JPH06128086A - ダイヤモンドの合成方法 - Google Patents

ダイヤモンドの合成方法

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JPH06128086A
JPH06128086A JP28427692A JP28427692A JPH06128086A JP H06128086 A JPH06128086 A JP H06128086A JP 28427692 A JP28427692 A JP 28427692A JP 28427692 A JP28427692 A JP 28427692A JP H06128086 A JPH06128086 A JP H06128086A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、高性能な半導体デバイス、ヒー
トシンク等の電子機器分野をはじめとする広い分野にお
いて好適であり、基材との密着性に優れるダイヤモンド
を、簡便な操作で容易に合成することができるダイヤモ
ンドの合成方法、及び、任意の形状にかつ高い選択性を
もって合成することができるダイヤモンドの合成方法を
提供することを目的とする。 【構成】 前記目的を達成するための前記請求項1に記
載の発明は、炭化物形成元素からなる基材の表面を低電
流陽極酸化法により多孔質化し、化学気相浸透法により
炭化した後、この基材の表面に気相法によりダイヤモン
ドを合成することを特徴とするダイヤモンドの合成方法
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ダイヤモンドの合成
方法に関し、更に詳しくは、高性能な半導体デバイス、
ヒートシンク、電子材料等に好適であり、基材との密着
性に優れるダイヤモンドを、簡便な操作で容易に合成す
ることができるダイヤモンドの合成方法、及び、任意の
形状にかつ高い選択性をもって合成することができるダ
イヤモンドの合成方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】近年、炭
素含有化合物と水素との混合ガスを原料として、CVD
法やPVD法などの気相法ダイヤモンド合成技術を用い
て、基材の表面にダイヤモンドを形成する技術が開発さ
れ、半導体デバイス等の分野への用途が注目されてき
た。
【0003】これらの技術においては、ダイヤモンドの
結晶形成密度を大きくする目的で、ダイヤモンドを形成
する前にダイヤモンド砥粒等を用いて基材の表面に傷付
け処理を行なっている。ところが、前記傷付け処理によ
る研磨剤や研磨くずが、ダイヤモンド形成時に基材の表
面に残ってしまうことがあり、ムラのないダイヤモンド
結晶を形成することができなかった。また、その処理の
操作に時間がかかり、簡便にダイヤモンドを形成するこ
とができなかった。
【0004】かかる状況の下、傷付け処理を行なわず簡
便にダイヤモンドを形成する方法が、特開平3−205
397号公報において提案されている。これは、基材表
面にマスク材を付し、陽極化成を行ない、非マスク部を
多孔質化した後、気相法によりダイヤモンドを形成する
方法である。
【0005】しかしながら、この方法には、基材におけ
る多孔質化した部分の強度が充分でなく、その表面にダ
イヤモンドを形成した場合、基材とダイヤモンドとの密
着性が十分でないという問題がある。
【0006】この発明の目的は、前記問題を解決すると
共に、高性能な半導体デバイス、ヒートシンク等の電子
機器分野をはじめとする広い分野において好適であり、
基材との密着性に優れるダイヤモンドを、簡便な操作で
容易に合成することができるダイヤモンドの合成方法、
及び、任意の形状にかつ高い選択性をもって合成するこ
とができるダイヤモンドの合成方法を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
にこの発明者が鋭意検討した結果、以下の事項を見出し
た。
【0008】即ち、基材の表面に、多孔質層を形成する
と共にこれを炭化する。すると、ダイヤモンドを合成す
るための初期核を高い密度で発生させることができると
共に前記多孔質層の機械的強度を向上させることができ
る。これにより、ダイヤモンドを簡便な操作で容易に、
基材との密着性よく合成することができることを見出し
た。更に、多孔質層を形成をする前に、マスク材による
