JPH0613936U - 車両のシート構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】フラットなベッドスペースの拡大とフロアへの
落下の危険を防止することを目的とする。 【構成】助手席シート６のシートバック８上端部に、シ
ートバック横幅と略同じ横幅で高さをシートバック８を
前倒しした時にインストルメントパネル２近傍まで達す
るように形成したヘッドレスト10を設け、シートバック
８前倒し時に、シートバック８背面及びヘッドレスト10
背面がベッド７と略面一となるよう構成し、且つ、ヘッ
ドレスト10を、前倒し状態のシートバック８に対して水
平位置と下向き位置及び上向き位置の３位置に回動可能
で且つロック可能にヒンジ機構11でシートバック８上端
部に結合する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両のシート構造に関し、特に、フラットなベッドスペースの拡大 を図ることが可能なシート構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、長距離輸送等に使用される大型トラック等においては、単なる輸送手 段としてだけでなく生活空間として利用することが多く、シート後方に仮眠用の ベッドが装備されている（例えば実開昭５９−１６９２３７号公報、実開昭６３ −１４８２５１号公報及び実開昭６４−４７２４７号公報等参照）。

【０００３】 しかし、キャブ空間は大きさが限られており、シート後方だけでは十分なベッ ドスペースを得ることはできない。このため、限られたキャブ空間の居住性を向 上させるため、助手席シートのシートバックを前倒しした時に、シートバック背 面がベッドと略面一となって連続的な平坦部を形成して広いベッドスペースがで きるようにした、所謂フルフラットシート構造と呼ばれるシート構造が近年採用 されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、シートバックの高さには制限があり、従来のフルフラットのシ ート構造では、シートバックを前倒ししても精々助手席シートの前端部までしか ない。このため、シートバックを前倒しした状態においてインストルメントパネ ルとの間に隙間があり、仮眠中に誤って前記隙間からフロアに落下する虞れがあ る。

【０００５】 本考案は上記の事情に鑑みてなされたものであり、インストルメントパネルま で連続した平坦部が形成でき、ベッドスペースの拡大とフロアへの落下防止が図 れ快適且つ安全な居住区間を提供できる車両のシート構造とすることを目的とす る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

このため、本考案の車両のシート構造は、助手席シートのシートバック上端部 に、シートバック横幅と略同じ横幅で且つ高さがシートバックを前倒しした時に インストルメントパネル近傍まで達する高さに形成したヘッドレストを設け、シ ートバック前倒し時に、シートバック背面及びヘッドレスト背面がシート後方の ベッドと略面一となるよう構成すると共に、前記ヘッドレストは、前倒し状態の シートバックに対して水平位置と下向き位置及び上向き位置の３位置に回動可能 で且つロック可能にヒンジ機構を介してシートバック上端部と結合する構成とし た。

【０００７】

【作用】

かかる構成において、ベッドで仮眠をとる際には、助手席シートのシートバッ クを前倒しすると、シートバックに結合したヘッドレストの先端部がインストル メントパネル近傍まで達し、しかも、シートバック背面とヘッドレスト背面がベ ッドと連続的な平坦部を形成する。これにより、フラットなベッドスペースが拡 大されると共にインストルメントパネルとシートバックとの間の隙間がなくなり 、仮眠時にフロアに落下する心配がない。また、走行中に使用する場合には、ド ライバの左側方視界を妨げないように、ヘッドレストを下向きに倒すことができ る。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図１〜図４に基づいて説明する。 図において、キャブ１内には、キャブ前面側のインストルメントパネル２のス テアリングホイール３に面してドライバシート４が設けられ、ドライバシート４ とセンタコンソールボックス５を挟んで側方にベンチ式の助手席シート６が設け ら、更に、これらシート４，６の後方に仮眠用のベッド７が設けられている。

【０００９】 前記助手席シート６のシートバック８は、ヒンジ９回りに助手席シート面側に 前倒れ可能で、前倒れ時にその背面がベッド７の上面と略面一となるように構成 されている。また、シートバック８の上端面部には、シートバック８の横幅と略 同じ横幅のヘッドレスト10が、図４に示すヒンジ機構11によって結合されている 。また、前記ヘッドレスト10は、シートバック８を前倒しした時にインストルメ ントパネル２近傍まで達する高さに形成されており、シートバック８の前倒し時 に、シートバック８背面及びヘッドレスト10背面がベッド７と略面一となるよう 構成されている。

【００１０】 次に図４に示す前記ヒンジ機構11について説明する。 図において、本実施例のヒンジ機構11は、シートバック８側の例えば２ヶ所に 設けた固定軸12に、ヘッドレスト10と一体の回動軸部材13が設けられている。該 回動軸部材13は、外周の所定の３箇所に、シートバック８内に設けられるロック ピン14先端が係合可能な凹部13ａ，13ｂ，13ｃが形成されている。前記ロックピ ン14は、ガイド部材15に基端側がガイドされ、このガイド部材15端面とロックピ ン14の鍔部14ａとの間に介装したスプリング16によって前記回動軸部材13側に常 時弾性付勢されており、前記凹部13ａ，13ｂ，13ｃとの係合によって、ヘッドレ スト10の動きを所定位置、即ち、前倒し状態のシートバック８に対して水平位置 と下向き位置及び上向き位置の３位置でロックできるように構成されている。

