JPH06127364A - 路面判定方法および車輪スリップ量補正方法 - Google Patents

路面判定方法および車輪スリップ量補正方法

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JPH06127364A
JPH06127364A JP4281359A JP28135992A JPH06127364A JP H06127364 A JPH06127364 A JP H06127364A JP 4281359 A JP4281359 A JP 4281359A JP 28135992 A JP28135992 A JP 28135992A JP H06127364 A JPH06127364 A JP H06127364A
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wheel
road surface
wheel acceleration
value
acceleration
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JP4281359A
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Kenji Saji
健志 佐治
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Mitsubishi Motors Corp
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Mitsubishi Motors Corp
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Publication date
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  • Regulating Braking Force (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 路面状態を正確に判定し、又、車輪のスリッ
プ率を適正化する。 【構成】 推定車体速およびABS制御の有無に応じて
スケ−リング係数を決定し(S401”)、車体速およ
びABS制御の有無が車輪加速度に及ぼす影響を除去す
るためのスケ−リング処理(S402”,S403”)
を施した車輪加速度と推定路面μとに基づいて路面判定
を行う(S405”)。更に、路面判定結果と推定車体
速とに基づいて演算したスリップ補正量(S406”)
でスリップ量を補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、路面判定方法および車
輪スリップ量補正方法に関し、特に、実際の路面状態を
正確に判定できる路面判定方法およびこの判定方法で判
定した路面状態に応じて車輪のスリップ量を適正に補正
できる補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】雨水で濡れた走行路等の低μ路での制動
時において、車輪のスリップを防止し、操縦安定性を確
保し、短い制動距離での車両停止を可能とするアンチス
キッドブレーキ制御が知られている。この制御は、各車
輪の回転速度から求めた車輪速と車体速との偏差(スリ
ップ量)に基づいて各車輪のスリップ率を求め、車輪の
摩擦係数が最大となる最適スリップ率近傍にスリップ率
が保持されるように各車輪のブレーキ圧を増減圧制御す
るものである。
【0003】このようなアンチスキッドブレーキ制御に
おいてスリップ量を正確に検出することが重要である。
しかし、砂利道等の悪路では、車輪が上下にシャダ(振
動)して検出車輪速も変動し、ブレーキ液圧が緩め勝手
に制御されて充分な制動力が得られないという問題が生
じる。斯かる問題点を解消するため、従来は、車輪のシ
ャダを検出したとき、ホイールシリンダの液圧を補正し
ている。詳しくは、車輪が急減速した後に急加速したと
きにシャダであると判定して、制御装置のダウンカウン
タのカウント値に一定値を加算する一方、シャダが検出
されなかった場合には、時間経過に伴って一定割合でカ
ウント値を減少させている。そして、シャダ状態を表す
カウント値が大である程、ホイールシリンダの液圧の減
圧ないしは保持制御を抑制して、シャダ発生時の液圧の
低下を防止している。このようなシャダ状態検出法によ
れば、シャダ(振動)の発生周期の長短に現れる路面状
態はカウンタ値に反映されるが、シャダの大小に現れる
路面状態は反映されない。従って、従来法には、シャダ
の大きさひいては路面状態が異なるのに、同程度の補正
しか行われないという問題がある。
【0004】そこで、従来、ブレーキ圧の増減圧量を路
面状態に応じて、より正確に補正するようにしたアンチ
スキッドブレーキ装置が例えば特開平3−104763
号に提案されている。この装置は、加速度検出手段によ
って検出された車輪加速度に正のピーク値が現れる度
に、車輪加速度の大小に応じて変化する値をダウンカウ
ンタのカウント値に加算する一方、時間経過に伴ってカ
ウント値を一定の割合で減少させ、カウント値が所定値
よりも大きいときに路面状態が悪いと判定してスリップ
量を減少補正し、これによりブレーキ圧を増大補正して
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、車輪加
速度は、車体速,ABS制御の有無などによって変動す
る。従って、上記提案装置のように、単に、車輪加速度
に基づいて路面判定を行うと、実際の路面状態を正確に
判定できず、路面判定ひいてはスリップ量補正の大きさ
及びタイミングが不適正になることがある。
【0006】そこで、本発明は、路面状態をより正確に
判定できる路面判定方法、および、この路面判定方法で
判定した路面状態に応じてスリップ量を補正することに
より路面状態に適合しかつ車体速とは無関係に適正なス
リップ率が得られるブレーキ圧制御を実施可能とする車
輪スリップ量補正方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明の路面判定方法は、車体速を推定し、推定車
