JPH06144180A - 制動力配分制御装置 - Google Patents

制動力配分制御装置

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JPH06144180A
JPH06144180A JP33007192A JP33007192A JPH06144180A JP H06144180 A JPH06144180 A JP H06144180A JP 33007192 A JP33007192 A JP 33007192A JP 33007192 A JP33007192 A JP 33007192A JP H06144180 A JPH06144180 A JP H06144180A
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憲司 十津
Kenji Asano
憲司 浅野
Noriaki Hattori
憲明 服部
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 制動力配分制御装置において、制動力配分制
御の終了に伴なう円滑な制動作動を確保する。 【構成】 車輪速度検出手段S1,S3によって車両前
方の車輪FRと車両後方の車輪RRの車輪速度を検出
し、これらの検出出力に基づき比較手段M1において車
輪FRと車輪RRの車輪速度を比較する。この比較結果
に応じて駆動手段M2によって液圧制御弁FVを駆動
し、車輪RRの制動力を車輪FRの制動力に対し所定の
関係となるように調整する。この場合において、終了判
定手段M3が終了条件を充足したと判定すると、終了後
所定時間の間、制御後パルス増圧制御手段M4によって
特定パルス増圧制御に切り換え、後輪用ホイールシリン
ダ53のブレーキ液圧の保持と増圧を繰り返し、且つ時
間の経過に従い増圧割合が増大するように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両制動時に、車両後
方の車輪の制動力を車両前方の車輪の制動力に対し所定
の関係に調整する制動力配分制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に走行中の車両に対し制動作動を
行なうと、荷重移動により車両の前後の軸重が異なり、
四つの車輪が同時にロックするために必要な車両前方の
車輪に対する制動力と後方の車輪に対する制動力は正比
例の関係にはなく、図13に一点鎖線で示すような関係
にある。この関係は理想制動力配分と呼ばれ、この配分
は積載荷重の有無によっても異なり、積載荷重有の場合
には二点鎖線で示した理想制動力配分となる。
【0003】これに関し、後方の車輪に対する制動力が
前方の車輪に対する制動力を上回ると車両の方向安定性
が損なわれるので、これより低く抑えつつ、できるだけ
理想制動力配分に近づけるべく、後方の車輪のホイール
シリンダとマスタシリンダとの間にプロポーショニング
バルブが介装されている。これによれば図13に破線で
示すように折点を有する配分線となるが、旋回時の内外
輪の荷重差等を考慮すると、後方の車輪に対する制動力
を前方の車輪に対する制動力よりかなり低く抑える必要
がある。更に、積載荷重が大きい場合には理想制動力配
分から大きく外れることになる。このため、積載荷重に
応じて折点の位置を変化させ、異なる配分線を形成し得
るロードセンシングプロポーショニングバルブも利用さ
れている。
【0004】更に、特公昭51−40816号公報にお
いては、前後輪の回転数を比較してプロポーショニング
バルブの折点を空気圧作動のアクチュエータによって可
変とする構成、具体的には後輪の回転数が前輪のそれよ
り高い場合には上記折点を高くし且つ後輪の回転数が前
輪のそれより低い場合には上記折点を低くする構成が開
示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の構成では、
車両の前後の車輪の制動力配分を理想制動力配分に近似
させるに十分ではなく、後方車輪への制動力配分が少な
くなって所定の車両減速度を得るために大きなブレーキ
ペダル踏力が必要となり、また前方の車輪用の制動装置
に対する負担が大となり、或いは後方の車輪への制動力
配分が大となって後方の車輪がロック傾向になるおそれ
もある。
【0006】このため、本件出願人は特願平4−770
60号の出願において、車両前方の車輪速度と車両後方
の車輪速度の差に応じてアクチュエータを駆動し、車両
後方の車輪に対する制動力を制御する自動車用制動液圧
制御装置を提案している。しかし、制動力配分制御が終
了したとき、場合によっては車両後方の車輪に対する制
