方法としては、先ず、フェノー
ル系化合物に対するアリルハライドの量を調節しつつ、
フェノール系化合物とアリルハライドとをアルカリ金属
水酸化物の存在下、溶剤中にて反応させることによつ
て、原料フェノール系化合物のヒドロキシル基の総和に
対して、導入されるアリル基の総和の割合が0.1乃至0.
9の割合のアリルフェニルエーテル化合物を製造し、次
いで、このアリルフェニルエーテル化合物を高温で熱処
理し、クライゼン転移させる方法を挙げることができ
る。
【0019】また、別の製造方法として、分子内にヒド
ロキシル基と等モル量のアリル基を有するアリルフェノ
ール化合物を従来より知られている方法に従つて製造
し、かかるアリルフェノール化合物に対して、フェノー
ル系化合物をヒドロキシル基の総和に対するアリル基の
総和の割合が0.1乃至0.9の割合に混合することによる
方法を挙げることができる。
ロキシル基と等モル量のアリル基を有するアリルフェノ
ール化合物を従来より知られている方法に従つて製造
し、かかるアリルフェノール化合物に対して、フェノー
ル系化合物をヒドロキシル基の総和に対するアリル基の
総和の割合が0.1乃至0.9の割合に混合することによる
方法を挙げることができる。
【0020】上記フェノール系化合物としては、例え
ば、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、フェノール−ホル
マリン縮合物(ビスフェノールF)、フェノール−ホル
マリン縮合物の蒸留分(ビスフェノールFD)、2,2'−
ジヒドロキシジフェニルメタン、2,4'−ジヒドロキシジ
フェニルメタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタ
ン、4,4'−エチリデンビスフェノール、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ハイドロ
キノン直鎖状脱水縮合物、4,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,
4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン等を挙げることが
できる。
ば、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、フェノール−ホル
マリン縮合物(ビスフェノールF)、フェノール−ホル
マリン縮合物の蒸留分(ビスフェノールFD)、2,2'−
ジヒドロキシジフェニルメタン、2,4'−ジヒドロキシジ
フェニルメタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタ
ン、4,4'−エチリデンビスフェノール、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ハイドロ
キノン直鎖状脱水縮合物、4,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,
4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン等を挙げることが
できる。
【0021】他方、アリルハライドとしては、通常、塩
化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリル等が好ましく用い
られるが、特に、塩化アリル又は臭化アリルが好ましく
用いられる。上記アリルフェノール系化合物の混合物か
らなる組成物をフェノール系化合物とアリルハライドと
の反応によつて製造する場合、第1段のアリルエーテル
系化合物の製造のための反応において、フェノール系化
合物に対するアリルハライドの使用割合は、0.1乃至3.
0倍モルの範囲であり、好ましくは、0.2〜2.0倍モル
の範囲である。
化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリル等が好ましく用い
られるが、特に、塩化アリル又は臭化アリルが好ましく
用いられる。上記アリルフェノール系化合物の混合物か
らなる組成物をフェノール系化合物とアリルハライドと
の反応によつて製造する場合、第1段のアリルエーテル
系化合物の製造のための反応において、フェノール系化
合物に対するアリルハライドの使用割合は、0.1乃至3.
0倍モルの範囲であり、好ましくは、0.2〜2.0倍モル
の範囲である。
【0022】触媒としては、アルカリ金属やアルカリ土
類金属の水酸化物又は炭酸塩が好ましく用いられる。か
かる触媒の具体例としては、例えば、水酸化リチウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸リチウ
ム、重炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等を挙げることがで
きる。これらのなかでは、水酸化ナトリウム又は水酸化
カリウムが特に好ましく用いられる。
類金属の水酸化物又は炭酸塩が好ましく用いられる。か
かる触媒の具体例としては、例えば、水酸化リチウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸リチウ
ム、重炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等を挙げることがで
きる。これらのなかでは、水酸化ナトリウム又は水酸化
カリウムが特に好ましく用いられる。
【0023】これら触媒の使用量は、フェノール系化合
物に対して、通常、0.1乃至3.0倍モルの範囲であり、
好ましくは、0.2乃至2.0倍モルの範囲である。また、
反応時に用いる好ましい溶媒としては、炭素数1乃至6
であるアルコール類、炭素数5乃至7である脂環族炭化
水素類、炭素数4乃至6であるエーテル類、炭素数4乃
至7であるケトン類、炭素数4乃至8であるエステル類
等を挙げることができる。
物に対して、通常、0.1乃至3.0倍モルの範囲であり、
好ましくは、0.2乃至2.0倍モルの範囲である。また、
反応時に用いる好ましい溶媒としては、炭素数1乃至6
であるアルコール類、炭素数5乃至7である脂環族炭化
水素類、炭素数4乃至6であるエーテル類、炭素数4乃
至7であるケトン類、炭素数4乃至8であるエステル類
等を挙げることができる。
【0024】このような溶媒の具体例としては、例え
ば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルア
ルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアル
コール、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプ
タン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルケトン、メチ
ル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸
エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n
−ブチル、酢酸イソブチル等を挙げることができる。か
かる溶媒の使用量は、通常、アリルハライド1容量に対
して、0.3〜2.0容量が好ましく、特に、0.5乃至1.5
容量の範囲が好適である。
ば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルア
ルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアル
コール、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプ
タン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルケトン、メチ
ル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸
エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n
−ブチル、酢酸イソブチル等を挙げることができる。か
かる溶媒の使用量は、通常、アリルハライド1容量に対
して、0.3〜2.0容量が好ましく、特に、0.5乃至1.5
容量の範囲が好適である。
【0025】アリルエーテル系化合物の製造方法は、特
に限定されるものではなく、従来より知られている方法
を採用することができる。一般的には、溶媒にフェノー
ル系化合物を加え、混合した後、反応が過激に進行しな
いように、反応系を所定の範囲の温度に保持しつつ、触
媒及びアリルハライドを加え、又は触媒を加え、次い
で、アリルハライドを分割して、若しくは連続して加
え、その後、所定の温度にて所定時間、攪拌下に反応を
行なう。反応温度は、通常、室温乃至100℃の範囲で
あるが、好ましくは40℃乃至80℃の範囲である。ま
た、反応時間は、通常、1時間乃至15時間の範囲であ
るが、好ましくは2時間乃至10時間の範囲である。し
かし、反応時間や反応温度は、必ずしも上記に限定され
るものではない。
に限定されるものではなく、従来より知られている方法
を採用することができる。一般的には、溶媒にフェノー
ル系化合物を加え、混合した後、反応が過激に進行しな
いように、反応系を所定の範囲の温度に保持しつつ、触
媒及びアリルハライドを加え、又は触媒を加え、次い
で、アリルハライドを分割して、若しくは連続して加
え、その後、所定の温度にて所定時間、攪拌下に反応を
行なう。反応温度は、通常、室温乃至100℃の範囲で
あるが、好ましくは40℃乃至80℃の範囲である。ま
た、反応時間は、通常、1時間乃至15時間の範囲であ
るが、好ましくは2時間乃至10時間の範囲である。し
かし、反応時間や反応温度は、必ずしも上記に限定され
るものではない。
【0026】反応終了後、得られた反応混合物から溶媒
を留去し、触媒を中和、不活性化し、適当な有機溶媒に
よる反応生成物の抽出等、通常の方法によつて、目的と
するアリルエーテル系化合物を得る。次いで、第2段の
クライゼン転移反応は、従来、知られている条件及び方
法によつて行なえばよい。即ち、例えば、上述した第1
段の反応によつて得られたアリルエーテル系化合物を、
通常、150℃乃至260℃の範囲の温度、好ましく
は、170℃乃至240℃の範囲の温度にて、通常、2
時間乃至10時間程度、好ましくは3時間乃至8時間程
度、加熱処理する方法によればよい。
を留去し、触媒を中和、不活性化し、適当な有機溶媒に
よる反応生成物の抽出等、通常の方法によつて、目的と
するアリルエーテル系化合物を得る。次いで、第2段の
クライゼン転移反応は、従来、知られている条件及び方
法によつて行なえばよい。即ち、例えば、上述した第1
段の反応によつて得られたアリルエーテル系化合物を、
通常、150℃乃至260℃の範囲の温度、好ましく
は、170℃乃至240℃の範囲の温度にて、通常、2
時間乃至10時間程度、好ましくは3時間乃至8時間程
度、加熱処理する方法によればよい。
【0027】同様に、アリルフェノール系化合物の混合
物からなる組成物をヒドロキシル基と等モル量のアリル
基を有するアリルフェノール系化合物とフェノール系化
合物との混合によつて調製する場合にも、従来より知ら
れている通常の混合方法を採用することができる。即
ち、従来より知られているヒドロキシル基と等モル量の
アリル基を有するアリルフェノール系化合物は、いずれ
も常温で液状を呈し、一方、フェノール系化合物は、い
ずれも常温で固体状であるので、かかるアリルフェノー
ル系化合物に対して、常温或いは加温しつつ、攪拌下
に、フェノール系化合物を加え、混合し、溶解させれば
よい。
物からなる組成物をヒドロキシル基と等モル量のアリル
基を有するアリルフェノール系化合物とフェノール系化
合物との混合によつて調製する場合にも、従来より知ら
れている通常の混合方法を採用することができる。即
ち、従来より知られているヒドロキシル基と等モル量の
アリル基を有するアリルフェノール系化合物は、いずれ
も常温で液状を呈し、一方、フェノール系化合物は、い
ずれも常温で固体状であるので、かかるアリルフェノー
ル系化合物に対して、常温或いは加温しつつ、攪拌下
に、フェノール系化合物を加え、混合し、溶解させれば
よい。
【0028】以上のように、本発明において用いるアリ
ルフェノール系化合物の混合物からなる組成物は、フェ
ノール系化合物とアリルハライドとの反応によつてアリ
ルエーテル系化合物を製造した後、クライゼン転移反応
させることによる方法や、従来より知られているヒドロ
キシル基と等モル量のアリル基を有するアリルフェノー
ル系化合物に対して、フェノール系化合物を添加混合す
る方法によつて得ることができる。
ルフェノール系化合物の混合物からなる組成物は、フェ
ノール系化合物とアリルハライドとの反応によつてアリ
ルエーテル系化合物を製造した後、クライゼン転移反応
させることによる方法や、従来より知られているヒドロ
キシル基と等モル量のアリル基を有するアリルフェノー
