JP2550037Y2 - 排気管継手 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、自動車、オートバイ等
の排気管に使用される排気管継手に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動車、オートバイ等の排気管に
使用される排気管継手は、金属板あるいは金属板とアス
ベストとを重ね合わせ、これを円筒状に巻回して得られ
るスリーブの内、外周面に、滑りと固着防止とを兼ねて
黒鉛粉末などの固体潤滑剤を塗布して形成された円筒状
ガスケットを内管の外周面に嵌め込み、このガスケット
の外周面に外管を嵌めた後、内管の外周面と外管の内周
面との間における密封性を高めるために、外管の外周面
をバンドなどの締付け具によって締付ける型式、所謂差
込み型式のものが知られている。

【０００３】従来公知のこの種の差込み型式の継手は、
その他の型式のもの、例えばフランジ型式のものに比較
して、所要空間が少なくて済むことや、組み立てが容易
であるなどという利点を有する反面、内燃機関による振
動や熱に対して不利であるという問題点があった。

【０００４】そこで、上記問題点に鑑み、本出願人は先
に、特願平1-244941号（特開平2-125907号：以下「先行
技術」という）において、上記問題点を解決した排気管
継手を提案した。

【０００５】この先行技術から成る排気管継手を図６に
基づいて説明する。

【０００６】内管１と、内管１の外周面にその開口部１
ａからある長さを嵌め込まれた外管２と、これらの内、
外管１、２の嵌め込み部に形成される環状隙間内に挿入
された円筒状ガスケット３と、外管２の外周面に締め付
け固定される締め付けバンド４とから成り立っている排
気管継手において、内管１にはその開口部１ａの近傍に
管端部分１ｂを残して径方向外方に突出する環状フラン
ジ１ｃが固定されており、外管２にはその管端部に径拡
大部２ａと径拡大部に円周方向に等分されかつ軸線方向
に沿うスリット２ｂが設けられており、内管１はその環
状フランジ１ｃを含む管端部分１ｂが該外管２の径拡大
部２ａに嵌め込まれ、この嵌め込み部に内管１の管端部
分１ｂと環状フランジ１ｃの一方の端面と外管２の径拡
大部２ａの内周面とにより環状隙間が形成されており、
この環状隙間には補強材と膨張黒鉛とから成る円筒状ガ
スケット３が一方の端部を環状フランジ１ｃの一方の端
面に当接させ、他方の端部に円筒状ガスケット３の熱膨
張により閉塞される空間部Ｇを残して配置されて成る排
気管継手である。

【０００７】上述した先行技術から成る排気管継手は、
内管１の管端部分１ｂと環状フランジ１ｃの一方の端面
と外管２の径拡大部２ａの内周面とにより形成される環
状隙間に配置された補強材と膨張黒鉛とから成る円筒状
ガスケット３が内管１を流動する高温排気ガスの熱によ
って体積膨張し、この体積膨張により組立て時に、内管
１の管端部分１ａとガスケット３の端面と外管２の径拡
大部２ａの肩部とによって形成される空間部Ｇを密に閉
塞し、継手部の密封性を向上させることができるという
利点を有するものである。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】上述した排気管継手に
おいては、通常外管２をマフラー側に連結固定したの
ち、内管１をエンジン側に連結固定して使用されるもの
であるが、内管１と外管２にはその製作上、まぬがれぬ
長手方向の寸法公差を有していることから、これら寸法
公差の累積により、内管１と外管２との間に、あるいは
締付けバンドに軸方向の自由度をもたない上記排気管継
手においては、これら寸法公差を許容することができ
ず、内管１あるいは外管２に接続されるエンジン側ある
いはマフラー側に無理な配置を余儀無くされ、結果とし
て内管１あるいは外管２に無理な応力が蓄積されるとい
う欠点が見出された。

