JPH06138577A - フォトクロミック積層体 - Google Patents

フォトクロミック積層体

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Publication number
JPH06138577A
JPH06138577A JP4239544A JP23954492A JPH06138577A JP H06138577 A JPH06138577 A JP H06138577A JP 4239544 A JP4239544 A JP 4239544A JP 23954492 A JP23954492 A JP 23954492A JP H06138577 A JPH06138577 A JP H06138577A
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JP
Japan
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group
photochromic
spirooxazine
compound
free radical
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Application number
JP4239544A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Ito
仁 伊藤
Shuichi Maeda
修一 前田
Kazuo Mitsuhashi
和夫 三ツ橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Mitsubishi Kasei Corp
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Mitsubishi Kasei Corp
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Publication date
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Priority to JP4239544A priority Critical patent/JPH06138577A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い発色性を有し、かつ耐光特性が向上して
長時間の光照射による劣化を防止することができるフォ
トクロミック積層体を提供する。 【構成】 フォトクロミック積層体は、少なくとも2枚
の透明基板と、該2枚の透明支持体の間に挟まれたスピ
ロオキサジン系化合物、ニトロキシフリーラジカルおよ
び高分子物質を主成分として含有するフォトクロミック
層、並びにスピロオキサジン系化合物、ニトロキシフリ
ーラジカル、紫外線吸収剤および高分子物質を有する紫
外線吸収層を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に高い発色性を有
し、耐光特性に優れたフォトクロミック積層体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来のフォトクロミック感光性材料とし
ては、例えばスピロオキサジン系フォトクロミック化合
物を高分子化合物に分散させフィルム化したもの、また
は、ガラスもしくは透明高分子板からなる基板上にフォ
トクロミック化合物を含んだ高分子化合物のフィルムを
被着したもの、或いはフォトクロミック化合物を分散さ
せた透明高分子フィルムを基板に挟みあわせて積層体と
したもの(特開昭60−205429号公報)が知られ
ている。しかしながら、このようなスピロオキサジン系
化合物を含有する従来のフォトクロミック積層体は、着
消色時に不可逆劣化物が生成しやすい状態となっている
ため、長時間の光照射により劣化するという問題点があ
った。この問題点を解消するために、本発明者等は、先
に三重項消光剤(ニトロキシフリーラジカル)を添加し
た耐光特性に優れたフォトクロミック感光性材料を提案
したが(特開平1−74285号公報)、更に優れた発
色性および耐光性を有するものが求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な実情に鑑みてなされたものであって、フォトクロミッ
ク積層体において、更に、発色性ならびに耐光特性を向
上させることを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、スピロオ
サキジン系化合物を含有するフォトクロミック感光層を
設けた積層体について、上記要求を満足すべく種々研究
の結果、スピロオキサジン系化合物と高分子物質を主成
分とするフォトクロミック感光層中にニトロキシフリー
ラジカルを含有させ、そしてフォトクロミック積層体に
入射する400nm以下の紫外光の量を減らすために紫
外線吸収剤を含有する層を入射光の側に設け、該紫外線
吸収層にスピロオキサジン系化合物及びニトロキシフリ
ーラジカルを含有すると、従来の積層体に比べて高い発
色濃度を有し、かつ着消色反応時に好ましくない化合物
が生成するのを防止し得、それによって長時間の光照射