ル系化合物に対して、フェノール系化合物を添加混合す
る方法によつて得ることができる。
【0029】このような二つの方法によつて得られるア
リルフェノール系化合物の混合物からなる組成物の性状
や特性を比較すれば、前者の方法による組成物は、かか
る組成物の組成に近いヒドロキシル基とアリル基の割合
を有する構造からなる化合物分子を含むので、組成が均
質であり、後者の方法による組成物と同じ割合の組成を
有する場合でも、前者の方法による組成物の方がより低
い粘度を有し、作業性にすぐれる利点を有する。従つ
て、前述した二つの方法によつて得られるアリルフェノ
ール系化合物からなる組成物を比較すれば、前者の方法
による組成物の方が好ましい。
リルフェノール系化合物の混合物からなる組成物の性状
や特性を比較すれば、前者の方法による組成物は、かか
る組成物の組成に近いヒドロキシル基とアリル基の割合
を有する構造からなる化合物分子を含むので、組成が均
質であり、後者の方法による組成物と同じ割合の組成を
有する場合でも、前者の方法による組成物の方がより低
い粘度を有し、作業性にすぐれる利点を有する。従つ
て、前述した二つの方法によつて得られるアリルフェノ
ール系化合物からなる組成物を比較すれば、前者の方法
による組成物の方が好ましい。
【0030】特に、上記組成物をエポキシ樹脂の硬化剤
として用いる本発明による熱硬化性樹脂組成物におい
て、前者の方法による組成物を用いれば、エポキシ樹脂
と直接に反応して硬化に寄与する化合物分子の割合が多
くなるので、得られる熱硬化性樹脂組成物は硬化速度が
大きく、また、硬化物の物性もすぐれる。しかしなが
ら、後者の方法による組成物は、アリルフェノール系化
合物とフェノール系化合物とを単に混合するという簡単
な操作によつて、目的とする物性を有する組成物を得る
ことができるので、多様な物性に対応する場合に有利で
あろう。
として用いる本発明による熱硬化性樹脂組成物におい
て、前者の方法による組成物を用いれば、エポキシ樹脂
と直接に反応して硬化に寄与する化合物分子の割合が多
くなるので、得られる熱硬化性樹脂組成物は硬化速度が
大きく、また、硬化物の物性もすぐれる。しかしなが
ら、後者の方法による組成物は、アリルフェノール系化
合物とフェノール系化合物とを単に混合するという簡単
な操作によつて、目的とする物性を有する組成物を得る
ことができるので、多様な物性に対応する場合に有利で
あろう。
【0031】勿論、本発明において、熱硬化性樹脂組成
物の一成分として用いるアリルフェノール系化合物の混
合物からなる組成物は、上述したようなヒドロキシル基
の総和に対するアリル基の総和の割合が0.1乃至0.9の
範囲にある任意のアリルフェノール系化合物からなる組
成物に対して、従来より知られているヒドロキシル基と
等モル量のアリル基を有するアリルフェノール系化合
物、又はフェノール系化合物を添加混合することによつ
ても、得ることができる。このような組成物を得る方法
は、上述した二つの方法を組み合わせたものである。
物の一成分として用いるアリルフェノール系化合物の混
合物からなる組成物は、上述したようなヒドロキシル基
の総和に対するアリル基の総和の割合が0.1乃至0.9の
範囲にある任意のアリルフェノール系化合物からなる組
成物に対して、従来より知られているヒドロキシル基と
等モル量のアリル基を有するアリルフェノール系化合
物、又はフェノール系化合物を添加混合することによつ
ても、得ることができる。このような組成物を得る方法
は、上述した二つの方法を組み合わせたものである。
【0032】本発明において用いるアリルフェノール系
化合物の混合物からなる組成物は、上記いずれの方法に
よつて調製された場合であつても、従来より知られてい
るヒドロキシル基と等モル量のアリルフェノール系化合
物又はフェノール系化合物を単独で用いる場合に比べ
て、低粘度であるので、作業性がよく、しかも、エポキ
シ樹脂の硬化能を有する。
化合物の混合物からなる組成物は、上記いずれの方法に
よつて調製された場合であつても、従来より知られてい
るヒドロキシル基と等モル量のアリルフェノール系化合
物又はフェノール系化合物を単独で用いる場合に比べ
て、低粘度であるので、作業性がよく、しかも、エポキ
シ樹脂の硬化能を有する。
【0033】以上のように、本発明において、熱硬化性
樹脂組成物の一成分として用いられる組成物は、いずれ
も、アリルフェノール系化合物の混合物からなる組成物
であつて、前記一般式(I)で表わされ、且つ、前記式
(II)を満足する。前記式(II)の値が0.9よりも大き
いときは、組成物において、ヒドロキシル基と等モル量
のアリル基を有するアリルフェノール系化合物の割合が
大きいので、単一のヒドロキシル基と等モル量のアリル
基を有するアリルフェノール系化合物と実質的に同様の
性質を示し、エポキシ樹脂の硬化剤としての作用が発現
しなくなる。他方、前記式(II)の値が0.1よりも小さ
いときは、組成物において、アリル基を有しないフェノ
ール系化合物の割合が大きいので、単一のフェノール系
化合物と実質的に同様の性質を示し、低粘度化による作
業性の改善を得ることができない。特に、本発明によれ
ば、前記式(II)の値は、0.15〜0.85の範囲にある
ことが好ましく、更に、0.2〜0.8の範囲にあることが
一層好ましい。
樹脂組成物の一成分として用いられる組成物は、いずれ
も、アリルフェノール系化合物の混合物からなる組成物
であつて、前記一般式(I)で表わされ、且つ、前記式
(II)を満足する。前記式(II)の値が0.9よりも大き
いときは、組成物において、ヒドロキシル基と等モル量
のアリル基を有するアリルフェノール系化合物の割合が
大きいので、単一のヒドロキシル基と等モル量のアリル
基を有するアリルフェノール系化合物と実質的に同様の
性質を示し、エポキシ樹脂の硬化剤としての作用が発現
しなくなる。他方、前記式(II)の値が0.1よりも小さ
いときは、組成物において、アリル基を有しないフェノ
ール系化合物の割合が大きいので、単一のフェノール系
化合物と実質的に同様の性質を示し、低粘度化による作
業性の改善を得ることができない。特に、本発明によれ
ば、前記式(II)の値は、0.15〜0.85の範囲にある
ことが好ましく、更に、0.2〜0.8の範囲にあることが
一層好ましい。
【0034】本発明による熱硬化性樹脂組成物におい
て、エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではな
いが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビス
フェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポ
キシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹
脂、トリグリシジルイソシアネートやヒダントインエポ
キシのような含複素環エポキシ樹脂、水添ビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂、プロピレングリコール−ジグリシ
ジルエーテルやペンタエリスリトール−ポリグリシジル
エーテル等の脂肪族系エポキシ樹脂、芳香族カルボン酸
とエピクロロヒドリンとの反応によつて得られるエポキ
シ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、o−アリルフェノ
ールノボラック化合物とエピクロロヒドリンとの反応生
成物であるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールAのそれぞれの水酸基のo−位置にアリル基を
有するジアリルビスフェノール化合物とエピクロロヒド
リンとの反応生成物であるグリシジルエーテル型エポキ
シ樹脂等を用いることができる。
て、エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではな
いが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビス
フェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポ
キシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹
脂、トリグリシジルイソシアネートやヒダントインエポ
キシのような含複素環エポキシ樹脂、水添ビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂、プロピレングリコール−ジグリシ
ジルエーテルやペンタエリスリトール−ポリグリシジル
エーテル等の脂肪族系エポキシ樹脂、芳香族カルボン酸
とエピクロロヒドリンとの反応によつて得られるエポキ
シ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、o−アリルフェノ
ールノボラック化合物とエピクロロヒドリンとの反応生
成物であるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールAのそれぞれの水酸基のo−位置にアリル基を
有するジアリルビスフェノール化合物とエピクロロヒド
リンとの反応生成物であるグリシジルエーテル型エポキ
シ樹脂等を用いることができる。
【0035】本発明による熱硬化性樹脂組成物におい
て、上述したようなアリルフェノール系化合物の混合物
からなる組成物とエポキシ樹脂との割合は、樹脂の用途
や、耐熱性等の要求特性に応じて適宜に選ばれるが、通
常、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対するアリル
フェノール系化合物の混合物からなる組成物中のヒドロ
キシル基が0.2〜10当量の範囲にあり、好ましくは、
0.5〜5当量の範囲にあるように用いられる。
て、上述したようなアリルフェノール系化合物の混合物
からなる組成物とエポキシ樹脂との割合は、樹脂の用途
や、耐熱性等の要求特性に応じて適宜に選ばれるが、通
常、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対するアリル
フェノール系化合物の混合物からなる組成物中のヒドロ
キシル基が0.2〜10当量の範囲にあり、好ましくは、
0.5〜5当量の範囲にあるように用いられる。
【0036】本発明による熱硬化性樹脂組成物は、アリ
ルフェノール系化合物の混合物からなる組成物とエポキ
シ樹脂との割合によつても、その粘度は変動するが、し
かし、従来、一般的に用いられているエポキシ樹脂に硬
化剤を組み合わせた樹脂組成物に比べて、低い粘度を有
する点に大きい特徴を有し、特に、熱硬化性樹脂組成物
の所謂無溶媒化が可能である。
ルフェノール系化合物の混合物からなる組成物とエポキ
シ樹脂との割合によつても、その粘度は変動するが、し
かし、従来、一般的に用いられているエポキシ樹脂に硬
化剤を組み合わせた樹脂組成物に比べて、低い粘度を有
する点に大きい特徴を有し、特に、熱硬化性樹脂組成物
の所謂無溶媒化が可能である。
【0037】特に、本発明によれば、好ましい態様にお
いては、アリルフェノール系化合物の混合物からなる組
成物にエポキシ樹脂を加え、均質に混練することによつ
て、室温(25℃)にて1900〜4000ポイズの範
囲の液状乃至ペースト状とすることができる。本発明に
おいては、上述したように、アリルフェノール系化合物
の混合物からなる組成物を硬化剤として用いるが、必要
に応じて、他のフェノール系硬化剤を併用してもよい。
そのようなフェノール系硬化剤として、例えば、フェノ
ール・ノボラック樹脂、o−クレゾール・ノボラック樹
脂、ポリ−p−ビニルフェノール、フェノールとアラル
キルエーテルとの縮合物等を挙げることができる。この
ようなフェノール系硬化剤も併用するときも、得られる
熱硬化性樹脂組成物が室温にて液状乃至ペースト状とす
ることが好ましい。
いては、アリルフェノール系化合物の混合物からなる組
成物にエポキシ樹脂を加え、均質に混練することによつ
て、室温(25℃)にて1900〜4000ポイズの範
囲の液状乃至ペースト状とすることができる。本発明に
おいては、上述したように、アリルフェノール系化合物
の混合物からなる組成物を硬化剤として用いるが、必要
に応じて、他のフェノール系硬化剤を併用してもよい。
そのようなフェノール系硬化剤として、例えば、フェノ
ール・ノボラック樹脂、o−クレゾール・ノボラック樹
脂、ポリ−p−ビニルフェノール、フェノールとアラル
キルエーテルとの縮合物等を挙げることができる。この
ようなフェノール系硬化剤も併用するときも、得られる
熱硬化性樹脂組成物が室温にて液状乃至ペースト状とす
ることが好ましい。
【0038】また、本発明による熱硬化性樹脂組成物
は、エポキシ樹脂の分野において知られている硬化促進
剤の適量を含有していてもよい。そのような硬化促進剤
としては、例えば、イミダール系、アミン系、リン系等
を挙げることができる。更に、本発明による熱硬化性樹
脂組成物は、必要に応じて、チクソトロピック剤を含有
