JPH0899616A - 制動力配分制御装置 - Google Patents

制動力配分制御装置

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JPH0899616A
JPH0899616A JP25912994A JP25912994A JPH0899616A JP H0899616 A JPH0899616 A JP H0899616A JP 25912994 A JP25912994 A JP 25912994A JP 25912994 A JP25912994 A JP 25912994A JP H0899616 A JPH0899616 A JP H0899616A
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JP
Japan
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wheel
vehicle
braking force
hydraulic pressure
wheels
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Application number
JP25912994A
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English (en)
Inventor
Norio Yamazaki
憲雄 山崎
Kenji Toutsu
憲司 十津
Yoshiyuki Yasui
由行 安井
Yoshiharu Nishizawa
義治 西沢
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両後方の車輪の制動力を調整する制動力配
分制御装置に関し、後輪側が1系統のブレーキシステム
に対しても簡単且つ安価な手段により制動力配分制御を
適切に行なう。 【構成】 第1のスリップ率演算手段SC1によって、
車輪速度検出手段WS1乃至WS4の検出出力に基づき
車両前方左右の車輪FL,FRの各々に対する車両後方
左右の車輪RL,RRの各々のスリップ率を演算する。
続いて、演算結果の車輪RL,RRのスリップ率のうち
大のスリップ率を基準に、第1の制御モード設定手段C
M1によって制御モードを設定し、この制御モードに応
じて駆動手段AMにより液圧制御装置FVを駆動し、車
輪RL,RRの制動力を同時に車輪FL,FRの制動力
に対し所定の関係に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両制動時に、車両後
方の車輪の制動力を車両前方の車輪の制動力に対し所定
の関係に調整する制動力配分制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に走行中の車両に対し制動作動を
行なうと、荷重移動により車両の前後の軸重が異なり、
四つの車輪が同時にロックするために必要な車両前方の
車輪に対する制動力と後方の車輪に対する制動力は正比
例の関係にはなく、理想制動力配分と呼ばれる関係にあ
り、この配分は積載荷重の有無によっても異なる。
【0003】これに関し、後方の車輪に対する制動力が
前方の車輪に対する制動力を上回ると車両の方向安定性
が損なわれるので、これより低く抑えつつ、できるだけ
理想制動力配分に近づけるべく、後方の車輪のホイール
シリンダとマスタシリンダとの間に比例減圧弁、所謂プ
ロポーショニングバルブが介装されている。これによれ
ば折点を有する配分線となり、旋回時の内外輪の荷重差
等を考慮すると、後方の車輪に対する制動力を前方の車
輪に対する制動力よりかなり低く抑える必要がある。従
って、常時プロポーショニングバルブを介してブレーキ
液圧を制限するように構成すると、車両後方の車輪への
制動力配分が少なくなって所定の減速度を得るためには
大きなブレーキ踏力が必要となり、前方の車輪用の制動
装置に対する負担が大となる。
【0004】このような不具合を解決すべく特開平6−
144174号公報においては、液圧ブースタ及びマス
タシリンダとホイールシリンダとの間に介装した液圧制
御弁の上流側に切換弁を介装し、この切換弁を切換える
と共に液圧制御弁を制御することによって後輪用ホイー
ルシリンダのブレーキ液圧を所定の関係に調整する制動
力配分制御装置が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平6−144
174号公報に記載の制動力配分制御装置によれば、既
にアンチスキッド制御装置を備えた車両に適用する場合
には、アンチスキッド制御用の液圧制御装置(液圧制御
弁)を利用すれば容易に制動力配分制御装置を構成する
ことができるが、車両後方左右の車輪の各々を独立して
制御する後輪側2系統のブレーキシステムが前提とされ
ているので、後輪側が1系統のブレーキシステムにその
まま適用することはできず、低コスト化が困難である。
【0006】そこで、本発明は車両後方の車輪の制動力
を調整する制動力配分制御装置に関し、後輪側が1系統
のブレーキシステムに対しても簡単且つ安価な手段によ
り制動力配分制御を適切に行ない得るようにすることを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の制動力配分制御装置は、図18に構成の概
要を示すように、車両前方左右の車輪FL,FRの各々
に装着し制動力を付与する前輪用ホイールシリンダWf
l,Wfr及び車両後方左右の車輪RL,RRの各々に
装着し制動力を付与する後輪用ホイールシリンダWr
l,Wrrと、ブレーキペダルBPの操作に応じてブレ
ーキ液を昇圧し前輪用及び後輪用ホイールシリンダWf
l,Wfr,Wrl,Wrrの各々にブレーキ液圧を付
与する液圧発生装置PGと、この液圧発生装置PGと少
くとも後輪用ホイールシリンダWrl,Wrrとの間に
介装しブレーキ液圧を制御する液圧制御装置FVと、車
両前方左右の車輪FL,FR及び車両後方左右の車輪R
L,RRの各々の車輪速度を検出する車輪速度検出手段
WS1乃至WS4と、この車輪速度検出手段WS1乃至
WS4の検出出力に基づき車両前方左右の車輪FL,F
Rの各々に対する車両後方左右の車輪RL,RRの各々
のスリップ率を演算する第1のスリップ率演算手段SC
1と、この第1のスリップ率演算手段SC1が演算した
