JP2557498Y2 - 自動車用リアシート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、自動車用リアシートに
係り、特にシート上端にヘッドレストを備えたリアシー
トに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動車用リアシートにヘッドレス
トを備える場合、リアシートのシートバック部上端に対
してヘッドレストを固定的に取り付けたものや、ヘッド
レスト部分をリアシートのシートバック部上端に対して
一体的に組み込んで固定配置したもの、あるいはリアシ
ートのシートバック部上端に上下方向または左右方向に
移動可能にヘッドレストを取り付けたものが知られてい
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな自動車用リアシートによれば、固定式のヘッドレス
トの場合には、このヘッドレストの位置はリアシートに
対して決まっており、また移動式のヘッドレストの場合
には、その位置を一度設定すると、その位置に固定保持
されることとなり、着座していないときであっても、ヘ
ッドレストがリアシートの上端から所定の高さだけ上方
に突出していることになる。そのため、ヘッドレストが
運転者の後方視界を制限することとなり、また視覚的に
大きな存在となることから、室内スペースが比較的狭く
見えることになる。

【０００４】さらに、ヘッドレストが左右方向に移動可
能である場合であっても、その移動距離は比較的小さい
ことから、例えばリアシートのコーナー部分にヘッドレ
ストを移動するようなことはできず、従って着座姿勢を
変えて、頭部をリアシートのコーナー部分に移動させた
ときには、頭部がヘッドレストから外れてしまい、乗り
心地が悪くなってしまうという問題があった。

【０００５】本考案は以上の点に鑑み、リアシートの上
端に対して、ヘッドレストを折り畳み可能に装着し、不
使用時には折り畳むことにより、該リアシートの上端か
ら突出する高さをできるだけ低くするようにした、自動
車用リアシートを提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本考案の自動車用リアシートは、シートバック部の
上端から後方に延びるように固定配置された一対のガイ
ドレールと、横方向に延びていて且つ両端が該ガイドレ
ールに係合しており、駆動装置により該ガイドレールに
沿って前後方向に移動され得るスライド部と、前縁がシ
ートバック部の上端付近に取り付けられ、且つ後端が該
スライド部に固定されており、このスライド部が後退位
置にあるとき、実質的に上記ガイドレールに沿って延び
ているが、スライド部が前進位置にあるとき、その中央
部分が上方に盛り上がるように配設された板バネと、こ
の板バネの上面に取り付けられたシートバック延長部
と、シートバックまたはシートクッション部の表面付近
に備えられた荷重センサーとを含んでおり、荷重センサ
ーが人の着座を検出したとき、前記駆動装置を作動させ
てスライド部を前方の前進位置まで移動させ、シートバ
ック延長部を上方に突出させることによりヘッドレスト
を画成するようにし、好ましくはスライド部から後方に
延びるカバーが備えられており、該スライド部が前方に
向かって移動せしめられたとき、このカバーによってガ
イドレールの領域が隠蔽され得るようにしたことを特徴
としている。

【０００７】

【作用】上記構成によれば、人が着座していないときに
は、荷重センサーが検出しないため、スライド部は後退
位置に保持されており、従って板バネが実質的にガイド
レールに沿ってほぼ平坦に延びていることにより、シー
トバック延長部は、シートバック部の上端からほぼ水平
に後方に向かって延びているので、運転者の後方視界が
制限されるようなことはなく、広い後方視界が確保され
得ることになると共に、室内スペースが比較的広く見え
るようになっている。ところが人が着座すると、それを
荷重センサーが検出してスライド部が前方に向かって移
動せしめられる。これにより板バネの中央部が上方に盛
り上がってシートバック部がヘッドレストとして機能す
ることになる。

【０００８】このようにして画成され得るヘッドレスト
を従来のヘッドレストを備えたリアシートに対して、そ
のヘッドレストの間の領域やコーナー部に備えまたは従
来のヘッドレストに換えて、リアシートのシートバック
の上縁に沿って一側から他側まで複数個配設することに
より、コーナー部を含む任意の位置にて確実にヘッドレ
ストを使用することが可能となる。さらにスライド部か
ら後方に延びるカバーが備えられている場合には、該ス
ライド部が前方に向かって移動せしめられたとき、この
カバーによって、ガイドレールの領域が隠蔽され、外観
上すっきりしたデザインとなり、見栄えが向上する。

【０００９】

【実施例】以下、図面に示した実施例に基づいて本考案
を詳細に説明する。図１は、本考案による自動車用リア
シートの一実施例を示しており、この自動車用リアシー
ト１０は、シートクッション部１１及びシートバック部
１２とから構成されている。さらに、シートバック部１
２には、その上端から後方に延びるように固定配置され
た一対のガイドレール１３，１４と、横方向に延びてい
て且つ両端がガイドレール１３，１４に係合しているス
ライド部１６が備えられている。このスライド部１６
は、ガイドレール１３，１４に設けられた係合部１３
ａ，１４ａに噛合している図示しない歯車を例えばモー
タ１５にて回転駆動させることにより、ガイドレール１
３，１４に沿って前後方向に移動可能である。

【００１０】上記スライド部１６には、前縁がシートバ
ック部１２の上端付近に取り付けられた例えば鋼板から
成る板バネ１７の後端が固定されており、この板バネ１
７はスライド部１６が後退位置（図２の点線図示位置及
び図３，図４参照）にあるとき、実質的にガイドレール
１３，１４に沿ってほぼ平坦に延びているが、該スライ
ド部１６が前進位置（図２の実線図示位置及び図５参
照）にあるとき、その中央部分が上方に盛り上がるよう
になっている。この板バネ１７の上面には、前記シート
バック部１２に一体に形成されまたは連続するように形
成された、例えば硬質発泡材料から成るシートバック延
長部１８が、接着等により取り付けられている。さら
に、スライド部１６には、図示のようにスライド部１６
から後方に延びるカバー１９が備えられており、このス
ライド部１６が後退位置にあるときは収納されている
が、スライド部１６が前方に向かって移動せしめられた
とき、カバー１９が引き出されて、ガイドレール１３，
１４の領域を隠蔽し得るようになっている。

