JPH0584811B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明は、車両などに使用される排気管継手、
特に、差し込み型式の排気管継手に関するもので
ある。 従来の技術 従来、特に、自動車、オートバイなどの車両に
使用される差し込み型式の排気管継手は、円筒状
のガスケツトを内管の外周面にはめ込み、このガ
スケツトの外周面に外管をはめた後、内管の外周
面と外管の内周面との間におけるシール性を高め
るために、外管の外周面をバンドなどの締め付け
具によつて締め付ける型式のものが、知られてい
る。 また、この型式の管継手に用いられるガスケツ
トとしては、例えば、金属板から成るもの（実開
昭52−29305号公報）の他、金属板と、アスベス
トとを重ね合わせ、これを円筒状に巻回して得ら
れるスリーブの内外周面に、滑りと、固着防止と
を兼ねて黒鉛粉末などの固体潤滑剤を塗布して成
るものなどが、知られている。 発明が解決しようとする課題 従来公知のこの種の差し込み型式の継手は、そ
の他の型式のもの、例えば、フランジ型式のもの
に比較して、所要空間が少なくて済むことや、組
み立てが容易であるなどという利点がある半面、
内燃機関による振動や、熱に対して不利であると
いう問題点があつた。 そこで、本発明は、ガスケツト及び継手部の構
造を改良することにより、このような問題点を解
決することが可能である新規な排気管継手を得る
ことを、その課題とするものである。 課題を解決するための手段 本発明は、この課題を解決するために、次ぎに
述べるような構成を特徴とするものである。すな
わち、添付図面の第１〜６図に示すように、内管
１と、内管１の外周面にその開口部１₂からある
長さをはめ込まれた外管２と、これらの内外管
１，２のはめ込み部の外内周面の間に形成される
環状すき間内に挿入された円筒状ガスケツト３
と、外管２の外周面に締め付け固定される締め付
けバンド４とから成り立つている排気管継手にお
いて 内管１には、その開口部１₂の近傍に管端部分
１₃を残して径方向外方に突出する環状フランジ
１₁が設けられており、外管２には、その管端部
に径拡大部２₁と、径拡大部２₁に円周方向に等分
され且つ軸線方向に沿うスリツト２₅が設けられ
ており、内管１は、その環状フランジ１₁を含む
管端部分１₃が、外管２の径拡大部２₁にはめ込ま
れ、このはめ込み部に、内管１の管端部分１₃の
外周面と、環状フランジ１₁の一つの端面と、外
管２の径拡大部２₁の内周面とにより環状すき間
が形成されており、この環状すき間内には、補強
材と、膨張黒鉛とから成る円筒状ガスケツト３
が、一端部を環状フランジ１₁の一つの端面に接
触され、他端部は、円筒状ガスケツト３の熱膨張
により閉塞される空間部Ｇを残して配置されて成
る排気管継手を、特徴とするものである。 作 用 本発明による排気管継手は、上記のような構成
を有しているが、この本発明による排気管継手
は、次ぎのような作用を行うものである。 内管１と、外管２の径拡大部２₁との間に配置
されている補強材と、膨張黒鉛とから成る円筒状
ガスケツト３は、膨張黒鉛が備えている柔軟性
と、たわみ可能性とを有すると共に内管１内を流
動する高温排気ガスの熱により、体積膨張が生ず
るという性質を有している。しかも、このガスケ
ツト３の体積膨張は、ガスケツト３の径内方向及
び径外方向への膨張が、それぞれ、内管１及び外
管２によつて拘束されているので、その軸方向の
膨張となつて現れ、従つて、組み立て時に、内管
１の管端部分１₃と、ガスケツト３の他端面３₁
と、外管２の径拡大部２₁の肩部２₂とによて形成
される空間Ｇを密に閉塞する（第６図参照）。従
つて、そこにおける気密性（シール性）を向上さ