動力が急激に増大するおそれがあるので、円滑に通常の
制動作動に移行するように制御する必要がある。
【0007】そこで、本発明は車両後方の車輪の制動力
を調整する制動力配分制御装置において、制動力配分制
御の終了に伴なう円滑な制動作動を確保することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の制動力配分制御装置は、図1に構成の概要
を示したように、車両前方の車輪FRに装着し制動力を
付与する前輪用ホイールシリンダ51及び車両後方の車
輪RRに装着し制動力を付与する後輪用ホイールシリン
ダ53と、ブレーキペダル3の操作に応じてブレーキ液
を昇圧し前輪用及び後輪用ホイールシリンダ51,53
の各々にブレーキ液圧を付与する液圧発生装置PGと、
液圧発生装置PGと少くとも後輪用ホイールシリンダ5
3との間に介装しブレーキ液圧を制御する液圧制御弁F
Vと、車両前方及び車両後方の車輪FR,RRの各々の
車輪速度を検出する車輪速度検出手段S1,S3と、車
輪速度検出手段S1,S3の検出出力に基づき車両前方
の車輪FRと車両後方の車輪RRの車輪速度を比較する
比較手段M1と、比較手段M1の比較結果に応じて液圧
制御弁FVを駆動し車両後方の車輪RRの制動力を車両
前方の車輪FRの制動力に対し所定の関係に調整する制
動力配分制御を行なう駆動手段M2と、所定の終了条件
を充足したか否かを判定し、充足したと判定したときに
駆動手段M2による制動力配分制御の終了を許容する終
了判定手段M3と、終了判定手段M3が所定の終了条件
を充足したと判定したときには、駆動手段M2による液
圧制御弁FVの駆動制御を、所定時間の間後輪用ホイー
ルシリンダ53のブレーキ液圧の保持と増圧を繰り返す
と共に、時間の経過に従い増圧割合が増大するように制
御する特定パルス増圧制御に切り換える制御後パルス増
圧制御手段M4とを備えることとしたものである。
【0009】
【作用】上記の構成になる制動力配分制御装置におい
て、ブレーキペダル3を操作すると液圧発生装置PGか
ら前輪用及び後輪用のホイールシリンダ51,53の各
々にブレーキ液圧が供給され、各車輪FR,PRに対し
制動力が付与される。この場合において、液圧発生装置
PGと後輪用ホイールシリンダ53との間には液圧制御
弁FVが介装されており、ホイールシリンダ53に付与
されるブレーキ液圧が液圧制御弁FVによって制御され
る。
【0010】一方、車輪速度検出手段S1,S3によっ
て車輪FRと車輪RRの車輪速度が検出され、これらの
検出出力に基づき比較手段M1において車輪FRと車輪
RRの車輪速度が比較され、例えばその差が求められ
る。そして、駆動手段M2によって比較手段M1の比較
結果、例えば車輪速度差に応じて液圧制御弁FVが駆動
され、車両後方の車輪RRの制動力が車両前方の車輪F
Rの制動力に対し所定の関係となるように、即ち理想制
動力配分に近似するように調整される。
【0011】この駆動手段M2による制動力配分制御を
終了するか否かは、終了判定手段M3によって判定さ
れ、例えば車輪速度に基づいて演算した車輪加速度が所
定値以上となったときには制動力配分制御の終了が許容
され、駆動手段M2による液圧制御弁FVの制動力配分
制御のための駆動制御は解除される。この場合におい
て、終了条件を充足したと判定されると、終了後所定時
間の間、制御後パルス増圧制御手段M4によって特定パ
ルス増圧制御に切り換えられる。即ち、後輪用ホイール
シリンダ53のブレーキ液圧の保持と増圧が繰り返さ
れ、且つ時間の経過に従い増圧割合が増大するように、
駆動手段M2によって液圧制御弁FVが駆動制御され
る。例えば、液圧制御弁FVに対する制御パルス信号の
オン時間が一定とされ、その周期が時間の経過と共に漸
減するように制御される。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図2は本発明の一実施例の制動力配分制御装置を
示すもので、タンデム型のマスタシリンダ2及び液圧ブ
ースタ5を備え、これらがブレーキペダル3の操作に応
じて駆動される。また、液圧ブースタ5には補助液圧源
20が接続されており、これらは低圧リザーバ4に接続
されている。一方、車輪FR,FL,RR,RLにホイ
ールシリンダ51乃至54が装着されており、マスタシ
リンダ2の一方の圧力室2aと車両前方のホイールシリ
ンダ51,52の各々を接続する液圧路に夫々電磁弁6
1,62が介装されている。また、電磁弁61,62は
常開の電磁弁31,33を介して液圧ブースタ5に接続
されると共に、常閉の電磁弁32,34に接続されてお
り、これらの電磁弁32,34は低圧リザーバ4に接続
されている。
【0013】マスタシリンダ2の他方の圧力室2bには