体速に応じたスケ−リング係数を用いて、車体速が車輪
加速度に及ぼす影響を除去するためのスケ−リング処理
を車輪加速度に施し、スケ−リング処理済みの車輪加速
度に基づいて路面判定を行うことを特徴とする。
【0008】好ましくは、アンチスキッドブレーキ制御
が実行中であるか否かを判別し、推定車体速およびアン
チスキッドブレーキ制御の有無に応じて、車体速および
アンチスキッドブレーキ制御の有無が車輪加速度に及ぼ
す影響を除去可能とするスケ−リング係数を決定する。
より好ましくは、路面μを推定し、スケ−リング処理済
みの車輪加速度および推定路面μに基づいて路面判定を
行う。又、車輪加速度として後輪車輪加速度を検出す
る。更に好ましくは、車輪加速度の絶対値を求める絶対
値処理および絶対値処理済みの車輪加速度のピークをト
レースするトレース処理を車輪加速度に施して得た、路
面状態を正確に反映する車輪加速度加工値を、車輪加速
度として用いる。
【0009】又、本発明による、車輪スリップ量補正方
法は、車体速を推定し、推定車体速に応じたスケ−リン
グ係数を用いて、車体速が車輪加速度に及ぼす影響を除
去するためのスケ−リング処理を車輪加速度に施し、ス
ケ−リング処理済みの車輪加速度に基づいて路面判定を
行い、斯く判定した路面状態と推定車体速とに基づい
て、路面状態に適合しかつ車体速とは無関係に適正なス
リップ率を得ることを可能とするスリップ補正量を演算
し、斯く演算したスリップ補正量を用いて車輪スリップ
量を補正することを特徴とする。
【0010】好ましくは、後輪車輪加速度に基づいて演
算したスリップ補正量を用いて前輪スリップ量を補正す
る。
【0011】
【作用】先ず、車体速の推定が行われ、推定車体速に応
じたスケ−リング係数を用いて車輪加速度がスケ−リン
グ処理され、これにより、車体速が車輪加速度に及ぼす
影響が除去される。このスケ−リング処理済みの車輪加
速度に基づいて路面判定が行われ、実際の路面状態が正
確に判定される。
【0012】この路面判定において、好ましくは、車輪
加速度の絶対値を求める絶対値処理および絶対値処理済
みの車輪加速度のピークをトレースするトレース処理が
行われて、路面状態を正確に反映する車輪加速度加工値
が求められる。次に、推定車体速とアンチスキッドブレ
ーキ制御の実行中であるか否かとに応じて決定したスケ
−リング係数を用いて、車輪加速度加工値(好ましくは
後輪加速度加工値)がスケ−リング処理され、アンチス
キッドブレーキ制御の有無が車輪加速度に及ぼす影響が
除去される。更に、スケ−リング処理済みの後輪加速度
加工値および推定路面μに基づいて路面判定が行われ、
実際の路面状態が正確に判定される。
【0013】そして、上述のように判定した路面状態と
推定車体速とに基づいて、実際の路面状態に適合しかつ
車体速とは無関係に適正なスリップ率を得ることを可能
とするスリップ補正量が演算される。更に、このスリッ
プ補正量を用いて、車輪スリップ量(好ましくは前輪ス
リップ量)が補正され、これにより、車輪をロック気味
に制動でき、従って、特に悪路での制動能力が向上す
る。
【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例による路面判定及び
車輪スリップ量補正方法を説明する。先ず、本実施例の
方法が適用されるアンチスキッドブレーキ装置を説明す
る。なお、この装置は、上記特開平3−104763号
に開示の装置と基本的には同一である。アンチスキッドブレーキ装置の油圧回路 図1に示すように、駆動輪である前輪1L,1R、及び
非駆動輪である後輪2L,2Rにはドラムないしはデス
クブレーキ3〜6が夫々取り付けられ、各ブレーキのホ
イールシリンダ3a〜6aに供給されるブレーキ圧を制
御することによりブレーキ力が調整される。ホイールシ
リンダ3a〜6aへのブレーキ圧は、マスタシリンダ1
0から2系統の油圧回路12,14を介して供給され、
これにより、左前輪1Lと右後輪2Rのブレーキ圧制御
と、右前輪1Rと左後輪2Lのブレーキ圧制御とを別個
独立に行うようにしている。
【0015】油圧回路12は、左前輪のホイールシリン
ダ3aに向かう油路12aと右後輪のホイールシリンダ
6aに向かう油路12bとに分岐し、油路12a,12
bの途中には油圧制御弁16,20が夫々配設されてい
る。同様に、油圧回路14は、右前輪のホイールシリン
ダ4aに向かう油路14aと左後輪のホイールシリンダ
5aに向かう油路14bとに分岐し、油路14a,14
bの途中には油圧制御弁18,22が夫々配設されてい
る。又、油路12b及び油路14bの、油圧制御弁に関
してマスタシリンダ10側には、プロポーショニングバ
ルブ(PV)24,26が夫々配設されている。
【0016】油圧制御弁16は、図2に示すように、ピ
ストン室16aに摺動自在に嵌装されたエキスパンダピ
ストン161と、バルブ室16bに収容された2つのカ
ットオフバルブ162,163とを含み、ピストン室1
6aには、ポート16cが開口する圧力室165が形成
され、バルブ室16bには、ポート16dが開口する圧
力室166が形成されている。
【0017】カットオフバルブ162の内部には、カッ
トオフバルブ163を収容するバルブ室162aが形成
されている。カットオフバルブ162の、エキスパンダ
ピストン161側半部は、他半部よりも小径に形成さ
れ、パルブ室16bの内周壁との間に油路167を画成
している。油路167は、ポート16e及油路12aを
介して、マスタシリンダ10に常時接続されている。そ
して、エキスパンダピストン161が、圧力室166の
油圧に抗して、エキスパンダピストン161に当接する
カットオフバルブ162をバルブ室16b側に押し戻す
と、カットオフバルブ162が開弁されて、ポート16
eが油路167を介してピストン室16a側に設けたポ
ート16fに連通し、これにより、マスタシリンダ10
側とホイールシリンダ3a側とが連通する。
【0018】バルブ室162aに収容されるカットオフ
バルブ163は常時ばね164により閉弁方向に付勢さ
れ、カットオフバルブ163の閉弁状態において、ロッ
ド163aをピストン室16a側に突出させる。油路1
67は、カットオフバルブ162に穿設された孔を介し
てバルブ室162aと連通している。圧力室165の油
圧が増加してエキスパンダピストン16aがロッド16