【０００９】本考案は、上述した先行技術の排気管継手
における利点を有効に利用すると共に欠点である内管と
外管にその製作上まぬがれぬ長手方向の寸法公差を生じ
た場合でも、当該寸法公差を許容することができる排気
管継手を得ることを目的とするものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
べく、本考案はつぎの構成を採る。すなわち、本考案の
第一の構成は、外管にはその管端部分に外管本体と肩部
をもって拡径する拡大円筒部と該拡大円筒部に円周方向
に等分されかつ軸方向に沿う少なくとも２個の切割り溝
が設けられており、該拡大円筒部の内面には円筒ガスケ
ットが端面を該肩部に当接させて圧入固定されており、
内管にはその管端部外周面にリングが該内管の管軸方向
に移動可能に嵌挿されていると共に該内管は該リングを
外周面に保持して円筒ガスケットの内面に嵌め込まれて
おり、該外管の拡大円筒部外周面には周縁部に少なくと
も２個の係合フック部を備えた締付けバンドが該係合フ
ック部を拡大円筒部の切割り溝に係合させて配されてお
り、該リングは該締付けバンドの係合フック部により軸
方向に押圧されて該円筒ガスケットに当接せしめられて
いると共に該拡大円筒部と円筒ガスケットと内管とは該
締付けバンドにより締付け固定されてなる排気管継手で
ある。

【００１１】また、本考案の第二の構成は、上記構成に
加えて、外管にはその管端部分に外管本体と肩部をもっ
て拡径する拡大円筒部と該拡大円筒部の開口部外周縁に
突当て部と該拡大円筒部に円周方向に等分されかつ軸方
向に沿う少なくとも２個の切割り溝が設けられており、
該外管の拡大円筒部外周面には周縁部に少なくとも２個
の係合フック部を備えた締付けバンドが該係合フック部
を拡大円筒部の切割り溝に係合させ、かつ係合フック部
を該リング端面に当接せしめると共に周縁部端面を突当
て部に係合させて配されていることを特徴とする排気管
継手。

【００１２】上記第二の構成において、拡大円筒部の開
口部周縁の突当て部は、該開口部周縁を径方向外方に折
り曲げて形成された曲折部から成る。

【００１３】そして、上記第一、第二の構成において、
円筒ガスケットは金属金網と膨張黒鉛シートとを重ね合
わせ、これを円筒状に巻回したのち、軸方向に圧縮成形
することにより得られるものが使用される。

【００１４】リングは、耐熱性を有する材料から成るも
ので、例えば金属、セラミックなど、また、耐熱性に加
えて熱の影響によりそれ自身体積膨張を来す性質を有す
る、例えば上記円筒ガスケットと同様、金属金網と膨張
黒鉛シートとを重ね合わせ、これを円筒状に巻回したの
ち、軸方向に圧縮成形して得られるリングなどが使用さ
れる。後者の体積膨張を来す性質を有するリングを使用
した場合には、当該継手部分の密封性が高められる。

【００１５】

【作用】上述した構成から成る本考案の排気管継手は、
つぎのような作用を行なうものである。

【００１６】第一の構成から成る排気管継手は、係合フ
ック部を備えた締付けバンドが該フック部を外管の拡大
円筒部に設けられた切割り溝に係合させて該拡大円筒部
外周面に配されているもので、外管をマフラー側に連結
固定したのち、内管をエンジン側に移動させてエンジン
側に連結固定する。ついで、該締付けバンドを外管方向
に移動させることにより、該係合フック部は該内管の外
周面に嵌挿されたリングを軸方向に押圧移動させ、かつ
該リングを円筒ガスケットに当接させる。この状態で、
外管の拡大円筒部と円筒ガスケットと内管とを締付けバ
ンドにより締め付け固定する。

【００１７】第二の構成から成る排気管継手は、係合フ
ック部を備えた締付けバンドが該フック部を外管の拡大
円筒部に設けられた切割り溝に係合させ、かつ係合フッ
ク部を該リング端面に当接せしめると共に周縁部端面を
突当て部に係合させて配されているもので、該締付けバ
ンドは管軸方向への移動が拘束されている。

【００１８】外管をマフラー側に連結固定したのち、内
管をエンジン側に移動させてエンジン側に連結固定す
る。この状態で、外管の拡大円筒部と円筒ガスケットと
内管とを締付けバンドにより締め付け固定する。

【００１９】上記第一、第二の構成において、円筒ガス
ケットは内管を流動する高温排気ガスの熱によって体積
膨張を来し、該ガスケットはこの体積膨張により組立て
時に内管の管端部分と円筒ガスケットの端面と外管の拡
大円筒部の肩部とで形成される空間部を閉塞するので、
当該継手部の密封性が高められる。

