JPH0613876B2 - 電動送風機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は真空掃除機などに使用される電動送風機に関す
るものである。

従来の技術 従来のこの種電動送風機は、例えば、特公昭５２−４９
１６８号公報に示されている。

すなわち、第９図のようにケーシング１の中に、インペ
ラ２、エアガイド３を設けて、モータ４によりインペラ
２を高速回転させて、風量と真空圧を得るようになって
いた。

発明が解決しようとする問題点 上記電動送風機のように、エアガイド３をインペラ２の
外周に設ける構造のものでは、インペラ２から吐出する
気流がエアガイド３内に流入する際、エアガイド入口で
衝突することに起因すると考えられる騒音が問題となっ
ていた。これは、インペラ２の羽根枚数Ｚと、インペラ
２の回転数Ｎ（rpm）の積で発生し、通称ＮＺ音と呼ば
れている。又、送風機の効率は気流をいかにスムーズに
流してやるかにより変わってくる。

本発明はこのような問題点を解決するもので、エアガイ
ドの戻り通路自体を改良した構成としたものである。

問題点を解決するための手段 上記問題点を解決する本発明の技術的な手段は、エアガ
イドの戻り通路を構成するガイド壁を内，外ガイド壁で
形成するとともに、これらの間には内終端に開口部を有
する空間部を設定し、かつ外ガイド壁に空間部と戻り通
路を連通し、同戻り通路の下流側へ傾斜した連通部を形
成したものである。

作 用 この技術的手段は次のように作用する。

すなわち、内ガイドと外ガイド壁で形成された空間部が
消音器を構成し、音響回路におけるサイドブランチの役
目をしており、エアガイド入口で発生した騒音を外部へ
出さない。

又、ディフューザからの気流が戻り通路を流れる時、外
ガイド壁より剥離が生じようとしても連通部を通じて空
間部より空気が供給されるため、気流の平衡が保たれて
剥離を防ぐことができる。よって、気流が戻り通路を乱
れることなくスムーズに流れる。

さらに、連通部が戻り通路の下流側へ傾斜していること
により、この連通部を介しての空気の供給が効率的に行
われる。

実施例 以下本発明の実施例を添附図面を参照して説明する。

第１図〜第３図において、複数枚の羽根を有する遠心形
のインペラ１１はモータ１２の軸１３に取着されてお
り、またこのインペラ１１の送風側にはエアガイド１４
が配設してある。これらインペラ１１とエアガイド１４
は、頂壁に吸気口１５を有するとともに、モータフレー
ム１６に対してその習壁下方が気密に取着されたケーシ
ング１７で包囲されている。

上記エアガイド１４は、その上面にインペラ１１より送
出された気流を受け、かつ下流側へ通路面積を次第に拡
大させた複数のディフューザ１８を、下面に上記ディフ
ューザ１８の終端と滑らかに連通し、モータフレーム１
６のモータ吸気孔１９に気流を導びく複数の戻り通路２
０をそれぞれ有するものである。本実施例では、ディフ
ューザ１８の側方をケーシング１７の一部で閉じ、外部
と仕切っているが、孔状とすれば、ケーシング１７と無
関係にディフューザ１８を形成することができる。

各戻り通路２０を区画する彎曲したガイド壁２１は内ガ
イド壁２２と外ガイド壁２３に分かれており、それらの
間には内終端に開口部２４を設定した空間部２５が形成
してある。また上記外ガイド壁２３にはこの空間部２５
と隣接の戻り通路２０とを連通するスリット状の連通部
２６が設けてある。この連通部２６は戻り通路２０の下
流側へ傾斜して形成してあり、巾１mm、深さ４mm程度の
もので、１つの外ガイド壁２３に対して複数形成してあ
る。もちろん、その数は特定されるものではない。

