JPH06144925A - 透光性イットリウム−アルミニウム−ガーネット焼結体およびその製造方法並びに時計用窓材 - Google Patents
透光性イットリウム−アルミニウム−ガーネット焼結体およびその製造方法並びに時計用窓材Info
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- JPH06144925A JPH06144925A JP4293164A JP29316492A JPH06144925A JP H06144925 A JPH06144925 A JP H06144925A JP 4293164 A JP4293164 A JP 4293164A JP 29316492 A JP29316492 A JP 29316492A JP H06144925 A JPH06144925 A JP H06144925A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】99.7〜99.99重量%のYAG中に、F
e,W,Mo,Pd,Agのうち少なくとも一種の金属
を0.01〜0.1重量%添加してなり、厚さ1mm当
たりの可視光の直線透過率が70%以上の透光性を有す
るもので、例えば、Al2 O3 粉末とY2 O3 粉末を混
合した粉末、もしくはこの粉末を仮焼し粉砕した粉末
に、Fe,W,Mo,Pd,Agのうち少なくとも一種
の金属を0.01〜0.1重量%添加し、混合した後成
形し、真空もしくは還元性雰囲気において1600〜1
900℃の温度で焼成することにより作成される。 【効果】厚さ1mm当たりの可視光の直線透過率を70
%以上とすることができ、時計用窓材,各種ランプ,装
飾品等に最適な材料を提供することができる。
e,W,Mo,Pd,Agのうち少なくとも一種の金属
を0.01〜0.1重量%添加してなり、厚さ1mm当
たりの可視光の直線透過率が70%以上の透光性を有す
るもので、例えば、Al2 O3 粉末とY2 O3 粉末を混
合した粉末、もしくはこの粉末を仮焼し粉砕した粉末
に、Fe,W,Mo,Pd,Agのうち少なくとも一種
の金属を0.01〜0.1重量%添加し、混合した後成
形し、真空もしくは還元性雰囲気において1600〜1
900℃の温度で焼成することにより作成される。 【効果】厚さ1mm当たりの可視光の直線透過率を70
%以上とすることができ、時計用窓材,各種ランプ,装
飾品等に最適な材料を提供することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透光性に優れた透光性
イットリウム−アルミニウム−ガーネット(以下、YA
Gという)焼結体およびその製造方法並びに時計用窓材
に関するもので、特に、厚さ1mm当たりの可視光の直
線透過率が70%以上の透光性YAG焼結体およびその
製造方法並びに時計用窓材に関するものである。
イットリウム−アルミニウム−ガーネット(以下、YA
Gという)焼結体およびその製造方法並びに時計用窓材
に関するもので、特に、厚さ1mm当たりの可視光の直
線透過率が70%以上の透光性YAG焼結体およびその
製造方法並びに時計用窓材に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、YAG(Y3 Al5 O12) は結晶型
が立方晶であるため、粒界散乱が起こりにくく、透明体
として良好であるため、各種の製法により透光性焼結体
を得る試みがなされている。
が立方晶であるため、粒界散乱が起こりにくく、透明体
として良好であるため、各種の製法により透光性焼結体
を得る試みがなされている。
【0003】このようなYAGは、単結晶により作成す
る方法、Al2 O3 粉末とY2 O3粉末をHIP処理や
ホットプレス焼成する方法、イットリウムイオンとアル
ミニウムイオンの尿素沈澱法等により製造されている
(例えば、特公昭54−8369号公報)。
る方法、Al2 O3 粉末とY2 O3粉末をHIP処理や
ホットプレス焼成する方法、イットリウムイオンとアル
