JP4110587B2 - 制動力制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両前方の車輪を駆動輪とする車両において、車両制動時に、車両後方の車輪の制動力を車両前方の車輪の制動力に対して所定の関係に調整する制動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、車両後方の車輪に対する制動力が前方の車輪に対する制動力を上回ると車両の方向安定性が損なわれるので、これより低く抑えつつ、できるだけ理想制動力配分に近づけるべく、後方の車輪のホイールシリンダとマスタシリンダとの間にプロポーショニングバルブが介装されている。これにより、後方の車輪に対する制動力が前方の車輪に対する制動力より低く抑えられている。また、積載荷重が大きい場合には理想制動力配分から大きく外れることになるため、積載荷重に応じて制動力配分を行なうロードセンシングプロポーショニングバルブも利用されている。
【0003】
更に、特開平6−144176号公報においては、制動力配分制御の開始判定を適切に行なうため、通常の制動作動時は制動力制御手段による制動力配分制御を禁止し、車両前方の車輪の車輪速度と車両後方の車輪の車輪速度の速度差が設定値を超えたときに制動力制御手段による制動力配分制御の開始を許容するようにした制動力配分制御装置が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来装置は、車両後方の車輪が駆動輪である後輪駆動車には有効であるが、制動力配分制御の開始判定に車両前方の車輪速度を基準としているので、車両前方の車輪が駆動輪である前輪駆動車においては、エンジンブレーキが発生すると制動力配分制御を行なうことができなくなる場合がある。即ち、エンジンブレーキ時には駆動輪たる前輪に大きな制動力が付加され、前輪側の車輪速度が大きく低下するので、後輪側の車輪に対する制動力制御の開始条件を充足しない場合が生ずるからである。
【0005】
逆に、前輪駆動車において制動力配分制御が行なわれている場合において、後輪側の車輪に対する制動力制御中にエンジンブレーキが解除されると、前輪側の車輪に対する制動力が急速に低下するので後輪側の制動力の方が大となり、車両の安定性が損なわれるおそれが生ずる。
【0006】
そこで、本発明は、車両前方の車輪を駆動輪とする車両において、エンジンブレーキ発生時にも確実に制動力配分制御を行ない得る制動力制御装置を提供することを課題とする。
【0007】
また、本発明は、車両前方の車輪を駆動輪とする車両において、制動力配分制御中にエンジンブレーキが解除されたときにも適切に制動力配分制御を行ない得る制動力制御装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記のエンジンブレーキ発生時における課題を解決するため、本発明の制動力制御装置は、図1に構成の概要を示したように、車両前方の車輪を駆動輪とする車両において、車両前方の車輪(代表してFRで表す)に装着し制動力を付与する前輪用ホイールシリンダWfr及び車両後方の車輪(代表してRRで表す)に装着し制動力を付与する後輪用ホイールシリンダWrrと、少くともブレーキペダルBPの操作に応じてブレーキ液を昇圧し前輪用及び後輪用ホイールシリンダWfr,Wrrの各々にブレーキ液圧を付与する液圧発生装置PGと、この液圧発生装置PGと少くとも後輪用ホイールシリンダWrrの各々との間に介装しブレーキ液圧を制御する液圧制御装置PCと、車両前方の車輪FRの車輪速度に対する車両後方の車輪RRの車輪速度に基づき制動力配分制御の開始判定を行ない、制動力配分制御の開始と判定したときには液圧制御装置PCを駆動し車両後方の車輪RRの制動力が車両前方の車輪FRの制動力を下回る所定の関係に調整する制動力制御手段BCとを備えている。更に、車両に対しエンジンブレーキが発生したか否かを判定するエンジンブレーキ判定手段EBとを備え、エンジンブレーキ判定手段EBがエンジンブレーキ発生と判定したときには制動力制御手段BCが液圧制御装置PCによる制動力配分制御を開始する構成としたものである。
【0009】
上記制動力制御装置において、更に図1に破線で示したように、車両の減速度を判定する減速判定手段DVを備えたものとし、エンジンブレーキ判定手段EBにてエンジンブレーキ発生と判定し且つ減速判定手段DVにて車両の減速度が所定の減速度以下と判定したときに、制動力制御手段BCが液圧制御装置PCによる制動力配分制御を開始する構成とするとよい。尚、エンジンブレーキ判定手段EBは、車両のシフト位置、エンジンの回転数及び車両の速度に基づき、車両に対しエンジンブレーキが発生したか否かを判定するように構成することができる。