次にこの一実施例の構成における作用を説明する。

ディフューザ１８からの気流は、独立して連通する戻り
通路２０に流れ込むが、流れとして主に内ガイド壁２２
に沿って流れ易い。そのため戻り通路２０では気流が外
ガイド壁２３より離れようとする。これが剥離となり外
ガイド壁２３近くで流れの乱れと死水領域が生じる。乱
れは戻り通路２０内の気流の流れを非常に不安定にする
ため、損失が大きくなり効率の低下を生じる。又同時に
乱れによる流れが騒音の発生にもつながってくる。特
に、掃除機に使用される送風機は作動流量も範囲が広
く、流量が少なくなった場合などに流れの不均衡が大き
くなる。そこで、連通部２６を外ガイド壁２３に設け、
気流の剥離を防いだ。その作用としては第１図に示すよ
うに、外ガイド壁２３より気流の剥離が起こり易くなっ
たとしても、連通部２６を通して空間部２５より空気の
供給がある。この空気の供給により外ガイド壁２３近く
での気流の平衡が保たれ剥離が防げる。空気は空間部２
５の内終端に設けた開口部２４より補充される。その結
果、どの流量域においても良好な流れが得られた。

又、連通部２６をさらに検討した結果、方向にも大きな
影響がみられた。すなわち、連通部２６の方向は第４図
のように気流の流れ方向に向いている方が効率が高い。
これは、空気を供給する際に、気流の流れに逆らわず供
給する方がスムーズに行くことを示している。実際、流
れに直角方向Ｂを境にして大きく変化する。又、同時に
騒音も少し効果がみられる。

次に第１図Ａ部を考えると、第５図のような簡易図式化
した系に置きかえられる。これは音響回路における消音
器、すなわちサイドブランチとして知られている。よっ
てこの空間部２５において音を消音する役目を持ってい
る。特に消音したい周波数を_Ｎとすると、同空間部２
５の流さｌは ｌ＝(2N-1)・C/4・_N(N・・1,2,3,…C・・音速) で与えられる。

電動送風機の騒音で特に問題となるのはＮＺ音といわれ
ることは前述した。ＮＺ音は本検討においては５．３Ｋ
Hz付近で発生している。聴感でも非常に耳障りである。
本実施例のガイド壁２１を設けた状態で検討した結果、
ｎｚ音を低減することができた。周波数分析表を第６
図，第７図に示す。図よりｎｚ音（５．３ＫHz付近）が
減少している。全体騒音も低くなっている。上式で求め
るとｌは１７mmとなった。その後検討を行いｌ＝１４mm
を得た。これは空間部２５が曲率を有する影響と考えら
れる。

発明の効果 以上のように本発明によれば、ファンで特に問題となる
騒音を低減でき、かつ戻り通路部における流れをスムー
ズにしてファン効率を高めることができるもので、その
効果は大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す電動送風機のエアガイ
ド・戻り通路部の拡大図、第２図はエアガイド全体の平
面図、第３図は電動送風機全体の一部欠截側面図、第４
図は連通部の方向と効率の関係を示す特性図、第５図は
作用説明図、第６図，第７図は音の周波数分析図、第８
図は従来の電動送風機の側面図である。 １１……インペラ、１２……モータ、１４……エアガイ
ド、１７……ケーシング、２０……戻り通路、２１……
ガイド壁、２２……内ガイド壁、２３……外ガイド壁、
２４……開口部、２５……空間部、２６……連通部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−20597（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−93999（ＪＰ，Ａ) 実公 昭59−28155（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】モータにより駆動される遠心形のインペラ
   と、このインペラより送出された気流が流動する複数の
   ディフューザおよびモータへこの気流を案内する複数の
   戻り通路を有するエアガイドと、これらインペラ，エア
   ガイドを内包するケーシングとを具備し、上記戻り通路
   は、内ガイド壁と外ガイド壁に分かれ、かつ、これら内
   外ガイド壁間に空間部を形成したガイド壁で区画構成
   し、上記空間部の内終端には開口部を設けるとともに外
   ガイド壁にこの空間部と戻り通路を連通し、同戻り通路
   の下流側へ傾斜した連通部を形成した電動送風機。
2. 【請求項２】連通部をスリット状とした特許請求の範囲
   第１項記載の電動送風機。