ミニウムイオンの尿素沈澱法等により製造されている
(例えば、特公昭54−8369号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、単結
晶合成では高価であり、任意の形状に製作することが困
難であるという問題がある。また、HIP処理による場
合には装置が大きくなり、生産性が良くない。さらに、
ホットプレスにより製造する場合には、成形型に用いる
カーボンから焼結体に炭素が入り、透明度が下がるとい
う欠点がある。また、尿素沈澱法では、アンモニア蒸気
の処理が必要であり、環境に悪影響を与える虞がある。
晶合成では高価であり、任意の形状に製作することが困
難であるという問題がある。また、HIP処理による場
合には装置が大きくなり、生産性が良くない。さらに、
ホットプレスにより製造する場合には、成形型に用いる
カーボンから焼結体に炭素が入り、透明度が下がるとい
う欠点がある。また、尿素沈澱法では、アンモニア蒸気
の処理が必要であり、環境に悪影響を与える虞がある。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は、このよ
うな問題点に対して充分に検討を行った結果、助剤成分
として、Fe,W,Mo,Pd,Agのうち少なくとも
一種の金属を0.01〜0.1重量%添加すると、HI
P処理、ホットプレス焼成、尿素沈澱法等の特殊な方法
を用いなくても良好な透光性焼結体を得ることができる
ことを見出し、本発明に至った。
うな問題点に対して充分に検討を行った結果、助剤成分
として、Fe,W,Mo,Pd,Agのうち少なくとも
一種の金属を0.01〜0.1重量%添加すると、HI
P処理、ホットプレス焼成、尿素沈澱法等の特殊な方法
を用いなくても良好な透光性焼結体を得ることができる
ことを見出し、本発明に至った。
【0006】即ち、本発明の透光性YAG焼結体は、9
9.7〜99.99重量%のYAG中に、Fe,W,M
o,Pd,Agのうち少なくとも一種の金属を0.01
〜0.1重量%含有してなり、厚さ1mm当たりの可視
光の直線透過率が70%以上の透光性を有するものであ
る。
9.7〜99.99重量%のYAG中に、Fe,W,M
o,Pd,Agのうち少なくとも一種の金属を0.01
〜0.1重量%含有してなり、厚さ1mm当たりの可視
光の直線透過率が70%以上の透光性を有するものであ
る。
【0007】また、このような透光性YAG焼結体は、
純度がそれぞれ99.7%以上のAl2 O3 粉末とY2
O3 粉末を混合した後仮焼し、これを粉砕して原料粉末
とし、この原料粉末にFe,W,Mo,Pd,Agのう
ち少なくとも一種の金属を0.01〜0.1重量%添加
し、混合した後成形し、真空もしくは還元性雰囲気にお
いて1600〜1900℃の温度で焼成することにより
得られる。
純度がそれぞれ99.7%以上のAl2 O3 粉末とY2
O3 粉末を混合した後仮焼し、これを粉砕して原料粉末
とし、この原料粉末にFe,W,Mo,Pd,Agのう
ち少なくとも一種の金属を0.01〜0.1重量%添加
し、混合した後成形し、真空もしくは還元性雰囲気にお
いて1600〜1900℃の温度で焼成することにより
得られる。
【0008】さらに、純度がそれぞれ99.7%以上の
Al2 O3 粉末,Y2 O3 粉末およびFe,W,Mo,
Pd,Agのうち少なくとも一種の金属を0.01〜
0.1重量%添加し、混合した後成形し、真空もしくは
還元性雰囲気において1600〜1900℃の温度で焼
成することによっても得られる。
Al2 O3 粉末,Y2 O3 粉末およびFe,W,Mo,
Pd,Agのうち少なくとも一種の金属を0.01〜
0.1重量%添加し、混合した後成形し、真空もしくは
還元性雰囲気において1600〜1900℃の温度で焼
成することによっても得られる。
【0009】本発明の時計用窓材は、時計本体に取り付
けられる時計用窓材であって、YAG中に、Fe,W,
Mo,Pd,Agのうち少なくとも一種の金属を0.0
1〜0.1重量%含有してなり、厚さ1mm当たりの可
