JPH06140047A - 燐酸形燃料電池触媒のカーボン担体の製造方法 - Google Patents

燐酸形燃料電池触媒のカーボン担体の製造方法

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JPH06140047A
JPH06140047A JP4282089A JP28208992A JPH06140047A JP H06140047 A JPH06140047 A JP H06140047A JP 4282089 A JP4282089 A JP 4282089A JP 28208992 A JP28208992 A JP 28208992A JP H06140047 A JPH06140047 A JP H06140047A
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carbon black
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Hirobumi Enomoto
博文 榎本
Shuzo Waratani
修三 藁谷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】触媒のカーボン担体に白金粒子を高分散状態に
担持させ、燃料電池の初期特性を向上させる。 【構成】オイルファーネスブラックを用いて、不活性ガ
ス中で2700℃の高温熱処理を行ない、比表面積が5
0〜100m2 /gの黒鉛化カーボンブラックを作製
し、さらにこれを80℃以上の飽和水蒸気を含んだ窒素
ガス雰囲気中で、900〜1000℃に加熱する水蒸気
賦活処理を行なって、その比表面積を100〜200m
2 /gとしたカーボン担体を作製する。水蒸気賦活処理
を施した黒鉛化カーボンブラックは、燐酸電解質に対し
て濡れ難くしかも比表面積が大きいので、白金粒子を分
散度高く担持することができ、この担体を用いた触媒を
備えた燃料電池は、寿命特性のみならず初期特性が向上
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は燐酸形燃料電池の触媒の
カーボン担体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燐酸形燃料電池のガス拡散電極は電気伝
導性に優れた多孔質のカーボン基材上に、貴金属を担持
した触媒粉末とポリテトラフロロエチレン(以下、PT
FEとする)を混合した触媒層から形成されている。図
4はガス拡散電極の構造を示す模式断面図である。図4
において、空気または水素の流通路を有する多孔質カー
ボン基材を用いた電極基板1と、カーボン担体2の表面
上に白金粒子3を担持した触媒に、適度な撥水性を付
与するPTFE5を混合した触媒層からなっている。
【0003】この触媒層に供給される反応ガスの酸素
または水素と、燐酸電解質および触媒の三相共存が均
一に起こることにより、電気化学的反応を直接電気エネ
ルギーとして取り出すことができる。触媒層は電極反
応に極めて重要な役割を果たしており、燐酸電解質に対
して優れた耐食性と電気伝導性を有し、白金粒子3を保
持する座となるカーボン担体2には、従来、オイルファ
ーネスブラック,アセチレンブラック,黒鉛化カーボン
ブラックなどが用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらカーボンのう
ち、オイルファーネスブラックは比表面積が約100〜
1000m2 /gと大きいので、白金粒子3を高分散状
態にカーボン担体2の表面上に担持することができる。
ただ、オイルファーネスブラックは製造時に不純物を多
く含むことから、燐酸電解質に対して濡れやすく、電極
の寿命が短い。
【0005】一方、アセチレンブラック,黒鉛化カーボ
ンブラックは、製造上からは不純物が少ないので、燐酸
電解質に対して濡れ難く、電極の寿命が非常に安定して
いるという利点があり、一般に使用されているが、比表
面積が約10〜100m2 /g程度と小さいため、白金
粒子3を微細に分散させるのが難しく、電池の初期特性
が低いという欠点がある。
【0006】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、黒鉛化カーボンブラックに白金粒子
を高分散状態に担持させ、電池の寿命特性とともに初期
特性を向上することができる燐酸形燃料電池触媒のカー
ボン担体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明の方法は、まず、オイルファーネスブラッ
クを用いて、アルゴンなどの不活性ガス中で2700℃
の熱処理を2時間以上行ない、比表面積が50〜100
2 /gの黒鉛化カーボンブラックを作製し、さらにこ
の黒鉛化カーボンブラックを、80℃以上の飽和水蒸気
を含んだ窒素ガス雰囲気中で、900〜1000℃に加
熱する水蒸気賦活処理を行なうことにより、黒鉛化され
たカーボンブラックの比表面積が100〜200m2
gとなるカーボン担体を得るものである。
【0008】
【作用】以上のように本発明の方法により、水蒸気賦活
処理を施した黒鉛化カーボンブラックは、高耐蝕性を有
し燐酸電解質に対して濡れ難く、しかも比表面積が大き
いので、白金粒子を分散度高く担持した触媒を得ること
ができ、これを燃料電池に用いたとき、電池の寿命特性
のみならず初期特性が向上する。
【0009】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき説明する。ま
ず、オイルファーネスブラックの例えば米国キャボット
社製の商品名ブラック1000を、比表面積が50〜1
00m2 /gとなるように、アルゴンなどの不活性ガス
中で2700℃の熱処理を2時間以上行なう。この熱処
理によってカーボン格子面間隔が3.35Åの平行な黒
鉛網平面を有する黒鉛化カーボンブラックを作製するこ
とができる。このようにして出来上がった黒鉛化カーボ
ンブラックの比表面積は86m2 /gであった。
【0010】さらにこの黒鉛化カーボンブラックを、窒
素ガス雰囲気の電気炉に装入して熱処理を行なう。図1
