JP5967365B2 - 差込み継手構造 - Google Patents

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Description

本発明は、パイプ同士をクランプ部材で接続する差込み継手構造に関する。
ガスや液体など流体の輸送には、長尺な配管が用いられる。こうした配管のパイプ端同士の接続には、インナ側となるインナパイプの端部をアウタ側となるアウタパイプの端部に差込み、差込んだアウタパイプの外周面の周りをバンド形のクランプ部材で締付けて固定する、差込み継手構造と呼ばれる構造が用いられる。
通常、差込み継手構造では、アウタパイプの端部周壁には、アウタパイプ端で開放して、アウタパイプの軸心方向に延びる直線状の開放スリットが設けられる。つまり、クランプ部材の締付け力が加わると、アウタパイプの端部周壁の全体が、径の小さくなる側(縮径側)に変形して、アウタパイプの端部内面をインナパイプの端部外面に密接させ、パイプ端部間を締結する構造としてある(特許文献1を参照)。
実開昭60−29988公報
差込み継手構造では、締結力の確保と、シール性の確保との双方が求められつつある。
ところが、差込み継手構造は、アウタパイプの開放スリットは、インナパイプと締結させるために必須であるものの、同開放スリットの影響でパイプ間のシール性が損なわれやすくなる問題がある。
すなわち、アウタパイプの開放スリットの有る端部は、径方向に変形可能である。しかし、開放スリットの閉じた端と隣接するアウタパイプの端部の周壁部分は、環状のままなので、径方向には変形可能ではない。このため、クランプ部材でアウタパイプの端部を締め付けたとき、開放スリット近傍の環状の周壁部分においては、外側へ隆起する部分が生じて、インナパイプとアウタパイプ間に隙間をもたらす。そのため、インナパイプやアウタパイプ内を流れる流体が、この隙間、開放スリット内を通じ、アウタパイプ端から外部に漏洩してしまうことがある。
そこで、本発明の目的は、簡単な構造で、パイプ間の締結力とシール性の確保が可能な差込み継手構造を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、アウタパイプの端部周壁が、クランプ部材で締付けられる締付領域内で、アウタパイプの軸心方向に沿って延びるように配置された、両端の閉じた閉塞スリットと、閉塞スリットの近傍に位置して閉塞スリットと並行に配置され、アウタパイプ端で開放して閉塞スリットの中途部分とオーバラップするまで延びる開放スリットとを有し、開放スリットの、アウタパイプ端と反対側の閉じた端は、当該開放スリットのスリット幅よりも大きな切欠部を備え、切欠部は閉塞スリットに挟まれているものとした。
同構成により、インナパイプの端部をアウタパイプの端部に差込み、差込んだアウタパイプの外周面の周りをクランプ部材で締付けると、開放スリットの有る周壁部分は、径の小さくなる側(縮径側)に変形して、アウタパイプの端部内面をインナパイプの端部外面に密接させる。と共に開放スリットの閉じた端の有る周壁部分も、閉塞スリットの形成により、径の小さくなる側(縮径側)に変形して、同様にアウタパイプの端部内面をインナパイプの端部外面に密接させ、パイプ間の締結力を確保する。一方、閉塞スリットのアウタパイプの端部とは反対側の端と隣接する環状の周壁部分は、クランプ部材の締付けにより、外側へ隆起する部分が生じ、インナパイプとアウタパイプ間に隙間をもたらすが、閉塞スリットの全体は、外側からバンド部材で覆われ、行き場の無い空間になるため、隙間からパイプ内の流体が閉塞スリット内へ漏れたとしても、閉塞スリットから外部へ漏れることはない。つまり、パイプ間のシール性は確保される。
請求項2に記載の発明は、さらに効果的にパイプ間の締結力とシール性とが増せるよう、閉塞スリットを、開放スリットを挟んで両側にそれぞれ配置するものとした。
請求項3に記載の発明は、同じく、閉塞スリットを締付領域内の軸方向に渡り配置し、開放スリットを、アウタパイプ端と反対側の閉じた端が、閉塞スリットのほぼ長さ方向中央域に配置されるものとした。
請求項1の発明によれば、インナパイプの端部をアウタパイプの端部に差込み、差込んだアウタパイプの外周面の周りをクランプ部材で締付けると、開放スリットの有る周壁部分は、径の小さくなる側に変形して、アウタパイプの端部内面をインナパイプの端部外面に密接させる。と共に開放スリットの閉じた端の有る周壁部分も、閉塞スリットにより、径の小さくなる側に変形して、同様にアウタパイプの端部内面をインナパイプの端部外面に密接させる。また閉塞スリットのアウタパイプ端とは反対側の環状の周壁部分では、クランプ部材の締付けにより、外側へ隆起する部分が生じ、インナパイプとアウタパイプ間に隙間をもたらすものの、閉塞スリットの全体は、外側からクランプ部材で覆われ、行き場の無い空間になるため、パイプ内の流体が閉塞スリットから外部へ流体が漏れることはない。
