JPH06144291A - 車体前部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インパネリインフォースの重量増を招くこと
なく、インパネリインフォースの屈曲を防止することが
できるインパネリインフォースの支持構造を得る。 【構成】 カウル１２には取付手段としのブラケット１
４が固定されている。ブラケット１４のボデー取付部１
８と反対側の端部には、半球状の凸部２８が形成されて
おり、凸部２８の外周部近傍には、インパネリインフォ
ース３０の端部３０Ａが溶着されている。ブラケット１
４のボデー取付部１８と凸部２８との間には、脆弱部と
しての孔３２が穿設されている。この孔３２はボデー取
付部１８側が広く、凸部２８側が狭い台形状とされてお
り、ブラケット１４のボデー取付部１８と、ブラケット
１４のインパネリインフォース３０との接合部との間が
容易に捩変形するようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車の車体前部構造
に係り、特に、エプロンアッパメンバ内にリインフォー
スを備えた車体前部構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、自動車の車体前部の車幅方向
両端上部に車体前後方向に沿って延びるエプロンアッパ
メンバ内にリインフォースを配設した車体前部構造が知
られており、この車体前部構造の一例が特開平２−１０
８６６３号公報に示されている。

【０００３】図５に示される如く、この車体前部構造で
は、エプロンアッパメンバ７０が、エプロンアッパメン
バアッパ７２とエプロンアッパメンバロア７４とで構成
された閉断面構造とされており、このエプロンアッパメ
ンバ７０の車幅方向内側には、サスペンションのコイル
スプリング支持用のスプリングサポートプレート７８が
設けられている。

【０００４】このスプリングサポートプレート７８の車
幅方向外側端部には、エプロンアッパメンバ７０の閉断
面構造７６内を対角線に沿って横切るリインフォースと
しての延設部７８Ａが設けられており、スプリングサポ
ートからの入力に対してエプロンアッパメンバ７０の断
面変形を防止している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この車
体前部構造においては、図６に示される如く、スプリン
グサポートプレート７８の前後の部位において、エプロ
ンアッパメンバ７０の閉断面構造７６内に、スプリング
サポートプレート７８の延設部７８Ａが存在していな
い。従って、サスペンションからの入力によって、エプ
ロンアッパメンバ７０が断面変形し易い。また、スプリ
ングサポートプレート７８の前後の部位においては、エ
プロンアッパメンバ７０とホイルハウス部８０との結合
部８２が屈曲しているため、サスペンションからの入力
によって、この結合部８２の屈曲角θが開閉し、図６の
想像線で示される如く変形する。

【０００６】本発明は上記事実を考慮し、エプロンアッ
パメンバの断面変形を抑制するとともに、エプロンアッ
パメンバとホイルハウス部との結合部の曲げ変形を抑制
することができる車体前部構造を得ることが目的であ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１記載の
車体前部構造は、車体前部の車幅方向両端上部に車体前
後方向に沿って延びるエプロンアッパメンバの上壁部と
内壁部とを構成するエプロンアッパメンバアッパと、前
記エプロンアッパメンバの下壁部と外壁部とを構成し前
記エプロンアッパメンバアッパとで閉断面構造を形成す
るエプロンアッパメンバロアと、前記閉断面構造内の前
記エプロンアッパメンバアッパと前記エプロンアッパメ
ンバロアとの結合部を結ぶ対角線上に配置されるととも
に車幅方向内側端部が前記エプロンアッパメンバとスプ
リングサポート前後のホイルハウス部との結合部とを跨
いで延設され前記ホイルハウス部に結合されたリインフ
ォースと、を備えたことを特徴としている。

【０００８】

【作用】本発明の請求項１記載の車体前部構造では、エ
プロンアッパメンバの閉断面構造内の、エプロンアッパ
メンバアッパとエプロンアッパメンバロアとの結合部を
結ぶ対角線上にリインフォースメントを設けたことによ
り、サスペンションからの入力に対してエプロンアッパ
メンバの断面変形を抑制することができる。

【０００９】また、リインフォースの車幅方向内側端部
がエプロンアッパメンバとスプリングサポート前後のホ
イルハウス部との結合部とを跨いで延設され、ホイルハ
ウス部に結合されているため、リインフォースメントの
延設部によって、エプロンアッパメンバとホイルハウス
部との結合部の曲げ強度を向上することができ、エプロ
ンアッパメンバとホイルハウス部との結合部の曲げ変形
を抑制することができる。