プローショニングバルブ6及び電磁弁63が接続され、
電磁弁63と車両後方のホイールシリンダ53,54の
各々を接続する液圧路に夫々常開の電磁弁35,37が
介装され、これらと低圧リザーバ4との間に夫々常閉の
電磁弁36,38が介装されている。これらの電磁弁3
5乃至38によって本発明にいう液圧制御弁が構成され
ている。
【0014】尚、車輪FRは運転席からみて前方右側の
車輪を示し、以下車輪FLは前方左側、車輪RRは後方
右側、車輪RLは後方左側の車輪を示しており、図2か
ら明らかなように車両後方の車輪RR,RLについて本
実施例では所謂Y配管が構成されているが、所謂X配管
としてもよい。また、本実施例では車両後方の車輪R
R,RLが駆動輪の所謂後輪駆動であるが、前輪駆動と
してもよい。
【0015】補助液圧源20は、ポンプ21、アキュム
レータ22及びリリーフ弁23を有する。ポンプ21は
電動モータ24によって駆動され、低圧リザーバ4のブ
レーキ液を昇圧して出力し、この出力ブレーキ液圧がチ
ェックバルブ25を介してアキュムレータ22に供給さ
れ、畜圧される。リリーフ弁23は、アキュムレータ2
2の出力ブレーキ液圧が所定圧力以上となったときに開
放し、低圧リザーバ4にブレーキ液を還流して減圧する
ものである。更に、アキュムレータ22の出力側には、
圧力に対してリニアに出力する圧力センサ46、及び所
定圧力以下となったときオンとなる低圧スイッチ47が
設けられている。而して、補助液圧源20から所謂パワ
ー液圧が吐出され、液圧ブースタ5に供給される。
【0016】液圧ブースタ5は、補助液圧源20の出力
液圧をブレーキペダル3に応動するスプールバルブ(図
示せず)によって調圧し、これを倍力源としてマスタシ
リンダ2を倍力駆動するもので、例えば特開昭64−4
7664号、特開昭64−47665号、特開昭64−
74156号公報等に開示されているので、詳細な説明
は省略する。本実施例の液圧ブースタ5はマスタシリン
ダ2の出力ブレーキ液圧に対して所定の割合(例えば2
0%)だけ高い制御液圧(即ち、マスタシリンダ2の出
力ブレーキ液圧の120%の圧力)に調整するように構
成されており、電磁弁31,33及び電磁弁63,3
5,37を介してホイールシリンダ51乃至54に制御
液圧が供給され得るように配管されている。また、液圧
ブースタ5の制御液圧が所定圧力以上となったときオン
となる制御液圧スイッチ48が設けられている。尚、本
実施例の液圧ブースタ5に替えて、上記公報に記載のレ
ギュレータを用いることとしてもよく、マスタシリンダ
2と別体に構成することもできる。
【0017】前述のように、本発明にいう液圧制御弁た
る電磁弁35乃至38とマスタシリンダ2との間に電磁
弁63が配設されており、この電磁弁63とマスタシリ
ンダ2との間にプローショニングバルブ6が介装されて
いる。そして、電磁弁32,34及び電磁弁36,38
の排出側液圧路は低圧リザーバ4に接続されており、低
圧リザーバ4はこれらの電磁弁32,34,36,38
から排出側液圧路を介して還流されるブレーキ液を収容
し、マスタシリンダ2等に供するブレーキ液を貯留す
る。
【0018】電磁弁61乃至63は3ポート2位置電磁
切換弁であり、ソレノイドコイル非通電時は図2に示す
第1位置にあり、ホイールシリンダ51乃至54に対し
マスタシリンダ2との連通を許容し液圧ブースタ5との
連通を遮断し、ソレノイドコイル通電時に第2位置とな
り図2の左方側に切り換えられる。電磁弁31乃至38
は2ポート2位置電磁切換弁であり、夫々ソレノイドコ
イル非通電時には図2に示す第1位置の状態にあって、
ホイールシリンダ51,52は、電磁弁61,62が第
2位置にあるときにはこれらを介して液圧ブースタ5と
連通し、ホイールシリンダ53,54は、電磁弁63が
第2位置にあるときにはこれを介して液圧ブースタ5と
連通する。電磁弁31乃至38のソレノイドコイル通電
時には第2位置の状態となり、ホイールシリンダ51,
52は電磁弁61,62を介した液圧ブースタ5との連
通が遮断され、電磁弁61,62を介して低圧リザーバ
4に連通されると共に、ホイールシリンダ53,54の
電磁弁63を介した液圧ブースタ5との連通が遮断さ
れ、低圧リザーバ4に連通する。尚、図2中のチェック
バルブはホイールシリンダ51乃至54側から液圧ブー
スタ5側への還流を許容し、逆方向の流れを遮断するも
のである。
【0019】而して、電磁弁61乃至63のソレノイド
コイルに対する通電、非通電を制御することにより、ホ
イールシリンダ51乃至54とマスタシリンダ2及び液
圧ブースタ5との連通が切り換えられる。また、電磁弁
31乃至38のソレノイドコイルに対する通電、非通電