3aをバルブ室16b側に押し下げると、カットオフバ
ルブ163が開弁して、ポート16eは、油路167及
びバルブ室162を介してポート16fに連通し、マス
タシリンダ10側とホイールシリンダ3b側とが連通さ
れる。
【0019】他の油圧制御弁18,20,22も油圧制
御弁16と同様に構成されるので、その詳細な説明は省
略する。図1を再び参照すると、フロント側の各油圧制
御弁16,18の圧力室165,185は電磁弁30,
32を介してリザーブタンク36に夫々接続されると共
に、電磁弁40,42を介してアキュムレータ46に接
続されている。一方、リヤ側の各油圧制御弁20,22
の圧力室205,225は共通の電磁弁34を介してリ
ザーブタンク36に接続されると共に、共通の電磁弁4
4を介してアキュムレータ46に接続されている。アキ
ュムレータ46に直接接続された各油圧制御弁の油圧室
162,182,202,222には、電子制御装置
(ECU)50の出力側に電気的に接続されたモータ4
8により駆動されるポンプ47により発生されかつアキ
ュムレータ46に蓄えられた高圧の液圧がアキュムレー
タから常時供給されている。
【0020】ECU50の入力側には、アキュムレータ
46内の液圧を検出するための液圧センサ56が電気的
に接続され、ECU50は、アキュムレータ48内の液
圧が制御に必要な圧力の下限許容値を下回るとモータ4
8をオンとし、上限許容値を超えるとオフするようにし
ている。なお、各油圧制御弁(16)の圧力室(16
5)にアキュムレータ46の液圧を供給する側の電磁弁
(40)は、ECU50からオン信号が供給されると、
そのバルブを閉じ、アキュムレータ46と圧力室(16
5)間の通路を遮断する。一方、当該電磁弁(40)が
オフのときにはスプリングによりそのバルブは閉じる方
向に動くが、アキュムレータ46の液圧が高いのでバネ
力に打ち勝ってバルブは開かれる。
【0021】一方、リザーブタンク36に液圧を排除す
る側の電磁弁(30)は、ECU50からオン信号が供
給されると、そのバルブが開き、リザーブタンク36と
圧力室(165)間の通路が開成され、圧力室(16
5)の液圧はリザーブタンク36側に排出される。一
方、電磁弁(30)に通電されない場合には、スプリン
グによりそのバルブは閉じられ、リザーブタンク36と
圧力室(165)間の通路は遮断される。
【0022】ECU50の入力側には、上述のセンサ以
外にも各車輪の車輪速を検出するための車輪速センサ5
2〜55、ブレーキペダル10aの踏み込みに応動する
ブレーキスイッチ(ブレーキランプスイッチ)58等が
電気的に接続され、出力側には電磁弁30〜44等が電
気的に接続されている。油圧制御弁の作動 次に、前述の油圧制御弁の作動を説明する。なお、各油
圧制御弁の作動は、実質的に同じであるので、左前車輪
1Lに対する油圧制御弁16の作動についてのみ説明す
る。
【0023】図2は、ECU50から電磁弁30及び4
0への通電がなく、アンチスキッドブレーキ装置が非作
動の場合の油圧制御弁の状態を示す。各電磁弁30,4
0は、ECU50からの通電がないのでばね力により閉
じているが、アキュムレータ46内には高い液圧が蓄え
られているため、アキュムレータ圧は電磁弁40のバル
ブを押し開いて圧力室165に入り、エキスパンダピス
トン161を図示下方に押し下げる。一方、アキュムレ
ータ46の液圧は、ポート16dを介して圧力室166
にも供給され、カットオフバルブ163と共にカットオ
フバルブ162を上方に押し上げる。しかし、エキスパ
ンダピストン161とカットオフバルブ162の受圧面
積が異なるためにピストン161はピストン室16aに
突出しているカットオフバルブ162の端面及びカット
オフバルブ163のロッド163aを押しさげ、これら
のバルブを開弁させる。このため、ブレーキペダル10
aを踏むと、マスタシリンダ10の液圧は、ポート16
e→油路167→ポート16fの経路、及びポート16
e→バルブ室162a→ポート16fの経路を介してホ
イールシリンダ3aに達し、ブレーキが作動する。な
お、ブレーキペダル10aを開放すると、マスタシリン
ダ10内の液圧が低下するため、ホイールシリンダ圧は
マスタシリンダ10の図示しないリターンポートを経て
リザーブタンクに戻る。
【0024】次に、アンチスキッドブレーキ装置が作動
してホイールシリンダ3aの液圧が減少する場合の油圧
制御弁の状態(図示略)に関して説明する。ブレーキ作
用によりホイールシリンダ3aへの液圧が上昇すると、
車輪速が低下していく。車輪速センサ52の信号により
車輪1Lがロックしそうになると判断すると、ECU5
0はオン信号を電磁弁30,40に出力する。これによ
り、電磁弁40は閉じてアキュムレータ圧を遮断し、電
磁弁30はそのバルブを開き、リザーブタンク36への
油路を開放する。このため、カットオフバルブ162は
アキュムレータ圧で、カットオフバルブ163はマスタ
シリンダ圧及びばね164により閉じられ、マスタシリ
ンダ10とホイールシリンダ3a間を遮断する。これに
より、ホイールシリンダ圧はエキスパンダピストン16
1を上方に押し減圧する。なお、今までエキスパンダピ
ストン161に作用している液圧は、ホイールシリンダ
圧に応じてコントロールされ、ポート16cから電磁弁
30を介してリザーブタンク36に戻される。
【0025】次に、アンチスキッドブレーキ装置の作動
時のホイールシリンダ3aの液圧が保持される場合に関
して云えば、ホイールシリンダ3a内の液圧が最適な値
まで減圧されると、ECU50は電磁弁30への通電を
停止し、電磁弁30を閉じる。これにより、エキスパン
ダピストン161の両端面に作用する液圧がバランス
し、ホイールシリンダ圧が保持される。
【0026】次に、アンチスキッドブレーキ装置の作動
時のホイールシリンダ3aの液圧が増圧される場合につ
いて説明する。ECU50がホイールシリンダ3aの液
圧の増圧が必要と判断した場合、電磁弁40への通電を
停止し、電磁弁40をアキュムレータ46の液圧で押し
開き、圧力室165の圧力を高める。これにより、エキ
スパンダピストン161は下方に移動し、ピストン室1
6aの作動油を押し出してホイールシリンダ圧を高め
る。なお、エキスパンダピストン161がピストン室1