せる。なお、このように、熱膨張をしたガスケツ
ト３は、その性質上、冷却されても、元の状態に
戻ることが無いので、この気密性は、常時、保持
されることが出来るものである。 実施例 以下、本発明を、その実施例を示す添付図面の
第１〜６図に基づいて、詳細に説明をする。 まず、第１図に示すように、本発明による排気
管継手は、内管１と、それを差し込んでいる外管
２と、これらの内管１の外周面と、外管２の内周
面との間に形成される環状空間内に挿入されたス
ケツト３と、外管２の径拡大部２₁の外周面に配
置され、内外管１，２及びガスケツト３を一緒に
締め付けている締め付け具４とから構成されてい
る。 まず、内部を高温排気ガスが流動する内管１
は、第２図に示すように、その外周面に、開口部
１₂の側から管端部分１₃を残してフランジ１₁が
形成されている。このフランジ１₁は、第１図に
示した排気管継手の実施例においては、内管１に
リング１₁′をはめ、これを径方向内方に押圧して
固着してあるあるものとしてあるが、必ずしも、
このような手段によること無く、他の任意の手
段、例えば、溶接などの手段によつて固着するこ
とも出来る。 次ぎに、外管２は、第３図に示すように、内管
１の外径とほぼ同一の内径を有する本体部分２₀
と、その管端部分に本体部分２₀と肩部２₂を介し
て連続する径拡大部２₁とが、形成されている。 径拡大部２₁の開口部２₃の側には、径拡大部２
_１を径方向外方に拡開することによりフランジ部
２₄が形成されていると共に開口部２₃から径拡大
部２₁の軸線に沿い且つ円周方向に等分されて多
数のスリツト２₅が設けられているが、これらの
スリツト２₅の長さは、径拡大部２₁のほぼ全長に
達するようなものとしてある。 また、フランジ部２₄には、開口部２₃の周辺の
径拡大部２₁の近傍に達するように、長方形状の
横断面を有する切り欠き２₆が設けられている。
なお、この切り欠き２₆は、通常は、１個設けら
れるだけであるが、場合によつては、この円周に
沿つて数個設けることも出来る。 上記のように構成されている内管１及び外管２
は、内管１が、外管２の内部に、内管１の管端部
分１₃を、外管２の径拡大部２₁を貫通すると共に
外管２の本体部分２₀まで延長するように挿入さ
れ、内管１の外周面と、外管２の径拡大部２₁の
内周面との間に、環状すき間を形成するようにし
て組み立てられる。 この内管１の外周面と、外管２の径拡大部２₁
の内周面との間に形成される環状すき間内には、
円筒形状のガスケツト３が配置される。 この環状すき間内に配置されるガスケツト３
は、膨張黒鉛と、補強材とから成り立つており、
また、第４図に示すように、このガスケツト３
は、端面３₁，３₂と、外周面３₃と、内周面３₄と
を有している。 更に、ガスケツト３の長さは、その内周面３₄
において、内管１の管端部分１₃の外周面のほぼ
全長に渡るようなものとされており、その一端面
３₂において、内管１のフランジ１₁に接触し、そ
の他端面３₁においては、外管２の径拡大部２₁の
肩部２₂との間に、若干の空間部Ｇを形成するよ
うにし（第１図参照）、その外周面３₃において、
外管２の径拡大部２₁の内周面と接触するような
外径を有している。 この膨張黒鉛と、補強材とから成るガスケツト
３は、膨張黒鉛の具有する柔軟性と、たわみ可能
性とを有すると共に内管１内を流動する排気ガス
の熱により、体積が膨張する性質をも有してお
り、また、いつたん、体積が膨張すると、冷却し
ても、元の状態に戻らないという特異な性質をも
有しているものである。 これらの性質を有するガスケツト３が、上述し
た環状すき間内に配置されることにより、ガスケ
ツト３の体積膨張は、その径内方向及び径外方向
が、それぞれ、内管１の外周面と、外管２の径拡
大部の内周面とにより拘束されているので、ガス