による劣化を防止できることを見いだし、本発明を完成
するに至った。
【0005】即ち、本発明の要旨は、少なくとも、2枚
の透明基板と、該2枚の透明基板の間に挟まれたスピロ
オキサジン系化合物、ニトロキシフリーラジカル及び高
分子物質を主成分として含有するフォトクロミック層、
並びに紫外線吸収剤および高分子物質を有する紫外線吸
収層で構成され、かつ光が紫外線吸収層を通して入射す
ることにより構成されてなるフォトクロミック積層体に
おいて、該紫外線吸収層がさらにスピロオキサジン系化
合物およびニトロキシフリーラジカルを含有することを
特徴とするフォトクロミック積層体。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。先ず、フ
ォトクロミック層について説明すると、フォトクロミッ
ク層に用いるスピロオキサジン系化合物としては、例え
ば次の一般式(I)
【0007】
【化1】
【0008】(式中のR1 、R2 およびR3 は、それぞ
れ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基、置換も
しくは非置換のアルケニル基、シクロアルキル基または
アリール基を示し、R2 とR3 は互いに結合し環化して
いてもよい。また、R1 は、アルキレン基、アリーレン
基を介してもう一つのスピロオキサジン環を有し、全体
として二量体の化合物を形成していてもよい。R4 は、
水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。環X
およびYは、それぞれ独立して、置換されていてもよい
炭化水素芳香環または複素芳香環を示す。Zは、酸素原
子または硫黄原子を示す。)で表わされる化合物があげ
られる。
【0009】上記一般式(I)で表わされる化合物にお
いて、R1 、R2 およびR3 としては、炭素数1〜28
のアルキル基等のアルキル基;メトキシエチル基、エト
キシエチル基等のアルコキシアルキル基、メトキシエト
キシエチル基、n−ブトキシエトキシエチル基等のアル
コキシアルコキシアルキル基、メトキシエトキシエトキ
シエチル基、エトキシエトキシエトキシエチル基等のア
ルコキシアルコキシアルコキシアルキル基、フェニルオ
キシエチル基、ナフチルオキシエチル基、p−クロロフ
ェニルオキシエチル基等の置換基を有していてもよいア
リールオキシアルキル基、ベンジル基、フェネチル基、
p−クロロベンジル基、p−ニトロベンジル基等の置換
基を有していてもよいアリールアルキル基、シクロヘキ
シルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロペンチ
ルメチル基等のシクロアルキルアルキル基、アリルオキ
シエチル基、3−ブロモアリルオキシエチル基等の置換
基を有していてもよいアルケニルオキシアルキル基、シ
アノエチル基、シアノメチル基等のシアノアルキル基、
ヒドロキシエチル基、ヒドロキシメチル基等のヒドロキ
シアルキル基、テトラヒドロフルフリルメチル基、テト
ラヒドロフリルエチル基等のテトラヒドロフリルアルキ
ル基、テトラヒドロピレニルメチル基、テトラヒドロピ
レニルエチル基等のテトラヒドロピレニルアルキル基等
の置換されたアルキル基;アリル基、2−クロロアリル
基等の置換もしくは非置換のアルケニル基;炭素数3〜
8のシクロアルキル基;またはフェニル基、p−メチル
フェニル基、ナフチル基、m−メトキシフェニル基等の
置換もしくは非置換のアリール基があげられ、また、R
2 およびR3 は、互いに結合してシクロヘキシル基、シ
クロペンチル基等を形成していてもよい。また、R
1 は、アルキレン基、アリーレン基を介してもう一つの
スピロオキサジン環と結合し、全体として二量体の化合
物を形成することもできる。R4 は、水素原子;または
メチル基、エチル基等の炭素数1〜5のアルキル基を示
す。
【0010】環XおよびYにおいて、置換されていても
よい炭化水素芳香環または複素系芳香環としては、ベン
ゼン環、ナフタレン環、キノリン環、フェナンスレン環
等があげられ、これらの環が置換基を有する場合、置換
基としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロ
ゲン原子;炭素数1〜6のアルキル基;アルコキシ基;
アルコキシカルボニル基;メトキシスルホニル基、エト
キシスルホニル基等のアルコキシスルホニル基;シアノ
基;アミノ基;ジメチルアミノ基;ニトロ基等があげら
れる。
【0011】本発明において使用する上記スピロオキサ
ジン系化合物は、例えば特公昭45−28892号、同
49−48631号、特開昭55−36284号、同6
0−112880号、同61−186390号、同61
−233079号、同61−243087号、同61−
263982号、同61−263983号,同61−2
68788号、同63−14786号、同63−115
884号、同63−115885号、同63−3012
28号公報、米国特許第4342688号明細書等に記
載の方法により容易に合成することができる。
【0012】本発明においては、上記一般式(I)で示
される化合物のうち、次の一般式(II)
【0013】
【化2】
【0014】(式中R′1 は炭素数1〜20個のアルキ
ル基、テトラヒドロフルフリル基、テトラヒドロピレニ