はその熱処理を説明するための模式図である。図1にお
いて、適当な水量を持つ水槽7をヒータ8により昇温
し、ここに窒素ガス9を導入する。80℃以上の飽和水
蒸気を含んだ窒素ガス9は、電気炉10の炉芯管11を
通って廃棄されるが、この間に、炉芯管11に装入した
ボート12に置いた黒鉛化カーボンブラック13は、飽
和水蒸気を含んだ窒素ガス9の雰囲気中で900〜10
00℃に加熱される。この熱処理を約10時間行なう。
この際、窒素ガス9の温度と熱処理温度との組み合わせ
で、黒鉛化カーボンブラック13の比表面積が決まる
が、本実施例の条件では100〜200m2 /gとなる
ようにしたものであり、実際の測定結果では153m2
/gが得られた。この熱処理を水蒸気賦活と称する。
【0011】図2は以上の過程におけるカーボン表面の
構造を電子顕微鏡で観察した模式図であり、それぞれ図
2(a)は始めのオイルファーネスブラック,図2
(b)は次工程の黒鉛化カーボンブラック,図2(c)
は水蒸気賦活処理を行なった黒鉛化カーボンブラックを
表わしている。この結果から、図2(a)のオイルファ
ーネスブラックは、原子配列が不規則で全体として円形
状に観察され、図2(b)の黒鉛化カーボンブラック
は、原子が規則的に層状に配列し六方晶の構造を呈する
のに対して、図2(c)の水蒸気賦活処理した黒鉛化カ
ーボンブラックは、 2H2 O→2H2 +O2 C+O2 →CO2 の反応により、一部が酸化して燃焼し孔状に掘れるため
に、比表面積が大きくなることがわかる。
【0012】次に、水蒸気賦活処理を施した黒鉛化カー
ボンブラックに、白金量として10wt%となるように
白金を担持した触媒を用いて電極を作製した。表1は本
発明の方法により得られた黒鉛化カーボンブラックの比
表面積,白金の分散度としてX線回折による白金の結晶
粒子径,触媒の活性度として電池の電流密度10mA/
cm2 における初期特性を示したものであるが、比較の
ために、始めのオイルファーネスブラック,次工程の黒
鉛化カーボンブラックについても併記してある。
【0013】
【表1】 本発明では、オイルファーネスブラックを黒鉛化処理し
た後、さらに水蒸気賦活処理することによって、黒鉛化
カーボンブラックのままに比べて比表面積が大きくな
り、白金結晶粒子の分散度を高めることができる。その
結果、本発明の方法による水蒸気賦活黒鉛化カーボンブ
ラックを用いることにより、オイルファーネスブラック
を用いたときとほぼ同等の白金結晶粒子径が得られ、電
池の初期特性を高めるような触媒活性が実現される。
【0014】図3は電池の電流密度300mA/cm2
における電圧の経時変化を示す線図であり、線(イ)は
カーボン担体に本発明による水蒸気賦活処理した黒鉛化
カーボンブラックを用いた場合、線(ロ),線(ハ)は
比較のために示してあり、線(ロ)オイルファーネスブ
ラックのまま用いた場合、線(ハ)は黒鉛化処理のみ行
なったカーボンブラックを用いた場合を表わしている。
図3からわかるように、本発明の方法により得られる黒
鉛化カーボンブラックを触媒担体として用いることによ
り、電池の寿命特性が安定しているだけでなく、初期特
性も同時に向上させることができる。
【0015】
【発明の効果】燐酸形燃料電池の触媒に用いられるカー
ボン担体は、一般にオイルファーネスブラック,アセチ
レンブラック,黒鉛化カーボンブラックなど各種のカー
ボンが使用されているが、これらは、燐酸電解質に対し
て濡れやすく電極の寿命が短いとか、比表面積が小さい
ため白金粒子を微細に分散させるのが難しく、電池の初
期特性が低いとなど、それぞれに欠点をもっており、こ
れに対して本発明では、実施例で述べた如く、オイルフ
ァーネスブラックを用いてこれを高温処理して黒鉛化し
た後、さらに水蒸気賦活処理を施すことによりカーボン
担体を作製しているため、得られたカーボン担体は、燐
酸電解質に対して濡れ難く、しかも比表面積が大きいの
で、白金粒子を高分散状態に担持することができ、この
触媒を燃料電池に用いたとき、電池の寿命特性のみなら
ず初期特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法における水蒸気賦活処理を説明す
るための模式図
【図2】各カーボン表面の電子顕微鏡観察結果を表わ
し、それぞれ(a)はオイルファーネスブラック,
(b)は黒鉛化カーボンブラック,(c)は水蒸気賦活
処理を行なった黒鉛化カーボンブラックの結晶状態を示
す模式図
【図3】各カーボン担体を用いたときの比較で示した燃
料電池出力の経時変化を示す線図
【図4】燐酸形燃料電池のガス拡散電極の構造を示す模
式断面図
【符号の説明】
1 電極基板 2 カーボン担体 3 白金粒子 触媒 5 PTFE 触媒層 7 水槽 8 ヒータ 9 窒素ガス 10 電気炉 11 炉芯管 12 ボート 13 黒鉛化カーボンブラック

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カーボンに白金を担持してなる燐酸形燃料
    電池触媒のカーボン担体を製造するに当たり、カーボン
    としてオイルファーネスブラックを用いてこれを黒鉛化
    した後、さらに水蒸気賦活処理を施すことを特徴とする
    燐酸形燃料電池触媒のカーボン担体の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の方法において、黒鉛化は不
    活性ガス雰囲気中2700℃以上で処理し、比表面積を
    50〜100m2 /gとすることを特徴とする燐酸形燃
    料電池触媒のカーボン担体の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の方法において、水
    蒸気賦活処理は80℃以上の飽和水蒸気を含む不活性ガ
    ス雰囲気中900〜1000℃で処理し、カーボン担体
    の比表面積を100〜200m2 /gとすることを特徴
    とする燐酸形燃料電池触媒のカーボン担体の製造方法。
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