ケツト３の端面３₂と、外管２の径拡大部２₁の肩
部２₂とによつて形成された空間Ｇを密に閉塞す
ることとなり（第６図参照）、環状すき間の気密
性（シール性）を向上させることとなる。 ここで、このガスケツト３を構成する膨張黒鉛
及び補強材について、やや詳細に説明をする。 膨張黒鉛は、黒鉛をその結晶のＣ軸方向に著し
く膨張させて得られるもので、その具体的な製造
技術などについては、米国特許第1137378号明細
書及び特公昭44−23966号公報などに開示されて
いる。この膨張黒鉛の粉末は、結合剤を使用する
こと無く、これを加圧することにより、容易に薄
板、又は、ブロツクなどに製造することが出来、
また、得られた成形物は、普通の黒鉛と相違し、
柔軟であり、また、たわみ可能である。ただし、
耐熱性、耐薬品性、低摩擦係数を有するという特
性については、普通の黒鉛と実質的に異なるとこ
ろは無い。また、補強材は、穴あき金属板、メタ
ルラス、あるいは、金網などが用いられている
が、特に、ステンレス細線を編むことによるか、
又は、織ることによるかして得られる金網は、耐
熱性に優れ、膨張黒鉛と組み合わせて成形物とし
た時に、この成形物に方向性を与え難いだけでは
無く、細線の絡み合いによつて強度も高くなるの
で、本発明に使用されるものとして、最も好まし
いものである。 このような組成ないしは特性を有しているガス
ケツト３は、普通には、上述した膨張黒鉛から成
るシートと、補強材とを重ね合わせ、これを巻回
して金型の中において、巻回方向にcm²当たり数
100Kgないしは3t程度の圧力により圧縮・成形し、
円筒状とするものである。 本実施例の場合について、その具体的な製造方
法を説明すると、次ぎのとおりである。 まず、厚さ0.4mmの膨張黒鉛シートを、一定の
幅と、長さとを有するように切断して条片とす
る。別に、線径が0.2mmのステンレス鋼線
（SUS304）を用意し、これを約５mmの編み目を
有すると共に上記の膨張黒鉛シートの幅よりもわ
ずかに狭い幅となるようにメリヤス編みとするこ
とにより、金網を作つて置く。 この金網を、膨張黒鉛シートの長さとほぼ等し
い長さに切断し、これを膨張黒鉛シートの上に重
ね合わせる。このように重ね合わされた膨張黒鉛
シートと、金網とを円筒状の心金の回りに、金網
を内側として少なくとも２回巻回し、円筒状体を
作る。 この円筒状体を金型内に入れ、その軸線方向に
約1.5t／cm²の押圧力を与えることにより圧縮・成
形する（圧縮率は、約70％である）。 このようにして、補強材としてのステンレス金
網が、内周面３₄に露出し、その両端面３₁，３₂
と外周面３₃とは、膨張黒鉛によつて覆われた第
４図に示すようなガスケツト３が得られる。 ここで、内周面３₄にも膨張黒鉛を有するガス
ケツト３を得ることが希望されるならば、膨張黒
鉛シートの長さよりも、心金に対して一巻き分だ
け短い長さの金網を用意し、これを膨張黒鉛シー
トに一端をそろえて重ね合わせ、金網を内側にし
て、まず、膨張黒鉛シート部分を心金に巻き付
け、引き続いて、金網部分がその上に重なるよう
に巻回することにより円筒状体を作り、この円筒
状体を、前記と同様にして、圧縮・成形すれば良
い。 上述した円筒状ガスケツト３を、内外管１，２
の外内周面の間に形成される環状すき間内に配置
した後、外管２の外周面に締め付けバンド４を配
置し、締め付けバンド４を、適宜な締結具５によ
り締結することにより、内外管１，２及びガスケ
ツト３を、一緒に、強固に締め付ける。 この締め付けバンド４は、第５図に示すよう
に、ほぼ円筒状を有し、その軸線方向に沿つて切
れ目４₁を設けられており、また、この切れ目４₁
の各面からは、径方向外方に突出して耳部４₂，
４₂が形成されており、これらの耳部４₂には穴４