視光の直線透過率が70%以上の透光性を有するYAG
焼結体からなるものである。
けられる時計用窓材であって、YAG中に、Fe,W,
Mo,Pd,Agのうち少なくとも一種の金属を0.0
1〜0.1重量%含有してなり、厚さ1mm当たりの可
視光の直線透過率が70%以上の透光性を有するYAG
焼結体からなるものである。
【0010】ここで、純度がそれぞれ99.7%以上の
Al2 O3 粉末とY2 O3 粉末を使用するのは、純度が
99.7%よりも低いと焼結体中に不純物が存在し、そ
の透光性が低下するからである。Al2 O3 粉末とY2
O3 粉末の純度は99.9%以上であることが望まし
い。
Al2 O3 粉末とY2 O3 粉末を使用するのは、純度が
99.7%よりも低いと焼結体中に不純物が存在し、そ
の透光性が低下するからである。Al2 O3 粉末とY2
O3 粉末の純度は99.9%以上であることが望まし
い。
【0011】また、YAG中にFe,W,Mo,Pd,
Agのうち少なくとも一種の金属を添加したのは、これ
らの助剤が核となってYAG化を促進するとともに、粒
成長を均一化することができ、異常粒成長を抑制するこ
とができるからである。また、これらの助剤は焼成時に
良好に金属化するからであり、これらの助剤を使用して
も焼結体に色が付着することが殆どないからである。そ
して、これらの助剤を0.01〜0.1重量%添加した
のは、0.01重量%よりも少ないと、原料粉末による
YAG化を十分に促進することができなくなり、粒成長
の均一化という効果を十分に達成することができなくな
るからである。また、0.1重量%よりも多いと、粒界
に第2相が析出して焼結体の透光性が低下するからであ
る。
Agのうち少なくとも一種の金属を添加したのは、これ
らの助剤が核となってYAG化を促進するとともに、粒
成長を均一化することができ、異常粒成長を抑制するこ
とができるからである。また、これらの助剤は焼成時に
良好に金属化するからであり、これらの助剤を使用して
も焼結体に色が付着することが殆どないからである。そ
して、これらの助剤を0.01〜0.1重量%添加した
のは、0.01重量%よりも少ないと、原料粉末による
YAG化を十分に促進することができなくなり、粒成長
の均一化という効果を十分に達成することができなくな
るからである。また、0.1重量%よりも多いと、粒界
に第2相が析出して焼結体の透光性が低下するからであ
る。
【0012】本発明のYAG焼結体は、例えば、以下の
ようにして作製される。先ず、それぞれ純度が99.7
%以上、BET比表面積5m2 /g以上のAl2 O3 粉
末とY2 O3 粉末を、Al2 O3 :Y2 O3 が0.4
3:0.57となるように調製し、この混合粉末を所望
により仮焼後、成形する。仮焼する場合は、完全にYA
G化させるか、YAG化が終了する前の段階、即ち、Y
AM+Al2 O3 とYAGが混在している状態まで行
う。完全にYAG化するまで仮焼すると仮焼後に微細に
粉砕することが困難となるので、この点を考慮とすると
YAG化が終了する前の段階まで仮焼することが望まし
い。従って、YAM+Al2 O3 とYAGが混在してい
る中に、Fe,W,Mo,Pd,Agのうち少なくとも
一種の金属を0.01〜0.1重量%添加して焼成する
と、金属粉末が核となってYAG化を促進するととも
に、粒成長を均一化することができ、異常粒成長を抑制
することができる。仮焼は、1000〜1600℃の温
度で行うことが望ましい。仮焼温度が1000℃よりも
低いとYAG化が生じ難く、1600℃よりも高いと活
性化が低下し、緻密な焼結体を作成することができず、
或いは粉砕に長時間を要するようになるからである。
ようにして作製される。先ず、それぞれ純度が99.7
%以上、BET比表面積5m2 /g以上のAl2 O3 粉
末とY2 O3 粉末を、Al2 O3 :Y2 O3 が0.4
3:0.57となるように調製し、この混合粉末を所望
により仮焼後、成形する。仮焼する場合は、完全にYA
G化させるか、YAG化が終了する前の段階、即ち、Y