ルメチル基またはアルコキシアルキル基、R′4 は水素
原子またはメチル基、X及びYは置換されていてもよい
炭化水素芳香環または複素系芳香環を示す。)で表わさ
れるスピロオキサジン系化合物を使用するのが更に好ま
しい。
【0015】本発明で使用するスピロオキサジン系化合
物の好ましい具体例を下記に列挙する。
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】三重項消光剤である、ニトロキシフリーラ
ジカルとは、一般に、下記式
【0020】
【化6】
【0021】で示される構造を持つ遊離基を言い、本発
明のフォトクロミック感光性材料においては、安定で単
離できるニトロキシフリーラジカルを用いるのが好まし
い。このようなニトロキシフリーラジカルとしては、具
体的には下記一般式(III)で表わすものがあげられる。
【0022】
【化7】
【0023】(式中、R5 及びR6 は、それぞれ独立し
て、置換もしくは非置換のアリール基、または、窒素原
子に隣接する炭素原子が、第3炭素原子または第4炭素
原子である炭化水素基を示し、更に、R5 及びR6 が、
互いに結合して環を形成してもよく、またその環は置換
基を有していてもよい。)これらのニトロキシフリーラ
ジカルの合成は、「新実験化学講座(丸善(株))日本
化学会編、14巻P.1594〜1598」に記載の方
法等に準じて行なうことができる。
【0024】このほか、ブレット(Bredt)則によ
り、ニトロンまで酸化されないで、ニトロキシラジカル
の段階で止まるビシクロ系ニトロキシラジカル
【0025】
【化8】
【0026】も含まれる。その他のニトロキシフリーラ
ジカルとしては、例えば、上記文献の第1597頁、表
7.66にあげられたものが使用できる。本発明に於い
て特に好ましく用いられるニトロキシフリーラジカルと
しては、耐熱性及び活性持続性の点から、例えば、次の
ものがあげられる。
【0027】中でも(ア)〜(ケ)が好ましい。
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】フォトクロミック層に用いる高分子物質と
しては、前記スピロオキサジン系化合物およびニトロキ
シフリーラジカルと相溶性のよいもので、光学的に透明
であり、かつ被膜形成能の優れたものであればいずれの
ものでもよく、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリ
スチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、酢
酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポ
リエチレン、ポリアクリロニトリル、ウレタン樹脂、エ
ポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル等があげら
れるが、中でも実用性および安全性の面においてポリビ
ニルブチラールが好ましい。
【0031】また、必要に応じて可塑剤を含んだもの、
架橋したものでもよい。可塑剤としては、例えばジブチ
ルフタレート、ジオクチルフタレートのようなフタレー
ト系、ジオクチルアジペートのようなアジペート系、ト
リクレジルフォスフェートのようなフォスフェート系、
ポリエステル系、ポリエーテル系、トリエチレングリコ
ールジ−2−エチルブチレート系等があげられ、これら
の可塑剤は、単独または混合して使用することができ
る。
【0032】本発明におけるフォトクロミック層は、上
記の成分を適当な溶媒に溶解させることにより得ること
ができる。このときの膜厚は0.5μm〜1mmの範囲
であることが好ましく、更に好ましくは10〜500μ
mの範囲で使用する。また、この溶液を適当な透明中間
膜にキャスティングまたはスピンナー等を用いてコーテ
ィングして得られたものが一層好ましい。透明中間膜は
熱可塑性重合体および可塑剤を主成分とするものであれ
ば特に制限はされないが、具体的には熱可塑性重合体と
してポリアクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリビニ
ルエステルまたはハライド、ポリエステル、ポリウレタ
ン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等が
あげられ、可塑剤として例えばジブチルフタレート、ジ
オクチルフタレートのようなフタレート系、ジオクチル
アジペートのようなアジペート系、トリクレジルフォス
フェートのようなフォスフェート系、ポリエステル系、
ポリエーテル系、トリエチレングリコールジ−2−エチ
ルブチレート系等があげられる。
【0033】該フォトクロミック層において、スピロオ
キサジン系化合物の使用量は、フォトクロミック層の高
分子物質に対して、0.1〜50重量%の範囲であるこ
とが好ましく、更に好ましくは0.3〜20重量%の範
囲で使用する。スピロオキサジン系化合物が0.1重量
%未満では、フォトクロミック色素が着色した場合に十
分な光学濃度が得られず、また50重量%を越えると光
学濃度が一定になり、またコスト高になるので好ましく
ない。
【0034】ニトロキシフリーラジカルの使用量は、フ
ォトクロミック層の高分子物質に対して好ましくは0.