車両後方左右の車輪RL,RRのスリップ率のうち大の
スリップ率を基準に制御モードを設定する第1の制御モ
ード設定手段CM1と、この第1の制御モード設定手段
CM1が設定した制御モードに応じて液圧制御装置FV
を駆動し、車両後方左右の車輪RL,RRの制動力を同
時に車両前方左右の車輪FL,FRの制動力に対し所定
の関係に調整する駆動手段AMとを備えることとしたも
のである。
【0008】また、請求項2に記載し図19に構成の概
要を示すように、車輪速度検出手段WS1乃至WS4の
検出出力に基づき、車両前方左右の車輪FL,FRの車
輪速度の平均値を演算し前輪速度とする前輪速度設定手
段FSと、車両後方左右の車輪RL,RRの車輪速度の
平均値を演算し後輪速度とする後輪速度設定手段RS
と、前記前輪速度及び前記後輪速度に基づき車両前方の
車輪FW(FL,FRを代表)に対する車両後方の車輪
RW(RL,RRを代表)のスリップ率を演算する第2
のスリップ率演算手段SC2と、この第2のスリップ率
演算手段SC2が演算したスリップ率を基準に制御モー
ドを設定する第2の制御モード設定手段CM2と、この
第2の制御モード設定手段CM2が設定した制御モード
に応じて液圧制御装置FVを駆動し、車両後方の車輪R
W(RL,RR)の制動力を同時に車両前方の車輪FW
(FL,FR)の制動力に対し所定の関係に調整する駆
動手段AMとを備えることとしてもよい。
【0009】更に、請求項3に記載し図20に構成の概
要を示すように、車両前方左右の車輪FL,FRの各々
の車輪速度を検出する前輪車輪速度検出手段WS1,W
S2と、車両前方左右の車輪FL,FRの車輪速度の平
均値を演算し前輪速度とする前輪速度設定手段FSと、
差動歯車装置DFの入力メンバの回転速度に基づいて車
両後方左右の車輪RL,RRの車輪速度を検出して後輪
速度とする後輪車輪速度検出手段WS5と、前記前輪速
度及び前記後輪速度に基づき車両前方の車輪FW(F
L,FRを代表)に対する車両後方の車輪RW(RL,
RRを代表)のスリップ率を演算する第3のスリップ率
演算手段SC3と、この第3のスリップ率演算手段SC
3が演算したスリップ率を基準に制御モードを設定する
第3の制御モード設定手段CM3と、この第3の制御モ
ード設定手段CM3が設定した制御モードに応じて液圧
制御装置FVを駆動し、車両後方の車輪RWの制動力を
同時に車両前方の車輪FWの制動力に対し所定の関係に
調整する駆動手段AMとを備えるように構成してもよ
い。
【0010】
【作用】上記の構成になる請求項1及び2記載の制動力
配分制御装置においては、ブレーキペダルBPを操作す
ると液圧発生装置PGから前輪用のホイールシリンダW
fl,Wfr及び後輪用のホイールシリンダWrl,W
rrの各々にブレーキ液圧が供給され、各車輪FL,F
R,RL,RRに対し制動力が付与されるが、液圧発生
装置PGと少くとも後輪用ホイールシリンダWrl,W
rrとの間には液圧制御装置FVが介装されており、こ
の液圧制御装置FVによって、後輪用ホイールシリンダ
Wrl,Wrrに付与されるブレーキ液圧が制御され
る。この場合において、車輪速度検出手段WS1乃至W
S4によって各車輪の車輪速度が検出され、これらの検
出出力に基づき、駆動手段AMによって液圧制御装置F
Vが後述するように駆動され、車両後方左右の車輪R
L,RRの制動力が同時に車両前方左右の車輪FL,F
Rの制動力に対し所定の関係となるように、即ち理想制
動力配分に近似するように調整される。
【0011】即ち、請求項1に記載の装置においては、
第1のスリップ率演算手段SC1によって、車輪速度検
出手段WS1乃至WS4の検出出力に基づき車両前方左
右の車輪FL,FRの各々に対する車両後方左右の車輪
RL,RRの各々のスリップ率が演算される。続いて、
演算結果の車輪RL,RRのスリップ率のうち大のスリ
ップ率を基準に、第1の制御モード設定手段CM1によ
って制御モードが設定され、この制御モードに応じて駆
動手段AMにより液圧制御装置FVが駆動され、車両後
方左右の車輪RL,RRの制動力が同時に車両前方左右
の車輪FL,FRの制動力に対し所定の関係に調整され
る。
【0012】また、請求項2に記載の装置においては、
前輪速度設定手段FSにて車輪FL,FRの車輪速度の
平均値が演算され前輪速度とされると共に、後輪速度設
定手段RSにて車輪RL,RRの車輪速度の平均値が演
算され後輪速度とされる。続いて、演算結果の前輪速度
及び後輪速度に基づき、第2のスリップ率演算手段SC
2により車両前方の車輪FW(FL,FRを代表)に対
する車両後方の車輪RW(RL,RRを代表)のスリッ
プ率が演算される。続いて、演算結果のスリップ率を基
準に、第2の制御モード設定手段CM2により制御モー
ドが設定され、この制御モードに応じて駆動手段AMに
より液圧制御装置FVが駆動され、車両後方の車輪RW
(RL,RR)の制動力が同時に車両前方の車輪FW
(FL,FR)の制動力に対し所定の関係に調整され
る。
【0013】そして、請求項3に記載の装置において
は、前輪側は前輪車輪速度検出手段WS1,WS2によ
って車輪FL,FRの各々の車輪速度が検出され、前輪
速度設定手段FSにて車輪FL,FRの車輪速度の平均
値が演算され前輪速度とされるのに対し、後輪側は後輪
車輪速度検出手段WS5によって差動歯車装置DFの入
力メンバの回転速度に基づいて車輪RL,RRの車輪速
度が検出され後輪速度とされる。即ち、差動歯車装置D
Fの入力メンバの回転速度は後方左右の車輪RL,RR
の平均車輪速度に比例しているので、入力メンバの回転
速度に基づいて車輪RL,RRの車輪速度が検出され後
輪速度とされる。これら前輪速度及び後輪速度に基づ
き、第3のスリップ率演算手段SC3によって車両前方
の車輪FWに対する車両後方の車輪RWのスリップ率が
演算される。続いて、演算結果のスリップ率を基準に、
第3の制御モード設定手段CM3により制御モードが設
定され、この制御モードに応じて駆動手段AMにより液
圧制御装置FVが駆動され、車両後方の車輪RWの制動
力が同時に車両前方の車輪FWの制動力に対し所定の関
係に調整される。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は本発明の第1実施例の制動力配分制御装置
を示すもので、前後配管で後輪側が1(又は2)系統の
ブレーキシステムに係り、車輪速度センサが全車輪に設
