JPH0613328Y2 - シリンダ錠 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、シリンダ錠、特に不正解錠に対し防御可能な
シリンダ錠に関連する。

従来の技術 現在、シリンダ錠は建築、車両、家具、電子機器等の種
々の分野において使用されている。これらの対象物にシ
リンダ錠を使用する目的は、対象物に対する不正侵入、
不正使用、盗難又は悪戯等を防止することにある。

また、上記の目的に適合する種々の形式のシリンダ錠が
公知である。基本的にシリンダ錠は、長さ方向に形成さ
れた収容孔を有するケースと、ケースの収容孔内に配置
されかつ複数のタンブラを有するキーシリンダとを備え
ている。タンブラは板状のディスクタンブラ又は円柱状
のピンタンブラが使用され、キーシリンダに径方向に形
成された孔内に滑動可能に配置されている。また、これ
らのタンブラはキーシリンダの孔内に配置されたばねに
よりキーシリンダの外側に突出するように押圧されるか
又はケースの孔内に配置されたばねによりキーシリンダ
の内側に押圧される。タンブラがキーシリンダとケース
との当接面より外側に突出すると、キーシリンダの回転
が阻止される。正規のキーをキーシリンダのキー溝に挿
入すると、キーシリンダとケースとの当接面上からタン
ブラが移動して、キーシリンダをキーと共に回転するこ
とが可能となる。

例えば、特開昭６１−２１８０１８号公報に示されるよ
うに、シリンダ錠のいたずらに対して防備するガードプ
レートが設けられる。このガードプレートは焼結合金等
の硬質の金属で形成され、ドライバ等の工具がシリンダ
錠内に挿入されてもガードプレートによりシリンダ錠の
破壊を防止することができる。

考案が解決しようとする課題 ところで、ガードプレートを有するシリンダ錠は、ガー
ドプレートとキーシリンダとの間に間隙が形成され、シ
リンダ錠に振動が加えられるとガタツキ音が発生する。
特に、自動車用ステアリングロック装置内のシリンダ錠
にガードプレートを使用すると、自動車の走行中にガタ
ツキ音が発生して運転者に不安感を与える欠点がある。
自動車用ステアリングロック装置はイグニッションスイ
ッチと一体に組立られるので、ステアリングロック装置
からガタツキ音が発生することはイグニッションスイッ
チに不具合が発生する印象を与えるため、望ましいこと
ではない。

そこで、この考案はガードプレートを有しかつガタツキ
音の発生しないシリンダ錠を提供することを目的とす
る。

課題を解決するための手段 本考案のシリンダ錠は、長さ方向に形成された収容孔を
有するケースと、ケースの収容孔内に配置されかつ複数
のタンブラを有するキーシリンダと、ケースとキーシリ
ンダとの間に配置されたガードプレートとを有する。こ
のシリンダ錠では、キーシリンダの長さ方向に対し直角
な平面とほぼ平行に形成されたスペーサ本体と、スペー
サ本体に形成されかつキーが挿通される開口部と、スペ
ーサ本体から直角方向に延び出す複数のアーム部とを有
するスペーサをガードプレートに隣接してケースとキー
シリンダとの間に配置し、スペーサのアーム部によりガ
ードプレートの遊動が阻止される。ケースはその前面に
設けられたカバーを有し、ガードプレートはカバーとキ
ーシリンダとの間に配置される。キーシリンダは長さ方
向に突出する外周突起を有し、スペーサのアーム部はキ
ーシリンダの外周突起とガードプレートとの間に配置さ
れかつガードプレートに対し常時弾性力を与える。

作用 スペーサのアーム部は常時ガードプレートを一方向に押
圧し、シリンダ錠の振動が加えられたとき、ガードプレ
ートの遊動を阻止する。

実施例 以下、ステアリングロック装置に応用したこの考案のキ
ーシリンダ錠を第１図〜第３図について説明する。

先ず、第１図に示すように、本考案のシリンダ錠１０
は、長さ方向に形成された収容孔１１ａを有するケース
１１と、ケース１１の収容孔１１ａ内に配置されかつ複
数のタンブラ１２ａを有するキーシリンダ１２とを有す
る。図示の例ではケース１１はカバー１３を有する。カ
バー１３を含みケース１１は例えば亜鉛ダイカストによ
り形成される。また、キーシリンダ１２も例えば亜鉛ダ
イカストにより成形される。キーシリンダ１２には公知
の手段によりロッキングロッド１６が作動連結される。
キーによりキーシリンダ１２を回転したとき、ロッキン
グロッド１６は図示しないが、ステアリングシャフトの
孔に対し係合及び分離可能に移動される。

キーシリンダ１２の頭部１２ｂにはキーシリンダ１２の
長さ方向に突出する一対の外周突起１２ｃ、１２ｄが設
けられる。一対の外周突起１２ｃ内にはスペーサ１４と
ガードプレート１５が配置される。ガードプレート１５
の前壁１５ａはケース１１を構成するカバー１３の内壁
（図示せず）に当接する。