AM+Al2 O3 とYAGが混在している状態まで行
う。完全にYAG化するまで仮焼すると仮焼後に微細に
粉砕することが困難となるので、この点を考慮とすると
YAG化が終了する前の段階まで仮焼することが望まし
い。従って、YAM+Al2 O3 とYAGが混在してい
る中に、Fe,W,Mo,Pd,Agのうち少なくとも
一種の金属を0.01〜0.1重量%添加して焼成する
と、金属粉末が核となってYAG化を促進するととも
に、粒成長を均一化することができ、異常粒成長を抑制
することができる。仮焼は、1000〜1600℃の温
度で行うことが望ましい。仮焼温度が1000℃よりも
低いとYAG化が生じ難く、1600℃よりも高いと活
性化が低下し、緻密な焼結体を作成することができず、
或いは粉砕に長時間を要するようになるからである。
【0013】Al2 O3 粉末,Y2 O3 粉末の平均結晶
粒径は、それぞれ2μm以下であることが好ましい。平
均粒径が2μmより大きくなると焼結における活性が悪
くなり、ボイドが生成され易く、緻密性が低下し透光性
が低下するからである。
粒径は、それぞれ2μm以下であることが好ましい。平
均粒径が2μmより大きくなると焼結における活性が悪
くなり、ボイドが生成され易く、緻密性が低下し透光性
が低下するからである。
【0014】そして、Al2 O3 粉末とY2 O3 粉末の
混合粉末、或いはこれを上述したように仮焼し粉砕した
ものを原料粉末とし、この原料粉末に、Fe,W,M
o,Pd,Agのうち少なくとも一種の金属粉末を合計
0.01〜0.1重量%添加する。金属粉末の添加量
は、0.01〜0.05重量%が特に好ましい。
混合粉末、或いはこれを上述したように仮焼し粉砕した
ものを原料粉末とし、この原料粉末に、Fe,W,M
o,Pd,Agのうち少なくとも一種の金属粉末を合計
0.01〜0.1重量%添加する。金属粉末の添加量
は、0.01〜0.05重量%が特に好ましい。
【0015】ところで、Al2 O3 粉末とY2 O3 粉末
の混合粉末をそのまま1600℃以上の温度で焼成する
と、混合粉末からYAM+Al2 O3 が生成し、YAM
+Al2 O3 からYAGへ結晶が変化し、体積も段階的
に収縮していくが、YAM+Al2 O3 からYAGへ変
化する際に一時的に体積膨張が生じ、これにより、焼結
体中に欠陥を生じ、均一な焼結体を作成することが難し
くなることがあるため、本発明では、Al2 O3 粉末と
Y2 O3 粉末の混合粉末を仮焼することが特に望まし
く、仮焼粉末を焼成することにより成形後の焼成で体積
膨張を生じることがなく、これにより、焼結体中のボイ
ドや欠陥の発生を抑制し、均一な焼結体を作成すること
が可能となる。
の混合粉末をそのまま1600℃以上の温度で焼成する
と、混合粉末からYAM+Al2 O3 が生成し、YAM
+Al2 O3 からYAGへ結晶が変化し、体積も段階的
に収縮していくが、YAM+Al2 O3 からYAGへ変
化する際に一時的に体積膨張が生じ、これにより、焼結
体中に欠陥を生じ、均一な焼結体を作成することが難し
くなることがあるため、本発明では、Al2 O3 粉末と
Y2 O3 粉末の混合粉末を仮焼することが特に望まし
く、仮焼粉末を焼成することにより成形後の焼成で体積
膨張を生じることがなく、これにより、焼結体中のボイ
ドや欠陥の発生を抑制し、均一な焼結体を作成すること
が可能となる。
【0016】これにより、厚さ1mm当たりの可視光の
直線透過率をさらに高めることができる。また、仮焼す
ることによりある程度のYAG化を生じさせることがで
きるとともに、体積の収縮を生じさせることができるた
め、仮焼粉末を原料とすると相対密度の高い成形体を得
ることができる。
直線透過率をさらに高めることができる。また、仮焼す
ることによりある程度のYAG化を生じさせることがで
きるとともに、体積の収縮を生じさせることができるた
め、仮焼粉末を原料とすると相対密度の高い成形体を得
ることができる。
【0017】原料粉末に金属粉末を添加したものに所定
のバインダーを添加し、ポットミル,回転ミル等で混合