1〜50重量%の範囲に設定されるが、更に好ましくは
0.3〜20重量%の範囲で使用する。ニトロキシフリ
ーラジカルが0.1重量%未満では効果がなく、また、
50重量%より多く配合しても効果は一定でコスト高と
なり好ましくない。
【0035】次に、本発明における紫外線吸収層につい
て説明する。該紫外線吸収層中に含まれるスピロオキサ
ジン系化合物、およびニトロキシ−フリーラジカルとし
ては、前記フォトクロミック層で用いたものと同様のも
のが使用される。また、紫外線吸収剤としては、例えば
下記一般式 (IV)
【0036】
【化11】
【0037】または、一般式(V)
【0038】
【化12】
【0039】または、一般式(VI)
【0040】
【化13】
【0041】(式中、R7 ,R8 ,R9 ,R10,R11
12,R13,R14,R15,R16,R17,R18,R19,R
20,R21,R22,R23,R24およびR25は、それぞれ独
立して水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、シ
クロアルキル基またはアルケニル基、水酸基、アルコキ
シ基、ハロゲン基を表わし、R26は、置換もしくは非置
換のアルキル基、アルコキシアルキル基を示し、n=0
または1を示す。)で示されるものがあげられる。
【0042】上記紫外線吸収剤の中で特に好ましいもの
としては、400nm以下の波長に吸収を有する化合物
があげられ、その具体例としては、次のものがあげられ
る。
【0043】
【化14】
【0044】
【化15】
【0045】高分子物質としては、前記スピロオキサジ
ン系化合物、ニトロキシフリーラジカル、紫外線吸収剤
と相溶性のよいもので、光学的に透明であり、かつ被膜
形成能の優れたものであればいずれのものでもよく、例
えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ酢
酸ビニル、ポリビニルブチラール、酢酸セルロース、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ
アクリロニトリル、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェ
ノキシ樹脂、ポリエステル等があげられるが、中でも実
用性および安全性の面においてポリビニルブチラールが
好ましい。
【0046】また、必要に応じて可塑剤を含んだもの、
架橋したものでもよい。可塑剤としては、例えばジブチ
ルフタレート、ジオクチルフタレートのようなフタレー
ト系、ジオクチルアジペートのようなアジペート系、ト
リクレジルフォスフェートのようなフォスフェート系、
ポリエステル系、ポリエーテル系、トリエチレングリコ
ールジ−2−エチルブチレート系等があげられ、これら
の可塑剤は、単独または混合して使用することができ
る。
【0047】本発明におけるフォトクロミック化合物を
含む紫外線吸収層において、スピロオキサジン系化合物
の使用量は、紫外線吸収層の高分子物質に対して、0.
1〜50重量%の範囲であることが好ましく、好ましく
は0.3〜20重量%の範囲で使用する。ニトロキシ−
フリーラジカルの使用量は、高分子物質に対して0.1
〜50重量%の範囲が好ましく、更に好ましくは、0.