することができる。本発明による樹脂組成物は、上述し
たように、好ましくは、室温で液状乃至ペースト状であ
つて、使用の態様によつては、液だれやはみ出し等を起
こすので、樹脂組成物にチクソトロピック剤を配合する
ことによつて、そのような液だれやはみ出し等を防ぐこ
とができる。
は、エポキシ樹脂の分野において知られている硬化促進
剤の適量を含有していてもよい。そのような硬化促進剤
としては、例えば、イミダール系、アミン系、リン系等
を挙げることができる。更に、本発明による熱硬化性樹
脂組成物は、必要に応じて、チクソトロピック剤を含有
することができる。本発明による樹脂組成物は、上述し
たように、好ましくは、室温で液状乃至ペースト状であ
つて、使用の態様によつては、液だれやはみ出し等を起
こすので、樹脂組成物にチクソトロピック剤を配合する
ことによつて、そのような液だれやはみ出し等を防ぐこ
とができる。
【0039】本発明による樹脂組成物にチクソトロピッ
ク剤を配合する際の目安として、揺変指数(回転式粘度
計において、回転数1〜100回転の範囲じ回転数を1
0倍変えて測定した粘度比)が1.2〜3.0の範囲程度と
することが好ましい。揺変指数が1.2よりも小さいとき
は、液だれやはみ出し等を十分に防ぐことができず、他
方、3.0を越えるときは、得られる樹脂組成物のチクソ
トロピッ性が強すぎて、使用において、流れや広がりが
悪くなり、作業性等が低下する。
ク剤を配合する際の目安として、揺変指数(回転式粘度
計において、回転数1〜100回転の範囲じ回転数を1
0倍変えて測定した粘度比)が1.2〜3.0の範囲程度と
することが好ましい。揺変指数が1.2よりも小さいとき
は、液だれやはみ出し等を十分に防ぐことができず、他
方、3.0を越えるときは、得られる樹脂組成物のチクソ
トロピッ性が強すぎて、使用において、流れや広がりが
悪くなり、作業性等が低下する。
【0040】上記チクソトロピック剤としては、特に限
定されるものではないが、例えば、シリカ微粉末やスメ
クタイト等の種々の無機粉末や、或いは脂肪酸系ワック
ス等の有機粉末を挙げることができる。また、本発明に
よる熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、無機質又は
有機質の充填剤を含有することができる。このような充
填剤は、その材質や形状において特に限定されるもので
はないが、例えば、溶融シリカ、銀粉、カーボン、ガラ
ス繊維、セラミツク、高分子ビーズ等ををげることがで
きる。このほかにも、例えば、顔料、色素、カツプリン
グ剤、消泡剤等、種々の添加剤を、必要に応じて、適量
を樹脂組成物に配合することができる。
定されるものではないが、例えば、シリカ微粉末やスメ
クタイト等の種々の無機粉末や、或いは脂肪酸系ワック
ス等の有機粉末を挙げることができる。また、本発明に
よる熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、無機質又は
有機質の充填剤を含有することができる。このような充
填剤は、その材質や形状において特に限定されるもので
はないが、例えば、溶融シリカ、銀粉、カーボン、ガラ
ス繊維、セラミツク、高分子ビーズ等ををげることがで
きる。このほかにも、例えば、顔料、色素、カツプリン
グ剤、消泡剤等、種々の添加剤を、必要に応じて、適量
を樹脂組成物に配合することができる。
【0041】本発明による熱硬化性樹脂組成物は、上述
したように、無溶剤化することができるから、例えば、
注型、含浸、埋込み、成形等の用途に好適である。他
方、本発明による熱硬化性樹脂組成物は、ジオキサン、
テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン等の有機溶媒
にも容易に溶解するので、ガラスクロスや紙等への含浸
塗着も容易であり、積層板成形用にも好適に用いること
ができる。
したように、無溶剤化することができるから、例えば、
注型、含浸、埋込み、成形等の用途に好適である。他
方、本発明による熱硬化性樹脂組成物は、ジオキサン、
テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン等の有機溶媒
にも容易に溶解するので、ガラスクロスや紙等への含浸
塗着も容易であり、積層板成形用にも好適に用いること
ができる。
【0042】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。
【0043】尚、実施例において、アリルフェノール系
化合物の混合物からなる組成物と、この組成物とエポキ
シ樹脂とからなる熱硬化性樹脂組成物の物性は、次の方
法によつて測定した。アリルフェノール系化合物の混合物からなる組成物中の
構成成分の割合 (株)島津製作所製LC−6A型ゲル・パーミエーショ
ン・クロマトグラフに昭和電工(株)製のカラム(Shod
ex KF-80M を1本、KF-802を1本、KF-801を2本)を装
着し、溶媒にテトラヒドロフランを用いて、0.8ml/分
の条件にて測定した。アリルフェノール系化合物の混合物からなる組成物の粘
度 (株)東京計器製B型粘度計を用いて、25℃にて測定
した。熱硬化性樹脂組成物の硬化性能 アリルフェノール系化合物の混合物からなる組成物をエ
ポキシ樹脂に対して所定量添加混合し、その約10mgを
DSC用アルミニウムパン中に封入し、正確に秤量し
た。10mg±1mgの範囲内にある試料を理学電機(株)
製8111−C型DSCを用いて、10℃/分の昇温速
度で測定し、硬化反応による発熱曲線のピーク温度を観
測した。
化合物の混合物からなる組成物と、この組成物とエポキ
シ樹脂とからなる熱硬化性樹脂組成物の物性は、次の方
法によつて測定した。アリルフェノール系化合物の混合物からなる組成物中の
構成成分の割合 (株)島津製作所製LC−6A型ゲル・パーミエーショ
ン・クロマトグラフに昭和電工(株)製のカラム(Shod
ex KF-80M を1本、KF-802を1本、KF-801を2本)を装
着し、溶媒にテトラヒドロフランを用いて、0.8ml/分
の条件にて測定した。アリルフェノール系化合物の混合物からなる組成物の粘
度 (株)東京計器製B型粘度計を用いて、25℃にて測定
した。熱硬化性樹脂組成物の硬化性能 アリルフェノール系化合物の混合物からなる組成物をエ
ポキシ樹脂に対して所定量添加混合し、その約10mgを
DSC用アルミニウムパン中に封入し、正確に秤量し
た。10mg±1mgの範囲内にある試料を理学電機(株)
製8111−C型DSCを用いて、10℃/分の昇温速
度で測定し、硬化反応による発熱曲線のピーク温度を観