粉砕し、乾燥した後、80メッシュパスで整粒する。こ
れを所望の成形手段、例えば、金型プレス,冷間静水圧
プレス,押出し成形等により任意の形状に成形する。例
えば、金型プレスによる場合には、2.5ton/cm
3 以上で行い、生成形体の密度をできるだけ上げる。成
形体の生密度は、焼結性を向上し、焼結後のボイドの生
成を抑制して透光性を上げるため、2.0g/cm3 以
上となることが好ましい。
のバインダーを添加し、ポットミル,回転ミル等で混合
粉砕し、乾燥した後、80メッシュパスで整粒する。こ
れを所望の成形手段、例えば、金型プレス,冷間静水圧
プレス,押出し成形等により任意の形状に成形する。例
えば、金型プレスによる場合には、2.5ton/cm
3 以上で行い、生成形体の密度をできるだけ上げる。成
形体の生密度は、焼結性を向上し、焼結後のボイドの生
成を抑制して透光性を上げるため、2.0g/cm3 以
上となることが好ましい。
【0018】そして、この成形体を、例えば、真空度が
1×10-2torr以上である真空雰囲気において、160
0〜1900℃で2〜20時間焼成する。真空度は、特
に1×10-3torr以上が好ましい。昇温速度は、1時間
当たり200℃以下が好ましい。真空雰囲気で焼成する
代わりに、水素雰囲気或いは窒素雰囲気等の還元性雰囲
気で焼成しても良い。H2 やN2 等の還元性雰囲気中で
焼成するのは、O2 に比べH2 やN2 は拡散が速いた
め、焼結体の緻密化を容易に達成することができるから
である。真空焼成も同様の理由で良好である。
1×10-2torr以上である真空雰囲気において、160
0〜1900℃で2〜20時間焼成する。真空度は、特
に1×10-3torr以上が好ましい。昇温速度は、1時間
当たり200℃以下が好ましい。真空雰囲気で焼成する
代わりに、水素雰囲気或いは窒素雰囲気等の還元性雰囲
気で焼成しても良い。H2 やN2 等の還元性雰囲気中で
焼成するのは、O2 に比べH2 やN2 は拡散が速いた
め、焼結体の緻密化を容易に達成することができるから
である。真空焼成も同様の理由で良好である。
【0019】1600〜1900℃の温度で焼成するの
は、1600℃よりも低い温度で焼成すると、焼結が不
十分であり緻密化せず透光性が低下するからであり、1
900℃よりも高い温度で焼成すると、異常粒成長が生
じ、粒界からの割れが発生したり溶解してしまうからで
ある。また、YAGの蒸発が生じ、均質な焼結体を作成
することができなくなるからである。
は、1600℃よりも低い温度で焼成すると、焼結が不
十分であり緻密化せず透光性が低下するからであり、1
900℃よりも高い温度で焼成すると、異常粒成長が生
じ、粒界からの割れが発生したり溶解してしまうからで
ある。また、YAGの蒸発が生じ、均質な焼結体を作成
することができなくなるからである。
【0020】このようにして作成されたYAG焼結体
は、厚さ1mm当たりの可視光の直線透過率70%以上
の高い透過性を有し、かつ、強度,硬度に優れることか
ら特に時計用窓材として好適に使用される。
は、厚さ1mm当たりの可視光の直線透過率70%以上
の高い透過性を有し、かつ、強度,硬度に優れることか
ら特に時計用窓材として好適に使用される。
【0021】
【作用】本発明の透光性YAG焼結体では、Al2 O3
粉末とY2 O3 粉末との混合粉末にFe,W,Mo,P
d,Agのうち少なくとも一種の金属を0.01〜0.
1重量%添加して焼成したり、Al2 O3 粉末とY2 O
3 粉末の混合粉末を仮焼し、この原料粉末にFe,W,
Mo,Pd,Agのうち少なくとも一種の金属を0.0
1〜0.1重量%添加して焼成したので、Fe,W,M
o,Pd,Agが核となってYAG化を促進するととも
に、粒成長を均一化することができ、異常粒成長を抑制
することができる。これにより、厚さ1mm当たりの可
視光の直線透過率を70%以上とすることができる。
粉末とY2 O3 粉末との混合粉末にFe,W,Mo,P
d,Agのうち少なくとも一種の金属を0.01〜0.