6aの最下端まで移動すると、第2図の状態に戻り、カ
ットオフバルブ162及び163が開弁され、マスタシ
リンダ10とホイールシリンダ3aが連通されて、通常
のブレーキ(アンチスキッドブレーキ装置の非作動状
態)に戻る。ブレーキ圧増減圧制御方法 次に、ECU50によるアンチスキッドブレーキ装置の
ブレーキ圧増減圧制御方法を、図3に示すABSメイン
フローチャートを参照にして詳細に説明する。なお、E
CU50は、図示しないROMやRAM等の記憶装置、
内部カウンタ装置等を内蔵しており、記憶装置に記憶さ
れ、図3等に示されるプログラムを所定周期(例えば、
8msec毎)で実行することにより、ブレーキ液圧の増減
圧制御を行う。車輪速VW及び車輪加速度GVWの演算 先ず、ECU50は、各車輪に取り付けられた車輪速セ
ンサ52〜55からの入力信号に基づき、各車輪の車輪
速VW及び各車輪の加速度GVWを演算する(ステップ
S1)。
【0027】各車輪速センサは、例えば、外周に等間隔
に多数の突起を有し車輪と共に回転する円板を備え、こ
の円板に対向して配されたピックアップコイルが突起を
検出する毎にパルス信号をECU50に供給する。EC
U50は、このパルス信号の発生時間間隔から車輪の角
速度を演算し、これに車輪半径を乗算することにより車
輪速VWを演算して、図示しない記憶装置に格納する。
そして、今回演算した車輪速VWnと前回演算した車輪
速VWn-1とから車輪加速度GVW(=VWn−VWn-
1)が演算される。基準車体速の演算 次に、ECU50は、ステップS2に進み、基準車体速
(推定車体速)VREFを演算する。詳しくは、図4及
び図5に示すように、ECU50は先ず、基準車体速演
算のための車速(基準車輪速)SVWを選択する(ステ
ップS201)。このため、ECU50は、ABS(ア
ンチスキッドブレーキ)制御フラグのオンオフ状態に基
づいてABS制御中か否かを判別する。ABS制御フラ
グは、後述する基準車体速VREFが所定値(例えば、
10km/h)以上でかつ減圧指令値ΔPが所定値(例え
ば、−3.1kg/cm2)以下に設定されているという制
御開始条件が成立したときから所定の制御終了条件が成
立するまでオンになる。
【0028】ABS制御中でないと判別されると、リア
側の車輪速センサ54又は55により検出される車輪速
の内の低い方を、基準車輪速SVWとして選択する。但
し、選択した基準車輪速SVWが4輪中最も低い値であ
る場合は、車輪の突起乗り越し等による検出誤差が考え
られるので、選択した基準車輪速SVWに代えて、リア
側の車輪速センサ54及び55により検出した車輪速の
平均値を用いる。又、ABS制御中であると判別された
場合には、4輪中上から2番目の車速を、基準車輪速S
VWとして選択する。
【0029】次いで、ECU50は、選択された基準車
輪速SVWのフィルタリング処理、基準車輪加速度、路
面μ値の演算を行う(ステップS202)。先ず、選択
された基準車輪速SVWに含まれるノイズ成分を排除す
べく、次式(R1)に従うフィルタリング処理を行う。 FSVW=FSVW+K1(FSVW−SVW) ・・・(R1) ここに、FSVWは基準車輪速の時間平均値、K1は
1.0より小さい定数である。
【0030】このようにして求めた基準車輪速FSVW
の今回値(FSVWn)と前回値(FSVWn-1)とか
ら、次式(R2)により基準車輪加速度GSVWを算出
する。 GSVW=FSVWn−FSVWn-1 ・・・(R2) そして、演算した加速度GSVWから次式(R3)によ
り推定路面μを演算する。
【0031】 MU1=MU1+K2(MU1−GSVW) ・・・(R3) ここに、MU1は推定路面μ値であり、K2は前述の定
数K1より小さい定数である。なお、ABS制御開始時
のMU1の初期値は、代表的な高μ路に対応する所定値
に設定されている。基準車輪速の加速度GSVW等の演
算が終了すると、ECU50はABS制御中か否かを判
別する(ステップS203)。ブレーキペダル10aを
踏み込んだ直後はこの判別結果が否定になるので、図5
のステップS211に進んで、高μ路用基準車体速の演
算を指令するプログラム制御用のフラグFGHがセット
されているか否かを判別する。
【0032】フラグFGHが未だセットされていないと
ステップS211で判別し、かつ、減速時の基準車体加
速度の理論上の最小値−1.0gよりも小さい所定値X
G2(例えば、−1.4g)よりも基準車輪加速度GSV
Wが大(車輪速の減速度が小)であるとS212で判別
すると、ECU50は、基準車体速VREFを基準車輪
速FSVWに等しい値に設定すると共にフラグFGHを
クリアして(ステップS213)、基準車体速演算ルー
チンを終了する。
【0033】基準車輪加速度GSVWが所定値XG2より
小(車輪速の減速度が大)である場合、ECU50は、
フラグFGHをセットすると共にタイマ変数TMを値0
にリセットし(ステップS214)、ステップS215
に進み、タイマ変数TMが所定値XTM(例えば、80ms
ecに相当する値)よりも小さければ、基準車体速VRE
Fが高μ路での減速度(C2×Δt)で減速するとの予
測に基づいて、基準車体速VREFを次式(R4)によ
り演算する。C2は定数(例えば、1.4g)、Δtは
微小時間(ここでは、プログラム実行周期である8msec
に対応する値)である。
【0034】 VREF=VREF−C2×Δt ・・・(R4) そして、ステップS216において、設定した基準車体
速VREFが基準車輪速FSVWよりも小さくはないと
判別すると、タイマ変数値TMをインクリメントして
(ステップS217)、基準車体速演算ルーチンを終了
する。ABS制御が開始されてステップS203の判別
結果が肯定となると、ECU50は、ステップS202
で演算した推定路面μ値MU1の絶対値が所定値XMU
(例えば、0.45g)よりも大であるか否かを判別す
ることにより低μ路であるか否かを判別する(ステップ
S204)。ABS制御の開始直後は、この判別結果は
否定となり、前述したステップS211以降のステップ
が繰り返し実行される。この間、フラグFGHが既にセ
ットされているので、ステップS211の判別結果は肯
定となり、タイマ変数TMが所定値XTMに到達するま
で、式(R4)に従って基準車体速VREFが演算され
る。