【００２０】このように第一、第二の構成から成る本考
案の排気管継手は、締付けバンドおよび内管に、あるい
は内管に管軸方向の自由度が与えられているので、内管
と外管にその製作上まぬがれぬ長手方向の寸法公差に起
因する不具合を生じた場合でも、当該不具合を取り除く
ことができる。

【００２１】

【実施例】以下、本考案の排気管継手をその実施例を示
す添付図面の図１乃至図５により、詳細に説明する。

【００２２】図１乃至図４は、本考案の第一の構成から
成る排気管継手を示すものである。図において、10はマ
フラー側に連結される外管であり、該外管10にはその管
端部分に外管本体と肩部11をもって拡径する拡大円筒部
12と該拡大円筒部に円周方向に等分されかつ軸方向に沿
う少なくとも２個の切割り溝13が設けられている。

【００２３】20は円筒ガスケットであり、該ガスケット
20は、金属細線を織ったり編んだりして得られる金網か
ら成る補強材と膨張黒鉛シートとを重ね合わせ、これを
円筒状に巻回して予備円筒体を形成したのち、予備円筒
体を軸方向に圧縮して形成されたものである。該円筒ガ
スケット20は一方の端面を前記外管10の拡大円筒部12の
肩部11に当接させて該拡大円筒部12の内面に圧入固定さ
れている（図３）。

【００２４】30はエンジン側に連結される内管であり、
該内管30にはその管端部外周面にリング40が該内管の軸
方向に移動可能に嵌挿されている。

【００２５】該内管30はその管端部が外周面にリング40
を保持して該拡大円筒部12の内面に圧入固定された円筒
ガスケット20の内面に嵌めこまれている（図４）。

【００２６】50は締付けバンドであり、該締付けバンド
50にはその両端部に径方向外方に突出する耳部51と該耳
部51に孔52と該耳部の一方に該孔52と連通する螺子孔を
もったナット53が設けられていると共に一方の周縁部51
に前記拡大円筒部12に設けられた切割り溝13に対応する
少なくとも２個の係合フック部54が設けられている。

【００２７】該締付けバンド50は前記外管10の拡大円筒
部12の外周面に係合フック部54を該拡大円筒部12に設け
られた切割り溝13に係合させ、該切割り溝13に沿う方向
に移動可能に配されている。

【００２８】図４に示す組立て状態において、外管10を
マフラー側に連結固定したのち、内管30をエンジン側に
移動させてエンジン側に連結固定する。ついで、該締付
けバンド50を外管10方向に移動させることにより、該係
合フック部54は該内管30の外周面に嵌挿されたリング40
を管軸方向（外管方向）に押圧移動させ、かつ該リング
40を円筒ガスケット20に当接せしめる。この状態で、外
管10の拡大円筒部12と円筒ガスケット20と内管20とを締
付けバンド50の耳部に固定されたナット53に反対側の耳
部の孔を挿通させたボルト60を螺合させて締め付け固定
し、組立てを完了する（図１）。

【００２９】図５は、本考案の第二の構成から成る排気
管継手を示すものである。外管10の拡大円筒部12の開口
部外周縁には該拡大円筒部12の開口部を径方向外方に折
り曲げて形成した曲折部から成る突当て部14が形成され
ている。

【００３０】第二の構成においては、該係合フック部54
を備えた締付けバンド50が該フック部54を外管10の拡大
円筒部12に設けられた切割り溝13に係合させ、かつ係合
フック部54を該リング40の端面に当接せしめると共に周
縁部51端面を突当て部14に係合させて配されているもの
で、該締付けバンドは管軸方向への移動が拘束されてい
る。図５に示す組立て状態において、外管10をマフラー
側に連結固定したのち、内管30をエンジン側に移動させ
てエンジン側に連結固定する。この状態で、外管10の拡
大円筒部12と円筒ガスケット20と内管30とを締付けバン
ド50の耳部に固定されたナット53に反対側の耳部の孔を
挿通させたボルト60を螺合させて締め付け固定し、組立
てが完了する。

【００３１】このように第一、第二の構成から成る本考
案の排気管継手は、締付けバンド50および内管30に、あ
るいは内管30に管軸方向の自由度が与えられているの
で、内管30と外管10にその製作上まぬがれぬ長手方向の
寸法公差に起因する不具合が生じた場合でも、当該不具
合を取り除くことができる。