パターンを基材の表面に形成する。すると、任意の形状
を有するダイヤモンドを高い選択性をもって、基材との
密着性よく合成することができることを見出したのであ
る。
【0009】本願発明は、かかる発明者の知見に基づき
完成されたものである。
【0010】前記課題を解決するための請求項1に記載
の発明は、炭化物形成元素からなる基材の表面を低電流
陽極酸化法により多孔質化し、化学気相浸透法により炭
化した後、この基材の表面に気相法によりダイヤモンド
を合成することを特徴とするダイヤモンドの合成方法で
あり、前記請求項2に記載の発明は、炭化物形成元素か
らなる基材の表面にマスク材によるパターンを形成した
後、この基材における非マスク部を低電流陽極酸化法に
より多孔質化し、前記パターンを除去した後に化学気相
浸透法により炭化し、次いでこの基材の表面に気相法に
よりダイヤモンドを合成することを特徴とするダイヤモ
ンドの合成方法である。
【0011】以下、この発明について詳細に説明する。
【0012】この発明の方法は、 1)炭化物形成元素からなる基材の表面を低電流陽極酸
化法により多孔質化して多孔質層を形成する工程(以
下、多孔質層形成工程と称する。)、 2)化学気相浸透法により前記多孔質層を炭化して炭化
層を形成する工程(以下、炭化層形成工程と称す
る。)、及び、 3)前記炭化層を形成した炭化物形成元素からなる基材
の表面に、気相法によりダイヤモンドを合成する工程
(以下、ダイヤモンド合成工程と称する。)を有する。
【0013】また、ダイヤモンドを選択的に合成する本
願発明の方法は、更に、以下に示す、炭化物形成元素か
らなる基材の表面にマスク材によるパターンを形成する
工程(以下、パターン形成工程と称する。)を有する。
この場合、前記パターン形成工程は、前記多孔質層形成
工程の前に行なわれる。
【0014】以下、本願発明における各工程について説
明する。
【0015】−パターン形成工程− パターン形成工程においては、特定のマスク材により炭
化物形成元素からなる基材の表面に、所望の形状及び大
きさを有するパターンが形成される。
【0016】前記炭化物形成元素からなる基材として
は、後述する炭化層形成工程を経ることによって炭化物
を形成することのできる元素を有して形成されている限
り特にその材質等につき制限がない。この基材の材質と
しては、Si、Ti、Ta、W、Zr、Hfなどを挙げ
ることができる。これらの中でも好ましいのはSi、W
などである。
【0017】又、基材は、炭化物形成元素のほかには炭
化物となり得る元素以外の元素を含有することによりP
型あるいはN型の半導体であってもよい。
【0018】炭化物形成元素からなる基材の比抵抗とし
ては、通常10-6〜103 Ω・cmである。
【0019】パターンを形成するには、リソグラフィー
の技術を用いることができる。
【0020】具体的には、先ず、フォトレジスト等のレ
ジスト剤を含有するパターン形成用塗布液を炭化物形成
元素からなる基材の表面全体に塗布し、これを乾燥して
レジスト層を形成する。次に、目的のパターンと同じパ
ターンのフォトマスクを介して、紫外線等の光を前記レ
ジスト層に照射して露光する。その後、露光部分を除去
して所望のパターンと同じ大きさ及び形状を有するパタ
ーンを炭化物形成元素からなる基材の表面に形成する方
法、を挙げることができる。
【0021】また、他の方法としては、先ず、図6に示
すように、炭化物形成元素からなる基材の表面全体に、
フォトレジスト等のレジスト剤を含有するパターン形成
用塗布液を炭化物形成元素からなる基材1の表面全体に
塗布し、これを乾燥してレジスト層5を形成する。次
に、例えば図7に示すような、所望のパターンと逆のパ
ターンのフォトマスク6を介して、図6に示すように、
紫外線等の光を前記レジスト層5に照射して露光する。
なお、図7に示すフォトマスク6は、光遮断部6aと光
透過部6bとを有する。その後、未露光部分を除去して
図5に示すような所望のパターンと同じ大きさ及び形状
を有するパターン5aを炭化物形成元素からなる基材1
の表面に形成する方法、を挙げることができる。
【0022】前記レジスト剤としては、フォトレジスト
の他、電子線やX線用のレジストを用いることができ
る。
【0023】前記フォトレジストしては、ネガ型フォト
レジスト又はポジ型フォトレジストを挙げることができ