【００１０】

【実施例】本発明の車体前部構造の一実施例について図
１〜図４に従って説明する。なお、図中矢印ＦＲは車体
前方方向を、矢印ＵＰは車体上方方向を、矢印ＩＮは車
幅内側方向を示す。

【００１１】図３に示される如く、自動車車体１０の前
部にはエンジンルーム１０Ａが形成されており、このエ
ンジンルーム１０Ａの車幅方向外側下部には、車体前後
方向へ延びるフロントサイドメンバ１２が配設されてい
る。

【００１２】このフロントサイドメンバ１２は、フロン
トサイドメンバ１２の車幅方向内側部を構成するフロン
トサイドメンバインナ１４と、フロントサイドメンバ１
２の車幅方向外側部を構成するフロントサイドメンバア
ウタ１６とで構成されている。

【００１３】図１に示される如く、フロントサイドメン
バインナ１４の車体前方向から見た断面形状は、開口部
を車幅方向外側へ向けたコ字状とされており、上壁部１
４Ａの車幅方向外側縁部は、車体上下方向上側へ屈曲さ
れフランジ１４Ｂとされている。また、フロントサイド
メンバインナ１４の下壁部１４Ｃの車幅方向外側縁部
は、車体上下方向下側へ屈曲されフランジ１４Ｄとされ
ている。

【００１４】フロントサイドメンバアウタ１６は平板状
とされており、このフロントサイドメンバアウタ１６の
上端縁部１６Ａにはフロントサイドメンバインナ１４の
フランジ１４Ｂが溶着されている。また、フロントサイ
ドメンバアウタ１６の下端縁部１６Ｂにはフロントサイ
ドメンバインナ１４のフランジ１４Ｄが溶着されてお
り、フロントサイドメンバ１２は車体前後方向へ延びる
閉断面構造とされている。

【００１５】図３に示される如く、フロントサイドメン
バ１２の上側には、フロントスプリングサポート１７が
配設されている。

【００１６】図１に示される如く、フロントスプリング
サポート１７の下端縁部１７Ａは、フロントサイドメン
バアウタ１６の上端縁部１６Ａに溶着されている。

【００１７】図３に示される如く、フロントスプリング
サポート１７の後側には、フロントスプリングサポート
１７とともにホイルハウス部を構成するフロントフェン
ダエプロンリヤ１８が配置されており、フロントフェン
ダエプロンリヤ１８の前端縁部１８Ａは、フロントスプ
リングサポート１７の後端縁部１７Ｂに溶着されてい
る。また、フロントフェンダエプロンリヤ１８の下端縁
部１８Ｂはフロントサイドメンバアウタ１６の上端縁部
１６Ａに溶着されている。

【００１８】フロントスプリングサポート１７の前側に
は、フロントスプリングサポート１７とともにホイルハ
ウス部を構成するフロントフェンダエプロンフロント１
９が配置されており、フロントフェンダエプロンフロン
ト１９の後端縁部１９Ａは、フロントスプリングサポー
ト１７の前端縁部１７Ｃに溶着されている。また、フロ
ントフェンダエプロンフロント１９の下端縁部１９Ｂは
フロントサイドメンバアウタ１６の上端縁部１６Ａに溶
着されている。

【００１９】フロントスプリングサポート１７の上部の
車体前後方向中央部は、車幅方向内側へ膨出しており、
この膨出部の頂部内側には、アッパサポートプレート２
０が設けられている。

【００２０】アッパサポートプレート２０の車幅方向外
側には、エプロンアッパメンバ２２が車体前後方向に沿
って配置されている。このエプロンアッパメンバ２２
は、エプロンアッパメンバ２２の上壁部２２Ａと内壁部
２２Ｂとを構成するエプロンアッパメンバアッパ２４
と、エプロンアッパメンバ２２の下壁部２２Ｃと外壁部
２２Ｄとを構成するエプロンアッパメンバロア２６とか
ら成る。

【００２１】図１に示される如く、エプロンアッパメン
バアッパ２４の車体前方向から見た断面形状は、角部を
車幅方向内側上方へ向けたＬ字状とされており、上壁部
２４Ａの車幅方向外側縁部は車体上下方向上側へ一段高
くなったフランジ２４Ｂとされている。また、エプロン
アッパメンバアッパ２４の内壁部２４Ｃの下端縁部は車
体上下方向下側へ延設されフランジ２４Ｄとされてい
る。