【００３２】また、第一、第二の構成において、円筒ガ
スケット20は内管30を流動する高温排気ガスの熱によっ
て体積膨張を来し、該ガスケット20はこの体積膨張によ
り組立て時に内管30の管端部分と円筒ガスケット20の端
面と外管の拡大円筒部の肩部11とで形成される空間部Ｇ
を閉塞するので、当該継手部の密封性が高められるとい
う前記先行技術の利点はそのまま発揮される。

【００３３】

【考案の効果】上述した構成から成る本考案の排気管継
手は、以下の効果を奏する。 締付けバンドおよび内管に、あるいは内管に管軸方向
の自由度が与えられているので、内管と外管にその製作
上まぬがれぬ長手方向の寸法公差に起因する不具合を生
じた場合でも、当該不具合を取り除くことができる。 円筒ガスケットは内管を流動する高温排気ガスの熱に
よって体積膨張を来し、該ガスケットはこの体積膨張に
より組立て時に内管の管端部分と円筒ガスケットの端面
と外管の拡大円筒部の肩部とで形成される空間部を閉塞
するので、当該継手部の密封性が高められる。

【００３４】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の排気管継手の第一の構成を示す縦断面
図である。

【図２】図１のイ−イ線断面図である。

【図３】図１の排気管継手の組立て過程を示す縦断面図
である。

【図４】図１の排気管継手の組立て過程を示す縦断面図
である。

【図５】本考案の排気管継手の第二の構成を示す縦断面
図である。

【図６】先行技術の排気管継手を示す縦断面図である。

【符号の説明】

10 外管 11 肩部 12 拡大円筒部 13 切割り溝 20 円筒ガスケット 30 内管 40 リング 50 締付けバンド 54 係合フック部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−125907（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−61316（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−130018（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−145390（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−154225（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−98292（ＪＰ，Ｕ)

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外管にはその管端部分に外管本体と肩部
   をもって拡径する拡大円筒部と該拡大円筒部に円周方向
   に等分されかつ軸方向に沿う少なくとも２個の切割り溝
   が設けられており、該拡大円筒部の内面には円筒ガスケ
   ットが端面を該肩部に当接させて圧入固定されており、
   内管にはその管端部外周面にリングが該内管の管軸方向
   に移動可能に嵌挿されていると共に該内管は該リングを
   外周面に保持して前記円筒ガスケットの内面に嵌め込ま
   れており、該外管の拡大円筒部外周面には周縁部に少な
   くとも２個の係合フック部を備えた締付けバンドが該係
   合フック部を拡大円筒部の切割り溝に係合させて配され
   ており、該リングは該締付けバンドの係合フック部によ
   り管軸方向に押圧されて該円筒ガスケットに当接せしめ
   られていると共に該外管の拡大円筒部と円筒ガスケット
   と内管とは該締付けバンドにより締付け固定されている
   ことを特徴とする排気管継手。
2. 【請求項２】 外管にはその管端部分に外管本体と肩部
   をもって拡径する拡大円筒部と該拡大円筒部の開口部外
   周縁に突当て部と該拡大円筒部に円周方向に等分されか
   つ軸方向に沿う少なくとも２個の切割り溝が設けられて
   おり、内管にはその管端部外周面にリングが嵌挿されて
   おり、該内管は前記円筒ガスケットの内面に嵌め込まれ
   ていると共に該リングは該円筒ガスケットの端面に当接
   せしめられており、該外管の拡大円筒部外周面には周縁
   部に少なくとも２個の係合フック部を備えた締付けバン
   ドが該係合フック部を拡大円筒部の切割り溝に係合さ
   せ、かつ係合フック部を該リング端面に当接せしめると
   共に周縁部端面を突当て部に係合させて配されており、
   該外管の拡大円筒部と円筒ガスケットと内管とは該締付
   けバンドにより締付け固定されていることを特徴とする
   排気管継手。
3. 【請求項３】 拡大円筒部の開口部周縁の突当て部は、
   該開口部周縁を径方向外方に折り曲げて形成された曲折
   部から成る請求項２に記載の排気管継手。