JPH06137769A - 精錬容器等への煉瓦積付け装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンパクトな構成で作業性の向上が図れると
ともに、傾斜した内壁部等の狭隘な場所でも容易に積付
けを行うことのできる煉瓦積付け装置を得る。 【構成】 転炉２の底部に定置した作業床５の上面に円
筒状の主柱７を立設し、この主柱７に沿うようモーター
１６の駆動により昇降可能な昇降筒８を設ける。また、
この昇降筒８に端部同士が互いに枢支された第１アーム
２２，第２アーム２６，第３アーム３０を備えた多関節
型のジブ９を枢支し、このジブ９の先端部に首振り自在
なバキュームユニット３４および先端操作盤４０，操作
把手４１等を設けて、吸着パッド３９により吸着保持し
た煉瓦４をジブ９の水平回動および昇降筒８の昇降によ
り転炉２の内壁の所望箇所に積付けるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、各種の精錬容器等への
内張り煉瓦の積付け装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、各種の窯炉，精錬容器等の施工
に際しては、鉄皮にパーマ煉瓦を施した後、内張り形成
のために当該精錬容器等の底部または胴周部にブロック
状の耐火煉瓦を積付け施工するという工法が採られてい
る。また、この内張り煉瓦の積付けは、特定の場合を除
き、目地を使用しない空目地で行うのが普通である。

【０００３】ところで、上記のような内張り煉瓦は、小
割にして２層積みにした場合には、溶損の進行により継
ぎ部の煉瓦が脱落する可能性があることから、１層積み
にするとともに、長尺かつ大型のものを採用する傾向に
ある。このことから、積付けを人力のみに頼るのが極め
て困難になってきており、従来から、機械装置を用いて
積付けを行うようにしたものがいろいろと提案され、実
施されてきている。

【０００４】従来の煉瓦内張り装置としては、例えば実
公昭５１−１９６０４号公報に記載されているように、
煉瓦を転炉内に搬入する竪コンベアと、積付け場所へセ
ットする適当なビームとを組合わせた構成のものが知ら
れている。しかしながら、これら従来のものでは、煉瓦
の大型化に伴って装置が大型となり、また、煉瓦を相互
に密着した状態で積付ける機構も複雑となって、対象炉
の据付け状態によっては適用できなかったり、構造的に
炉底部およびその近傍の施工が困難であるという問題が
あった。

【０００５】そこで、本出願人は、リフターにより昇降
可能とされた作業床上面に進退動可能な駆動台車を載
せ、この駆動台車にバランスアームを取り付けて、該バ
ランスアームの先端に首振り自在な真空吸着盤を設ける
とともに、同バランスアームの先端付近等に真空吸着盤
の吸着・解放又は駆動台車の移動を制御するマニピュレ
ータを設けてなる精錬容器等への煉瓦積付け装置を既に
提案している（実公平１−８９６０号公報）。この煉瓦
積付け装置によれば、人力負荷を大幅に軽減することが
でき、空目地でありながら溶融金属が侵入しない密接度
の高い、大型ブロック状煉瓦の積付け施工を行うことが
可能となる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記実
公平１−８９６０号公報に記載の煉瓦積付け装置の場
合、駆動台車を用いてバランスアームを水平方向へ移動
させる構造であるため、作業性にやや難点があり、ま
た、バランスアームが上に凸の略くの字形状であるため
に、例えば精錬容器等の頂部近傍や炉傾斜部などの狭隘
な場所へ煉瓦を積付ける際に、バランスアームと精錬容
器等の内壁とが干渉してしまうという不都合があった。

【０００７】本発明は上記のような問題点を解消するた
めになされたもので、コンパクトな構成で作業性の向上
が図れるとともに、傾斜した内壁部等の狭隘な場所でも
容易に積付けを行うことのできる精錬容器等への煉瓦積
付け装置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、本発明に係る精錬容器等への煉瓦積付け装置は、予
め精錬容器等の内部に搬入した煉瓦を当該精錬容器等の
内張り形成のために積付ける煉瓦積付け装置に係るもの
であって、精錬容器等の底部に定置された基台と、この
該基台上に立設された支柱と、この支柱に沿って昇降自
在とされた昇降体と、端部同士が互いに枢支された複数
個の回動アームを有し一端部が昇降体に枢支されて水平
面内で回動自在とされた多関節型の水平ジブと、この水
平ジブの他端部に設けられ煉瓦を吸着保持する首振り自
在な吸着部材と、水平ジブの他端部近傍に設けられ昇降
体の昇降操作および吸着部材の吸着・解放操作を行う操
作部を備えることを特徴とする。