【００１１】 尚、図３中、17はフロアパネル、18はキャブ背面パネル、19はキャブフロント パネル、20はフロントガラスを示す。 次に、かかるシート構造の作用を説明する。 シートバック８及びヘッドレスト10をベットとして使用する場合、図２に示す ように起立しているシートバック８及びヘッドレスト10を、図２図中の矢印で示 すように助手席シート６側に前倒しにする。これにより、図１や図３に示すよう に、シートバック８の背面及びヘッドレスト10背面がベッド７と略面一となり、 シートバック８の背面、ヘッドレスト10背面及びベッド７を合わせた従来より広 いフラットなベッドスペースが形成できる。しかも、ヘッドレスト10の先端がイ ンストルメントパネル２近傍まで達するので、図３に示すように、従来シートバ ック８とインストルメントパネル２との間にあった隙間が埋まり、仮眠中にフロ アに落下する危険がなく安全である。また、図３の破線で示すように、ヘッドレ スト10を上向きに固定しても、仮眠中にシートバック８からはみ出るのを防止で き、この場合も、フロアに落下するのを防げる。

【００１２】 更に、走行中にベッドとして使用する場合には、ヘッドレスト10が水平位置に あると、ドライバの左側方視界が妨げられる虞れがある。この場合には、ヘッド レスト10を図３の破線で示すように、下向きに倒すことによって、ドライバの左 側方視界を確保することができる。 そして、図４に示すように、ヘッドレスト10は、水平位置では回動軸部材13の 中央の凹部13ａにロックピン14が係合してヘッドレスト10の動きをロックする。 また、前記水平位置からヘッドレスト10を下向きに回動させた場合は、回動動作 に伴って回動軸部材13が一体に図４中反時計方向に回動し、ロックピン14がスプ リング16の弾性力に抗して図４中右方向にガイド部材15に沿って移動して凹部13 ａとの係合が外れてロックが解除され、更にヘッドレスト10を回動して図４の破 線で示す下向き位置まで倒すと、回動軸部材13の凹部13ｂがちょうどロックピン 14と対向する位置になり、スプリング16の弾性力によってロックピン14先端が前 記凹部13ｂに自動的に係合してヘットレスト10をその位置にロックする。同様に 、ヘッドレスト10を上向き回動させた場合は、回動軸部材13の回動動作に伴って 凹部13ｃにロックピン14先端が係合してその位置にロックする。このように、ヘ ッドレスト10は、前倒し状態のシートバック８に対して、水平位置、下向き位置 及び上向き位置においてそれぞれ固定される。

【００１３】 かかる構成によれば、ベッド７、シートバック８背面及びヘッドレスト10背面 とによって、従来より一層広いフラットなベッド空間を構成することができ、キ ャブ１内を居住空間として使用する際の快適性が向上する。また、シートバック ８とインストルメントパネル２との間の隙間がなくなり、仮眠時にフロアに落下 する危険がなく安全性も向上する。更に、ヘッドレスト10を下向きに固定するこ とにより、走行中にベッドとして使用する場合でもドライバの左側方視界を確保 でき、走行時の安全性も良好である。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、ベッドとシートバックに加えてヘッドレ ストが加わることにより、従来より広いフラットなベッド空間が構成され、キャ ブ内を居住空間として使用する際の快適性が向上する。また、シートバックとイ ンストルメントパネルとの間の隙間がヘッドレストによって埋められるので、仮 眠時にフロアに落下する危険がなく安全性も向上する。更には、走行中にベッド として使用する場合でも、ヘッドレストを下向きに固定できるので、ドライバの 左側方視界を確保でき、走行時の安全性を損なうことがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のシート構造の一実施例を示すベッド使
用時の状態を示す斜視図

【図２】同上実施例のベッド未使用時の状態を示す斜視
図

【図３】同上実施例のベッド使用状態における簡略側面
断面図

【図４】同上実施例のヘッドレストのヒンジ機構の断面
図

【符号の説明】

２ インストルメントパネル ６ 助手席シート ７ ベッド ８ シートバック 10 ヘッドレスト 11 ヒンジ機構

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】キャブ内のシート後方にベッドを備えた車
   両のシート構造において、助手席シートのシートバック
   上端部に、シートバック横幅と略同じ横幅で且つ高さが
   シートバックを前倒しした時にインストルメントパネル
   近傍まで達する高さに形成したヘッドレストを設け、シ
   ートバック前倒し時に、シートバック背面及びヘッドレ
   スト背面が前記ベッドと略面一となるよう構成すると共
   に、前記ヘッドレストは、前倒し状態のシートバックに
   対して水平位置と下向き位置及び上向き位置の３位置に
   回動可能で且つロック可能にヒンジ機構を介してシート
   バック上端部と結合する構成であることを特徴とする車
   両のシート構造。