スペーサ１４はステンレスの薄板で形成され、かつキー
シリンダ１２の長さ方向に対し直角な平面とほぼ平行に
形成されたスペーサ本体１４ａと、スペーサ本体１４ａ
に形成されかつキーが挿通される開口部１４ｂと、スペ
ーサ本体１４ａから直角方向に延び出す複数のアーム部
１４ｃとを有する。スペーサ１４はガードプレート１５
に隣接してケース１１とキーシリンダ１２との間に配置
される。スペーサ１４のアーム部１４ｃはキーシリンダ
１２の外周突起１２ｃ、１２ｄとガードプレート１５と
の間に配置されかつガードプレート１５に対し常時弾性
力を与える。スペーサ１４の径方向突起１４ｄはキーシ
リンダ１２の外周突起１２ｃ、１２ｄの間に配置され、
キーシリンダ１２とスペーサ１４との相対的回転が阻止
される。

上記の構成において、ガードプレート１５はスペーサ１
４と共に又は予めスペーサ１４をキーシリンダ１２内の
一対の外周突起１２ｃ、１２ｄ内に配置した後、キーシ
リンダ１２とカバー１３との間に配置される。キーによ
る施解錠を行うときはキーをカバー１３の孔１３ａから
ガードプレート１５の孔１５ｂ及びスペーサ１４の開口
部１４ｂを通り、キーシリンダ１２内に挿入した後、回
転する。このため、スペーサ１４はガードプレート１５
と一体に回転する。従って、スペーサ１４をガードプレ
ート１５とカバー１３との間に配置するときに発生する
部分的な摩耗は発生しない。また、スペーサ１４のアー
ム部１４ｃによりガードプレート１５の遊動が阻止され
る。

この考案の上記実施例は種々の変更が可能である。この
考案では、タンブラはディスクタンブラ又はピンタンブ
ラのいずれでも使用することができる。また、この考案
の上記実施例をステアリングロック装置の例で説明した
が、他のシリンダ錠にもこの考案を応用できることは明
らかである。更に、カバーがケースと一体に形成された
型式のシリンダ錠にもこの考案に応用できよう。スペー
サ本体に凹凸を形成してもよい。

この考案ではスペーサをガードプレートとカバー１３と
の間に配置することも可能であるが、この場合はガード
プレートとカバーとが直接摺動接触するので、上記の実
施例のように構成することが望ましい。

考案の効果 本考案のシリンダ錠では、スペーサのアーム部によって
常時ガードプレートを一方向に押圧すると共に、ガード
プレートを所定の位置に保持し、シリンダ錠の振動が加
えられたとき、ガードプレートの遊動を阻止するので、
ガタツキ音が発生せず、運転者に不安感を与えることが
ない。

また、シリンダ錠の組立時にスペーサはガードプレート
を確実に保持するので、キーシリンダの頭部が下向きに
なるようにキーシリンダを逆さにしても、頭部からガー
ドプレートが脱落しない。このため、組立工程において
ガードプレートの脱落及び再組立に無駄な時間を要せ
ず、迅速に組立工程を完了することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案によるシリンダ錠の分解斜視図、第２
図はガードプレート、スペーサ及びキーシリンダの関係
を示す部分的断面図、第３図は第２図の組立状態を示す
断面図である。 １０……シリンダ錠、１１……ケース、１１ａ……収容
孔、１２……キーシリンダ、１２ｃ、１２ｄ……外周突
起、１３……カバー、１４……スペーサ、１４ａ……ス
ペーサ本体、１４ｂ……開口部、１４ｃ……アーム部、
１５……ガードプレート、

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】長さ方向に形成された収容孔を有するケー
   スと、ケースの収容孔内に配置されかつ複数のタンブラ
   を有するキーシリンダと、ケースとキーシリンダとの間
   に配置されたガードプレートとを有するシリンダ錠にお
   いて、キーシリンダの長さ方向に対し直角な平面とほぼ
   平行に形成されたスペーサ本体と、スペーサ本体に形成
   されかつキーが挿通される開口部と、スペーサ本体から
   直角方向に延び出す複数のアーム部とを有するスペーサ
   をガードプレートに隣接してケースとキーシリンダとの
   間に配置し、スペーサのアーム部によりガードプレート
   の遊動を阻止することを特徴とするシリンダ錠。
2. 【請求項２】ケースはその前面に設けられたカバーを有
   し、ガードプレートはカバーとキーシリンダとの間に配
   置される請求項(1)に記載のシリンダ錠。
3. 【請求項３】キーシリンダは長さ方向に突出する外周突
   起を有し、スペーサのアーム部はキーシリンダの外周突
   起とガードプレートとの間に配置されかつガードプレー
   トに対し常時弾性力を与える請求項(1)に記載のシリン
   ダ錠。