【０００９】

【作用】操作部の操作によって昇降体を所定高さまで昇
降動させ、水平ジブを所定位置まで水平面内で回動させ
ることにより、水平ジブ先端の吸着部材が予め精錬容器
等の内部に搬入された煉瓦の直上位置まで移動される。
この状態で吸着部材の吸着操作を行うことによって最上
層の煉瓦が吸着保持され、こうして吸着保持された煉瓦
は、水平ジブの回動および昇降体の昇降動によって精錬
容器等の内壁の所定位置まで運ばれ、所望の箇所に積付
けられる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は本発明の一実施例に係る煉瓦積付け装置を
転炉内での積付け状態で示す正面図、図２は同煉瓦積付
け装置を転炉内での積付け状態で示す平面図、図３
（ａ）は上記煉瓦積付け装置をジブの短縮状態で示す平
面図、図３（ｂ）は同装置をジブの延長状態で示す平面
図、図４は図１のＡ−Ａ線断面図、図５は図１のＢ矢視
図である。

【００１１】この実施例の煉瓦積付け装置１は、転炉２
の鉄皮・パーマ煉瓦３の内側に内張り用煉瓦４を積み付
けるための所謂内張り施工に適用されたものであって、
転炉２内に適宜手段によって定置された作業床５と、該
作業床５の上面に底盤６を介して鉛直向きに立設された
円筒状の主柱７と、該主柱７に沿って転動昇降する昇降
筒８と、該昇降筒８に取り付けられ水平面内で回動する
ジブ９と、上記昇降筒８を保護するため主柱７を取り囲
むように配設された保護柱１０およびケーシング１１を
備えている。

【００１２】また、上記ケーシング１１内で主柱７の側
方位置には該主柱７に沿うようローラーチェーン１２が
設けられている。そして、該ローラーチェーン１２は上
下に配設された駆動チェーンホイル１３および従動チェ
ーンホイル１４にそれぞれ懸回され、駆動チェーンホイ
ル１３はブレーキ付電動ウオーム減速機１５を介してイ
ンバーターによる無段変速タイプのモーター１６に駆動
連結されている。ここで、ブレーキ付電動ウオーム減速
機１５はブレーキ故障時における昇降筒８およびジブ９
の急落下を防止する目的で設けられている。

【００１３】上記昇降筒８は、主柱７を取り囲むように
配設された角筒状の昇降筒本体１７と、該昇降筒本体１
７の上部および下部にそれぞれ取り付けられ上記主柱７
を４方向から挟み付ける形で転動自在に設けられた各４
個計８個のローラー１８と、昇降筒本体１７の中央部か
ら側方（図１で紙面裏面側）へ向けて張り出すよう設け
られた上下一対の第１のブラケット１９と、同昇降筒本
体１７の中央部から上記第１のブラケット１９と逆方向
に張り出すよう設けられた第２のブラケット２０を備え
ている。そして、第１のブラケット１９の先端には後述
の第１アーム２２の基端部が枢支され、また、第２のブ
ラケット２０の先端には上記ローラーチェーン１２の端
部が固着されている。このような構成によって、モータ
ー１６の駆動により駆動チェーンホイル１３が回転され
ると、ローラーチェーン１２に取り付けられた昇降筒８
が主柱７に沿って昇降動する。