を制御することによりホイールシリンダ51乃至54内
のブレーキ液圧を増圧、減圧、又は保持することができ
る。即ち、電磁弁31乃至38のソレノイドコイル非通
電時にはホイールシリンダ51乃至54に液圧ブースタ
5から制御液圧が供給されて増圧し、通電時には低圧リ
ザーバ4側に連通し減圧する。また、電磁弁31,3
3,35,37のソレノイドコイルに通電しその余の電
磁弁のソレノイドコイルを非通電とすれば、ホイールシ
リンダ51乃至54内のブレーキ液圧が保持される。従
って、通電、非通電の時間間隔を調整することにより所
謂パルス増圧(ステップ増圧)又はパルス減圧を行な
い、緩やかに増圧又は減圧するように制御することがで
きる。
【0020】上記電磁弁31乃至38、及び電磁弁61
乃至63は電子制御装置10に接続され、各々のソレノ
イドコイルに対する通電、非通電が制御される。電動モ
ータ24も電子制御装置10に接続され、これにより駆
動制御される。また、車輪FR,FL,RR,RLには
車輪速度センサ41乃至44が配設され、これらが電子
制御装置10に接続されており、各車輪の回転速度、即
ち車輪速度信号が電子制御装置10に入力されるように
構成されている。更に、ブレーキペダル3が踏み込まれ
たときオンとなるブレーキスイッチ45、並びに前述の
圧力センサ46、低圧スイッチ47及び制御液圧スイッ
チ48が電子制御装置10に接続されている。
【0021】電子制御装置10は、図3に示すように、
バスを介して相互に接続されたCPU14、ROM1
5、RAM16、タイマ17、入力インターフェース回
路12及び出力インターフェース回路13から成るマイ
クロコンピュータ11を備えている。上記車輪速度セン
サ41乃至44、ブレーキスイッチ45、圧力センサ4
6、低圧スイッチ47及び制御液圧スイッチ48の出力
信号は増幅回路18a乃至18hを介して夫々入力イン
ターフェース回路12からCPU14に入力されるよう
に構成されている。また、出力インターフェース回路1
3からは駆動回路19aを介して電動モータ24に制御
信号が出力されると共に、駆動回路19b乃至19lを
介して電磁弁31乃至38及び電磁弁61乃至63に制
御信号が出力されるように構成されている。マイクロコ
ンピュータ11においては、ROM15は図4乃至図9
に示した各フローチャートに対応したプログラムを記憶
し、CPU14は図示しないイグニッションスイッチが
閉成されている間当該プログラムを実行し、RAM16
は当該プログラムの実行に必要な変数データを一時的に
記憶する。
【0022】上記のように構成された本実施例において
は、電子制御装置10により制動力配分制御のための一
連の処理が行なわれ電磁弁63及び電磁弁35乃至38
の作動が制御される。即ち、マイクロコンピュータ11
において、イグニッションスイッチ(図示せず)が閉成
されると図4乃至図9のフローチャートに対応したプロ
グラムの実行が開始する。
【0023】先ずメインルーチンを示す図4において、
ステップ100にてマイクロコンピュータ11が初期化
され、各種の演算値がクリアされる。次にステップ10
1において、車輪速度センサ41乃至44からの出力信
号に基づき四つの車輪の車輪速度VwFF,VwFR,Vw
RR,VwRLが演算される。またステップ102におい
て、上記各車輪速度が微分され各車輪の車輪加速度DV
wFF,DVwFR,DVwRR,DVwRLが演算される。
尚、加速度センサを設け、その検出信号を用いることと
してもよい。更に、ステップ103にて上記車輪速度に
基づき推定車体速度Vso及びその微分値である加速度
DVsoが演算される。この推定車体速度Vsoは、例
えば制動時の上記車輪速度を基準に所定の減速度で減速
したと仮定したときの値を車体速度として設定し、四つ
の車輪の内一つでもこの値を超えたときにはその値から
再度所定の減速度で減速したときの値を車体速度と設定
するもので、従前のアンチスキッド制御に供される基準
速度と同じものである。
【0024】続いてステップ200に進み、或る条件
で、例えばブレーキペダル3が操作されブレーキスイッ
チ45がオンとなったときに電磁弁63がオン(通電)
とされ、第2位置に切り換り、ホイールシリンダ53,
54はマスタシリンダ2との連通が遮断され液圧ブース
タ5と連通する。そして、ステップ500に進みアンチ
スキッド制御開始条件を充足しているか否かが判定さ
れ、開始条件を充足しアンチスキッド制御モードと判定
されると、ステップ600にて電磁弁61,62が第2
位置に切り換えられると共に、電磁弁31乃至38が駆
動制御され、アンチスキッド制御に移行する。ステップ
500にてアンチスキッド制御モードでないと判定され