【0010】
また、上記のエンジンブレーキ解除時における課題を解決するため、本発明は、エンジンブレーキ判定手段がエンジンブレーキ解除と判定したときには、車両後方RRの車輪の制動力が、少くともエンジンブレーキ解除前の制動力の減少割合より大きな割合で減少するように、制動力制御手段BCによる液圧制御装置PCの駆動を制御することとしている。
【0011】
而して、図1に実線で示す制動力制御装置においては、ブレーキペダルBPを操作すると液圧発生装置PGから前輪用及び後輪用のホイールシリンダWfr,Wrrの各々にブレーキ液圧が供給され、各車輪FR,RRに対し制動力が付与される。この場合において、液圧発生装置PGと後輪用ホイールシリンダWrrとの間には液圧制御装置PCが介装されており、ホイールシリンダWrrに付与されるブレーキ液圧が液圧制御装置PCによって制御される。そして、車両前方の車輪FRの車輪速度に対する車両後方の車輪RRの車輪速度に基づき制動力配分制御の開始判定が行なわれ、制動力配分制御の開始と判定されたときには、制動力制御手段BCによって液圧制御装置PCが駆動され、車両後方の車輪RRの制動力が車両前方の車輪FRの制動力を下回る所定の関係となるように、即ち理想制動力配分に近似するように調整される。更に、エンジンブレーキ判定手段EBによって、車両に対しエンジンブレーキが発生したか否かが判定される。エンジンブレーキ発生と判定されたときには、制動力制御手段BCにおいて液圧制御装置PCによる制動力配分制御が開始される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。図2は車両の制御システムの全体構成を示すもので、本実施形態のブレーキ液圧系は例えば図3に示すように構成されている。先ず図2において、車輪FLは運転席からみて前方左側の車輪を示し、以下車輪FRは前方右側、車輪RLは後方左側、車輪RRは後方右側の車輪を示しており、車輪FL,FR,RL,RRには夫々ホイールシリンダWfl,Wfr,Wrl,Wrrが装着されている。本実施形態は前輪駆動方式が構成されており、エンジン(図示せず)はディファレンシャルギヤDFを介して車両前方の車輪FL,FRに連結されている。従って、本実施形態においては車輪FL,FRが駆動輪となっている。
【0013】
車輪FL,FR,RL,RRには車輪速度センサWS1乃至WS4が配設され、これらが電子制御装置ECUに接続されており、各車輪の回転速度、即ち車輪速度に比例するパルス数のパルス信号が電子制御装置ECUに入力されるように構成されている。更に、ブレーキペダルBPが踏み込まれたときオンとなるブレーキスイッチBS、変速装置(図示せず)のシフト位置を検出するシフト位置センサSP、車両の加速度(減速度を含む)を検出する加速度センサGD、エンジン(図示せず)の回転数を検出する回転センサRP等が電子制御装置ECUに接続されている。
【0014】
電子制御装置ECUはマイクロコンピュータMCPを有し、図2に示すように、入力ポートIPT、出力ポートOPT、プロセシングユニットCPU、メモリROM及びメモリRAMがバスを介して相互に接続されている。上記車輪速度センサWS1乃至WS4、ブレーキスイッチBS、シフト位置センサSP、加速度センサGD、回転センサRP等の出力信号は増幅回路(代表してAMPで表す)を介して夫々入力ポートIPTからプロセシングユニットCPUに入力されるように構成されている。また、出力ポートOPTからは駆動回路を介して液圧制御装置PCに制御信号が出力されるように構成されている。マイクロコンピュータMCPにおいては、メモリROMは図4等に示したフローチャートに対応したプログラムを記憶し、プロセッシングユニットCPUはイグニッションスイッチ(図示せず)が閉成されている間当該プログラムを実行し、メモリRAMは当該プログラムの実行に必要な変数データを一時的に記憶する。
【0015】
図3は本発明の一実施形態におけるブレーキ液圧系を示すもので、前輪の液圧制御系と後輪の液圧制御系に区分された前後配管方式のブレーキ液圧系が構成されている。本発明の液圧発生装置の一実施形態として、マスタシリンダMC及び液圧ブースタHBを有し、これらがブレーキペダルBPの操作に応じて駆動される。液圧ブースタHBには補助液圧源APが接続されており、これらはマスタシリンダMCと共に低圧リザーバRSに接続されている。