【００１４】また、上記ジブ９は、その基端部が第１の
ブラケット１９に第１関節軸２１を介して枢支された箱
型構造の第１アーム２２と、その基端部が該第１アーム
２２の先端部に第１アームブラケット２３，第１アーム
軸承筒２４および第２関節軸２５を介して枢支された箱
型構造の第２アーム２６と、その基端部が該第２アーム
２６の先端部に第２アームブラケット２７，第２アーム
軸承筒２８および第３関節軸２９を介して枢支された箱
型構造の第３アーム３０を備えている。そして、この第
３アーム３０の先端には、該第３アーム３０に対して回
動自在でかつ上下動可能な昇降軸３１を内蔵するクロス
ヘッド３２が設けられ、さらに、上記昇降軸３１の下端
には先端支持アーム３３を介してバキュームユニット３
４が設けられている。また、クロスヘッド３２の上方に
は、後述の吸着パッド３９に吸着された煉瓦４の着床を
昇降軸３１の上昇によって検出するリミットスイッチ３
５が設けられている。なお、図３に示すように、第１ア
ーム２２は第１のブラケット１９に対して２４０°の角
度範囲に亙って回動可能であり、また、第２アーム２６
および第３アーム３０は、それぞれ第１アーム２２およ
び第２アーム２６に対して２７０°の角度範囲に亙って
回動可能である。また、上記第３アーム３０の先端には
必要に応じて延長アーム３６が着脱可能とされている。
この延長アーム３６を取り付けるには、図３（ａ）に示
す状態から、延長アーム固定ノブ３７を弛めて第３アー
ム３０の先端側から延長アーム３６を挿入した後、延長
アーム固定ノブ３７を締めて固定し、次いで、クロスヘ
ッド固定ノブ３８を弛め、クロスヘッド３２を延長アー
ム３６の先端まで移動させてクロスヘッド固定ノブ３８
を締め、図３（ｂ）に示す状態とする。

【００１５】上記バキュームユニット３４は、先端支持
アーム３３に対して水平面内で旋回（首振り）自在とさ
れ、先端下部に吸着パッド３９を備えるとともに、該吸
着パッド３９の基端側に先端操作盤４０および操作把手
４１を備えている。ここで、先端操作盤４０は、図５に
示すように、昇降操作ハンドル４２によりモーター１６
の正逆回転を切り換えて昇降筒８の上昇，下降を操作す
る昇降操作スイッチ４３，モーター電源押釦４４，吸着
パッド３９の吸着ＯＮ−ＯＦＦ押釦４５，真空圧確認ラ
ンプ４６，吸着作動ランプ４７等から構成されている。
なお、上記昇降操作ハンドル４２は図１で矢印Ｃで示す
方向に操作されて、中央位置で停止，上方位置で上昇，
下方位置で下降の各操作がなされ、モーター１６はこの
昇降操作ハンドル４２の位置に比例した速度で回転され
る。

【００１６】また、この実施例の煉瓦積付け装置１で
は、上記リミットスイッチ３５以外に、安全装置とし
て、第１アーム２２および第２アーム２６の下面に降下
安全板４８が設けられるとともに、この降下安全板４８
に対向する第２アーム２６の下面に降下安全センサー４
９が設けられ、ジブ９の降下時に人体もしくは異物が降
下安全板４８に当たると、降下安全センサー４９が作動
してモーター１６が停止するようになっている。さら
に、図には明示されていないが、昇降筒８の上限位置お
よび下限位置を検出するリミットスイッチがそれぞれ設
けられ、これらのリミットスイッチが作動されることに
よりモーター１６は自動的に停止するよう構成されてい
る。

【００１７】以上のように構成された煉瓦積付け装置１
の動作を以下に説明する。この煉瓦積付け装置１を使用
する際には、作業床５を転炉２内の適当な高さ位置に図
示しないアウトリガー等を用いて定置させ、次いで、内
張り用煉瓦４をやはり図示しないホイスト等を用いて作
業床５上の煉瓦パレット５０の上に搬入する。

【００１８】この状態で、作業床５上にいる作業者は、
操作把手４１を持ちながら先端操作盤４０のモーター電
源押釦４４を操作してモーター１６を回転駆動させる。
次いで、図２で二点鎖線で示すように（但し、二点鎖線
で示すのは、延長アーム３６を取り付けていない状態で
ある。）、操作把手４１を操作してジブ９の各アーム２
２，２６，３０およびバキュームユニット３４を水平面
内で回動させつつ、昇降操作ハンドル４２によって吸着
パッド３９が煉瓦パレット５０上の最上層の煉瓦４の上
方に位置するように昇降筒８を昇降操作する。そして、
吸着ＯＮ−ＯＦＦ押釦４５を押圧操作して最上層の煉瓦
４を吸着パッド３９により吸着する。