る。これらのレジストは一般に用いられているもののほ
か、各種公知の樹脂系やゴム系のフォトレジストを用い
ることができる。
【0024】前記ネガ型フォトレジストの市販品として
は、例えば、富士薬品工業(株)製のLMR−33や東
京応化工業(株)製のOMR−83、OMR−85等を
挙げることができる。また、前記ポジ型フォトレジスト
の市販品としては、東京応化工業(株)製のOFPR−
2やOFPR−800等を挙げることができる。
【0025】前記パターン形成用塗布液の調製方法とし
ては、特に制限はなく、公知の種々の方法を採用するこ
とができる。
【0026】前記パターン形成用塗布液の塗布方法とし
ては、スプレー、スピンナー、デイップ等を用いる方法
などを挙げることができ、これらの中で好ましいのはス
ピンナーを用いる方法である。
【0027】パターン形成用塗布液を塗布した後、通常
の場合は乾燥することにより、レジスト層を得る。この
レジスト層の乾燥時の厚みとしては、特に制限はない
が、通常0.5〜3μm程度である。
【0028】パターンは、フォトマスクを介してレジス
ト層に紫外線などの光を照射して露光した後、現像及び
リンスすることにより、形成することができる。
【0029】前記紫外線などの光を照射することによる
露光の方法としては、例えば、コンタクト露光方式、プ
ロキシミティー露光方式、プロジェクション露光方式等
を挙げることができ、目的に応じて種々の方法を適宜に
選択して用いることができる。
【0030】以上のようにして、このパターン形成工程
では、例えば図5に示すように、炭化物形成元素からな
る基材1の表面にパターン5aが形成される。
【0031】−多孔質層形成工程− この多孔質層形成工程においては、炭化物形成元素から
なる基材の表面に、低電流陽極酸化法により多孔質層を
形成する。
【0032】即ち、炭化物形成元素からなる基材を、例
えばフッ化水素等の水溶液中にて電気分解処理すること
により、その表面に多孔質化した多孔質層が形成され
る。
【0033】なお、この工程の前にパターン形成工程に
よりパターンを形成した場合には、図4に示すように、
炭化物形成元素からなる基材1の表面に多孔質化した多
孔質層4が形成される。この際、炭化物形成元素からな
る基材1におけるパターンが形成されている部分は、多
孔質化されない。
【0034】前記水溶液としては、例えば、フッ化水素
水溶液(HF濃度が1〜40%)、フッ化水素水溶液と
エタノールとの混合液(HF含有量5〜50vol.
%)等を挙げることができる。前記HFの濃度が低すぎ
ると反応の効率が悪くなり、一方高すぎると反応が進行
しにくくなる。
【0035】前記電気分解は、例えば、前記水溶液を収
容したテフロン製等の耐薬品性の容器内で、炭化物形成
元素からなる基材を陽極とし、白金、カーボン、金等を
陰極として、1〜100mA/cm2 の割合で電流を流
すことにより行なうことができる。
【0036】電気分解の時間としては、通常5秒〜30
分である。
【0037】前記時間が短すぎると、多孔質化が不十分
であることがある。一方長すぎると、多孔質層が厚くな
りすぎて炭化することができないことがあり、また、パ
ターンを形成している場合には、パターンによりマスク
された部分の背面にまで多孔質化が進行することがあ
る。
【0038】なお、この発明においては、前記電流密度
及び電気分解の時間は、その積(電流密度×時間
(秒))である全電荷が0.5〜100C/cm2 にな
るように選択するのが良い。
【0039】前記多孔質層の厚みとしては、通常0.0
1〜500μmである。この厚みは、前記全電荷量の大
きさに比例して厚くなる。したがって、前記電流密度や
電気分解の時間、あるいは前記フッ化水素水溶液等の水
溶液の濃度等を適宜に変化させることにより、前記厚み
を調節することができる。
【0040】前記厚みが薄すぎると、核発生密度が低く
なることがある。また、パターンによりダイヤモンドを
選択的に合成する場合には、ダイヤモンドの選択比が低
下することがある。一方厚すぎると、炭化が困難になり
強度が低下することがある。また、パターンによりダイ
ヤモンドを選択的に合成する場合には、マスク部の背面
にまで多孔質化が進行して寸法精度が低下することがあ
る。
【0041】この多孔質層形成工程による炭化物形成元
素からなる基材表面を多孔質化する程度は、多孔質層の
比表面積が、基材の表面が鏡面であるときのその比表面