【００２２】エプロンアッパメンバロア２６の車体前方
向から見た断面形状は、角部を車幅方向外側下方へ向け
たＬ字状とされている。外壁部２６Ａの上端縁部は車幅
方向外側へ屈曲されフランジ２６Ｂとされており、この
フランジ２６Ｂはエプロンアッパメンバアッパ２４のフ
ランジ２４Ｂと溶着されている。また、エプロンアッパ
メンバロア２６の下壁部２６Ｃの車幅方向内側縁部は車
体上下方向下側へ屈曲されフランジ２６Ｄとされてお
り、このフランジ２６Ｄはエプロンアッパメンバアッパ
２４のフランジ２４Ｄと溶着されている。

【００２３】図３に示される如く、エプロンアッパメン
バアッパ２４のフランジ２４Ｄとエプロンアッパメンバ
ロア２６のフランジ２６Ｄとには、フロントフェンダエ
プロンリヤ１８の上端縁部１８Ｃと、フロントフェンダ
エプロンフロント１９の上端縁部１９Ｃとが溶着されて
いる。

【００２４】また、エプロンアッパメンバアッパ２４の
内壁部２４Ｃには、フロントスプリングサポート１７の
上部の車体前後方向両端部に形成された縦壁部１７Ｄが
溶着されている。また、フロントスプリングサポート１
７の縦壁部１７Ｄの上端縁部は、車幅方向外側へ屈曲さ
れフランジ１７Ｅとされており、このフランジ１７Ｅが
エプロンアッパメンバアッパ２４の上壁部２４Ａに溶着
されている。

【００２５】従って、エプロンアッパメンバ２２は、エ
プロンアッパメンバアッパ２４とエプロンアッパメンバ
ロア２６とで閉断面構造２８とされている。

【００２６】この閉断面構造２８内のエプロンアッパメ
ンバアッパ２４とエプロンアッパメンバロア２６との結
合部を結ぶ対角線上にはリインフォースメント３０が配
置されている。

【００２７】図４に示される如く、リインフォースメン
ト３０は車体前後方向に沿って長尺状とされている。リ
インフォースメント３０の車幅方向外側縁部は略水平に
屈曲されフランジ３０Ａとされている。

【００２８】図１に示される如く、リインフォースメン
ト３０のフランジ３０Ａはエプロンアッパメンバアッパ
２４のフランジ２４Ｂとエプロンアッパメンバロア２６
のフランジ２４Ｂとに挟持されている。また、リインフ
ォースメント３０の車幅方向内側縁部は、車体上下方向
下側へ屈曲されフランジ３０Ｂとされており、このフラ
ンジ３０Ｂはエプロンアッパメンバアッパ２４のフラン
ジ２４Ｄとエプロンアッパメンバロア２６のフランジ２
６Ｄとに挟持されている。

【００２９】図４に示される如く、リインフォースメン
ト３０のフランジ３０Ｂの車体前後方向両端部は、車幅
方向内側へ向けて延設され延設部３０Ｃ、３０Ｄとされ
ている。

【００３０】図３に示される如く、リインフォースメン
ト３０の前側の延設部３０Ｃは、フロントフェンダエプ
ロンフロント１９の後端縁部１９Ａを挟んで、フロント
スプリングサポート１７の前端縁部１７Ｃの上端部に溶
着されている。

【００３１】図１に示される如く、リインフォースメン
ト３０の後側の延設部３０Ｄは、フロントフェンダエプ
ロンリヤ１８の前端縁部１８Ａを挟んで、フロントスプ
リングサポート１７の後端縁部１７Ｂの上端部に溶着さ
れている。

【００３２】従って、リインフォースメント３０の延設
部３０Ｃ、３０Ｄによって、アッパサポートプレート２
０の前後の部位における、エプロンアッパメンバ２２と
フロントスプリングサポート１７との結合部が補強され
ている。

【００３３】図２に示される如く、アッパサポートプレ
ート２０の外周部には、下方へ向けてフランジ２０Ａが
形成されており、このフランジ２０Ａがフロントスプリ
ングサポート１７の膨出部の上端縁部と、エプロンアッ
パメンバアッパ２４の内壁部２４Ｃの上端縁部に溶着さ
れている。