【0035】所定時間XTM(80msec)が経過すると、
ECU50は、基準車体速VREFと基準車輪速FSV
Wとの偏差が所定値XKM(例えば、4km/h)よりも大で
あるか否かを判別し、この判別結果が肯定であれば、基
準車体速VREFが低μ路での減速度(C3×Δt)で
減速するとの予測に基づいて、基準車体速VREFを次
式(R5)により演算する。C3は、前述の定数C2よ
り小さい定数(例えば、0.4g)である。
【0036】 VREF=VREF−C3×Δt ・・・(R5) その後、後述するブレーキ圧の減圧制御により基準車輪
速FSVWが回復して、偏差(VREF−FSVW)が
所定値XKMよりも小さくなると、ECU50は、基準車
体速VREFを式(R4)に従って算出する。そして、
基準車体速VREFが基準車輪速FSVWより小である
とステップS216で判別すると、ECU50は、前述
のステップS213に移行する。
【0037】次に、ブレーキングが継続され、ステップ
S202における路面μの予測演算が正確に行われるよ
うになり、推定路面μ値MU1の絶対値が所定値XMUよ
り小(低μ路)であるとステップS204で判別する
と、ECU50は、低μ路用基準車体速の演算を指令す
るプログラム制御用のフラグFGLがセットされている
か否かを判別する(ステップS205)。フラグFGL
が未だセットされていない場合は、高μ路用の値XG2よ
りも小さい所定値XG1(例えば、−1.0g)よりも基
準車輪加速度GSVWが大であるか否かを判別する(ス
テップS206)。加速度GSVWが大(車輪速の減速
度が小)の場合、基準車体速VREFを基準車輪速FS
VWに等しい値に設定すると共にフラグFGLをクリア
して(ステップS207)、基準車体速演算ルーチンを
終了する。
【0038】ステップS206において基準車輪加速度
GSVWが所定値XG1より小(車輪速の減速度が大)で
あると判別すると、ECU50は、フラグFGLをセッ
トし(ステップS208)、次に、基準車体速VREF
が低μ路での減速度(C1×Δt)で減速するとの予測
に立って、基準車体速VREFを次式(R6)により演
算する(ステップS209)。C1は、前述の定数C2
より小に設定された定数(例えば、0.6g)である。
【0039】 VREF=VREF−C1×Δt ・・・(R6) そして、ステップS209で設定した基準車体速VRE
Fが基準車輪速FSVWよりも小さくはないとステップ
S210で判別すると、基準車体速演算ルーチンを終了
する。後述するブレーキ圧の減圧制御により基準車輪速
FSVWが回復して、基準車体速VREFが基準車輪速
FSVWより小となると、基準車体速VREFを基準車
輪速FSVWと等しい値に設定すると共にフラグFGL
をクリアして(ステップS209)、基準車輪速演算ル
ーチンを終了する。
【0040】このようにして基準車体速VREFが演算
されると、図3に示すメインルーチンに戻り、ステップ
S3が実行される。スリップ量ΔVの演算 ステップS3では、図6に示す手順で、各車輪のスリッ
プ量ΔVが演算される。ABS制御が開始されないよう
な低車速時や、低車速時に悪路が検出された場合には、
検出される車輪速VWに大きな検出誤差が含まれる虞が
あり、スリップ量の補正が却って好ましくない場合が起
こり得る。そこで先ず、ECU50は、ABS制御中か
否かを判別すると共に(ステップS300)、後述の手
順で悪路検出中か否かを判別する(ステップS30
4)。
【0041】ステップS300の判別結果が否定である
かステップS304の判別結果が肯定である場合、EC
U50は、基準車体速演算ルーチン(ステップS2)で
演算した基準車体速VREFが所定値XREF(例えば、
60km/h)以下であるか否かを判別し、判別結果が肯定
ならばスリップ量補正値DDVを値0に設定する一方
(ステップS302)、判別結果が否定であって車輪速
VWの検出誤差の影響が少ないと判別すると低μ路であ
るか否かを更に判別する(ステップS306)。ABS
制御中でかつ悪路が検出されない場合にも、ステップS
306が実行される。
【0042】低μ路でなければ、ECU50は、高μ路
用補正テーブル(図示略)を参照して、基準車体速VR
EFに応じた補正値DDVを設定する(ステップS30
8)。高μ路用補正テーブルにおいて、補正値DDV
は、基準車体速VREFが、所定値XREFよりも小さい
所定車体速以下であれば負の所定値をとり、該小さい所
定車体速から所定値XREFまでの範囲内ならば基準車体
速に比例して負の所定値から値「0」まで増大する値を
とり、所定値XREFからこれよりも大きい所定車体速ま
での範囲内ならば基準車体速に比例して値「0」から正
の所定値まで増大する値をとり、該大きい車体速以上な
らば正の所定値をとるように設定されている。
【0043】一方、低μ路であれば、ECU50は、低
μ路用補正テーブル(図示略)から、基準車体速VRE
Fに応じた補正値DDVを読み出す。低μ路用補正テー
ブルにおいて、補正値DDVは、基準車体速VREF
が、所定値XREFよりも小さい所定車速よりも更に小さ
い所定値以下であれば負の所定値をとり、該小さい所定
値から小さい所定車速までの範囲内であれば基準車体速
に比例して負の所定値から0まで増大する値をとり、小
さい所定車速から所定値XREFよりも大きい所定車速ま
での範囲内であれば0をとり、該大きい所定車速からこ
れよりも更に大きい所定値までの範囲内であれば基準車
体速に比例して0から正の所定値まで増大する値をと
り、該大きい所定値以上であれば正の所定値をとるよう
に設定されている。
【0044】ECU50は上述のようにして設定した補
正値DDV、図3のステップS1およびS2で求めた各
車輪の車輪速VWと、基準車体速VREFから次式(S
1)により各車輪についてのスリップ量Vを演算する
(ステップS312)。 ΔV=VREF−VW−DDV ・・・(S1) なお、車輪速VWが基準車体速VREFと乖離してスリ
ップ量が増加すると、後述するホイールシリンダの液圧
Pが減圧制御され、車輪のロック状態が回避される。そ
して、車輪速VWが回復してスリップ量が減少すると、
再び液圧Pが増圧制御され、車体速が低下することにな
る。
【0045】次いで、ECU50は、悪路補正ルーチン