測した。
【0044】実施例1 ビスフエノールF(本州化学工業(株)製、o,o'−体1
5%、o,p'−体45%、p,p'−体30%、2核体純度9
0%、3〜4核体10%)200gを水酸化ナトリウム
82.4gと共にメタノール428gに溶解させ、還流さ
せ、これに塩化アリル187.4gを1時間を要して徐々
に加えた後、還流下に10時間反応させた。その後、メ
タノールを留去し、トルエン94gと水400gとを加
え、混合物をリン酸で中和した後、水層を分離した。得
られたトルエン層を水洗した後、トルエンを留去し、次
いで、180〜220℃で3時間加熱して、アリルエー
テルのクライゼン転移を行なつて、アリル基含有ビスフ
ェノールFからなる組成物を得た。
5%、o,p'−体45%、p,p'−体30%、2核体純度9
0%、3〜4核体10%)200gを水酸化ナトリウム
82.4gと共にメタノール428gに溶解させ、還流さ
せ、これに塩化アリル187.4gを1時間を要して徐々
に加えた後、還流下に10時間反応させた。その後、メ
タノールを留去し、トルエン94gと水400gとを加
え、混合物をリン酸で中和した後、水層を分離した。得
られたトルエン層を水洗した後、トルエンを留去し、次
いで、180〜220℃で3時間加熱して、アリルエー
テルのクライゼン転移を行なつて、アリル基含有ビスフ
ェノールFからなる組成物を得た。
【0045】このアリル基含有ビスフェノールFからな
る組成物は、前記一般式(I)において、Rがメチレン
基であるものに相当し、25℃において、1500セン
チポイズの粘度を有し、ジアリルビスフェノールFの割
合は67%であり、モノアリルビスフェノールFの割合
は21%であつた。このアリル基含有ビスフェノールF
からなる組成物28.0gをビスフェノールA型液状エポ
キシ樹脂(三井石油化学工業(株)製 EPOMIK R 140 、
25℃において、約13000センチポイズの粘度を有
する。)37.0gに添加混合し、均質に混練して、熱硬
化性樹脂組成物を調製した。この熱硬化性樹脂組成物の
粘度は、25℃において、3800センチポイズであつ
た。また、そのDSCを測定した結果、発熱曲線のピー
ク温度は175℃であつた。
る組成物は、前記一般式(I)において、Rがメチレン
基であるものに相当し、25℃において、1500セン
チポイズの粘度を有し、ジアリルビスフェノールFの割
合は67%であり、モノアリルビスフェノールFの割合
は21%であつた。このアリル基含有ビスフェノールF
からなる組成物28.0gをビスフェノールA型液状エポ
キシ樹脂(三井石油化学工業(株)製 EPOMIK R 140 、
25℃において、約13000センチポイズの粘度を有
する。)37.0gに添加混合し、均質に混練して、熱硬
化性樹脂組成物を調製した。この熱硬化性樹脂組成物の
粘度は、25℃において、3800センチポイズであつ
た。また、そのDSCを測定した結果、発熱曲線のピー
ク温度は175℃であつた。
【0046】実施例2 実施例1において用いたビスフェノールFから3〜4核
体を除去し、ビスフェノールF(o,o'−体17%、o,p'
−体49%、p,p'−体34%)を得た。このビスフェノ
ールFを用いて、実施例1と同様に処理して、アリル基
含有ビスフェノールFからなる組成物を得た。このアリ
ル基含有ビスフェノールFからなる組成物は、25℃に
おいて、1190センチポイズの粘度を有し、ジアリル
ビスフェノールFの割合は68%であり、モノアリルビ
スフェノールFの割合は31%であつた。このアリル基
含有ビスフェノールFからなる組成物26.7gを実施例
1と同じエポキシ樹脂37.0gに添加混合し、均質に混
練して、熱硬化性樹脂組成物を調製した。この熱硬化性
樹脂組成物の粘度は、25℃において、2400センチ
ポイズであつた。また、そのDSCを測定した結果、発
熱曲線のピーク温度は173℃であつた。
体を除去し、ビスフェノールF(o,o'−体17%、o,p'
−体49%、p,p'−体34%)を得た。このビスフェノ
ールFを用いて、実施例1と同様に処理して、アリル基
含有ビスフェノールFからなる組成物を得た。このアリ
ル基含有ビスフェノールFからなる組成物は、25℃に
おいて、1190センチポイズの粘度を有し、ジアリル
ビスフェノールFの割合は68%であり、モノアリルビ
スフェノールFの割合は31%であつた。このアリル基
含有ビスフェノールFからなる組成物26.7gを実施例
1と同じエポキシ樹脂37.0gに添加混合し、均質に混
練して、熱硬化性樹脂組成物を調製した。この熱硬化性
樹脂組成物の粘度は、25℃において、2400センチ
ポイズであつた。また、そのDSCを測定した結果、発
熱曲線のピーク温度は173℃であつた。
【0047】実施例3 実施例2において、塩化アリルの使用量を114.8gと
した以外は、同様にして、反応及び処理を行なつて、ア
リル基含有ビスフェノールFからなる組成物を得た。こ
のアリル基含有ビスフェノールFからなる組成物は、2
5℃において、1260センチポイズの粘度を有し、ジ
アリルビスフェノールFの割合は23%であり、モノア
リルビスフェノールFの割合は72%であつた。このア
リル基含有ビスフェノールFからなる組成物24.5gを
実施例1と同じエポキシ樹脂37.0gに添加混合し、均
質に混練して、熱硬化性樹脂組成物を調製した。この熱
硬化性樹脂組成物の粘度は、25℃において、2550
センチポイズであつた。また、そのDSCを測定した結
果、発熱曲線のピーク温度は168℃であつた。
した以外は、同様にして、反応及び処理を行なつて、ア
リル基含有ビスフェノールFからなる組成物を得た。こ
のアリル基含有ビスフェノールFからなる組成物は、2
5℃において、1260センチポイズの粘度を有し、ジ
アリルビスフェノールFの割合は23%であり、モノア
リルビスフェノールFの割合は72%であつた。このア
リル基含有ビスフェノールFからなる組成物24.5gを
実施例1と同じエポキシ樹脂37.0gに添加混合し、均
質に混練して、熱硬化性樹脂組成物を調製した。この熱
硬化性樹脂組成物の粘度は、25℃において、2550
センチポイズであつた。また、そのDSCを測定した結
果、発熱曲線のピーク温度は168℃であつた。
【0048】実施例4 実施例2において、塩化アリルの使用量を61.2gとし
た以外は、同様にして、反応及び処理を行なつて、アリ
ル基含有ビスフェノールFからなる組成物を得た。この
アリル基含有ビスフェノールFからなる組成物は、25
℃において、1420センチポイズの粘度を有し、ジア