【0016】
補助液圧源APは、液圧ポンプHP及びアキュムレータAccを有する。液圧ポンプHPは電動モータMによって駆動され、低圧リザーバRSのブレーキ液を昇圧して出力し、このブレーキ液が逆止弁CV5を介してアキュムレータAccに供給され、蓄圧される。電動モータMは、アキュムレータAcc内の液圧が所定の下限値を下回ることに応答して駆動され、またアキュムレータAcc内の液圧が所定の上限値を上回ることに応答して停止する。而して、アキュムレータAccから所謂パワー液圧が適宜液圧ブースタHBに供給される。
【0017】
液圧ブースタHBは補助液圧源APの出力液圧を入力し、マスタシリンダMCを倍圧駆動すると共に、マスタシリンダMCの出力液圧に比例したブースト液圧に調圧するもので、その基本的構成は周知であるので、説明は省略する。尚、ブースト液圧が過剰の液圧となったときにはブレーキ液を低圧リザーバRSに戻すリリーフバルブRVが設けられている。
【0018】
マスタシリンダMCと車両前方のホイールシリンダWfl,Wfrの各々を接続する前輪側の液圧路MF1,MF2には夫々給排制御用の電磁開閉弁PC1,PC5及び電磁開閉弁PC2,PC6が介装されている。また、液圧ブースタHBとホイールシリンダWrl,Wrr等の各々を接続する液圧路MR1,MR2には、夫々給排制御用の電磁開閉弁PC3,PC7及び電磁開閉弁PC4,PC8が介装されている。電磁開閉弁PC5乃至PC8は液圧路RCを介して低圧リザーバRSに接続されている。
【0019】
前輪側液圧系において、電磁開閉弁PC1,PC2が非作動時の開位置にあるときにはホイールシリンダWfl,Wfrは何れもマスタシリンダMCに連通接続されているが、ソレノイドコイルが励磁され閉位置に切換わると、ホイールシリンダWfl,Wfrは何れもマスタシリンダMCとの連通が遮断される。また、電磁開閉弁PC5,PC6が非作動時の閉位置にあるときにはホイールシリンダWfl,Wfrは何れも低圧リザーバRSとの連通が遮断されているが、ソレノイドコイルが励磁され開位置に切換わると、ホイールシリンダWfl,Wfrは何れも低圧リザーバRSに連通接続される。
【0020】
これら電磁開閉弁PC1及びPC2に対して並列に逆止弁CV1及びCV2が接続されており、これらの流入側がホイールシリンダWfl,Wfrに夫々接続されている。逆止弁CV1は、ブレーキペダルBPが解放されたときには、ホイールシリンダWflのブレーキ液圧をマスタシリンダMCの出力液圧の低下に迅速に追従させるために設けられたもので、マスタシリンダMC方向へのブレーキ液の流れは許容されるが逆方向の流れは制限される。尚、逆止弁CV2についても同様である。
【0021】
次に、後輪側液圧系において、電磁開閉弁PC3,PC4が非作動時の開位置にあるときにはホイールシリンダWrl,Wrrは何れも液圧ブースタHBに連通接続されているが、ソレノイドコイルが励磁され閉位置に切換わると、ホイールシリンダWrl,Wrrは何れも液圧ブースタHBとの連通が遮断される。また、電磁開閉弁PC7,PC8が非作動時の閉位置にあるときにはホイールシリンダWrl,Wrrは何れも低圧リザーバRSとの連通が遮断されているが、ソレノイドコイルが励磁され開位置に切換わると、ホイールシリンダWrl,Wrrは何れも低圧リザーバRSに連通接続される。
【0022】
更に、電磁開閉弁PC3及びPC4に対して並列に逆止弁CV3及びCV4が接続されており、逆止弁CV3の流入側がホイールシリンダWrlに、逆止弁CV4の流入側がホイールシリンダWrrに夫々接続されている。これらの逆止弁CV3,CV4は、ブレーキペダルBPが解放されたときには、ホイールシリンダWrl,Wrrのブレーキ液圧を液圧ブースタHBの出力液圧の低下に迅速に追従させるために設けられたもので、液圧ブースタHB方向へのブレーキ液の流れが許容され逆方向の流れは制限される。
【0023】
上記電磁開閉弁PC1乃至PC8は前述の電子制御装置ECUによって駆動制御される。また、液圧ポンプHPは、前述のように電動モータMによって駆動され、アキュムレータAccにパワー液圧が蓄圧されており、通常のブレーキ作動時においては、各電磁弁は図3に示す常態位置にある。この状態でブレーキペダルBPが踏み込まれると、マスタシリンダMCからマスタシリンダ液圧が出力されると共に、液圧ブースタHBからブースト液圧が出力され、電磁開閉弁PC1乃至PC4を介して、夫々ホイールシリンダWfl乃至Wrrに供給される。
【0024】