(ステップS4)を実行する。悪路補正 図7に示すように、悪路補正ルーチンは、右後輪につい
ての車輪加速度加工ルーチン(ステップS401)と、
左後輪についての車輪加速度加工ルーチン(ステップS
402)と、基準車体速および後述の路面判定の結果に
基づいて実行されるスリップ補正量演算ルーチン(ステ
ップS403)とからなり、ステップS403で算出し
たスリップ補正量は、右前輪および左前輪のスリップ量
の補正に用いられる。車輪加速度加工 図8は、車輪加速度加工ルーチンを示す機能ブロック図
である。
【0046】車輪加速度加工ルーチンでは、ECU50
は、今回制御ループのステップS1において車輪速セン
サ信号に基づいて演算した右後輪(左後輪)の車輪加速
度GVWnにハイパスフィルタ処理(S401’)を施
す。ハイパスフィルタ処理において、ECU50は、今
回ループにおいてブレーキペダル10aの踏込み操作中
であってブレーキランプスイッチ出力BLSnがオンで
あれば、前回ループのハイパスフィルタ処理での演算値
LGVWn-1と今回ループの車輪加速度GVWnとを加算
平均して求めた今回ループの演算値LGVWn(=(G
VWn+LGVWn-1)/2)を、車輪加速度GVWnか
ら減じて、ハイパスフィルタ処理済み加速度HGVWn
(=GVWn−LGVWn)を得る(図9(a),(b)
参照)。このハイパスフィルタ処理により、車輪加速度
から制動時における車体加速度の影響が除去される。一
方、ブレーキペダル10aの踏込み操作が行われておら
ずブレーキランプスイッチ58からのスイッチ出力BL
Snがオフであれば、ECU50は、実質的なハイパス
フィルタ処理を行うことなく、今回ループの車輪加速度
GVWnをハイパスフィルタ処理済みの車輪加速度HG
VWnとして設定する。なお、ハイパスフィルタ処理で
のカットオフ周波数は例えば20Hzである。
【0047】次に、ECU50は、車輪加速度の正負方
向変動分を検出することを企図して、ハイパスフィルタ
処理済み加速度HGVWの絶対値を求めるための絶対値
処理を実行する(図9(b)及び(c)参照)。この絶
対値処理において、ECU50は、今回ループのハイパ
スフィルタ処理済み加速度HGVWnの符号が正であれ
ばこれを絶対値処理済みの車輪加速度AGVWnとして
設定し、一方、負であればその符号を反転した得た−H
GVWnを車輪加速度AGVWnとして設定する。
【0048】そして、車輪加速度の輪郭を抽出するため
(図9(d)参照)、ECU50は、絶対値処理済み加
速度AGVWの極大値をトレースするピークホールド処
理(ピークトレース処理)を実行する。このピークホー
ルド処理において、ECU50は、前々回ループの絶対
値処理済み加速度AGVWnが前回ループの加速度AG
VWn-1よりも小さくかつ加速度AGVWn-1が今回ルー
プの加速度AGVWn以上であるという所定条件が成立
していれば新たな極大値の発生を検知して前回ループの
絶対値処理済み加速度AGVWn-1をピークホールド処
理済み加速度PGVWnとして設定し、一方、所定条件
が不成立であれば前回ループのピークホールド処理済み
加速度PGVWn-1を今回ループのピークホールド処理
済み加速度PGVWnとして設定する。
【0049】次のローパスフィルタ処理において、EC
U50は、前回ループのローパスフィルタ処理で得た加
速度FGVWn-1を3倍したものと今回ループのピーク
ホールド処理済み加速度PGVWnとの和を4で除して
得た値(=(PGVWn+3・FGVWn-1)/4)を今
回ループのローパスフィルタ済み加速度FGVWnとし
て設定する。このローパスフィルタ処理は、例えば6.
6Hzのカットオフ周波数で行われ、これにより、車輪
加速度に含まれる外乱としての高周波ノイズ成分が除去
される。
【0050】次に、車輪加速度に生じる一過性の変動分
を除去するため、ECU50は、ローパスフィルタ済み
加速度FGVWの極小値をトレースするボトムホールド
処理(ボトムトレース処理)を実行する。ボトムホール
ド処理において、ECU50は、前々回ループのローパ
スフィルタ処理済み加速度FGVWn-2が前回ループの
加速度FGVWn-1よりも大きくかつ加速度FGVWn-1
が今回ループのローパスフィルタ処理済み加速度FGV
Wn以下であるという所定条件が成立していれば新たな
極小値の発生を検知して前回ループのローパスフィルタ
処理済み加速度FGVWn-1を今回ループのボトムホー
ルド処理済み加速度BGVWnとして設定する一方、所
定条件が不成立であれば前回ループのボトムホールド処
理済み加速度BGVWn-1を加速度BGVWnとして設定
する。
【0051】次のセレクトロー処理において、ECU5
0は、前回ループのローパスフィルタ処理済み加速度F
GVWn-1が今回ループのボトムホールド処理済み加速
度BGVWnよりも小さければ加速度FGVWn-1を、そ
うでなければ加速度BGVWnを、今回ループのセレク
トロー処理済み加速度(車輪加速度加工値)MGVWn
として設定する(図9(e)参照)。これにより、ロー
パスフィルタ処理済み加速度およびボトムホールド処理
済み加速度のうち、実際の加速度変動をより忠実に表す
一方が、車輪加速度加工値として選択される。スリップ補正量演算ルーチン 上述の手順で実行される右後輪および左後輪についての
車輪加速度加工ルーチン(ステップS401,S40
2)に続いて、ECU50は、図10に機能ブロックで
示す、本実施例の方法の要部をなすスリップ補正量演算
ルーチンを実行する(ステップS403)。
【0052】スリップ補正量演算ルーチンにおいて、E
CU50は、車体速が車輪加速度加工値MGVWに及ぼ
す影響、および、ABS制御時であるか定常走行時(非
制動時)であるかが車輪加速度加工値MGVWに及ぼす
影響を除去可能とするスケ−リング係数SRSを算出す
る。このスケ−リング係数計算(S401”)におい
て、ECU50は、ABS制御フラグABSORに基づ
いて4つの車輪のうちの一つ以上がABS制御中である
と判別するとスケ−リング係数SRSを所定値、例えば
1.2(G)に設定する一方、4つの車輪のいずれもが
ABS制御中ではないと判別すると、図11に示すスケ
−リング係数テーブルを参照して、基準車体速演算ルー
チン(ステップS2)で求めた基準車体速VREFに基
づいてスケ−リング係数SRSを求める。スケ−リング