けられた所謂4チャンネル方式で、後輪側の液圧制御は
左右独立に行なわれるが、前輪に対する後輪のスリップ
率が大きい側の車輪(即ち、低速側の車輪)の制御モー
ドに従って液圧制御を行なう所謂ローセレクト後輪同時
制御に基づく前後制動力配分制御装置である。本実施例
は前後制動力配分制御と共に、アンチスキッド(AB
S)制御を行なうことができる。以下、図1を参照して
各構成要素について説明する。
【0015】図1に示すように、本実施例では本発明の
液圧発生装置を構成するマスタシリンダ2及び液圧ブー
スタ5を備え、これらがブレーキペダル3の操作に応じ
て駆動される。また、液圧ブースタ5には補助液圧源2
0が接続されており、これらは低圧リザーバ4に接続さ
れている。一方、車輪FR,FL,RR,RLにホイー
ルシリンダ51乃至54が装着されており、マスタシリ
ンダ2と車両前方のホイールシリンダ51,52の各々
を接続する液圧路に夫々電磁弁61,62が介装されて
いる。また、電磁弁61,62は常開の電磁弁31,3
3を介して液圧ブースタ5に接続されると共に、常閉の
電磁弁32,34に接続されており、これらの電磁弁3
2,34は低圧リザーバ4に接続されている。液圧ブー
スタ5と車両後方のホイールシリンダ53,54の両者
を接続する液圧路には常開の電磁弁35が介装され、こ
れと低圧リザーバ4との間に常閉の電磁弁36が介装さ
れている。少くともこれらの電磁弁35及び36は本発
明にいう液圧制御装置を構成している。
【0016】尚、車輪FRは運転席からみて前方右側の
車輪を示し、以下車輪FLは前方左側、車輪RRは後方
右側、車輪RLは後方左側の車輪を示しており、図1か
ら明らかなように本実施例では前後配管が構成され、車
両後方の車輪RR,RLが同一の液圧路に接続され1系
統となっているが、2系統としてもよい。また、本実施
例では車両後方の車輪RR,RLが駆動輪の所謂後輪駆
動であるが、前輪駆動としてもよい。
【0017】補助液圧源20は、ポンプ21、アキュム
レータ22及びリリーフ弁23を有する。ポンプ21は
電動モータ24によって駆動され、低圧リザーバ4のブ
レーキ液を昇圧して出力し、この出力ブレーキ液圧がチ
ェックバルブ25を介してアキュムレータ22に供給さ
れ、蓄圧される。リリーフ弁23は、アキュムレータ2
2の出力ブレーキ液圧が所定圧力以上となったときに開
放し、低圧リザーバ4にブレーキ液を還流して減圧する
ものである。更に、アキュムレータ22の出力側には、
圧力に対してリニアに出力する圧力センサ46、及び所
定圧力以下となったときオンとなる低圧スイッチ47が
設けられている。而して、補助液圧源20から所謂パワ
ー液圧が吐出され、液圧ブースタ5に供給される。
【0018】液圧ブースタ5は、補助液圧源20の出力
液圧をブレーキペダル3に応動するスプールバルブ(図
示せず)によって調圧し、これを倍力源としてマスタシ
リンダ2を倍力駆動するもので、例えば特開昭64−4
7664号公報等に開示されているので、詳細な説明は
省略する。本実施例の液圧ブースタ5はマスタシリンダ
2の出力ブレーキ液圧に対して所定の割合だけ高い制御
液圧に調整するように構成されており、電磁弁31,3
3及び電磁弁35を介してホイールシリンダ51乃至5
4に制御液圧が供給され得るように配管されている。ま
た、液圧ブースタ5の制御液圧が所定圧力以上となった
ときオンとなる制御液圧スイッチ48が設けられてい
る。尚、液圧ブースタ5に替えて、上記公報に記載のレ
ギュレータを本発明の液圧発生装置に供することとして
もよく、これをマスタシリンダ2とは別体に構成するこ
ともできる。そして、電磁弁32,34及び電磁弁36
の排出側液圧路は低圧リザーバ4に接続されており、低
圧リザーバ4はこれらの電磁弁32,34,36から排
出側液圧路を介して還流されるブレーキ液を収容し、マ
スタシリンダ2等に供するブレーキ液を貯留する。
【0019】電磁弁61及び62は3ポート2位置電磁
切換弁であり、ソレノイドコイル非通電時は図1に示す
第1位置にあり、ホイールシリンダ51及び52に対し
マスタシリンダ2との連通を許容し液圧ブースタ5との
連通を遮断し、ソレノイドコイル通電時に第2位置とな
り図1の左方側に切り換えられる。電磁弁31乃至36
は2ポート2位置電磁切換弁であり、夫々ソレノイドコ
イル非通電時には図1に示す第1位置の状態にあって、
ホイールシリンダ51,52は、電磁弁61,62が第
2位置にあるときにはこれらを介して液圧ブースタ5と
連通し、ホイールシリンダ53,54は、電磁弁35が
第1位置にあるときにはこれを介して液圧ブースタ5と
連通する。電磁弁31乃至36のソレノイドコイル通電
時には第2位置の状態となり、ホイールシリンダ51,
52は電磁弁61,62を介した液圧ブースタ5との連
通が遮断され、電磁弁61,62を介して低圧リザーバ
4に連通されると共に、ホイールシリンダ53,54の
電磁弁63を介した液圧ブースタ5との連通が遮断さ
れ、低圧リザーバ4に連通する。尚、図1中のチェック
バルブはホイールシリンダ51乃至54側から液圧ブー
スタ5側への還流を許容し、逆方向の流れを遮断するも
のである。
【0020】而して、ホイールシリンダ53,54は電
磁弁35を介して液圧ブースタ5に連通接続されるが、
電磁弁61及び62のソレノイドコイルに対する通電、
非通電を制御することにより、ホイールシリンダ51及
び52と液圧ブースタ5との連通、ホイールシリンダ5
1及び52とマスタシリンダ2との連通が切り換えられ
る。また、電磁弁61及び62のソレノイドコイルに対
する通電時において、電磁弁31乃至36のソレノイド
コイルに対する通電、非通電を制御することによりホイ
ールシリンダ51乃至54内のブレーキ液圧を増圧、減
圧、又は保持することができる。即ち、電磁弁31乃至
36のソレノイドコイル非通電時にはホイールシリンダ
51及び52には液圧ブースタ5から制御液圧が供給さ
れ、ホイールシリンダ53及び54にはマスタシリンダ
2の出力液圧が供給されて増圧し、通電時には低圧リザ
ーバ4側に連通し減圧する。また、電磁弁31,33,
35のソレノイドコイルに通電しその余の電磁弁のソレ
ノイドコイルを非通電とすれば、ホイールシリンダ51
乃至54内のブレーキ液圧が保持される。従って、通
電、非通電の時間間隔を調整することにより所謂パルス
増圧(ステップ増圧)又はパルス減圧を行ない、緩やか
