JPH0614125Y2 - シールリング - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案に係るシールリングは、排気管等の管同士を接
続する管接続部を構成するフランジの間に挟持して、フ
ランジ間の気密保持を図るものである。

（従来の技術） 例えば自動車用エンジンから排出される排気は、排気管
を通じて大気中に排出されるが、この排気管の途中に
は、排気中に含まれる一酸化炭素、窒素酸化物等の有害
物質を無害化処理する為の触媒コンバータ、排気中の騒
音エネルギを減衰させる為の消音器等が設けられてい
る。

この様に、排気管の途中に触媒コンバータや消音器等を
設けたエンジンの排気系に於いては、排気管の端部と、
触媒コンバータや消音器の前後両端部に付設した入口管
や出口管の端部とを、気密に接続する必要が生じる。

この為従来から、排気管と触媒コンバータ等に付設した
管との接続部を、第２図に示す様に構成する事が行われ
ている（例えば実開昭５５−３６９５３号公報参照）。

即ち、互いに接続すべき第一、第二の両管１、２の内の
第一の管１の端部外周面に第一のフランジ３を固定する
と共に、第二の管２の端部外周面に第二のフランジ４を
固定している。第一のフランジ３の第二のフランジ４と
対向する面に、第３図に示す様に形成した閉鎖環状の溝
５には、第４図に示した様なシールリング６を、一部が
この溝５から突出する状態で内嵌しており、この状態で
第一、第二の両フランジ３、４を互いに整合させ、第一
のフランジ３に穿設した小円孔７、７と第二のフランジ
４に穿設した小円孔８、８とに挿通したボルト（図示省
略）にナット（図示省略）を螺合させ更に緊締する事に
より、第一、第二の両フランジ３、４を接合して、第
一、第二の両管１、２を、気密を保持した状態で互いに
接合している。

上記シールリング６は、膨張黒鉛粒子やアスベスト、或
は特公昭６２−１０５号公報に開示されている様なガス
ケット材９を、ステンレス鋼等の耐熱性を有する金属薄
板１０によって巻回して、上記溝５に内嵌自在な形状と
大きさとを有する閉鎖環状としたものを使用している。

尚、上記特公昭６２−１０５号公報に開示されたガスケ
ット材は、有機繊維１に対して無機繊維を３〜４の比率
で含む繊維材を１０〜７０重量％、結着材としてのゴム
を５〜２０重量％、タルク１に対してクレーを１〜３の
比率で配合した充填材を７５〜２０重量％、それぞれ含
有するものである。

この様なシールリング６を第一のフランジ３の溝５に内
嵌した状態で、第一、第二の両フランジ３、４を接合す
るボルトとナットとを螺合し、更に緊締した場合、シー
ルリング６は第一、第二の両フランジ３、４の間で弾性
的に圧縮されて溝５内に押し込まれ、第一、第二の両フ
ランジ３、４の互いに対向する面同士が、第２図に示す
様に殆ど密着した状態となる。

この様な状態に於いて第一、第二の両管１、２の間の気
密は、第一のフランジ３に形成した溝５から突出しよう
とするシールリング６の一部が、第二のフランジ４に強
く押し付けられる事で保持される。

（考案が解決しようとする課題） ところが、上述の様に、ガスケット材９を金属薄板１０
で巻回する事で構成された従来のシールリング６は、次
に述べる様な不都合を生じる。

即ち、金属薄板１０により巻回するガスケット材９とし
て、アスベストや、特公昭６２−１０５号公報に開示さ
れたガスケット材を採用し、シールリング６を、排気管
同士の結合部の様に使用時に高温となる部分に使用する
と、使用に伴なってガスケット材中の非耐熱性物質、即
ちアスベスト中の結晶水や、特公昭６２−１０５号公報
に開示されたガスケット材中のゴムが分解、飛散し、ガ
スケット材９の体積が減少してしまう。

シールリング６を挟む第一、第二の両フランジ３、４を
ボルトとナットとにより結合した後、上述の様にガスケ
ット材９の体積が減少すると、第一、第二の両フランジ
３、４によるシールリング６の弾性圧縮力が小さくなっ
て、第一、第二の両フランジ３、４を使用した継手部分
のシール性が悪化してしまう。