例えばホイールシリンダWrlに対し減圧モードが設定されたときには、電磁開閉弁PC3が閉位置とされると共に電磁開閉弁PC7が開位置とされ、ホイールシリンダWrl内のブレーキ液が低圧リザーバRS内に流出し減圧される。ホイールシリンダWrlに対し緩増圧モードが設定されたときには、電磁開閉弁PC7が閉位置とされると共に電磁開閉弁PC3が開位置とされ、液圧ブースタHBからブースト液圧が電磁開閉弁PC3を介してホイールシリンダWrlに供給される。そして、電磁開閉弁PC3が断続制御され、ホイールシリンダWrl内のブレーキ液は増圧と保持が繰り返されてパルス的に増大し、緩やかに増圧される。ホイールシリンダWrlに対し急増圧モードが設定されたときには、電磁開閉弁PC3,PC7が図3に示す常態の位置とされた後、液圧ブースタHBからブースト液圧が供給される。ホイールシリンダWrrのブレーキ液圧についても同様に制御される。前輪側の車輪FL,FRについても、電磁開閉弁PC1,PC2並びに電磁開閉弁PC5,PC6によって後輪側と同様に制御される。
【0025】
上記のように構成された制御システムにおいては、電子制御装置ECUによりアンチスキッド制御及び制動力配分制御の一連の処理が行なわれ、イグニッションスイッチ(図示せず)が閉成されると例えば図4のフローチャートに示した制動力配分制御のプログラムの実行が開始する。図4において、先ずステップ101にてマイクロコンピュータMCPが初期化され、各種の演算値がクリアされる。次に、ステップ102において後述の制御用に所定時間T1(例えば6ms)待機状態とされた後、ステップ103において、車輪速度センサWS1乃至WS4の検出信号がマイクロコンピュータMCPに読み込まれる。続いて、ステップ104において、回転センサRPの検出信号、即ちエンジン回転数が読み込まれ、更にステップ105において、シフト位置センサSPの検出信号、即ち変速装置(図示せず)のシフト位置が読み込まれる。
【0026】
そして、ステップ106において、車輪速度センサWS1乃至WS4の検出信号に基づき車輪速度VwFL,VwFR,VwRL,VwRRが演算される。またステップ107において、これらの各車輪速度が微分されて車輪加速度DVwFL,DVwFR,DVwRL,DVwRRが演算されると共に、ステップ108にて例えばMAX〔VwFL,VwFR,VwRL,VwRR〕に従って推定車体速度Vsoが演算される(尚、MAXは最大値を求める関数である)。更に、ステップ109において、加速度センサGDの検出信号に基づき車体減速度Gsが演算される。尚、この検出信号に代え、推定車体速度Vsoの微分値である推定車体加速度(減速度を含む)DVsoを車体減速度Gsとして用いることとしてもよい。
【0027】
而して、ステップ110に進みアンチスキッド制御開始条件を充足しているか否かが判定され、開始条件を充足しアンチスキッド制御モードと判定されると、ステップ111にてアンチスキッド制御に移行し、電磁開閉弁PC1乃至PC8が駆動制御される。ステップ110にてアンチスキッド制御モードでないと判定されたときには、ステップ112に進み制動力配分制御モードか否かが判定され、そうであればステップ113に進み、制動力配分制御モードでなければステップ102に戻る。
【0028】
上記ステップ113の制動力配分制御は図5に示すルーチンから成り、先ずステップ201において、制動力配分制御の開始条件を設定するための種々の定数が設定されるが、これは従来と同様であるので説明は省略する。続いてステップ202において、車輪FL,FR,RL,RRの車輪速度VwFL,VwFR,VwRL,VwRRに基づき所定の演算処理によって、夫々基準速度VwsFL,VwsFR,VwsRL,VwsRRが演算される。例えば車輪RRに対する基準速度VwsRRとしては、今回(n回とする)の値VwRR(n) と、前回の値VwRR(n-1) に所定値αUP・tを加えた値と、前回の値VwRR(n-1) から所定値αDN・tを減じた値の中央値が用いられる。尚、tは演算周期であり、αUPは車輪速度VwRRに対する加速度、即ち車輪速度VwRRの増加率の限度を設定する値で、αDNは車輪速度VwRRに対する減速度、即ち車輪速度VwRRの減少率の限度を設定する値である。更に、ステップ203にて前後輪の基準速度差(VwsRR−VwsFR),(VwsRL−VwsFL)が夫々DVwsRR,DVwsRLとして演算される。そして、ステップ204においてエンジンブレーキか否かが判定された後、ステップ205,206にて夫々車輪RR,RLの制動力配分制御モードが設定され、これらの制御モードに応じてステップ207において制動力配分制御が行なわれる。