1重量%添加して焼成したり、Al2 O3 粉末とY2 O
3 粉末の混合粉末を仮焼し、この原料粉末にFe,W,
Mo,Pd,Agのうち少なくとも一種の金属を0.0
1〜0.1重量%添加して焼成したので、Fe,W,M
o,Pd,Agが核となってYAG化を促進するととも
に、粒成長を均一化することができ、異常粒成長を抑制
することができる。これにより、厚さ1mm当たりの可
視光の直線透過率を70%以上とすることができる。
【0022】また、本発明によれば、従来のように単結
晶合成,HIP処理,ホットプレス,イットリウムイオ
ンとアルミニウムイオンの尿素沈澱等の特殊な方法を用
いる必要がないので、安価にかつ容易に透光性YAG焼
結体を得ることができる。
晶合成,HIP処理,ホットプレス,イットリウムイオ
ンとアルミニウムイオンの尿素沈澱等の特殊な方法を用
いる必要がないので、安価にかつ容易に透光性YAG焼
結体を得ることができる。
【0023】さらに、多結晶YAG焼結体を使用して透
明体を製造するため、低価格となり、強度が安定し、任
意の形状を容易に製造でき、研磨等の加工を容易に行う
ことができる。
明体を製造するため、低価格となり、強度が安定し、任
意の形状を容易に製造でき、研磨等の加工を容易に行う
ことができる。
【0024】
【実施例】先ず、原料粉末として、それぞれ純度が9
9.8%、BET比表面積5m2 /g、平均結晶粒径が
0.7μmであるAl2 O3 粉末129gとY2 O3 粉
末171gを用意し、これと、高純度アルミナボール6
00gと溶媒としてのイソプロピルアルコール(IP
A)を300gをポリポットに投入し、回転ミルで24
時間混合粉砕した。混合したスラリーを325メッシュ
に通し乾燥させた後、80メッシュを通し、均一な粉末
を得た。
9.8%、BET比表面積5m2 /g、平均結晶粒径が
0.7μmであるAl2 O3 粉末129gとY2 O3 粉
末171gを用意し、これと、高純度アルミナボール6
00gと溶媒としてのイソプロピルアルコール(IP
A)を300gをポリポットに投入し、回転ミルで24
時間混合粉砕した。混合したスラリーを325メッシュ
に通し乾燥させた後、80メッシュを通し、均一な粉末
を得た。
【0025】この粉末を表1に示す温度で電気炉により
仮焼した後、表1に示す助剤を表1に示す量だけ添加
し、これと、高純度アルミナボール600gと溶媒とし
てのイソプロピルアルコール(IPA)を300gをポ
リポットに投入し、回転ミルで24時間混合粉砕した。
混合したスラリーを325メッシュに通し乾燥させた
後、80メッシュを通し、均一な粉末を得た。この粉末
を金型プレスおよび冷間静水圧プレスを用い2.5g/
cm3 の生密度の成形体を作成した。この成形体を表1
に示す焼成温度,焼成時間,焼成雰囲気で焼成した。真
空雰囲気における真空度は1×10-2torr以上であっ
た。
仮焼した後、表1に示す助剤を表1に示す量だけ添加
し、これと、高純度アルミナボール600gと溶媒とし
てのイソプロピルアルコール(IPA)を300gをポ
リポットに投入し、回転ミルで24時間混合粉砕した。
混合したスラリーを325メッシュに通し乾燥させた
後、80メッシュを通し、均一な粉末を得た。この粉末
を金型プレスおよび冷間静水圧プレスを用い2.5g/
cm3 の生密度の成形体を作成した。この成形体を表1
に示す焼成温度,焼成時間,焼成雰囲気で焼成した。真
空雰囲気における真空度は1×10-2torr以上であっ
た。
【0026】得られた焼結体をX線回折装置により測定
したところ、YAGの生成を確認した。そして、得られ
た焼結体を厚さ1mmに研磨した後、1μmのダイヤモ
ンドペーストで鏡面仕上げを行った。この焼結体の波長
600nmの可視光の直線透過率を赤外分光計により測
定した。尚、可視光とは波長が300〜800nmの光
をいう。この実験結果を表1に示す。
したところ、YAGの生成を確認した。そして、得られ
た焼結体を厚さ1mmに研磨した後、1μmのダイヤモ
ンドペーストで鏡面仕上げを行った。この焼結体の波長
600nmの可視光の直線透過率を赤外分光計により測
定した。尚、可視光とは波長が300〜800nmの光
をいう。この実験結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】この実験結果より、本発明のYAG焼結体
は、厚さ1mm当たりの可視光の直線透過率が70%で
あった。
は、厚さ1mm当たりの可視光の直線透過率が70%で
あった。
【0029】尚、試料No.1及び11〜14は、仮焼す
ることなく、Al2 O3 粉末とY2O3 粉末の混合粉末
に助剤を添加して焼成した例である。また、本発明者等
は1950℃で焼成する実験を行ったが、溶解してしま
い冷却中に割れが生じた。
ることなく、Al2 O3 粉末とY2O3 粉末の混合粉末
に助剤を添加して焼成した例である。また、本発明者等