ガスケット材９としてカーボンを単体で使用した場合に
は、上述の様な不都合は生じないが、カーボン製のガス
ケット材９は、上記２種類のガスケット材に比べて高価
なだけでなく、金属薄板１０の合わせ目から空気が進入
した場合に焼損する恐れがある為、使用条件によっては
必ずしも好ましい材料とは言えない。

本考案のシールリングは、上述の様な不都合を何れも解
消するものである。

（課題を解決する為の手段） 本考案のシールリングは、前述した従来のシールリング
と同様、第４図に示す様に、円輪状の金属薄板１０を丸
めて、円形断面を有する環状に形成した中空環と、この
中空環内に充填した非耐熱性物質を含むガスケット材９
とから構成されており、１対のフランジの間で挟持した
状態で使用される。

更に、本考案のシールリングに於いては、シールリング
をフランジの間で挟持するのに先立ち、使用時の温度よ
りも低く、上記非耐熱性物質が分解、飛散する温度より
も高い温度（排気管の継手部に使用する場合、例えば４
００℃程度）で加熱処理した事を特徴としている。

（作用） 上述の様に構成される本考案のシールリングは、前述し
た従来のシールリング６と同様、第２図に示す様に、第
一、第二の両フランジ３、４の間等に挟持し、両フラン
ジ３、４の間で弾性的に圧縮した状態で使用する。

この様な状態で本考案のシールリング６を使用し、シー
ルリング６が高温に曝された場合に於いても、このシー
ルリング６を構成するガスケット材９中には、既に非耐
熱性物質が含まれていない状態となっている為、このガ
スケット材９の体積が減少する事はなく、シールリング
６とフランジ３、４との当接圧力が極端に弱くなる事は
ない。

（実験例） 次に、本考案の効果を確認する為に行なった実験に就い
て説明する。

実験に使用したシールリングは、ガスケット材９とし
て、特公昭６２−１０５号公報に開示されたガスケット
材であって、フェノール繊維を１０重量％、ロックウー
ルを３０重量％、ニトリルブタジエンゴムを１０重量
％、タルクを２０重量％、クレーを３０重量％、それぞ
れ配合したものを、厚さ０．２mmのステンレス鋼製の金
属薄板１０により巻回し、太さ（断面の外径）４mmで、
直径（円環の外径）が５３mmの円環状としたものを使用
した。

この円環状のシールリング６を、全く熱処理をしていな
いものと、４００℃で３０分間加熱処理を行なったもの
と、２種類用意し、何れの種類のシールリングも、ボル
トとナットとの締め付けにより、初期状態で１８００kg
の押圧力を有する１対のフランジの間で挟持すると共に
加熱し、温度上昇に伴なう応力緩和率を測定した。

この結果、熱処理をしていない従来のシールリングの場
合、応力緩和率が、第１図の破線ａで示す様に変化した
のに対し、４００℃の熱処理をした本考案のシールリン
グの場合、応力緩和率が同図の実線ｂで示す様に変化し
た。

この第１図から明らかな通り、本考案のシールリング
は、高温に曝された場合でも、応力緩和率を小さく抑え
る事で、フランジ同士の接続部に於けるシール性の低下
を最小限に留める事が出来る。

（考案の効果） 本考案のシールリングは、以上に述べた通り構成され作
用する為、高温時に於けるシール性の低下を少なく抑
え、排気管等の管継手部等の気密性の向上を図る事が出
来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の効果を確認する為に行なった実験の結
果を示す線図、第２図はシールリングが組み込まれた管
接続部の断面図、第３図はこの管接続部に組み込まれて
いるフランジの斜視図、第４図は従来のシールリングを
示す部分拡大断面図である。 １：第一の管、２：第二の管、３：第一のフランジ、
４：第二のフランジ、５：溝、６：シールリング、７、
８：小円孔、９：ガスケット材、１０：金属薄板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】円輪状の金属薄板を丸めて、円形断面を有
   する環状に形成した中空環と、この中空環内に充填した
   非耐熱性物質を含むガスケット材とから成り、１対のフ
   ランジの間で挟持した状態で使用されるシールリングに
   於いて、シールリングを、フランジの間で挟持するのに
   先立ち、使用時の温度よりも低く、上記非耐熱性物質が
   分解、飛散する温度よりも高い温度で加熱処理した事を
   特徴とするシールリング。