【００１９】次に、操作把手４１を操作してジブ９の各
アーム２２，２６，３０およびバキュームユニット３４
を水平面内で回動させつつ、昇降操作ハンドル４２によ
って昇降筒８を昇降操作し、図２で実線で示すように、
煉瓦４を転炉２内壁の所望の積付け位置まで移動させ、
次いで、吸着ＯＮ−ＯＦＦ押釦４５の押圧操作によって
吸着パッド３９の吸着力を解除し、所望の箇所への積付
けを行う。

【００２０】以上のような動作を繰り返し行うことによ
り、煉瓦４は転炉２の下部から上部に向けて順次積付け
られる。上述の積付け動作において、吸着パッド３９に
吸着された煉瓦４の着床時には、クロスヘッド３２の昇
降軸３１が上昇して該昇降軸３１の上端部によりリミッ
トスイッチ３５が操作され、この操作によってモーター
１６が自動停止する。こうすることで、ジブ９の自重に
よって吸着パッド３９に異常な力がかかるのを回避する
ことができる。なお、積付け動作中の吸着パッド３９の
作動状態は、真空圧確認ランプ４６，吸着作動ランプ４
７によって確認可能である。

【００２１】この実施例によれば、作業床５の上面に立
設された主柱７に沿って転動昇降する昇降筒８を設け、
この昇降筒８に水平面内で回動可能な多関節型のジブ９
を取り付けるよう構成しているので、コンパクトな構成
で、かつ例えば炉傾斜部等の狭隘な場所でも内張り煉瓦
を効率良く積付けることができ、大型の煉瓦であっても
自在にかつ安全に取り扱うことができる。

【００２２】

【発明の効果】本発明は以上のように構成されているの
で、コンパクトな構成で作業性の向上が図れるととも
に、傾斜した内壁部等の狭隘な場所でも容易に積付けを
行うことのできる煉瓦積付け装置を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る煉瓦積付け装置を転炉
内での積付け状態で示す正面図

【図２】本発明の一実施例に係る煉瓦積付け装置を転炉
内での積付け状態で示す平面図

【図３】本発明の一実施例に係る煉瓦積付け装置をジブ
の短縮状態で示す平面図（ａ）および同煉瓦積付け装置
をジブの延長状態で示す平面図（ｂ）

【図４】図１のＡ−Ａ線断面図

【図５】図１のＢ矢視図

【符号の説明】

１ 煉瓦積付け装置 ２ 転炉（精錬容器） ４ 煉瓦 ５ 作業床（基台） ７ 主柱（支柱） ８ 昇降筒（昇降体） ９ ジブ １２ ローラーチェーン １６ モーター ２２ 第１アーム（回動アーム） ２６ 第２アーム（回動アーム） ３０ 第３アーム（回動アーム） ３４ バキュームユニット（吸着部材） ３９ 吸着パッド ４０ 先端操作盤（操作部） ４３ 昇降操作スイッチ ４５ 吸着ＯＮ−ＯＦＦ押釦

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米澤 陽二 兵庫県高砂市荒井町新浜１丁目３番１号 ハリマセラミック株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 予め精錬容器等の内部に搬入した煉瓦を
   当該精錬容器等の内張り形成のために積付ける煉瓦積付
   け装置であって、前記精錬容器等の底部に定置された基
   台と、該基台上に立設された支柱と、該支柱に沿って昇
   降自在とされた昇降体と、端部同士が互いに枢支された
   複数個の回動アームを有し一端部が前記昇降体に枢支さ
   れて水平面内で回動自在とされた多関節型の水平ジブ
   と、該水平ジブの他端部に設けられ前記煉瓦を吸着保持
   する首振り自在な吸着部材と、前記水平ジブの他端部近
   傍に設けられ前記昇降体の昇降操作および前記吸着部材
   の吸着・解放操作を行う操作部を備えることを特徴とす
   る精錬容器等への煉瓦積付け装置。