積の102 〜103 倍になる程度であるのが望ましい。
このようにこの多孔質層形成工程により、炭化物形成元
素からなる基材の表面を比表面積の大きな多孔質にする
と、多孔質化しない場合に比べて、ダイヤモンドを析出
させるための初期核の密度を102 〜106 倍にするこ
とができる。前述した基材の表面が鏡面であるというの
は、Ra が0.05μm以下である場合を挙げることが
できる。
【0042】2)炭化層形成工程 この炭化層形成工程においては、前記多孔質層形成工程
により形成した多孔質層が、化学気相浸透法(Chem
ical Vapor Infiltration、以
下CVI法と称することがある。)により炭化され、炭
化層が形成される。
【0043】なお、炭化物形成元素からなる基材の表面
にパターンを形成した場合には、前記1)多孔質層形成
工程の後、この炭化層形成工程の前に、前記パターンを
溶解除去する。
【0044】パターンを溶解除去するには、適宜の方法
を選択することができる。例えば、プラズマを用いる方
法、あるいは、アセトン、アルコール、セルソルブ、硫
酸及び過酸化水素の混合液やジメチルホルムアミド等の
溶剤を用いる方法等を挙げることができる。また、市販
のレジスト専用溶解液を用いてもよい。
【0045】以上により、例えば図4に示すパターン5
aを溶解除去することができ、図3に示すような多孔質
層3を有する炭化物形成元素からなる基材1を得ること
ができる。
【0046】前記化学気相浸透法(CVI法)として
は、形成した多孔質層における最内部まで炭化層形成用
のガスを浸透させることができれば特に制限はなく、例
えば、多孔質層を形成した炭化物形成元素からなる基材
に対し、間欠的にCH4 等のガスを導入・排気を繰り返
すパルス熱CVI法でも、あるいは、マイクロ波プラズ
マCVD法等のパルスプラズマCVI法でもよい。
【0047】前記パルス熱CVI法において、ガスを間
欠的に導入する圧力としては、最大圧力が通常0.1〜
10Kg/cm2 であり、好ましくは0.5〜10Kg
/cm2 である。最小圧力は通常10-6〜9.5Kg/
cm2 であり、好ましくは10-6〜9Kg/cm2 であ
る。また、前記最大圧力及び前記最小圧力は、その差圧
が通常0.5Kg/cm2 よりも大きくなるように、好
ましくは0.5〜10Kg/cm2 となるように選択さ
れる。
【0048】前記最大圧力が10Kg/cm2 よりも大
きいと、反応容器の耐圧設計が問題となることがある。
一方、0.1Kg/cm2 よりも小さいと、十分に多孔
質層の内部まで炭化が進行しないことがある。
【0049】前記最小圧力が9.5Kg/cm2 よりも
大きいと、反応容器の耐圧設計が問題となることがあ
る。一方、10-6Kg/cm2 よりも小さいと、真空排
気系の設備が大がかりになり、運転費も高価になること
がある。
【0050】前記差圧が0.5Kg/cm2 よりも小さ
いと、十分に多孔質層の内部にまで炭化が進行しないこ
とがある。
【0051】ガスを導入するパルスの時間t1 として
は、通常0.5秒〜10分間であり、好ましくは1秒〜
1分間である。また、前記ガスを導入するパルスの時間
1 と導入を中止するパルスの時間t2 との和、即ちガ
ス導入における間欠の1サイクルをTとするとき、t1
/Tが通常0.1〜10であり、好ましくは0.2〜5
である。パルス熱CVI法における反応温度としては、
通常500℃以上であり、好ましくは600〜1200
℃である。
【0052】前記反応温度が、500℃よりも低いと、
炭化が起こらないことがある。
【0053】パルス熱CVI法における反応時間は、多
孔質層の厚みや多孔度に適合するように適宜決定すれば
よい。
【0054】また、前記パルスプラズマCVI法におい
て、ガスを間欠的に導入する圧力としては、最大圧力が
通常10-3〜200Torrであり、好ましくは10-2
〜100Torrである。最小圧力は通常10-6〜10
0Torrであり、好ましくは10-4〜10Torrで
ある。また、前記最大圧力及び前記最小圧力は、その圧
力比が通常2よりも大きくなるように、好ましくは10
〜103 となるように選択される。
【0055】前記最大圧力が200Torrよりも大き
いと、プラズマの維持が困難になることがある。一方、
10-3Torrよりも小さいと、多孔質層の内部にまで