に増圧又は減圧するように制御することができる。
【0021】上記電磁弁31乃至36、及び電磁弁61
及び62は電子制御装置10に接続され、各々のソレノ
イドコイルに対する通電、非通電が制御される。電動モ
ータ24も電子制御装置10に接続され、これにより駆
動制御される。また、車輪FR,FL,RR,RLには
車輪速度センサ41乃至44が配設され、これらが電子
制御装置10に接続されており、各車輪の回転速度、即
ち車輪速度信号が電子制御装置10に入力されるように
構成されている。更に、ブレーキペダル3が踏み込まれ
たときオンとなるブレーキスイッチ45、並びに前述の
圧力センサ46、低圧スイッチ47及び制御液圧スイッ
チ48が電子制御装置10に接続されている。
【0022】電子制御装置10は、図2に示すように、
バスを介して相互に接続されたCPU14、ROM1
5、RAM16、タイマ17、入力ポート12及び出力
ポート13から成るマイクロコンピュータ11を備えて
いる。上記車輪速度センサ41乃至44、ブレーキスイ
ッチ45、圧力センサ46、低圧スイッチ47及び制御
液圧スイッチ48の出力信号は増幅回路18a乃至18
hを介して夫々入力ポート12からCPU14に入力さ
れるように構成されている。また、出力ポート13から
は駆動回路19aを介して電動モータ24に制御信号が
出力されると共に、駆動回路19b乃至19iを介して
電磁弁31乃至36及び電磁弁61及び62に制御信号
が出力されるように構成されている。マイクロコンピュ
ータ11においては、ROM15は図3乃至図8に示し
た各フローチャートに対応したプログラムを記憶し、C
PU14は図示しないイグニッションスイッチが閉成さ
れている間当該プログラムを実行し、RAM16は当該
プログラムの実行に必要な変数データを一時的に記憶す
る。
【0023】上記のように構成された本実施例において
は、電子制御装置10によりアンチスキッド制御等の一
連の処理が行なわれ、制動力配分制御としては電磁弁3
5及び36の作動が制御される。即ち、マイクロコンピ
ュータ11において、イグニッションスイッチ(図示せ
ず)が閉成されると図3乃至図8のフローチャートに対
応したプログラムの実行が開始する。
【0024】先ずメインルーチンを示す図3において、
ステップ100にてマイクロコンピュータ11が初期化
され、各種の演算値がクリアされる。次にステップ10
1において、車輪速度センサ41乃至44からの出力信
号に基づき四つの車輪の車輪速度VwFR,VwFL,Vw
RR,VwRLが演算される。またステップ102におい
て、上記各車輪速度が微分され各車輪の車輪加速度DV
wFR,DVwFL,DVwRR,DVwRLが演算される。
尚、加速度センサを設け、その検出信号を用いることと
してもよい。更に、ステップ103にて上記車輪速度に
基づき推定車体速度Vso及びその微分値である加速度
DVsoが演算される。この推定車体速度Vsoは、例
えば制動時の上記車輪速度を基準に所定の減速度で減速
したと仮定したときの値を車体速度として設定し、四つ
の車輪の内一つでもこの値を超えたときにはその値から
再度所定の減速度で減速したときの値を車体速度と設定
するもので、従前のアンチスキッド制御に供される基準
速度と同じものである。
【0025】次に、ステップ300に進みアンチスキッ
ド制御開始条件を充足しているか否かが判定され、開始
条件を充足しアンチスキッド制御モードと判定される
と、ステップ400にて電磁弁61,62が第2位置に
切り換えられると共に、電磁弁31乃至36が駆動制御
され、アンチスキッド制御に移行する。ステップ300
にてアンチスキッド制御モードでないと判定されたとき
には、ステップ500に進み制動力配分制御モードか否
かが判定され、当該制御モードであればステップ600
に進み、当該制御モードでなければステップ700に進
む。この制動力配分制御モードか否かは、制動状態にあ
る車両の種々の条件に基づいて判定される。例えばアン
チスキッド制御システムが正常であり、且つ制動力配分
制御システムが正常であって、車両後方の車輪RR,R
Lがアンチスキッド制御中でないこと等の条件を全て充
足するとき、制動力配分制御可と判定され、ステップ6
00に進み図4に示す制動力配分制御が行なわれ、終了
後ステップ101に戻る。
【0026】ステップ700においては所定の制動作動
が行なわれたか否かが判定される。具体的には、ブレー
キペダル3が操作された後、車両前方の車輪FR(F
L)の車輪速度VwFR(VwFL)が推定車体速度Vso
を下回り、且つ車輪速度の微分値の車輪加速度DVwが
所定の加速度(減速度を含む)G1を下回ったときに
「制御前出力可」と判定され、ステップ800に進み制
御前パルス増圧制御が開始し、そうでなければステップ
101に戻る。この制御前パルス増圧制御は従前のアン
チスキッド制御装置に採用されており、制動作動が行な
われアンチスキッド制御に移行する前に、電磁弁61及
び62が通電され、且つ電磁弁31,33,35が断続
されブレーキ液圧の保持と増圧が繰り返されるように制
御されるもので、制御前ホールド制御とも呼ばれてい
る。そして、制御前パルス増圧制御が終了するとステッ
プ101に戻る。
【0027】上記ステップ600の制動力配分制御は図
4に示すルーチンから成り、先ずステップ601におい
て、制動力配分制御の開始条件を設定するための種々の
定数が設定されるが、これについては図6を参照して後
述する。続いてステップ602において、車輪FR,F
L,RR,RLの車輪速度VwFR,VwFL,VwRR,V
wRLに基づき所定の演算処理によって、夫々基準速度V
wsFR,VwsFL,VwsRR,VwsRLが演算される。
この演算処理については図8を参照して後述する。更
に、ステップ603にて前後輪の基準速度差(VwsRR
−VwsFR),(VwsRL−VwsFL)が夫々DVws
RR,DVwsRLとして演算される。そして、ステップ6
04に進み車輪RR,RLの後輪に関する制動力配分制
御が行なわれる。
【0028】図5は図4のステップ604の車輪RR,
RLに関する制動力配分制御作動のサブルーチンを示す
もので、先ずステップ620において制御中か否かが判
定され、制動力配分制御を実行中であることを示す制御
中フラグがセットされていない場合(”0”)には、ス
テップ621乃至629に進み、セットされている場合
(”1”)には、ステップ630乃至632に進む。ス
