JPH0613408U - 種球の植付装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 肥料の散布作業工程や混和作業工程を不要に
して作業性および作業効率の著しい向上を計ると共に、
施肥量を均一にして成育のバラツキを可及的に解消す
る。 【構成】 テープ状種球９を自動植付けする植付機５
に、植付けと同時に植付位置近傍に肥料を吐出する施肥
ノズル２７を設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ラツキヨウ、ニンニク等の種球の植付装置に関するものである。

【０００２】

【従来技術及び考案が解決しようとする課題】

従来、この種ラツキヨウ等の種球は、圃場に肥料（基肥）を散布する散布作業 工程、該散布した肥料をロータリ等で混和する混和作業工程、種球の植付溝を作 溝する作溝作業工程等を経た後、前記植付溝に一個ずつ手作業で植付けられてい るのが実状であり、このため作業工程が多くなつて作業性および作業効率に劣る 許りでなく、散布肥料が混和作業段階で流動して施肥量が不均一となつたり、植 付けにバラツキが生じる不都合があつた。そこで、複数の種球が一連状に支持さ れたテープ状種球を予め形成し、該テープ状種球を植付装置を用いて自動的に植 付けることが提案されるが、仮令種球を自動植付けしたとしても、前記散布作業 工程や混和作業工程については従来通り行う必要があるため、依然として多くの 作業工程を必要とするうえに、前記施肥量の不均一を解消することは困難であつ た。

【０００３】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記の如き実情に鑑みこれらの欠点を一掃することができる種球の 植付装置を提供することを目的として創案されたものであつて、複数の種球を一 連状に支持して形成されるテープ状種球の収容部と、該収容部からテープ状種球 を引き出して植付溝内に植付ける植付機構とを備えた植付装置であつて、該植付 装置に、前記テープ状種球の植付けと同時にテープ状種球の植付位置近傍に肥料 を吐出する施肥ノズルを設けたことを特徴とするものである。 そして本考案は、この構成によつて、肥料の散布作業工程や混和作業工程を不 要にして作業性および作業効率の著しい向上を計ると共に、施肥量を均一にして 成育のバラツキを可及的に解消することができるようにしたものである。

【０００４】

【実施例】

次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図面において、１はトラ クタの走行機体であつて、該走行機体１の後部には、昇降リンク機構２を介して ロータリ作業機３が上下昇降自在に連結されているが、さらにロータリ作業機３ の後部には、後述するテープ状種球を自動植付けする植付機５が上下位置調整自 在に一体的に連結されている。尚、植付機５は、左右一対の植付部を備えて二条 の同時植付けが可能であるが、左右の植付部は略同一の構成であるため、一方の ものについてのみ説明する。

【０００５】 ６は前記植付機５に設けられるリールであつて、該リール６には、テープ材（ 土中で腐食分解される紙製粘着テープ）７によつて種球８の茎部を一連状に支持 して形成されるテープ状種球９が予め巻取り収容されることになるが、左右一対 の側板１０と、該側板１０間に固設される傾斜状の巻胴１１とには、数多くの通 気孔１０ａ、１１ａが穿設されている。即ち、巻取り収容部における通気を確保 することによつて、リール６に収容されるテープ状種球９の蒸れを防止しており 、このため、種球の傷みを防ぐ許りでなく、テープ材７が水気を帯びて切れ易く なる不都合を解消することができるようになつている。

【０００６】 １２は植付機５に立設される左右一対のリールブラケツトであつて、該左右の リールブラケツト１２の上端部には、前記リール６の左右両側面から突出するリ ール軸６ａを軸支するための軸受部１２ａがそれぞれ形成されている。該軸受部 １２ａには、リール軸６ａを回動自在に嵌合支持する凹形状の軸受溝１２ｂが形 成されるが、軸受溝１２ｂの内周部には、ウレタンゴム等の材質からなる抵抗部 材１３が貼着され、軸受溝１２ｂに嵌合するリール軸６ａに回転抵抗を与えるよ うになつている。