十分に炭化が進行しないことがある。
【0056】前記最小圧力が100Torrよりも大き
いと、圧力比が十分にとれないことがある。一方、10
-6Torrよりも小さいと、プラズマの維持が困難にな
ることがある。
【0057】前記圧力比が2よりも小さいと、多孔質層
の内部にまで十分に炭化が進行しないことがある。
【0058】ガスを導入するパルスの時間t1 として
は、通常0.5秒〜10分間であり、好ましくは1秒〜
1分間である。また、前記ガスを導入するパルスの時間
1 と導入を中止するパルスの時間t2 との和、即ちガ
ス導入における間欠の1サイクルをTとするとき、t1
/Tが通常0.1〜10であり、好ましくは0.2〜5
である。
【0059】パルスプラズマCVI法における反応温度
としては、通常500℃以上であり、好ましくは600
〜1200℃である。
【0060】前記反応温度が、500℃よりも低いと、
炭化が起こらないことがある。
【0061】パルスプラズマCVI法における反応時間
は、多孔質層の厚みと多孔質度に適合するように適宜決
定すればよい。
【0062】この炭化層形成工程により、炭化層が炭化
物形成元素からなる基材の表面に形成される。また、パ
ターンを形成した場合には、図3に示すように、マスク
パターン6aと同じパターンの炭化層3が炭化物形成元
素からなる基材1の表面に形成される。
【0063】3)ダイヤモンド合成工程 このダイヤモンド合成工程では、前記2)炭化層形成工
程の後、炭化物形成元素からなる基材の表面にダイヤモ
ンドの合成を行なう。
【0064】ダイヤモンドの合成方法としては、公知の
方法、例えば、CVD法、PVD法、PCVD法、ある
いはこれらを組合せた方法等、各種のダイヤモンド気相
合成法を使用することができ、これらの中でも、通常、
EACVD法を含めた各種の熱フィラメント法、熱プラ
ズマ法を含めた各種の直流プラズマCVD法、ECR法
を含めたマイクロ波プラズマCVD法等を好適に使用す
ることができる。
【0065】これらのダイヤモンド形成法に用いる炭素
源ガスとしては、例えば、メタン、エタン、プロパン、
ブタン等のパラフィン系炭化水素;エチレン、プロピレ
ン、ブチレン等のオレフィン系炭化水素;アセチレン、
アリレン等のアセチレン系炭化水素;ブタジエン、アレ
ン等のジオレフィン系炭化水素;シクロプロパン、シク
ロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式
炭化水素;シクロブタジエン、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、ナフタレン等の芳香族炭化水素;アセトン、ジ
エチルケトン、ベンゾフェノン等のケトン類;メタノー
ル、エタノール等のアルコール類;このほかの含酸素炭
化水素;トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミ
ン類;このほかの含窒素炭化水素;炭酸ガス、一酸化炭
素、過酸化炭素などを挙げることができる。また前記各
種の化合物を混合して使用することもできる。
【0066】これらの中でも、好ましいのはメタン、エ
タン、プロパン等のパラフィン系炭化水素、エタノー
ル、メタノール等のアルコール類、アセトン、ベンゾフ
ェノン等のケトン類、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン等のアミン類、炭酸ガス、一酸化炭素であり、特に
メタン、一酸化炭素が好ましい。
【0067】なお、これらは一種単独で用いてもよく、
二種以上を混合ガス等として併用してもよい。
【0068】また、これらは水素等の活性ガスやヘリウ
ム、アルゴン、ネオン、キセノン、窒素等の不活性ガス
と混合して用いてもよい。
【0069】ダイヤモンドの形成条件としては、特に制
限はなく、前記の気相合成法に通常用いられる反応条件
を適用することができる。
【0070】例えば、反応圧力としては、通常10-6
103 Torrが好ましく、特に10-3〜760Tor
rの範囲内であるのが好ましい。
【0071】反応圧力が10-6Torrよりも低い場合
には、ダイヤモンドの形成速度が遅くなることがある。
また、103 Torrより高い場合には、103 Tor
rのときに得られる効果に比べて、それ以上の効果がな
い場合もある。
【0072】また、炭化物形成元素からなる基材の表面