3〜20重量%の範囲で使用する。紫外線吸収剤の使用
量は、紫外線吸収層とした場合に、光の入射と反対側に
あるフォトクロミック層に入射する光のうち350nm
の光の30〜90%を遮断することのできる量で使用す
る必要がある。そしてそのような量は、紫外線吸収剤が
通常高分子物質に対して0.1〜25重量%の範囲に設
定するが、0.1重量%未満では効果がなく、また、1
0重量%より多く配合するとフォトクロミック色素の着
色性に悪影響を及ぼすので好ましくない。
【0048】上記の紫外線吸収層は、上記の成分を適当
な溶媒に溶解させ、塗布することによって形成すること
ができる。本発明のフォトクロミック積層体は、ポリエ
チレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカ
ーボネート、ガラス等の2枚の透明基板の間に、前記フ
ォトクロミック層および紫外線吸収層を設けることによ
って得ることができる。この場合、光が入射する側の透
明基板は、紫外線を吸収する支持体であることが好まし
い。更に好ましくは、この紫外線を吸収する支持体が4
00nm以下に吸収を有し、330nmの透過率が0〜
30%、360nmの透過率が15〜80%であること
が挙げられる。なお、その場合、熱可塑性重合体及び可
塑剤を主成分とする透明中間膜をフォトクロミック層お
よび紫外線吸収層の支持体として設けるのが好ましい。
【0049】透明中間膜における熱可塑性重合体として
は、ポリアクリルエステル、ポリスチレン、ポリビニル
エステルまたはハライド、ポリエステル、ポリウレタ
ン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等が
あげられ、可塑剤としては例えばジブチルフタレート、
ジオクチルフタレートのようなフタレート系、ジオクチ
ルアジペートのようなアジペート系、トリクレジルフォ
スフェート系のようなフォスフェート系、ポリエステル
系、ポリエーテル系、トリエチレングリコールジ−2−
エチルブチレート系等があげられる。
【0050】例えば、透明中間膜上に前記フォトクロミ
ック層をコーティングにより形成し、次いで、フォトク
ロミック層の反対側にフォトクロミック化合物を含む紫
外線吸収層をキャスティング、スピナー等によりコーテ
ィングし、これを2枚の上記透明基板の間に挟み、真空
圧着等の常法の成形方法を用いることにより得ることが
できる。
【0051】図1は、本発明のフォトクロミック積層体
の一例の断面模式図を示すものであって、図中、1は透
明基板、2はフォトクロミック化合物を含む紫外線吸収
層、3は透明中間膜、4はフォトクロミック層、5は透
明基板を示す。
【0052】
【作用】本発明のフォトクロミック積層体は、それを使
用するに際して、フォトクロミック層に対して、紫外線
吸収層側から光が入射するように配置することが必要で
ある。それによって、入射する紫外光をある程度遮断す
るので、光照射による劣化物が生成して赤変する現象を
防止することが可能になる。したがって、本発明のフォ
トクロミック感光性材料は、車載用及び建築材料用調光
ガラス等の調光材料、光学フィルター、マスキング用材
料等に対して使用することができる。
【0053】
【実施例】本発明を以下の実施例及び比較例によって説
明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定す
るものではない。なお、各実施例および比較例におい
て、耐光性試験および発色性の評価を行なった。耐光性
試験は、スガ試験機(株)製のキセノンフェードメータ
ーFAL−25AXを用いた。劣化物の生成量について
は、520nm付近の光に対する吸光度を測定し、試験
前と後の吸光度の差が0.04になった時間を限界とし
て耐光性を判定した。発色性の評価は、20℃において
150Wのキセノンランプを光源とし、フィルター(K
enko製:U−350フィルター)を用い、紫外光を
照射した時の吸光度を測定し、照射前と後の吸光度の差
を発色濃度とした。
【0054】実施例1および比較例1 〔フォトクロミック積層体の作製〕 スピロオキサジン系化合物(前記構造式D):1重量
%、 ニトロキシフリーラジカル(前記構造式ア:2,2,
5,5,−テトラメチルピペリジニルオキシカルボキサ
ミド):1重量%、 可塑剤を含んだポリビニルブチラール:10重量%。
【0055】上記の成分を溶媒(エタノール:トルエ
ン:n−ブタノール=50:45:5)に溶解した。得
られた溶液を、ポリビニルブチラール中間膜(日本モン
サント社製)にスクリーン印刷法によってコーティング
した。このコーティング膜を常温常圧下、30分間風乾
しフォトクロミック層を形成した。次に、紫外線吸収層
を下記のようにして形成した。
【0056】上記フォトクロミック層と同じスピロオキ