【0029】
図6は図5のステップ204で行なわれるエンジンブレーキ判定のサブルーチンを示すもので、先ずステップ301にて図9に示すマップに基づきエンジンブレーキ領域にあるか否かが判定される。即ち、図4のステップ104及び105において読み込まれたエンジン回転数及びシフト位置、並びにステップ108で求められた推定車体速度(車速)に基づき、各シフト位置(図9にS1乃至S4で表す)での車速(図9の横軸)とエンジン回転数(縦軸)の関係からエンジンブレーキが発生しているか否かが判定される。つまり、各シフト位置S1等において車速及びエンジン回転数が図9に矢印で示した側の領域にあれば、エンジンブレーキ発生と判定される。而して、ステップ301においてエンジンブレーキが発生していると判定されたときには、ステップ302,303に進み、エンジンブレーキの発生を表すエンブレ中フラグがセット(1)されると共に、エンブレ終了フラグがリセット(0)される。
【0030】
ステップ301においてエンジンブレーキが解除されていると判定されたときには、ステップ304にて既にエンブレ中フラグがセットされているか否か(即ち、判定前にエンジンブレーキが発生していたか否か)が判定される。エンブレ中フラグがセットされておれば、直前までエンジンブレーキ中であったことを意味するので、ステップ305,306に進み、エンブレ終了フラグがセット(1)されると共に、エンブレ中フラグがリセット(0)される。ステップ304においてエンブレ中フラグがセットされていないと判定されたときには、ステップ307にてエンブレ終了フラグがリセットされた後メインルーチンに戻る。
【0031】
図7は図5のステップ205,206で行なわれる制動力配分制御モード設定のサブルーチンを示すもので、以下においては両車輪を代表して車輪RRに関して説明する。先ずステップ401において制動力制御中か否かが判定され、制動力配分制御を実行中であることを示す制御中フラグがリセット(0)状態であれば、ステップ402乃至412に進み、既にセット(1)されている場合には、ステップ413に進む。
【0032】
ステップ402においては、車輪RRに関して制動力配分制御開始の可否が判定される。この開始条件としては、例えば基準速度VwsRRが、車両前方の車輪FRの基準速度VwsFRに対して所定の関係にあって、ブレーキスイッチBSがオン状態にあり、且つ推定車体速度Vsoが所定速度K1(例えば15km/h)以上であること等であり、これらの条件を全て充足したときに制御開始可と判定される。また、エンジンブレーキ発生時にも開始条件を充足するが、これについては図8を参照して後述する。而して、ステップ402において制御開始可と判定されるとステップ403にて制御中フラグがセット(1)された後ステップ404以降に進み、制御開始条件を充足していなければ元のルーチンに戻る。
【0033】
ステップ404においてはエンブレ終了フラグの状態が判定され、セットされていなければステップ405にて更に強制減圧カウンタのカウント値が判定される。尚、強制減圧カウンタについては後述する。この強制減圧カウンタのカウント値が0であればステップ406に進み、前述の基準速度VwsRR等に基づきスリップ率SpRR等が演算され、制御基準値TsRR及びDfRRが演算される。制御基準値DfRRは基準速度差DVwsRRの変化、即ち前回の値と今回の値の差(DVwsRR(n) −DVwsRR(n-1) )として演算される。また、スリップ率SpRRは車両前方右側の車輪FRの基準速度VwsFRに対する車両後方右側の車輪RRの基準速度VwsRRのスリップ率((VwsRR−VwsFR)/VwsFR)であり、更にこの積分値ISpRRが演算され、これらの関数f(SpRR,DfRR,ISpRR)として制御基準値TsRRが演算される。
【0034】
具体的には、ステップ407において、上記制御基準値TsRR及びDfRRに基づき、図10に示す制御マップが構成され、この制御マップに従って制御モードが判定される。同図において縦軸はスリップ率SpRRと積分値ISpRRが加算されて制御基準値TsRRとされたもので、横軸は制御基準値DfRRであり、X1(G)とY1(%)の交点とX2(G)とY2(%)の交点を結ぶ線分及びX軸に並行な線分によって二つの領域P及びDに区画されている。領域Pはパルス増圧モードで、領域Dはパルス減圧モードであり、両領域において制御パルス信号の周期Tb及びオン時間が設定される。尚、周期Tbは、例えば制御マップ上の任意の点からX1,Y1とX2,Y2を結ぶ線分に至る垂線の長さをLとしたとき、(Tb=Kb−Kc・L)として演算される(但し、Kb,Kcは定数)。而して、ステップ408又は409において夫々パルス減圧モード又はパルス増圧モードが設定される。