は1950℃で焼成する実験を行ったが、溶解してしま
い冷却中に割れが生じた。
【0030】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の透光性YA
G焼結体およびその製造方法では、Fe,W,Mo,P
d,Agが核となってYAG化を促進するとともに、粒
成長を均一化することができ、異常粒成長を抑制するこ
とができる。これにより、厚さ1mm当たりの可視光の
直線透過率を70%以上とすることができ、時計用窓材
以外として、ハロゲンランプ等の各種ランプ,装飾品等
に最適な材料を提供することができる。
G焼結体およびその製造方法では、Fe,W,Mo,P
d,Agが核となってYAG化を促進するとともに、粒
成長を均一化することができ、異常粒成長を抑制するこ
とができる。これにより、厚さ1mm当たりの可視光の
直線透過率を70%以上とすることができ、時計用窓材
以外として、ハロゲンランプ等の各種ランプ,装飾品等
に最適な材料を提供することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】99.7〜99.99重量%のイットリウ
ム−アルミニウム−ガーネット中に、Fe,W,Mo,
Pd,Agのうち少なくとも一種の金属を0.01〜
0.1重量%含有してなり、厚さ1mm当たりの可視光
の直線透過率が70%以上の透光性を有することを特徴
とする透光性イットリウム−アルミニウム−ガーネット
焼結体。 - 【請求項2】純度がそれぞれ99.7%以上のAl2 O
3 粉末とY2 O3 粉末を混合した粉末、もしくはこの粉
末を仮焼し粉砕した粉末に、Fe,W,Mo,Pd,A
gのうち少なくとも一種の金属を0.01〜0.1重量
%添加した後所定形状に成形し、真空もしくは還元性雰
囲気において1600〜1900℃の温度で焼成するこ
とを特徴とする透光性イットリウム−アルミニウム−ガ
ーネット焼結体の製造方法。 - 【請求項3】時計本体に取り付けられる時計用窓材であ
って、イットリウム−アルミニウム−ガーネット中に、
Fe,W,Mo,Pd,Agのうち少なくとも一種の金
属を0.01〜0.1重量%含有してなり、厚さ1mm
当たりの可視光の直線透過率が70%以上の透光性を有
するイットリウム−アルミニウム−ガーネット焼結体か
らなることを特徴とする時計用窓材。
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---|---|---|---|
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JP29316492A JP3214927B2 (ja) | 1992-10-30 | 1992-10-30 | 透光性イットリウム−アルミニウム−ガーネット焼結体およびその製造方法並びに時計用窓材 |
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ID=17791249
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JP29316492A Expired - Fee Related JP3214927B2 (ja) | 1992-10-30 | 1992-10-30 | 透光性イットリウム−アルミニウム−ガーネット焼結体およびその製造方法並びに時計用窓材 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US7691765B2 (en) | 2005-03-31 | 2010-04-06 | Fujifilm Corporation | Translucent material and manufacturing method of the same |
CN114409394A (zh) * | 2022-01-17 | 2022-04-29 | 江苏师范大学 | 一种大尺寸yag透明陶瓷薄片的制备方法 |
JP2023013980A (ja) * | 2021-07-16 | 2023-01-26 | オメガ・エス アー | 光透過性の外側要素を備えるデュワーデバイス |
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KR102167030B1 (ko) | 2020-08-21 | 2020-10-16 | 주식회사 케이티앤지 | 에어로졸 발생원 지지 조립체 및 이를 구비한 에어로졸 생성 장치 |
-
1992
- 1992-10-30 JP JP29316492A patent/JP3214927B2/ja not_active Expired - Fee Related
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