【００３４】次に本実施例の作用を説明する。本実施例
の車体前部構造においては、エプロンアッパメンバ２２
の閉断面構造２８内の、エプロンアッパメンバアッパ２
４とエプロンアッパメンバロア２６との結合部を結ぶ対
角線上にリインフォースメント３０を設けたことによ
り、サスペンションからの入力に対して、エプロンアッ
パメンバ２２の断面変形を抑制することができる。

【００３５】また、リインフォース３０の延設部３０
Ｃ、３０Ｄが、エプロンアッパメンバアッパ２４とエプ
ロンアッパメンバロア２６と、スプリングサポート１７
の前後のフロントフェンダエプロンリヤ１８及びフロン
トフェンダエプロンフロント１９との結合部とを跨いで
延設され、ホイルハウス部を構成するスプリングサポー
ト１７、フロントフェンダエプロンリヤ１８及びフロン
トフェンダエプロンフロント１９に結合されている。こ
のため、リインフォースメント３０の延設部３０Ｃ、３
０Ｄによって、エプロンアッパメンバ２２とホイルハウ
ス部との結合部（図１の矢印Ａの部位）の曲げ強度を向
上することができ、図１の想像線で示される様なエプロ
ンアッパメンバ２２とホイルハウス部との結合部の曲げ
変形を抑制することができる。

【００３６】また、本実施例では、図２の想像線で示さ
れる様なエプロンアッパメンバ２２とアッパサポートプ
レート２０の結合部の変形も抑制することができる。

【００３７】

【発明の効果】本発明の車体前部構造は、車体前部の車
幅方向両端上部に車体前後方向に沿って延びるエプロン
アッパメンバの上壁部と内壁部とを構成するエプロンア
ッパメンバアッパと、エプロンアッパメンバの下壁部と
外壁部とを構成しエプロンアッパメンバアッパとで閉断
面構造を形成するエプロンアッパメンバロアと、閉断面
構造内のエプロンアッパメンバアッパとエプロンアッパ
メンバロアとの結合部を結ぶ対角線上に配置されるとと
もに車幅方向内側端部がエプロンアッパメンバとスプリ
ングサポート前後のホイルハウス部との結合部とを跨い
で延設されホイルハウス部に結合されたリインフォース
と、を備えた構成としたので、エプロンアッパメンバの
断面変形を抑制するとともに、エプロンアッパメンバと
ホイルハウス部との結合部の曲げ変形を抑制することが
できるという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】図３の１−１線断面図である。

【図２】図３の２−２線断面図である。

【図３】本発明の一実施例の車体前部構造を示す車体内
側斜め前方から見た斜視図である。

【図４】本発明の一実施例の車体前部構造を示す車体内
側斜め前方から見た分解斜視図である。

【図５】従来例の車体前部構造を示す車体内側斜め前方
から見た斜視図である。

【図６】図５の６−６線断面図である。

【符号の説明】

１０ 自動車車体 １７ フロントスプリングサポート １８ フロントフェンダエプロンリヤ １９ フロントフェンダエプロンフロント ２０ アッパサポートプレート ２２ エプロンアッパメンバ ２２Ａ 上壁部 ２２Ｂ 内壁部 ２２Ｃ 下壁部 ２２Ｄ 外壁部 ２４ エプロンアッパメンバアッパ ２６ エプロンアッパメンバロア ２８ 閉断面構造 ３０ リインフォースメント ３０Ｃ 延設部 ３０Ｄ 延設部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体前部の車幅方向両端上部に車体前後
   方向に沿って延びるエプロンアッパメンバの上壁部と内
   壁部とを構成するエプロンアッパメンバアッパと、前記
   エプロンアッパメンバの下壁部と外壁部とを構成し前記
   エプロンアッパメンバアッパとで閉断面構造を形成する
   エプロンアッパメンバロアと、前記閉断面構造内の前記
   エプロンアッパメンバアッパと前記エプロンアッパメン
   バロアとの結合部を結ぶ対角線上に配置されるとともに
   車幅方向内側端部が前記エプロンアッパメンバとスプリ
   ングサポート前後のホイルハウス部との結合部とを跨い
   で延設され前記ホイルハウス部に結合されたリインフォ
   ースと、を備えたことを特徴とする車体前部構造。