それ故、閉塞スリット、開放スリットを組合わせた簡単な構造で、パイプ間における締結力とパイプ間におけるシール性を十分に確保することができる。しかも、閉塞スリットに対し、局所ながらも、できるだけ接近する開放スリットとすることができ、容易に開放スリットの端付近を変形しやすくでき、容易にパイプ間の締結性、シール性を向上させることができる。
請求項2,3の発明によれば、効果的にパイプ間の締結力とシール性とを増すことができる
本発明の第1の実施形態に係る差込み継手構造の全体を示す斜視図。 同差込み継手構造の各部を示す分解斜視図。 インナパイプとアウタパイプとをバンド形のクランプ部材でクランプしたときの各部の挙動を説明するための断面図。 本発明の第2の実施形態の要部を示す断面図。 本発明とは別の例を示す断面図。
以下、本発明を図1ないし図3に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
図1は本発明を適用した、例えばガスの流れる配管における差込み継手構造の全体図を示し、図2は同継手構造を分解した分解図を示している。
図中1はインナパイプ、2はアウタパイプ、3はバンド形のクランプ部材を示している。インナパイプ1、アウタパイプ2、クランプ部材3は、いずれも配管内を流れる流体、ここではガスに対応した部材、例えばステンレス鋼で形成されたSUS製が用いられている。
アウタパイプ2は、インナパネル1の径寸法よりも若干、大きく形成されていて、インナパイプ1の端部がアウタパイプ2の端部内へ差込める。ちなみに、アウタパイプ2は、端部だけをインナパイプ1の径寸法よりも大きくしたものでもよい。
クランプ部材3は、帯形の薄肉部材で形成されたほぼC形のバンド部4と、同バンド部4の両端部に形成された一対の座部5と、同座部5に組付き、バンド部4を径の小さくなる側へ変位させる締結部材、例えばボルト・ナット部材7とを有して構成される。バンド部4の外形は、アウタパイプ2の外形に準じた形状をなしていて、アウタパイプ2の周りに挿通できるものである。
つまり、クランプ部材3は、インナパイプ1の端部をアウタパイプ2の端部内に差し込んだ後、インナパイプ1と重なり合うアウタパイプ2の外周面上にバンド部4を配置し、工具(図示しない)を用いて、座部5,5が接近する側にボルト・ナット部材7を回転操作すると、狭まるバンド部4で、アウタパイプ2の端部周壁2aを周りから締め付ける構造となっている。
一方、アウタパイプ2の端部周壁2aの複数箇所、例えば両側には、一対の開放スリット9と一対の複数(二本)の閉塞スリット10が設けられている。いずれのスリット9,10も、アウタパネル2の軸心方向に沿って延びるスリットで形成されている。またいずれのスリット9,10も、図3にも示されるようにクランプ部材3で締付けられる締付領域X(詳しくはバンド部4で覆われる外周面の領域:図3中の二点鎖線で囲まれる領域)に設けられている。
このうち閉塞スリット10は、図3にも示されるようにバンド部4で締付けられる締付領域Xの軸方向に渡り配置されている。具体的には、閉塞スリット10は、一端が締付領域Xのアウタパイプ端側の近くに配置され、他端が締付領域Xのアウタパイプ端とは反対側の近くに配置された、両端の閉じたスリットで形成される。
開放スリット9は、この閉塞スリット10の近傍位置に、同閉塞スリット10と並行に配置されている。開放スリット9は、一端がアウタパイプ端で開放し、他端が閉塞スリット9の中途部分とオーバラップするまで延びたスリット、具体的には閉じた他端が閉塞スリット9のほぼ長さ方向中央域に配置された直線状のスリット(ここでは1本)で形成されている。これら開放スリット9、閉塞スリット10によって、バンド部4から締付力が加わると、アウタパイプ2の端部周壁2aの内面全体が縮径側に変形されつつ、覆うバンド部4の内面により閉塞スリット10が行き場のない密閉状態となるようにしている。
この際、締付領域Xの有るアウタパイプ2の端部が縮径側へ変形しやすくなるよう、閉塞スリット10は、開放スリット9を挟んだ両側にそれぞれ配置してある。特に開放スリット9と閉塞スリット10の間の距離は、狭ければ狭くなるほどアウタパイプ2の締付領域Xは変形しやすくなるものの、反面、狭くなるほど、スリット加工が難しくなる傾向にあるので、ここでは両者の両立が図れるよう、開放スリット9の閉じた端(アウタパイプ端とは反対側の端)は、開放スリット9のスリット幅よりも大きな切欠部、ここでは円形な孔部9aを形成して、局所的でも閉塞スリット10間を狭くさせている。また両側の閉塞スリット10でも、閉塞スリット10を孔部9aを中心に両端側が開放スリット9と接近する方向に円弧形に曲成した円弧形スリットが用いて、閉塞スリット10の両端側においても、開放スリット9間、閉塞スリット10間を狭くさせてある。
すなわち、差込み継手構造は、図3に示されるようにインナパイプ1の端部をアウタパイプ2の端部に差込み、差込んだアウタパイプ2の外周面の周りをクランプ部材3のバンド部4で締付ける。すると、開放スリット9の有る周壁部分は、径の小さくなる側に変形して、インナパイプ1の端部周壁1aの外面にアウタパイプ2の端部周壁2aの内面を密接させる。と共に開放スリット9の閉じた端の有る周壁部分も、閉塞スリット10により、径の小さくなる側に変形して、同様にアウタパイプ2の端部周壁2aの内面をインナパイプ1の端部周壁1aの外面に密接させ、パイプ1,2間を強固に締結させる。