【0035】
ステップ404においてエンブレ終了フラグがセット(1)されていると判定されると、エンジンブレーキ解除後の特定制御として急減圧モードとされる。即ち、先ずステップ410にて強制減圧カウンタのカウント値が2とされ、前述のステップ102で設定された所定時間T1の制御サイクルの2倍(=12ms)の時間が設定される。続いて、ステップ411にて強制減圧カウンタがディクリメント(−1)された後、ステップ412に進み急減圧モードが設定される。
【0036】
エンブレ終了フラグがセットされていないが、ステップ405にて強制減圧カウンタのカウント値が0でないと判定された場合、即ち強制減圧カウンタがカウント中であるときには、ステップ411にて強制減圧カウンタがディクリメント(−1)されて0とされた後、ステップ412に進み急減圧モードに設定される。結局、エンジンブレーキが解除された後、所定時間T1(6ms)の2倍の時間(12ms)の間は、急減圧モードとされることとなる。
【0037】
一方、ステップ401にて制御中フラグがセット(1)されていると判定されると、ステップ413にて制御終了条件を充足しているか否かが判定される。この終了条件としては、ブレーキスイッチBSがオフとなったこと、基準加速度DVsoが所定値(−0.25G)を上回ること等があり、これらの条件の何れかを充足すれば制御終了可と判定され、ステップ414にて制御中フラグがリセットされ(0)、ステップ415にて通常の増圧制御を行なう増圧モードに設定される。尚、制御終了条件を充足していなければステップ413からステップ404に進む。以上のように、後輪側のホイールシリンダWrl,Wrrはエンジンブレーキが解除された直後から急減圧モードとされ、それまでの制動力の減少割合より大きな割合で制動力が減少するので、安定した状態で制動力配分制御を行なうことができる。
【0038】
図8は図7のステップ402における制動力配分制御の開始条件判定を示すもので、ステップ501にてブレーキスイッチBSがオン状態か否かが判定され、オンであればステップ502に進み、オフであれば開始条件不成立として次のルーチンに進む。ステップ502においては、推定車体速度Vsoが所定速度K1(例えば15km/h)と比較され、これ以上であればステップ503に進み、そうでなければ開始条件不成立となる。ステップ503においては車輪RRの基準速度VwsRRが基準値(VwsFR−K2)と比較され、これを下回れば開始条件を充足するとしてステップ504に進み制御中フラグがセットされ(1)、そうでなければステップ505に進む。ステップ505においては車輪RLの基準速度VwsRLが基準値(VwsFL−K2)と比較され、これを下回れば開始条件を充足するとしてステップ504に進み制御中フラグがセットされ(1)、そうでなければステップ506に進む。
【0039】
ステップ506においてはエンブレ中フラグの状態が判定され、セットされていなければ開始条件不成立となり元のルーチンに戻るが、セットされておればエンジンブレーキが発生しているので更にステップ507に進む。ステップ507においては車体減速度Gsが基準値K3と比較され、これを上回れば(即ち、減速度が大)、開始条件を充足するとしてステップ504に進み制御中フラグがセット(1)され、そうでなければ開始条件不成立となる。このように、エンジンブレーキ発生時にも確実に制動力配分制御を行ない、後輪に対する制動力が前輪に対する制動力を下回る所定の関係に調整することができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、請求項1に記載の制動力制御装置においては、車両前方の車輪を駆動輪とする車両において、エンジンブレーキ判定手段がエンジンブレーキ発生と判定したときには制動力制御手段が液圧制御装置による制動力配分制御を開始するように構成されているので、エンジンブレーキ発生時も確実に制動力配分制御を行なうことができる。
【0041】
また、請求項2に記載の制動力制御装置においては、エンジンブレーキ判定手段にてエンジンブレーキ発生と判定し且つ減速判定手段にて車両の減速度が所定の減速度以下と判定したときに、制動力制御手段によって液圧制御装置の駆動を開始するように構成されているので、エンジンブレーキ発生時に適切なタイミングで制動力配分制御を開始することができる。