_３があけられているが、これらの穴４₃には、ボル
トなどの締結具５が差し込まれ、この締結具５を
締結することにより、締め付けバンド４を強固に
締め付けるようになつている（第１，６図参照）。 更に、締め付けバンド４の軸線方向の端部４₄，
４₅の内の一方の端部４₅には、径方向に向かつて

【表】

【表】 上表から、本発明品が、比較品に比べ、継手と
して、各種の特性において優れているものである
ことが分かるところである。 発明の効果 本発明は、上記のような構成及び作用を有して
おり、ガスケツトは柔軟性及びたわみ性を有して
いるので、気密性を高めることが出来ると共に振
動の吸収効果をも発揮し、また、ガスケツトは、
内管を流動する高温排気ガスの熱によつて体積膨
張をする性質を有しているので、このガスケツト
の体積膨張によつて、組み立て時に、内管の管端
部分と、ガスケツトの端面と、外管の径拡大部の
肩部とによつて形成される空間部を密に閉塞し、
この空間部の気密性を向上させることが出来る。 また、ガスケツトは、膨張黒鉛と、補強材との
構造的一体性に優れているので、機械的並びに熱
的応力に対して抵抗性が大きく、高温度における
耐酸化性にも優れている。 更に、本発明においては、アスベストを使用し
ていないので、現在、公害上などの問題からアス
ベストを構成部材としている排気管継手の使用が
禁止されている実状に鑑がみ、それに代わる型式
の排気管継手として、特に、優れているものであ
るということが出来るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による排気管継手の１実施例
を、その組み立て状態において示す縦断面図、第
２図は、その内管部分を示す斜視図、第３図は、
同様に、外管部分を示す斜視図、第４図は、その
ガスケツトを示す斜視図、第５図は、同じく、締
め付けバンドを示す斜視図、第６図は、第１図と
同様であるが、排気管継手の使用後の状態におい
て示す部分縦断面である。 １……内管、１₁……フランジ、１₂……開口
部、１₃……管端部分、２……外管、２₀……本体
部分、２₁……径拡大部、２₂……肩部、２₃……
開口部、２₄……フランジ部、２₅……スリツト、
２₆……切り欠き、３……ガスケツト、３₁，３₂
……端面、３₃……外周面、３₄……内周面、４…
…締め付けバンド、４₁……切れ目、４₂……耳
部、４₃……穴、４₄，４₅……端部、４₆……フツ
ク部、５……締結具、Ｇ……空間部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内管と、内管の外周面にその開口部からある
   長さをはめ込まれた外管と、これらの内管及び外
   管のはめ込み部に形成される環状すき間内に挿入
   された円筒形状のガスケツトと、外管の外周面に
   締め付け固定される締め付けバンドとから成り立
   つている排気管継手において 内管には、その開口部の近傍に管端部分を残し
   て径方向外方に突出するフランジが設けられてお
   り、外管には、その管端部分に径拡大部と、径拡
   大部に円周方向に等分され且つ軸線方向に沿うス
   リツトが設けられており、内管は、そのフランジ
   を含む管端部分が、外管の径拡大部にはめ込ま
   れ、このはめ込み部に、内管の管端部分の外周面
   と、フランジの一つの端面と、外管の径拡大部の
   内周面とにより環状すき間が形成されており、こ
   の環状すき間内には、補強材と、膨張黒鉛とから
   成る円筒形状のガスケツトが、一端部を内管のフ
   ランジの一つの端面に接触され、他端部は、円筒
   形状のガスケツトの熱膨張により閉塞される空間
   部を残して配置されていることを特徴とする排気
   管継手。