係数テーブルにおいて、スケ−リング係数SRSは、基
準車体速VREFの増大につれて漸減する増加率で増大
するように設定されている。
【0053】次のスケ−リング処理(S402”,S4
03”)において、ECU50は、今回ループの右後輪
加速度加工値MGVWRnを50倍したものを、スケ−
リング係数SRSで除して、スケ−リング処理済み右後
輪加速度加工値DEKORnを求め、同様に、スケ−リ
ング処理済み左後輪加速度加工値DEKOLnを求め
る。この様に、ABS制御中は一定値をとる一方で、非
ABS制御中は基準車体速VREFの関数で表される値
をとるスケ−リング係数SRSを用いたスケ−リング処
理により、ABS制御の有無および車体速の大きさが車
輪加速度加工値(広義には車輪加速度)に及ぼす影響が
除去される。換言すれば、非ABS制御中にあっては、
車輪加速度加工値は、スケ−リング係数SRSを用い
て、車体速に関して正規化される。次に、ECU50
は、両加工値の加算平均値((DEKORn+DEKO
Ln)/2)を算出し、これを平均後輪加速度加工値D
EKOnとして記憶する(S404”)。
【0054】次の路面判定処理(S405”)におい
て、ECU50は、図12に示す路面判定マップを参照
して、図4のステップS202で得た推定路面μの値M
U1と図10の平均値演算処理S404”で求めた平均
後輪加速度加工値DEKOnとに基づいて、路面判定結
果RSLTを出力する。この様に、本実施例では、AB
S制御による影響が前輪側に比べて後輪側で少ないこと
に着目して、後輪加速度加工値に基づいて路面判定を行
っている。路面判定結果RSLTは、図12に斜線を施
して示す悪路領域ではオンに、それ以外の良路領域では
オフになる。図12に示すように、推定路面μの値が値
MU11から値MU12までの範囲内に入ると共に平均
加速度加工値DEKOが値DEKO1以上であるとき
と、推定路面μの値が値MU12以上でかつ平均加速度
加工値DEKOが値DEKO2以上あるときとで悪路と
判定されるように、悪路領域が設定されている。すなわ
ち、推定路面μの値MU1が非常に小さい領域(MU1
<MU11)では、平均加速度加工値DEKOの大小に
かかわらず悪路との判定を行わないようにし、又、高μ
路(MU1>MU12)での悪路判定レベルDEKO2
は、低μ路での判定レベルDEKO1よりも高く設定さ
れている。
【0055】次のスリップ補正量計算(S406”)に
おいて、ECU50は、路面判定結果RSLTがオンで
あって悪路走行中と判定すると、補正スリップ率を決め
るための定数SLPR(例えば0.2)と基準車体速V
REFとの積(VREF・SLPR)を、車体速とは無
関係にスリップ率を適正化(好ましくは一定化)し得る
ようなスリップ補正量AKRADJとして設定する一
方、路面判定結果RSLTがオフ(良路走行中)であれ
ばスリップ補正量AKRADJを値「0」に設定する。
なお、設定したスリップ補正量AKRADJが所定値
(例えば37km/h)よりも大きければ、設定したスリッ
プ補正量AKRADJに代えてこの所定値をスリップ補
正量AKRADJとして用いて、スリップ補正量が過大
にならないようにする。上述のように求めたスリップ補
正量AKRADJは、ステップS3で算出した右前輪ス
リップ量ΔVおよび左前輪スリップ量ΔVの各々の減算
補正に用いられ、これにより、前輪をロック気味に制動
するようにする。基本増減圧量ΔPの演算 次に、ECU50は、記憶装置(図示せず)に予め記憶
されている基本増減圧マップから、上述のように演算し
たスリップ量ΔVおよび車輪加速度GVWに応じて増減
圧値ΔPを読み出す(図3のステップS5)。
【0056】図13に示すように、記憶装置に記憶され
た基本増減圧マップには、スリップ量ΔVと車輪加速度
GVWとによって画成される増圧領域A1,A2と、減
圧領域D1〜D3と、保持領域とが設定されている。増
圧領域A2での増圧値は領域A1での増圧値よりも高い
値に設定され、減圧領域D1,D2およびD3での減圧
値はこの順序で低い値に設定されている。保持領域で
は、ブレーキ圧を変化させないで前回値に保持すること
になる。
【0057】スリップ量ΔVが前述のように悪路補正さ
れた場合、スリップ量ΔVがより小さい値に補正される
ので、減圧制御ないしは保持制御が行われ難くなり、ブ
レーキ液圧が緩め勝ってに制御されることがない。液圧・増減圧時間変換 増減圧値ΔPが求まると、ECU50は図3のステップ
S6に進み、液圧・増減圧時間変換マップから電磁弁駆
動時間ΔTPを読み出す。
【0058】ブレーキ圧を増減圧制御する場合、図1に
示す電磁弁30,32,34,40,42及び44を前
述のようにオンオフ制御することにより各ホイールシリ
ンダに供給されるブレーキ圧の増減を行う。ここで、増
減圧値ΔPに対する電磁弁の駆動時間ΔTPは、ホイー
ルシリンダに供給されている液圧Pが高いほど、大きい
値に設定される。
【0059】ECU50は、液圧・増減圧時間変換マッ
プ(図示略)から、推定路面μと増減圧値ΔPとに応じ
て電磁弁駆動時間ΔTPを読み出して、各車輪のホイー
ルシリンダについて、増減圧値ΔPに応じた電磁弁駆動
時間ΔTPを求め、これによりABSメインルーチンの
実行を終了する。そして、例えば左前車輪1Lのホイー
ルシリンダ3aを増圧制御する場合には、図2に示す保
持状態から電磁弁40をΔTP時間に亘ってオフにし、
減圧制御する場合には、電磁弁30をΔTP時間に亘っ
てオンにする。電磁弁の駆動 ECU50は、割込み電磁弁駆動ルーチン(図示略)を
例えば1msec毎に割り込み実行し、図1に示す各電磁弁
を駆動する。このルーチンにおいて、ECU50は、先
ず、8msecの時間が経過する度に、電磁弁駆動時間ΔT
Pが駆動タイマTPの値より大きいか否かを判別し、駆
動時間ΔTPがタイマ値TPよりも大きければ、タイマ
値TPを駆動時間値ΔTPに書き換えた後に、一方、駆
動時間ΔTPがタイマ値よりも小さければタイマ値の書
換えを行うことなく、タイマ値TPが0であるか否かを
判別する。タイマ値TPが0でなければ電磁弁を駆動す
るオン信号を出力すると共にタイマ値TPを値1だけデ
クリメントして本ルーチンを終了する一方、タイマ値T
Pが0の場合には電磁弁をオフにして本ルーチンを終了
する。