サジン系化合物(D):1重量%とニトロキシフリーラ
ジカル(ア):1重量%、前記構造式(h)で示される
紫外線吸収剤(商品名チヌビン−900:チバガイギー
社製):0.25重量%、可塑剤を含んだポリビニルブ
チラール:10重量%。上記の成分を溶媒(エタノー
ル:トルエン:n−ブタノール=50:45:5)に溶
解した。得られた溶液を、上記ポリビニルブチラール中
間膜のコーティングした側と反対の面に、スクリーン印
刷法によってコーティングし、紫外線吸収層を形成し
た。このコーティング膜を常圧下、80℃で30分間乾
燥した後、2枚のガラス板の間に挟み、真空圧着して、
図1に示す層構成を有するフォトクロミック積層体(実
施例1)を作製した。
【0057】次に、フォトクロミック層を含有する紫外
線吸収層において、前記紫外線吸収剤を用いない以外
は、実施例1と同じ条件でフォトクロミック積層体(比
較例1−1)を作製し、一方、前記スピロオキサジン系
化合物およびニトロキシフリーラジカルを用いない以外
は、実施例1と同じ条件でフォトクロミック積層体(比
較例1−2)を作製した。これらの発色性評価結果およ
び耐光性試験の結果を表−1に示す。実施例1のフォト
クロミック積層体は、比較例1−1,1−2に比べて発
色濃度も高く、耐光性にすぐれていた。
【0058】実施例2 実施例1におけるスピロオキサジン系化合物(D)の代
わりにスピロオキサジン系化合物(前記構造式E)を用
いた以外は、同様にしてフォトクロミック積層体を作製
した。これらのフォトクロミック積層体について、実施
例1と同様にして発色性および耐光性の評価を行なっ
た。その結果を実施例1および比較例1の結果と共に後
記表−1に示す。
【0059】比較例2−1,2−2 実施例2において、紫外線吸収層の紫外線吸収剤を用い
ないもの(比較例2−1)、あるいはスピロオキサジン
系化合物(E)およびニトロキシフリーラジカルを用い
ないもの(比較例2−2)について、他は実施例2と同
様にして、フォトクロミック積層体を作製し、発色性お
よび耐光性の評価を行なった。その結果を実施例2と共
に表−1に示す。
【0060】実施例4〜24 フォトクロミック層における、スピロオキサジン系化合
物及びニトロキシフリーラジカカル並びに紫外線吸収層
におけるスピロオキサジン系化合物、ニトロキシフリー
ラジカルおよび紫外線吸収剤として、後記表−1に示す
ものを用いた以外は、実施例1と同様にしてフォトクロ
ミック積層体を作製し、実施例1と同様にして発色性お
よび耐光性の評価を行なった。その結果を表−1に示
す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】
【発明の効果】本発明のフォトクロミック積層体は、ス
ピロオキサジン系化合物とニトロキシフリーラジカルを
含有するフォトクロミック層と、紫外線吸収剤、スピロ
オキサジン系化合物およびニトロキシフリーラジカルを
含有する紫外線吸収層を有するため、高い発色性を示
し、かつ、長時間の光照射による劣化を防止し、耐光性
を向上させることができる。したがって本発明のフォト
クロミック積層体は、車載用および建築材料用調光ガラ
ス等の調光ガラス、光学フィルター、マスキング用材料
等に対して使用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフォトクロミック積層体の層構成を示
す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 フォトクロミック化合物を含有する紫外線吸収層 3 透明中間膜 4 フォトクロミック層 5 透明基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03C 1/76 351 8910−2H // G03C 1/815 (72)発明者 三ツ橋 和夫 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、2枚の透明基板と、該2枚
    の透明基板の間に挟まれたスピロオキサジン系化合物、
    ニトロキシフリーラジカル及び高分子物質を主成分とし
    て含有するフォトクロミック層、並びに紫外線吸収剤お
    よび高分子物質を有する紫外線吸収層で構成され、かつ
    光が紫外線吸収層を通して入射することにより構成され
    てなるフォトクロミック積層体において、該紫外線吸収
    層がスピロオキサジン系化合物およびニトロキシフリー
    ラジカルを含有することを特徴とするフォトクロミック
    積層体。
  2. 【請求項2】 紫外線吸収剤が400nm以下の波長に
    吸収を有することを特徴とする請求項1記載のフォトク
    ロミック積層体。
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