テップ621においては、車輪RR,RLに関して制動
力配分制御開始の可否が判定される。この開始条件の詳
細については図7を参照して後述する。図7に示す条件
を充足したときは制御開始可と判定され、ステップ62
2にて制御中フラグがセット(”1”)された後ステッ
プ623以降に進み、制御開始条件を充足していなけれ
ば図4のルーチンに戻る。
【0029】ステップ623においては、前述の基準速
度VwsRR,VwsRLに基づきスリップ率SpRR,Sp
RLが演算され、制御基準値TsRR,TsRL及びDfRR,
DfRLが演算される。車輪RRに関する制御基準値Df
RRは基準速度差DVwsRRの変化、即ち前回の値と今回
の値の差(DVwsRR(n) −DVwsRR(n-1) )として
演算される。また、スリップ率SpRRは車両前方右側の
車輪FRの基準速度VwsFRに対する車両後方右側の車
輪RRの基準速度VwsRRのスリップ率((VwsRR−
VwsFR)/VwsFR)であり、更にこの積分値ISp
RRが演算され、これらの関数f(SpRR,DfRR,IS
pRR)として制御基準値TsRRが演算される。車輪RL
に関する制御基準値TsRLも同様に演算される。
【0030】上記のようにして得られた車輪RR,RL
の制御基準値TsRR,TsRLはステップ624にて比較
され、ローセレクトに従って後二輪の制御基準値Ts
R,DfRが設定される。即ち、制御基準値のTsRRが
TsRL以上であれば、ステップ625にて低い値側のT
sRLが制御基準値TsRとされると共にDfRLがDfR
とされ、TsRRがTsRLを下回ると判定されるとステッ
プ626にてTsRRがそのまま制御基準値TsRとされ
ると共にDfRRがDfRとされて、ステップ627に進
む。
【0031】そして、ステップ627において、上記制
御基準値TsR及びDfRに基づき、図9に示す制御マ
ップが構成され、この制御マップに従って制御モードが
判定される。同図において縦軸は制御基準値TsRで、
横軸は制御基準値DfRであり、X1(G)とY1
(%)の交点とX2(G)とY2(%)の交点を結ぶ線
分及びX軸に並行な線分によって二つの領域P及びDに
区画されている。領域Pはパルス増圧制御モードで、領
域Dはパルス減圧モードであり、両領域において制御パ
ルス信号の周期Tb及び制御モードが設定される。尚、
周期Tbは、例えば制御マップ上の任意の点からX1,
Y1とX2,Y2を結ぶ線分に至る垂線の長さをLとし
たとき、(Tb=Kb−Kc・L)として演算される
(但し、Kb,Kcは定数)。而して、この制御パルス
信号に基づきステップ628又は629において夫々パ
ルス減圧制御又はパルス増圧制御が行なわれる。
【0032】一方、ステップ620にて制御中フラグが
セットされている(”1”)と判定されると、ステップ
630にて制御終了条件を充足しているか否かが判定さ
れる。この終了条件としては、ブレーキスイッチ45が
オフとなったこと、基準加速度DVsoが所定値(−
0.25G)を上回ること等があり、車両後方の車輪R
R,RLの両者が共に、これらの条件の何れかを充足す
れば制御終了可と判定され、ステップ631にて制御中
フラグがリセットされ(”0”)ステップ632にて通
常の増圧制御が行なわれ、制御終了条件を充足していな
ければステップ623に進み、制動力配分制御が継続さ
れる。
【0033】図6は前述の図4のステップ601におけ
る定数設定処理の一例を示すもので、走行路面状態に応
じて制御開始基準を変更するように設定することとして
いる。即ち、先ずステップ611において悪路走行中と
判定されると、ステップ612にて後述のバイアス速度
Vwzが第1設定値Vwz1に設定され、悪路走行でな
ければステップ613にてバイアス速度Vwzは第2設
定値Vwz2(Vwz2<Vwz1)に設定される。
尚、ステップ611の悪路判定は従前のアンチスキッド
制御時に行なわれる路面状態判定と同様であり、例えば
特開平3−284463号公報に記載されているよう
に、所定時間内に車輪加速度が所定の基準値を超えた回
数に応じて走行路面の状態が判定される。そして、ステ
ップ614において、バイアス速度Vwzとスリップ率
バイアス速度VwsFR・Spzが加算され、所定速度K
3RR(=Vwz+VwsFR・Spz)が演算される。
【0034】図7は図5のステップ621における制動
力配分制御の開始条件判定の一例を示すもので、ステッ
プ641にてブレーキスイッチ45がオン状態か否かが
判定され、オンであればステップ642に進み、オフで
あれば開始条件不成立として次のルーチンに進む。ステ
ップ642においては、推定車体速度Vsoが所定速度
K1(例えば15km/h)と比較され、これ以上であ
ればステップ643に進み、そうでなければ開始条件不
成立となる。続いてステップ643にて、加速度DVs
oが所定加速度K2(例えば−0.25G)以下か否か
が判定され、そうであればステップ644に進み、これ
を超えていれば開始条件不成立となる。更に、ステップ
644において車輪RRの基準速度VwsRRが所定の基
準値(VwsFR−K3RR)と比較され、これを下回れば
開始条件を充足するとしてステップ645に進み制御中
フラグがセットされ(”1”)、そうでなければステッ
プ646に進み、車輪RLについて同様の判定が行なわ
れる。ここで基準速度VwsRLが基準値(VwsFL−K
3RL)を下回ればステップ645に進むが、そうでなけ
れば開始条件不成立となる。尚、これらの基準値の演算
に供するK3RRは前述の図6のステップ614で求めら
れた所定速度K3RRであり、K3RLも同様に演算され
る。
【0035】図8は図4のステップ602における基準
速度の演算処理を示すものである。同図においては車両
後方右側の車輪RRについての例を示しているが、残余
の車輪についても同様に処理される。ステップ101か
ら車輪RRの車輪速度VwRRが所定の演算周期で供給さ
れ順次メモリに記憶され、先ずステップ651にて今回
(n回とする)の値VwRR(n) がAとされる。次に、ス
テップ652において前回の値VwRR(n-1) に所定値α
UP・tが加えられBとされる。続いてステップ653に
て前回の値から所定値αDN・tが減じられCとされる。
【0036】そしてステップ654に進み、A、B及び
Cの中央値が演算され、これが基準値VwsRRとされ
る。尚、αUPは車輪速度VwRRに対する加速度、即ち車