【0060】駆動時間ΔTPが8msecより大きい値に設
定されたとき、メインルーチンの実行周期である8msec
が経過しても処理しきれなかった駆動時間が次回ループ
まで残ることになるが、残った駆動時間はその次回ルー
プで処理されることになる。このとき、新たに設定され
る駆動時間ΔTPが残った駆動時間より大きい場合に
は、残った駆動時間は実行されずに切り捨てられること
になる。変形例 上記実施例では、絶対値処理及びトレース処理を含む一
連の処理を車輪加速度施して得た車輪加速度加工値を用
いて路面状態をより適正に判定するようにしたが、上記
一連の処理を行うことは必須ではなく、該一連の処理を
施さない車輪加速度自体を用いて本発明の路面判定を行
っても良い。
【0061】
【発明の効果】上述のように、本発明の路面判定方法
は、車体速を推定し、推定車体速に応じたスケ−リング
係数を用いて、車体速が車輪加速度に及ぼす影響を除去
するためのスケ−リング処理を車輪加速度に施し、スケ
−リング処理済みの車輪加速度に基づいて路面判定を行
うので、車体速が車輪加速度に及ぼす影響を除去でき、
従って、実際の路面状態を正確に判定できる。
【0062】又、本発明による車輪スリップ量補正方法
は、車体速を推定し、推定車体速に応じたスケ−リング
係数を用いて、車体速が車輪加速度に及ぼす影響を除去
するためのスケ−リング処理を車輪加速度に施し、スケ
−リング処理済みの車輪加速度に基づいて路面判定を行
い、斯く判定した路面状態と推定車体速とに基づいて、
路面状態に適合しかつ車体速とは無関係に適正なスリッ
プ率を得ることを可能とするスリップ補正量を演算し、
斯く演算したスリップ補正量を用いて車輪スリップ量を
補正するので、正確に判定された路面状態に適合しかつ
車体速とは無関係に適正なスリップ率を得ることを可能
とするスリップ補正量を演算でき、従って、特に悪路で
の制動能力を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による路面判定および車輪ス
リップ量補正方法が適用されるアンチスキッドブレーキ
装置を示す図である。
【図2】図1の油圧制御弁及び周辺要素を示す一部断面
図である。
【図3】図1の電子制御装置(ECU)により実行され
るABSメインルーチンを示すフローチャートである。
【図4】図3の基準車体速演算ルーチンの一部を示すフ
ローチャートである。
【図5】基準車体速演算ルーチンの残部を示すフローチ
ャートである。
【図6】図3のスリップ量演算ルーチンを示すフローチ
ャートである。
【図7】図3の悪路補正ルーチンを示すフローチャート
である。
【図8】図7に示す車輪加速度加工ルーチンの機能ブロ
ック図である。
【図9】車輪加速度加工ルーチンによる各種処理を施し
た場合における、時間経過に伴う車輪加速度の変化を示
すグラフである。
【図10】本発明の一実施例の方法の要部をなす、図7
のスリップ補正量演算ルーチンの機能ブロック図であ
る。
【図11】図10に示すスケ−リング処理で用いるスケ
−リング係数テーブルを示すグラフである。
【図12】図10に示す路面判定処理で用いる路面判定
マップを示す図である。
【図13】図3に示す基本増減圧量演算ルーチンで用い
る基本増減圧マップを示す図である。
【符号の説明】
1L,1R,2L,2R 車輪 3,4,5,6 ホイールシリンダ 10 マスタシリンダ 16,18,20,22 油圧制御弁 30,32,34,40,42,44 電磁弁 46 アキュムレータ 50 電子制御装置(ECU) 52,53,54,55 車輪速センサ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体速を推定し、前記推定車体速に応じ
    たスケ−リング係数を用いて、車体速が車輪加速度に及
    ぼす影響を除去するためのスケ−リング処理を車輪加速
    度に施し、スケ−リング処理済みの車輪加速度に基づい
    て路面判定を行うことを特徴とする路面判定方法。
  2. 【請求項2】 アンチスキッドブレーキ制御が実行中で
    あるか否かを判別し、前記推定車体速およびアンチスキ
    ッドブレーキ制御の有無に応じて、車体速およびアンチ
    スキッドブレーキ制御の有無が車輪加速度に及ぼす影響
    を除去可能とする前記スケ−リング係数を決定すること
    を特徴とする請求項1の路面判定方法。
  3. 【請求項3】 路面μを推定し、前記スケ−リング処理
    済みの車輪加速度および前記推定路面μに基づいて前記
    路面判定を行うことを特徴とする請求項1又は2の路面
    判定方法。
  4. 【請求項4】 前記車輪加速度として後輪車輪加速度を
    検出することを特徴とする請求項1又は2の路面判定方
    法。
  5. 【請求項5】 車輪加速度の絶対値を求める絶対値処理
    および絶対値処理済みの車輪加速度のピークをトレース
    するトレース処理を車輪加速度に施して得た、路面状態
    を正確に反映する車輪加速度加工値を、前記車輪加速度
    として用いることを特徴とする請求項1又は2の路面判
    定方法。
  6. 【請求項6】 車体速を推定し、前記推定車体速に応じ
    たスケ−リング係数を用いて、車体速が車輪加速度に及
    ぼす影響を除去するためのスケ−リング処理を車輪加速
    度に施し、スケ−リング処理済みの車輪加速度に基づい
    て路面判定を行い、斯く判定した路面状態と推定車体速
    とに基づいて、路面状態に適合しかつ車体速とは無関係
    に適正なスリップ率を得ることを可能とするスリップ補
    正量を演算し、斯く演算したスリップ補正量を用いて車
    輪スリップ量を補正することを特徴とする車輪スリップ
    量補正方法。
  7. 【請求項7】 後輪車輪加速度に基づいて演算したスリ
    ップ補正量を用いて前輪スリップ量を補正することを特
    徴とする請求項6の車輪スリップ量補正方法。
JP4281359A 1992-10-20 1992-10-20 路面判定方法および車輪スリップ量補正方法 Withdrawn JPH06127364A (ja)

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