リルビスフェノールFの割合は4%であり、モノアリル
ビスフェノールFの割合は48%であつた。このアリル
基含有ビスフェノールFからなる組成物22.9gを実施
例1と同じエポキシ樹脂37.0gに添加混合し、均質に
混練して、熱硬化性樹脂組成物を調製した。この熱硬化
性樹脂組成物の粘度は、25℃において、2800セン
チポイズであつた。また、そのDSCを測定した結果、
発熱曲線のピーク温度は161℃であつた。
た以外は、同様にして、反応及び処理を行なつて、アリ
ル基含有ビスフェノールFからなる組成物を得た。この
アリル基含有ビスフェノールFからなる組成物は、25
℃において、1420センチポイズの粘度を有し、ジア
リルビスフェノールFの割合は4%であり、モノアリル
ビスフェノールFの割合は48%であつた。このアリル
基含有ビスフェノールFからなる組成物22.9gを実施
例1と同じエポキシ樹脂37.0gに添加混合し、均質に
混練して、熱硬化性樹脂組成物を調製した。この熱硬化
性樹脂組成物の粘度は、25℃において、2800セン
チポイズであつた。また、そのDSCを測定した結果、
発熱曲線のピーク温度は161℃であつた。
【0049】実施例5 実施例2におけるビスフェノールFを原料として用い
て、特開昭54−68899号公報に記載されている方
法によつて、ジアリルビスフェノールFを得た。このジ
アリルビスフェノールF28.0gに対して、上記原料と
して用いたと同じビスフェノールF20.0gを添加混合
し、均質に混練して、ジアリルビスフェノールFを含有
する組成物を得た。このアリル基含有ビスフェノールF
からなる組成物は、25℃において、1650センチポ
イズの粘度を示した。また、このアリル基含有ビスフェ
ノールFからなる組成物24.0gを実施例1と同じエポ
キシ樹脂37.0gに添加混合し、均質に混練して、熱硬
化性樹脂組成物を調製した。この熱硬化性樹脂組成物の
粘度は、25℃において、3500センチポイズであつ
た。また、そのDSCを測定した結果、発熱曲線のピー
ク温度は172℃であつた。
て、特開昭54−68899号公報に記載されている方
法によつて、ジアリルビスフェノールFを得た。このジ
アリルビスフェノールF28.0gに対して、上記原料と
して用いたと同じビスフェノールF20.0gを添加混合
し、均質に混練して、ジアリルビスフェノールFを含有
する組成物を得た。このアリル基含有ビスフェノールF
からなる組成物は、25℃において、1650センチポ
イズの粘度を示した。また、このアリル基含有ビスフェ
ノールFからなる組成物24.0gを実施例1と同じエポ
キシ樹脂37.0gに添加混合し、均質に混練して、熱硬
化性樹脂組成物を調製した。この熱硬化性樹脂組成物の
粘度は、25℃において、3500センチポイズであつ
た。また、そのDSCを測定した結果、発熱曲線のピー
ク温度は172℃であつた。
【0050】比較例1 実施例5におけると同じジアリルビスフェノールF28.
0gを実施例1と同じエポキシ樹脂37.0gに添加混合
し、均質に混練した。この混練混合物のDSCを測定し
た結果、200℃まで昇温しても、発熱のピークが観測
されなかつた。
0gを実施例1と同じエポキシ樹脂37.0gに添加混合
し、均質に混練した。この混練混合物のDSCを測定し
た結果、200℃まで昇温しても、発熱のピークが観測
されなかつた。
【0051】比較例2 実施例2において原料として用いた3〜4核体を除去し
たビスフェノールF20.0gを実施例1と同じエポキシ
樹脂37.0gに添加混合し、均質に混練した。この混練
物の粘度は、25℃において、約10000センチポイ
ズであつて、見掛け上、粘度が低下したとは認められな
かつた。
たビスフェノールF20.0gを実施例1と同じエポキシ
樹脂37.0gに添加混合し、均質に混練した。この混練
物の粘度は、25℃において、約10000センチポイ
ズであつて、見掛け上、粘度が低下したとは認められな
かつた。
【0052】実施例6 実施例1において、ビスフェノールFに代えて、4,4'−
ジヒドロキシジフェニルエタン(ビスフェノールE)を
用いた以外は同様に処理して、アリル基含有ビスフェノ
ールEからなる組成物を得た。このアリル基含有ビスフ
ェノールEからなる組成物は、前記一般式(I)におい
て、Rがエチリデン基であるものに相当し、25℃にお
いて、950センチポイズの粘度を有し、ジアリルビス
フェノールEの割合は78%であり、モノアリルビスフ
ェノールEの割合は21%であつた。このアリル基含有
ビスフェノールEからなる組成物28.3gを実施例1と
同じエポキシ樹脂37.0gに添加混合し、均質に混練し
て、熱硬化性樹脂組成物を調製した。この熱硬化性樹脂
組成物の粘度は、25℃において、1900センチポイ
ズであつた。また、そのDSCを測定した結果、発熱曲
線のピーク温度は175℃であつた。
ジヒドロキシジフェニルエタン(ビスフェノールE)を
用いた以外は同様に処理して、アリル基含有ビスフェノ
ールEからなる組成物を得た。このアリル基含有ビスフ
ェノールEからなる組成物は、前記一般式(I)におい
て、Rがエチリデン基であるものに相当し、25℃にお
いて、950センチポイズの粘度を有し、ジアリルビス
フェノールEの割合は78%であり、モノアリルビスフ
ェノールEの割合は21%であつた。このアリル基含有
ビスフェノールEからなる組成物28.3gを実施例1と
同じエポキシ樹脂37.0gに添加混合し、均質に混練し
て、熱硬化性樹脂組成物を調製した。この熱硬化性樹脂
組成物の粘度は、25℃において、1900センチポイ
ズであつた。また、そのDSCを測定した結果、発熱曲
線のピーク温度は175℃であつた。
【0053】実施例7 実施例1において、ビスフェノールFに代えて、4,4'−
ジヒドロキシジフェニルエーテルを用いた以外は同様に
処理して、アリル基含有4,4'−ジヒドロキシジフェニル
エーテルからなる組成物を得た。このアリル基含有4,4'
−ジヒドロキシジフェニルエーテルからなる組成物は、
前記一般式(I)において、Rがエーテル基であるもの
に相当し、25℃において、2100センチポイズの粘
度を有し、ジアリル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエ
ーテルの割合は76%であり、モノアリル−4,4'−ジヒ
ドロキシジフェニルエーテルの割合は22%であつた。
ジヒドロキシジフェニルエーテルを用いた以外は同様に
処理して、アリル基含有4,4'−ジヒドロキシジフェニル
エーテルからなる組成物を得た。このアリル基含有4,4'