輪速度VwRRの増加率の限度を設定する値で、例えば2
G(但し、Gは重力加速度)に設定される。tは演算周
期で、αDNは車輪速度VwRRに対する減速度、即ち車輪
速度VwRRの減少率の限度を設定する値で、本実施例で
はその微分値の加速度DVwRRに所定割合の値(α1
を加えた値(DVwRR+α1 )とされる。尚、加速度セ
ンサを備えた車両にあってはαDNは(G0 +α0 )とし
て求められる(但し、G0 は加速度センサの検出値で、
α0 は傾斜補正値である)。
【0037】図10は本発明の第2実施例を示すもの
で、これも図1の第1実施例と同様、前後配管で後輪側
が1(又は2)系統のブレーキシステムに係り、4チャ
ンネルを備えているが、前輪側の平均車輪速度及び後輪
側の平均車輪速度に基づき制御モードを設定し、後輪同
時制御による前後制動力配分制御を行なう装置である。
本実施例では、マスタシリンダ2はタンデム型とされて
おり、一方の圧力室2aに電磁弁61,62を介して夫
々ホイールシリンダ51,52が接続され、他方の圧力
室2bにはプロポーショニングバルブ6、電磁弁63及
び電磁弁35を介してホイールシリンダ53,54が接
続されている。即ち、本実施例においてはフェイルセー
フ機能が付加されており、制動力配分制御システムに何
等かの異常が生じたときには、電磁弁63がオフとされ
図10に示す第1位置に戻されると共に、電磁弁35も
開位置とされ、ホイールシリンダ53,54はプロポー
ショニングバルブ6を介してマスタシリンダ2と連通状
態となる。而して、車輪RR,RLについては従前の制
動力配分に基づく制動力が付与される。尚、その他の構
成は図1と同様である。
【0038】本実施例における制動力配分制御作動は、
基本的には前述の第1実施例と同様であるので、同じル
ーチンを示すフローチャートは省略し、本実施例に係る
図11以降のフローチャートにおいて、前述のフローチ
ャートと同じ処理内容を示すステップについては同一符
号を付している。図11のフローチャートは図3のフロ
ーチャートにステップ200の処理を付加したもので、
ステップ100乃至103の処理が行なわれた後、或る
条件で、例えばブレーキペダル3が操作されブレーキス
イッチ45がオンとなったときに電磁弁63がオン(通
電)とされ、第2位置に切り換り、ホイールシリンダ5
3,54はマスタシリンダ2との連通が遮断され液圧ブ
ースタ5と連通する。
【0039】次に、図12の制動力配分制御のサブルー
チンに関しては、本実施例では図4のステップ602,
603に替えて、ステップ605、606の処理が行な
われる。即ち、本実施例では、ステップ605において
前輪側の車輪FR,FLの車輪速度VwFR,VwFLの平
均値が求められ、これが前輪側の基準速度VwsFとさ
れ、車輪RR,RLの車輪速度VwRR,VwRLの平均値
が後輪側の基準速度VwsRとされる。続いてステップ
606において、前後輪の基準速度差(VwsR−Vw
sF)が求められDVwsRとされる。
【0040】図12のステップ601においては、図6
のフローチャートと実質的に同じ処理が行なわれるので
図示は省略するが、本実施例においては図6のステップ
614の基準速度VwsFRに替えて前輪側の基準速度V
wsF(平均値)が用いられる。即ち、所定速度K3は
(Vwz+VwsF・Spz)として求められる。
【0041】図12のステップ605で求められる前輪
側の基準速度VwsFの演算は図13のフローチャート
に従って行なわれ、後輪側の基準速度VwsRも同様に
演算される。図13において、先ずステップ655にて
今回(n回とする)の前輪側の車輪速度VwFR(n) ,V
wFL(n) の平均値が求められAとされる。次に、ステッ
プ656において前回の平均値に所定値αUP・tが加え
られBとされる。続いて、ステップ657にて前回の平
均値から所定値αDN・tが減じられCとされる。そして
ステップ658に進み、A,B及びCの中央値が演算さ
れ、これが基準値VwsFとされる。尚、αUP、t及び
αDNの各定数は第1実施例と同様に設定される。
【0042】図14は第2実施例における後輪制動力配
分制御の処理を示すもので、本実施例ではステップ62
3において最終的な制御基準値が設定されているので、
図5のステップ624乃至626の処理は不要である。
即ち、ステップ623においては、後輪側のスリップ率
SpRが(VwsR−VwsF)/VwsFとして求め
られ、DVwsR(n) −DVwsR(n-1) によってDf
Rが求められ、更にスリップ率SpRの積分値ISpR
が求められる。そして、これらの関数としてTsRが演
算される(TsR=f(SpR,DfR,ISp
R))。而して、ステップ627において、第1実施例
同様、図9のマップに基づいて制御パルス信号の周期T
b及び制御モードが設定される。
【0043】図15は第2実施例における開始条件判定
の処理を示すもので、図7のステップ644,646に
替えて、ステップ647が行なわれる。本実施例では前
輪側及び後輪側の基準速度として夫々VwsF,Vws
Rが用いられるので、開始条件判定においてもこれらの
値が判定基準とされる。即ち、ステップ647において
は、後輪側の基準速度VwsRが所定の基準値(Vws
F−K3)と比較され、これを下回れば開始条件を充足
するとしてステップ645に進み制御中フラグがセット
され、そうでなければ開始条件不成立となる。
【0044】図16は本発明の第3実施例を示すもの
で、前後配管で後輪側が1系統のブレーキシステムに係
り、前輪側は各輪に車輪速度センサが設けられているが
(41,42)、後輪側は差動歯車装置(図示せず)
に、入力メンバの回転速度を検出する一個の車輪速度セ
ンサ45を設けた3チャンネル方式の装置で、車輪速度
センサ45の検出車輪速度と前輪側の平均車輪速度に基
づき制御モードを設定し、後輪同時制御による前後制動
力配分制御を行なう装置である。
【0045】この第3実施例の図10に示した第2実施
例との相違点は、上述の後輪側の車輪速度検出に関する
点のほか、第2実施例に対し更に電磁弁64が付設され
所謂トラクション制御機能が付加されている点である。
即ち、図10の電磁弁63と液圧ブースタ5とを接続す
る液圧路に3ポート2位置電磁切換弁の電磁弁64が介
装され、アキュムレータ22の出力側に接続されてい
る。この電磁弁64はソレノイドコイル非通電時には図