【０００７】 一方、１４は植付機５の前端部に一体的に設けられた作溝機であつて、該作溝 機１４は、前記ロータリ作業機３が耕耘した耕耘土を左右に振り分けて断面略逆 台形状の植付溝Ｍを形成するものであるが、作溝機１４の底部には、溝底の右端 に小溝ｍを形成するための棒材１４ａが下方後方に向けて傾斜状に突設されてい る。

【０００８】 １５は前記作溝機１４の後方位置に配設された第一ガイドローラであつて、該 第一ガイドローラ１５には、前記リール６から引き出されるテープ状種球９が懸 回され、これを植付溝Ｍ内に導くことになるが、第一ガイドローラ１５は、テー プ状種球９を水平姿勢のまま植付溝Ｍの溝底部まで押し込み状に案内すべく植付 溝Ｍ内の深い位置に水平状に配設されている。

【０００９】 さらに、１６は第一ガイドローラ１５の後方位置に配設された第二ガイドロー ラであつて、該第二ガイドローラ１６は、第一ガイドローラ１５によつて中継案 内されたテープ状種球９を最終的に植付案内するものであるが、第二ガイドロー ラ１６は、茎部案内側である左側が高く、根部案内側である右側が低くなつた傾 斜姿勢で植付溝Ｍ内に配設されている。つまり、テープ状種球９は直立姿勢で植 付けられることが理想であり、このため第二ガイドローラ１６を可及的に直立方 向に傾斜させてテープ状種球９の植付姿勢を直立姿勢に近付けているが、ここで 傾斜案内されるテープ状種球９は、前記第一ガイドローラ１５によつて予め植付 溝Ｍの溝底まで深く押し込まれているため、仮令張力を受けたとしても第二ガイ ドローラ１６の傾斜に沿つて上方にずり上がつてしまうことなく、植付溝Ｍの溝 底部に確実に留まるようになつている。そして、この様にして溝底部に導かれた テープ状種球９は、根部側が溝底右端の小溝ｍに入り込む姿勢で後述の覆土を待 つことになるが、テープ状種球９の重心が根部側にあるため、積極的に小溝ｍに 入り込み根部が整然と揃えられるようになつている。

【００１０】 またさらに、１７は第二ガイドローラ１６の後方位置に配設された左右一対の 覆土デイスクであつて、該左右の覆土デイスク１７は、それぞれ植付溝Ｍの左右 側壁を崩してテープ状種球９の左右両側から覆土をし、該覆土によつてテープ状 種球９を直立姿勢で植付けるようになつている。また、１８は上記覆土デイスク １７の支持ステーであつて、該支持ステー１８は、左右の覆土デイスク１７を平 面視略逆ハの字状に支持するが、その先端は、覆土デイスク１７の軸受ボス部１ ７ａに対して軸芯直交方向から螺合すると共に、ロツクナツト１８ａの締付けに より固定されており、また、基端部に形成されるボス部１８ｂは、左右方向を向 く固定支軸１９に対して上下回動自在および左右摺動自在に外嵌すると共に、ロ ツクボルト１８ｃの締付けにより固定されている。即ち、ロツクナツト１８ａを 緩めた状態では覆土デイスク１７の傾斜調整が可能であり、また、ロツクボルト １８ｃを緩めた状態では、覆土デイスク１７の高さ調整および幅調整が可能であ つて、このため覆土デイスク１７は、土壌の状態（粒径、水分量等の違い）や種 球の状態（大きさの違い等）に対応した最適な状態に容易にセツトすることがで きるようになつている。

【００１１】 ところで、前記第一ガイドローラ１５、第二ガイドローラ１６および覆土デイ スク１７は、前述したリールブラケツト１２の基端部に上下揺動自在に枢支され る揺動フレーム２０に一体的に組付けられており、このため、非作業時等におい ては、揺動フレーム２０の跳ね上げ操作によつて第一ガイドローラ１５、第二ガ イドローラ１６および覆土デイスク１７を作業位置上方の非作業位置に退避させ ることができるようになつている。