【００１１】上記モータ１５は、電源端子１５ａを介し
てバッテリーから給電され得ると共に、図２に示すよう
にシートバック部１２に備えられた荷重センサー２０か
らの検出信号を受けて内蔵された制御回路によって駆動
制御され得ることにより、該荷重センサー２０が人の着
座を検出したとき、スライド部１６を前方の前進位置ま
で移動させて、シートバック延長部１８を上方に突出さ
せ、かくしてヘッドレストを画成するようになってい
る。

【００１２】本考案による自動車用リアシート１０は、
以上のように構成されており、人が着座していないとき
には、荷重センサー２０が検出しないため、モータ１５
は作動せしめられない。従ってスライド部１６は後退位
置に保持されているので、板バネ１７は実質的にガイド
レール１３，１４に沿ってほぼ平坦に延びていることか
ら、シートバック延長部１８はシートバック部１２の上
端からほぼ水平に後方に向かって延びている。このと
き、運転者の後方視界は、線Ａで示すように、シートバ
ック延長部１８によって制限されるようなことはなく、
広い後方視界が確保され得ることになる。

【００１３】この状態から、人が着座すると、それを荷
重センサー２０が検出することによりモータ１５が作動
せしめられ、スライド部１６が前方に向かって移動せし
められることにより、板バネ１７の中央部が上方に盛り
上がって、該板バネ１７の上面に取り付けられたシート
バック延長部１８がヘッドレストとして機能するように
なる。

【００１４】尚、上述の実施例においては、荷重センサ
ー２０は、シートバック部１２に備えられているが、シ
ートクッション部１１に備えられていてもよいことは明
らかである。

【００１５】

【考案の効果】以上述べたように、本考案によれば、人
の着座状態の有無を荷重センサーにて検出し、人が着座
するとスライド部が前方に向かって移動せしめられ、こ
れにより板バネの中央部が上方に盛り上がって、シート
バック部がヘッドレストとして機能することになる。こ
のようにして画成され得るヘッドレストを、従来のヘッ
ドレストの間の領域やコーナー部に設け、または従来の
ヘッドレストに換えて、リアシートのシートバックの上
縁に沿って一側から他側まで複数個配設することによ
り、コーナー部を含む任意の位置にて、確実にヘッドレ
ストを使用することが可能となる。また着座していない
状態では、スライド部は後退位置に保持されており、従
って板バネが実質的にガイドレールに沿ってほぼ平坦に
延びていることにより、シートバック延長部は、シート
バック部の上端からほぼ水平に後方に向かって延びてい
るので、運転者の後方視界が制限されるようなことはな
く、広い後方視界が確保され得ることになると共に、室
内スペースを外見上広くでき、外観上すっきりしたデザ
インとなり、見栄えが向上せしめられる。かくして、本
考案によれば、リアシートの上端に対して、ヘッドレス
トを折畳み可能に装着し、不使用時には折り畳むことに
より、該リアシートの上端から突出する高さをできるだ
け低くして、不使用時における運転者の後方視界が広く
確保され得る、極めて優れた自動車用リアシートが提供
される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による自動車用リアシートの一実施例を
示す概略斜視図である。

【図２】図１の自動車用リアシートの概略断面図であ
る。

【図３】図１の自動車用リアシートの要部を示す拡大斜
視図である。

【図４】図１の自動車用リアシートの不使用状態におけ
る部分拡大断面図である。

【図５】図１の自動車用リアシートの使用状態における
部分拡大断面図である。

【符号の説明】

１０ 自動車用リアシート １１ シートクッション部 １２ シートバック部 １３ ガイドレール １４ ガイドレール １５ モータ １６ スライド部 １７ 板バネ １８ シートバック延長部 １９ カバー ２０ 荷重センサー

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートクッション部及びシートバック部
   とから成る自動車用リアシートにおいて、 シートバック部の上端から後方に延びるように固定配置
   された一対のガイドレールと、 横方向に延びていて且つ両端が上記ガイドレールに係合
   しており、駆動装置により該ガイドレールに沿って前後
   方向に移動され得るスライド部と、 前縁がシートバック部の上端付近に取り付けられ且つ後
   端が上記スライド部に固定されており、該スライド部が
   後退位置にあるとき実質的に上記ガイドレールに沿って
   延びているが、該スライド部が前進位置にあるときその
   中央部分が上方に盛り上がるように配設された板バネ
   と、 上記板バネの上面に取り付けられたシートバック延長部
   と、 上記シートバック部またはシートクッション部の表面付
   近に備えられた荷重センサーとを含んでおり、 荷重センサーが人の着座を検出したとき、前記駆動装置
   を作動させてスライド部を前方の前進位置まで移動さ
   せ、シートバック延長部を上方に突出させることにより
   ヘッドレストを画成するようにしたことを特徴とする、
   自動車用リアシート。
2. 【請求項２】 前記スライド部から後方に延びるカバー
   が備えられており、該スライド部が前方に向かって移動
   せしめられたとき、該カバーによってガイドレールの領
   域が隠蔽され得ることを特徴とする、請求項１に記載の
   自動車用リアシート。