16に示す第1位置にあって、電磁弁63と液圧ブース
タ5とを連通しアキュムレータ22との連通を遮断す
る。そして、電磁弁64のソレノイドコイル通電時に
は、電磁弁63と液圧ブースタ5との連通を遮断しアキ
ュムレータ22と連通する第2位置に切り換る。
【0046】また、本実施例による制動力配分制御は、
後輪側の車輪速度が、第2実施例では二つの車輪RR,
RLの車輪速度の平均値であるのに対し、本実施例では
車輪速度センサ45の出力(後二輪の車輪速度)である
ことに起因して、基準速度の演算処理に若干の相違が存
在するのみであり、実質的に同様に処理される。即ち、
本実施例では、前輪側の基準速度は第2実施例と同様図
13に基づいて演算されるが、後輪側の基準速度は図1
7に示すように後二輪の車輪速度VwR(n) に基づき、
ステップ661乃至664の順に図8と同様に演算され
る。その他の処理内容は第2実施例と同様であるので図
示及び説明は省略する。
【0047】而して、通常の制動作動時には電磁弁63
が第2位置とされ、第1位置の電磁弁64を介して液圧
ブースタ5に連通し、従ってホイールシリンダ53,5
4は電磁弁35,63及び64を介して液圧ブースタ5
に連通し得る。駆動輪たる車輪RR,RLの加速スリッ
プが検出されると、電磁弁64が第2位置に切り換えら
れ、ホイールシリンダ53,54は直接アクチュエータ
22に連通し得る状態となる。そして、車輪RR,RL
のスリップ状態に応じて電磁弁35及び36が開閉制御
され、車輪RR,RLに対し制動力が加えられ過回転が
防止される。尚、この電磁弁64は、ブレーキペダル3
が踏み込まれ制動作動に移行し制動力配分制御が行なわ
れる場合には図16に示す第1位置に戻される。
【0048】本実施例の電磁弁63,64の作動をまと
めると以下のようになる。先ず停止時及び異常作動対応
時は電磁弁63,64は共にオフとされ、制動力配分制
御が行なわれず、プロポーショニングバルブ6が機能す
る。これに対し、アンチスキッド制御時は電磁弁64が
オフ状態で電磁弁63がオンとされ、ホイールシリンダ
53,54には液圧ブースタ5の制御液圧が供給され、
トラクション制御時は電磁弁63,64が共にオンとさ
れ、ホイールシリンダ53,54にはアキュムレータ2
2の出力液圧が供給され、夫々の制御が行なわれる。そ
して、通常の制動作動時には電磁弁64がオフの状態で
電磁弁63がオンとされ、ホイールシリンダ53,54
には液圧ブースタ5の制御液圧が供給され、上述の制動
力配分制御が行なわれる。尚、上記制御は異常作動対
応、アンチスキッド制御、制動力配分制御、制御前パル
ス増圧制御そしてトラクション制御の優先順位で実行さ
れる。
【0049】尚、上記の実施例においては、マスタシリ
ンダ2の倍圧装置として液圧ブースタ5を用いている
が、バキュームブースタを用いることとしてもよく、バ
キュームブースタを備えたマスタシリンダの出力ブレー
キ液圧を二系統に付与するシステムに適用することも可
能である。
【0050】
【発明の効果】本発明は上述のように構成されているの
で以下の効果を奏する。即ち、本発明の制動力配分制御
装置によれば、請求項1乃至3の何れに記載の装置にお
いても、車両後方左右の車輪の制動力を同時に制御する
こととしているので、後輪側が1系統のブレーキシステ
ムに対しても容易且つ安価に制動力配分制御装置を構成
することができる。従って、種々の車種に適用すること
ができる。更に、請求項3に記載の装置においては、車
輪速度検出手段は後輪側は差動歯車装置の入力メンバの
回転速度を検出する一個の手段でよいので、一層安価に
構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制動力配分制御装置の第1実施例に係
る全体構成図である。
【図2】図1の電子制御装置の構成を示すブロック図で
ある。
【図3】本発明の第1実施例における制動力制御のため
の処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施例における制動力配分制御の
ための処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施例における後輪制動力配分制
御のサブルーチンの処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施例における制動力配分制御の
定数設定の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施例における後輪制動力配分制
御の開始条件判定の処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1実施例における制動力配分制御の
基準速度演算の処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1実施例における後輪制動力配分制
御に供する制御マップを示すグラフである。
【図10】本発明の制動力配分制御装置の第2実施例に
係る全体構成図である。
【図11】本発明の第2実施例における制動力制御のた
めの処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施例における制動力配分制御
のための処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施例における制動力配分制御
の基準速度演算の処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第2実施例における後輪制動力配分
制御のサブルーチンの処理を示すフローチャートであ
る。
【図15】本発明の第2実施例における後輪制動力配分
制御の開始条件判定の処理を示すフローチャートであ
る。
【図16】本発明の制動力配分制御装置の第3実施例に
係る全体構成図である。
【図17】本発明の第3実施例における制動力配分制御
の基準速度演算の処理を示すフローチャートである。
【図18】請求項1に係る発明の構成の概要を示すブロ
ック図である。
【図19】請求項2に係る発明の構成の概要を示すブロ
ック図である。
【図20】請求項3に係る発明の構成の概要を示すブロ
ック図である。
【符号の説明】