−ジヒドロキシジフェニルエーテルからなる組成物は、
前記一般式(I)において、Rがエーテル基であるもの
に相当し、25℃において、2100センチポイズの粘
度を有し、ジアリル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエ
ーテルの割合は76%であり、モノアリル−4,4'−ジヒ
ドロキシジフェニルエーテルの割合は22%であつた。
【0054】このアリル基含有4,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルエーテルからなる組成物27.1gを実施例1と同
じエポキシ樹脂37.0gに添加混合し、均質に混練し
て、熱硬化性樹脂組成物を調製した。この熱硬化性樹脂
組成物の粘度は、25℃において、3900センチポイ
ズであつた。また、そのDSCを測定した結果、発熱曲
線のピーク温度は174℃であつた。
ェニルエーテルからなる組成物27.1gを実施例1と同
じエポキシ樹脂37.0gに添加混合し、均質に混練し
て、熱硬化性樹脂組成物を調製した。この熱硬化性樹脂
組成物の粘度は、25℃において、3900センチポイ
ズであつた。また、そのDSCを測定した結果、発熱曲
線のピーク温度は174℃であつた。
【0055】
【発明の効果】以上のように、本発明による熱硬化性樹
脂組成物は、前記一般式(I)で表わされ、且つ、前記
式(II)を満足するアリルフェノール系化合物の混合物
からなる組成物とエポキシ樹脂とを含有し、低粘度であ
ると共に、上記組成物が硬化剤として有効に作用するの
で、加熱によつて、それ自体が硬化し、すぐれた物性を
有する硬化物を得ることができる。
脂組成物は、前記一般式(I)で表わされ、且つ、前記
式(II)を満足するアリルフェノール系化合物の混合物
からなる組成物とエポキシ樹脂とを含有し、低粘度であ
ると共に、上記組成物が硬化剤として有効に作用するの
で、加熱によつて、それ自体が硬化し、すぐれた物性を
有する硬化物を得ることができる。
【0056】特に、本発明による熱硬化性樹脂組成物
は、無溶剤化することができ、このように、無溶剤化し
た樹脂組成物によれば、硬化時の加熱によつてもボイド
が発生しないので、得られる硬化物が機械的強度にすぐ
れるほか、吸湿率の増加やクラツクの発生を抑えること
ができる。また、硬化時に溶剤の蒸発等のガス発生がな
いので、環境汚染もない。また、本発明による熱硬化性
樹脂組成物は、低粘度であるので、作業性にすぐれる。
は、無溶剤化することができ、このように、無溶剤化し
た樹脂組成物によれば、硬化時の加熱によつてもボイド
が発生しないので、得られる硬化物が機械的強度にすぐ
れるほか、吸湿率の増加やクラツクの発生を抑えること
ができる。また、硬化時に溶剤の蒸発等のガス発生がな
いので、環境汚染もない。また、本発明による熱硬化性
樹脂組成物は、低粘度であるので、作業性にすぐれる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上野 美和 和歌山県和歌山市毛見135番地の29
Claims (1)
- 【請求項1】(a) 一般式(I) 【化1】 (式中、Rは直接結合、-CH2- 、-CH(CH3)- 、-C(CH3)2
- 、-C(CF3)2- 、-O- 、-CO-又は-SO2- を示し、m及び
nはそれぞれ0、1又は2の数を示し、a、b、c及び
dはそれぞれ0又は1の数を示す。但し、Rが直接結
合、-CH(CH3)- 、-C(CH3)2- 、-C(CF3)2- 、-CO-又は-S
O2- であるときは、m及びnはいずれも0である。)で
表わされ、且つ、ヒドロキシル基の総和〔Σ(m+n+
2)〕に対するアリル基の総和〔Σ(a+b+c+
d)〕の割合が次式(II) 【数1】 を満足するアリルフェノール系化合物の混合物からなる
組成物、及び(b) エポキシ樹脂とを含有することを特徴
とする熱硬化性樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29707592A JPH06145304A (ja) | 1992-11-06 | 1992-11-06 | 熱硬化性樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29707592A JPH06145304A (ja) | 1992-11-06 | 1992-11-06 | 熱硬化性樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06145304A true JPH06145304A (ja) | 1994-05-24 |
Family
ID=17841886
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29707592A Pending JPH06145304A (ja) | 1992-11-06 | 1992-11-06 | 熱硬化性樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06145304A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0931167A (ja) * | 1995-07-19 | 1997-02-04 | Mitsui Toatsu Chem Inc | 封止用液状エポキシ樹脂組成物およびその硬化物 |
JP2006278083A (ja) * | 2005-03-29 | 2006-10-12 | Nippon Steel Chem Co Ltd | 燃料電池セパレータ用組成物、燃料電池セパレータの製造方法および燃料電池セパレータ |
-
1992
- 1992-11-06 JP JP29707592A patent/JPH06145304A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0931167A (ja) * | 1995-07-19 | 1997-02-04 | Mitsui Toatsu Chem Inc | 封止用液状エポキシ樹脂組成物およびその硬化物 |
JP2006278083A (ja) * | 2005-03-29 | 2006-10-12 | Nippon Steel Chem Co Ltd | 燃料電池セパレータ用組成物、燃料電池セパレータの製造方法および燃料電池セパレータ |
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