温度としては、前記炭素源ガスの活性化手段等により異
なるので、一概に規定することはできないが、通常、室
温〜1,200℃、好ましくは、室温〜1,100℃の
範囲内にするのがよい。
【0073】この温度が室温よりも低い場合には、結晶
性のダイヤモンドの形成が不十分になることがある。ま
た、温度が1,200℃を超える場合においては、形成
されたダイヤモンドのエッチングが生じ易くなる。
【0074】反応時間としては、特に限定はなく、ダイ
ヤモンドが所望の厚みとなるように、ダイヤモンドの形
成速度に応じて適宜に設定するのが好ましい。
【0075】形成させる前記ダイヤモンドの厚みとして
は、使用目的等に応じて適宜に適当な厚みにすればよ
く、この意味で特に制限はないが、通常は0.5〜10
0μmの範囲に選定するのがよい。この厚みが、あまり
薄すぎると、被覆部材としたときに、ダイヤモンドによ
る被覆効果が十分に得られないことがあり、一方、あま
り厚すぎると、その使用条件によっては、ダイヤモンド
の剥離等の離脱が生じることがある。なお、得られたダ
イヤモンドを切削工具等の過酷な条件で使用する場合に
は、通常この厚みを0、5〜100μmの範囲に選定す
るのが好適である。
【0076】以上より、ダイヤモンドを、炭化物形成元
素からなる基材の表面に形成することができる。なお、
パターンを形成した場合には、パターンと同じ形状に形
成された炭化層の表面にダイヤモンドが選択的に合成さ
れる。即ち、図1及び図2に示すように、炭化物形成元
素からなる基材1の表面に所望の形状及び大きさを有す
るダイヤモンド2が、寸法精度よく選択的に形成され
る。
【0077】この発明の方法によると、ダイヤモンドを
簡便な操作で容易に、炭化物形成元素からなる基材の表
面に、基材との密着性よく形成することができる。ま
た、パターンを形成した場合には、寸法精度に優れたダ
イヤモンドのパターンを基材との密着性よく、高い選択
性をもって形成することができる。これらのダイヤモン
ドは、例えば、半導体デバイス等の各種電子材料の分野
をはじめとする広い分野において好適に用いることがで
きる。
【0078】
【実施例】以下、この発明の実施例につき具体的に説明
する。なお、この発明は以下の実施例に何ら限定される
ものではない。
【0079】(実施例1及び比較例1〜3)炭化物形成
元素からなる基材として、シリコン(100)p+ 型基
材(抵抗率ρ=0.001Ω・cm)を用い、表1に示
す組合せで、以下に示す条件の、低電流陽極酸化法によ
り多孔質層を形成する多孔質層形成工程及び化学気相浸
透法により炭化層を形成する炭化層形成工程を行なっ
た。その後、ダイヤモンドの合成を行なった。
【0080】結果としては、表1に示すように、シリコ
ン基材の表面を多孔質化し更に炭化した実施例1におい
ては、ダイヤモンドを析出させるための核発生密度が最
大約108 /cm2 と非常に高く良好であった。一方、
多孔質化のみを行なった比較例1、炭化のみを行なった
比較例2、及び多孔質化も炭化も行なわなかった比較例
3は、前記核発生密度が約104 /cm2 以下と低く、
高い核発生密度を得ることはできなかった。
【0081】なお、ダイヤモンド合成の程度は、前記核
発生密度に比例するので、ここでは前記核発生密度を評
価することにより、ダイヤモンド合成の評価とした。
【0082】(多孔質層形成工程) 使用した水溶液:20%フッ化水素水溶液 対電極:白金 電流密度:30mA/cm2 処理時間:5分間 この多孔質層形成処理工程により、厚みが約1μmの多
孔質層が前記シリコン基材の表面に形成した。
【0083】(炭化層形成工程) 使用した方法:パルスマイクロ波プラズマCVI法 温度:650℃ t1 :10秒 T:20秒 最大圧力:100Torr 最小圧力:10Torr 処理時間:30分間 (ダイヤモンド合成工程) 使用した方法:マイクロ波プラズマCVD法 温度:900℃ 合成反応時間:60分間 (実施例2)炭化物形成元素からなる基材としては、実
施例1と同じシリコン基材を用いた。
【0084】シリコン基材の表面にパターン形成用塗布
液を塗布し、乾燥してレジスト層を形成した。続いて、
図7に示すパターンを有するフォトマスク6を用いて、
レジスト層5を露光し、現像・リンスすることにより、
10μm四方のドットマスクパターンを有するパターン
6aを、フォトリソプロセスにより形成した。