【００１２】 さらに、２１は前記リールブラケツト１２の中間部に前後揺動自在に枢支され たストツパプレートであつて、該ストツパプレート２１は、揺動フレーム２０の 後端部に固設される前記固定支軸１９を下端部で係止することにより揺動フレー ム２０を吊持するものであるが、固定支軸１９を係止可能な係止溝２１ａは、ス トツパプレート２１の下端部および中間部に形成されており、そして固定支軸１ ９を上下の係止溝２１ａに選択的に係止させることで揺動フレーム２０を作業位 置と非作業位置とにそれぞれ保持することができるようになつている。しかも、 ストツパプレート２１とリールブラケツト１２との間には弾機２２が介設され、 該弾機２２によつてストツパプレート２１が常時前方に向けて付勢されることで 固定支軸１９の外れ止めがなされる構成になつている。さらに、２３はストツパ プレート２１に溶着されたガイド線材であつて、該ガイド線材２３は、上下係止 溝２１ａ、２１ａ間の固定支軸１９の移動軌跡を囲むべく略コ字形に形成されて 固定支軸１９の移動案内をすると共に、固定支軸１９が所定の移動軌跡から離脱 してしまうことを規制するようになつている。

【００１３】 また、２４はロータリ作業機３の上方位置に搭載される肥料タンクであつて、 該肥料タンク２４は、所定の粘度を有する液状のペースト肥料Ｈが貯留されるも のであるが、該貯留されるペースト肥料Ｈは、ロータリ作業機３のギヤケース３ ａ上に配置されるポンプ２５の駆動に基づいて肥料タンク２４から排出されるよ うになつている。即ち、前記ポンプ２５は、ロータリ作業機３の入力軸３ｂから チエン伝動機構２６を介して動力を入力し、該入力動力に基づくポンプ駆動によ り肥料タンク２４からペースト肥料Ｈを吸入するようになつている。

【００１４】 一方、２７は前記ポンプ２５にパイプ２８を介して接続される施肥ノズルであ つて、該施肥ノズル２７は、ポンプ駆動に伴つてペースト肥料を吐出することに なるが、本実施例の施肥ノズル２７は、先端の吐出口が覆土デイスク１７の下端 部後方に位置すべく、左側覆土デイスク１７の支持ステー１８に傾斜状に固定取 付けされている。即ち、施肥ノズル２７は、機体走行に伴つて植付溝Ｍ内の覆土 位置にペースト肥料Ｈを連続状に吐出し、これによつてテープ状種球９の植付け と同時にテープ状種球９の側方近傍位置にペースト肥料Ｈが施肥されるようにな つている。

【００１５】 叙述の如く構成された本考案の実施例において、予め製造されたテープ状種球 ９をリール６に巻かれた状態で植付機５にセツトすると共に、リール６からテー プ状種球９を引出し、その先端を植付開始位置に仮止めして前準備が完了する。 そしてこの状態で機体走行を開始すると、ロータリ作業機３の後方では、植付溝 Ｍの作溝、テープ状種球９の溝内への繰出し、さらに植付溝Ｍの覆土が順次行わ れ、テープ状種球９が連続して自動的に植付けられることになるが、またさらに 覆土位置では、施肥ノズル２７からペースト肥料Ｈが連続状に吐出されて植付け と同時に施肥が完了することになる。

【００１６】 この様に本考案においては、テープ状種球９の自動植付けが行われることにな るが、植付けと同時に植付位置近傍にペースト肥料Ｈが施肥され、該施肥された ペースト肥料Ｈは、徐々に土壌に浸透して種球に吸収されることになる。従つて 、従来の様に、植付けの前準備として圃場に肥料を散布したり、該散布した肥料 をロータリ等で混和する作業工程を省略可能にして作業効率および作業性の著し い向上を計ることができる許りか、施肥量も均一にすることができ、この結果、 成育のバラツキを可及的に無くすことができるうえに、無駄に多くの肥料を施す ような不都合も解消することができる。