たときには、ステップ700に進み制動力配分制御モー
ドか否かが判定され、当該制御モードであればステップ
800に進み、当該制御モードでなければステップ30
0に進む。この制動力配分制御モードか否かは、制動状
態にある車両の種々の条件に基づいて判定される。例え
ば、アンチスキッド制御システムが正常であり、且つ制
動力配分制御システムが正常であって、車両後方の車輪
RR,RLがアンチスキッド制御中でなく、電磁弁63
がオン状態にあること等の条件を全て充足するとき、制
動力配分制御可と判定され、ステップ800に進み制動
力配分制御が行なわれ、終了後ステップ101に戻る。
【0025】ステップ300においては所定の制動作動
が行なわれたか否かが判定される。具体的には、ブレー
キペダル3が操作された後、車両前方の車輪FR(F
L)の車輪速度VwFR(VwFF)が推定車体速度Vso
を下回り、且つ車輪速度の微分値の車輪加速度DVwが
所定の加速度(減速度を含む)G1を下回ったときに
「制御前出力可」と判定され、ステップ400に進み制
御前パルス増圧制御が開始し、そうでなければステップ
101に戻る。この制御前パルス増圧制御は従前のアン
チスキッド制御装置に採用されており、制動作動が行な
われアンチスキッド制御に移行する前に、電磁弁31,
33,35,37が断続されブレーキ液圧の保持と増圧
が繰り返されるように制御されるもので、制御前ホール
ド制御とも呼ばれている。そして、制御前パルス増圧制
御が終了するとステップ101に戻る。
【0026】尚、上記の制御に対しフェイルセーフ機能
が付加されており(図示省略)、制動力配分制御システ
ムに何等かの異常が生じたときには、電磁弁63がオフ
とされ図2に示す第1位置に戻されると共に、電磁弁3
5,37も開位置とされ、ホイールシリンダ53,54
はプロポーショニングバルブ6を介してマスタシリンダ
2と連通状態となる。而して、車輪RR,RLについて
は従前の制動力配分に基づく制動力が付与される。
【0027】上記ステップ800の制動力配分制御は図
5に示すルーチンから成り、先ずステップ802におい
て、車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VwFR,V
wFL,VwRR,VwRLに基づき所定の演算処理によっ
て、夫々基準速度VwsFR,VwsFL,VwsRR,Vw
sRLが演算される。この演算処理については図9を参照
して後述する。更に、ステップ803にて前後輪の基準
速度差(VwsRR−VwsFR),(VwsRL−VwsFL)
が夫々DVwsRR,DVwsRLとして演算される。そし
て、ステップ804,805に進み車輪RR,RLの制
動力配分制御が行なわれる。
【0028】図6は図5のステップ804の車輪RRに
関する制動力配分制御のサブルーチンを示すもので、ス
テップ805の車輪RLに関する制動力配分制御も同様
に処理される。先ずステップ820において制御中か否
かが判定され、制動力配分制御を実行中であることを示
す制御中フラグがセットされていない場合(”0”)に
は、ステップ821乃至826に進み、セットされてい
る場合(”1”)には、ステップ827に進む。
【0029】ステップ821においては、車輪RRに関
して制動力配分制御開始の可否が判定される。この開始
条件としては、例えば基準速度VwsRRが、車両前方の
車輪FRの基準速度VwsFRに対して所定の関係にあっ
て、基準加速度DVsoが所定値(例えば、−0.25
G。但し、Gは重力加速度)以下であり、ブレーキスイ
ッチ45がオン状態にあり、且つ推定車体速度Vsoが
所定速度(例えば15km/h)以上であること等であ
る。尚、この開始条件の詳細については図8を参照して
後述する。これらの条件を全て充足したときに制御開始
可と判定され、ステップ822にて制御中フラグがセッ
ト(”1”)された後ステップ823に進み、制御開始
条件を充足していなければ図5のルーチンに戻る。
【0030】ステップ823においては、前述の基準速
度VwsRR等に基づきスリップ率SpRR等が演算され、
制御基準値TsRR及びDfRRが演算される。制御基準値
DfRRは基準速度差DVwsRRの変化、即ち前回の値と
今回の値の差(DVwsRR(n) −DVwsRR(n-1) )と
して演算される。また、スリップ率SpRRは車両前方右
側の車輪FRの基準速度VwsFRに対する車両後方右側
の車輪RRの基準速度VwsRRのスリップ率((Vws
RR−VwsFR)/VwsFR)であり、更にこの積分値I
SpRRが演算され、これらの関数f(SpRR,DfRR,
ISpRR)として制御基準値TsRRが演算される。
【0031】具体的には、ステップ824において、上