【0085】即ち、ポジ型フォトレジスト(東京応化工
業(株)製:OMR−83)をスピンナーを用いて、3
×103 rpmで、厚みが1μmになるように塗布する
ことにより、シリコン基材の表面にレジスト層を形成し
た。塗布後、前記レジスト層を80℃で30秒間加熱し
てプリベークした。そして、キャノン(株)製マスクア
ライナー(PLA−501FA)を用いて紫外線を13
mW/cm2 の強さで図7に示すような10μm四方の
ドットマスクパターンを有するフォトマスク6を介し
て、レジスト層5に露光した。続いてこのシリコン基材
を、同社製のOMR現像液中に60秒間浸漬して現像を
行ない、レジスト層の露光部分を除去した後、同社製の
OMRリンス液を用いてリンスした。その後、140℃
で30分間ポストベークした。
【0086】こうして、10μm角のドットのパターン
をシリコン基材の表面に形成した。
【0087】次に、低電流陽極酸化法によりシリコン基
材の表面における非マスク部を多孔質化する多孔質層形
成工程、シリコン基材を同社製剥離液中に浸漬すること
によるパターンの溶解除去、及び化学気相浸透法により
前記多孔質層を炭化する炭化層形成工程を行なった。な
お、多孔質層形成工程及び炭化層形成工程は、実施例1
と同じ条件にて行なった。その後、以下の条件にて、ダ
イヤモンド合成工程を行なった。
【0088】(ダイヤモンド合成工程) 原料ガスの種類と流量:COとH2 との混合ガス(10
/90sccm) 合成条件:反応圧力40Torr、 シリコン基材の温度:900℃、 合成時間:1時間、 合成法(原料ガス励起法):マイクロ波プラズマCVD
法(2.45GHz)。
【0089】その結果、シリコン基材の表面に、厚み1
μmで10μm角のドット状のダイヤモンドを、基材と
の密着性よく、かつ、寸法精度よく高い選択性をもって
合成することができた。
【0090】
【表1】
【0091】
【発明の効果】この発明によると、高性能な半導体デバ
イス、ヒートシンク等の電子機器分野をはじめとする広
い分野において好適であり、基材との密着性に優れるダ
イヤモンドを、簡便な操作で容易に合成することができ
るダイヤモンドの合成方法、及び、任意の形状にかつ高
い選択性をもって合成することができるダイヤモンドの
合成方法を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ダイヤモンドが選択的に形成された炭
化物形成元素からなる基材の断面における状態を示す概
略説明図である。
【図2】図2は、ダイヤモンドが選択的に形成された炭
化物形成元素からなる基材を上から見た状態を示す概略
説明図である。
【図3】図3は、パターンを除去し、炭化層を形成した
炭化物形成元素からなる基材の断面における状態を示す
概略説明図である。
【図4】図4は、炭化物形成元素からなる基材における
非マスク部に多孔質層を形成した後の基材における断面
の状態を示す概略説明図である。
【図5】図5は、パターンが形成された炭化物形成元素
からなる基材における断面の状態を示す概略説明図であ
る。
【図6】図6は、フォトマスクを介して、炭化物形成元
素からなる基材表面に塗布したレジスト層に、紫外線を
露光している状態を示す概略説明図である。
【図7】図7は、フォトマスクの一例を示す概略説明図
である。
【符合の説明】
1 基材 2 ダイヤモンド 3 炭化層 4 多孔質層 5 レジスト層 5a パターン 6 フォトマスク 6a 光遮断部 6b 光透過部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化物形成元素からなる基材の表面を低
    電流陽極酸化法により多孔質化し、化学気相浸透法によ
    り炭化した後、この基材の表面に気相法によりダイヤモ
    ンドを合成することを特徴とするダイヤモンドの合成方
    法。
  2. 【請求項2】 炭化物形成元素からなる基材の表面にマ
    スク材によるパターンを形成した後、この基材における
    非マスク部を低電流陽極酸化法により多孔質化し、前記
    パターンを除去した後に化学気相浸透法により炭化し、
    次いでこの基材の表面に気相法によりダイヤモンドを合
    成することを特徴とするダイヤモンドの合成方法。
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