【0042】
更に、請求項3に記載の制動力制御装置においては、エンジンブレーキ判定手段がエンジンブレーキ解除と判定したときには、車両後方の車輪の制動力が、少くともエンジンブレーキ解除前の制動力の減少割合より大きな割合で減少するように、制動力制御手段による液圧制御装置の駆動を制御するように構成されているので、エンジンブレーキが解除された直後も安定した状態で制動力配分制御を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制動力制御装置の概要を示すブロック図である。
【図2】本発明の制動力制御装置の一実施形態の全体構成図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるブレーキ液圧系の一例を示す構成図である。
【図4】本発明の一実施形態における制動力制御のための処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態における制動力配分制御のための処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態におけるエンジンブレーキ判定の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態における制動力配分制御モードの処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態における制動力配分制御開始条件の判定処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態におけるエンジンブレーキ判定に供するマップを示すグラフである。
【図10】本発明の一実施形態における車両後方右側の車輪の制動力配分制御に供する制御マップを示すグラフである。
【符号の説明】
BP ブレーキペダル
BS ブレーキスイッチ
MC マスタシリンダ
AP 補助液圧源
PC 液圧制御装置
PC1〜PC8 電磁開閉弁
FL,FR,RL,RR 車輪
Wfl,Wfr,Wrl,Wrr ホイールシリンダ
WS1〜WS4 車輪速度センサ
ECU 電子制御装置
Claims (3)
- 車両前方の車輪を駆動輪とする車両において、該車両前方の車輪に装着し制動力を付与する前輪用ホイールシリンダ及び当該車両後方の車輪に装着し制動力を付与する後輪用ホイールシリンダと、少くともブレーキペダルの操作に応じてブレーキ液を昇圧し前記前輪用及び後輪用ホイールシリンダの各々にブレーキ液圧を付与する液圧発生装置と、該液圧発生装置と少くとも前記後輪用ホイールシリンダの各々との間に介装し前記ブレーキ液圧を制御する液圧制御装置と、前記車両前方の車輪の車輪速度に対する前記車両後方の車輪の車輪速度に基づき制動力配分制御の開始判定を行ない、該制動力配分制御の開始と判定したときには前記液圧制御装置を駆動し前記車両後方の車輪の制動力が前記車両前方の車輪の制動力を下回る所定の関係に調整する制動力制御手段とを備えた制動力制御装置において、前記車両に対しエンジンブレーキが発生したか否かを判定するエンジンブレーキ判定手段を備え、該エンジンブレーキ判定手段がエンジンブレーキ発生と判定したときには前記制動力制御手段が前記液圧制御装置による前記制動力配分制御を開始することを特徴とする制動力制御装置。
- 前記車両の減速度を判定する減速判定手段を備え、前記エンジンブレーキ判定手段にてエンジンブレーキ発生と判定し且つ前記減速判定手段にて前記車両の減速度が所定の減速度以下と判定したときには、前記制動力制御手段が前記液圧制御装置による前記制動力配分制御を開始することを特徴とする請求項1記載の制動力制御装置。
- 前記エンジンブレーキ判定手段がエンジンブレーキ解除と判定したときには、前記車両後方の車輪の制動力が、少くともエンジンブレーキ解除前の制動力の減少割合より大きな割合で減少するように、前記制動力制御手段による前記液圧制御装置の駆動を制御することを特徴とする請求項1記載の制動力制御装置。
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JP05391097A JP4110587B2 (ja) | 1997-02-20 | 1997-02-20 | 制動力制御装置 |
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