記制御基準値TsRR及びDfRRに基づき、図10に示す
制御マップが構成され、この制御マップに従って制御モ
ードが判定される。同図において縦軸はスリップ率Sp
RRと積分値ISpRRが加算されて制御基準値TsRRとさ
れたもので、横軸は制御基準値DfRRであり、X1
(G)とY1(%)の交点とX2(G)とY2(%)の
交点を結ぶ線分及びX軸に並行な線分によって二つの領
域P及びDに区画されている。領域Pはパルス増圧制御
モードで、領域Dはパルス減圧モードであり、両領域に
おいて制御パルス信号の周期Tb及びオン時間が設定さ
れる。尚、周期Tbは、例えば制御マップ上の任意の点
からX1,Y1とX2,Y2を結ぶ線分に至る垂線の長
さをLとしたとき、(Tb=Kb−Kc・L)として演
算される(但し、Kb,Kcは定数)。而して、この制
御パルス信号に基づきステップ825又は826におい
て夫々パルス減圧制御又はパルス増圧制御が行なわれ
る。
【0032】一方、ステップ820にて制御中フラグが
セットされている(”1”)と判定されると、ステップ
827にて制御終了条件を充足しているか否かが判定さ
れる。この終了条件としては、ブレーキスイッチ45が
オフとなったこと、基準加速度DVsoが所定値(−
0.25G)を上回ること等があり、これらの条件の何
れかを充足すれば制御終了可と判定され、ステップ82
8にて制御中フラグがリセットされ(”0”)、ステッ
プ829,830に進み特定パルス増圧制御が行なわれ
た後、ステップ850に進み通常の増圧制御が行なわ
れ、制御終了条件を充足していなければステップ823
に進み、制動力配分制御が継続される。ステップ829
においては、制御中フラグがリセットされた後の経過時
間(以下、単に経過時間という)が判定され、所定時間
0 未満と判定されるとステップ830に進み、所定時
間T0 以上を経過していると判定されるとステップ85
0に進む。
【0033】図7は図6のステップ830における特定
パルス増圧制御の一例を示すもので、先ずステップ83
1において、ホイールシリンダ53のブレーキ液圧の増
圧に供する制御パルス信号のオン時間Tp が所定時間
(例えば6msec)に設定される。そして、ステップ83
2に進み経過時間が所定時間T1 (但し、T1 <T0
以上か否かが判定され、T1 以上であればステップ83
3にて制御パルス信号の周期TbがTb1 (例えば16
msec)とされ、T1 未満であればステップ834に進
む。同様に、ステップ834では経過時間が所定時間T
2 (但し、T2 <T1 )以上か否かが判定され、T2
上であればステップ835にて周期TbがTb2 (例え
ば32msec)とされ、T2 未満であればステップ836
に進む。ステップ836では更に経過時間が所定時間T
3 (但し、T3 <T2 )以上か否かが判定され、T3
上であればステップ837にて周期TbがTb3 (例え
ば64msec)とされ、T3 未満であればステップ838
にて周期TbがTb4 (例えば128msec)とされる。
そして、ステップ839に進み、上記のように設定され
たオン時間Tp と周期Tbの制御パルス信号に基づきパ
ルス増圧制御が行なわれ、経過時間が長くなるに従って
漸次周期Tbが短くなり、増圧割合が増大する。而し
て、ステップ840にて車両後方のホイールシリンダ5
3のブレーキ液圧PwRRが車両前方のホイールシリンダ
51のブレーキ液圧PwFRと等しいと判定されると図6
のステップ850に進み、ブレーキ液圧PwFRと同等の
値に達していなければステップ832に戻り上記の作動
が繰り返される。尚、本実施例ではオン時間Tp は一定
としたが、これも周期Tb同様、可変としてもよい。
【0034】図8は図6のステップ821における制動
力配分制御の開始条件判定の一例を示すもので、ステッ
プ831にてブレーキスイッチ45がオン状態か否かが
判定され、オンであればステップ832に進み、オフで
あれば開始条件不成立として次のルーチンに進む。ステ
ップ832においては、推定車体速度Vsoが所定速度
K1(例えば15km/h)と比較され、これ以上であ
ればステップ832に進み、そうでなければ開始条件不
成立となる。続いてステップ833にて、加速度DVs
oが所定加速度K2(例えば−0.25G)以下か否か
が判定され、そうであればステップ834に進み、これ
を超えていれば開始条件不成立となる。更に、ステップ
834において車輪RRの基準速度VwsRRが所定の基
準値(VwsFR−K3)と比較され、これを下回れば開
始条件を充足するとして制御中フラグがセットされ(”
1”)、そうでなければ開始条件不成立となる。尚、基
準値(VwsFR−K3)における所定速度K3は、例え