2 マスタシリンダ 3 ブレーキペダル 4 低圧リザーバ 5 液圧ブースタ 6 プロポーショニングバルブ 10 電子制御装置 20 補助液圧源 21 ポンプ 22 アキュムレータ 24 電動モータ 31〜38 電磁弁 41〜45 車輪速度センサ 51〜54 ホイールシリンダ 61,64 電磁弁 FR,FL,RR,RL 車輪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西沢 義治 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両前方左右の車輪の各々に装着し制動
    力を付与する前輪用ホイールシリンダ及び車両後方左右
    の車輪の各々に装着し制動力を付与する後輪用ホイール
    シリンダと、ブレーキペダルの操作に応じてブレーキ液
    を昇圧し前記前輪用及び後輪用ホイールシリンダの各々
    にブレーキ液圧を付与する液圧発生装置と、該液圧発生
    装置と少くとも前記後輪用ホイールシリンダとの間に介
    装し前記ブレーキ液圧を制御する液圧制御装置と、前記
    車両前方左右の車輪及び前記車両後方左右の車輪の各々
    の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、該車輪速度
    検出手段の検出出力に基づき前記車両前方左右の車輪の
    各々に対する前記車両後方左右の車輪の各々のスリップ
    率を演算する第1のスリップ率演算手段と、該第1のス
    リップ率演算手段が演算した前記車両後方左右の車輪の
    スリップ率のうち大のスリップ率を基準に制御モードを
    設定する第1の制御モード設定手段と、該第1の制御モ
    ード設定手段が設定した制御モードに応じて前記液圧制
    御装置を駆動し、前記車両後方左右の車輪の制動力を同
    時に前記車両前方左右の車輪の制動力に対し所定の関係
    に調整する駆動手段とを備えたことを特徴とする制動力
    配分制御装置。
  2. 【請求項2】 車両前方左右の車輪の各々に装着し制動
    力を付与する前輪用ホイールシリンダ及び車両後方左右
    の車輪の各々に装着し制動力を付与する後輪用ホイール
    シリンダと、ブレーキペダルの操作に応じてブレーキ液
    を昇圧し前記前輪用及び後輪用ホイールシリンダの各々
    にブレーキ液圧を付与する液圧発生装置と、該液圧発生
    装置と少くとも前記後輪用ホイールシリンダとの間に介
    装し前記ブレーキ液圧を制御する液圧制御装置と、前記
    車両前方左右の車輪及び前記車両後方左右の車輪の各々
    の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、前記車両前
    方左右の車輪の車輪速度の平均値を演算し前輪速度とす
    る前輪速度設定手段と、前記車両後方左右の車輪の車輪
    速度の平均値を演算し後輪速度とする後輪速度設定手段
    と、前記前輪速度及び前記後輪速度に基づき前記車両前
    方の車輪に対する前記車両後方の車輪のスリップ率を演
    算する第2のスリップ率演算手段と、該第2のスリップ
    率演算手段が演算したスリップ率を基準に制御モードを
    設定する第2の制御モード設定手段と、該第2の制御モ
    ード設定手段が設定した制御モードに応じて前記液圧制
    御装置を駆動し、前記車両後方の車輪の制動力を同時に
    前記車両前方の車輪の制動力に対し所定の関係に調整す
    る駆動手段とを備えたことを特徴とする制動力配分制御
    装置。
  3. 【請求項3】 車両前方左右の車輪の各々に装着し制動
    力を付与する前輪用ホイールシリンダ及び差動歯車装置
    を介して連結した車両後方左右の車輪の各々に装着し制
    動力を付与する後輪用ホイールシリンダと、ブレーキペ
    ダルの操作に応じてブレーキ液を昇圧し前記前輪用及び
    後輪用ホイールシリンダの各々にブレーキ液圧を付与す
    る液圧発生装置と、該液圧発生装置と少くとも前記後輪
    用ホイールシリンダとの間に介装し前記ブレーキ液圧を
    制御する液圧制御装置と、前記車両前方左右の車輪の各
    々の車輪速度を検出する前輪車輪速度検出手段と、前記
    車両前方左右の車輪の車輪速度の平均値を演算し前輪速
    度とする前輪速度設定手段と、前記差動歯車装置の入力
    メンバの回転速度に基づいて前記車両後方左右の車輪の
    車輪速度を検出して後輪速度とする後輪車輪速度検出手
    段と、前記前輪速度及び前記後輪速度に基づき前記車両
    前方の車輪に対する前記車両後方の車輪のスリップ率を
    演算する第3のスリップ率演算手段と、該第3のスリッ
    プ率演算手段が演算したスリップ率を基準に制御モード
    を設定する第3の制御モード設定手段と、該第3の制御
    モード設定手段が設定した制御モードに応じて前記液圧
    制御装置を駆動し、前記車両後方の車輪の制動力を同時
    に前記車両前方の車輪の制動力に対し所定の関係に調整
    する駆動手段とを備えたことを特徴とする制動力配分制
    御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997049586A1 (de) * 1996-06-21 1997-12-31 Itt Manufacturing Enterprises, Inc. Verfahren zur regelung des fahrverhaltens eines fahrzeugs mit reifensensoren
JP2009234486A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Toyota Motor Corp 車両運動制御システム

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WO1997049586A1 (de) * 1996-06-21 1997-12-31 Itt Manufacturing Enterprises, Inc. Verfahren zur regelung des fahrverhaltens eines fahrzeugs mit reifensensoren
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