一方、閉塞スリット10の奥側の端(アウタパイプ端とは反対側の端)の近くの周壁部分9bは、開放スリット9や閉塞スリット10が有る部分とは異なり、縮径方向に変位しない環状の周壁部分なので、同周壁部分9baには、バンド部4の締付力が加わるにしたがい、外側へ隆起する部分が生じ、インナパイプ1とアウタパイプ2間に隙間をもたらす。しかし、閉塞スリット10の全体は、外側からバンド部4で覆われ、行き場の無い空間になるため、隙間からパイプ1,2内のガス(流体)が、図3中の矢印aのように閉塞スリット10内へ漏れたとしても、閉塞スリット10から外部へ漏れることはない。
したがって、開放スリット9および閉塞スリット10を組合わせた簡単な構造で、パイプ1,2間における締結力を十分に確保できることはもちろん、パイプ1,2間におけるシール性も十分に確保することができる。開放スリット9の両側に閉塞スリット10を設けると、効果的にパイプ1,2間の締結力とシール性を増すことができる。
特に、閉塞スリット10を締付領域X内の軸方向の大部分を占めるように設け、開放スリット9を同閉塞スリット10の長さ方向中央域に配置するまで設けると、開放スリット9、閉塞スリット10を十分に利用して、周壁2aで大きな変位量が確保でき、一層、効果的にパイプ1,2間における締結力とシール性を増大させることができる。
そのうえ、開放スリット9の奥側の端に孔部9aを形成すると、簡単、かつ加工が容易なスリット構造で、開放スリット9の端付近を変形しやすくでき、容易にパイプ1,2間の締結性、シール性を高めることができる。加えて、開放スリット9を挟んだ両側の閉塞スリット10の両端側を孔部9aを中心に中央側へ接近する方向に曲成した円弧スリットにすると、孔部9aと協同して、一層、効果的にパイプ1,2間における締結力とシール性を増大させることができる。
図4は、本発明の第2の実施形態を示す。
本実施形態は、閉塞スリット10を円弧形でなく、直線状のスリットを用いたものである。このようにしても第1の実施形態と同様の効果を奏する。
図5は、本発明とは別の例を示す。
別の例は、開放スリット9として、孔部のない直線状のスリットを用いたものである。もちろん、開放スリット9の閉じ側の端は、二点鎖線sのようにアウタパイプ1端寄りの地点に配置されたり、二点鎖線tのようにアウタパイプ1端から離れる側寄りの地点に配置されたりする。
但し、図4および図において、上述した第1の実施形態と同じ部分には、同一符号を付勢してその説明を省略した。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば上述した実施形態では、ガスが流れる配管に本発明の差込み継手構造を適用したが、これに限らず、液体が流れる配管などに適用してもよい。また上述の実施形態では、開放スリットの両側に閉塞スリットも配置した例を挙げたが、さらにその閉塞スリットの両側に多段的に閉塞スリットを設けるようにしても構わない。また閉塞スリットの両側に開放スリットを設ける構造でも構わない。
1 インナパイプ
2 アウタパイプ
3 クランパ部材
9 開放スリット
10 閉塞スリット
9a 孔部(切欠部)
X 締付領域

Claims (3)

  1. インナパイプの端部をアウタパイプの端部内に差込み、前記インナパイプと重なり合う前記アウタパイプの外周面をクランプ部材で周りから締付けて、前記インナパイプの端部周壁と前記アウタパイプの端部周壁同士を固定する差込み継手構造であって、
    前記アウタパイプの端部周壁は、
    前記クランプ部材で締付けられる締付領域内で、前記アウタパイプの軸心方向に沿って延びるように配置された、両端の閉じた閉塞スリットと、
    前記閉塞スリットの近傍に位置して前記閉塞スリットと並行に配置され、前記アウタパイプ端で開放して前記閉塞スリットの中途部分とオーバラップするまで延びる開放スリットとを有し、
    前記開放スリットの、前記アウタパイプ端と反対側の閉じた端は、当該開放スリットのスリット幅よりも大きな切欠部を備え、
    前記切欠部は前記閉塞スリットに挟まれている
    ことを特徴とする差込み継手構造。
  2. 前記閉塞スリットは、前記開放スリットを挟んで両側にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項1に記載の差込み継手構造。
  3. 前記閉塞スリットは、前記締付領域内に渡り配置され、
    前記開放スリットは、前記アウタパイプ端と反対側の閉じた端が、前記閉塞スリットのほぼ長さ方向中央域に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の差込み継手構造。
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