ば所定値のバイアス速度Vwz及びスリップ率バイアス
速度VwsFR・Spz(但し、Spzは車輪速度Vws
FRに対する車輪速度VwsRRのスリップ率)からK3=
Vwz+VwsFR・Spzとして求められる。
【0035】図9は図5のステップ802における基準
速度の演算処理を示すものである。同図においては車両
後方右側の車輪RRについての例を示しているが、残余
の車輪についても同様に処理される。ステップ101か
ら車輪RRの車輪速度VwRRが所定の演算周期で供給さ
れ順次メモリに記憶され、先ずステップ841にて今回
(n回とする)の値VwRR(n) がAとされる。次に、ス
テップ842において前回の値VwRR(n-1) に所定値α
UP・tが加えられBとされる。続いてステップ843に
て前回の値から所定値αDN・tが減じられCとされる。
【0036】そしてステップ843に進み、A、B及び
Cの中央値が演算され、これが基準値VwsRRとされ
る。尚、αUPは車輪速度VwRRに対する加速度、即ち車
輪速度VwRRの増加率の限度を設定する値で、例えば2
G(但し、Gは重力加速度)に設定される。tは演算周
期で、例えば10mSとされる。αDNは車輪速度VwRR
に対する減速度、即ち車輪速度VwRRの減少率の限度を
設定する値で、本実施例では推定車体速度の微分値の加
速度DVsoに所定割合の値(α1 )を加えた値(DV
so+α1 )とされ、α1 としては例えばDVsoの2
5%の値とされる。尚、加速度センサを備えた車両にあ
ってはαDNは(G0 +α0 )として求められる(但し、
0 は加速度センサの検出値で、α0 は補正値であ
る)。
【0037】図11は上記の実施例における車両後方右
側の車輪RRの車両前方右側の車輪FRに対する制御状
況を示すもので、例えばa点でブレーキペダル3が操作
され、車輪RRの基準速度VwsRRが低下を開始し、基
準速度VwsRRが二点鎖線の基準値(VwsFR−K3)
を下回ったb点で車輪RRに関する制動力配分制御が開
始し、ホイールシリンダ53に対する液圧制限作動が開
始する。また、基準速度VwsRRが上方の一点鎖線の基
準値を超えるとホイールシリンダ53に対するパルス増
圧作動が開始する。即ち、同図における上下の一点鎖線
間の領域が不感帯領域となっており、外乱に影響されず
安定した制御作動が確保される。尚、同図においてc点
で制御が終了し、d点でブレーキペダル操作が解除され
る。而して、図13に実線で示すように、積載荷重の有
無に拘らず、理想制動力配分曲線に追従した制動力制御
が行なわれる。
【0038】図12は車輪RRに関し制動力配分制御が
行なわれたときの、ホイールシリンダ51,53のブレ
ーキ液圧PwFR,PwRRの関係を示すもので、b点及び
c点は上記図11のb点及びc点に対応している。而し
て、c点で制動力配分制御が終了した後図12中矢印で
示した期間の間、図7に示す特定パルス増圧制御が実行
され、経過時間に従って増圧割合が増大する。尚、この
制御は前述のようにホイールシリンダ53のブレーキ液
圧PwRRがホイールシリンダ51のブレーキ液圧PwFR
と等しくなった時点で終了し、通常の増圧制御に切り換
えられる。即ち、オン時間Tp と周期Tbに基づいて設
定されるブレーキ液圧PwRRがホイールシリンダ51の
ブレーキ液圧PwFRを超える値となっても、ブレーキ液
圧PwFRと同等の値となった所で特定パルス増圧が終了
するように制御される。
【0039】
【発明の効果】本発明は上述のように構成されているの
で以下の効果を奏する。即ち、本発明の制動力配分制御
装置においては、終了判定手段及び制御後パルス増圧制
御手段を具備し、所定の終了条件を充足したと判定され
た後、所定時間の間、特定パルス増圧制御に切り換えら
れ、後輪用ホイールシリンダのブレーキ液圧の保持と増
圧が繰り返されると共に時間の経過に従い増圧割合が増
大するように制御されるので、制動力配分制御終了後、
後輪用ホイールシリンダのブレーキ液圧が急激に増大す
ることはなく、漸次前輪用ホイールシリンダのブレーキ
液圧に近づけ、円滑に通常の制動作動に移行するように
制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制動力配分制御装置の概要を示すブロ
ック図である。
【図2】本発明の制動力配分制御装置の実施例の全体構
成図である。
【図3】図2の電子制御装置の構成を示すブロック図で
ある。
【図4】本発明の一実施例における制動力制御のための
処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施例における制動力配分制御のた