【００１７】 しかも、施肥ノズル２７は、位置調整自在な覆土デイスク１７の支持ステー１ ８に取り付けられるため、先端吐出口が覆土デイスク１７の位置調整に追随して 必ず植付溝Ｍの底部に位置することになり、この結果、施肥作業の精度を著しく 向上させることができる。

【００１８】 さらには、肥料タンク２４、ポンプ２５および施肥ノズル２７を、ロータリ作 業機３側に組付けたため、走行機体１とロータリ作業機３との間に亘つて組付け た場合の如く、ロータリ作業機３の着脱に際してパイプの分離作業等を伴う不都 合がなく、もつて施肥機能を付加したものでありながらロータリ作業機３の着脱 性を良好に維持することができる。

【００１９】 また、実施例においては、リール６に通気孔１０ａ、１１ａを多数形成してテ ープ状種球９の蒸れ防止をしているため、テープ材７が水気を含んで切れ易くな つたり、種球が傷む不都合を解消することができ、従つて、テープ切れに伴う作 業効率の低下や種球の傷みに伴う発育障害の発生を確実に防止することができる 。しかも、前記通気孔１０ａ、１１ａは水抜き孔としても機能するため、極めて 都合が良い許りか、リール６の軽量化にも寄与することができる。

【００２０】 尚、本考案は、前記実施例に限定されないものであることは勿論であつて、例 えば図８以降に示す第二実施例の様に作溝段階で施肥を行うようにしても良い。 即ち、第二実施例の作溝機１４に設けられる棒材１４ａは、中空状に形成される と共に、パイプ２８を介してポンプ２５に接続されることで施肥ノズルに兼用さ れており、そして植付作業時には、作溝段階で植付溝Ｍ内にペースト肥料Ｈを吐 出することになるが、このものでは、小溝ｍ内にペースト肥料Ｈが吐出されるこ とになるため、施肥位置が種球の直下となつて肥料の有効性を著しく向上させる ことができる許りでなく、部材の兼用化に基づいて部品点数の削減および構造の 簡略化を計ることができる。また、前記リールの通気孔は、丸孔、長孔、角孔等 の何れの形状を採用してもよく、さらには、リール自体を網状部材で形成して通 気性を確保してもよいものである。

【００２１】

【作用効果】

以上要するに、本考案は叙述の如く構成されたものであるから、複数の種球を 一連状に支持して形成されるテープ状種球を自動植付けするものであるが、テー プ状種球の植付けと同時に植付位置近傍に肥料が施されることになり、従つて、 種球の植付けに際し、前以て肥料を散布したり、該散布した肥料をロータリ等で 混和する必要がなく、この結果、作業工程を大幅に省略して作業効率および作業 性を著しく向上させることができる。しかも、施肥量を均一にできるため、成育 のバラツキを可及的に無くすことができるうえに、無駄に多くの肥料を施すよう な不都合も解消することができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】植付機が連結されたトラクタの側面図である。

【図２】植付機の側面図である。

【図３】同上平面図である。

【図４】同上背面図である。

【図５】リールの斜視図である。

【図６】同上断面図である。

【図７】植付状態を示す植付溝部の断面図である。

【図８】第二実施例の植付機が連結されたトラクタの側
面図である。

【図９】植付機の側面図である。

【図１０】同上平面図である。

【図１１】同上背面図である。

【図１２】植付状態を示す植付溝部の断面図である。

【符号の説明】

１ 走行機体 ３ ロータリ作業機 ５ 植付機 ６ リール ９ テープ状種球 １４ 作溝機 １５ 第一ガイドローラ １６ 第二ガイドローラ １７ 覆土デイスク ２４ 肥料タンク ２７ 施肥ノズル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の種球を一連状に支持して形成され
   るテープ状種球の収容部と、該収容部からテープ状種球
   を引き出して植付溝内に植付ける植付機構とを備えた植
   付装置であつて、該植付装置に、前記テープ状種球の植
   付けと同時にテープ状種球の植付位置近傍に肥料を吐出
   する施肥ノズルを設けたことを特徴とする種球の植付装
   置。