めの処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施例における車両後方右側の車輪
の制動力配分制御のサブルーチンの処理を示すフローチ
ャートである。
【図7】本発明の一実施例における車両後方右側の車輪
の制動力配分制御のサブルーチンの処理を示すフローチ
ャートである。
【図8】本発明の一実施例における車両後方右側の車輪
の制動力配分制御のサブルーチンの処理を示すフローチ
ャートである。
【図9】本発明の一実施例における車両後方右側の車輪
の制動力配分制御のサブルーチンの処理を示すフローチ
ャートである。
【図10】本発明の一実施例における車両後方右側の車
輪の制動力配分制御に供する制御マップを示すグラフで
ある。
【図11】本発明の一実施例における車両後方右側の車
輪の制御状況を示すグラフである。
【図12】本発明の一実施例における車両右側の車輪に
装着したホイールシリンダのブレーキ液圧の制御状況を
示すグラフである。
【図13】本発明及び従来技術における制動力配分の制
御状況を示すグラフである。
【符号の説明】
2 マスタシリンダ 3 ブレーキペダル 4 低圧リザーバ 5 液圧ブースタ 6 プロポーショニングバルブ 10 電子制御装置 20 補助液圧源 21 ポンプ 22 アキュムレータ 24 電動モータ 31〜38 電磁弁(液圧制御弁) 41〜44 車輪速度センサ 51〜54 ホイールシリンダ 61〜63 電磁弁 FR,FL,RR,RL 車輪

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両前方の車輪に装着し制動力を付与す
    る前輪用ホイールシリンダ及び車両後方の車輪に装着し
    制動力を付与する後輪用ホイールシリンダと、ブレーキ
    ペダルの操作に応じてブレーキ液を昇圧し前記前輪用及
    び後輪用ホイールシリンダの各々にブレーキ液圧を付与
    する液圧発生装置と、該液圧発生装置と少くとも前記後
    輪用ホイールシリンダの各々との間に介装し前記ブレー
    キ液圧を制御する液圧制御弁と、前記車両前方及び車両
    後方の車輪の各々の車輪速度を検出する車輪速度検出手
    段と、該車輪速度検出手段の検出出力に基づき前記車両
    前方の車輪と前記車両後方の車輪の車輪速度を比較する
    比較手段と、該比較手段の比較結果に応じて前記液圧制
    御弁を駆動し前記車両後方の車輪の制動力を前記車両前
    方の車輪の制動力に対し所定の関係に調整する制動力配
    分制御を行なう駆動手段と、所定の終了条件を充足した
    か否かを判定し、充足したと判定したときに前記駆動手
    段による制動力配分制御の終了を許容する終了判定手段
    と、該終了判定手段が前記所定の終了条件を充足したと
    判定したときには、前記駆動手段による前記液圧制御弁
    の駆動制御を、所定時間の間前記後輪用ホイールシリン
    ダのブレーキ液圧の保持と増圧を繰り返すと共に、時間
    の経過に従い増圧割合が増大するように制御する特定パ
    ルス増圧制御に切り換える制御後パルス増圧制御手段と
    を備えたことを特徴とする制動力配分制御装置。
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DE4337498A DE4337498A1 (de) 1992-11-04 1993-11-03 Regeleinrichtung für die Bremskraftverteilung
US08/614,723 US5624164A (en) 1992-11-04 1996-03-13 Braking force distribution control system

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004338506A (ja) * 2003-05-14 2004-12-02 Nissan Motor Co Ltd 車両の制動力制御装置
JP2008143210A (ja) * 2006-12-06 2008-06-26 Toyota Motor Corp 制動速度に応じて制動力前後輪間配分比が制御される車輌用制動装置

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JP4677977B2 (ja) * 2006-12-06 2011-04-27 トヨタ自動車株式会社 制動速度に応じて制動力前後輪間配分比が制御される車輌用制動装置

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